JP3325786B2 - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

サーマルヘッドおよびその製造方法

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JP3325786B2 JP28764496A JP28764496A JP3325786B2 JP 3325786 B2 JP3325786 B2 JP 3325786B2 JP 28764496 A JP28764496 A JP 28764496A JP 28764496 A JP28764496 A JP 28764496A JP 3325786 B2 JP3325786 B2 JP 3325786B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばサーマルプ
リンタに使用されるサーマルヘッドに係わり、特に印字
効率と熱応答性に優れたサーマルヘッドおよびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のサーマルプリンタに使用される
サーマルヘッドは、インクリボンあるいは感熱紙などの
記録媒体に接した状態で使用される物であり、複数個の
発熱抵抗体を基板上に直線的に配列し、所望の印字情報
に基づいていずれかの発熱抵抗体に選択的に順次通電を
行って発熱抵抗体を発熱させることにより、感熱プリン
タにおいては感熱記録紙を発色させ、熱転写プリンタに
おいてはインクリボンのインクを部分的に溶融して普通
紙に転写して印字を行うように形成されている。
【0003】図4は一般的な従来のサーマルヘッドが記
録媒体Kに圧接されて印字途中の状態を示す要部断面図
で、図5は従来のサーマルヘッドの構造を説明するため
の要部断面図である。まず、絶縁性材料であるアルミナ
等から成る基板1の端部1a寄りの上面には、ガラスグ
レーズから成る保温層2が突出形成されている。そし
て、該保温層2が突出した凸部2aには、複数個の発熱
抵抗体3が直線状に整列して形成されて、該発熱抵抗体
3はTa−SiO2 等からなる材料を、前記保温層2
の表面にスパッタリング等により積層形成した後、エッ
チング等で複数の直線状に分割されて形成されている。
また、前記複数の発熱抵抗体3の上面には、該発熱抵抗
体3の一方側に接続される共通電極4aと、発熱素子3
aを挟んで前記発熱抵抗体3の他方側に接続される個別
電極4bが前記発熱抵抗体3の上面に積層形成されてい
る。
【0004】また、該個別電極4bに連接して、基板1
の他方側の上面には外部接続端子4cが図示しない基板
1の他方側の端部まで延長して形成されている。そし
て、前記共通電極4a・個別電極4b・外部接続端子4
cは、それぞれ、例えばAl、あるいはCu等の安価な
材料から成り、スパッタリング等によって発熱抵抗体3
および基板1の上面に積層後に、エッチング等の加工で
所望形状のパターンに形成されている。また、前記外部
接続端子4cの上面には、図5に示すような、高耐熱性
のテープからなるマスク材料Mを貼り付けて、外部接続
端子4cの上面がマスクされている。そして、前記発熱
抵抗体3、あるいは共通電極4a・個別電極4b、ある
いは外部接続端子4c上に、サイアロン等からなる保護
層5がスパッタリング等で被覆されている。このとき、
マスク材料Mの上面にもスパッタリングによって前記保
護層5と同一材料の層5aが形成されている。
【0005】そして、前記基板1の上面に形成され位置
した保護層5には、基板1がアルミナ等のセラミック材
料なので、表面粗さが粗いためにピンホールPが発生し
ていた。また、電極4の厚みで電極4の端部に段差が生
