JP3318454B2 - 表示装置とそれに用いる波長選択吸収膜用材料 - Google Patents

表示装置とそれに用いる波長選択吸収膜用材料

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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
  • Optical Filters (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表示装置のフェースプ
レートの前面に波長選択吸収膜を有する表示装置とその
製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表示装置としてその代表的なものにブラ
ウン管がある。テレビジョンの高画質化の要求の高まり
とともに、波長選択吸収膜(光フィルター)をフェース
プレートの前面に形成したブラウン管が作製されるよう
になってきている。
【0003】これは、特定波長の外光を選択的にこのフ
ィルターで吸収し、外光の反射を防止するとともに、色
純度劣化の原因である螢光体発光スペクトルのサイドバ
ンドを吸収して、コントラストと色純度の向上を図るも
のである。通常このフィルターは、ゾルゲル法を用いて
作製される有機色素/ガラスゲル複合膜である(特開平
1−320742号,同4−14738号公報)。
【0004】上記フィルターは、有機色素を含有したゾ
ルゲル反応溶液をスピン塗布、スプレー塗布、浸漬塗布
などの手法で表示装置のフェースプレート面に成膜した
後、熱処理して形成される。また、上記膜中に酸化スズ
などの導電性の微粒子を含有させて帯電防止効果を持た
せたものや、前記二つの膜を積層形成し、反射防止効果
と帯電防止効果を持たせたものがある(特開平4−21
8247号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の従来技
術には、次のような問題があった。特定波長を吸収する
有機色素には、通常、アゾ染料、アントラキノン染料な
どの有機色素が使用される。有機色素は、水、アルコー
ルなどの溶媒に極めて良く溶けるため、膜を形成したブ
ラウン管の表面を水やアルコールなどの溶媒を含む布で
拭くと有機色素が滲み出して色落ちしてしまうため、光
学特性が変化すると云う欠点があった。
【0006】また、高コントラストを実現するために、
膜中の有機色素の濃度を高めたくとも、膜中に含有させ
得る有機色素の量は0.1wt%以下と極く限られたも
のであった。
【0007】反射防止効果と帯電防止効果を持たせた有
機色素含有膜では、酸化スズなどの導電性の微粒子と有
機色素を含有した酸化ケイ素のゾル溶液をブラウン管フ
ェースプレート面上に塗布成膜し、次いで、酸化ケイ素
のみのゾル溶液を塗布成膜して積層膜とする。
【0008】導電性の微粒子を含む膜は高屈折率の膜と
なり、また、酸化ケイ素のみの膜は低屈折率の膜となる
ために、その光の干渉効果を利用してブラウン管表面で
の反射光を低減することができる。
【0009】導電性の微粒子としては酸化スズなどが使
用されるが、この層は帯電防止の効果も持つ。有機色素
は、この導電性の微粒子を含む層に含有されコントラス
ト比の向上に寄与する。この場合、酸化スズなどの導電
性の微粒子と有機色素を含有した酸化ケイ素のゾル溶液
をブラウン管フェースプレート面上に塗布成膜し、次い
で、酸化ケイ素のみのゾル溶液を塗布成膜するが、酸化
ケイ素のみのゾル溶液はアルコールや水を主溶媒とする
ため、下層の有機色素が上層に滲み出してくると云う問
題があった。また、上層に滲み出した有機色素が膜の最
表面に濃縮されるため、有機色素濃度の高い層が形成さ
れ、反射率が逆に高くなると云う欠点もあった。
【0010】さらに、上記従来技術で用いられる有機色
素は化学的耐久性、光学的耐久性に問題があり、実用面
ではこれらを改良する必要があった。
【0011】本発明の目的は、前記課題を解決し広範囲
の光学的特性と高コントラストで高精細な表示が得られ
る表示装置とその製法を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、従来のものより高コ
ントラストで、かつ、帯電防止効果を持つ表示装置を提
供することにある。
【0013】また、本発明の他の目的は、上記表示装置
用の波長選択吸収膜(光フィルター)用材料を提供する
ことにある。
【0014】さらに本発明の他の目的は、明細書の記載
内容から明らかとなろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の要旨は次のとおりである。
【0016】(1) 表示装置のフェースプレート面上
