JP3322955B2 - エアフィルタ - Google Patents

エアフィルタ

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JP3322955B2
JP3322955B2 JP24768093A JP24768093A JP3322955B2 JP 3322955 B2 JP3322955 B2 JP 3322955B2 JP 24768093 A JP24768093 A JP 24768093A JP 24768093 A JP24768093 A JP 24768093A JP 3322955 B2 JP3322955 B2 JP 3322955B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は空気圧回路内を流れる作
動流体としての圧縮空気を清浄にするエアフィルタに関
する。
【0002】
【従来の技術】空気圧シリンダ等のアクチュエータを作
動させる場合には、圧縮機等の空気圧源から吐出される
圧縮空気を圧力制御弁、方向制御弁および速度制御弁等
の空気圧機器を用いてアクチュエータに案内するように
しており、これらが空気圧管路により接続され種々の空
気圧回路つまり空気圧システムを構成している。
【0003】空気圧回路を流れる圧縮空気内には塵埃や
スケール等の固形分や遊離水分つまり水滴が含まれてい
るので、空気圧回路にはこれらの異物を除去するために
エアフィルタが使用されている。圧縮空気中の遊離水を
除去するために、従来のエアフィルタ内にはデフレクタ
と言われる角度をもった多翼の羽根やルーバが組み込ま
れており、この羽根により圧縮空気を強制的に旋回させ
るようにしている。
【0004】エアフィルタは回路内に独立して取付けら
れる場合以外に、弁の内部に一体に組み込まれる場合が
ある。何れの場合にも、空気圧流路内にフィルタエレメ
ントを配置し、固形物や水滴等の異物を除去するように
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように羽根やルーバを用いて圧縮空気を旋回させる遠心
分離作用によって水滴の分離を行う場合には、空気の流
速によって分離率が左右され、安定的に水滴を分離させ
ることができないという問題点があった。
【0006】従来ではフィルタエレメントとしては、焼
結金属、焼結樹脂あるいは金網等が使用されており、塵
埃やスケール等の異物をフィルタエレメントの細孔によ
って捕捉するようにしているが、焼結樹脂等のフィルタ
エレメントでは、細孔の内径を小さくすることに限度が
あり、径の小さい異物を確実に除去することが困難であ
るという問題点があった。
【0007】さらに、遠心分離作用によって水滴を分離
する方式では、分離された水滴をドレンを受ける容器内
に蓄積するようにしているので、水滴分離を目的とする
場合には、フィルタを配管に対して垂直方向に取付けな
ければならず、取付け姿勢が限定されている。
【0008】そこで、本発明者は、中空穴が形成されさ
らにこの中空穴の内面と外面とを連通させる多数の細孔
が形成された多孔質中空糸膜をフイルタエレメントとし
て使用することについて検討した。以下は、本発明者に
よって検討された技術であり、その概要は次のとおりで
ある。
【0009】すなわち、2つ折りの状態に折り曲げられ
た多孔質中空糸膜を多数本束ねてフィルタエレメントを
形成し、それぞれの多孔質中空糸膜の開口部を二次側流
路に臨ませ、一次側流路からの空気を中空糸膜の外面と
内面とを連通して形成された細孔を通して二次側流路に
案内するようにし、さらに、多孔質中空糸膜として疎水
性を有する材料からなるものを使用すると、多孔質中空
糸膜の細孔内には水滴が流入せず、水滴が除去された清
浄な空気を二次側流路に案内することが可能となる。
【0010】多孔質中空糸膜の細孔は平均内径を0.1μ
m程度に形成することができるので、このような多孔質
中空糸膜を用いたフィルタエレメントを用いると、固形
分の二次側流路への流出を防止することができる。そし
て、水滴は疎水性の外面により分離されて二次側流路に
流れることが防止される。
【0011】しかしながら、分離された水滴がフィルタ
エレメントの細孔内に押し込まれて停留してしまい、多
孔質中空糸膜の細孔が目詰まりを起こすことが判明し
た。特に水滴の含有量の多い空気が使用される場合に、
