JP3318833B2 - 分割型複合繊維及びこれを用いた繊維成形品 - Google Patents

分割型複合繊維及びこれを用いた繊維成形品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分割性に優れた分
割型複合繊維およびそれを用いた繊維成形品に関する。
更に詳しくはバッテリーセパレーター、ワイパー、フィ
ルター等の産業資材分野及びおむつ、ナプキン等の衛生
材料分野にも好適に用いることのできる分割性に優れた
分割型複合繊維及びこれを用いた繊維成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、極細繊維を得る方法として、海島
型や分割型の複合繊維が知られている。海島型複合繊維
は、複数成分を組合せて紡糸し、1成分を溶解除去して
極細繊維を得るため、非経済的である。一方、分割型複
合繊維は、複数成分を組合せて紡糸して複合繊維とし、
得られた該複合繊維を物理的応力や繊維を構成する樹脂
の化学薬品に対する収縮差などを利用して、該複合繊維
を剥離、分割することにより、極細繊維を得ている。例
えばポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せ、
ポリエステル樹脂とポリアミド樹脂の組合せ、ポリアミ
ド樹脂とポリオレフィン樹脂の組み合わせ等の分割型複
合繊維が知られている。しかしながら、該分割型複合繊
維を極細細繊化して不織布等に加工する際、高圧液体流
処理等の分割細繊化工程にかなりの時間を要し、この工
程が不織布化工程の律速段階となっている、また、分割
細繊化に要するエネルギ−コストも大きい。
【0003】一方、ポリオレフィン系樹脂同士、ポリエ
ステル系樹脂同士、ポリアミド系樹脂同士などの同系樹
脂の組合せでは、前記異系ポリマーの組合わせに比べ、
得られる分割型複合繊維の相溶性が良いため、該複合繊
維を分割細繊化させるためには、物理的衝撃をさらに大
きくする必要がある。このため、複合繊維が物理的衝撃
で動き、目付の厚い部分と薄い部分ができるなどいわゆ
るむらが生じて、得られる不織布は地合が悪くなった
り、また高圧液体流処理の加工速度を大幅に下げる必要
があるなどの問題点がある。
【0004】これを改善するために特開平4−2892
22号公報では、オルガノシロキサン及びこれらの変成
体を添加することにより、同系ポリマー同士の分割型複
合繊維を容易に分割できるようにしている。しかしなが
ら、分割性は多少向上するものの、該分割された繊維を
用いた不織布は強力が低下したり、2次加工時の加工性
不良などの問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記従
来技術の欠点を改良した分割型複合繊維およびそれを用
いた地合のよい繊維成形品について鋭意検討を重ねた。
その結果、分割型複合繊維において、一方の熱可塑性樹
脂成分を断裂させることにより、繊維軸方向に断裂した
部分接合部(図2参照)及び/または非接合部(図3参
照)を複合繊維上に形成させ、これによって高い分割性
を持つ分割型複合繊維が得られることを見出し、また、
かかる分割型複合繊維を用いて得られる繊維成形品が地
合の良い繊維成形品になることを見出し、この知見に基
づいて本発明を完成した。以上の記述から明らかなよう
に 本発明の目的は、分割、細繊化が容易な分割型複合
繊維及びこれを用いた地合の良い繊維成形品を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下から構成
される。 (1)A成分とB成分の熱可塑性樹脂が繊維断面におい
て交互に配置された分割型複合繊維であって、該A成分
は繊維軸方向に沿って連続して形成され、B成分は前記
A成分と繊維軸方向に沿って接合された完全接合部及び
繊維軸方向に断裂して前記完全接合部よりA成分との接
合面積が少ない部分接合部及び/またはB成分が繊維軸
方向に欠損して前記A成分と接合されていない非接合部
が、混在していることを特徴とする分割型複合繊維。
【0007】(2)B成分が低密度ポリエチレン樹脂で
あり、A成分が該低密度ポリエチレン以外の熱可塑性樹
脂であって、該A、B両成分の熱可塑性樹脂が繊維断面
において、交互に配置された放射型の断面形状を有する
請求項1記載の分割型複合繊維。
【0008】(3)A成分がポリプロピレン樹脂、B成
分が低密度ポリエチレン樹脂である前記第1項もしくは
第2項のいずれか1項記載の分割型複合繊維。
【0009】(4)分割型複合繊維の断面形状が中空形
状である前記第1項〜第3項のいずれか1項記載の分割
型複合繊維。
【0010】(5)分割型複合繊維の断面形状が異形断
面形状である前記第1項〜第4項のいずれか1項記載の
分割型複合繊維。
【0011】(6)前記第1項〜第5項のいずれか1項
記載の分割型複合繊維を用いた繊維成形品。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳しく説明す
る。本発明の分割型複合繊維は、A成分とB成分の熱可
塑性樹脂が繊維断面において交互に配置された分割型複
合繊維であって、該A成分は繊維軸方向に沿って連続し