じて、該段差部分の保護層5にもピンホールPが発生す
ることがあった。そして、前記それぞれの電極4a・4
bおよび外部接続端子4cは、AlやCu等の安価な材
料で、且つ耐腐食性が劣り、前記ピンホールPからイオ
ンを含む水分等が侵入すると、容易に腐食して前記それ
ぞれの電極4a・4bに断線が発生して、サーマルヘッ
ドの印字寿命を低下させていた。その対策として、従来
のサーマルヘッドは、前記保護層5の表面に、耐薬品性
に優れたシリコン樹脂液等の熱硬化性樹脂液を、ロール
コート、あるいはスピンコートあるいはスプレーコート
等で塗布膜を形成し、該塗布膜を加熱等で硬化させる製
造方法で封孔膜8を形成して、該封孔膜8で前記保護層
5に発生しているピンポールPを封孔していた。そし
て、前記封孔膜8を塗布形成してから、外部接続端子4
cの上面に貼付されている、マスク材料Mを剥がし、前
記外部接続端子4cの上面が露出された部分に、半田付
け性の良い金属を、メッキ(例えば半田メッキ等)す
る。このとき、該メッキ工程のメッキ液が、前記封孔膜
8によって、ピンホールP中に浸透することがないの
で、前記それぞれの電極4a・4bおよび外部接続端子
4cの耐食性を安定化させることができた。そして、前
記外部接続端子4cにメッキ処理がされると、基板1が
チップ状にダイシング加工されて従来のサーマルヘッド
は構成されている。
【0006】また、前記封孔膜8は図5に示すように、
前記発熱素子3aの上方、即ち該発熱素子3aの上方の
保護層上面を覆っていたのでは、発熱抵抗体3aの発熱
を適正に記録媒体Kに伝達できないので、適正な印字が
できない。けれども、前記封孔膜8はサーマルヘッドの
印字動作により、前記インクリボンあるいは感熱記録紙
あるいはインクリボン等の記録媒体Kに圧接されて、発
熱と記録媒体との摺動を数十回繰り返すことにより、早
期に剥離除去される。即ち、前記封孔膜8は出荷前に行
われる、全数テスト印字を行う間に、図4に示すよう
に、発熱素子3aの上方だけ早期に剥離されて、発熱素
子3a上方の保護層5が露出されるので、実使用状態に
おいては何ら問題はない。
【0007】また、図示は省略するが従来のサーマルヘ
ッドの製造フローは、まずグレーズドアルミナ基板製造
工程で基板1の上面に保温層2を形成し、次の発熱抵抗
耐形成工程で、前記保温層2の上面に発熱抵抗体3を積
層形成し、次の電極形成工程で前記発熱抵抗耐の上面に
共通電極4aと個別電極4bおよび外部接続端子4cを
積層形成する。そして、次に外部端子マスキング工程で
外部接続端子4c上にマスク材料Mを貼り付ける。次に
保護層積層工程で保護層5を積層形成し、次の封孔膜形
成工程で、前記保護層5およびマスク材料Mの上面に、
熱硬化性樹脂液を塗布して硬化させた封孔膜8を形成す
る。次にマスク除去工程で前記マスク材料を外部接続端
子4cの上から剥がし、次の端子メッキ処理工程で前記
外部接続端子4cに半田メッキ等のメッキが処理され
る。そして、検査・ダイシング工程で発熱抵抗体3、あ
るいは前記それぞれの電極4a・4bの顕微鏡による外
観検査が行われて、問題なければ基板1がダイシング加
工されて従来のサーマルヘッドの製造が終了する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したよう
な従来のサーマルヘッドにおいては、封孔膜8は材料が
シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂からなる塗布液なので比
較的塗布液の粘度が高くて、前記保護層5の表面に薄く
均一の厚さで形成することが難しかった。そのために、
前記ピンホールPを確実に封孔するために、前記封孔膜
