JP3323106B2 - 半導体電力変換装置 - Google Patents

半導体電力変換装置

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JP3323106B2
JP3323106B2 JP15819197A JP15819197A JP3323106B2 JP 3323106 B2 JP3323106 B2 JP 3323106B2 JP 15819197 A JP15819197 A JP 15819197A JP 15819197 A JP15819197 A JP 15819197A JP 3323106 B2 JP3323106 B2 JP 3323106B2
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    • H02MAPPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
    • H02M7/00Conversion of ac power input into dc power output; Conversion of dc power input into ac power output
    • H02M7/42Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal
    • H02M7/44Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal by static converters
    • H02M7/48Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode
    • H02M7/493Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode the static converters being arranged for operation in parallel

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  • Power Engineering (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はIGBT・IGCT
等の多数の自己消弧形半導体スイッチ素子を組み込み、
直流・多相交流間の一方から他方へ電力を変換する半導
体電力変換装置に関する。特にその自己消弧形半導体ス
イッチ素子を多並列に接続するタイプの大容量化方式に
係る。
【0002】
【従来の技術】図10はIGBTを自己消弧形半導体ス
イッチ素子10とする従来のPWM制御形の電力変換装
置である。1は2レベル3相形の変換主回路、2は直流
電源である。9U・9V・9WはU・V・W相の主回
路、11は直流電源2に直結した1個の大容量平滑コン
デンサである。各相主回路9U・9V・9Wは多並列形
たとえば2並列形の素子構成である。ちなみに、U相主
回路は2並列接続された正側のIGBT10UP1・1
0UP2および2並列接続された負側のIGBT10U
N1・10UN2を含む。V相主回路9V・W相主回路
9Wの構成も同様である。IGBT10単体の電流容量
は1000Aクラスが現況最大であり、電力変換装置の
さらなる大容量化のためには、図10のようにそれを多
並列に接続する必要がある。しかし、多並列を組むIG
BT10相互のオン電圧・ゲート感度電圧にバラツキが
あり、ターンオン・ターンオフ特性等がアンバランスと
なる。このため各IGBT10の電流バランス(ターン
オン・ターンオフ過渡時の電流バランスおよびオン状態
時の電流バランス)が崩れ、特定IGBT10に均等負
担の限度を越えた過大電流が流れ、ひどい場合は破壊す
る。
【0003】その難点を改善する次の(1)(2)
(3)の方策が知られている。(1)多数のIGBTの
中からほぼ同等特性の各IGBT10を選別して使用す
る。(2)「安川電機技報」第51巻(1995年No
4)第285〜286頁目に記載されているように、I
GBT多並列を行わない各変換器を、リアクトルを介し
て多並列に接続し、各変換器電流がバランスするように
各変換器のPWMゲート信号を個別に制御する。(3)
特開平5−83954号公報に記載されているように、
3並列の自己消弧形半導体スイッチ素子と3並列の平滑
コンデンサとを併置し、各自己消弧形半導体スイッチ素
子をすぐそばの平滑コンデンサに対して配線する。上記
(1)の選別方式の場合は、IGBTを選別をしてもオ
ン電圧で0.3V(約10%)程度であり、ゲート感度
電圧で0.3V(約5%)程度であり、その両者をうま
く揃えることは非常に困難である。このため、各IGB
Tの電流容量を有効に活用した経済的な多並列形大容量
装置の実現は困難である。上記(2)の変換器多重接続
方式の場合は、変換器レベルで多重化するための前記リ
アクトルの負担が重い。また、各変換器相互の電流バラ
ンスを制御し、かつ各変換器単独でも動作する特性を付
与する必要があるため、制御回路上の負担が重い。上記
(3)の多並列コンデンサ方式の場合は、各自己消弧形
半導体スイッチ素子・平滑コンデンサ間の配線が均等に
なり、また該配線に付随する配線浮遊インピーダンスを
小さくできるという利点があるが、各平滑コンデンサが
直に並列に接続され、各平滑コンデンサの充電電圧が連
動する仕組みであるために、各自己消弧形半導体スイッ
チ素子相互の電流バランスを確保し難い。尚、他の従来
例として特開平4−125072号がある。これは、多
並列素子方式を扱っておらず、特に関連はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】大容量の自己消弧形半
導体スイッチ素子の多並列化においては、素子特性上の
バラツキによる各素子電流のアンバランスを考慮し、素
子容量をかなり割り引いた損な低レベルで利用しなけれ
ばならない。その難点を緩和する努力もなされている
が、前記のごとくなお不十分であり、さらなる改良工夫
が望まれる。本発明の目的は自己消弧形半導体スイッチ
素子の電流容量を有効に利用した素子多並列化を、軽い
