JP3324512B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置に関
し、特に画面に遠近感をもたせて表示文字などが浮かび
上がった状態に見えるようにした液晶表示装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、音響機器や携帯用ワードプロセッ
サなどのディスプレイとして、消費電力が少なく薄型で
軽量な液晶表示装置（ＬＣＤ：ｌｉｑｕｉｄ ｃｒｙｓ
ｔａｌ−ｄｉｓｐｌａｙ）が広く普及している。そのＬ
ＣＤは駆動方式により公知の如くセグメント電極駆動方
式とマトリクス電極駆動方式とに大別されるが、電気ア
ドレス方法の相違により前者はスタティック駆動とダイ
ナミック駆動に、後者はパッシブマトリクス（ＰＭ）駆
動とアクティブマトリクス（ＡＭ）駆動に分類される。
なかでも、ａ−Ｓｉ形やｐ−Ｓｉ形などの薄膜トランジ
スタを用いるＴＦＴ駆動ＡＭ−ＬＣＤはコントラストや
レスポンスなどの表示性能に優れるが、何れのＬＣＤで
も液晶自体は非発光であるため外部照射光を必要とす
る。

【０００３】なかには、ＭＩＮ（ｍｅｔａｌ−ｉｎｓｕ
ｌａｔｏｒ−ｍｅｔａｌ）駆動のＡＭ−ＬＣＤなどにみ
られるように、外部照射光として自然光を用いる反射形
の液晶パネルもあるが、車搭用ＬＣＤなどのように明る
さや画質が要求されるものは透過形が主流である。この
ため、ＬＣＤの多くは液晶パネルの裏側にバックライト
を備えている。

【０００４】そのバックライトには大別して反射板方式
（直下方式）、導光体方式（エッジライト方式）、及び
面状光源方式の３つがある。このうち、反射板方式は反
射板と拡散板で構成される光学筐体の中に蛍光ランプな
どの光源を収納し、その光源から放射した光を反射・拡
散させて面光源とするものである。また、導光体方式は
光源から放射される光をアクリルやポリカーボネイトな
どから成る導光板の側面から効率よく入射させ、その内
部で入射光を多重反射させて面光源にするものであり、
面状光源方式は冷陰極平板形蛍光ランプやＥＬ（エレク
トロルミネセンス）などの面状光源をそのまま使用する
ものである。

【０００５】図７は、導光体方式のバックライトを装着
したＬＣＤモジュールの断面概略図を示す。１は液晶パ
ネル、２はバックライトであり、それらを図示せぬベゼ
ルで結合することによりＬＣＤモジュールが構成され
る。このうち、バックライト２は、ランプで成る光源３
とアクリルなど光透過性の高い透明材料で成る導光板４
とをプラスチックの外枠５に収めてユニット化される。
特に、光源３は導光板４の側面に臨められ、導光板４に
はその入射光を多重反射させるべく両面に反射層６と拡
散層７が相対して形成される。

【０００６】また、図８は面状光源方式のバックライト
として、液晶パネル１の裏面側にＥＬや面発光ＬＥＤな
どから成る面状光源８を装着した例である。特に、この
ＬＣＤは２枚の液晶パネル１，１を重合したものであ
り、この構造によれば前後にある液晶パネル１，１の液
晶画素間の差により表示文字などを浮き上がった状態に
見せることができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液晶パ
ネルを２枚重ねにすることにはコスト高になり、しかも
バックライトとしてＥＬなどの面状発光体を用いるもの
では寿命、コスト、耐久性の点で問題が多く、その上ノ
イズも発生することから精度の高いシールド加工を施さ
ないと電気機器類の特性に悪影響を及ぼすことになる。

【０００８】この点、図７のような構成ではバックライ
トによるノイズやコスト面の問題は少ないが、液晶パネ
ルを２枚重ねにしたときのような視覚的効果はなく、文
字などの表示状態が平面的で単調であった。