て形成され、B成分は前記A成分と繊維軸方向に沿って
接合された完全接合部(その断面形状を図1で示し、図
1中1がA成分、2がB成分を表わす)と、繊維軸方向
に断裂して前記完全接合部よりA成分との接合面積が少
ない部分接合部(その断面形状として図2の2b、2
b’、2b’’)及び/またはB成分が繊維軸方向に欠
損して前記A成分と接合されていない非接合部(その断
面形状として図3の2b’’’)とが、1本の複合繊維
中に混在していることを特徴とする分割型複合繊維であ
る。
【0013】本発明の分割型複合繊維は、前記の形状に
より、高圧水流等による物理的応力が集中しやすい構造
となっている。つまり、A成分より構成されるA成分セ
グメントは繊維軸方向に沿って連続して形成されている
ため、繊維としての本質的な強度が維持でき、一方、繊
維断面において、B成分で構成されるB成分セグメント
が、該A成分セグメントの少なくとも1個以上が完全に
露出しない程度に欠損した部分接合部2b、2b’、2
b’’(図2)及び/または該A成分セグメントの少な
くとも1個以上が完全に露出した非接合部2b’’’
(図3)が1本の複合繊維中に混在しているため、繊維
軸方向に沿って非連続凹部を形成することとなり、表面
に凹部のない繊維と比較して凹部に物理的応力が集中し
やすく、その結果として、小さいな衝撃エネルギーて容
易に分割、細繊化が達成される。
【0014】前記の非連続凹部とは、凹部の繊維軸方向
の長さ及び深さが規則的なもの、または不規則的なもの
等を包含し、凹部の形状、長さ及び深さ等はなんら限定
されるものではない。つまり、繊維軸方向の切断面にお
ける該凹部の傾斜が鋭角、直角及び鈍角のいずれであっ
ても良く、深さについても浅いもの(図2の2b)から
A成分が完全に露出する程の深さ(図3の2b’’’)
であってもよい。むしろ、図3のごとくA成分の露出が
多いほど好ましい。即ち、B成分セグメントに非連続の
凹部が形成されていればその形状及び形態は特に限され
ない。
【0015】本発明でいう熱可塑性樹脂のA成分とは、
繊維形成性を有し、通常の溶融紡糸装置を使用して溶融
紡出可能なものであれば特に限定されるものではない。
例えば、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル
系樹脂、ポリアミド系樹脂及び立体規則性ポリスチレン
系樹脂等またはこれらの混合物等をあげることができ
る。
【0016】また、本発明にあっては、上記A成分セグ
メントはこれらの樹脂の1種類を用いた単一樹脂から構
成される以外に2種類以上の樹脂を用いて構成される場
合も含まれる。すなわち、A成分セグメントとして、例
えばA1セグメント、A2セグメントとのごとき複数のセ
グメントから構成されているものも含まれる、このと
き、該A1セグメントと該A2セグメントが互いに隣接す
るよりも該A1セグメントとA2セグメントとの間にB成
分セグメントが介在する断面形状のものが好ましい。こ
のことはB成分セグメントの方にも同様のことが言え、
例えばB成分セグメントを構成する樹脂として2種類以
上の樹脂を用いた場合、B1セグメントとB2セグメント
とが隣接するよりも、その間に上記のA成分セグメント
が介在した断面形状のものとすることが好ましい。
【0017】上記のポリオレフィン系樹脂としては、高
密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチ
レン(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂、ポリメチル
ペンテン、1、2―および1、4―ポリブタジエン樹脂
の他、エチレン、ブテン―1、ヘキセン―1、オクテン
―1若しくは4―メチルペンテン―1等のα−オレフィ
ンの単独重合体もしくはこれらα−オレフィンの2種以
上の共重合体を挙げることが出来、特にエチレン・プロ
ピレン共重合体、エチレン・プロピレン・1―ブテン3
元共重合体等のポリプロピレン系樹脂およびこれらの2
種以上の混合物が好ましく用いられる。また前記α―オ
レフィンと他のオレフィン又は少量の他のエチレン系不
飽和モノマー、例えばブタジエン、イソプレン、1、3
―ペンタジエン、スチレン及びα―メチルスチレン等の
エチレン系不飽和モノマーとの共重合体も好ましく用い
られる。、また上記ポリオレフィン系樹脂は混合物であ
っても良い。さらに通常のチーグラーナッタ触媒から重
合されたポリオレフィンン系樹脂だけでなく、メタロセ
ン触媒から重合されたポリオレフィン系樹脂、及びそれ
らの共重合体も好ましく用いることが出来る。
【0018】熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、酸
成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、
2、6―ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン
酸もしくはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸又はこれらのエステル類と、アルコール成分として
エチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4―
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、4―シ
クロヘキサンジメタノール等のジオール化合物とから合
成されるホモポリエステルないしは共重合ポリエステル
等を挙げることができる。
【0019】ポリアミド系樹脂としては、ナイロン―
4、ナイロン―6、ナイロン―46、ナイロン―66、
ナイロン―610、ナイロン―11、ナイロン―12や
ポリメタキシレンアジパミド(MXD―6)、ポリパラ
キシレンデカンアミド(PXD―12)、ポリビスシク
ロヘキシルメタンデカンアミド(PCM―12)または
これらのモノマーを構成単位とする共重合ポリアミドを
挙げることが出来る。
【0020】立体規則性ポリスチレン系樹脂は、13C−
NMR法により測定されるタクティシティ−として、連
続する複数個の構造単位の存在割合、例えば2個の場合
はダイアット、3個の場合はトリアッド、5個の場合は
ペンタッドによって示すことができるが、本発明で用い
られる該立体規則性ポリスチレン系樹脂としては、通常
ペンタッド分率が85%以上、好ましくは95%以上の
シンジオタクティシティ−を有するポリスチレン、ポリ
メチルスチレン、ポリエチルスチレン、ポリイソプロピ
ルスチレン等のポリアルキルスチレン、ポリクロロスチ
レン、ポリブロモスチレン、ポリフルオロスチレン等の
ポリハロゲン化スチレン、ポリクロロメチルスチレン等
のポリハロゲン化アルキルスチレン、ポリメトキシスチ
レン、ポリエトキシスチレン等のポリアルコキシスチレ
ン、ポリ安息香酸エステルスチレン等であり、これらを
単独でもしくは混合して使用することができるのは勿
論、これら重合体を構成するモノマ−相互の共重合体も
しくはこれらモノマ−を主成分とする共重合体である。
【0021】すなわち、上述のモノマ−群から選択され
る1種以上のモノマ−とエチレン、プロピレン、ブテ
ン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、デセン等のオレフ
ィン系モノマ−、ブタジエン、イソプレン等のジエン系
モノマ−、環状オレフィンモノマ−、環状ジエンモノマ
−もしくはメタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アク
リロニトリル等の極性ビニル系モノマ−とのシンジオタ
クティックスチレン構造を有する共重合体である。これ
らの単独重合体もしくは共重合体は市販品を使用するこ
とができる。
【0022】次に、非連続凹部を形成するB成分の熱可
塑性樹脂は、A成分と非相溶性の熱可塑性樹脂で、か
つ、部分接合部及び非接合部が混在した非連続凹部を形
成させることが出来る樹脂であれば特に限定されるもの
ではない。該B成分の熱可塑性樹脂の中でも特に添加剤
等を添加しない系、即ち、熱可塑性樹脂のみで凹部を形
成する場合に最も好ましい樹脂として低密度ポリエチレ
ンを挙げることができる。本発明でいう低密度ポリエチ
レンとは、融点105〜120℃、比重0.915〜
0.930の繊維形成性を有するポリエチレン樹脂を指
す。本発明の分割型複合繊維のB成分に低密度ポリエチ
レンを用いることによって、溶融紡糸で得られた未延伸
糸を延伸する過程で、A成分の熱可塑性樹脂にB成分の
低密度ポリエチレンが追随できず断裂が発現し、部分接
合部及び非接合部が発現する。
【0023】一方、B成分の熱可塑性樹脂として、前記
低密度ポリエチレンを用いる以外に部分接合部及び非接
合部を形成させるために、前記熱可塑性樹脂に、例えば
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等
のアゾ化合物、N,N’―ジニトロソペンタメチレンテ
トラミン等のニトロソ化合物、p―トルエンスルホニル
ヒドラジン及びp,p’―オキシビス(ベンゼンスルホ
ニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物に代
表される有機発泡剤もしくは無機発泡剤を、曳糸性及び
繊維物性を損なわない範囲内で添加してB成分の熱可塑
性樹脂とする方法がある。この場合、得られる分割型複
合繊維は、A成分の熱可塑性樹脂には発泡剤を添加せ
ず、B成分の熱可塑性樹脂に発泡剤を添加してなるA、
B成分で構成される。また、発泡剤を添加する方法とし
ては、溶融紡糸の際に樹脂に添加、混合する方法及び、
発泡剤を上記B成分の熱可塑性樹脂に練り込んでペレッ
ト化する方法等がある。
【0024】これら発泡剤の添加量は目的とする繊維の
繊度、発泡剤の種類に応じて適宣加減されるが、一般に
は添加するB成分の熱可塑性樹脂に対して0.1〜2.
0重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%である。発
泡により分割型複合繊維を構成するB成分セグメントに
気泡もしくは凹部が形成される。これにより、未延伸糸
の段階ですでに、繊維軸方向に沿って非連続凹部の形
成、及び気泡によりA、B両成分の接触面積が減少する
