JP3320258B2 - 自動車用内燃機関の振動信号処理方法及び装置 - Google Patents

自動車用内燃機関の振動信号処理方法及び装置

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JP3320258B2
JP3320258B2 JP14634995A JP14634995A JP3320258B2 JP 3320258 B2 JP3320258 B2 JP 3320258B2 JP 14634995 A JP14634995 A JP 14634995A JP 14634995 A JP14634995 A JP 14634995A JP 3320258 B2 JP3320258 B2 JP 3320258B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用内燃機関の振
動状態から内燃機関のノッキング及び車両に生じるサー
ジングを検出するのに好適な自動車用内燃機関の振動信
号処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の振動状態からノッ
キングを検出し、その検出結果に従い点火時期を制御す
ることにより、内燃機関をノッキングが発生するかしな
いかの境界付近(ノック限界)にて運転できるようにし
たノッキング制御装置が知られている(例えば特公昭5
7−30980号公報)。
【0003】一方、自動車においては、内燃機関のトル
ク変動によって、動力伝達系が振動し、車両前後方向に
低周波の振動(サージング)が発生することが知られて
いる。つまり、内燃機関に接続された自動車の動力伝達
系は、変速機やプロペラシャフト等から構成されるが、
こうした動力伝達系は、固有の共振周波数(1Hz〜1
0Hz)を有するため、内燃機関のトルク変動成分がそ
の共振周波数と一致すると、そのトルク変動成分が動力
伝達系にて増幅され(積分され)て、駆動輪に伝達され
ることになり、自動車の前後方向の振動となって現れる
のである。
【0004】そして、例えば、上記ノッキング制御によ
って、内燃機関各気筒の点火時期を各々ノック発生限界
に制御するようにした場合には、内燃機関の各気筒間の
ばらつき(吸気ポートからの位置や冷却条件等の違い)
によって、各気筒の点火タイミングや燃焼圧力がばらつ
き、これが内燃機関のトルク変動となってサージングの
発生に影響を与えるようになる。
【0005】そこで、従来では、内燃機関の点火時期
を、内燃機関のノック限界に制御するだけでなく、サー
ジングの発生域から外れるように制御することにより、
サージングが発生するのを防止するようにした装置も提
案されている(例えば、特開平4−325752号公
報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
ノッキング制御とサージング制御とを共に実行するに
は、内燃機関のノッキングを検出するだけでなく、自動
車に、乗員に不快感を与えるサージングが発生している
かどうかを検出する必要があるが、従来では、上記公報
に開示されているように、サージングの発生域を予め設
定した点火時期をパラメータとするマップを用いて判定
するようにしていたため、動力伝達系の特性のばらつき
或は経時変化等によって、サージングの発生域を正確に
検出できなくなり、サージングを良好に抑制できなくな
ることがあった。
【0007】一方、サージング制御を正確に実行できる
ようにするには、車両に生じたサージング振動成分を検
出可能な振動センサを設け、その検出結果に基づきサー
ジング制御を実行するようにすればよいが、この場合、
上記のようにノッキング制御とサージング制御とを共に
実行するには、ノッキング及びサージングを夫々検出す
るための2種類のセンサが必要となるといった問題があ
る。
【0008】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
ので、一つのセンサを用いて内燃機関のノッキング及び
車両のサージングを同時に検出できる内燃機関の振動信
号処理方法及び装置を提供することにより、ノッキング
制御及びサージング制御を共に実行する制御装置におい
て、装置構成を増加させることなくサージングを正確に
