JP3325173B2 - 鉄系焼結材料の改質方法 - Google Patents
鉄系焼結材料の改質方法Info
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Description
材料の改質方法に関し、詳しくは、炭素を含む鉄系材料
の成形体、仮焼結体または焼結体の表面の一部或いは表
面の全てに硼素を含む溶液(以下、表面改質剤と呼ぶ)
を浸透させ、焼結または再焼結することによって、浸透
した部分のみの硬さを低下させることにより、それ以外
の部分の材料特性を変化させることなく、加工性および
再圧縮性に優れた焼結材料を安価に製造できる鉄系焼結
材料の改質方法に関する。
材料の特徴の一つとして、例えば機械部品や自動車部品
として使用する場合、機械加工を著しく軽減できるとい
う利点がある。しかしながら、この種の鉄系焼結材料
は、多少とも機械加工をしなければならない場合には被
削性が悪いという欠点がある。
を向上させるために、硫黄を含有する鉄粉を使用した
り、硫化物を原料粉に混合添加したり、或いは硫化水素
ガス雰囲気で加熱し硫化処理する等の方法が行われてい
た。
改善の要求はますます強くなっており、被削性向上への
要求は強い。しかしながら、上記のごとき従来の方法で
は、このような近時の要求には応えられず、特に強度が
不足して衝撃値を低下させたり、材料を腐食させる等の
不具合があった。
に、パラフィンや樹脂などを気孔に充填するなどの方法
もあるが、このような方法ではその後の使用に際してパ
ラフィンや樹脂を抜き取る必要があるとともに樹脂によ
ってバイトの寿命が短くなるという不具合があった。
鑑みてなされたもので、その目的とするところは、機械
的強度の低下を招いたり材料を腐食させることなく被削
性を向上させることのできる鉄系焼結材料の改質方法を
提供することにある。
溶液またはアルコール溶液(以下、表面改質剤という)
を用い、炭素を含む成形体、仮焼結体または焼結体の表
面の一部或いは全面に表面改質剤を浸透させたのち、通
常の非酸化性ガス雰囲気で焼結を行い、浸透した部分の
結合炭素量が少ない金属組織の焼結材料を得るようにし
たものである。
被削性を著しく改善できる上に、加工の必要な部分のみ
の改質であるため、材料自体の機械的性質を変化せしめ
ることがなく、表面改質層の厚さおよび硬さが表面改質
剤の濃度、浸透時間および方法の調整により容易に制御
できる。また、表面改質剤が液状の安価なものであるた
め、取り扱いやすい。なお、成形体、焼結体を問わず、
所要な被削性が容易に付与できる。
体、仮焼結体または焼結体のいずれかの表面の一部或い
は表面の全てに、表面改質剤を浸透させる。次に、鉄へ
の浸炭が行われる温度と通常の非酸化性ガス雰囲気中で
加熱する。浸透された表面改質剤中の硼素が炭素より優
先的に鉄中に拡散することにより、炭素の鉄中への拡散
を阻止または抑制する。その結果、表面改質剤を浸透し
た表面の金属組織は、フェライト組織を多く含む組織と
なり、硬さが著しく低下するため、被削性が顕著に改善
される。
硼素のほか、硼素の酸化物、ハロゲン化物および水素化
物、或いは硼酸および硼酸化物、フッ化硼素系の化合物
などのいずれかがよいが、特に硼素の酸化物が効果的で
ある。表面改質剤の溶液濃度、浸透時間および方法の変
化により、所要の表面改質層の厚さおよび硬さを得るこ
とができる。溶媒としては、水或いはアルコールまたは
その混合溶液が用いられる。仮焼結体に対する表面改質
剤の浸透は、成形体の場合より容易である。成形体に適
用する場合、成形体に脂肪酸の潤滑剤が含まれているの
で、成形体を有機溶剤で脱脂したのち表面改質剤を塗布
または含浸することが望ましい。炭素がすでに鉄中に拡
散した焼結体の場合、表面改質剤中の硼素が鉄中に固溶
した炭素と置換または結合することにより、フェライト
組織を形成させる。
施したり、サイジングを施す必要がある自動車エンジン
のベアリングキャップ、シンクロナイザーハブ、汎用エ
