JP3322952B2 - 希土類元素除去用吸着剤及びそれを用いた吸着分離法 - Google Patents

希土類元素除去用吸着剤及びそれを用いた吸着分離法

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JP3322952B2
JP3322952B2 JP24722493A JP24722493A JP3322952B2 JP 3322952 B2 JP3322952 B2 JP 3322952B2 JP 24722493 A JP24722493 A JP 24722493A JP 24722493 A JP24722493 A JP 24722493A JP 3322952 B2 JP3322952 B2 JP 3322952B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希土類元素の吸着剤、
特に放射性廃棄物再処理工場等で発生する放射性廃液中
から、超ウラン元素等の希土類元素を除去する際に有効
な吸着剤及びそれを用いた吸着分離法に関する。
【0002】
【従来の技術】我が国においては、使用済み核燃料に対
しては、再処理によりU、Puを回収し、残りの放射性
廃液をガラス固化する方法が採択されている。この放射
性廃液中には、Cs、Sr、Ruなどの核分裂生成物の
他に、微量のNp、Am、Cmなどの超ウラン元素(T
RUと略記)が含まれている。これらTRUの中には、
例えば243Amや245Cmのように、半減期が5000年
以上にも及ぶα放射体があり、放射性廃液中に含まれる
TRUを分離し、これを効果的に貯蔵管理または適切に
処分することが必要とされている。
【0003】従来から放射性廃液からのTRUの除去プ
ロセスの開発が行われており、硝酸水溶液中のランタノ
イド元素や、TRUを含むアクチノイド元素等の希土類
元素を効率的に捕捉可能な二座配位有機燐酸抽出剤、特
にカルバミルメチレン燐酸エステル(CMPと略記)や
カルバミルメチレン燐酸(CMPOと略記)等を利用し
た溶媒抽出プロセスが有効であることが知られている。
ところが、このプロセスは液/液接触による溶媒抽出法
であるために、装置が非常に大規模となるばかりでな
く、多量の二次廃液が発生するという問題があった。
【0004】このような問題に対処する目的で、CMP
やCMPO等の抽出剤を高分子担体中に含浸させた吸着
剤を用いたプロセスの開発が進められている。本発明者
らは、例えば低架橋度スチレン−ジビニルベンゼン共重
合体等の、膨潤性で、特定の細孔径及び細孔容積を有す
る多孔質高分子担体中に、ジヘキシルジエチルカルバミ
ルメチレン燐酸エステル(DHDECMPと略記)等の
CMPを含浸させた超ウラン元素除去用吸着剤を既に特
許出願している(特開平3−225299号公報及び特
開平3−264899号)。この吸着剤を用いることに
より、放射性廃液からTRUを効率よく吸着分離するこ
とができる。
【0005】一方、CMPOは、TRUを含む希土類元
素に対する吸着容量が大きいことが知られており、この
CMPOを上記多孔質高分子担体等に含浸させることに
より、さらに優れた吸着性能を有する吸着剤が得られる
ことが期待されていた。しかし、このCMPOは融点が
高く、例えば融点を越える温度で多孔質担体へ含浸させ
たとしても、その吸着剤をカラムに充填し、例えば30
℃程度でカラム法により吸着分離させた場合、CMPO
が高粘度であることから、吸着除去すべき希土類元素の
CMPO中での移動速度が遅く、高い吸着速度が得られ
ないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明におけ
る課題は、CMPOを抽出剤として用いた吸着剤であっ
て、常温でも吸着速度の速い、高性能の吸着剤を提供す
ることにある。本明細書において、抽出剤とは、希土類
元素を選択的に捕捉する能力をもつ物質を指称し、吸着
剤とは、その抽出剤を例えば多孔質担体等に固定した固
体抽出剤を意味するものとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、CMPO
とCMPとの混合物を、多孔質担体中に含浸させたこと