経済的負担で実現することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、直列に接続し
た正側および負側の各自己消弧形半導体スイッチ素子を
含む多数の変換モジュールを備え、前記各変換モジュー
ルの両端を直流端子に配線し、前記各変換モジュールの
接続中点を各相の交流端子に配線し、直流・多相交流間
の一方から他方へ電力を変換する半導体電力変換装置を
前提とする。3レベル形の変換装置である場合の正側自
己消弧形半導体スイッチ素子および負側自己消弧形半導
体スイッチ素子はそれぞれ複数となる。
【0006】本発明においては、1並列もしくは多並列
の変換モジュールの両端に平滑コンデンサを接続したユ
ニットを基本ユニットとする。基本ユニット中の変換モ
ジュールの個数は1並列の場合は1であり、多並列の場
合は2以上である。以上のような基本ユニットを各相毎
に多並列接続する。この場合の多並列は1並列を含ま
ず、2並列を含む。どの相も少なくとも2並列の基本ユ
ニットを含む。多相交流が3相であり、その各相が2並
列の基本ユニットを持ち、各基本ユニットが2並列の変
換モジュールを持つのであれば、変換モジュールの総数
は3×2×2=12の12個となる。基本ユニットの総
数は3×2の6個となる。平滑コンデンサの総数(3レ
ベル形変換装置の場合は直列一対の平滑コンデンサ回路
の回路数)も基本ユニットと同数の6個となる。
【0007】本発明においては、各基本ユニットの配線
態様を次のように定める。すなわち、各基本ユニットと
直流端子との間に該基本ユニットに固有の大きな配線浮
遊インピーダンスが介在し、該基本ユニット内の平滑コ
ンデンサと変換モジュールとの間に小さな配線浮遊イン
ピーダンスが介在するように定める。配線に付随する配
線浮遊インピーダンスの大きさは配線の長さに比例す
る。本発明における各基本ユニット・直流端子間の配線
は長く、基本ユニット内の平滑コンデンサ・変換モジュ
ール間の配線は短い。各平滑コンデンサの接続位置に注
目すると、それを直流端子側寄りの位置には接続するの
ではなく、変換モジュール側寄りの位置に接続する。各
基本ユニットはそこから直流端子に向かって延びる固有
の配線を持ち、それに付随する固有の配線浮遊インピー
ダンスを持つ。その配線浮遊インピーダンスは隣の基本
ユニットと共用のものであってはならない。
【0008】ある基本ユニットに属する平滑コンデンサ
と、該基本ユニットと多並列を組む別の基本ユニットに
属する平滑コンデンサとの関係について考える。この一
対の平滑コンデンサは動作上は同類のものである。しか
し、配線上は疎遠な関係となる。両平滑コンデンサ間に
は各基本ユニットに固有な大きな配線浮遊インピーダン
スが介在する。一方の平滑コンデンサの充電電圧に変動
があっても、他方の平滑コンデンサの充電電圧はそれに
追随しない。これは両平滑コンデンサ間の電荷融通を制
限する仕組みであって、多並列を組む各基本ユニット相
互間の電流バランスの確保に寄与する。直流端子から交
流端子に至るすべての配線に配線浮遊インピーダンスが
付随する。変換モジュールはその配線の途中に介在す
る。そしてこの変換モジュールの近くに平滑コンデンサ
が配置され、その両者で基本ユニットを構成する。本発
明における配線浮遊インピーダンスの配分は次のような
ものである。直流端子と平滑コンデンサないしは基本ユ
ニットとの間の配線浮遊インピーダンスは大きく、基本
ユニット内の平滑コンデンサ・変換モジュール間の配線
浮遊インピーダンスは小さく、変換モジュールと交流端
子との間の配線浮遊インピーダンスは大きい。これらの
各配線浮遊インピーダンスはそこに形成される基本ユニ
ットに固有のものである。各基本ユニットは交流端子に
至るに固有の配線を持ち、それに付随する固有の配線浮
遊インピーダンスを持つ。その配線浮遊インピーダンス
は他の基本ユニットのそれと共用のものであってはなら
ない。各基本ユニットに固有の交流端子側に形成される
配線浮遊インピーダンスは、特にターンオフ時における
基本ユニット相互間の電流バランスの確保に寄与する。
【0009】各自己消弧形半導体スイッチ素子はたとえ
ばPWM制御されるが、そのためのゲート信号発生部と
自己消弧形半導体スイッチ素子との間に挿入されるゲー
ト抵抗は自己消弧形半導体スイッチ素子寄りの位置に配
置する。これはゲート抵抗を基本ユニット内に置いてノ
イズの影響を受け難くするためである。また、各基本ユ
ニット内において各自己消弧形半導体スイッチ素子が多
並列接続される場合は、その各自己消弧形半導体スイッ
チ素子相互のゲート端子間にゲート抵抗よりも抵抗値の
小さなゲート感度補正抵抗を接続する。これにより、ス
イッチング過渡時の電流アンバランスを補正する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図1〜4を使
って説明する。図1は本発明に係る半導体電力変換装置
のブロック図である。図中の1は自己消弧形半導体スイ
ッチ素子としてIGBTを使った2レベル形の3相の変
換主回路、2は直流電源、3は三相交流負荷となる三相
誘導電動機である。2PT・2NTは直流端子、3UT
・3VT・3WTは各相の交流端子である。4はPWM
ベクトル演算制御部、5は速度検出器、6は電流検出器
である。7U・7V・7WはU相・V相・W相の各主回
路であり、これら全体で変換主回路1を構成する。図1
における主回路7U・7V・7Wの図形はシンボル化さ
れたものであり、その内部の具体的回路構成は後に例示
する図3のようなものである。101はPWMゲート信
号発生部、102は三相交流電流制御およびd軸・q軸
電流制御演算部、103は磁束制御および速度制御演算
部、104はすべり周波数演算部、105は一次周波数
演算部、106は速度制御指令部である。
【0011】図2(a)〜(c)は図1の2レベル形3
相の電力変換主回路1のスイッチング動作ないしはイン
バータ動作等示す動作概念図である。図2(a)に示す
ように、IGBTのオンオフデユテイを正弦波で適宜に
変調すると、直流から多相交流への電力変換がなされ、
可変電圧・可変周波数の交流出力が得られる。IGBT
を主体とする主回路7U・7V・7Wの基本動作は、図
2(b)のような回路切替えであり、それに応じて直流
電源電圧Eについての+E/2または−E/2の2レベ