短時間でフィルタエレメントが目詰まりを起こすことが
あった。目詰まりを起こすと、フィルタにおける空気の
圧力損失が増加して流量が低下してしまい、フィルタを
頻繁に交換しなければならないという問題点がある。
【0012】本発明の目的は、フィルタエレンメントに
おける水滴の停留を防止して水滴除去を確実に行なうこ
とができ、長期間にわたりフィルタエレメントの交換を
不要にし得るエアフィルタを提供することにある。
【0013】さらに本発明の目的は、従来のエアフィル
タでは水滴分離を目的とする場合、取付け姿勢がドレン
排出のため、配管に対し垂直方向にフィルタを取付ける
ようにする制限があり、設置スペースの有効活用、エア
フィルタ自体の形状等に制約があったことから、エアフ
ィルタの使用上、外観上の自由度を向上させることを可
能とすることにある。
【0014】本発明のさらに他の目的は、空気圧回路内
へのエアフィルタの取付け位置や使用方法により、水滴
等の除去を必要としない場合、また水滴等が一度にエア
フィルタ内に流入するような場合等さまざまな使用方法
に合わせて、油、水分の排出を行わせることで無駄なエ
アの消費を防ぐことを可能とすることにある。
【0015】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかに
なるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。
【0017】すなわち、フィルタエレメントは第1フィ
ルタエレメントと第2フィルタエレメントとにより形成
されており、それぞれのフィルタエレメントは、それぞ
れ外面と中空穴の内面とを連通させる多数の細孔が形成
された多孔質中空糸膜により形成されている。第1フィ
ルタエレメントの多孔質中空糸膜は疎水性を有してお
り、第2フィルタエレメントの多孔質中空糸膜は親水性
を有している。第1および第2フィルタエレメントはそ
れぞれの多孔質中空糸膜が混在するようにしてフィルタ
本体内に配置されている。このようにして、エアフィル
タ内には、一次側ポートから第1フィルタエレメントの
多孔質中空糸膜内を通って二次側ポートに向かう空気の
流れと、一次側ポートからの空気に混入した水分ととも
に排水口から吐出する一部の空気の流れとが形成されて
いる。
【0018】エアフィルタ本体は流体が流入する一次側
ポートと流体が流出する二次側ポートと一次側から流入
した流体内に含まれる水滴を排出する排水口とを有し、
さらにエアフィルタ本体に形成された弁孔内に摺動自在
に設けられた弁棒には弁孔を開閉する弁体が設けられて
おり、一次側ポートから流入した流体は減圧されて二次
側ポートに流出する。それぞれ外面と中空穴の内面とを
連通させる多数の細孔が形成されかつ疎水性を有する多
数の多孔質中空糸膜からなる第1フィルタエレメント
は、それぞれの中空穴の開口部を前記弁孔を介して前記
二次側ポートに臨ませて前記エアフィルタ本体内に配置
され、それぞれ外面と中空穴の内面とを連通させる多数
の細孔が形成されかつ親水性を有する多数の多孔質中空
糸膜からなる第2フィルタエレメントは、それぞれの中
空穴の開口部を前記排水口に臨ませて前記エアフィルタ
本体内に配置される。第1フィルタエレメントの多孔質
中空糸膜と前記第2フィルタエレメントの多孔質中空糸
膜とは混在され、前記一次側ポートから流入した流体を
それぞれの多孔質中空糸膜に案内する案内流路が前記エ
アフィルタに形成されている。
【0019】
【作用】上記構成を有するフィルタにあっては、水滴を
含む圧縮空気が一次側ポートから流入すると、水滴は疎
水性を有する第1フィルタエレメントの外面でははじか
れて、親水性を有する第2フィルタエレメントの親水性
の外面に引き寄せられる。これにより、空気中に含まれ
る水滴は、第2フィルタエレメントの多孔質中空糸膜の
細孔から中空孔を通って排水口に流れ、二次側ポートに
は清浄化された空気のみが流出することになる。しか
も、第1フィルタエレメントの細孔は目詰まりが防止さ
れることになり、フィルタエレメントの交換頻度を飛躍
的に長くすることが可能となる。
【0020】また、一次側ポートから流入して弁体によ
り減圧されて二次側ポートに流出する流体は、水滴を含
んでいても疎水性の第1フィルタエレメントの外面では
じかれ、親水性を有する第2フィルタエレメントの親水
性の外面に引き寄せられる。これにより、一次側ポート