を特徴とする希土類元素除去用吸着剤によって解決でき
る。以下に、本発明の希土類元素用吸着剤について詳細
に説明する。本発明の希土類元素用吸着剤(以後、吸着
剤と略記する)は、CMPOとCMPの混合物からなる
抽出剤を、多孔質担体に含浸させて形成されている。
【0008】ここで、CMPO及びCMPとは、3価の
希土類元素に優れた抽出性能を有する二座配位有機リン
化合物であるカルバミルメチレン燐酸とその誘導体、及
びカルバミルメチレン燐酸エステルとその誘導体を各々
意味している。CMPOとしては、オクチル(フェニ
ル)−N,N−ジイソブチルカルバミルメチレン燐酸
(oφD(iB)CMPOと略記)、ジヘキシル−N,
N−ジエチルカルバミルメチレン燐酸(DHDECMP
Oと略記)等が好ましく、CMPとしては、ジヘキシル
−N,N−ジエチルカルバミルメチレン燐酸エステル
(DHDECMPと略記)等が好ましい。
【0009】例えば、CMPOとしてoφD(iB)C
MPOを用い、CMPとしてDHDECMPOを用いた
場合、CMPOの融点は45℃であるので、常温では固
体であり、50℃においてもその粘度は104cpであ
る。それに対して、CMPは、常温(25℃)における
粘度が25cpと低粘度である。本発明の吸着剤にあっ
ては、このCMPOとCMPとを、その混合物が常温で
流動性を有するような割合で混合したものを抽出剤とし
て用いる。その混合割合は、特に限られるものではない
が、CMPOをおよそ10%〜90%程度含むのが好ま
しい。CMPOが90%以上であると抽出剤の低粘度化
が達成されず、10%以下であるとCMPOの優れた抽
出性能が発現しなくなる。
【0010】また、本発明で使用されるCMPは、上記
DHDECMPOに限定されるものではなく、他のCM
P誘導体も好適に用いられる。さらに、CMPの代わり
に、常温で液体であり、CMPOを希釈して低粘度化で
きる物質を用いてもよい。そのような物質としては、T
RU等の希土類元素を捕捉する能力があり、CMPOと
共同して希土類金属の抽出効果を高めるものが好まし
い。そのような物質としては、例えば、CMP異性体の
他、トリブチルホスフェート(TBP)、トリアクリル
ホスフィンオキシド(TOPO)、トリ−n−オクチル
アンモニウムニトレート(TOAHNOS)、ビス
(2,6−ジメチル−4−ヘプチル)ホスホリックアシ
ッド(HD(DIBM)P)、ジ−2−エチルヘキシル
ジチオイックアシッド(D2EHDTP)、ジブチル−
N,N−ジエチルカルバミルホスホネート(DBDEC
P)、メチレンビスジヘキシルホスフィンオキシド(M
HDPO)などが挙げられる。
【0011】このようなCMPOとCMPの混合物から
なる抽出剤を含浸させる多孔質担体としては、多孔質高
分子担体等が好適に用いられる。この多孔質高分子担体
は、疎水性、親水性いずれの性質を有する高分子樹脂か
らなってもよいが、例えば、その細孔径や粒子径の調整
が容易な低架橋度のスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体(SDBと略記)やアクリル酸エステル樹脂等が好ま
しい。この多孔質高分子担体の形状は特に限定されるも
のではないが、カラムへの充填効率を考慮すると粒状が
好ましい。特に粒子径が小さいほど、被処理液との接触
面積が増大し、短時間でTRU等の希土類元素を吸着分
離することができるので好ましい。
【0012】多孔質高分子担体は、抽出剤を多量かつ均
一に含浸可能なように、低架橋度であり適宜の細孔径と
細孔容積とを有するものが好ましい。例えばSDB粒子
を使用した場合には、架橋度を3%〜30%、平均細孔
径を700オングストローム〜3000オングストロー
ム、平均細孔容積を0.7ml/g〜2.2ml/g程
度とすることが好ましい。架橋度が3%未満であるとS
DB粒子の強度が低下し、架橋度が30%より大きいと
膨潤性が低下するために抽出剤を均一に含浸しにくくな
る。また、平均細孔径が3000オングストローム以上
であるとSDB粒子中の細孔容積が大きくなりすぎるた
めに強度が低下し、700オングストローム未満である
と抽出剤の含浸量が低下してしまう。さらに、平均細孔
容積が2.2ml/g以上であると強度が低下し、0.