に、無機骨格中に光の波長の400〜600nmに吸収
を有する有機色素が化学的に結合された透明な波長選択
吸収膜が形成されていることを特徴とする表示装置。
【0017】(2) 前記波長選択吸収膜が無機骨格中
にスルホンアミド結合を有する有機色素が化学的に結合
されたものである。
【0018】(3) 前記スルホンアミド結合を有する
有機色素がキサンテン系発色団を含む有機色素である。
【0019】(4) 前記スルホンアミド結合を有する
有機色素が530nm〜580nmに吸収を有するもの
である。
【0020】(5) 前記波長選択吸収膜が導電性微粒
子を含むか、導電性微粒子を含有する膜を介して形成さ
れている。
【0021】(6) 前記波長選択吸収膜が、それより
低屈折率の無機酸化物を主成分とする膜が上層に積層形
成されている。
【0022】(7) 波長選択吸収膜は、一般式〔1〕
または〔2〕
【0023】
【化3】
【0024】アリール基を示し互いに異なっていてもよ
い。R6はH,NHCH3,NHC65,N(CHC65)
2を、RはSO3,COO,CO225・Cl、R7は低
級アルキル基を示し、Mは金属元素を示しnは1〜5の
整数を示す。)で表される金属アルコキシドのゾル溶液
を、表示装置のフェースプレート表面に塗布し、加熱乾
燥することで得ることができる。特に、530〜580
nmに吸収を有する波長選択吸収膜が好ましい。
【0025】本発明の前記金属アルコキシドのゾル溶液
は、有機色素の濃度を1%以上含有させることができる
と云う特長を有するので、高コントラストの表示装置を
容易に得ることができる。こうしたガラス/ゲル複合膜
は、キサンテン系発色団のスルホンアミド結合を有する
新規な金属アルコキシドを合成し、これを表示装置の表
示面(フェースプレート)に適用し、ゾルゲル反応を進
行させガラス/ゲル複合膜を形成することによって得る
ことができるのである。
【0026】本発明に使用される有機色素が結合した金
属アルコキシドの合成例をシリコンアルコキシドを例
に、合成スキームを示して説明する。
【0027】
【化4】
【0028】まず、有機色素がシリコンアルコキシドと
反応し易いように、有機色素の末端基を官能基変換す
る。有機色素には、スルホローダミンBスルホン酸ナト
リウム塩〔3〕を使用した。これをピリジン溶媒中で塩
化チオニル(SOCl2)で処理してスルホローダミン
Bスルホニルクロライド〔4〕とする。これはアミノ基
と容易に反応するため、シリコンアルコキシドの一種で
あるアミノシランカップリング剤〔5〕と反応させる
と、スルホンアミド基を結合基として持つ有機色素結合
シリコンアルコキシド〔6〕が得られる。
【0029】上記の有機色素結合シリコンアルコキシド
を原料として加水分解、縮合反応によりゾルゲル反応を
進行させて、有機色素結合無機ポリマー前駆体であるゾ
ル溶液〔7〕を得ることができる。
【0030】この金属アルコシドゾル溶液を、表示装
置、例えば、ブラウン管のフェースプレート面上にスピ
ンコートし、次いで熱処理して無機骨格中に有機色素が
直接結合した薄膜を形成することができる。
【0031】この薄膜は、有機色素が無機骨格に直接結
合しているため、水、アルコールなどにより滲み出すこ
とが無い。
【0032】なお、原料として次式〔8〕,
〔9〕に示
すようなスルホニルクロライドも同様に合成できること
を確認した。
【0033】
【化5】
【0034】また、有機色素を化学結合した金属アルコ
キシドの金属には、Siの他にTi,Zr,Al,T
a,Sb,Sn,Inなども使用することができる。
【0035】前記のゾル溶液に導電性粒子を添加すれ
ば、帯電防止機能と波長選択吸収との両機能を持つ膜を
作製することができる。また、この薄膜の上に酸化ケイ
素などの薄膜を形成すれば、低屈折率/高屈折率の積層
膜となり、より高度な反射防止機能を持つものが得られ
る。この積層膜は、反射防止機能,帯電防止機能とを有
し、かつ、波長選択吸収機能も有しているため、高コン
トラストで高性能な表示装置が得られる。
【0036】この溶液を用いた波長選択吸収膜を形成す
る表示装置の具体例としては、ブラウン管、液晶ディス
プレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセ
ンス素子などがある。
【0037】
【作用】本発明の表示装置のパネル前面に形成される波
長選択吸収膜となるガラス/ゲル複合膜に含有させた前
記特定の有機色素は、ガラスの無機骨格中に直接結合し
ているため、成膜後、非常に強固なものとなっている。
このため、膜形成後に表示装置のパネル表面を水やアル
コールを含む布で拭いても有機色素が滲み出して色落ち
してしまうことがなく、また、光学特性が変化すると云
うこともない。