【０００９】そこで、本発明は低廉でノイズの少ない導
光体方式のバックライトにして、液晶パネル上の表示文
字などが浮かび上がった状態にみえる視覚的効果を得ら
れるようにすることを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は上述の目的を達
成するため、液晶パネル１１の裏面側にバックライト１
２を設けた液晶表示装置であって、前記バックライト１
２が液晶パネル１１の裏面に対向する前部層１６Ａと該
前部層の裏面に対向する後部層１６Ｂとに分けられた導
光板１６、及びその導光板１６の側面に臨む光源１７を
有し、前記導光板の前部層１６Ａと後部層１６Ｂの間に
前記光源１７より入射した光を拡散する光拡散層２０が
介在されるとともに、前記後部層１６Ｂの裏面側には前
記光源１７より入射した光を反射する反射層１８が設け
られ、更に前記導光板１６の部位に前記液晶パネル１１
における所定の表示部１４に対応して前記光源１７より
入射した光を液晶パネル１１側に反射する凹状の集光パ
ターン２２Ａ，２２Ｂが形成されて成る液晶表示装置を
提供するものである。

【００１１】特に、請求項２に係る発明では、前記した
凹状の集光パターン２２Ａ，２２Ｂが、前部層１６Ａの
裏面に形成されている液晶表示装置を提供するものであ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の適用例を図面に基
づいて詳細に説明する。図１は本発明に係る液晶表示装
置の一例を示した平面図であり、図２には図１における
Ｘ−Ｘ線断面を示す。これらの図において、１１は液晶
パネル、１２はその裏面側に設けられるバックライトで
あり、それらは一体のＬＣＤモジュールとして例えば図
示せぬ音響機器における操作パネルの開口部に装着され
る。

【００１３】ここで、液晶パネル１１はバックライト系
を必要とする透過形であり、その画面上には図１に示す
ように例えば２つの表示部１３，１４が設けられる。こ
のうち、一方の表示部１３には図示する如く時刻がデジ
タル表示されるほか、音響機器における図示せぬ操作パ
ネルの操作を以てラジオの周波数表示などにも切り替え
られる。また、他方の表示部１４は一方の表示部１３に
関連して、例えば図示する如く時刻をアナログ的に表示
したり、ラジオその他の音量などをアナログ表示できる
ようにしてある。なお、液晶パネル１１の構造形態とし
ては、ＴＮ形、ＩＰＳ形、ＧＨ形、ＥＣＢ形、ＳＴＮ
形、ＰＣ形、高分子分散形、強誘電性形など各種を利用
できる（Ｎ：ネマティック液晶、Ｓ：スメクティック液
晶）。

【００１４】一方、バックライト１２は、凹字形の断面
をもつプラスチック製の外枠１５、この外枠の中に収容
される導光板１６、及びその導光板の側面に臨められる
小型電球その他の光源１７などから構成される。このう
ち、外枠１５は光透過性のない白色材料で成り、特にそ
の底部は導光板１６の側面より入射した光を液晶パネル
１１側に向けて反射する反射層１８として形成される。
また、導光板１６はアクリルやポリカーボネイトなど光
透過率が８０〜９５％の透明材料で成り、その一端側に
は光源１７を配置する切欠部１９が形成される。特に、
この導光板１６は光拡散層２０を介して重合する前部層
１６Ａと後部層１６Ｂとに分けられ、その後部層１６Ｂ
を反射層１８としての外枠１５の底部上におき、前部層
１６Ａ側には液晶パネル１１を装置して該液晶パネルを
外枠１５に形成したフック２１で固定している。

