JP3321165B2 - 改善された静脈弁カッター - Google Patents

改善された静脈弁カッター

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JP3321165B2
JP3321165B2 JP51850193A JP51850193A JP3321165B2 JP 3321165 B2 JP3321165 B2 JP 3321165B2 JP 51850193 A JP51850193 A JP 51850193A JP 51850193 A JP51850193 A JP 51850193A JP 3321165 B2 JP3321165 B2 JP 3321165B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、四肢を圧迫する慢性局所貧血のため動脈再
建を必要とする患者に対して本来動脈があるべき位置に
バイパスを形成するために、葉状の静脈弁を切除するこ
とに関する。さらに詳しくは、本発明は、改善された独
特のカッティング面と洗浄システムとを有する動脈弁カ
ッターに関する。カッテイング面は葉状弁の切除を容易
にする。また、洗浄システムは、カッターを導入したり
引き抜いたりする場合の静脈内皮での摩擦を最小にす
る。
四肢を圧迫する通常の慢性局所貧血は大腿脛骨の閉塞
障害であり、代表的には、より大きな伏在静脈をバイパ
ス管として使用して治療が行なわれる。従来、この静脈
は、当該患者から取り出されていた。そして、静脈の葉
状弁は血液を一方向にしか流さないのでこの問題を解決
するために静脈を裏返して使用してきた。裏返された伏
在静脈の末端部は大腿動脈に移植接続され、その基端部
は閉塞部をまたいで流出動脈に移植接続される。
伏在静脈を裏返してバイパス管として使用することに
は、特有の問題が多くある。伏在静脈は、その基端部は
太くて2〜3mmの末端の流出血管へと吻合することがで
きるが、末端部は細くて、新しく接合された親血管から
の十分な動脈流の流入を許容しない。また、伏在静脈は
取出しや、裏返しや、再配置の工程の際に、本体がねじ
れたり圧縮されたりしてダメージを受ける。また、取出
しや再配置の工程において、非常に敏感な静脈内皮層の
状態を維持するのは非常に困難である。さらに、前記工
程は、血管への血液供給(脈管の脈管)を害する。
体内に存在する静脈の取出し、裏返し、および再配置
をすることなく、そのままの状態で使用してバイパスを
行えば、すなわち、“インサイチュー静脈バイパス(in
−situ vein bypass)”を行えば、静脈の取出し、裏返
し、および再配置に関するほとんどの問題を解決するこ
とができる。このことは通常、大腿脛骨の閉塞障害の治
療において、伏在静脈内で弁カッターを移動させて葉状
弁を切除することにより達成されている。
カレルやガスリーにより開示された技術は小さな血管
の吻合を必要とするので、外科医たちは、鼠径部下方の
末端の血管再生を試みた。伏在静脈をそのまま使用して
バイパスを行う技術の利点は、第1に、移植部を適切な
方向に向けて先細にして細い端部を細い動脈末端部に吻
合できることである。これにより、両吻合部における血
行が改善される。第2の利点は、静脈の内皮層保護のた
めに外皮から静脈への血液供給が確保できるというこう
である。
一般的に、インサイチュー静脈バイパスを行うにあた
っては、静脈の末端部を大腿動脈に吻合して動脈流を静
脈内に導くか、食塩水をカニューレを通して静脈内に循
環させて、血管を膨張させるとともに弁を閉じるのに必
要な圧力を提供している。このようなことが行なわれる
のは、弁カッターと閉塞状態にある葉状弁とが接触して
葉状弁が切断されることを確実にするためである。すべ
ての葉状弁が切除されてしまえば、静脈は、動脈バイパ
ス管として使用するのに適切なものとなる。
残念ながら、現在使用されている弁カッターでは、静