8の膜厚を2〜5μmと、厚めに形成していたので、塗
布液の使用量が多くなり、且つ塗布液の塗布にも時間が
掛かりサーマルヘッドがコスト高になる問題があった。
【0009】また、前記封孔膜8の製造方法では、前述
したようなロールコート、あるいはスピンコートあるい
はスプレーコート等で塗布膜を形成していたが、該塗布
膜8が厚くなり、塗布ムラが発生して封孔膜8の膜厚に
バラツキがあった。、そのために、製造の最終工程で、
発熱抵抗体3や電極4の断線等を検査する、外観パター
ン検査の顕微鏡での認識が難しくなり、正確な判定がで
きなかったり、判定に時間が掛かって、製造品質および
生産性が悪くなっていた。
【0010】また、前記封孔膜8の製造方法では、該封
孔膜8を形成してから、前記外部接続端子4cの上面に
貼付しているマスク材料Mを剥がしているが、このマス
ク材料Mを剥がすときに、該マスク材料Mに接する保護
層5の端部5b上の封孔膜8の境界部8aが剪断される
ときに、前記封孔膜8が厚いために、該封孔膜8の境界
部8aがマスク材料Mで引っ張られて保護層5の端部5
cから剥離して、次工程の端子メッキ処理工程でメッキ
の薬品等が、前記境界部8aの剥離部分から侵入する問
題があった。また、前記封孔膜8は、前記基板1および
外部接続端子4cとの密着強度が弱かったので、更に前
記マスク材料Mを剥がすときに剥がれやすい問題があっ
た。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段として、基板と、該基板の上面に形成され
た保温層と、該保温層の上面に形成された複数の発熱抵
抗体と、該複数の発熱抵抗体に接続される個別電極およ
び共通電極と、前記保温層、前記発熱抵抗体、前記個別
電極および共通電極の上面を被覆する保護層と、該保護
層の上面に形成されたポリパラキシレンからなる封孔膜
とを備えた構成とした。また、前記課題を解決するため
の第2の手段として、基板の上面に保温層を形成する工
程と、該保温層の上面に複数の発熱抵抗体を形成する工
程と、該複数の発熱抵抗体に接続される個別電極および
共通電極を形成する工程と、前記電極の外部接続端子を
マスク材料でマスクする工程と、前記保温層、前記発熱
抵抗体、前記個別電極および共通電極の上面を被覆する
保護層を形成する工程と、該保護層の上面にプライマを
処理する工程と、該プライマ処理された上面にポリパラ
キシレンから成る封孔膜を、ジパラキシレン、あるい
は、その誘導体を加熱気化させてダイマーガスを生成
し、該ダイマーガスを減圧下で高温加熱してモノマーガ
スを生成し、該モノマーガスを減圧下の蒸着室に導いて
化学蒸着により形成する封孔膜形成工程と、前記電極の
外部接続端子部をマスクしたマスク材料を除去する工程
とを有する方法とした。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1〜図3をもとに説明する。なお前述した物と同
一の構成の物については、同一の番号を付して説明す
る。図1は本発明のサーマルヘッドが記録媒体Kに圧接
されて印字途中の状態を示す要部断面図で、図2は本発
明のサーマルヘッドの構造を示す要部断面図である。図
2において、絶縁性材料であるアルミナ等のセラミック
から成る基板1の一方側には、端部1a寄りの上面にガ
ラスグレーズから成る保温層2が形成されて、その頂上
部の凸部2aが断面が略台形状に突出形成されている。
そして、該保温層2の凸部2aには、サーマルヘッドの
発熱ドット数に対応した複数個の発熱抵抗体3が形成さ
れている。また、該発熱抵抗体3はTa−SiO2 等
からなる材料を蒸着あるいはスパッタリング等により、
前記保温層2の表面に被着した後、エッチング等で所定
の間隔をおいて直線状に整列して複数に分割して形成さ