ルの電圧が出力する。出力電圧(eu)は図2(c)の
ようなPWM波形となるが、そこに正弦波状の基本波成
分を含む。
【0012】図1に戻り、PWMベクトル演算制御部4
について説明する。演算部103は励磁電流指令となる
d軸電流指令値Id*を演算(磁束制御演算)し、かつ
トルク電流指令となるq軸電流指令値Iq*を演算(速
度制御演算)する。これらの演算は速度検出値ωrと速
度制御指令値ωr*とが等しくなるようになされる。演
算部102は電流検出器6からの電流検出値を参照し
て、d軸およびq軸の電流が指令値Id*およびIq*
と等しくなり、かつ3相交流電流が正弦波となるような
正弦波変調指令を演算し、それをPWMゲート信号発生
器101に与える。演算部104は前記指令値Id*お
よびIq*を参照してすべりfを演算する。演算部10
5は速度検出値ωrとすべリfを加算して一次周波数指
令値ω1*を求める。演算部102はこの一次周波数指
令値ω1*を対応する3相交流変換のベクトル演算に使
用する。信号発生部101は演算部102からの正弦波
変調指令信号に従ったパルス幅変調(PWM)用のゲー
トパルスを発生する。
【0013】図3は図1におけるU相主回路7Uの実施
形態を示す。他のV相主回路7V、W相主回路7Wの構
成もU相主回路7Uと同様であるため、ここではU相主
回路7Uを例にとり、詳しく説明する。本明細書におけ
る上位の部品符号たとえば10は10に添字を付加した
各部品符号10UP1・10UN2等の総称である。添
字のUはU相を意味し、PあるいはNは極性を意味し、
1または2等は部品番号を意味する。中位の部品符号た
とえば10UPは10UP1・10UP2等の総称であ
る。自己消弧形半導体スイッチ素子10の主体はIGB
Tである。自己消弧形半導体スイッチ素子10は逆並列
に接続されるフリーホイールダイオードを包含する逆導
通特性のスイッチ素子である。U相主回路7Uは都合4
個のスイッチ素子10U(10UP1・10UN1・1
0UP2・10UN2)を含む。各スイッチ素子10U
は直列に接続された正側スイッチ10UPおよび負側ス
イッチ素子10UNを含む変換モジュールを形成する。
変換モジュール(10UP・10UN)における正側ス
イッチ素子10UPは直流電源2の正側直流端子2PT
に対応し、負側スイッチ素子10UNは負側直流端子2
NTに対応し、それらの接続中点(10UP・10UN
間)はU相の交流端子3UTに対応する。交流端子3U
Tは正側スイッチ素子10UPがオンの場合は正極性と
なり、負側スイッチ素子10UNがオンの場合は負極性
となり、交互に極性を変える。
【0014】図3に示すように、1並列の変換モジュー
ル(10UP1・10UN1)の両端に平滑用コンデン
サ11U1を接続したユニットを作り、それを基本ユニ
ット7U1とする。同様に、1並列の別の変換モジュー
ル(10UP2・10UN2)の両端に別の平滑用コン
デンサ11U2を接続したユニットを作り、それを別の
基本ユニット7U2とする。基本ユニット7U1と基本
ユニット7U2とを並列に接続し、U相主回路7Uとす
る。本明細書における1並列の用語は並列要素が1個で
あることを意味する。ちなみに4並列・3並列・2並列
の順列のその次にくるのが1並列である。
【0015】図3では1並列の変換モジュール(10U
P・10UN)の両端に平滑コンデンサ11Uを接続し
たユニットを基本ユニットとする。その代わりに、多並
列の変換モジュールの両端に平滑コンデンサを接続した
ユニットを基本ユニットとしてもよい。この点について
は図5を用いて改めて説明する。本明細書における多並
列の用語は1並列を含まず、2並列を含む。図3では基
本ユニットを2並列(7U1・7U2)に接続し、U相
主回路7Uを構成する。この点は例示的であり、要は基
本ユニットを多並列に接続する形態のU相主回路7Uで
あればよい。以上の説明から分かるように、本発明にお
いては1並列・多並列のいずれかの変換モジュールの両
端に平滑コンデンサを接続したユニットを基本ユニット
とし、基本ユニットを各相毎に多並列に接続する。
【0016】図3におけるU相主回路7Uに属する平滑
コンデンサ11U1・11U2の数等について説明す
る。平滑コンデンサ11U1・11U2の数は基本ユニ
ット7U1・7U2の数に等しく、図3のそれは2個で
ある。3相の各相分を通算すると、2×3=6の6個と
なる。平滑コンデンサ11は直流電源2にまとめて1個
接続(直結)するのではなく、変換主回路1における各
基本ユニット単位に等分に分散して配置する。その一つ
一つの平滑コンデンサ11U1・11U2等は相対的に
低容量(図3のそれはまとめて1個の場合の平滑コンデ
ンサの容量に比して、たとえば1/6倍の容量)であっ
て、その充電電圧は変化し易く、またたとえば平滑コン
デンサ11U1電圧は高く11U2電圧は低い(その逆
もある)というような個別の変化を生じ得る。なお、直
流電源2に直結される適当容量の図外の平滑コンデンサ
を残しておき、残りの分の容量を6分割し、それらを基
本ユニット7U1・7U2等に付属する平滑コンデンサ
11U1・11U2等としても良い。
【0017】図3における12UP・12UNはPWM
ゲート信号発生部101(101UPはU相正側スイッ
チ10UP用ゲート信号発生部、101UNはU相負側
スイッチ10UN用ゲート信号発生部)からのゲート信
号に応答して各スイッチ10UP・10UNのゲート電
流を決めるゲート抵抗であり、ノイズの影響を防止する
ために該当基本ユニット7U1・7U2内の各スイッチ
10UP・10UN側寄りにに配置する。
【0018】図3における各基本ユニット7U1・7U
2の配線態様について説明する。直流端子2PT・2N
Tから交流端子3UTに至るすべての配線に配線の長さ
に比例する配線浮遊インピーダンスが付随する。各変換
モジュール(10UP・10UN)はそうした配線の途
中に介在する。各変換モジュール(10UP・10U
N)の近くにそれぞれの平滑コンデンサ11Uが配置さ
れ、その両者でそれぞれの基本ユニット7U1・7U2
を構成する。本発明における配線浮遊インピーダンスの
配分は次のようなものである。直流端子2PT・2NT
と平滑コンデンサ11Uないしは基本ユニット7U1・
7U2との間の配線浮遊インピーダンス13Uは大き