脈内皮にダメージを与えることなく、つまり静脈内壁に
カッターが接触することを防止しつつ、弁を有効かつ一
様に切除することは非常に困難である。現在使用されて
いる弁カッター装置の多くは操作が困難である。装置の
心合わせや、葉状弁を適切に捕らえて切除することが困
難であり、静脈に相当のダメージを与えてしまう。それ
は、カッターヘッドと静脈壁の内膜とが接触してしま
い、その場所において、血管壁に連なっている葉状弁を
切除してしまうからである。
米国特許第3837345号明細書(タイトル:静脈弁スニ
ッパー)は、弁を切除した静脈を移植して、閉塞した動
脈をバイパスする装置を開示している。この装置は、イ
ンサイチューに使用されるものではない。その器具に
は、閉位置と開位置とがあり、静脈弁を通過して血液流
の方向へと移動し、開き、そして引き抜かれる。鋭いス
パイクが静脈葉状弁に突き刺さり、はさみを操作するよ
うに装置を閉じることにより葉状弁が切除される。
米国特許第4493321号明細書(タイトル:葉状弁のイ
ンサイチュー切除を行うための静脈弁カッター)は、動
脈バイパスを行うため、インサイチューに使用される静
脈を調製するための逆矢じり形状の弁カッターを開示し
ている。この弁カッターは、丸いリーダーと、保護サポ
ート内に配置されたカッティングブレードと、捩りに対
して剛性を有しておりリーダーとカッティングブレード
とを接続するロッドと、カッティングブレードの保護サ
ポートに縫合材で取り付けられたカテーテルとを備えて
いる。この弁カッターは、静脈内の基端部と末端部とに
切開部を形成し、カテーテルから流体を導入して切除前
の弁を閉じるとともに静脈に弁カッターを取り付けて引
き下げ、そして弁カッター組立体を基端部に形成された
切開部に戻すようにして使用される。この装置は、その
方向を連続的に制御して、カッティングブレードが有用
な静脈の枝の狭い部分の壁を捕らえて切除することがな
いように、かつ、各弁の両方の葉状部を確実に切除でき
るようにする必要がある。
米国特許第5047041号明細書(タイトル:静脈弁のイ
ンサイチュー切除を行うための外科装置)は、ケーブル
に取り付けられた円形のカッターヘッドが、同じくケー
ブルに取り付けられた膨張セグメントに先導される弁カ
ッターを開示している。円形のカッティングエッジは、
一連の丸められた案内歯を有している。葉状弁と係合し
て切除する切断溝内へと、案内歯が葉状弁を導く。残念
ながら、この案内歯は丸められており鋭くないので、葉
状弁の切断が開始される前に、当該葉状弁を引張り、伸
ばし、引き裂いてしまう。
発明の概要 したがって、本発明は、葉状弁のインサイチュー切除
に使用される改善された静脈弁カッターに関する。本発
明の静脈弁カッターは、血管内皮における摩擦力を最小
に抑え、かつ、カッティング面と静脈壁の内膜との不慮
の接触を防止するとともに、安全、有効、かつ一様に、
葉状弁を切除する。
本発明の重要な目的は、葉状弁のインサイチュー切除
に使用されるカッターであって、葉状弁と血管内壁との
接続部を引っぱたり、伸ばしたり、裂いたりしない静脈
弁カッターを提供することである。
本発明の他の重要な目的は、インサイチュー動脈バイ
パスのために、切断ブレードを用いて静脈弁を切除する
ことである。切断ブレードのカッターヘッドは、葉状弁
と当接するとほとんど同時に突き刺さる。
本発明の他の目的は、交換可能なカッターヘッドを備
えた静脈弁カッターを提供することである。このような
静脈弁カッターによれば、外科医はテーパ状の血管内腔
に適合するサイズのヘッドを選択することができる。
本発明の他の目的は、一体的な静脈弁切除−洗浄シス
テムを提供することである。このシステムは、弁の洗浄
と開口を行い、弁の切除に先立って血管内を上方に装置
を通過させる際に装置が血管と接触するのを防止するた
めに血管内腔を膨張させて装置の心合わせを容易にす
る。
本発明の他の目的は、洗浄システムを備えた弁カッタ