から流入する流体に含まれている水滴は排水口に流れる
ことになり、二次側ポートに減圧されて排出する流体の
中には水滴が除去された清浄な空気のみが流出すること
になる。
【0021】さらに、排水口から水滴を排出することに
より、一次側から流入する流体の中の水滴は、圧力の低
い大気の中へ流れることになるので、排水口の方向性が
制限されることなく、排水口の姿勢を任意の位置に設定
することができるとともに、エアフィルタの取付け姿勢
に制約がなくなる。
【0022】
【実施例】以下、図示する本発明の実施例に基づいて本
発明を詳細に説明する。
【0023】(実施例1)図1〜図3は本発明の一実施
例に係るエアフィルタを示す図である。図示するエアフ
ィルタは円筒形状の樹脂製のケース部1と、このケース
部1の上端部に取付けられる連結部2とにより形成され
るフィルタ本体3を有している。ケース部1の外側に
は、金属製のカバー4が設けられ、樹脂製のケース部1
をカバー4により覆ってケース部1を保護している。
【0024】ケース部1を連結部2に取付けるために、
連結部2の嵌合孔2aには凹凸部5が環状に設けられ、
ケース部1とカバー4には凹凸部5に対応して凹凸関係
が逆となった凹凸部6が設けられている。これにより、
ケース部1とカバー4とを一体としてこれらの上端部を
連結部2の嵌合孔2a内に挿入した後に、ケース部1と
カバー4とを回転させることにより、連結部2に対して
ケース部1とカバー4とが取付けられる。さらに、ビス
やスプリングロールピン等の止め具7により連結部2は
ケース部1に締結される。
【0025】連結部2には図示しない空気圧回路の一次
側流路が接続される一次側ポート11が形成され、この
一次側ポート11はフィルタ本体3内に形成されたエレ
メント収容室8の外周部に案内流路13を介して連通さ
れており、一次側ポート11に流入した流体は、案内流
路13によりエレメント収容室8内に案内される。連結
部2にはさらに、空気圧回路の二次側流路が接続される
二次側ポート12が一次側ポート11の反対側に形成さ
れ、この二次側ポート12はケース部1に形成されたね
じ孔9を介してエレメント収容室8の中心部に連通され
ている。
【0026】エレメント収容室8内には、フィルタエレ
メントが組み込まれたフィルタハウジング14が装着さ
れるようになっており、このフィルタハウジング14は
上端部に形成された雄ねじ部15を連結部2のねじ孔9
にねじ結合することにより連結部2に締結される。フィ
ルタハウジング14の上端部には、連結部2の二次側ポ
ート12に開口された二次側ポート16が形成されてい
る。
【0027】フィルタハウジング14は、図2に示すよ
うに、ねじ止め部14aと円筒部14bと底部14cと
を有しており、例えば、合成樹脂により形成されてい
る。円筒部14bには多数の連通孔17が形成され、連
通孔17を介してフィルタハウジング14内はエレメン
ト収容室8内に連通しており、連通孔17は一次側ポー
ト11から流入した空気をフィルタエレメントに案内す
る案内流路を構成している。
【0028】底部14cには排水口18が形成されてお
り、この排水口18に連通する排水口19を有する排水
管20がケース部1の底部にねじ結合されている。そし
て、この排水管20内には図示しない排水ホースが止め
付けられるジョイント20aが嵌合されるようになって
いる。
【0029】フィルタハウジング14内に配置されたフ
ィルタエレメントは、第1フィルタエレメント21と第
2フィルタエレンメント22とから構成されている。第
1フィルタエレメント21は、図3に示すようにそれぞ
れ中空穴23を有し、2つ折りの状態に折り曲げられた
多孔質中空糸膜21aを開口部21bの部分で束ねると
ともに、それぞれの多孔質中空糸膜21aは、開口部2
1bの部分で接着剤により接合されている。そして、第
1フィルタエレメント21はその開口部21bを二次側
ポート12に臨ませて配置されている。
【0030】この第1フィルタエレメント21を構成す
る多孔質中空糸膜21aは、図3に示すように、中空穴
23の内面24と外面25とを連通させる多数の細孔2
6が形成され、疎水性を有する材質により形成されてい
る。疎水性を有する材質によって第1フィルタエレメン
ト21を形成することにより、外面25に水滴が付着し
た場合には、その水滴は接触角が大きくなって半球形状
となる。図3に示す多孔質中空糸膜21aの外径Dは0.