れている。そして、前記保温層2の凸部2a上面には、
実際の印字に寄与する発熱素子3aが形成されている。
また、前記複数の発熱抵抗体3の上面には、該発熱抵抗
体3に接続して電力エネルギーを供給するために、前記
基板1の一方側の端部1a寄りに、前記複数の発熱抵抗
体3に共通して通電を行うための共通電極4aと、他方
側には、各発熱抵抗体3に個別に独立して通電を行うた
めの個別電極4bがそれぞれ積層形成されている。そし
て、前記保温層2の凸部2aの上面で、前記共通電極4
aと個別電極4bに挟まれた部分に発熱素子3aが形成
されている。
【0013】また、前記個別電極4bに連接して、基板
1の他方側の上面には外部接続端子4cが図示しない基
板1の他方側の端部まで延長して形成されている。そし
て、前記共通電極4a・個別電極4b・外部接続端子4
cは、それぞれ、例えばAl,Cu等の安価な材料から
なり、スパッタリングあるいは蒸着等により被着された
後、フォトリソ技術によるエッチングにより所望形状の
パターンに形成されている。また、前記外部接続端子4
cの上面には、高耐熱性のテープ、例えばポリイミド等
の粘着テープからなるマスク材料Mが貼り付けられて、
外部接続端子4cの上面がマスクされている。そして、
前記発熱抵抗体3、あるいは共通電極4a、あるいは個
別電極4b、あるいは外部接続端子4c上に、酸化防止
あるいは磨耗防止のためにSiC、あるいはSi−O−
N、あるいはサイアロン等からなる保護層5がスッパッ
タリング等で積層形成されている。このとき、マスク材
料Mの上面にもサイアロン等の材料がスパッタリングに
よって飛散して、保護層5と同質の膜5aが形成され
る。そして、説明は省略するが、前記保護層5には従来
例で説明したピンホールPが同様に発生している。
【0014】そして、該保護層5の表面には、シランカ
ップリング材の略0.1%IPA(イソプロピルアルコ
ール)溶液等によるプライマ処理が行なわれて、この保
護層5の表面に、例えばポリパラキシリレン等の有機蒸
着重合膜から成る封孔膜6を、前記マスクMの上面を含
む保護層5の上面のほぼ全面に形成している。そして、
前記封孔膜6はジパラキシリレン、あるいは、その誘導
体のダイマーのいずれかを、後述する化学蒸着によっ
て、微細なピンホールPの内周壁および底面にも、膜厚
が略0.1μmと非常に薄い封孔膜6が形成されて、外
部からイオン等を含んだ水分等の侵入を防いでいる。そ
して、前記外部接続端子4cの上面に貼付された、ポリ
イミド等の粘着テープからなるマスク材料Mを剥がす
と、前記外部接続端子4cの一部が外部に露出され、該
露出された外部接続端子4cの一部に、半田付け性の良
い金属が、メッキ(例えば半田メッキ等)され、その
後、基板1がダイシング加工されて本発明のサーマルヘ
ッドがチップ状に形成されて構成されている。
【0015】前述のような本発明のサーマルヘッドによ
れば、個別電極4bから所定の印字信号に基づいて、該
個別電極4bに対応する共通電極4aに発熱抵抗体3を
介して通電を行うことにより、該共通電極4aと個別電
極4bに挟まれた部分の発熱素子3aを発熱せしめ、該
発熱素子3aの熱が、該発熱素子3aの上面の保護層5
および封孔膜6を介して、例えば熱転写プリンタなら
ば、記録媒体Kであるインクリボン(図示せず)のイン
クを溶融して記録用紙に転写することにより所望の印字
を行うことができる。また感熱プリンタにおいては、記
録媒体Kである感熱記録紙(図示せず)を発色させて所
望の印字を行うことができる。また、前記封孔膜6が図
1に示すように、前記発熱素子3aの上面の保護層5上
を覆っているが、封孔膜6の膜厚は略0.1μmと非常
に薄く、発熱素子3aの発熱による分解蒸発、および凸