ーを提供することである。この洗浄システムにおいて
は、流体はカッターヘッド内へと逆流することができ、
カッターヘッドのカッティング面を洗浄し潤滑すること
ができる。
本発明の他の目的は、円筒状部分を備えたカッターヘ
ッドを有する静脈弁カッターを提供することである。こ
の円筒状部分は、静脈内での装置の心合わせを容易にす
る。
本発明の他の目的は、円筒状部分を備えたカッターヘ
ッドを有する静脈弁カッターを提供することである。こ
の静脈弁カッターには、狭い血管内を通過する際にも流
体の通過を容易にするための流路が形成されている。
本発明の改善された静脈弁カッターは、重要な特徴と
して、複数の突出部を有するカッターヘッドを備えてい
る。各突出部はほぼ基端方向に向けられ、スロットによ
り隔てられている。突出部は前端部に平坦な切断エッジ
を有しており、また、突出部はその全長に沿う切断エッ
ジを有している。この結果、突出部は、まず葉状弁に突
き刺さり、そして、カッターが弁内に切り込まれるにつ
れて、スロットのカッティング面が弁の切断を続行す
る。さらに、本発明は弁カッターに使用される独特の洗
浄システムに関する。この洗浄システムにおいては、カ
ッターが血管内を移動する際に、食塩水または他の液体
がカッターヘッドを通過する。これにより、第1に、カ
ッターが血管および弁の通過する際に生じる外傷が最小
限に抑えられ、そして、葉状弁が切除される際の剪断動
作の有効性が高められる。
図面の簡単な説明 新規であると思われる本発明の特徴は、添付の請求の
範囲によって明らかにされる。本発明、並びにその目的
および有利性は、添付の図面を参照しつつ以下の記載を
参照することにより最も良く理解することができるだろ
う。
図1は、水平方向に置かれた本発明の改善された静脈
弁カッターの平面図である。
図2は、図1に示された静脈弁カッターのカッターヘ
ッドおよびリーダーの拡大図である。
図3は、図1に示されたカッターヘッドの拡大立面図
であり、カッターヘッドを突出部側から見た図である。
図3Aは、図1に示されたカッターヘッドの修正例の拡
大立面図であり、カッターヘッドを突出部側から見た図
である。流路が形成されており、狭い血管内を通過する
際にも流体の流れを円滑にする。
図4は、図1に示されたカッターヘッドを図3の4−
4線に沿う位置で示す拡大断面図である。
図4Aは、交換可能な弁カッターヘッドを示す概略図で
ある。
図4Bは、先端が丸いヘッドを示す立面図である。交換
可能なカッターヘッドを使用した場合このヘッドを使用
すると静脈弁カッターの装着が容易になる。
図4Cおよび図4Dは、他の実施例である交換可能な弁カ
ッターヘッド−リーダー一体物の立面図であり、図4E
は、カテーテルの他の実施例の立面図である。図4Eのカ
テーテルは、後述の図9に示されるものにも図4Cおよび
図4Dに示される一体物にもフィットする。
図5は、図1に示された装置のカッターとリーダーと
の組立体部分の拡大図であり、図2の5−5線に沿った
断面図で示されている。
図5Aは、図1に示された装置のカッターとリーダーと
の組立体部分の拡大図であり、図2の5−5線に沿った
断面図で示されている。カッターヘッドおよびステムに
は、任意要素である洗浄ポートが形成されている。
図6A〜図6Iは、図1に示される弁カッターの操作を示
す説明図である。
図7は、本発明に係る連続的に形成されたカッティン
グ表面を平面状に拡げた状態で示す平面図である。
図8は、本発明に係るカッターヘッドを示す拡大断面
図である。葉状弁が切除された場合にカッターヘッドを
逆洗浄する機構が設けられている。
図9は、本発明の改善された静脈弁カッターの他の実
施例を示す拡大図である。血管および弁を切除するカッ
ターヘッドの作用を観察し、切除の有効性を評価するた
めの光学ファイバー要素が採用されている。
好ましい実施例の説明 本発明の改善された静脈弁カッターつまり弁切開器の
全体が参照番号10で図1に示されている。以上には、イ
