JP3319376B2 - 積層成形品の製造方法および積層成形品 - Google Patents

積層成形品の製造方法および積層成形品

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JP3319376B2 JP01672798A JP1672798A JP3319376B2 JP 3319376 B2 JP3319376 B2 JP 3319376B2 JP 01672798 A JP01672798 A JP 01672798A JP 1672798 A JP1672798 A JP 1672798A JP 3319376 B2 JP3319376 B2 JP 3319376B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押出方向に対して
直交方向(以下「幅方向」ということがある。)に大き
な荷重のかかる条件で使用される押出成形品において、
この表面に特定の軟質材を被覆接着することにより得ら
れる積層成形品に関するものである。具体的には、アル
ミサッシ用断熱スペーサ等の押出成形品の表面に特定の
軟質材を被覆接着することにより、幅方向への繊維状強
化材の配向による強度アップを図り、かつ、アルミサッ
シと押出成形品との間での気密性の向上、水分のアルミ
サッシ枠内への進入を防止(以下、止水性と称す。)す
るものである。
【0002】
【従来の技術】1970年代から欧州特に緯度の高い地
方を中心に、断熱性の劣るアルミニウム単独で構成され
るサッシ枠に替わり、アルミサッシ部材と樹脂製断熱ス
ペーサを一体にした断熱サッシが使用されてきた。この
断熱サッシは、その幅方向にアルミサッシ部材で樹脂製
断熱スペーサを挟み込むことにより、従来熱伝導率の高
いアルミサッシ部分を通しての熱の直接の出入りが防止
される。この断熱サッシを用いた窓および窓枠は、二重
窓より薄く出来、ペアガラスよりも断熱効果が高くな
る。
【0003】日本国内でも特に緯度の高い地方を中心に
以前から二重窓が使用されてきたが、近年遮音性や暖房
・冷房効率を上げた高気密性住宅が増加するに従って、
上記の断熱サッシが多様されるようになってきた。
【0004】日本国内における断熱サッシ用樹脂スペー
サは硬質塩化ビニール、ポリアミド樹脂などによる押出
成形品が使用されている。その中でも、樹脂の押し出し
特性より加工の容易な塩化ビニール樹脂が多用されてき
た。ところが、先行する欧州の実績および近年、出窓用
サッシ、雨戸用ガイド、多重カーテンレールなどが一体
化されたサッシのように、複雑な形状のサッシが使用さ
れるようになり、断熱サッシの幅方向に大きな荷重がか
かるようになってきた。これにより、従来は塩化ビニー
ル樹脂で強度的に十分であったものが、強度的に保持で
きなくなりアルミサッシ枠の耐荷重性に問題が生じてき
た。これらの対策として、より強度の高いガラス繊維強
化ポリアミド樹脂製の断熱スペーサが使用されるように
なってきた。
【0005】これらの断熱スペーサは、図1に示すよう
に室外側アルミサッシ枠1と室内側アルミサッシ枠を上
下二種類の断熱スペーサ5および6で断熱するものであ
り、強度の高いガラス繊維強化ポリアミド樹脂製の押出
成形品両端にアルミサッシのかしめ部2および4で樹脂
製断熱スペーサ側に曲げ変形させ、樹脂製断熱スペーサ
をかしめるものである。そして、この従来の硬質塩化ビ
ニール製断熱スペーサでは、上側の硬質塩化ビニール製
断熱スペーサの上側表面に軟質塩化ビニール樹脂を被覆
接着することにより、アルミサッシと樹脂異形押し出し
製品の気密性の向上、止水性の向上を図っていた。ま
た、硬質塩化ビニールと軟質塩化ビニールは共押し出し
加工、またはヒートラミネート加工において極めて容易
に接着可能であり、気密性および止水性が比較的容易に
得られていた。ところが、前記理由によりガラス繊維強
化ポリアミド樹脂を使用した場合、従来使用してきた軟
質塩化ビニール樹脂による共押し出し成形および他の方
法を用いても、ポリアミド樹脂との接着性が十分で無
く、被覆接着することができなくなった。この為、アル
ミサッシ枠とポリアミド樹脂製断熱スペーサとの気密性