ことで容易に分割、細繊化が達成されるが、該未延伸糸
を延伸することで前記凹部及び気泡は広がり、未延伸糸
に比べ著しく分割性を向上させることができる。このと
き、延伸倍率は、未延伸繊維の破断延伸倍率の70〜9
0%で延伸することが好ましく、部分接合部及び/また
は非接合部が混在した、繊維軸方向に非連続の凹部を有
する分割型複合繊維を作製することができる。
【0025】本発明に係る熱可塑性樹脂には、本発明の
効果を妨げない範囲内でさらに、酸化防止剤、光安定
剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、
滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料及び可塑剤等
の添加剤を適宣必要に応じて添加してもよい。
【0026】本発明の分割型複合繊維の繊維断面におけ
るA成分、B成分の分割数であるセグメント数、即ち貼
り合わせ数は3以上であれば特に制限されないが、分割
型複合繊維の製造の容易性、分割後に形成される極細繊
維の繊度等により4〜32程度の貼り合わせ数であるこ
とが望ましい。さらに分割後に形成される極細繊維の単
繊維繊度が0.5デシテックス(dtex)以下、好ま
しくは0.3dtex以下になるように分割型複合繊維
の単繊維繊度、貼り合わせ数等を設定することによっ
て、柔軟性、緻密性に優れた不織布を作ることのできる
分割型複合繊維が得られる。
【0027】本発明における分割型複合繊維の断面形状
は、例えば放射型(図1〜図3参照)を始め、中空放射
型(図4参照)、多層型(図5参照)等が挙げられ、B
成分が非連続凹部を形成し、かつ繊維形状を維持するこ
とができれば断面形状は特に限定されるものではない
が、好ましくはA、B両成分が交互に配列した断面形状
を採用することである。つまり一方のセグメントが、隣
接するセグメントを、例えば芯鞘型複合繊維のごとく完
全に包囲してしまわない形状であれば良い。
【0028】また、本発明の分割型複合繊維は、高圧液
体流等による物理的衝撃を受けて分割されることから、
その断面形状は図1〜図5の円形に限定されるものでは
なく、物理的衝撃を受けやすい異型断面形状(非円形断
面形状)のものがより望ましい。例えば異形形状で代表
される星形(図6参照)の他、楕円形、三角形、四角
形、五角形、多葉形、アレイ形、T字形及び馬蹄形等が
ある。要は物理的衝撃を受けやすく、本発明の目的とす
る易分割性に優れた結果が得られる断面形状であれば制
限はなく、これらの配置構造や断面形状は特に図示した
ものにのみ限定されるものではない。
【0029】本発明の分割型複合繊維において、A成分
とB成分の熱可塑性樹脂の複合比は10対90重量%〜
90対10重量%の範囲でそのA成分、B成分として用
いた樹脂が複数の場合はそれらの樹脂の合計が100重
量%であればよく、より好ましくは30対70重量%〜
70対30重量%である。かかる範囲の複合比とするこ
とにより、熱可塑性樹脂A、B両成分が均一に配置され
た断面形状となる。尚、以下の説明においても複合比の
単位は重量%である。
【0030】本発明の分割型複合繊維の製造方法につい
て例示する。A成分の熱可塑性樹脂とB成分の熱可塑性
樹脂を溶融し、例えばホール数300〜1000の複合
紡糸口金より吐出させる。この時、該口金直下を空冷し
て未延伸糸を得る。引取速度40m/分〜1500m/分
で引き取ることにより、3dtex〜400dtexの
未延伸糸を作製する。該未延伸糸を、例えばポリプロピ
レン樹脂とポリエチレン樹脂の2成分の組合せの場合に
は、60〜120℃に加熱したロール間、または、70
〜90℃に加熱した温水バス中に浸して延伸する。
【0031】溶融紡糸で得られた未延伸繊維を延伸する
際に、その繊維断面形状として、完全接合部(図1)の
他に部分接合部(図2の2b,2b’2b’’)及び/
または非接合部(図3)が混在した非連続凹部を複合繊
維上に形成する。つまり、A成分とB成分の延伸性の差
異を利用することで、A成分に追従できないB成分が、
部分的に非連続の凹部を形成する。この際、延伸倍率は
B成分が断裂を起こす条件であり、具体的には未延伸繊
維の破断延伸倍率の50〜90%であることが望まし
い。これより低い延伸倍率だと断裂を起こさず、これよ
り高い延伸倍率だと延伸切れを起こして延伸が不可能と
なる。
【0032】得られた延伸糸にタッチロールで仕上剤を
塗布した後、ボックス型の捲縮加工機を通過させ、捲縮
を付与したトウを作製する。捲縮数は25mmあたり0
〜25山が好ましい。該トウは約10重量%の水分を含
んでいるので、乾燥機を用いて、例えばポリプロピレン
樹脂とポリエチレン樹脂の組合せの場合には、60〜1
20℃で乾燥する。乾燥したトウを押し切りタイプのカ
ッターを用いて一定の繊維長にトウをカットして短繊維
とする。以上は短繊維の製造工程を開示したが、トウを
切断せず、長繊維トウを分繊ガイドなどによりウェブと
することもできる。その後は必要に応じて高次加工工程
を経て、種々の用途に応じた繊維成形品に作製される。
【0033】ここで繊維成形品とは、布状の状態であれ
ばいかなる物でも良く、例えば織物、編物、不織布ある
いは不織繊維集合体等がある。また、混綿、混紡、混