38mm程度であり、細孔26の平均内径つまり分画特
性は0.1μmとなっている。多孔質中空糸膜21a自体
を疎水性の材料を用いることなく、外面25に疎水性の
処理を施すようにしても良い。
【0031】第2フィルタエレメント22は、第1フィ
ルタエレメント21と同様に、内部に中空穴23が形成
され、2つ折りの状態に折り曲げられた多孔質中空糸膜
22aを開口部22bの部分で束ねるとともに、それぞ
れの多孔質中空糸膜22aは開口部22bの部分で接着
剤により接合されている。この第2フィルタエレメント
22はその開口部22bを排水口18に臨ませて配置さ
れている。
【0032】第2フィルタエレメント22を構成する多
孔質中空糸膜22aは、第1フィルタエレメント21を
構成する多孔質中空糸膜21aと同様に、中空孔23の
内面24と外面25とを連通させる多数の細孔26が形
成されているが、この多孔質中空糸膜22aは、多孔質
中空糸膜21aと相違して、親水性の材料により形成さ
れている。多孔質中空糸膜22a自体を親水性の材料を
用いることなく、外面25に親水性の処理を施すように
しても良い。
【0033】このように、親水性の材料によって多孔質
中空糸膜22aを形成することにより、多孔質中空糸膜
22aの表面に水滴が付着すると、その水滴の接触角は
非常に小さくなる。なお、図示する場合には、多孔質中
空糸膜22aの外径は多孔質中空糸膜21aと同様であ
るが、細孔26の平均内径つまり分画特性は0.15μm
のものが使用されている。
【0034】これらの第1と第2フィルタエレメント2
1,22は、図2に示すようにそれぞれの多孔質中空糸
膜21a,22aが混在するようにして配置されてお
り、それぞれの多孔質中空糸膜21a,22aは相互に
接触している。
【0035】上述した構成のエアフィルタを空気圧回路
に設けた場合には、一次側ポート11に接続された空圧
管路からの圧縮空気がエレメント収容室8内に案内流路
13を介して流入する。流入空気の中に水滴が含有して
いる場合に、その水滴が第1フィルタエレメント21を
構成する多孔質中空糸膜21aに接触しても、この多孔
質中空糸膜21aは疎水性材料により形成されているの
で、水滴との接触角が大きくなり、水滴は表面張力で半
球状、あるいは球状になる。つまり、疎水性の多孔質中
空糸膜21aは、その素材の持つ臨界表面張力が水の表
面に対して小さく、水の分子間引力により表面積が最小
となるように凝集して丸くなる。
【0036】したがって、水滴は第1フィルタエレメン
ト21の多孔質中空糸膜21aの細孔26内に入り込む
ことなく、空気のみが細孔26内に流入し、水滴はほぼ
100%分離されることになる。そして、疎水性の第1
フィルタエレメント21で水滴がはじかれることにな
り、親水性の材料により形成された第2フィルタエレメ
ント22の多孔質中空糸膜22aに引き寄せられるよう
にして水滴が移動する。多孔質中空糸膜22aは親水性
となっているので、親水性の多孔質中空糸膜22aは臨
界表面張力が水の表面張力に近くなっており、水との接
触角は非常に小さくなり、しかもエレメント収容室8内
から排水口18を通って僅かな空気の流れが形成されて
いることから、水滴は細孔26を通って多孔質中空糸膜
22aの内部に入り込み、排水口18,19を通って水
滴は外部に排出される。
【0037】なお、図示するように、第1フィルタエレ
メント21の多孔質中空糸膜21aと、第2フィルタエ
レメント22の多孔質中空糸膜22aとを混在させたこ
とから、多孔質中空糸膜21aの外面で固形物とともに
はじかれた水滴が、多孔質中空糸膜22aの外面に引き
寄せられるので、エアフィルタの取付け姿勢は図示する
態様に限定されることなく、水平方向等任意の姿勢でエ
アフィルタを取付けることが可能となる。
【0038】また、第1フィルタエレメント21の多孔
質中空糸膜21aの外面に固形物等が付着したとして
も、その外面に衝突した水滴が疎水性の表面からはじか
れることにより、はじかれた水滴と一緒に固形物は多孔
質中空糸膜21aの表面から除去されることになる。こ
れにより、第1フィルタエレメント21の細孔26が塞
がれるという目詰まりの発生が防止される。疎水性の表
面からはじかれた塵等の固形物は、それが0.15μm以