ンサイチューバイパスを例にとって本発明の弁カッター
を説明しているが、そのような用途に限られるものでは
なく、静脈を裏返さないで移植することが要求されるあ
らゆる手術に適用することができる。例えば、非解剖が
要求される場合の鼠径部下方の末端部におけるバイパス
(例えば、体の深い部分に存在する大腿から前脛骨動脈
へのバイパス)や、鼠径部下方における合成静脈による
バイパスや、大動脈と腎臓とのバイパスの形成等にも適
用することができる。
バルブカッター10は、カッターヘッド12、リーダー1
4、カッターヘッドとリーダーとの間に配置されたステ
ム15、カテーテル16、ハンドル18、およびハブ−インジ
ェクションポート組立体20を備えている。
カッターヘッド12は、体内で使用することが安全で、
かつナイフエッジを保持することができるあらゆる金属
で作ることができる。カッターヘッドの材料としてはス
テンレス鋼が好ましい。本発明のバルブカッターは、例
えば、1.5mm、2.4mm、3.0mm、4.0mmまたは他のサイズの
直径のカッターヘッドを備えることができる。カッター
ヘッドのサイズは、静脈のサイズよりも小さいことが好
ましいが、その選択は任意である。
図2は、ステム15によりリーダー14に接続されたカッ
ター12の拡大図である。カッター12の末端部は切頭円錐
形状部22となっており、その先端部24に形成され開口部
が洗浄ポート26を提供している。洗浄ポート26は、中央
の内腔部27と連通している(図4および図5参照)。洗
浄ポート26の端部28は、血管の内膜へのダメージを最小
限に抑えるために丸められていることが好ましい。
円錐形状部22の直ぐ手前側には、第1円筒状部分30が
位置している。円錐形状部22の表面は、第1円筒状部分
30の表面に滑らかに連なっている。第1円筒状部分30
は、32で表される位置からその周表面が切除されてお
り、第1円筒状部分30の外径よりも僅かに小さい外径を
有する第2円筒状部分34が形成されている。外径の小さ
い第2円筒状部分34が形成されていることにより、カッ
ターが弁を通過したときに血管の内壁がダメージを受け
る危険性がさらに抑えられる。
第2円筒状部分34の基端部には、基端方向に延びる複
数の突出部36が設けられている。突出部36は重要な役割
を果たす部分である。図示された好ましい実施例におい
ては4つの突出部36A、36B、36C、36Dが示されている
が、突出部は少なくとも2つ必要である。また、それ以
上の数の突出部を設けることもできる。各突出部は、第
2円筒状部分34に形成された半楕円のスロット38により
規定される。
スロット38により規定される突出部36A〜36Dの内面側
の端部は、図4に最もよく示されているように、縁40へ
と傾斜している。そして、とがれていて、鋭いカッティ
ング面41を提供している。さらに、突出部の平坦な前端
部42は、その内面の44で示される箇所がとがれており、
同様に鋭いカッティングエッジを提供している。このよ
うにして、カッターヘッド12には、その前方縁46の全周
に沿う複数の面にカッテイング面が連続的に形成されて
いる。カッターヘッド12の前方縁46は図7に示されてい
る。図7においては、カッターヘッド12の壁部が平面状
に広げられた状態で示されている。このような構成によ
り、突出部の平坦な前端部42が葉状弁に刺さる。そし
て、8つの鋭いカッティング面41は、カッターが引かれ
てスロットの頂点43が到達するまで、切断幅を徐々に拡
げながら静脈弁の切断を続ける。そして、弁全体がその
中心からきれいに切除され、カッターヘッド内の45で示
される位置に捕集される(図5参照)。
リーダー14を使用することが好ましいが、本発明にお
ける必須の事項ではない。リーダー14は、強固なステム
15を介してカッターヘッド12に取り付けられている。ス
テム15の軸は、カッターおよびリーダーの両方の軸と一
致している。また、図5に示されているように、ステム