く、基本ユニット7U1・7U2内の平滑コンデンサ1
1U・変換モジュール(10UP・10UN)間の配線
浮遊インピーダンス14Uは小さく、変換モジュール
(10UP・10UN)と交流端子3UTとの間の配線
浮遊インピーダンス15Uは大きい。
【0019】これらの各配線浮遊インピーダンス13U
・14U・15Uはそこに形成される基本ユニット7U
1・7U2に固有のものである。各基本ユニット7U1
・7U2は直流端子2PT・2NTおよび交流端子3U
Tに至るに固有の配線を持ち、それに付随する固有の配
線浮遊インピーダンス13U・14U・15Uを持つ。
それらの配線浮遊インピーダンス13U・14U・15
Uは他の基本ユニットのそれと共用のものであってはな
らない。ちなみに、配線浮遊インピーダンス13UP1
は基本ユニット7U1に固有のものであり、別の基本ユ
ニット7U2の配線浮遊インピーダンスとしては作用し
ない。配線浮遊インピーダンス13Uの出力端を平滑コ
ンデンサ11U・スイッチ素子10Uのいずれに接続し
ても構わないが、図3では前者の平滑コンデンサ11U
側に接続する。その方がスイッチ素子10Uのターンオ
フ時に、配線浮遊インピーダンス13Uに蓄積されてい
る電磁エネルギを平滑コンデンサ11Uへ吸収するとい
う動作がよりスムーズに進行し、スイッチ素子10Uの
電流遮断能力上の負担が軽くなるためである。
【0020】以上の各配線浮遊インピーダンス13U・
14U・15U相互間の等号関係および不等号関係は次
のようなものとなる。 13UP1≒13UP2 13UN1≒13UN2 13UP1≒13UN1 13UP2≒13UN2 14UP1≒14UP2 14UN1≒14UN2 14UP1≒14UN1 14UP2≒14UN2 15U1 ≒ 15U2 13UP1>14UP1 13UP2>14UP2 13UN1>14UN1 13UN2>14UN2 15U1 >14UP1 15U1 >14UN1 15U2 >14UP2 15U2 >14UN2 以上の各配線浮遊インピーダンスは、自配線の自己イン
ダクタンスおよび他配線との関係で現れる相互インダク
タンスを含む。また13Uは2mH程度、14Uは50
〜100nH程度、15Uは??mH程度である。これ
らの数値はそのインダクタンス成分のみを表す実用上の
例示である。
【0021】図4にスイッチ素子10UP1・10UP
2に流れるオン・オフ時を含めた電流等のチャートを示
す。図4(A)はスイッチ素子10UP1・10UP2
に供給されるUPゲート信号である。U相正極側用のU
Pゲート信号は同じでも、それを受けるスイッチ素子
(IGBT)10UP1・10UP2のゲート感度電圧
VG1・VG2にバラツキ(ここではVG1<VG2とする)が
あると、スイッチ素子10UP1・10UP2のオン・
オフタイミングに図4(B)・(C)のような不一致を
生ずる。一方のスイッチ素子10UP1電流は、図4
(D)のようになり、t1で上昇を始め、t4で減少を
始める。もう一方のスイッチ素子10UP2電流は、図
4(E)のようになり、t2で上昇を始め、t3で減少
を始める。時間の経過はt1<t2<t3<t4であ
る。
【0022】図4のターンオン時の動作について説明す
る。早いタイミングt1で基本ユニット7U1に属する
スイッチ素子10UP1電流がまず立ち上がる。この電
流は基本ユニット7U1に属する平滑コンデンサ11U
1から小さな配線浮遊インピーダンス14UP1を介し
てスイッチ素子10UP1に供給される放電電流である
ので、その11U1電圧が図4(F)のように一時的に
低下し、電圧凹部F1を形成する。この影響でスイッチ
10UP1電流の上昇率は低下する。一方、平滑コンデ
ンサ11U1電圧が低下すると、直流電源2電圧との差
分が大きな配線浮遊インピーダンス13UP1に印加す
るようになり、直流電源2より配線浮遊インピーダンス
13UP1を介して電流が供給され始める。その影響で
平滑コンデンサ11U1電圧上の電圧凹部F1は解消す
る。一方、この間に別の基本ユニット7U2に属するス
イッチ素子ッ10UP2がオンとなるタイミングt2を
迎える。基本ユニット7U2の動作経過も基本ユニット
7U1のそれとほぼ同様であり、基本ユニット7U2に
属する平滑コンデンサ11U2電圧上に図4(G)に示
す電圧凹部G1を形成する。
【0023】図4における電圧凹部F1・電圧凹部G1
について考える。平滑コンデンサ11U1と平滑コンデ
ンサ11U2との間には大きな配線浮遊インピーダンス
13UP1・13UP2が介在する。このため、11U
1電圧と11U2電圧とは連動しない非連動形の仕組み
になっている。前者に電圧凹部F1が生じてもそれは後
者には反映しない。遅いタイミングt2でターンオンす
るスイッチ素子10UP2には平滑コンデンサ11U2
電圧が印加するが、11U2電圧上に仮に電圧凹部F1
と連動する同様タイミングの電圧凹部があると、それは
10UP2電流の立上がりを鈍らせるような作用する。
このように遅いタイミングt2で発現する10UP2電
流の立上がりを鈍らせると、10UP1電流・10UP
1電流のオン時の乖離は拡大する。本発明の前記非連動
形の仕組みはこの乖離を緩和し、10UP1電流・10
UP1電流をバランスさせるように作用する。
【0024】図4の定常時の動作について説明する。タ
ーンオン後における定常時の10UP1電流のレベルは
I12であり、10UP1電流のレベルはI22であ
る。スイッチ素子10UP1・10UP2のオン電圧の
差分は定常電流I12・I22のアンバランス要因とな
るが、これらの電流は配線浮遊インピーダンス13UP
1・14UP1・15U1または13UP2・14UP
2・15U2を介して供給されるため、これらの配線浮
遊インピーダンスの特に抵抗成分を均等させるように配
線することにより、定常時電流I12・I22をほぼバ
ランスさせることができる。ここで、11U1電圧と1
1U2電圧とを連動させない非連動形の仕組みについて
再び考える。仮に、平滑コンデンサ11U1・11U2
が完全並列の関係にあるのであれば、配線浮遊インピー
ダンス13UP1・13UP2は添字の1または2で区
別する固有の属性を失うため、定常電流I12・I22
配分とは無関係となる。したがって、配線浮遊インピー