下であれば、第2フィルタエレメント22の多孔質中空
糸膜22aの細孔26を通って排水口18より排出す
る。
【0039】このように、フィルタ本体3内には、一次
側ポート11から第1フィルタエレメント21の多孔質
中空糸膜21aの中空孔23内を通って二次側ポート1
2に向かう空気の流れと、一次側ポート11からの空気
に混入した水滴とともに排水口18から外部に排出され
る空気の流れとが形成される。
【0040】(実施例2)図4および図5は本発明の他
の実施例を示す図であり、それぞれ金属製のケース部1
と連結部2とによりフィルタ本体3が形成されており、
ケース部1は連結部2に対してねじ結合されている。図
4および図5において、前記実施例と共通する部材には
同一の符号が付されている。
【0041】このエアフィルタにあっては、連結部2に
はこれとフィルタハウジング14との間に位置させて、
ルーバ31がフィルタハウジング14の上端部の外側に
環状となって設けられており、このルーバ31により一
次側ポート11からエレメント収容室8内に流入した気
体が旋回するようになっている。
【0042】図5は図4に示されたエレメント収容室8
内に配置されるフィルタハウジング14を示す図であ
り、このフィルタハウジング14はねじ止め部14aと
これが一体となった円筒部14bと底部14cとにより
形成され、底部14cには排水口18が形成されてい
る。そして、このフィルタハウジング14内には前記実
施例と同様の第1フィルタエレメント21と第2フィル
タエレメント22が配置されている。なお、図5におい
て、符号21cは第1フィルタエレメント21の束ね部
であり、符号22cは第2フィルタエレメント22の束
ね部である。
【0043】ケース部1の下端部には、排水受け容器3
2がねじ結合されており、この容器32内にはケース部
1に形成された排水口19を介して水滴が入り込むよう
になっている。
【0044】排水受け容器32内の圧力が、一次側ポー
ト11よりも低い圧力となるように、ケース部1には大
気開放のための排気ポート33が二次側ポート12の径
よりも小径として形成されている。このように排気ポー
ト33の径を小径とすることにより、排水口18,19
を水滴とともに流れる空気の排気空気の流量を絞るため
の絞り手段が形成されているが、それぞれの多孔質中空
糸膜21a,22aの耐圧強度を考慮して排水受け容器
32内と一次側ポート11との圧力差が大きくならない
ように、排気ポート33には、圧力差を調整するための
絞り弁を絞り手段として設けることが望ましい。また、
排水受け容器32の底部には、これの中に溜まった水を
外部に排出するためのドレン弁を設けることが望まし
い。
【0045】図6は前述した絞り弁の一例を示す図であ
り、絞り弁34は例えば図5のケース部1に取付けられ
ることになる。この場合には、排水受け容器32内に連
通した排気ポート33の開度を調整するためのニードル
軸35がねじ部材36に固定されており、ねじ部材36
を回転させることにより排気ポート33の開度を調整し
得る可変絞り弁となっている。ねじ部材36はロックナ
ット37により締結される。このように、排気ポート3
3に可変絞り弁34を設けると、エアの浪費を最小限に
することができるので、フィルタが使用される部分に応
じて柔軟に対応させることができる。なお、可変絞り弁
34に合わせて各種センサーやサーボバルブ等を使用す
るようにしても良い。
【0046】図4および図5に示すエアフィルタを空気
圧回路に設けた場合には、一次側ポート11に接続され
た空気圧管路からの圧縮空気がエレメント収容室8内に
案内流路13を介して流入すると、流入した空気はルー
バ31によりエレメント収容室8内で旋回することによ
り、油水が遠心分離される。
【0047】そして、この場合には、エアフィルタが排
水受け容器32を下側として配置されているので、水滴
は自重の作用によって落下することから、排水受け容器
32内への流入が促進される。
【0048】(実施例3)図7はレギュレータつまり圧
力制御弁内に本発明のエアフィルタを組み込んだ場合に
おける本発明のさらに他の実施例を示す図である。図7
において、前記それぞれの実施例と共通する部材には同
一の符号が付されている。