15は中空であって、洗浄ポート26からリーダーの末端部
50に至る内腔部を形成している。剛性を有するスプリン
グをステム15として使用して、スプリングを構成するコ
イル間の隙間により別の洗浄位置が提供されてもよい。
最後に、ステム15は、葉状弁が(リーダーを通過した
後)突出部36A〜36Dの前端部42と当接する前に閉塞する
ことを許容するのに十分な長さであることが必要であ
る。
リーダー14は、円錐状表面70を有している。円錐状表
面70は、円筒状表面72へ連続的につらなっており、さら
に後方の円錐状表面76へとつらなっている。ニップル78
がリーダーの基端部に設けられており、ここにカテーテ
ル16が取り付けられる。
他の実施例においては、密に巻かれたコイルスプリン
グを非伸縮性のシースでカバーすることによりカテーテ
ル16が構成される。コイルスプリングはステンレス鋼で
あることが好ましく、シースは、ポリウレタンのように
表面摩擦が小さく、血栓を生じ難いものが好ましい。こ
のようなコイルをシースでカバーする構造は、長手方向
の剛性を有するとともに、適合性、変形性、柔軟性も備
えており、心合わせが容易である。
カテーテル16は、ポリウレタンまたは他の適切な材料
からなるプラスチックハンドル18に取り付けられてい
る。静脈内に装置を通す際に医師はこのハンドルを握
り、必要があればカッターヘッドを回転させる。しか
し、物理的に装置を回転させない場合であっても、突出
部のカッティングエッジを前進させると、葉状弁には、
周囲から取り囲むように切り込みが形成される。
ハブ−インジェクションポート組合体20は、食塩水源
(図示せず)に接続されている。弁切断に先立って、弁
カッターが血管内に導入されて弁が洗浄され開かれる際
に、食塩水または他の流体が洗浄ポートから流出し、血
管を膨張させて装置の心合わせを助ける。これにより、
血管壁の外傷が最小限に抑えられ、外傷がなく、したが
って血液凝固を引き起こし難い血管壁を維持することが
できる。図5Aに示される他の実施例においては、円錐形
状部22またはステム15に洗浄ポート21が形成されてい
る。これは、洗浄ポート26による洗浄効果を高めるた
め、または、洗浄ポート26がキャップで栓をすることが
可能な場合にそれに代わるものとして形成されている。
本発明の弁カッターは、弁の切除を行う前に基端部の
吻合を行うことができない場合には他の装置よりも特に
有利である。それは、本発明においては、弁カッターに
よる葉状弁の切断を行う際に、弁が閉じられ、したがっ
て弁はその最大表面積をもって切断刃と当接するからで
ある。
さらに、本発明の弁カッターにおいては、小さな光学
ファイバーの束をカッター内の洗浄流路に挿入すること
が可能であり、したがって切断される弁を直接観察する
ことができる。他の実施例においては、図9に示されて
いるように、光学ファイバーの束150が弁カッターのリ
ーダー14内に配置されており、弁を切断する切断面の動
きを外科医が監視することができる。
さらに他の実施例においては、図8に示されているよ
うに、弁カッター12A内において下部の洗浄が行なわれ
る。この実施例においては、食塩水または他の流体がカ
テーテル100からカッターヘッドの後部102へと通され
る。食塩水は後部102に貯まり、ポート104から排出され
る。そして、葉状弁に切り込まれるカッターヘッドの切
断エッジを洗浄し潤滑する。
図6A〜図6Iを参照すると、弁カッター10が静脈112の
基端部110から導入されている。そして、カッターヘッ
ドが前進する前に、ヘパリン化食塩水114が弁カッター
のカッターヘッド内の洗浄ポート26から排出されて、静
脈112を膨張させ潤滑させる。図6Bおよび図6Cに示され
ているように、カッターヘッドは、葉状弁116Aおよび11
6Bからなる弁116を越えて前進する。洗浄ポート26内の
圧力勾配により、弁カッターが前進する前に葉状弁が開
かれる(図6B参照)。そして、弁カッターは図6Cに示さ