【００１５】つまり、バックライト１２は液晶パネル１
１側から順に、その裏面に対向する導光板の前部層１６
Ａ、光拡散層２０、この光拡散層を介して前部層の裏面
に対向する導光板の後部層１６Ｂ、及びこの後部層の裏
面に対向する反射層１８とを有し、光源１７から導光板
１６に入射した光を反射層１８で反射しつつ、光拡散層
２０で拡散、透過して液晶パネル１１の全面を照明でき
る。なお、光拡散層２０は乳白色の半透明なプラスチッ
クフィルムにして導光板１６とは別に形成されるが、こ
れを前部層１６Ａと後部層１６Ｂとの間でその何れか一
方の面にブラスト加工を施すなどして一体に形成するこ
ともできる。また、反射層１８も外枠１５とは別のプラ
スチックフィルムなどから成る反射シートにして、これ
を後部層１６Ｂの裏面に貼付するか、もしくはその裏面
に白色顔料を塗工するなどして一体に形成することもで
きる。

【００１６】ここで、導光板１６には光屈折率の相違に
よる高輝度部が形成される。図１において、２２Ａ，２
２Ｂがその高輝度部としての凹状の集光パターンであ
り、それら集光パターン２２Ａ，２２Ｂは液晶パネル１
１の表示部１４（図１における時計の針）に対応して、
導光板１６の部位に形成される。また、２３は光源を実
装した基板であり、この基板２３は外枠１５の一端部に
固定されている。そして、その基板２３に実装された光
源１７はその中心が導光板の前部層１６Ａと後部層１６
Ｂとの境界にあって両層の各側面を臨み、その放射光が
前部層１６Ａと後部層１６Ｂとに入射するようにしてあ
る。従って、導光板１６に入射した光は反射層１８と光
拡散層２０とで多重反射され、その前方に設けられる液
晶パネル１１を照射し、これにより液晶パネル１１の表
示部１３，１４の表示文字や図形を明確にできる。特
に、導光板１６への入射光はバックライト１２の部位に
施される後述の印刷パターンを照射し、また集光パター
ン２２Ａ，２２Ｂの位置で反射されることにより該集光
パターンの輝度を上げる。その結果、印刷パターンや集
光パターン２２Ａ，２２Ｂの存在が明瞭化されて液晶パ
ネル１１との間に遠近感が生じ、立体感のある画面にし
て液晶パネル１１上に表示文字などが浮かび上がった状
態に見える視覚的効果を得る。

【００１７】ここで、図３に導光板の部分断面図を示
す。この図で明らかなように、集光パターン２２Ａ，２
２Ｂは凹状にして例えば導光板における前部層１６Ａの
裏面に形成される。それら集光パターン２２Ａ，２２Ｂ
は切削などにて前部層１６Ａの厚さ方向に形成されるも
ので、前部層１６Ａの厚さに対して１０〜３０％、例え
ば０．３〜１．５ｍｍの深さを有し、光源１７から前部
層１６Ａに入射した光をその板厚方向に反射して液晶パ
ネル１１側に偏向させることができる。このうち、一方
の集光パターン２２Ａは前部層１６Ａの裏面を円形に刻
設したもので液晶パネル１１における表示部１４の境界
を示し、例えば図１のように時計の外郭を意味してい
る。また、他方の集光パターン２２Ｂは集光パターン２
２Ａの内周に沿って前部層１６Ａの裏面を点状に刻設し
たものであり、例えば図１のように時計の各ポイントを
意味している。

【００１８】次に、図４に前部層の平面図を示す。この
図で明らかなにするように、導光板の前部層１６Ａには
上述のような集光パターン２２Ａ，２２Ｂのほか、シル
ク印刷などにより二種類の印刷パターン２３Ａ，２３Ｂ
が施される。このうち、一方の印刷パターン２３Ａは液
晶パネルの表示部１４に対応するものであり、集光パタ
ーン２２Ｂの内側で前部層１６Ａの前面、すなわち液晶
パネル１１側に施される。また、他方の印刷パターン２
３Ｂは網目状にして前部層１６Ａの裏面側に全面的に施
される。