ダンス13UP1・13UP2を電流アンバランスの緩
和に有用できなくなる。
【0025】図4のターンオフ時の動作について説明す
る。一方のスイッチ素子10UP2は早いタイミングt
3でターンオフを開始し、そこから10UP2電流の減
少が始まる。もう一方のスイッチ素子10UP1は遅い
タイミングt4でターンオフを開始し、そこから10U
P1電流の減少が始まる。ここで、t3〜t4期間にお
ける10UP2電流の減少分(ロ)がまだオン状態にあ
る10UP1電流の増加分(ハ)に転化しないかどうか
が問題となる。U相の交流端子3UTに流れ込む出力電
流は10UP1と10UP2の和であり、それは急には
変わらない。図4(D)の増加分(ハ)は減少分(ロ)
に見合うように便宜的に書き足したものであるが、この
ような電流足し増しの可能性があると、10UP1電流
ないしは10UP2電流を、足し増し分を予め見込んだ
低い定格レベルに設定する必要が生じ、大容量化の妨げ
となる。ところが、本発明の場合は基本ユニット7U2
に固有の大きな配線浮遊インピーダンス15U2の作用
で、T10UP1電流の急増が抑制される。t3〜t4
期間には配線浮遊インピーダンス15U2、特にそのイ
ンダクタンス成分の影響で、その両端に10UP2電流
の減少を妨げる極性の電圧が誘起する。この極性の配線
浮遊インピーダンス15U2電圧は変換モジュール(1
0UP2・10UN2)の接続中点の電位を下げるよう
に作用し、変換モジュール(10UP1・10UN1)
の接続中点の電位を上げるように作用する。前者の作用
はスイッチ素子10UN2(フライホイールダイオード
が付属する逆導通特性の素子)に逆導通電流を形成させ
る作用であり、後者の作用はスイッチ素子10UP1の
電流増加を抑制する作用である。このため、10UP2
電流の減少分(ロ)のほとんどはスイッチ素子10UN
2の逆導通電流に転化し、10UP1電流に足される
(ハ)のような増加分はほとんどなくなる。
【0026】図4のターンオフ時の動作について補足し
て説明する。スイッチ素子14UPのターンオフ時には
それと直列の関係にある配線浮遊インピーダンス13U
P・14UP(特にそれらのインダクタンス成分)に蓄
積されている電磁エネルギがどこかに吸収される。大き
な配線浮遊インピーダンス13UPに蓄積されている大
きな電磁エネルギは平滑コンデンサ11Uへ吸収され
る。小さな配線浮遊インピーダンス14UPに蓄積され
ている小さな電磁エネルギはスイッチ素子14UPない
しはそれに付加される図外のスナバ回路に吸収される。
後者はスイッチ素子14UPの電流遮断能力上の負担と
なる。前記のごとく、電流バランスの是正に配線浮遊イ
ンピーダンス13UP・14UPの両方が関与する。し
かし、電流遮断能力上の負担となるのはそのうちの後者
の分だけであり、前者に蓄積されている大きな電磁エネ
ルギを吸収する負担は免除される。
【0027】図4の電圧凸部F2・G2について説明す
る。スイッチ素子10UP2がt3でターンオフを開始
すると、大きな配線浮遊インピーダンス13UP2に蓄
積されている大きな電磁エネルギが平滑コンデンサ11
U2に流れ込み、11U2電圧に電圧凸部G2を形成す
る。本発明は11U2電圧上の電圧凸部G2の影響が別
の平滑用コンデンサ11U1側の11U1電圧に反映し
ない非連動形の仕組みとなっている。仮に、11U1電
圧上に電圧凸部G2に対応する電圧凸部が形成される
と、始点をt3とする該電圧凸部の影響で、まだオン状
態にあるスイッチ素子10UP1の10UP1電流が増
加するという弊害を招く。本発明による非連動形の仕組
みはかかる増加を抑制して電流をバランスさせるように
作用する。電圧凸部F2はスイッチ素子10UP1のタ
ーンオフにともなって平滑コンデンサ11U1の11U
1電圧上に形成される局部上昇であり、その始点はt4
となる。
【0028】図5を利用して本発明の他の実施形態につ
いて説明する。この図5に前記図1〜3中の部品符号を
なるべくそのまま転用し、重複する説明の一部を適宜に
割愛する。この点は後の図6以下の説明においてもほぼ
同様である。図5の回路においては同様な構成の一対の
基本ユニット20U1・20U2を用い、それらを2並
列接続したものをU相主回路7Uとする。以下、基本ユ
ニット20U1を例にとって説明する。基本ユニット2
0U1は変換モジュール(10UP1・10UN1)と
変換モジュール(10UP2・10UN2)とを多並列
(2並列)に接続し、それらの両端に平滑コンデンサ1
1U1を接続したものである。前記図3では1並列の変
換モジュール(10UP・10UN)に対して平滑コン
デンサ11Uを接続したが、図5はその1並列の点を多
並列に変更したものである。図5における多並列は2並
列であるが、その点をさらに改めてたとえば3並列とす
ることも可能である。
【0029】図5の抵抗21U(21UP1・21UN
1・21UP2・21UN2)について説明する。ここ
では、21UP1を例にとって説明するが、残りの21
UN1・21UP2・21UN2も同様である。抵抗2
1UP1はゲート感度補正抵抗である。ゲート感度補正
抵抗21UP1の役割は多並列を組むスイッチ素子10
UP1・10UP2間のゲート感度電圧上のバラツキの
補正である。ゲート感度補正抵抗21UP1はスイッチ
素子10UP1・10UP2のゲート端子相互間に接続
される。ゲート抵抗12UP1・12UP2との関連で
はその出力側に接続される。ゲート感度補正抵抗21U
P1はゲート抵抗12UP1・12UP2よりも抵抗値
が小さい抵抗である。以下の説明においては、スイッチ
素子10UP1のゲート感度電圧がスイッチ素子10U
P2のそれよりも高いものとする。スイッチ素子10U
P1はゲート感度電圧が高いため先にターンオフを開始
する。これにともない、スイッチ素子10UP1のゲー
ト端子電圧が低下する。この影響は抵抗値の低いゲート
感度補正抵抗21UP1を介して繋がるスイッチ素子1
0UP2のゲート端子へも及び、該ゲート端子電圧も低
下する。このため、ゲート感度電圧が低いスイッチ素子
10UP2もそのゲート感度電圧以下のレベルとなり、
速やかにターンオフを開始する。以上の結果、ターンオ
フタイミング上のアンバランスが緩和され、そのアンバ
ランスに起因する電流偏りも僅少となる。同一基本ユニ