繊、交撚、交編、及び交繊等の方法で布状の形態にする
こともできる。さらに、不織繊維集合体とは、例えばカ
ード法、エアレイド法、あるいは抄紙法等の方法で均一
にしたウェブ状物あるいはこのウェブ状物に織物、編
物、不織布を種々積層した物等をいう。
【0034】かかる工程において、繊維を紡出後、繊維
の静電気防止、繊維成形品への加工性向上のための平滑
性付与等を目的として界面活性剤を繊維表面に付着させ
ることができる。界面活性剤の種類、濃度は用途に合わ
せて適宣調整する。付着の方法はローラー法、浸漬法及
びパットドライ法等を用いることができる。付着は、紡
糸工程、延伸工程、捲縮工程のいずれで付着させても差
し支えない。さらに短繊維、長繊維を問わず、紡糸工
程、延伸工程、捲縮工程以外の、例えば繊維成形品に作
製後、界面活性剤を付着させることもできる。
【0035】本発明の分割型複合繊維の繊維長は特に限
定するものではないが、カード機を用いてウェブを作製
する場合は、一般に20〜76mmのものを用い、抄紙
法やエアレイド法では、一般に2〜20mmの物が好ま
しく用いられる。繊維長が2mm未満の場合には、物理
的衝撃で繊維が動いてしまい、分割に必要なエネルギー
を繊維自体が受けにくくなってしまう。また、繊維長が
76mmを大幅に超える場合はカード機等でのウェブ作
製が均一にできず、均一な地合のウェブとするのが難し
くなる。
【0036】前記分割型複合繊維の繊度は、特に限定さ
れるものではないが、1〜100デシテックス(dte
x)が好ましく、より好ましくは1.5〜35dte
x、さらに好ましくは1.5〜20dtexである。繊
維の太さが1dtexより著しく小さい場合、カード機
の通過性が悪くなって生産性が低下する傾向にあり、一
方、繊維の太さが100dtexを大幅に越える場合、
繊維同士の絡む力が大きくなるため繊維の分散性が低下
し、均一な地合のウェブが作製でき難くなる傾向にあ
る。分割型複合繊維の太さが1〜100dtexの範囲
の場合にはカード機の通過性も良く、従ってウェブの生
産性も良く、ムラのない均一な地合のウェブが作製でき
好ましい。
【0037】本発明の分割型複合繊維からなる繊維成形
品の製造方法の一例として、不織布の製造方法を例示す
る。前記分割型複合繊維の短繊維を用いて、カード法、
エアレイド法、あるいは抄紙法を用いて必要な目付のウ
ェブを作製する。またメルトブローン法、スパンボンド
法等で直接ウェブを作製しても良い。前記の方法で作製
したウェブを、ニードルパンチ法、高圧液体流処理等の
公知の方法で分割細繊化して繊維成形品を得ることがで
きる。さらに、この繊維成形品を熱風あるいは熱ロール
等の公知の加工方法でさらに処理することもできる。
【0038】また、抄紙法等の非常に短い繊維で構成さ
れたウェブをニードルパンチ法、高圧液体流処理等の公
知の方法で分割細繊化する場合に、その物理的応力で繊
維が分割すると同時に繊維が動いて地合不良となる場合
があるため、予め分割型複合繊維を構成する樹脂の融点
よりも低融点で熱融着する繊維を混綿しておき、この低
融点繊維で融着された不織布を作製しておくことで地合
不良を抑えることができる。
【0039】湿式法でウェブを製造する場合には水中で
の繊維の分散性を考慮し、繊維に捲縮を施さないことが
好ましい。また、乾式法でウェブを製造する場合には、
カード通過性を考慮し、繊度に合わせた捲縮形状及び捲
縮数を適宣選択し、捲縮を施しておくことが好ましい。
捲縮数は繊度が1dtexの場合、10〜20山/25
mm程度が好ましく、100dtexの場合、4〜9山
/25mm程度が望ましい。すなわち繊度が大きくなる
ほど捲縮数は少なくて良い。
【0040】本発明の繊維成形品の目付は特に限定され
る物ではないが、10〜200g/m2のものが好まし
く使用できる。目付が10g/m2未満では、地合不良
な不織布となる場合がある。また目付が200g/m2
を超えると、分割型複合繊維を分割細繊化する工程でよ
り高圧の液体流処理が必要となり、地合良く均一な不織
布を得るための分割細繊化を行うことが困難になる。
【0041】このようにして製造した分割型複合繊維
は、繊維表面の一部が断裂及び/または欠損した構造が
混在しているため、繊維の剛性は小さくなっている。そ
のため、本発明の妨げにならない範囲で、必要に応じて
本発明の分割型複合繊維に他の繊維を混合して用いるこ
とができる。該他の繊維としては、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリオレフィン、アクリル等の合成繊維、綿、
羊毛、麻等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテー
ト等の再生繊維、半合成繊維等が挙げられる。
【0042】次に、高圧液体流処理について説明する。
高圧液体流処理に用いる高圧液体流装置とは、例えば、
ノズル径0.05〜1.5mm、好ましくは0.1〜
0.5mm、ピッチ0.1〜1.5mmで一列あるいは
複数列に多数配列したノズルプレートから、圧力0.9
8〜29.4MPa、好ましくは4.9〜24.5MP
aの水流を噴射させて得られる高圧液体流を、多孔性支