7ml/g未満であると、抽出剤が含浸されて吸着剤粒
子が膨潤した際に、被処理液の通路となる空隙が存在し
なくなるので、吸着速度が低下する。
【0013】上述したような、本発明の吸着剤を製造す
るには、まず適宜の架橋度、粒子径、細孔径及び細孔容
積を有する高分子樹脂からなる多孔質高分子担体を、例
えば懸濁重合法等により製造する。この多孔質高分子担
体の製造方法は、懸濁重合法以外にも、多孔質高分子粒
子を作製するのに従来から使用されている方法が用いら
れ、特に限定されるものではない。例えば、多孔質高分
子担体が粒状のものである場合には、特開昭61−25
2202号公報、あるいは、特開平3−225299及
び特開平3−264899公報に記載されたような、二
重ノズル振動法等が好適に使用される。
【0014】次いで、その多孔質高分子担体を前記抽出
剤中に浸漬し、抽出剤を多孔質高分子担体中に含浸させ
る。含浸条件は、多孔質高分子担体の種類、物性及び抽
出剤の種類等によって適宜選択される。例えば、多孔質
高分子担体としてSDB粒子を用い、抽出剤としてoφ
D(iB)CMPOとDHDECMPとの1:1混合物
を用いた場合には、SDB粒子をその抽出剤中に浸漬し
て、70℃で24時間程度攪拌した後、SDB粒子を濾
別し、数回水洗してSDB粒子の細孔内の余剰の抽出剤
を除去する。そして、例えば真空乾燥炉内において60
℃で3時間程度乾燥させることにより、本発明の吸着剤
を得る。
【0015】次に、この吸着剤を用いた希土類元素の吸
着分離法について説明する。図5は、本発明の吸着分離
法の一実施例を示す図であり、図中1は本発明の吸着剤
である。まず、その吸着剤1を、カラムクロマトグラフ
ィー用のカラム2に充填する。次に、カラム2のコック
3を閉鎖した状態で、希土類元素を含む被処理液10を
カラム入口4から流入する。すると、吸着剤1と接触し
た被処理液10中から、希土類元素が抽出剤によって抽
出され捕捉される。次に、前記コック3を開放すると、
カラム出口5からは、TRU等の希土類金属が吸着分離
された被処理液が流出する。例えば、この被処理液10
がTRUを含む放射性廃液である場合、上記本発明の吸
着分離法によってTRUは除去され、TRUが吸着され
た吸着剤は、乾留等によって減容し、所定の方法に従っ
て処分される。
【0016】また、本発明にあっては、1回の吸着分離
操作が終了し、TRU等の希土類元素が吸着された吸着
剤が充填されているカラムに、蒸留水を流すことによ
り、吸着剤に吸着された希土類元素を脱着し、蒸留水と
共に流出させるのが好ましい。例えば、カラム容量の約
30倍量の蒸留水を、30℃で流すことにより、吸着剤
に吸着していた希土類元素をほぼ完全に脱着することが
できる。本発明の吸着剤にあっては、そのような脱着操
作を経ても、多孔質高分子担体中に含浸された抽出剤は
殆ど失われることがないので、その吸着剤を用いて2回
目の吸着分離操作を行っても、吸着分離性能の低下はみ
られない。従って、吸着分離及び脱着の操作を複数回繰
り返した後、本発明の吸着剤を上記したように乾留等に
よって減容し処理するのが好ましい。
【0017】上記説明では、カラムクロマトグラフィー
法を用いた吸着分離法について述べたが、本発明の希土
類元素の吸着分離法は、それに限られるものではなく、
本発明の吸着剤と、希土類元素を含む被処理液とが、固
/液接触することが可能な手段であれば如何なる方法を
用いてもよい。なお本発明の吸着剤は、多孔質高分子担
体中に抽出剤を含浸させたものであるから、TRUのみ
ならず抽出剤と配位可能な希土類元素、例えばランタノ
イド元素及びアクチノイド元素等の分離に利用すること
ができるのは言うまでもない。
【0018】以上述べたように、本発明の吸着剤は、C
MPOとCMPとの混合物を抽出剤としているため、そ
の抽出剤は常温付近でも低粘度であり、TRU等の希土
類元素に対して優れた抽出能を持つ。従って、その抽出
剤を多孔質担体に含浸させてなる本発明の吸着剤は、希
土類元素の吸着速度が速く、例えばTRUを含む放射性
廃液から、TRUを効率よく吸着分離することができ
る。また、本発明の吸着剤は、例えば蒸留水を流すだけ
で吸着した希土類元素を脱着することができ、しかも、
その脱着処理によっても抽出剤が失われ難いため、複数
回の処理に使用することができる。
【0019】以下に、実施例により本発明をさらに詳細
に説明する。 (実施例1)CMPOとしてoφD(iB)CMPOを
用い、CMPとしてDHDECMPOを用いて、それら
を重量比1:1の割合で混合したものを抽出剤とした。