および止水性が低下することとなった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアミド
樹脂および繊維状強化材との組成物からなる押出成形品
の押出方向および直交方向の機械的強度を保ちつつ、気
密性と止水性をも併せ持つ成形品の製造方法および成形
品を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、ポリア
ミド樹脂及び繊維状強化材からなる組成物を、成形ダイ
ついでサイジングダイを通して押出成形して成形品を製
造する方法において、上記成形ダイがダイ出口開口部に
向かって広がった形状の拡散ダイであり、かつ、拡散ダ
イから押出された溶融樹脂を急速に冷却固化させた押出
成形品に、軟質剤としてα−オレフィン・α,β−不飽
和カルボン酸アルキルエステル・無水マレイン酸三元共
重合体を被覆接着することを特徴とする積層成形品の製
造方法およびそれから得られる積層成形品に関するもの
である。
【0008】
【発明の実施の態様】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明で使用できるポリアミド樹脂の例としては、
ポリカプロラクタム、ポリラウロラクタムなどのラクタ
ム重合物、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサ
メチレンドデカミド、ポリヘキサメチレンテレフタルア
ミドなどのアルキレンジアミンとジカルボン酸の重縮合
物、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフ
タラミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキ
サメチレンイソフタラミドの共重合体などの半芳香族ポ
リアミドなどが挙げられるが、特に制限されるものでは
ない。しかし、金属部分との組み合わせ後、焼き付け塗
装するなどの加熱処理がある場合には、ポリヘキサメチ
レンアジパミド等の250℃以上の融点を持つものが好
ましい。また、充分な成形性を維持するためには、適度
に遅い固化挙動が好ましく、ポリヘキサメチレンアジパ
ミドよりポリカプロラクタムのほうが好適である。更
に、表面の平滑性などの機能を付与する場合には、複数
のポリアミド成分を共重合したものを使用するのが望ま
しい。
【0009】本発明で使用される繊維状強化材として
は、ガラス繊維、ボロン繊維、金属繊維、ワラストナイ
ト、カーボンファイバー、チタン酸カリウムウィスカ
ー、繊維状塩基性硫酸マグネシウム、ゾノトライト、な
ど1を超えるアスペクト比を持ったものであれば全て同
様の効果が期待できるが、ガラス繊維が最も好ましい。
繊維状強化材の添加量は、組成物の15重量%以上であ
ることが好ましい。添加量の上限値は、特に制限される
ものではないが、実質的には組成物の45重量%以下が
好ましい。より好ましい添加量は、15〜40重量%で
ある。添加量が15重量%未満では、満足すべき直交方
向の力学的強度が得られにくくなる傾向があり、また、
45重量%より多い添加量では、充分な直交方向の強度
は維持できるが、表面状態が悪くなる傾向があるので好
ましくない。強化材の添加方法については通常行われて
いる方法で充分であり、特に限定するものではない。し
かしながら、溶融したポリアミド樹脂に繊維状強化材を
混入してその切断を最小限に抑えることが、押出方向と
直交方向の成形品強度を高めるために好ましい。
【0010】本発明で使用される軟質材は、α−オレフ
ィン・α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル・無
水マレイン酸三元共重合体である。α−オレフィンとし
ては、エチレン、プロピレン、1−ブテンが挙げられ、
好ましくはエチレンである。
【0011】α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステ
ルとしては、炭素数が3〜8個の不飽和カルボン酸、例
えばアクリル酸、メタクリル酸等のアルキルエステルで
ある。具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロ
ピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、
アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸
イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸
t−ブチル、メタクリル酸イソブチル等が挙げられる。
これらのうち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチルが好まし
い。これらのコモノマーは1種のみならず2種以上用い
ることもできる。
【0012】本発明で使用するエチレン・α,β−不飽
和カルボン酸アルキルエステル・無水マレイン酸三元共
重合体の各成分の使用量は特に制限されるものではない
が、好ましくはエチレン100重量部にたいし、α,β
−不飽和カルボン酸アルキルエステル5〜150重量
部、無水マレイン酸0.1〜25重量部である。α,β
−不飽和カルボン酸アルキルエステルの使用量が5重量
部より少ないと、接着性が低下し、150重量部より多
く加えても十分な接着性がすでに得られるため経済的で
ない。無水マレイン酸の使用量が0.1重量部より小さ
いと接着性の改良効果が小さく、一方20重量部を超え
ても接着性は十分であるが、経済的ではない。
【0013】次に、本発明の押出成形により得られるポ
リアミド樹脂押出成形品の表面に連続的に軟質材を被覆
接着する積層成形品の製造方法を図2をもとに説明す
る。ポリアミド樹脂と繊維状強化材との組成物は硬質材
押出機11で溶融混練され、ついで拡散ダイ12を通し
て押し出される。この溶融押出物は、第1冷却水槽内1
3に設置された真空冷却サイジングダイ14で、その形
状が修正されるとともに、第1冷却水槽内13で急速に
冷却固化され押出成形品20となる。その後、押出成形
品20は、予備加熱炉15を通過することにより、押出
成形品の表面を再度加熱され、引き続き、軟質材押出機
17により溶融混練された軟質材21がヒートラミネー
トダイ16により押し出され、通過する押出成形品20
の表面に該軟質材21が被覆接着される。その後、この
被覆接着された成形品は、積層成形品22として第2冷
却水槽18を通過し、二対の引き取りローラー19で引
き取られ、図示してはいないが切断他の工程に供され
る。
【0014】さらに、本発明で使用する拡散ダイの一例
を図3及び図4に示し説明する。図3は拡散ダイの正面
図であり、図4は図3のA−A’線断面図である。拡散
ダイ12には樹脂通路31及び樹脂通路31から拡散ダ
イ2の開口部32に向かって広がった樹脂通路33が形
成されている。図4においてθで示される、樹脂通路3
1に対する樹脂通路33の広がり角度が拡散ダイの角度
として規定される。拡散ダイの角度θは、大きいほど繊
維状強化材の直交配向には好ましい。拡散ダイの角度θ
は一般には60度以上から180度未満であり、溶融組
成物の形状保持のためには、90±10度が最も好まし
い。拡散ダイの角度θが60度より小さいと、繊維状強
化材の十分な配向が得られにくくなる。また、拡散ダイ
の角度θを180度以上にしても樹脂の流れを考えると
実質的に意味がない。
【0015】真空冷却サイジングダイ14で形状が修正
された溶融押出物を急速に冷却固化する方法については
特別の制限はない。しかし、拡散ダイ12より出た樹脂
中の繊維状強化材の配向をそのままに保つには、素早く
樹脂を固化する方が好ましく、冷却効率の優れたものが
望ましい。通水冷却方式の金属ダイを用いることができ
るが、図2に示されるような、短い真空冷却サイジング
ダイ14の後、第1冷却水槽13で冷却する、接触表面
が頻繁に更新される水槽冷却形式の方が好ましい。ま
た、この理由から冷却水温度はできる限り低いほうが効
果的であり、一般的には80℃以下、好ましくは60℃
以下、更に好ましくは25℃以下、特に好ましくは10
℃以下である。
【0016】真空冷却サイジングダイ14の入口内径寸
法は、拡散ダイ12の出口内径寸法と同じか、もしくは
若干大きめであることが望ましい。両寸法の差が余りに
大きすぎると、成形品表面に溶融状態で圧力がかから
ず、表面平滑性が損なわれてくる。従って、両寸法の差