持部材上に置いた前記ウェブに衝突させる。これにより
本発明の分割型複合繊維は高圧液体流により交絡、分割
される。噴射口の配列は、前記ウェブの進行方向と直行
する方向に列状に配列する。高圧液体流としては、常温
あるいは温水を用いてもよいし、任意に他の液体を用い
ても良い。
【0043】噴射口とウェブとの間の距離は、10〜1
50mmとするのが良い。10mm未満であると、得ら
れる繊維成形体の地合が乱れ、一方、150mmを超え
ると液体流がウェブに与える物理的衝撃が弱くなり、交
絡及び分割細繊化が十分に施されない場合がある。なお
処理する目付等にも左右されるが、前記処理圧力の範囲
内において、順次、低水圧から高水圧へ圧力を上げて処
理すると、ウェブの地合が乱れることなく交絡、分割細
繊化することが可能となる。
【0044】高圧液体流を施す際にウェブを載せる多孔
性支持部材としては、例えば50〜200メッシュの金
網製あるいは合成樹脂製のメッシュスクリーンや有孔板
など高圧液体流が上記ウェブを貫通するものであれば特
に限定されない。尚、ウェブの片面より高圧液体流処理
を施した後、引き続き交絡処理されたウェブを反転させ
て高圧液体流処理を施すことによって、表裏ともに緻密
で地合の良い繊維成形品を得ることができる。さらに高
圧液体流処理を施した後、処理後の繊維成形品から水分
を除去する。この水分を除去するに際しては、公知の方
法を採用することができる。例えば、マングロール等の
絞り装置を用いて水分をある程度除去した後、熱風循環
式乾燥機等の乾燥装置を用いて完全に水分を除去して本
発明の繊維成形品を得ることができる。
【0045】このようにして作製された繊維成形品は、
十分に分割された極細繊維から構成されているため、拭
き取り性に優れており、高い柔軟性と緻密性を有する。
このため、本発明の分割繊維不織布は医療用及び工業用
ワイピングクロス、マスク、手術衣、包装布、濾過布、
フィルター、衛生用品の表面材等に使用できる。また、
熱可塑性樹脂A、B両成分ともポリオレフィン系樹脂で
構成されている不織布は、耐酸性、耐アルカリ性に優れ
ているため、電池用セパレータ等に使用することもでき
る。
【0046】以下、実施例により本発明を詳述するが、
本発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。各例において、繊維の物性の評価並びに不織布性能
などの評価は以下に示す方法で行った。
【0047】(1)曳糸性 紡糸量1時間の間の糸切れ回数で判定した。 ○:糸切れ無し △:糸切れ1〜3回 ×:糸切れ4回以上
【0048】(2)樹脂のメルトフロ−レ−ト(MF
R):JIS K7210に準拠して測定した。 原料ポリプロピレン樹脂:条件14 原料ポリエチレン樹脂 :条件4
【0049】(3)融点 パーキン・エルマー社製のDSC7型示差走査熱量分析
計を用いて10℃/分の昇温条件下で230℃まで昇温
し、同温度にて10分間保持後、―20℃/分にて―2
0℃まで降温し、同温度にて10分間保持した後、10
℃/分の昇温条件下で融解時のピークを示す温度を融点
とした。
【0050】(4)断面分布 試料をワックスに包埋し、ミクロトームで繊維軸に対し
ほぼ直角に切断し試料片を得る。これを顕微鏡で観察
し、適宣10ヶ所の切断面を観察した。
【0051】(5)分割率 試料をワックスに包埋し、ミクロトームで繊維軸に対し
ほぼ直角に切断し試料片を得る。これを顕微鏡で観察
し、得られた断面像から画像処理にて、分割されて発生
した極細繊維の総断面積(A)と未分割の分割繊維の総
断面積(B)を測定し、以下の式で算出した。 分割率%=A/(A+B)×100 尚、分割率は測定対象物の10個所から試料を採取し、
採取した試料10個の分割率の平均値とした。
【0052】(6)引張強伸度 繊維強伸度:JIS−L1013法に準じ、島津製作所
(株)製オートグラフAGS500Dを用い、試料10
0mm、引張速度100mm/分で測定した。 不織布強伸度 不織布強力の測定条件 島津オートグラフAGS500D(島津製作所(株)
製)使用 試料サイズ:5cm×15cm MD強力は不織布の機械方向(machine dir
ection)の強力。 CD強力は不織布の機械方向に垂直な方向(cross
direction)の強力。 チャック間隔 :10cm 引張速度 :200mm/分 試験数 :10枚
【0053】(7)不織布地合 10人のパネラーが分割加工後における不織布の繊維の
分布斑を目視した結果により次のように評価した。 ○:7人以上が斑が少ないと感じた。 △:4人以上、6人以下が斑が少ないと感じた。 ×:斑が少ないと感じたのは3人以下であった。
【0054】
【実施例】実施例1 A成分の熱可塑性樹脂としてMFRが35g/10分ポ
リプロピレン樹脂(プロピレン単単独重合体、融点16
3℃、以下、PPという)、B成分の熱可塑性樹脂とし
てMFRが16g/10分、融点107℃の低密度ポリ
エチレン樹脂(以下LDPEという)の2成分を用いて
280℃で複合紡糸を行い、10.2dtexの未延伸
糸を得た。引取工程において、アルカリフォスフェート
K塩を付着させた。得られた該未延伸糸を延伸倍率4.