ット20U1内で2並列の関係をとるスイッチ素子10
UP1・10UP2相互のオン電圧バラツキについて
は、配線浮遊インピーダンス13UP等によるアンバラ
ンス緩和の作用は効かないが、前記のようにしてゲート
感度電圧上のバラツキは補正できる。このため、オン電
圧特性だけを揃えるスイッチ素子選別でこと足りるの
で、実施が容易となる。
【0030】図5回路の特長は基本ユニット20U内部
でも多並列化を図り、それを基本ユニット20U相互間
の多並列化に合算することである。このため、より大規
模な多並列化に好適である。図5はスイッチ素子10U
P1・10UP2を含む2並列変換モジュールの構造で
あるが、それにもう一個を足して3並列変換モジュール
形の構造とすることも可能である。その場合はゲート感
度補正抵抗21UP1同様のものを都合3個用意し、そ
れらを3個のゲート端子相互間にスター形にあるいはデ
ルタ形に結線する。
【0031】図6は同様な基本ユニット7U1・7U2
・7U3を3並列に接続する3並列基本ユニット構造と
したものでる。各基本ユニット7U1・7U2・7U3
のそれぞれに平滑コンデンサ11U1・11U2・11
U3が付属し、それら全体でU相主回路7Uを形成す
る。3相全体の平滑コンデンサ11の数は3×3とな
り、9個となる。各基本ユニット7U1・7U2・7U
3内部の変換モジュール(10UP・10YN)は1並
列構成である。前記図3は2並列形の基本ユニット7U
1・7U2構造である。図6はそれにもう1個の基本ユ
ニット7U3を足し増した3並列構造とすることによ
り、大容量化の規模拡大を図ったものである。
【0032】図7〜図9を用いて本発明を3レベル形の
半導体電力変換装置に適用する実施形態について説明す
る。8は自己消弧形半導体スイッチ素子10としてIG
BTを用いた3レベル形の中性点クランプ形の変換主回
路であり、U相・V相・W相の各主回路8U・8V・8
Wを含む。各主回路8U・8V・8Wは中性点クランプ
形の変換モジュールを主体とするが、図7のそれはシン
ボル的表示であり、実際の内部構成は図9のようなもの
である。2Pは正側直流電源、2Nは負側直流電源、3
は負荷となる三相誘導電動機である。
【0033】図8(a)〜(c)は各主回路8U・8V
・8Wのスイッチング動作ないしはインバータ動作等を
概念的に表示する説明図である。たとえば主回路8Uに
属する各スイッチ素子(IGBT)P・PC・NC・N
を図8(a)の黒点(オン)および白点(オフ)で示す
パターン推移にて制御する。図8(b)に示すように、
PおよびPCがオン状態であると出力はP側電位(+6
00V)となり、PCおよびNCがオン状態であるとC
側電位(0V)となり、NCおよびNがオン状態である
とN側電位(−600V)となる。かくして3レベル形
の出力電圧が形成されるが、前記オン期間の時間幅を変
調基本波に応じて制御(PWM制御)すると、図8
(c)のような近似正弦波状のPWM形線間電圧波形と
なる。
【0034】図9は図7におけるU相主回路8Uの実施
形態を示す。他のV相主回路8V・W相主回路8Wの構
成もU相主回路8Uと同様であるため、ここではU相主
回路8Uを例にとり、詳しく説明する。U相主回路8U
は直列に接続した正側の複数の自己消弧形半導体スイッ
チ素子10UP・10UPCおよび負側の複数の自己消
弧形半導体スイッチ10UNC・10UNを含む。その
正側の接続中点(10UP・10UPC間)と負側の接
続中点(10UNC・10UN間)とを直列に接続する
複数のクランプ用ダイオード31UP・31UNを含
む。以上の各素子10UP・10UPC・10UNC・
10UN・31UP・31UNで中性点クランプ形の変
換モジュールを構成する。変換モジュールの両端を直流
端子2PT・2NTに配線し、各クランプ用ダイオード
31UP・31UNの接続中点を中性点端子(11UP
・11UN間)に配線し、変換モジュール全体の接続中
点(10UPC・10UNC間)を各相の交流端子3U
Tに配線する。各クランプ用ダイオード31UP・31
UNの接続中点は適宜の箇所に接続されるが、本明細書
においてはその接続対象箇所を中性点端子と定義する。
以上のような1並列・多並列(図9では1並列)のいず
れかの変換モジュールを含み、その両端に直列に接続さ
れた複数の平滑コンデンサ11UP・11UNを含み、
各平滑コンデンサ11UP・11UNの接続中点を変換
モジュールの前記中性点端子とするユニットを基本ユニ
ットとする。8U1は基本ユニットであり、8U2も基
本ユニットである。かかる基本ユニット8U1・8U2
を多並列(図9では2並列)に接続する。その多並列回
路にてU相主回路8Uを構成する。各基本ユニット8U
1・8U2には直列一対の平滑コンデンサ11UP・1
1UNが付属するが、その接続中点を前記定義の中性点
端子として利用する。
【0035】図9の各基本ユニット8U1・8U2の配
線態様は次のようなものである。直流端子2PT・2N
Tから交流端子3UTに至るすべての配線に配線の長さ
に比例する配線浮遊インピーダンスが付随する。各変換
モジュールはそうした配線の途中に介在する。各変換モ
ジュールの近くにそれぞれの平滑コンデンサ11UP・
11UNが配置され、その両者でそれぞれの基本ユニッ
ト8U1・8U2を構成する。したがって、配線浮遊イ
ンピーダンスの配分は次のようなものとなる。直流端子
2PT・2NTと平滑コンデンサ平滑コンデンサ11U
P・11UNとの間の配線浮遊インピーダンス13Uは
大きく、基本ユニット8U1・8U2内の平滑コンデン
サ11UP・11UNと変換モジュールとの間の配線浮
遊インピーダンス14Uは小さく、変換モジュールと交
流端子3UTとの間の配線浮遊インピーダンス15Uは
大きい。これらの各配線浮遊インピーダンス13U・1
4U・15Uはそこに形成される基本ユニット8U1・
8U2に固有のものである。各基本ユニット8U1・8
U2は直流端子2PT・2NTおよび交流端子3UTに
至るに固有の配線を持ち、それに付随する固有の配線浮
遊インピーダンス13U・14U・15Uを持つ。それ
らの配線浮遊インピーダンス13U・14U・15Uは
他の基本ユニットのそれと共用のものであってはならな
い。
【0036】図9の2CTは直流電源2P・2U間に形
成される中点端子である。中点端子と前記定義の中性点