は、一般には1.0mm以内、好ましくは0.5mm以
内、特に好ましくは0.3mm以内である。真空冷却サ
イジングダイ14の入口内径寸法が拡散ダイ12より小
さいと、真空冷却サイジングダイ14の部分で使用した
樹脂組成物の流れが縮小され、そのため、繊維状強化材
の直交配向が押出方向に戻され、直交方向の特性が低下
するようになる。また、入口の形状が同じ真空冷却サイ
ジングダイ14でも内部で寸法を絞る構造であると、同
様の影響により直交方向の特性が低下するようになる。
【0017】拡散ダイ12出口と真空冷却サイジングダ
イ14入口との間の距離は、樹脂組成物の押出速度およ
び固化特性によっても異なるが、この距離が過度に大き
いと、直交方向に配向した繊維状強化材が押出方向に再
配向して、成形品の直交方向の力学的特性が低下する傾
向を示す。従って、上記の距離は、一般には100mm
以下、好ましくは30mm以下、更に好ましくは20m
m以下、特に好ましくは8mm以下である。
【0018】拡散ダイ12と真空冷却サイジングダイ1
4は直結していてもよいが、この場合には、繊維状強化
材の配向を固定化するために真空冷却サイジングダイ1
4を十分に冷却することが大切である。そのためには、
直結部分の断熱性を充分確保して拡散ダイ12から真空
冷却サイジングダイ14ヘの熱の流入を防ぐ必要があ
り、接触部分の面積を小さくするとともに、使用する接
合部分を断熱性の高い硬質低発泡樹脂成形品やガラス等
の材料にする必要がある。
【0019】硬質材押出機11より押し出された溶融押
出物は第1冷却水層で冷却されて押出成形品20となる
が、引き続き予備加熱炉15にて加熱することにより、
軟質材との接着性を向上させる。予備加熱温度は、使用
するポリアミド樹脂にもよるが、通常は室温から該ポリ
アミド樹脂の溶融温度未満である。ナイロン6の予備加
熱温度は、50℃〜180℃、好ましくは80℃〜18
0℃、特に好ましくは100℃〜150℃である。余り
に低すぎると、被覆後の接着性が十分で無く、容易に剥
離し実用に供しない。余りに高すぎると、押出成形品の
断面形状の変形を招くことがあり好ましくない。
【0020】押出成形品の形状については、何ら制限さ
れるものではないが、円形、多角形、長方形、L形、E
形、コの字形などの異形押出品であっても良い。押出成
形品の厚みは、押出方向および直交方向の機械的強度を
維持するためにも適度の厚みをもつことが望ましい。好
ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm
以上、より好ましくは1.5mm以上である。
【0021】軟質材押出機17により押し出される軟質
材の押出温度も、押出成形品との被覆接着性に大きな影
響を与える。その値は、通常100℃〜250℃であ
る。好ましくは150℃〜220℃である。余りに低す
ぎる場合には、被覆後の接着性が十分で無く、容易に剥
離し実用に供しない。余りに高すぎると、押出成形品の
外周部に部分的な溶融が発生し、その形状安定性が阻害
されるので望ましくない。ナイロン6に対しては、通常
150℃〜210℃、好ましくは180℃〜210℃、
特に好ましくは190℃〜210℃である。
【0022】被覆される軟質材の厚みは接着性自体には
大きな影響を与えないが、0.1mm以上が好ましい。
これより薄いと本発明の目的の一つであるアルミサッシ
との気密性や止水性が悪くなる。また、余りに厚すぎて
も多量の軟質材を使用するので経済的ではない。より好
ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1
mmである。
【0023】成形の際の押出速度は、遅い程接着性が良
好であるが、生産性を考慮して最適な速度を設定するの
が好ましい。その値は、通常6m/分以下、好ましくは
3m/分以下、更にこのましくは2m/分以下、特にこ
のましくは1.5m/分以下である。生産性を上げたい
場合には拡散ダイおよび冷却水槽・真空冷却サイジン
グ、ヒートラミネートダイ等の設備を2系列用意するこ
とが望ましい。
【0024】本発明で使用する硬質材押出機11および
軟質材押出機17は単軸、二軸、多軸のスクリュータイ
プで充分であるが、圧力制御押出しが可能な機種または