検出してサージング制御を良好に実行できるようにする
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の自動車用内燃機関の振動
信号処理方法は、自動車用内燃機関に車両前後方向の振
動を検出可能に振動センサを取り付け、該振動センサか
ら出力される振動信号を、内燃機関のノッキング周波数
に対応した信号成分及び自動車のサージング周波数に対
応した信号成分を各々通過させる一対のフィルタ回路に
て各々信号処理して、内燃機関のノッキング状態を表す
ノッキング信号及び自動車のサージング状態を表すサー
ジング信号を夫々生成することを特徴とする。
【0010】一方、請求項2に記載の自動車用内燃機関
の振動信号処理装置は、自動車用内燃機関に車両前後方
向の振動を検出可能に取り付けられた振動センサと、該
振動センサからの振動信号を受け、該振動信号の中から
内燃機関のノッキング周波数に対応した信号成分のみを
通過させる第1のフィルタ回路と、前記振動信号を受
け、該振動信号の中から車体振動となるサージング周波
数に対応した信号成分のみを通過させる第2のフィルタ
回路と、を備え、前記第1のフィルタ回路を通過した信
号を内燃機関のノッキング状態を表すノッキング信号、
前記第2のフィルタ回路を通過した信号を車体のサージ
ング状態を表すサージング信号として夫々出力すること
を特徴とする。
【0011】また、請求項3に記載の自動車用内燃機関
の振動信号処理装置は、上記請求項2に記載の装置にお
いて、前記振動センサは、前記自動車用内燃機関の振動
に応じた圧力を受けて電荷を発生する圧電素子を備え、
該振動センサから前記各フィルタ回路に至る信号経路
に、前記圧電素子の発生電荷を電圧信号に変換する、増
幅回路と該増幅回路に並列接続された帰還用のコンデン
サとからなるチャージアンプを設け、更に、前記第1及
び第2のフィルタ回路の内、少なくとも前記サージング
信号を生成する第2のフィルタ回路を、前記チャージア
ンプと共に前記振動センサと同一の筐体内に設けたこと
を特徴とする。
【0012】次に、請求項4に記載の自動車用内燃機関
の振動信号処理装置は、上記請求項3に記載の装置にお
いて、前記チャージアンプは、前記コンデンサに並列接
続された温度補償用の抵抗器を備えたことを特徴とす
る。また更に、請求項5に記載の自動車用内燃機関の振
動信号処理装置は、上記請求項2〜請求項4いずれか記
載の装置において、前記ノッキング信号を生成する第1
のフィルタ回路は、5kHz〜10kHzの周波数帯の
信号成分を通過させるバンドパスフィルタからなり、前
記サージング信号を生成する第2のフィルタ回路は、1
Hz〜10Hzの周波数帯の信号成分を通過させるバン
ドパスフィルタからなることを特徴とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】上記のように、請求項1に記載
の自動車用内燃機関の振動信号処理方法においては、自
動車用内燃機関に車両前後方向の振動を検出可能に振動
センサを取り付け、その振動センサから出力される振動
信号を、内燃機関のノッキング周波数に対応した信号成
分及び自動車のサージング周波数に対応した信号成分を
各々通過させる一対のフィルタ回路にて各々信号処理し
て、内燃機関のノッキング状態を表すノッキング信号及
び自動車のサージング状態を表すサージング信号を夫々
生成する。
【0014】つまり、サージングは車両の前後方向の振
動(揺れ)であるため、本発明では、振動センサを内燃
機関に車両前後方向の振動を検出可能に取り付けること
により、振動センサにより内燃機関のノッキングにより
生じる比較的高周波の振動成分と車両のサージングによ
り生じる比較的低周波の振動成分とを同時に検出できる
ようにし、その振動センサから出力される振動信号を一
対のフィルタ回路にて各々信号処理することにより、一
方のフィルタ回路にて内燃機関のノッキング周波数に対
応した信号成分を抽出してそれをノッキング信号として
出力し、他方のフィルタ回路にて自動車のサージング周
波数に対応した信号成分を抽出してそれをサージング信
号として出力するようにしているのである。
【0015】このため、本発明方法によれば、一つの振
動センサを用いて、内燃機関のノッキング状態を表すノ