その抽出剤は、常温で液体であった。次に、多孔質高分
子担体として、SDB粒子を懸濁重合法により作製し
た。その多孔質高分子担体の架橋度は5%であり、粒径
は100〜200μm、平均細孔容積は1.5ml/g
であった。このSDB粒子を上記抽出剤中に浸漬し、7
0℃で24時間攪拌して抽出剤をSDB粒子中に含浸さ
せた。この抽出剤を含浸させたSDB粒子を濾別した
後、70℃の温水で数回洗浄して余剰の抽出剤を除去
し、真空乾燥炉内で60℃、3時間乾燥させて本実施例
の吸着剤を得た。得られた吸着剤中の抽出剤含有量は、
SDB粒子1gにつき1.9〜2.0gであった。
【0020】(実施例2)実施例1で作製した吸着剤
を、図5に示すような、内径15mm、長さ1mの円筒
状のカラムクロマトグラフィー用カラムに充填した。吸
着分離すべき希土類元素としてセリウムを用いた。即
ち、Ce(NO33を240ppmの濃度で含む1mo
l/lのAl(NO33水溶液を被処理液とした。上記
のカラムに、30℃で被処理液を流入して、被処理液中
のセリウムを吸着分離させた。カラム出口から流出した
液中のセリウム濃度を発光分析により測定した。図1は
破過曲線と呼ばれ、流した被処理液の液量に対して、流
出液中のセリウム濃度をプロットしたものである。本実
施例で得られた破過曲線を図1(a)に示す。
【0021】(実施例3)実施例1の吸着剤を用い、吸
着分離時の温度を50℃とした以外は実施例2と同様に
してセリウムを吸着分離した。その破過曲線を図2
(a)に示す。
【0022】(比較例1)CMPOを抽出剤とし、それ
を実施例1と同様のSDB粒子に含浸させた吸着剤を作
製した。その吸着剤を用いて、実施例2及び3と同様に
30℃及び50℃でセリウムを吸着分離した。得られた
破過曲線を図1(b)及び図2(b)に各々示す。
【0023】(比較例2)CMPを抽出剤とし、それを
実施例1と同様のSDB粒子に含浸させた吸着剤を作製
した。その吸着剤を用いて、実施例2及び3と同様に3
0℃及び50℃でセリウムを吸着分離した。得られた破
過曲線を図1(c)及び図2(c)に各々示す。
【0024】CMPOのみを抽出剤として含浸した吸着
剤を用いた比較例1の結果から、この吸着剤の30℃に
おける吸着速度は遅く、流出開始時から吸着されないセ
リウムが流出してしまうことがわかる。しかし、50℃
においては、カラム容量の約50倍量まではセリウムは
流出せず、それを越えると流出液中のセリウム濃度が急
激に増加した。これは、温度を上げることによりCMP
Oが低粘度化され、セリウムの移動速度が増加すること
により吸着速度が向上したためと考えられる。
【0025】CMPのみを抽出剤とした吸着剤を用いた
比較例2では、カラム容量の約40倍量までは、完全に
セリウムを吸着分離されており、流出液にはセリウムが
含まれていないが、それを越えると、流出液中のセリウ
ム濃度は急激に増加し、約100倍量付近で、被処理液
と同じセリウム濃度となった。即ち、約100倍量で、
吸着剤に含浸されたCMPのセリウム抽出能が飽和され
たものと考えられる。また、この挙動は30℃でも50
℃でも同様であった。CMPは、この温度範囲では液体
であり、粘度の変化が殆どないためと考えられる。
【0026】一方、CMPOとCMPの1:1混合物を
抽出剤として含浸した吸着剤を用いた実施例2では、1
00倍量以上の被処理液が通過するまでセリウムは流出
せず、その後急激に立ち上がる破過曲線が得られ、50
℃での破過曲線(実施例3)でもほぼ同様であった。こ
のことから、CMPと混合することによってCMPOが
低粘度化され、セリウムの移動速度が増加して吸着速度
が向上したことがわかる。さらに、図2を見ると、実施
例3の破過曲線は、低粘度化されたCMPOを用いた比
較例2の破過曲線より高液量側にある。即ち、CMPO
とCMPとを混合することにより、それらが共同効果を
発揮して、CMPO単独の場合より高い抽吸着性能を発
現するようになったと考えられる。
【0027】(実施例4)実施例2においてセリウムの
吸着分離に使用し、セリウムが吸着された吸着剤が充填
されているカラムに、30℃で蒸留水を流入し、セリウ
ムの脱着を行った。流出液中のセリウム濃度を測定し、
流した蒸留水の液量に対してプロットした。結果を図3
(a)に示す。
【0028】(実施例5)実施例3においてセリウムの
吸着分離に使用したカラムを用い、蒸留水温度を50℃
として、実施例4と同様にセリウムを脱着した。結果を
図4(a)に示す。
【0029】(比較例3)比較例1の、CMPOのみを