等速押出しが可能な機種が望ましい。また、図示しない
引き取り機も通常のもので良いが、適度な圧力をサイジ
ングダイ側にかけながら引き取りできるよう、押出機と
連動して速度制御できることが望ましい。
【0025】本発明で得られる押出成形品は、繊維強化
材が、押出方向と直交する方向に配向している。この繊
維状強化材の配向の程度(以下「配向率」ということが
ある。)は種々の方法で特定できるが、本明細書では直
交方向にスライスした断面の顕微X線観察法を用いた。
すなわち、繊維状強化材の配向率は、顕微X線写真撮影
したサンプルの単位面積あたり、押出方向に対して70
〜110度配向している繊維状強化材の本数の全繊維状
強化材総数に対する比率として求めた。
【0026】押出成形品中での繊維状強化材の配向率が
大きくなるにつれ、押出方向と直交する方向、即ち幅方
向における成形品の曲げ強さ、曲げ弾性率のような機械
的特性が改善される。一般的には、繊維状強化材の配向
率が10%以上になるように、組成物の押出速度、拡散
ダイの角度θ、冷却速度などの条件を調整することが好
ましい。一例を挙げると、ガラス繊維を使用した場合で
は、繊維状強化材を10%以上直交方向に配向させるこ
とで、直交方向の曲げ強さ、曲げ弾性率を向上させ、長
期に断熱スペーサとして要求される特性を確保できる。
【0027】本発明に使用する組成物には、本発明の効
果を損なわない範囲で他の添加剤を添加しても良い。添
加剤としては、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、難燃剤、プラスチック用着色剤、滑材、プラ
スチック用防カビ剤などである。
【0028】このようにして得られた積層成形品21
は、機械的強度が要求され、さらに気密性断熱性が要求
される建築用部材、自動車用部品、電気・電子部品分野
の成形品として使用される。好ましくは建築用部材分野
の成形品であり、具体的には、アルミサッシ断熱スペー
サである。
【0029】以下に実施例を用いて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明が、これらに限定されるもので
はない。 (使用軟質材) (1)宇部興産株式会社製 ;ポリアミドエラストマー UBE PAE 1200U2 低密度ポリエチレン UBE PE V210 (2)住友化学工業株式会社製;エチレン・エチルアクリレート無水マレイン酸共重合樹脂 ボンダイン AX8390 ボンダイン TX8030 ボンダイン LX4110
【0030】(評価方法)得られた押出成形品を万能試
験機(株式会社オリエンテック TENSILON U
TM−I−2500)を用い、押出方向の曲げ弾性率と
直交方向(幅方向)の曲げ弾性率を測定した。押出成形
品は、温度23℃、相対湿度65%で48時間状態調節
したのち、120℃の熱風乾燥機で3時間乾燥し、絶乾
状態に戻して測定した。 1.押出方向 両端支持中央1点集中荷重3点曲げ方式 試験片 幅18mm 厚み3mm 長さ70mm 曲げ支点間距離 50mm 曲げ試験速度 1.5mm/分 2.直交方向 片持支持自由端1点集中荷重曲げ方式 試験片 幅50mm 厚み3mm 長さ18mm 曲げスパン(支持端〜荷重印加点間) 11mm 曲げ試験速度 1.0mm/分 3.ガラス繊維配向率 押出成形品の押出方向と直
交方向の断面をミクロトームにてスライスした後、スラ
イス片を顕微X線写真撮影した。得られた写真で単位面
積あたりに押出方向と直交方向(幅方向)に配向してい
るガラス繊維の本数を数え、単位面積内にあるガラス繊
維の総数に対する比率を算出し、ガラス繊維配向率とし
た。 得られた積層成形品の物性として剥離強度を測定した。
積層成形品は、測定前に温度温度23℃、相対湿度65
%で48時間処理し、同環境下で測定した。 4.剥離強度 得られた積層成形品を長さ
100mmに切断し、表面に被覆接着した軟質材と硬質
部分のポリアミド6を長さ60mmほどを事前に剥離さ
せ、幅10.5mm当たりの180℃剥離強度を測定し
た。試験は、万能試験機(株式会社オリエンテック T
ENSILON UTM−I−2500)を用い、試験
速度は、200mm/分にて試験した。
【0031】(実施例1)ポリアミド6(宇部興産株式