ンジン用の各種のギヤ、OA機器部品、工作機械部品な
どに適用することにより、加工性および工具寿命を向上
させることができる。
例に基づいてさらに具体的に説明する。
ーで30分間混合したのち、混合粉を密度6.6g/cm3
に圧粉成形し、長さ32×幅12.5×高さ10mmの成
形体を作製した。また、仮焼結体は690℃、焼結体は
温度1130℃でそれぞれ還元性ガス雰囲気で焼結した
ものである。なお、表1中の配合量の単位は重量%であ
る。
(G)の7種類の硼素化合物の溶液を用いた。これらの
表面改質剤をそれぞれ上記の成形体、仮焼結体および焼
結体の表面に脱脂綿で3回塗布し、浸透させた。次に、
これらの表面改質剤で処理したものを1130℃の還元
性ガス雰囲気で加熱した。
層部の硬さおよび改質層の深さを示す。また、図1に表
面改質剤(A)で処理した材料の表層部から内部への硬
さの変化を示す。
の表面改質剤を用いても、材料表層部の金属組織はフェ
ライトが多く見られる組織となったため、表層部の硬さ
が内部に比べて著しく低下された。7種類の表面改質剤
の中、Cの拡散を抑制するのに最も効果的なのは表面改
質剤(A)で、つまり酸化硼素アルコール溶液を塗布し
たものであった。また、成形体および焼結体に比べて、
表面改質剤の仮焼結体への浸透が容易であるため、材料
の硬さが低いうえ、得られた改質層の厚さも最も大き
い。また、図2に示す被削性試験結果から、表面改質剤
の浸透を行った材料は、被削性に優れることが確認され
た。なお、本実施例で得られたフェライト組織の層は最
大1.8mm程度の厚さがある。
ノールに酸化硼素を5,10,15g 溶解した溶液を調
製し、表1に示す材料No.1の配合比で実施例1と同
様な方法で作製した成形体の表面に、脱脂綿で3回塗布
したもの、大気中で15分間浸漬したもの、および真空
中で含浸を行った各試料を作製した。
を実施例1と同様な焼結条件で加熱した。表4に表面改
質剤の溶質濃度および浸透方法による材料の硬さおよび
改質層(MHV200以下)の厚さの変化を示す。
においても、材料の硬さは表面改質剤の溶質濃度の増加
と共に低下している。つまり、改質層中のフェライト組
織の量は表面改質剤中の溶質濃度に依存し、溶質濃度が
高いほど、フェライト組織は多くなる。また、大気中浸
漬および真空含浸のいずれの場合においても、実施例1
での脱脂綿の塗布方法より厚いフェライト組織の改質層
が得られ、特に15g/100mlの表面改質剤で真空含
浸を行った場合、材料の表層部から3.8mmのところま
でMHV200以下のフェライトが多く見られる組織と
なった。
o.6の配合比で各原料をV型ミキサーで30分間混合
したのち、各混合粉をそれぞれ密度6.6,6.8,
7.0,7.2g /cm3 の圧粉体に成形し、成形体の表
面に実施例1と同様な方法で表面改質剤(A)の溶液を
浸透させた。次に、これらの表面改質剤で処理したもの
を実施例1と同様な焼結条件で加熱した。
よる表面改質層(MHV200以下)の厚さに及ぼす影
響を示す。いずれの材料においても、実施例1の結果と
同じように、表面改質剤を浸透した表層部はフェライト
の組織が多くなるものが得られた。また、いずれの材料
においても、成形密度の増加に伴い、表面改質剤の表面
への浸透性が低下するため、同様な浸透方法で得られた
フェライト組織の改質層の厚さが小さくなっている。
工程、すなわち、成形工程1、表面改質工程2、焼結工
程3、サイジングおよび加工工程4、浸炭熱処理工程5
に従って、まず原料粉を内径20×外径30×高さ10
mmの成形体を作製した。その成形体の外周面に実施例1
と同じ方法で表面改質剤(A)を浸透させたものと比較
として浸透させないものをそれぞれ10個作製し、温度
1250℃、還元性ガス雰囲気で焼結を行った。そし
て、この焼結体を金型中で圧力500MPaで再圧縮し
た。このときの外径の寸法バラツキのデータを表6に示
す。さらにこれらの材料をカーボンポテンシャル値0.