状に発熱素子3aを形成しているため、記録媒体Kとの
強い圧接摺動によりセルフクリーニングされて、封孔膜
6があっても印字に支障をきたすことはない。
【0016】次に、前述のような本発明のサーマルヘッ
ドの製造方法について、図3に示す製造フローに従って
説明すると、まず、グレーズドアルミナ基板製造工程に
て、アルミナ等のセラミックから成る基板1の上面に、
ガラスから成るグレーズ層である保温層2を積層形成す
る。次に、発熱抵抗体形成工程において、前記保温層2
の上面に複数個の発熱抵抗体3を蒸着あるいはスパッタ
リング等により、前記保温層2の表面に被着した後、エ
ッチング等で所定間隔をおいた直線状に整列して複数に
分割して形成する。次に、電極形成工程において、前記
複数の発熱抵抗体3に接続されて、基板1の端部1a寄
りの一方側の発熱抵抗体3の上面に共通電極4aが、前
記複数の発熱抵抗体3と直交する方向に形成されて、該
複数の発熱抵抗体3がそれぞれ電気的に導通している。
また、発熱抵抗体3の他方側の上面に、該発熱抵抗体3
と平行方向に直線状に整列した個別電極4bが形成され
ている。そして、該個別電極4bに連接して外部接続端
子4cが形成されている。そして、前記共通電極4a・
個別電極4b・外部接続端子4cは、AlあるいはCu
等の安価な材料を、例えばスパッタリングあるいは蒸着
等によりそれぞれ被着させた後、フォトリソ技術による
エッチングにより所望形状のパターンに形成している。
次に、外部端子マスキング工程において、図5に示すよ
うに、前記外部接続端子4cの上面にマスク材料Mを貼
り付けて、外部接続端子4cをマスキングして、後述す
る保護層5、あるいは封孔膜6が付着しないようにして
いる。
【0017】そして、マスク材料Mによるマスキング作
業が終了すると、保護層積層工程において、スッパッタ
リング等でサイアロン等から成る保護層5を積層形成す
る。また、該保護層5を積層形成後、次のプライマ処理
工程において、保護層5と後述する封孔膜6との密着性
を良くするために、保護層5の上にシランカップリング
材によるプライマ処理を行なっている。その後、封孔膜
形成工程で、前記プライマ処理された保護層5の表面
に、有機蒸着重合膜からなる封孔膜6を、化学蒸着によ
り形成してピンホールPを封孔している。また、従来の
封孔膜8がピンホールPの入り口を塞ぐのに対して、本
発明の封孔膜6は、ピンホールPの内周面や底面に、均
一の薄膜を形成して封孔している。そして、本発明の封
孔膜6は、例えば耐薬品性および耐熱性に優れているポ
リパラキシリレン(PPX)から成り、該PPXは次に
説明する化学蒸着により生成されている。
【0018】まず、ダイマーであるジパラキシリレン
(DPX)、あるいは、その誘導体で例えば、ジメチル
ジパラキシリレン、あるいはジクロロジパラキシリレ
ン、あるいはテトラクロロジパラキシリレン等を、1ト
ールの通常の気圧下で、略170℃の温度以下で加熱し
て気化させてダイマーガスを生成する。次に、この気化
させたダイマーガスを更に、略0.5トールの減圧下雰
囲気中で略680℃の温度で熱分解させてジラジカルパ
ラキシリレン(PX)から成るモノマーガスを生成させ
る。そして、前記保温層2、発熱抵抗体3、電極4、保
護層5が形成されている基板1を略0.1トールに減圧
した常温の雰囲気中の蒸着室内にセットし、該蒸着室内
に前記PXから成るモノマーガスを導く。すると、前記
蒸着室が真空に近い状態に減圧されているので、前記プ
ライマー処理された基板1の微細な凹凸やピンホールP
内に前記モノマーガスが均一に浸入して、基板1の表面
で前記モノマーガスの吸着と重合が同時に進行して、該
進行による化学変化で、基板1および保護層5の表面