れるように、弁を通過する。弁が前方に移動する前に、
食塩水による十分な潤滑がなされている。
弁カッターのカッターヘッドが弁を通過した後、弁カ
ッターの進行方向が逆にされる(図6D〜図6H参照)。こ
のとき、弁カッターは静脈の最も基端側に位置すること
になる。そして再び緩やかに静水圧が与えられ、最も近
い位置に存在する弁が閉じられる。排出水の圧力勾配を
緩やかにして、弁カッターが静脈を膨張させて浮遊状態
で緩やかに前進する際の静水圧による損傷を防止し、ま
たは最小限に抑え得るようにすべきである。カッターヘ
ッドの突出部の前端部42が閉じられた葉状弁と静脈壁に
近い位置で当接して小さな切り込みが形成され得るよう
に、静水圧は維持される。この小さな切り込みは、湾曲
したカッティング面41によって徐々に拡げられて(図6F
〜図6H参照)、弁が切除される。そして、図6Iに示され
ているように、もともと弁が存在していた位置にはダメ
ージがほとんど残されない。以上の工程中における洗浄
は、静水圧により静脈が損傷を受ける危険性を最小に抑
えつつ、装置を中心に位置せしめるのに十分な程度で行
なわれる。
このとき、弁カッター10は、次に切除される最も末端
側に位置する弁の近傍に位置しており、当該次の弁を閉
じるために、再び静水圧が緩やかに与えられる。そし
て、この弁は前述のごとく徐々に切除される。静水圧が
維持された状態で弁カッターが引き下げられる。続い
て、また次の弁が切除され、同様にすべての弁が切除さ
れる。
外科医が、弁カッターを使用する前に、基端側に吻合
を形成したい場合には、全身の動脈圧により弁を閉じ、
洗浄ポートに栓をして血液が失われるのを防止する。し
かし、基端側に吻合が形成されることが、弁カッターを
導入する初期に静脈の末端部において洗浄を行うことの
有利性を低下させるということはない。さらに、外科医
は光学ファイバーの束を洗浄流路に通すことにより、弁
カッターが下方に移動しながら弁を切断する様子を観察
することができる。
図3Aに示された他の実施例においては、カッターヘッ
ドの円筒状部分30に流路110A〜110Dが形成されており、
カッターヘッドが血管の狭い部分を通過する際に流体が
流路110A〜110Dを通過することができる。これにより、
不要な圧力の発生を防止するとともに、カッターが狭い
部分を通過する際にも潤滑を確実に続けることができ
る。
本発明のさらに他の実施例においては、1個の弁カッ
ター組立体に対して、サイズの異なる一連のカッターヘ
ッドがキットとして提供されている。この実施例は図4A
に示されている。交換可能なカッターヘッド120の内部
には雌ねじ部122が形成されており、この雌ねじ部122
は、弁カッター組立体のステム126の末端部に形成され
た対応する雄ねじ部124と係合し得る寸法とされてい
る。このように、カッターヘッド120を、内部に雌ねじ
部を有する異なるサイズのカッターヘッドに交換するこ
とができる。先端の丸いヘッドに交換した場合には、装
置の初期の配置が容易になる。図4Bに示された先端の丸
いヘッド130は、丸い部分134と洗浄ポート134とを有す
る本体132、および内ねじ部135を備えている。
交換可能な他のカッターヘッド−リーダー一体物136
が図4Cに示されている。一体物136はリーダー138を備え
ており、リーダー138の内部には雌ねじ部138が形成され
ている。この雌ねじ部138は、カテーテル142(図4D参
照)の端部に形成された対応する雄ねじ部140と係合し
得る寸法とされている。
図4A〜図4Cに示された交換可能なカッターヘッドの使
用においては、まず先端の丸いヘッド130が装着された
弁カッター組立体を静脈の最も基端側から通す。その
際、装置を末端側へと前進させるに先立ってヘパリン化
食塩水がポートから排出され静脈が膨張させられる。ク
ランプを使用して、または助手の指で静脈の末端部が静
かに閉じられ、静脈が膨張する。静脈が膨張すると、弁