【0049】エアフィルタ本体3を構成する連結部2は
弁ハウジングを構成しており、この連結部2の中央部分
には軸方向に弁孔41が形成されている。この弁孔41
はこの弁孔41の側部に連通する二次側ポート12と、
エレメント収容室8に連通して連結部2に形成された連
通流路42との間に位置している。
【0050】弁孔41内には弁棒43が軸方向に摺動自
在に装着されており、連結部2に形成された弁座44に
圧接して弁孔41を開閉するための弁体45が弁棒44
の一端部側に固定されている。フィルタハウジング14
のねじ止め部14a内には、ガイド筒14dが設けられ
ており、このガイド筒14dに装着された圧縮コイルば
ね46により弁棒43には弁体45を弁座44に向かわ
せる方向のばね力が付勢されている。
【0051】連結部2にはケース部1に対して反対側に
位置させてボンネット47がねじ結合されており、この
ボンネット47と連結部2との間にはダイヤフラム48
が挟み付けられ、このダイヤフラム48と連結部2とに
よりダイヤフラム室50が形成されている。弁棒43の
他端部はダイヤフラム48の中心部に対向しており、ボ
ンネット47内のばね室51に収容された圧縮コイルば
ね52により、ダイヤフラム48を介して弁棒43に
は、弁体45を弁座44から離す方向のばね力が付勢さ
れている。ダイヤフラム48と圧縮コイルばね52との
間にはダイヤフラムシート49が設けられている。
【0052】このばね力を調整するために、ボンネット
47に回転自在に取付けられた調整ねじ53にはリテー
ナ54がねじ結合されており、調整ねじ53を回転する
ことにより圧縮コイルばね52の伸縮長さが調整される
ようになっている。調整ねじ53にはハンドルガイド5
5aを介してハンドル55が固定されており、このハン
ドル55を用いて調整ねじ53が回転され、二次側ポー
ト12から流出する圧縮空気の二次側圧力P2 が、一次
側ポート11から流入する圧縮空気の一次側圧力P1
対して減少された所定の値に設定されるようになってい
る。
【0053】二次側ポート12とダイヤフラム室50と
を連通させるオリフィスチューブ56が連結部2に設け
られており、二次側ポート12から流出する圧縮空気の
流速が速くなると、ダイヤフラム室50内の圧力が相対
的に低くなる。これにより、ばね室51内の圧縮コイル
ばね52を収縮させる方向の圧力が小さくなり、この圧
縮コイルばね52のばね力により弁体45は弁孔41内
の開度が大きくなり、二次側ポート12から流出する圧
縮空気の流量が増加する。
【0054】一方、もしも二次側ポート12の圧力が設
定圧力よりも高くなると、オリフィスチューブ56を通
って圧縮空気がダイヤフラム室50内に流入することに
なる。この流入空気は、シート49に形成されたリリー
フ孔58を通ってばね室51内に流入し、さらにボンネ
ット47に形成されたブリードポート59を通って外部
に排出される。
【0055】このような構造の圧力制御弁にあっては、
一次側ポート11から流入した圧縮空気は、フィルタエ
レメントにより塵埃、水滴そしてミスト分が除去されて
清浄化された空気が二次側ポート12に流出するととも
に、ここから流出する圧縮空気の圧力は、圧縮コイルば
ね52により設定された所定の二次側圧力P2 に減圧さ
れることになる。
【0056】前記それぞれの実施例のエアフィルタにあ
っては、第1フィルタエレメント21と第2フィルタエ
レメント22はそれぞれの束ね部21c,22cを除い
て多孔質中空糸膜21a,22aを混在させるようにし
て、多孔質中空糸膜21aと22aとが少なくとも一部
において接触するようにしているが、図8に示すよう
に、それぞれの多孔質中空糸膜21a,22aの先端部
のみを相互に混在させるようにしても良い。なお、図8
において符号38は、第1フィルタエレメント21の多
孔質中空糸膜21aと第2フィルタエレメント22の多
孔質中空糸膜22aとが混在した部分を示す。
【0057】さらに、他の実施例としては、第2フィル
タエレメント22を構成する多孔質中空糸膜22aの細
孔26の平均内径つまり分画特性を0.5μm程度に設定
しても良く、その場合には、前記実施例の場合よりも粒
径の大きい0.5μm以下の塵をも第2フィルタエレメン
ト22から水滴とともに外部に排出することが可能とな