ッキング信号、及び自動車のサージング状態を表わすサ
ージング信号を夫々生成することができる。従って、内
燃機関の制御装置において、ノッキング制御とサージン
グ制御とを共に実行するに当たって、ノッキング検出用
及びサージング検出用の2種類のセンサを個々に設ける
ことなく、ノッキング制御及びサージング制御を共に良
好に実行することが可能になる。
【0016】一方、請求項2に記載の自動車用内燃機関
の振動信号処理装置は、上記請求項1に記載の発明方法
を実現する装置であり、自動車用内燃機関に車両前後方
向の振動を検出可能に取り付けられた振動センサからの
振動信号を、互いに周波数特性が異なる第1のフィルタ
回路及び第2のフィルタ回路にて信号処理することによ
り、ノッキング信号及びサージング信号を夫々生成する
ようにされている。
【0017】このため、本発明の振動信号処理装置によ
れば、請求項1に記載の振動信号処理方法を振動センサ
と2つのフィルタ回路とを用いて容易に実現することが
でき、請求項1に記載の振動信号処理方法と同様の効果
を得ることができる。また次に、請求項3に記載の自動
車用内燃機関の振動信号処理装置においては、振動セン
サが、内燃機関の振動に応じた圧力を受けて電荷を発生
する圧電素子を備えた、所謂加速度センサとして良く知
られたセンサにより構成されており、この振動センサか
ら各フィルタ回路に至る信号経路にチャージアンプを設
けて、圧電素子の発生電荷を電圧信号に変換するように
されている。そして、このチャージアンプと、上記2つ
のフィルタ回路の内の少なくともサージング信号を生成
する第2のフィルタ回路とは、振動センサと同一の筐体
内に組み込まれる。
【0018】即ち、振動センサとして、圧電素子からな
るセンサを用いた場合、内燃機関の振動を良好に検出す
ることができるのであるが、圧電素子は、インピーダン
スが大きく、ノイズに弱いため、こうした振動センサと
その信号処理回路とを接続する信号線には、通常、シー
ルド線が使用される。しかし、本発明のように振動セン
サからの振動信号の中からノッキング周波数及びサージ
ング周波数に対応した信号成分を夫々抽出する場合に
も、振動センサと各フィルタ回路とをシールド線を用い
て接続すると、サージング信号を良好に生成することが
できない。
【0019】つまり、振動センサから出力される振動信
号の内、ノッキング周波数に対応した振動信号について
は、振動センサに加わる振動(加速度)が比較的大きい
ため、上記のようにシールド線を用いることができる
が、本発明のように、振動センサを用いてサージングも
検出しようとすると、サージングに伴う振動成分はノッ
キングに伴う振動成分に比べて非常に小さくなるため、
上記のようにシールド線を用いると、シールド線におい
て、サージングに対応した発生電荷がノイズに埋もれて
しまい、サージングを良好に検出できなくなるのであ
る。そして、この問題は、特にシールド線が長いほど顕
著になる。
【0020】また、上記のように振動センサと信号処理
回路とをシールド線にて接続するようにした場合、シー
ルド線の容量がセンサ出力に影響を与えるので、シール
ド線の長さを高精度に規制する必要があるといった問題
もある。そこで、本発明では、内燃機関の振動に応じた
電荷を発生する圧電素子の近傍に、その電荷を電圧信号
に変換するチャージアンプとサージング信号を通過させ
る第2のフィルタ回路とを設置し、チャージアンプにて
圧電素子が振動に応じて発生した電荷を電圧信号に変換
して、更にその電圧信号をシールド線等を使用すること
なく第2のフィルタ回路に直接入力することにより、サ
ージングを良好に検出できるようにしているのである。
【0021】この結果、本発明によれば、圧電素子から
なる振動センサを用いて内燃機関のノッキングと車両の
サージングとを良好に検出することができる。また、振
動センサからの振動信号をチャージアンプにて処理した
後、各フィルタ回路に入力するようにしているため、シ
ールド線を使用する必要がなく、またその線路長が変化
しても検出特性が変化することもない。更に、信号処理
回路にフィルタ回路を設ける必要がないので、信号処理
回路が簡単になる。
【0022】尚、圧電素子の近傍に設置するのは、チャ
ージアンプのみでもよく、第1及び第2のフィルタ回路