切開器が浮遊状態で末端側に向かってゆっくりと前進す
る。
カテーテルが伏在静脈と大腿静脈との接合部分の開口
部に達したとき(または、弁の切除に先立って末端側の
吻合が行なわれている場合には、カテーテルが末端側の
適切な支流を通過したとき)、先端の丸いヘッドが取り
外され、適切なサイズの弁カッターヘッドと交換され
る。伏在静脈の開口する伏在裂孔で再びクランプされ
る。外科医は、患者の伏在静脈の大きさに適したカッタ
ーヘッドを選択しなければならない。
このとき、弁カッターは弁に対して最も末端側に位置
している。カテーテルを通して流体が噴出され、この流
体は血管内腔を膨張させカッターヘッド上を通過して戻
り、弁を閉じる。弁はこの閉じられた状態において切断
される。流体が噴出されるのは、血管を膨張させて装置
を浮遊状態とするため、および弁を閉じてカッターヘッ
ドと当接可能とするためである。
弁カッターが引かれて、先端側の弁と係合し切除す
る。一定速度でゆっくりと弁カッターを引くことが必要
である。静水圧が維持され、弁カッター組立体が引き下
げられ、並んでいる各弁と係合してこれらを切除する。
弁カッターは、選択されたカッターヘッドに適した範囲
内にあるすべての弁が切除されるまで引かれる。カテー
テルが伏在静脈と大腿静脈との接合部のクランプされて
いない末端部を通過したことが外科医により判断され、
カッターヘッドがより大きなヘッドと交換される。
以上の工程が繰り返され、血管内腔のサイズに適した
サイズのカッターヘッドが再び選択される。適切なサイ
ズの弁カッターヘッドを選択することにより、血管内の
所定の位置において弁を最も良く切断することができ
る。カッターヘッドの好ましいサイズは、1.5mm、2.4m
m、3.0mm、および4.0mm等である。どのサイズのカッタ
ーヘッドを選択するかは外科医の判断によるが、静脈よ
りも小さいサイズのカッターヘッドを選択することが好
ましい。このカテーテルはカッターヘッドを交換するこ
とができるので、外科医はテーパ状の血管内腔に適合す
るヘッドを選択することができる。
最後に、光学ファイバーを備えた通常の装置では、外
科医は弁の末端部を観察することができるが、弁に刺さ
った切断エッジを観察することはできない。それは、カ
ッターが弁に刺さると血管がしぼむからである。図9に
示されているように、この装置においては、弁の根にあ
たる部分を観察することができ、血管がしぼむことなく
弁に刺さった切断エッジを観察することができる。この
ようにして、外科医は、カッターのエッジが刺さった各
弁のすべてを観察することができる。
すなわち、図9には、本発明の改善された静脈弁カッ
ターの他の実施例の拡大部分図が示されている。この実
施例においては、光学ファイバー要素が採用されてお
り、血管および弁を切除するカッターヘッドの作用を観
察することができ、切除の有効性を評価することができ
る。この実施例においては、カッターヘッドの切断端部
150がリーダー152に固定されている。リーダー152内に
は光学ファイバー要素154が配置されている。光学ファ
イバーを使用するこの独特の構成により、通常の装置
(図示せず)を使用して各弁を切除する際に外科医はカ
ッターヘッドの切断エッジを観察することができる。
この分野における当業者には、ここに記載した好まし
い実施例に対して多様な変更および修正をなすことは容
易であろう。そのような変更や修正は本発明の技術的範
囲から逸脱することなく行うことができ、その有利性を
減じることもない。したがって、そのような変更や修正