端子との間に各基本ユニット8U1・8U2に固有の配
線が施される。その配線にも配線浮遊インピーダンス3
2Uが付随する。配線浮遊インピーダンス32Uの役割
は配線浮遊インピーダンス13Uのそれと同じである。
図9では直列一対の直流電源2P・2Nを用いるが、そ
れに代えて単一形の直流電源とすることも可能であり、
その場合は配線浮遊インピーダンス32Uの箇所の配線
を省略する。本発明を以上のような3レベル形に適用し
た場合は、歪みの少ない正弦波出力波形が得られるとい
う3レベル形の利点を持った大容量装置が得られる。本
発明は2レベル形はもとより3レベル形にも適用可能で
あり、2レベル形で指摘した各実施形態ないしは各説明
事項は3レベル形にも当てはまる。たとえば、図7〜・
図9の3レベル形電力変換装置の各基本ユニット8U1
・8U2等は1並列変換モジュール形であるが、それを
図5のような多並列変換モジュール形に変更することが
可能である。
【0037】以上の各実施形態においては自己消弧形半
導体スイッチ素子をIGBTとしたが、それに代えてト
ランジスタ・GTO・SIT・IGCT等ととする半導
体電力変換装置であっても同効である。また、図1のよ
うな直流電源2出力を多相交流電力に変えて多相交流負
荷3へ与える直流・交流変換形の実施形態について説明
したが、その逆変換に相当する交流・直流変換形装置と
することも可能である。
【0038】
【発明の効果】本発明は1並列または多並列の変換モジ
ュールの両端に平滑コンデンサを接続したユニットを基
本ユニットとし、このような基本ユニットを各相毎に多
並列に接続したものである。また、各基本ユニット内に
小さな配線浮遊インピーダンスが介在し、各基本ユニッ
トと直流端子との間にそれぞれの基本ユニットに固有の
大きな配線浮遊インピーダンスが介在するように配線し
たものである。これによれば各平滑コンデンサの充電電
圧が独立して変化しその変化の影響が他の平滑コンデン
サに及ばないという非連動形の仕組みとなるために、多
並列化を組む各変換モジュールの電流がバランスし、変
換モジュールないしはその自己消弧形半導体スイッチ素
子の電流容量を有効に活かした多並列形大容量変換装置
が実現する。また、多並列を組む個々の基本ユニットに
固有の配線浮遊インピーダンスを直流端子等との間に形
成してそれを有用する方式としたので、経済的に有利な
多並列形装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる2レベル形半導体電力変換装置
の全体ブロック図である。
【図2】2レベルPWM電力変換の説明図である。
【図3】図1のU相主回路を示す詳細回路図である。
【図4】図1の回路の動作を示す波形図である。
【図5】U相主回路の他の実施の形態を示す詳細回路図
である。
【図6】U相主回路の別の実施形態を示す詳細回路図で
ある。
【図7】本発明にかかる3レベル形半導体電力変換装置
の全体ブロック図である。
【図8】3レベルPWM電力変換の説明図である。
【図9】図7のU相主回路を示す詳細回路図である。
【図10】従来の半導体電力変換装置を示す全体ブロッ
ク図である。
【符号の説明】
1 変換主回路 2 直流電源 2PT・2NT 直流端子 3 三相誘導電動機 3UT・3VT・3WT 交流端子 4 制御装置 5 速度検出器 7U・7V・7W 各相主回路 7U1・7U2・7U3 基本ユニット 8U1・8U2 基本ユニット 10 自己消弧形半導体スイッチ素子 11 平滑コンデンサ 12 ゲート抵抗 13・14・15 配線浮遊インピーダンス 21 ゲート感度補正抵抗 31 クランプ用ダイオード 101 ゲート信号発生部
フロントページの続き (72)発明者 国井 啓次 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社日立製作所大みか工場内 (56)参考文献 特開 平4−248366(JP,A) 特開 平7−203669(JP,A) 実開 昭61−63367(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/48 H02M 7/5387 H02P 7/63

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直列に接続した正側および負側の各自己
    消弧形半導体スイッチ素子を含む多数の変換モジュール
    を備え、前記各変換モジュールの両端を直流端子に配線
    し、前記各変換モジュールの接続中点を各相の交流端子
    に配線し、直流・多相交流間の一方から他方へ電力を変
    換する半導体電力変換装置において、1並列・多並列の
    いずれかの前記変換モジュールに近接し且つその両端に
    平滑コンデンサを接続したユニットを基本ユニットと
    し、前記基本ユニットを各相毎に多並列に接続し、 前記各基本ユニットの配線態様を、基本ユニットと直流
    端子との配線長さに比して、その基本ユニット内の平滑
    コンデンサと変換モジュールとの配線長さを短くし、こ
    れにより、該基本ユニットと前記直流端子との間に該基
    本ユニットに固有の大きな配線浮遊インピーダンスが介
    在し、該基本ユニット内の平滑コンデンサと変換モジュ
    ールとの間に小さな配線浮遊インピーダンスが介在する
    ように定めたことを特徴とする半導体電力変換装置。
  2. 【請求項2】 直列に接続した正側の複数の自己消弧形
    半導体スイッチ素子および負側の複数の自己消弧形半導
    体スイッチを含み、その正側の接続中点と負側の接続中
    点とを直列に接続する複数のクランプ用ダイオードを含
    む中性点クランプ形の多数の変換モジュール備え、 前記各変換モジュールの両端を直流端子に配線し、前記
    各クランプ用ダイオードの接続中点を中性点端子に配線
    し、前記各変換モジュール全体の接続中点を各相の交流
    端子に配線し、直流・多相交流間の一方から他方へ電力
    を変換する中性点クランプ形の半導体電力変換装置にお
    いて、 1並列・多並列のいずれかの前記変換モジュールを含
    み、その近傍で且つその両端に直列に接続された複数の