会社製;1022B)70重量%とガラス繊維30重量
%からなる組成物(宇部興産株式会社製;UBE 10
22GX1)を、図2に示す様な装置を用いてシリンダ
温度240℃に設定したプラスチック工学研究所製50
mmΦ単軸押出機で、θ=90度の拡散ダイから1.5
m/分の速度で押し出した。押出物は、押出機ダイリッ
プから15mm離した真空冷却サイジングダイを用いて
サイジングした後、10℃の冷却水層で冷却固化させ、
厚み3mm×幅18mmの断面寸法を有する硬質異形押
出成形品を得た。この時、サイジングダイとして、その
入口の内径寸法が拡散ダイ出口の内径寸法よりも0.2
mm大きいものを使用した。得られた厚み3mm×幅1
8mmの断面寸法を有する硬質異形押出成形品は、引き
続き、予備加熱炉で105℃に加熱され、210℃の軟
質ラミネートダイを通る過程で、軟質材押出温度210
℃のボンダインTX8030(住友化学工業株式会社
製;エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共
重合樹脂)を厚み0.6mm、幅10.5mmの寸法で
被覆したのち、10℃の冷却水層で冷却して積層成形品
を得た。製法条件を表1にまとめ、ここで、得られた押
出成形品および積層成形品の評価は表2に示した。
【0032】(実施例2)被覆する軟質材をボンダイン
AX8390とした以外は、実施例1と同様にして押出
成形品および積層成形品を得た。製法条件を表1にまと
め、得られた押出成形品および積層成形品の評価は表2
に示した。
【0033】(実施例3)被覆する軟質材をボンダイン
LX4110とした以外は、実施例1と同様にして押出
成形品および積層成形品を得た。製法条件を表1にまと
め、得られた押出成形品および積層成形品の評価は表2
に示した。
【0034】(実施例4)押出速度を3.0m/分とし
た以外は、実施例1と同様にして押出成形品および積層
成形品を得た。製法条件を表1にまとめ、得られた押出
成形品および積層成形品の評価は表2に示した。
【0035】(実施例5)押出速度を6.0m/分とし
た以外は、実施例2と同様にして押出成形品および積層
成形品を得た。製法条件を表1にまとめ、得られた押出
成形品および積層成形品の評価は表2に示した。
【0036】(実施例6)軟質材の押出し温度を150
℃とした以外は、実施例1と同様にして押出成形品およ
び積層成形品を得た。製法条件を表1にまとめ、得られ
た押出成形品および積層成形品の評価は表2に示した。
【0037】(実施例7)軟質材の押出し温度を180
℃とした以外は、実施例1と同様にして押出成形品およ
び積層成形品を得た。製法条件を表1にまとめ、得られ
た押出成形品および積層成形品の評価は表2に示した。
【0038】(実施例8)押出成形品の予備加熱温度を
50℃とした以外は、実施例1と同様にして押出成形品
および積層成形品を得た。製法条件を表1にまとめ、得
られた押出成形品および積層成形品の評価は表2に示し
た。
【0039】(実施例9)押出成形品の予備加熱温度を
120℃とした以外は、実施例1と同様にして押出成形
品および積層成形品を得た。製法条件を表1にまとめ、
得られた押出成形品および積層成形品の評価は表2に示
した。
【0040】(比較例1)軟質材をUBE PAE 1
201Uとした以外は、実施例1と同様にして押出成形
品および積層成形品を得た。製法条件を表1にまとめ、
得られた押出成形品および積層成形品の評価は表1に示
した。
【0041】(比較例2)軟質材をUBE PE V2
10とした以外は、実施例1と同様にして押出成形品お
よび積層成形品を得た。製法条件を表1にまとめ、得ら
れた押出成形品および積層成形品の評価は表1に示し
た。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【本発明の効果】本発明により、ポリアミド樹脂および
繊維強化材からなる押出成形品において、押出方向およ
び直交方向に高い剛性と強度が確保され、また、前記押
出成形品の表面に十分な接着性を持った軟質層の被覆が
可能となり、ポリアミド断熱サッシスペーサとアルミサ
ッシ枠のかしめ部における気密性および水分のアルミサ