る。
【0058】以上、本発明者によってなされた発明を実
施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例
に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲
で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0059】たとえば、第1および第2フィルタエレメ
ント21,22をフィルタハウジング14内に組み込む
ことなく、それぞれの多孔質中空糸膜21a,22aを
混在させた状態で、直接、フィルタ本体3内に配置する
ようにしても良い。
【0060】さらに、第1フィルタエレメント21の多
孔質中空糸膜21aの外面に対する処理を、水滴のみな
らず、油分をもはじく程度に強い疎水性つまり撥水性を
有する程度まで高めれば、水のみならず油分をも分離す
ることができる。このような構成に併せて第2フィルタ
エレメント22の細孔26の平均内径を、前述のように
0.5μm程度にまで、第1フィルタエレメント21の平
均内径よりも大きく設定すると、水と油分と固形分とを
排水口18から外部に流出させることが可能となる。
【0061】また、それぞれの多孔質中空糸膜21a,
22aを図示するように2つ折りに折り曲げることな
く、真っ直ぐな多孔質中空膜を用いるようにしても良
い。その場合には、先端部を閉塞し基端部を開口させる
ようにして、それぞれのフィルタエレメントの先端部側
を混在させるようにする。
【0062】そして、多孔質中空糸膜21aはその素材
自体が疎水性となっているが、外表面のみを疎水性に処
理することにより、疎水性を有する多孔質中空糸膜21
aとしても良い。つまり、少なくとも外表面が疎水性を
有していれば良い。同様に、多孔質中空糸膜22aはそ
の素材自体が親水性となっているが、外表面のみを親水
性に処理することにより、親水性を有する多孔質中空糸
膜22aとしても良い。つまり、少なくとも外表面が親
水性を有していれば良い。
【0063】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代
表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、
下記のとおりである。
【0064】(1).第1フィルタエレメントを構成する多
孔質中空糸膜は疎水性を有しているので、第1フィルタ
エレメントに付着した水滴は塵等の固形物とともにはじ
かれることになり、水滴が除去された清浄な空気のみが
二次側ポートに流出し、この二次側ポートに接続される
空気圧機器には清浄な空気が供給される。
【0065】(2).第1フィルタエレメントの多孔質中空
糸膜の外面からはじかれた水滴は、第1フィルタエレメ
ントの多孔質中空糸膜に混在して配置された第2フィル
タエレメントの多孔質中空糸膜の外面に引き寄せられ、
この多孔質中空糸膜の細孔から排水口に案内されるの
で、第1フィルタエレメントの多孔質中空糸膜は目詰ま
りを起こすことがなくなる。
【0066】(3).第1フィルタエレメントの目詰まりが
発生しなくなるので、フィルタエレメントの交換期間が
飛躍的に長くなり、フィルタの信頼性と耐久性が大幅に
向上する。
【0067】(4).排水受け容器を設けず、排出口から直
接外部へ水滴を取り出し、排出口から定常的にエアとと
もに水滴を排出するか、可変絞り弁を用いて空気を排出
させることでエアフィルタの取付け姿勢を制限すること
なく、スペースの有効利用、エアフィルタの外観の自由
度が格段に向上する。
【0068】(5).排気口に絞り弁を設けることにより、
この部分から流れるエアの浪費を最小限にすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるエアフィルタを示す断
面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】図2に示された多孔質中空糸膜を示す拡大断面
図である。
【図4】本発明の他の実施例であるエアフィルタを示す
断面図である。
【図5】図4の要部拡大断面図である。
【図6】エアフィルタに設けられる可変絞り弁を示す断