は、信号処理回路の近くに置いてもよい。そうすること
で、センサと信号処理回路を接続する信号線は一本です
む。また、圧電素子を用いた振動センサとしては、従来
より、共振型・非共振型の2種のものが知られており、
本発明においては、いずれの振動センサでも用いること
ができるが、共振型の振動センサを用いる場合には、そ
の共振点がサージング周波数及びノッキング周波数から
外れた振動センサを用いることが望ましい。これは、ノ
ックセンサとして用いられる共振型の振動センサは、通
常、その共振点がノッキング周波数となるようにされて
いるが、本発明において、こうした振動センサを用いる
ようにすると、サージングに対応した振動信号がノッキ
ングに対応した振動信号に比べて極めて小さくなってし
まい、サージングの検出精度が低下するためである。
【0023】次に、請求項4に記載の自動車用内燃機関
の振動信号処理装置においては、チャージアンプが、単
に、増幅回路に帰還用のコンデンサを並列接続しただけ
のものではなく、コンデンサに更に温度補償用の抵抗器
を並列接続することにより、振動センサ出力の温度ドリ
フトを補償できるようにしている。
【0024】つまり、圧電素子の出力感度は、使用温度
に応じて変化するため、振動センサを自動車用内燃機関
に取り付けた場合には、内燃機関自体の温度やその周囲
温度の変化によって検出特性が大きく変化する。そこ
で、本発明では、チャージアンプに温度補償用の抵抗器
を設けることにより、温度変化に伴う検出特性のばらつ
きを防止するようにしているのである。
【0025】また更に、請求項5に記載の自動車用内燃
機関の振動信号処理装置においては、ノッキング信号を
生成する第1のフィルタ回路は、5kHz〜10kHz
の周波数帯の信号成分を通過させるバンドパスフィルタ
からなり、サージング信号を生成する第2のフィルタ回
路は、1Hz〜10Hzの周波数帯の信号成分を通過さ
せるバンドパスフィルタからなる。これは、内燃機関の
ノッキング周波数及びサージング周波数がこれら各周波
数帯に対応するためであり、各フィルタ回路をこれら各
周波数帯の信号を通過させるバンドパスフィルタにて構
成することにより、ノッキング信号及びサージング信号
を正確に検出できるようにしているのである。
【0026】尚、請求項4に記載の装置のように、チャ
ージアンプに温度補償用の抵抗器を設けた場合、チャー
ジアンプは、コンデンサと抵抗器とによりハイパスフィ
ルタを形成することになるため、このハイパスフィルタ
のカットオフ周波数を、サージング周波数の下限周波数
に対応させれば、サージング信号を生成する第2のフィ
ルタ回路に、カットオフ周波数をサージング周波数の上
限周波数に対応させたローパスフィルタを使用すること
もできる。
【0027】また、チャージアンプの高周波側のカット
オフ周波数をノッキング周波数の上限周波数に対応させ
れば、ノッキング信号を生成する第1のフィルタ回路
に、カットオフ周波数をノッキング周波数の下限周波数
に対応させたハイパスフィルタを使用することもでき
る。
【0028】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面と共に説明す
る。図1は、本発明が適用された実施例の振動センサの
電気回路を表わすブロック図、図2は、その機械的構成
を表わす断面図である。
【0029】図2に示す如く、本実施例の振動センサ1
は、一端が閉塞された筒状のセンサハウジング20内
に、圧電素子からなる検出素子部10と共に、その検出
素子部10を動作させて信号処理する信号処理回路を形
成した回路基板30を一体的に組込み、更にセンサハウ
ジング20の開放端側を、電源供給及び検出信号出力用
の複数(本実施例は4個)の入出力端子40を備えた合
成樹脂からなる蓋体34にて閉塞することにより構成さ
れている。
【0030】センサハウジング20には、底部中央に、
自動車用内燃機関の側壁に車両の進行方向(前後方向)
に沿って締め付け固定するための螺子部20aが突設さ
れており、この螺子部20aに対応したセンサハウジン
グ内壁側には、検出素子部10を支持してセンサハウジ
ング20の内部空間内に位置決めする固定軸22が螺入
され、更に内燃機関の振動によってその螺入した固定軸