に、高分子量のポリパラキシリレン(PPX)の薄膜か
ら成る封孔膜6が形成されて、基板1および保護層5の
表面だけでなく、前記ピンホールPの内周面や底面に、
例えば、略0.1μmの薄膜が均一に形成される。そし
て、該封孔膜6は膜厚が略0.1μmと薄いので材料消
費がすくなくて済み、前記化学蒸着作業で、基板1の微
細な凹凸面にも均一に強固な膜が形成できて、前記ピン
ホールPを確実に封孔することができる。更に、前記蒸
着室で多数個の基板1を同時に一括して処理することも
可能である。また、本発明の封孔膜6を化学蒸着で形成
する有機蒸着重合膜はPPXに限定されるもでなく、例
えば、2種類以上のモノマーを各々の蒸発源より蒸着
し、基板1上で加熱反応させるものとして、ポリイミ
ド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレア等があ
り、これらはどれも、本発明で説明したPPXから成る
封孔膜6と同等の膜厚で同等の封孔性および強度を有し
ている。
【0019】そして、封孔膜形成工程が終了すると、次
に、マスク除去・洗浄工程で、前記外部接続端子4cの
上面に貼付されたマスク材料Mを適宜の手段で剥がす。
このマスク材料Mを剥がすときに、前記封孔膜6の膜厚
が0.5μmより厚いと、封孔膜6の強度が強くなり、
マスク材料Mを剥離除去しょうとすると、封孔膜6の境
界部6aが、マスク材料Mの端面に引っ張られながら剪
断されるので、前記境界部6aに毛羽立ちが生じたりし
て境界部6aの密着力が低下して、保護層5の端部5a
上の境界部6aが、その後の洗浄工程や、次工程の端子
メッキ処理工程の薬液が保護層5に侵入したりして封孔
膜6の境界部6aが剥離したりすることがある。また、
前記封孔膜6の膜厚が0.05μm未満だと、封孔膜6
の強度が弱くて、前記のようなマスク材料を除去すると
きの問題は生じないが、前記封孔膜形成工程での製造上
のバラツキ等で、膜厚が薄くなりすぎて、封孔膜6の封
孔の信頼性が低下する。そのために、前記封孔膜6の膜
厚の最適範囲は、前記封孔の信頼性と、マスク材料Mを
剥がすときに、保護層5の端部5aと境界部6aとの密
着強度が低下することなく剪断できる適度な強度と、ま
たメッキ液等の耐薬品性の問題等から、0.05μm〜
0.5μmの範囲がよく、好ましくは、0.1μm〜
0.3μmがよい。次に、前記マスク材料Mを剥がした
後、前記保温層2、発熱抵抗体3、電極4、保護層5、
封孔膜6が形成された基板1を、次工程の端子メッキ処
理工程で良好なメッキ処理を行うために洗浄する。
【0020】次に、端子メッキ処理工程で前記マスク材
料Mを剥がした部分の外部接続端子4cに、半田付け性
の良い金属を、メッキ(例えば半田メッキ等)処理す
る。次に、前記外部接続端子4cにメッキ処理が施され
た後、前記基板1をダイシング加工して本発明のサーマ
ルヘッドがチップ状に形成される。そして、該チップ状
のサーマルヘッドを、発熱抵抗体3の発熱量を決める抵
抗値検査、および顕微鏡等で発熱抵抗体3、あるいは電
極4等に断線等の異常がないかの外観検査を行って、本
発明のサーマルヘッドの製造は終了する。また、本発明
は前述の実施の形態に限定されるものでなく、例えば、
保温層2に凸部2aを設けない全面グレーズドアルミナ
基板や、あるいは、その他のセラミック基板およびシリ
コン基板や金属基板等いずれの基板にも用いることがで
きる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明におけるサー
マルヘッドによれば、保護層の上面に有機蒸着重合膜か
ら成る封孔膜を形成し、該封孔膜はポリパラキシリレン
からなっているので、封孔膜の膜厚は0.5μm〜0.