8%の雰囲気中で850℃で60分間加熱した後、60
℃の油に焼入れし大気中で180℃で焼戻した。この時
の外径の寸法バラツキ、圧環強度の結果を表7に示す。
表面改質剤の浸透により、焼結部品の表層部が軟らかく
なるため、サイジングによる寸法矯正がしやすくなり、
また表層部の組織の緻密化にも効果が得られる。最終工
程の浸炭処理によって、表層部に必要な機械的強度を付
与することができる。
焼結材料の改質方法は、炭素を含む鉄系材料の成形体お
よび焼結体の表面の一部或いは全面に表面改質剤を浸透
させて、焼結することによって、浸透した部分のみの硬
さを低下させて機械的性質と加工性に共に優れた焼結材
料を安価に製造することができる。
はなく、炭素を含む鉄系材料の表面にこの表面改質剤を
浸透し、或いはこれらの材料にこの表面改質剤を添加し
て、焼結することによって、各種の機械要素を安価に製
造できるという効果があり、焼結材料の用途を拡大する
ことができる。
材料の表層部から内部への硬さの変化を示すグラフ。
材料と処理しない材料の被削性試験結果を示すグラフ。
上のための各工程を示すブロック図。
Claims (2)
- 【請求項1】 硼素を含む溶液を粉末冶金法により製作
された炭素を含む鉄系材料の成形体、仮焼結体または焼
結体の表面に塗布或いは気孔に含浸させたのち、焼結ま
たは再焼結することを特徴とする鉄系焼結材料の改質方
法。 - 【請求項2】 上記硼素を含む溶液が、硼酸、硼酸化
物、硼素の酸化物、硼素のハロゲン化物、硼素の硫化
物、硼素の水素化物、フッ化硼素系の化合物のいずれか
を含む水溶液またはアルコール溶液であることを特徴と
する請求項1に記載の鉄系焼結材料の改質方法。
Priority Applications (5)
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JP32069895A JP3325173B2 (ja) | 1995-12-08 | 1995-12-08 | 鉄系焼結材料の改質方法 |
GB9625354A GB2307917B (en) | 1995-12-08 | 1996-12-05 | Manufacturing process of sintered iron alloy improved in machinability,mixed powder for manufacturing modification of iron alloy and iron alloy product |
DE19655210A DE19655210C2 (de) | 1995-12-08 | 1996-12-06 | Verfahren zur Modifizierung einer Eisenlegierung und eines Eisenlegierungsproduktes |
US08/760,884 US5819154A (en) | 1995-12-08 | 1996-12-06 | Manufacturing process of sintered iron alloy improved in machinability, mixed powder for manufacturing, modification of iron alloy and iron alloy product |
DE1996150769 DE19650769C2 (de) | 1995-12-08 | 1996-12-06 | Herstellungsverfahren von einer Sintereisenlegierung, die bezüglich der Verarbeitbarkeit verbessert ist, und ein Pulvergemisch für die Herstellung |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09157706A JPH09157706A (ja) | 1997-06-17 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100463746C (zh) * | 2005-03-16 | 2009-02-25 | 日立粉末冶金株式会社 | 铁系烧结构件及其制造方法、和烧结机械部件 |
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JP5862468B2 (ja) * | 2012-06-08 | 2016-02-16 | 株式会社デンソー | 焼結拡散接合部品の製造方法 |
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1995
- 1995-12-08 JP JP32069895A patent/JP3325173B2/ja not_active Expired - Fee Related
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