22が外れることのないよう、固定軸22の回り止めと
なるナット24が締め付けられている。
【0031】検出素子部10は、中空円板状の振動板1
0aの両面に、その振動板10aの変位(変形)に応じ
て電荷を発生する圧電素子10b,10cを積層するこ
とにより作製された所謂共振型のセンサ素子であり、振
動板10aの中空部周囲にワッシャ26を配設した状態
で中空部を固定軸22に挿通し、その上から固定軸22
に螺合可能なナット28を締め付けることにより、固定
軸22に固定されている。
【0032】また、固定軸22には、ナット28の上か
ら更に回路基板30を挿通して、その上から固定軸22
に螺合可能なナット32を締め付けることにより、回路
基板30も位置決め固定されている。そして、回路基板
30と検出素子部10とは、リード30bを介して電気
的に接続され、更に回路基板30からは、内燃機関の制
御装置等、外部機器と接続するための入出力端子40が
立設されている。
【0033】尚、回路基板30の周縁は、センサハウジ
ング20の内部側壁に形成された段部に当接され、回路
基板30は、センサハウジング20の内部側壁によって
も位置決めされている。また回路基板30には、上記信
号処理回路を形成する各種回路素子30aが組付けられ
るが、これら回路素子30aは、基板組付け時に、セン
サハウジング20や検出素子部10に当たることのない
よう、回路基板30における検出素子部10とは反対側
の片面に組付けられている。また、回路基板30に立設
された入出力端子40は、蓋体34を介してセンサハウ
ジング20内から外部に突出されており、その突出した
周囲には、蓋体34に突設された筒状のコネクタ部34
aが配設されている。
【0034】一方、上記入出力端子40は、図1に示す
如く、外部から電源電圧(直流+5V)を供給するため
の電源供給端子及びアース端子と、回路基板30に形成
された信号処理回路から出力される内燃機関のノッキン
グを表わすノッキング信号(以下、ノック信号という)
及び車両のサージングを表わすサージング信号(以下、
サージ信号という)を夫々出力するための一対の出力端
子との、4つの端子からなる。
【0035】そして、回路基板30には、図1から明ら
かな如く、検出素子部10に発生した電荷を電圧信号に
変換するチャージアンプ12と、チャージアンプ12か
らの出力信号を処理して上記サージ信号及びノック信号
を夫々生成し、上記一対の出力端子から外部に出力する
一対のバンドパスフィルタ(以下、BPFという)1
4,16と、上記電源供給端子を介して供給された電源
電圧から、チャージアンプ12に接続されていない検出
素子部10の一端及びチャージアンプ12に夫々供給す
るための基準電圧(例えば直流+2V)を生成する基準
電圧発生回路18と、からなる信号処理回路が組付けら
れている。
【0036】ここで、チャージアンプ12は、非反転入
力端子(+)に基準電圧を受け、反転入力端子(−)に
検出素子部10の一端が接続され、更に反転入力端子
(−)と出力端子との間に、帰還コンデンサCfが接続
された演算増幅器OPからなる周知のものであるが、こ
の帰還コンデンサCfには、更に圧電素子の温度ドリフ
トを抑えるための帰還抵抗Rfが並列接続されている。
従って、チャージアンプ12は、この帰還抵抗Rfと帰
還コンデンサCfとにより、所定カットオフ周波数fC1
のハイパスフィルタを構成することになり、チャージア
ンプ12からは、図3に示す如く、検出素子部10にて
検出された振動成分の内、周波数fC1以上の振動成分に
対応した電圧信号が出力されることになる。
【0037】また、このチャージアンプ12からの出力
信号を処理してサージ信号を生成するBPF14は、チ
ャージアンプ12のカットオフ周波数fC1より高いサー
ジング周波数fC2〜fC3(例えば1Hz〜10Hz)の
信号成分を通過させるように構成され、ノック信号を生
成するBPF16は、サージング周波数よりも更に高い
ノッキング周波数fC4〜fC5(例えば5kHz〜10k
Hz)の信号成分を通過させるように構成されている。
【0038】尚、検出素子部10は、振動板10aの両
面に圧電素子10b,10cを積層することにより共振
型のセンサ素子として構成されているが、その共振点