抽出剤とした吸着剤につき、実施例4及び5と同様にセ
リウムの脱着を行った。30℃での結果を図3(b)
に、50℃での結果を図4(b)に各々示す。
【0030】(比較例4)比較例2の、CMPのみを抽
出剤とした吸着剤につき、実施例4及び5と同様にセリ
ウムの脱着を行った。30℃での結果を図3(c)に、
50℃での結果を図4(c)に各々示す。
【0031】これらの結果から、CMPOのみの抽出剤
を含浸させた吸着剤を用いた場合、その脱着速度も遅
く、カラム容量の約50倍量の蒸留水を通過させないと
完全に脱着できない。しかし、CMP単独の場合は、蒸
留水を通過させると即座に脱着が起こり、約10倍量の
蒸留水の通過で脱着することができる。一方、本発明の
吸着剤を用いた場合では、CMPを混合して低粘度化す
ることによりCMPOに比較して脱着速度を改善するこ
とができ、30℃では約30倍量、50℃では約20倍
量の蒸留水を通過させることにより、吸着したセリウム
を脱着することができた。
【発明の効果】本発明の吸着剤は、CMPOとCMPと
の混合物を抽出剤としているため、その抽出剤は常温で
も低粘度であり、TRU等の希土類元素に対して優れた
抽出能を持つ。従って、その抽出剤を多孔質担体に含浸
させてなる本発明の吸着剤は、希土類元素の吸着速度が
速く、例えばTRU等を含む放射性廃液から、TRUを
選択的に効率よく除去することができる。また、本発明
の吸着剤は、例えば蒸留水を流すだけで吸着した希土類
元素を脱着することができ、しかも、その処理によって
も抽出剤が失われ難いため、複数回の廃液処理に使用す
ることができる。さらに本発明の吸着剤は、多孔質高分
子担体と抽出剤とのいずれもが有機化合物であるため
に、乾留等の操作により容易に減容することもでき、二
次廃液が発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)CMPOとCMPとの1:1混合物、
(b)CMPO、及び(c)CMPを抽出剤とした吸着
剤を用いて、30℃で被処理液中のセリウムを吸着分離
したときの破過曲線を示す図である。
【図2】(a)CMPOとCMPとの1:1混合物、
(b)CMPO、及び(c)CMPを抽出剤とした吸着
剤を用いて、50℃で被処理液中のセリウムを吸着分離
したときの破過曲線を示す図である。
【図3】(a)CMPOとCMPとの1:1混合物、
(b)CMPO、及び(c)CMPを抽出剤とした吸着
剤から、30℃の蒸留水で吸着したセリウムを脱着させ
たときの、流出液のセリウム濃度変化を示すグラフであ
る。
【図4】(a)CMPOとCMPとの1:1混合物、
(b)CMPO、及び(c)CMPを抽出剤とした吸着
剤から、50℃の蒸留水で吸着したセリウムを脱着させ
たときの、流出液のセリウム濃度変化を示すグラフであ
る。
【図5】本発明の希土類元素吸着分離法の一実施例を示
す図である。
【符号の説明】
1 吸着剤 2 カラム 3 コック 4 カラム入口 5 カラム出口 10 被処理液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 健二 千葉県柏市高田1201 財団法人 産業創 造研究所 柏研究所内 (72)発明者 遠藤 芳浩 東京都江東区豊洲三丁目2番16号 石川 島播磨重工業株式会社 豊洲総合事務所 内 (72)発明者 高橋 千里 東京都江東区豊洲三丁目2番16号 石川 島播磨重工業株式会社 豊洲総合事務所 内 (56)参考文献 特開 昭63−208798(JP,A) 特開 昭63−208799(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルバミルメチレン燐酸と、カルバミル
    メチレン燐酸エステルとの混合物を、多孔質担体中に含
    浸させてなることを特徴とする希土類元素除去用吸着
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の吸着剤をカラムに充填
    し、そのカラム中に希土類元素を含む被処理液を流し
    て、当該希土類元素を前記吸着剤に吸着させて分離する
    ことを特徴とする希土類元素吸着分離法。
JP24722493A 1993-10-01 1993-10-01 希土類元素除去用吸着剤及びそれを用いた吸着分離法 Expired - Lifetime JP3322952B2 (ja)

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