    平滑コンデンサを含み、該各平滑コンデンサの接続中点
    を該変換モジュールの中性点端子とするユニットを基本
    ユニットとし、前記基本ユニットを各相毎に多並列に接
    続し、 前記各基本ユニットの配線態様を、基本ユニットと直流
    端子との配線長さに比して、その基本ユニット内の平滑
    コンデンサと変換モジュールとの配線長さを短くし、こ
    れにより、該基本ユニットと前記直流端子との間に該基
    本ユニットに固有の大きな配線浮遊インピーダンスが介
    在し、該基本ユニット内の平滑コンデンサと変換モジュ
    ールとの間に小さな配線浮遊インピーダンスが介在する
    ように定めたことを特徴とする半導体電力変換装置。
  3. 【請求項3】 直列に接続した正側および負側の各自己
    消弧形半導体スイッチ素子を含む多数の変換モジュール
    を備え、前記各変換モジュールの両端を直流端子に配線
    し、前記各変換モジュールの接続中点を各相の交流端子
    に配線し、直流・多相交流間の一方から他方へ電力を変
    換する半導体電力変換装置において、 1並列・多並列のいずれかの前記変換モジュールに近傍
    で且つその両端に平滑コンデンサを接続したユニットを
    基本ユニットとし、前記基本ユニットを各相毎に多並列
    に接続し、 前記各基本ユニットの配線態様を、平滑コンデンサと基
    本ユニットとの接続点から直流端子までの配線長さに比
    して、上記接続点からのその平滑コンデンサの属する基
    本ユニット内の変換モジュールまでの配線長さを短く
    し、これにより、その基本ユニット内の平滑コンデンサ
    と変換モジュールとの配線長さを短くし、これにより、
    該基本ユニットと前記直流端子との間に該基本ユニット
    に固有の大きな配線浮遊インピーダンスが介在し、該基
    本ユニット内の平滑コンデンサと変換モジュールとの間
    に小さな配線浮遊インピーダンスが介在するように定め
    たことを特徴とする半導体電力変換装置。
  4. 【請求項4】 直列に接続した正側の複数の自己消弧形
    半導体スイッチ素子および負側の複数の自己消弧形半導
    体スイッチを含み、その正側の接続中点と負側の接続中
    点とを直列に接続する複数のクランプ用ダイオードを含
    む中性点クランプ形の多数の変換モジュール備え、 前記各変換モジュールの両端を直流端子に配線し、前記
    各クランプ用ダイオードの接続中点を中性点端子に配線
    し、前記各変換モジュール全体の接続中点を各相の交流
    端子に配線し、直流・多相交流間の一方から他方へ電力
    を変換する中性点クランプ形の半導体電力変換装置にお
    いて、 1並列・多並列のいずれかの前記変換モジュールを含
    み、その近傍で且つその両端に直列に接続された複数の
    平滑コンデンサを含み、該各平滑コンデンサの接続中点
    を該変換モジュールの中性点端子とするユニットを基本
    ユニットとし、前記基本ユニットを各相毎に多並列に接
    続し、 前記各基本ユニットの配線態様を、平滑コンデンサと基
    本ユニットとの接続点から直流端子までの配線長さに比
    して、上記接続点からのその平滑コンデンサの属する基
    本ユニット内の変換モジュールまでの配線長さを短く
    し、これにより、基本ユニットと直流端子との配線長さ
    に比して、その基本ユニット内の平滑コンデンサと変換
    モジュールとの配線長さを短くし、これにより、該基本
    ユニットと前記直流端子との間に該基本ユニットに固有
    の大きな配線浮遊インピーダンスが介在し、該基本ユニ
    ット内の平滑コンデンサと変換モジュールとの間に小さ
    な配線浮遊インピーダンスが介在するように定めたこと
    を特徴とする半導体電力変換装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、各自
    己消弧形半導体スイッチ素子をPWM制御する半導体電
    力変換装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかにおいて、直流
    端子を直流電源端子とし、直流から多相交流へ電力を変
    換し、各相の交流端子間に多相交流負荷を接続した半導
    体電力変換装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかにおいて、各基
    本ユニットの配線態様を、該基本ユニット内の平滑コン
    デンサ・変換モジュールのうちの前者側寄りの位置に直
    流端子からの配線を接続した半導体電力変換装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかにおいて、各基
    本ユニットの配線態様を、該基本ユニット内の平滑コン
    デンサと変換モジュールとの間に小さな配線浮遊インピ
    ーダンスが介在し、該変換モジュールと交流端子との間
    に該基本ユニットに固有の大きな配線浮遊インピーダン
    スが介在するように定めた半導体電力変換装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4のいずれかにおいて、各自
    己消弧形半導体スイッチ素子のゲート端子とそれを制御
    するゲート信号発生部とを結ぶ信号配線における該ゲー
    ト端子寄りの位置に、該ゲート端子に固有のゲート抵抗
    を挿置した半導体電力変換装置。
  10. 【請求項10】 請求項9において、各基本ユニット内
    において多並列の関係にある各自己消弧形半導体スイッ
    チ素子のゲート端子相互間にゲート抵抗よりも抵抗値の
    小さなゲート感度補正抵抗を接続した半導体電力変換装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項1〜4のいずれかにおいて、上
    記単位ユニットは、2レベル又は3レベル方式で駆動さ
    れるものとした半導体電力変換装置。
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