は、図3に点線で示す如く、BPF16のカットオフ周
波数fC4〜fC5よりも更に高い周波数に設定されてい
る。
【0039】以上説明したように、本実施例の振動セン
サ1においては、振動板10aと圧電素子10b及び1
0cとからなる共振型の振動センサを構成する検出素子
部10と、チャージアンプ12及び一対のBPF14,
16を備え、検出素子部10からの出力を信号処理する
信号処理回路が組込まれた回路基板30とを、センサハ
ウジング20と蓋体34とからなる同一の筐体内に組込
み、入出力端子40を介して、内燃機関のノッキングを
表わすノック信号及び車両のサージングを表わすサージ
信号を各々出力するように構成されている。
【0040】従って、本実施例の振動センサ1によれ
ば、内燃機関の側壁に、車両の進行方向(前後方向)に
沿ってセンサハウジング20の螺子部20aを螺入する
ための雌螺子部を設け、これに螺子部20aを螺入し
て、締め付け固定し、更に、蓋体34のコネクタ部34
aに、内燃機関の制御装置等から引き出された図示しな
いコネクタを差し込んで、回路基板30に形成された信
号処理回路と制御装置とを接続し、基準電圧発生回路1
8に電源供給を行うようにすれば、振動センサ1から制
御装置にノック信号及びサージ信号を出力させることが
できる。このため、内燃機関の制御装置側で、内燃機関
の点火時期を制御することにより、内燃機関のノッキン
グ制御と車両のサージング制御とを同時に実行するに当
たって、ノック信号及びサージ信号検出用の2つのセン
サを設ける必要がなく、その制御系の構成を簡素化する
ことができると共に、車両に生じた真のサージング状態
に応じてサージング制御を実行できるため、その制御精
度を向上できる。
【0041】尚、内燃機関の点火時期制御によって、内
燃機関のノッキングとサージングとを共に制御するに
は、例えばノック信号に基づき内燃機関の点火時期をノ
ック限界に制御し、サージ信号があるレベル以上となっ
て車両乗員にとって不快なサージングが発生する場合に
は、各気筒間の点火タイミングのばらつきを抑えるよう
に、全気筒中、点火時期が進角側となっている1又は複
数の気筒について、点火タイミングを一定量だけ遅角す
るようにすればよい。つまり、こうすることにより各気
筒間の点火タイミングのばらつきを減少させ、サージン
グを抑えることができるようになる。
【0042】また次に、本実施例の振動センサ1におい
ては、振動センサ1の筐体内にて、まず、チャージアン
プ12を用いて検出素子部10に発生した電荷を電圧信
号に変換し、これを第2及び第1のフィルタ回路である
BPF14,16に夫々入力することにより、各BPF
14,16において、サージ信号及びノック信号を各々
生成するように構成されているため、振動センサ1から
出力されるサージ信号及びノック信号はノイズに強く、
振動センサ1と内燃機関の制御装置とを接続する信号線
に必ずしもシールド線を使用する必要はない。また、そ
の信号線の線路長が変化しても、検出特性が大きく変化
することはないため、内燃機関のノッキング及び車両の
サージングを安定して検出できるようになる。
【0043】また本実施例では、検出素子部10に振動
板10aの両面に圧電素子10b,10cを積層した共
振型のセンサ素子を用いているが、その共振点は、上述
のようにノッキング周波数よりも更に高い周波数に設定
されているため、検出素子部10からの出力の内、サー
ジングに対応した信号成分がノッキングに対応した信号
成分に比べて著しく低くなることはなく、ノッキング及
びサージングを共に良好に検出することができる。
【0044】また更に、本実施例では、チャージアンプ
12に温度補償用の帰還抵抗Rfを設けているため、周
囲温度が変化しても、その温度に応じて検出特性が変化
することはなく、これによってもノッキング及びサージ
ングの検出精度を向上することができる。
【0045】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種
々の態様をとることができる。例えば、上記実施例で
は、サージ信号を生成する第2のフィルタ回路としてB
PF14を用いるように構成したが、チャージアンプ1
2はハイパスフィルタを構成することから、帰還抵抗R
fの抵抗値と帰還コンデンサCfの容量とを調整するこ