8倍で延伸した後カットし、正量繊度2.9dtex、
繊維長10mmの分割型複合繊維を得た。得られた分割
型複合繊維はその断面形状として図1〜図3に例示の接
合部、部分接合部、非接合部が混在した複合繊維であっ
た。表1に熱可塑性樹脂A成分、B成分の複合比(重量
%)、断面分布、破断強度、破断伸度、曳糸性、延伸倍
率及びB成分の断裂の有無の評価結果を示した。尚、繊
度は、JIS L1015 化学繊維ステープル試験方
法 繊度 A法に基づく繊維10000mで換算した繊
度を示す。
【0055】実施例2 得られる分割型複合繊維の繊度を1.0dtexにした
以外は実施例1に準拠して分割型複合繊維を作製した。
得られた分割型複合繊維は図2〜図3に例示したような
の接合部、部分接合部、非接合部が混在したが混在した
複合繊維であった。A成分、B成分の熱可塑性樹脂の複
合比(重量%)、断面分布、破断強度、破断伸度、曳糸
性、延伸倍率及びB成分の断裂の有無の評価を行い、そ
の結果を表1に示した。
【0056】実施例3 未延伸糸の繊度を7.0dtexとし、繊維長を5m
m、正量繊度を2.2dtexにする以外は実施例1に
準拠して断面形状が図6のような星形分割型複合繊維を
作製した。得られた星形分割型複合繊維は図6に示した
ような断面形状の接合部、部分接合部、非接合部が混在
した複合繊維であった。A成分、B成分の熱可塑性樹脂
の複合比(重量%)、断面分布、破断強度、破断伸度、
曳糸性、延伸倍率及びB成分の断裂の有無の評価を行
い、その結果を表1に示した。
【0057】実施例4 未延伸糸の繊度を9.6dtexとし、繊維長を5m
m、正量繊度を1.7dtexにする以外は実施例1に
準拠して、断面形状が図4に示したような形状の中空放
射状分割型複合繊維を作製した。得られた中空放射状分
割型複合繊維は図4に示したような断面形状の接合部、
部分接合部、非接合部が混在し分割型複合繊維であっ
た。A成分、B成分の熱可塑性樹脂の複合比(重量
%)、断面分布、破断強度、破断伸度、曳糸性、延伸倍
率及びB成分の断裂の有無の評価を行い、その結果を表
1に示した。
【0058】実施例5 A成分の熱可塑性樹脂としてMFR16g/10分プロ
ピレン−エチレン共重合体樹脂(以下co−PPとい
う)、B成分の熱可塑性樹脂としてMFRが16g/1
0分のLDPEを用いて複合紡糸を行い、15.0dt
exの未延伸糸を得た。延伸倍率3倍で延伸後、捲縮加
工を行いカット長51mm、繊度6.0dtexの分割
型複合繊維を作製した。得られた分割型複合繊維は図1
〜図3に例示のような断面形状の接合部、部分接合部、
非接合部が混在した複合繊維であった。A成分、B成分
の熱可塑性樹脂の複合比(重量%)、断面分布、破断強
度、破断伸度、曳糸性、延伸倍率及びB成分の断裂の有
無の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0059】実施例6 A成分の熱可塑性樹脂としてMFR16g/10分のP
P、B成分の熱可塑性樹脂としてMFRが16g/10
分のLDPEを用いて複合紡糸を行い、10.5dte
xの未延伸糸を得た。延伸倍率3倍で延伸後、捲縮加工
を行いカット長51mm、繊度4.4dtexの分割型
複合繊維を作製した。得られた分割型複合繊維は図1〜
図3に例示した断面形状の接合部、部分接合部、非接合
部が混在した分割型複合繊維であった。A成分、B成分
の熱可塑性樹脂の複合比(重量%)、断面分布、破断強
度、破断伸度、曳糸性、延伸倍率及びB成分の断裂の有
無の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0060】実施例7 A成分の熱可塑性樹脂としてMFR16g/10分のP
P、B成分の熱可塑性樹脂としてMFR26g/10分
の高密度ポリエチレン樹脂(以下HDPEという)を用
い、発泡剤として有機酸及び無機塩が主成分のダイブロ
ーHC(大日精化工業(株)製)をB成分の樹脂に0.
5重量%添加して、280℃で溶融紡糸を行った。引取
工程においてアルカリフォスフェートK塩を付着させ、
14.6dtexの未延伸糸を得た。延伸倍率5.0倍
で延伸した後、カットし、繊度3.3dtex、繊維長
5mmの分割型複合繊維を作製した。得られた分割型複
合繊維は図1〜図3に例示した断面形状の接合部、部分
接合部、非接合部が混在した分割型複合繊維であった。
A成分、B成分の熱可塑性樹脂の複合比(重量%)、断
面分布、破断強度、破断伸度、曳糸性、延伸倍率及びB
成分の断裂の有無の評価を行い、その結果を表1に示し
た。
【0061】実施例8 A成分として溶融粘度η=0.635のポリエチレンテ
レフタレート樹脂(以下PETと略記)、B成分として
溶融粘度η=0.575の共重合ポリエチレンテレフタ
レート樹脂(以下co−PETと略記)を用いた19.