【００１９】そして、それら集光パターン２２Ａ，２２
Ｂや印刷パターン２３Ａ，２３Ｂによれば、液晶パネル
１１における表示部１３，１４との前後差により、上述
の如く画面に遠近感をもたせ、且つ美観を向上させるこ
ともできる。ここで、図５に導光板の前部層１６Ａを部
分的に拡大して示す。この図に示すように、集光パター
ン２２Ａは例えば半円状の断面をもつ溝であり、その凹
面はエッチング加工やブラスト加工などにより粗面状と
してある。また、集光パターン２２Ｂは例えば円錐形の
穴であり、その凹面は鏡面状に加工されている。斯く
て、光源１７から導光板の前部層１６Ａに入射した光
は、集光パターン２２Ａ，２２Ｂの位置で液晶パネル１
１側に反射されて当該部分が導光板１６の他の部位より
明るく光って鮮明度が増すことになる。一方、印刷パタ
ーン２３Ｂは後部層１６Ｂ側から照射されるほか、前部
層１６Ａに入射した光でも照射されるため、液晶パネル
１１側から見て艶やかであり、その色調がそのまま表れ
る。

【００２０】なお、印刷パターン２３Ｂを前部層１６Ａ
に形成するのでなく、例えば透明なプラスチックフィル
ムに印刷して、前部層１６Ａと光拡散層２０との間に介
在させたり、あるいは光拡散層２０に印刷したりするこ
ともできる。但し、その加工に用いる塗料は黒色系以外
の例えば緑色や赤色のものが好ましい。勿論、黒色の塗
料でも構わないが、液晶パネル１１に表示される文字は
黒色系が多く、その文字と同系色の印刷パターン２３Ｂ
では文字が読み取り難くなる畏れがある。

【００２１】また、これに関連し、後部層１６Ｂだけに
光源１７の光が入射するようにすると、印刷パターン２
３Ｂが緑や赤の塗料で形成されていたとしても黒ずんで
見えるから、上述のように前部層１６Ａにもその側面か
ら光源１７の光を入射させて印刷パターン２３Ｂを照射
することが望ましい。

【００２２】更に、印刷パターン２３Ｂとして、遠近感
や立体感を強調する意味で図４のように放射状に延びる
直線を用いることが好ましく、これにより液晶パネル１
１の表示文字が印刷パターン２３Ｂとの対比で浮き上が
った状態に見える視覚的効果をより強調することができ
る。なお、これを曲線や複数の点にすることもできる
が、何れの場合でも印刷パターン２３Ｂを導光板１６の
全面に施したのでは液晶パネル１１への到達光量が減っ
てバックライトの機能を損なうので、印刷パターン２３
Ｂは導光板１６上に光の可透域を８０〜９９％残して形
成することが好ましい。

【００２３】ここで、図６に導光板の後部層を示す。な
お、図６において、（Ａ）は後部層１６Ｂの前面、
（Ｂ）は裏面を示す。先ず、図６（Ａ）において、後部
層１６Ｂの前面すなわち前部層１６Ａ側の面はエッチン
グ加工やブラスト加工などにより梨地（粗面状）とされ
ている。また、図６（Ｂ）において、後部層１６Ｂの裏
面すなわち反射層１８側の面もエッチング加工やブラス
ト加工により梨地とされるが、その粗さは前面より緻密
で高い光拡散性をもつ。そして、この後部層１６Ｂによ
れば反射層１８と光拡散層２０による光の多重反射を助
長し、前部層１６Ａの裏面を均等に照射することができ
る。

【００２４】以上、本発明の好適な一例を図面に基づい
て説明したが、本発明に係る液晶表示装置は音響機器用
ディスプレイに限らず、携帯用ＴＶ、ワードプロセッ
サ、その他のディスプレイとして用いることもできる。
また、光源１７として小型電球などの点光源に限らず、
大画面用には導光板１６の側面に沿って蛍光ランプを設
けることができる。

【００２５】更に、集光パターン２２Ａ，２２Ｂは上記
例のように光拡散層２０より液晶パネル１１側の前部層
１６Ａに形成することが好ましく、特に液晶パネル１１
の液晶画素部より離れた裏面に形成するのが最適である
が、これをその前面、あるいは後部層の前後面などに形
成してもよい。また、集光パターンを液晶パネル１１の
表示部１４のほか、表示部１３に対応させて形成したり
することもできる。