05μmの範囲でよいので、極少量の有機蒸着材料で封
孔膜を形成できる。また封孔膜の膜厚が前記のように薄
くてよいので、封孔膜形成時間が非常に短くできるの
で、コスト低減に効果があるサーマルヘッドを提供でき
る。
【0022】また、封孔膜形成工程でプライマ処理され
た保護層の上面に、有機蒸着重合膜から成る封孔膜を化
学蒸着により形成しているので、減圧下の蒸着室で多数
個の基板を一括に化学蒸着することができるので封孔膜
形成処理が、一度に大量に処理できる。また、多数個の
基板を一度に大量処理しても、前記封孔膜は化学蒸着直
後でも固体になっているので、基板同士がくっついたり
することがないので、基板の取り扱いがやりやすいの
で、本発明のサーマルヘッドの製造方法によれば、生産
性の高いサーマルヘッドを提供できる。また、前記プラ
イマ処理により基板および保護層への密着強度が強い封
孔膜を形成できるので、マスク材料を剥がすときに、封
孔膜の境界部が一緒に剥がれるようなことはない。ま
た、本発明の製造方法で形成した封孔膜の膜厚は0.5
μm〜0.05μmと非常に薄いので、この封孔膜は透
明になり、電極あるいは発熱抵抗体のパターンがはっき
り認識できるので、製造の最終工程の、顕微鏡での外観
検査の判定が確実に短時間ででき、製造品質が向上し、
且つ生産性の良いサーマルヘッドを提供できる。
【0023】また、前記封孔膜はモノマーガスを減圧下
の蒸着室に導いて化学蒸着によりポリパラキシリレンか
らなる有機蒸着重合膜を生成して形成したので、前記封
孔膜の膜厚を0.5μm〜0.05μmに形成できて、
前記マスク材料Mを剥がすときに、封孔膜が確実にマス
ク材料Mの端部で剪断されるので、保護膜の端部上の封
孔膜が剥がれたりすることのない、製造品質が安定した
サーマルヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーマルヘッドが記録媒体に圧接され
た印字途中の要部断面図。
【図2】本発明のサーマルヘッドの構造を示す要部断面
図。
【図3】本発明のサーマルヘッドの製造工程を示す製造
フロー。
【図4】従来のサマールヘッドが記録媒体に圧接された
印字途中の要部断面図。
【図5】従来のサマールヘッドの構造を示す要部断面
図。
【符号の説明】
1 基板 2 保温層 2a 凸部 3 発熱抵抗体 4 電極 4a 共通電極 4b 個別電極 5 保護層 6 封孔膜 P ピンホール K 記録媒体 8 封孔膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−232762(JP,A) 特開 平4−107261(JP,A) 特開 平4−107262(JP,A) 特開 平6−299329(JP,A) 特開 平6−31962(JP,A) 特開 平5−57937(JP,A) 特開 昭59−169870(JP,A) 特開 昭60−183173(JP,A) 特開 平8−124952(JP,A) 特開 平3−41703(JP,A) 特開 平6−314440(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/335

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板の上面に形成された保温
    層と、該保温層の上面に形成された複数の発熱抵抗体
    と、該複数の発熱抵抗体に接続される個別電極および共
    通電極と、前記保温層、前記発熱抵抗体、前記個別電極
    および共通電極の上面を被覆する保護層と、該保護層の
    上面に形成されたポリパラキシレンからなる封孔膜とを
    備えたことをことを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 【請求項2】 基板の上面に保温層を形成する工程と、
    該保温層の上面に複数の発熱抵抗体を形成する工程と、
    該複数の発熱抵抗体に接続される個別電極および共通電
    極を形成する工程と、前記電極の外部接続端子をマスク
    材料でマスクする工程と、前記保温層、前記発熱抵抗
    体、前記個別電極および共通電極の上面を被覆する保護
    層を形成する工程と、該保護層の上面にプライマを処理
    する工程と、該プライマ処理された上面にポリパラキシ
    レンから成る封孔膜を、ジパラキシレン、あるいは、そ
    の誘導体を加熱気化させてダイマーガスを生成し、該ダ
    イマーガスを減圧下で高温加熱してモノマーガスを生成
    し、該モノマーガスを減圧下の蒸着室に導いて化学蒸着
    により形成する封孔膜形成工程と、前記電極の外部接続
    端子部をマスクしたマスク材料を除去する工程とを有す
    ることを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
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