0dtexの未延伸糸と、捲縮加工を行いカット長51
mm、繊度4.6dtexであることを除いて実施例7
と同じ条件にて分割型複合繊維を作製した。得られた分
割型複合繊維は図1〜図3に示す断面形状の接合部、部
分接合部、非接合部が混在した分割型複合繊維であっ
た。A成分、B成分の熱可塑性樹脂の複合比(重量
%)、断面分布、破断強度、破断伸度、曳糸性、延伸倍
率及びB成分の断裂の有無の評価を行い、その結果を表
1に示した。
【0062】比較例1 A成分としてMFRが35g/10分のPP、B成分と
してMFRが16g/10分のHDPEを用いて280
℃で複合紡糸を行い、9.7dtexの未延伸糸を得
た。得られた該未延伸糸を延伸倍率6.4倍で延伸した
後カットし、繊度2.1dtex、繊維長10mmの分
割型複合繊維を得た。尚、この条件においてB成分の断
裂は発現せず、断面形状は完全接合部(図1)の複合繊
維であった。A成分、B成分の熱可塑性樹脂の複合比
(重量%)、断面分布、破断強度、破断伸度、曳糸性、
延伸倍率及びB成分の断裂の有無の評価を行い、その結
果を表1に示した。
【0063】比較例2 延伸倍率を2倍にする以外は実施例1に準拠して分割型
複合繊維を作製した。この条件においてB成分の断裂は
発現せず、断面形状は完全接合部(図1)の複合繊維で
あった。A成分、B成分の熱可塑性樹脂の複合比(重量
%)、断面分布、破断強度、破断伸度、曳糸性、延伸倍
率及びB成分の断裂の有無の評価を行い、その結果を表
1に示した。
【0064】比較例3 発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いて、B成分中
の発泡剤の添加率を2.0重量%にする以外は実施例7
に準拠して分割型複合繊維を作製した。尚、この条件に
おいては著しく曳糸性が悪く、未延伸糸を採取すること
ができなかった。
【0065】ウェブの製法1 実施例1,2,3,4,7,比較例1,2は、捲縮を付
与せず、所定長に切断して水分率20重量%の短繊維と
した。これに角形シートマシン(25cm×25cm)
を用い、抄紙法でウェブを作製した。
【0066】ウェブの製法2 実施例5,6,8は、機械捲縮をかけ、所定長に切断し
て短繊維を得た。この短繊維をローラーカード機により
ウェブとした。
【0067】高圧流体処理 ウェブの製法1,2により作製されたウェブを80メッ
シュの平織からなるベルトを有するベルトコンベアー上
に載せ、ノズル径0.1mm、ノズル間のピッチ1mm
で多数のノズルが設けられているノズルプレートから高
圧水流を噴射した。まず水圧2MPaで予備処理(2段
目)した後、水圧5MPaで4段分割処理し、次いでこ
の交絡したウェブを反転させて水圧5MPaで4段分割
処理して分割型複合繊維を分割すると同時に分割した繊
維を交絡させ、極細繊維不織布からなる繊維成形品を得
た。この繊維成形品をバッテリーセパレーター及びワイ
パーとして使用したところ実施各例で得られた複合繊維
から作製された不織布は好結果が得られた。
【0068】
【表1】
【0069】表1の結果から明らかなように、低密度ポ
リエチレンを使用するか、またはB成分に発泡剤を添加
して、部分接合部及び非接合部を1本の複合繊維中に混
在させることにより、複合繊維の分割率は大きくなって
いる。つまり、従来の技術では困難であった比較的相溶
性の高い樹脂の組合せを用いた分割型複合繊維において
も、容易に分割性の改善が達成され、得られた分割型複
合繊維を用いるとソフトかつ緻密な不織布を得ることが
できた。
【0070】
【発明の効果】本発明の分割型複合繊維は、一方の熱可
塑性樹脂成分が断裂もしくは発泡していることにより、
繊維表面に完全接合部及び部分接合部及び/または非接
合部が混在した非連続凹部が形成されているので、ニー
ドルパンチまたは高圧水流などによる物理的応力がくぼ
みの部分に集中する構造となっており、その結果、分割
に要するエネルギーが少なくてすむので、相溶性の高
い、例えばポリオレフィン系樹脂同士の組合せを用いた
分割型複合繊維においても、低エネルギ−で容易に分
割、細繊化することができ、要するエネルギ−コストも
低くすることができる。また、得られた分割型複合繊維
を用いると、地合の良い不織布を容易に作製することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射分割型複合繊維の完全接合部の模式断面
図。
【図2】放射分割型複合繊維の部分接合部の模式断面
図。
【図3】放射分割型複合繊維の非接合部の模式断面図。
【図4】中空放射分割型複合繊維の接合部、部分接合
部、非接合部が混在した模式断面図。
【図5】多層分割型複合繊維の接合部、部分接合部、非
接合部が混在した模式断面図。
【図6】星形分割型複合繊維の、接合部、部分接合部、
非接合部が混在した模式断面図。
【符号の説明】
1: 熱可塑性樹脂A成分 2: 熱可塑性樹脂B成分 2b :部分的に欠損したB成分セグメント 2b’:部分的に欠損したB成分セグメント 2b’’:部分的に欠損したB成分セグメント 2b’’’:完全に欠損したB成分セグメント 3 中空部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01D 5/30 D01F 8/00 - 8/18 D04H 1/42

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A成分とB成分の熱可塑性樹脂が繊維断
    面において交互に配置された分割型複合繊維であって、
    該A成分は繊維軸方向に沿って連続して形成され、B成
    分は前記A成分と繊維軸方向に沿って接合された完全接
    合部及び繊維軸方向に断裂して前記完全接合部よりA成
    分との接合面積が少ない部分接合部及び/またはB成分
    が繊維軸方向に欠損して前記A成分と接合されていない
    非接合部が、混在していることを特徴とする分割型複合
    繊維。
  2. 【請求項2】B成分が低密度ポリエチレン樹脂であり、
    A成分が該低密度ポリエチレン以外の熱可塑性樹脂であ
    って、該A、B両成分の熱可塑性樹脂が繊維断面におい
    て、交互に配置された放射型の断面形状を有する請求項
    1記載の分割型複合繊維。
  3. 【請求項3】A成分がポリプロピレン樹脂、B成分が低
    密度ポリエチレン樹脂である請求項1もしくは請求項2
    のいずれか1項記載の分割型複合繊維。
  4. 【請求項4】分割型複合繊維の断面形状が中空形状であ
    る請求項1〜3のいずれか1項記載の分割型複合繊維。
  5. 【請求項5】分割型複合繊維の断面形状が異形断面形状
    である請求項1〜4のいずれか1項記載の分割型複合繊
    維。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項記載の分割型
    複合繊維を用いた繊維成形品。
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