【００２６】特に、集光パターン２２Ａ，２２Ｂを前部
層１６Ａなど導光板１６の部位を凹状に加工して形成す
るだけでなく、その凹面に感光剤や蛍光塗料を塗布する
こともよく、更に集光パターン２２Ａ，２２Ｂとして形
成した凹状部に導光板１６と光屈折率が異なる別の材料
を充填してもよい。例えば導光板１６の素材を屈折率が
約１．５９のポリスチレンとして、充填剤にはそれより
屈折率が低いアクリルなどが用いられる。

【００２７】また、導光板１６は光拡散層２０を介して
重合する前部層１６Ａと後部層１６Ｂとに分けることが
好ましいが、これを単層にしてもよい。なお、前部層１
６Ａや後部層１６Ｂを更に細分化して各々多層状にした
ものも本発明の適用範囲であること勿論である。

【００２８】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よればＥＬなどの面状光源を用いない導光体方式のバッ
クライトにしているからノイズやコスト面の問題が少な
く、その種のバックライトにして導光板の部位に光源に
よる入射光を反射して光る集光パターンを形成している
ため、その集光パターンの光彩により美的効果が得られ
る上、その集光パターンが液晶パネルの裏面側にて明示
されることから、ＬＣＤ画面に遠近感、立体感が生じ、
液晶パネル上に表示される文字などが集光パターンとの
対比で浮き上がった状態に見えるようになるという視覚
的効果を得る。

【００２９】また、導光板を前部層と後部層とに分け、
後部層の前後両側に光拡散層と反射層を相対して形成し
ていることから前部層の裏面を均等に照射できる上、そ
の前部層の裏面の部位に凹状の集光パターンを形成して
いることから、その集光パターンから放たれる光彩が光
拡散層で拡散されず液晶パネル側からはっきりと確認で
きる。

【００３０】更に、集光パターンを液晶パネルの所定の
表示部に対応させて形成していることから、その表示が
引き立ち美的であり視認性や遠近感も増すという効果が
得られる。しかも、集光パターンが導光板の前部層の裏
面などを成形や切削するなどして凹状に加工されるもの
であるため低コストにできる上、様々な集光パターンを
もつ導光板を取り揃えて同一の液晶パネルに多くのバリ
エーションをもたせることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る液晶表示装置を示した平面図

【図２】図１におけるＸ−Ｘ線断面図

【図３】同装置におけるバックライトの導光板を部分的
に破断して示した断面図

【図４】導光板の前部層を示した平面図

【図５】前部層を部分的に破断して示した拡大断面図

【図６】導光板の後部層を示した平面図（Ａ）および底
面図（Ｂ）

【図７】従来の液晶表示装置を示した断面概略図

【図８】従来の液晶表示装置を示した断面概略図

【符号の説明】

１１ 液晶パネル １２ バックライト １３，１４ 表示部 １５ 外枠 １６ 導光板 １６Ａ 前部層 １６Ｂ 後部層 １７ 光源 １８ 反射層 ２０ 光拡散層 ２２Ａ，２２Ｂ 集光パターン

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G02F 1/13357

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液晶パネルの裏面側にバックライトを設
   けた液晶表示装置であって、前記バックライトが液晶パ
   ネルの裏面に対向する前部層と該前部層の裏面に対向す
   る後部層とに分けられた導光板、及びその導光板の側面
   に臨む光源を有し、前記導光板の前部層と後部層の間に
   前記光源より入射した光を拡散する光拡散層が介在され
   るとともに、前記後部層の裏面側には前記光源より入射
   した光を反射する反射層が設けられ、更に前記導光板の
   部位に前記液晶パネルにおける所定の表示部に対応して
   前記光源より入射した光を液晶パネル側に反射する凹状
   の集光パターンが形成されて成る液晶表示装置。
2. 【請求項２】 凹状の集光パターンが、前部層の裏面に
   形成されている請求項１記載の液晶表示装置。