ッシ枠への進入を防止する積層成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の用途に係わるアルミサッシ断熱スペー
サの一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施態様を示す概略図である。
【図3】本発明で使用する拡散ダイの一例の正面図であ
る。
【図4】図3のA−A’断面の上面図である。
【符号の説明】
1 室外側アルミサッシ枠 2 室外側アルミサ
ッシ枠かしめ部 3 室内側アルミサッシ枠 4 室内側アルミサ
ッシ枠かしめ部 5 上部樹脂製断熱スペーサ 6 下部樹脂製断熱
スペーサ 7 軟質材樹脂 11 硬質材押出し機 12 拡散ダイ 13 第1冷却水槽 14 真空冷却サイ
ジングダイ 15 予備加熱炉 16 ヒートラミネ
ートダイ 17 軟質材押出し機 18 第2冷却水槽 19 引き取りローラー 20 押出成形品 21 軟質被覆材 22 積層成形品 31 樹脂通路 32 拡散ダイの開
口部 33 樹脂通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 47/00 - 47/96 B32B 27/00 - 27/42 C09J 123/08 C08L 23/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド樹脂及び繊維状強化材からなる
    組成物を、成形ダイついでサイジングダイを通して押出
    成形して成形品を製造する方法において、上記成形ダイ
    がダイ出口開口部に向かって広がった形状の拡散ダイで
    あり、かつ、拡散ダイから押出された溶融樹脂を急速に
    冷却固化させた押出成形品に、軟質剤としてα−オレフ
    ィン・α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル・無
    水マレイン酸三元共重合体を被覆接着することを特徴と
    する積層成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】繊維状強化材がガラス繊維である請求項1
    記載の積層成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】ポリアミド樹脂及びガラス繊維強化材から
    なる組成物を、成形ダイついでサイジングダイを通して
    押出成形して成形品を製造する方法において、上記成形
    ダイがダイ出口開口部に向かって広がった形状の拡散ダ
    イであり、かつ、拡散ダイから押出された溶融樹脂を急
    速に冷却固化させ、ガラス繊維の10%以上を押出方向
    に対して70〜110度の範囲内に配向させた押出成形
    品に、軟質剤としてα−オレフィン・α,β−不飽和カ
    ルボン酸アルキルエステル・無水マレイン酸三元共重合
    体を被覆接着することを特徴とする積層成形品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】軟質剤のα−オレフィンがエチレンであ
    る、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸アルキルエス
    テル・無水マレイン酸三元共重合体である請求項1、2
    または3記載の積層成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】軟質剤が エチレン 100重量部 α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル 5〜150重量部 無水マレイン酸 0.1〜 25重量部 からなる共重合体である請求項4記載の積層成形品の製
    造方法。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれか1項記載の製造
    方法から得られる積層成形品。
  7. 【請求項7】請求項6で得られた積層成形品からなるア
    ルミサッシ断熱スペーサ。
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