面図である。
【図7】本発明の他の実施例であるエアフィルタを示す
断面図である。
【図8】本発明の他の実施例に係るエアフィルタのフィ
ルタエレメントを示す拡大図である。
【符号の説明】
1 ケース部 2 連結部 3 フィルタ本体 4 カバー 5,6 凹凸部 7 止め具 8 エレメント収容室 9 ねじ孔 11 一次側ポート 12 二次側ポート 13 案内流路 14 フィルタハウジング 15 雄ねじ部 16 二次側ポート 17 連通孔 18,19 排水口 20 排水管 21 第1フィルタエレメント 21a 多孔質中空糸膜 21b 開口部 21c 束ね部 22 第2フィルタエレメント 22a 多孔質中空糸膜 22b 開口部 22c 束ね部 23 中空孔 24 内面 25 外面 26 細孔 31 ルーバ 32 排水受け容器 33 排気ポート 34 絞り弁 35 ニードル軸 36 ねじ部材 41 弁孔 42 連通流路 43 弁棒 44 弁座 45 弁体 46 圧縮コイルばね 47 ボンネット 48 ダイヤフラム 49 ダイヤフラムシート 50 ダイヤフラム室 51 ばね室 52 圧縮コイルばね 53 調整ねじ 54 リテーナ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/22 B01D 63/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体が流入する一次側ポート、流体を排
    出する二次側ポート、および前記一次側ポートから流入
    した流体内に含まれる水滴を排出する排水口を有するエ
    アフィルタ本体と、 それぞれ外面と中空穴の内面とを連通させる多数の細孔
    が形成されかつ疎水性を有する多孔質中空糸膜を、多数
    本それぞれの前記中空穴の開口部を前記二次側ポートに
    臨ませて前記エアフィルタ本体内に配置される第1フィ
    ルタエレメントと、 それぞれ外面と中空穴の内面とを連通させる多数の細孔
    が形成されかつ親水性を有する多孔質中空糸膜を、多数
    本それぞれの前記中空穴の開口部を前記排水口に臨ませ
    て前記エアフィルタ本体内に配置される第2フィルタエ
    レメントとを有し、 前記第1フィルタエレメントの多孔質中空糸膜と前記第
    2フィルタエレメントの多孔質中空糸膜とを混在させ、
    前記一次側ポートから流入した流体をそれぞれの前記多
    孔質中空糸膜に案内する案内流路を前記エアフィルタ本
    体に形成することを特徴とするエアフィルタ。
  2. 【請求項2】 前記排水口を水滴とともに流れる排気空
    気の流量を絞る絞り手段を有する請求項1記載のエアフ
    ィルタ。
  3. 【請求項3】 流体が流入する一次側ポート、減圧され
    た流体を排出する二次側ポート、および前記一次側ポー
    トから流入した流体に含まれる水滴を排出する排水口を
    有するエアフィルタ本体と、 前記エアフィルタ本体に形成された弁孔内に摺動自在に
    設けられ、前記弁孔を開閉する弁体を有する弁棒と、 前記二次側ポートの流体の圧力に応じて前記弁体の開度
    を調整する弁開閉手段と、 それぞれ外面と中空穴の内面とを連通させる多数の細孔
    が形成されかつ疎水性を有する多孔質中空糸膜を、多数
    本それぞれの前記中空穴の開口部を前記弁孔を介して前
    記二次側ポートに臨ませて前記エアフィルタ本体内に配
    置される第1フィルタエレメントと、 それぞれ外面と中空穴の内面とを連通させる多数の細孔
    が形成されかつ親水性を有する多孔質中空糸膜を、多数
    本それぞれの前記中空穴の開口部を前記排水口に臨ませ
    て前記エアフィルタ本体内に配置される第2フィルタエ
    レメントとを有し、 前記第1フィルタエレメントの多孔質中空糸膜と前記第
    2フィルタエレメントの多孔質中空糸膜とを混在させ、
    前記一次側ポートから流入した流体をそれぞれの多孔質
    中空糸膜に案内する案内流路を前記エアフィルタに形成
    することを特徴とするエアフィルタ。
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