も請求の範囲により保護される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゴールドバーグ、エドワード・エム アメリカ合衆国イリノイ州60022、グレ ンコー、メイプル・ヒル・ロード225番 (72)発明者 メリニシャン、レブ アメリカ合衆国イリノイ州60089、バッ ファロー・グローブ、ケンブリッジ・ド ライブ1018番 (56)参考文献 特開 平3−168132(JP,A) 特開 平1−280450(JP,A) 実開 平4−11011(JP,U) 実開 昭63−38505(JP,U) 特表 平3−502414(JP,A) 西独国特許出願公開3717926(DE, A1) 米国特許5026383(US,A) 米国特許4765332(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 17/32

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】葉状の静脈弁を切除する静脈弁カッターに
    おいて、 このカッターは、葉状弁を切除する際に静脈内を当該カ
    ッターが移動する方向に向けて配置された円周状の先端
    部を有するカッティングエッジを備えたカッターヘッド
    を有しており、上記先端部は、共に鋭いカッティングエ
    ッジを提供する平坦な前端部と当該前端部を隔てるスロ
    ットと含んでおり、 前記カッターヘッドには、流体を末端方向に向けて当該
    カッターヘッドへと導く手段が取り付けられている、静
    脈弁カッター。
  2. 【請求項2】改善された静脈弁カッターであって、 先端部が円周状のカッティングエッジを有するカッター
    ヘッドと、葉状弁を切除すべくカッターヘッドを静脈内
    で前進させる前進手段とを備えており、 前記円周状のカッティングエッジは、基端側に向けて配
    置された前端部が鋭い突出部を複数有しており、 前記突出部の前端部は、平坦であり、同様に鋭いカッテ
    ィングエッジを提供するスロットにより互いに隔てられ
    ている、静脈弁カッター。
  3. 【請求項3】前記前進手段がカテーテルである、請求項
    2記載の静脈弁カッター。
  4. 【請求項4】前記カッターヘッドの直径とほぼ等しい直
    径のリーダーと、前記カッターヘッドおよびリーダーを
    接続するステムとを有している、請求項2記載の静脈弁
    カッター。
  5. 【請求項5】前記ステムの剛性が高い、請求項4記載の
    静脈弁カッター。
  6. 【請求項6】前記カッターヘッドの末端部に開口部が形
    成されており、当該開口部は前記カテーテルの内腔部と
    連通している、請求項3記載の静脈弁カッター。
  7. 【請求項7】前記突出部の内面側の端部が傾斜面となっ
    ている、請求項2記載の静脈弁カッター。
  8. 【請求項8】前記カテーテルが、密に巻かれたコイルス
    プリングを非伸縮性のシースで覆うことにより構成され
    ている、請求項3記載の静脈弁カッター。
  9. 【請求項9】前記カッターヘッドの基端部領域にポート
    が形成されており、このポートを介して、前記カッター
    ヘッドのカッテイングエッジが洗浄され潤滑される、請
    求項2記載の静脈弁カッター。
  10. 【請求項10】異なるサイズの複数の交換可能なカッタ
    ーヘッドと、必要なカッターヘッドを前記前進手段に取
    り付ける手段とを備えている、請求項2記載の静脈弁カ
    ッター。
  11. 【請求項11】前記前進手段に着脱可能に取り付けるこ
    とができ先端の丸められたカッターヘッドを備えてい
    る、請求項10記載の静脈弁カッター。
  12. 【請求項12】先端部が円周状のカッティングエッジを
    有するカッターヘッドと、 葉状弁を切除すべくカッターヘッドを静脈内で前進させ
    る前進手段と、 前記円周状のカッティングエッジの内側において、基端
    側に向けて配置されていて、前記円周状のカッティング
    エッジの洗浄および潤滑を行なうポートと、 を備えたことを特徴とする、静脈弁カッター。
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