とにより、そのカットオフ周波数fC1を、サージ信号と
して抽出するのに必要な下限周波数(たとえば1Hz)
に設定すれば、サージ信号を生成する第2のフィルタ回
路としては、図4に示す如く、サージ信号の上限周波数
fC3をカットオフ周波数とするローパスフィルタ(LP
F)14′を用いれば良く、振動センサ1′の信号処理
回路の構成をより簡素化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の振動センサの電気回路を表わすブロ
ック図である。
【図2】 実施例の振動センサの機械的構成を表わす断
面図である。
【図3】 実施例の振動センサ各部の信号波形を表わす
説明図である。
【図4】 振動センサの電気回路の他の構成例を表わす
ブロック図である。
【符号の説明】
1,1′…振動センサ 10…検出素子部 10a
…振動板 10b,10c…圧電素子 12…チャージアンプ
OP…演算増幅器 Cf…帰還コンデンサ Rf…帰還抵抗 14,16…BPF(バンドパスフィルタ) 18…
基準電圧発生回路 20…センサハウジング 22…固定軸 30…回
路基板 34…蓋体 40…入出力端子 14′…LPF(ローパスフィル
タ)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車用内燃機関に車両前後方向の振動
    を検出可能に振動センサを取り付け、該振動センサから
    出力される振動信号を、内燃機関のノッキング周波数に
    対応した信号成分及び自動車のサージング周波数に対応
    した信号成分を各々通過させる一対のフィルタ回路にて
    各々信号処理して、内燃機関のノッキング状態を表すノ
    ッキング信号及び自動車のサージング状態を表すサージ
    ング信号を夫々生成することを特徴とする自動車用内燃
    機関の振動信号処理方法。
  2. 【請求項2】 自動車用内燃機関に車両前後方向の振動
    を検出可能に取り付けられた振動センサと、 該振動センサからの振動信号を受け、該振動信号の中か
    ら内燃機関のノッキング周波数に対応した信号成分のみ
    を通過させる第1のフィルタ回路と、 前記振動信号を受け、該振動信号の中から車体振動とな
    るサージング周波数に対応した信号成分のみを通過させ
    る第2のフィルタ回路と、 を備え、前記第1のフィルタ回路を通過した信号を内燃
    機関のノッキング状態を表すノッキング信号、前記第2
    のフィルタ回路を通過した信号を車体のサージング状態
    を表すサージング信号として夫々出力することを特徴と
    する自動車用内燃機関の振動信号処理装置。
  3. 【請求項3】 前記振動センサは、前記自動車用内燃機
    関の振動に応じた圧力を受けて電荷を発生する圧電素子
    を備え、 該振動センサから前記各フィルタ回路に至る信号経路
    に、前記圧電素子の発生電荷を電圧信号に変換する、増
    幅回路と該増幅回路に並列接続された帰還用のコンデン
    サとからなるチャージアンプを設け、 更に、前記第1及び第2のフィルタ回路の内、少なくと
    も前記サージング信号を生成する第2のフィルタ回路
    を、前記チャージアンプと共に前記振動センサと同一の
    筐体内に設けたことを特徴とする請求項2に記載の自動
    車用内燃機関の振動信号処理装置。
  4. 【請求項4】 前記チャージアンプは、前記コンデンサ
    に並列接続された温度補償用の抵抗器を備えたことを特
    徴とする請求項3に記載の自動車用内燃機関の振動信号
    処理装置。
  5. 【請求項5】 前記ノッキング信号を生成する第1のフ
    ィルタ回路は、5kHz〜10kHzの周波数帯の信号
    成分を通過させるバンドパスフィルタからなり、前記サ
    ージング信号を生成する第2のフィルタ回路は、1Hz
    〜10Hzの周波数帯の信号成分を通過させるバンドパ
    スフィルタからなることを特徴とする請求項2〜請求項
    4いずれか記載の自動車用内燃機関の振動信号処理装
    置。
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