【0038】また、400〜600nmに吸収を有する
有機色素のうち、特に、530〜580nmに吸収を有
する有機色素(キサンテン系発色団を有する、例えば、
ローダミンB,ローダミンG,アクリジンレッド)を含
む波長選択吸収膜は、人間の視感感度の最も強い波長の
外来光を吸収するため、反射光を低減することができ
る。
【0039】また、表示装置の発光のサイドバンドを吸
収することができるため発光色を鮮明にすることができ
る。
【0040】ブラウン管の場合を例にその原理を図1に
より説明する。図1において、1は波長選択吸収膜の透
過率、2は青色発光体の発光スペクトル、3は緑色発光
体の発光スペクトル、4は赤色発光体の発光スペクトル
である。
【0041】本発明の波長選択吸収膜は、図1中斜線で
示す領域の光を吸収する。この光の吸収は、赤色および
緑色発光体の発光スペクトルのサイドバンドも吸収する
ために、発光色の色純度を向上させることができる。ま
た、人間の視感感度の最も強い波長領域である530〜
580nmに吸収を持つため、外来光を吸収して表面反
射を抑えることができる。
【0042】また、有機色素は、ガラスの無機骨格中に
直接結合しているため、含有する有機色素の量を1wt
%以上と従来の混合型(0.06〜0.1wt%)に比べ
格段に増大させることができるので、より高コントラス
トな表示装置を作製することができる。なお、有機色素
の含有量が1〜1.5wt%では、光透過率60%以上
のものを容易に得ることができる。
【0043】
【実施例】本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
【0044】〔実施例 1〕スルホローダミンBスルホ
ン酸ナトリウム塩1gを乾燥ピリジン150mlに溶解
した。この溶液にチオニルクロライド0.5gを加え、
2時間反応させた。沈殿物を濾過した後、アミノシラン
カップリング剤〔H2NC36Si(OC25)3〕0.8
4gを添加した。2時間反応させた後、沈殿物を濾過
し、ピリジンを減圧除去した。この残渣をエタノールに
溶解した後、カラムクロマトグラフィーにより精製して
純粋なものとした。
【0045】こうした合成法により、有機色素と反応活
性アルコキシ基とを有するアミノシランカップリング剤
が結合した化合物を合成することができる。
【0046】上記の化合物をゾルゲル反応により合成し
たSiO2ゾル溶液中に加えることにより、SiO2無機
骨格に有機色素が結合したゾル溶液を得ることができ
る。
【0047】次に、Si(OC25)47.5wt%、H2
O7.6wt%,C25OH84.8wt%,HNO30.
1wt%の組成の溶液20mlに、上記合成化合物50
0mg加え、2時間撹拌した。この溶液をブラウン管フ
ェースプーレト面にスピンコートし、次いで160℃で
30分間熱処理し、波長選択吸収膜を形成した。
【0048】この膜の透過率は図1に示すように575
nmに吸収ピークを持つ。また、膜中の有機色素の濃度
を吸収スペクトルのモル吸光係数より求めたところ、
2.6wt%であった。また、赤外吸収スペクトルから
出発原料の持つキサンテン系発色団の存在を確認した。
また、赤外吸収スペクトルにおいて、1350cm~1
スルホンアミド結合に基づく吸収のピークが認められ、
結合の生成を示している。1000〜1200cm~1
は、SiO2の無機骨格による吸収が強く現われ、Si
2無機骨格にスルホンアミド結合により有機色素が直
結していることが確認された。
【0049】上記の波長選択吸収膜を形成したブラウン
管フェースプレート面をエタノールを含ませた布で拭い
たが、有機色素の滲み出しは見受けられなかった。ま
た、膜が形成したブラウン管フェースプレートのガラス
を切り出し、エタノール中に浸漬し、有機色素の溶出量
を従来のものと比較した。図2にその結果を示す。本発
明膜6は有機色素の溶出がほとんど認められないのに対
し、従来膜5では24時間浸漬後には約半分の有機色素
が溶出することが分かった。なお、吹き付け塗布、浸漬
塗布した場合にも同様な結果が得られた。
【0050】ブラウン管のコントラストの改善効率を評
価するため、BCP(BrightnessContrast Performa
nce)値を測定した。BCPは、反射輝度の低下率をΔ
Rf、輝度の低下率をΔBとしたとき、BCP=ΔB/
√ΔRfで表される値である。この値が大きいほど改善
効率が高く、高コントラストな画像が得られる。
【0051】本実施例で作製したブラウン管のBCP値
は1.10であり、本発明の波長選択吸収膜を形成しな
いブラウン管のBCP値は1.04で、本実施例のブラ
ウン管が高コントラストであることが分かる。
【0052】なお、同様にして化学構造式の異なる有機
色素を用いて波長選択吸収膜材料を合成し、これをブラ
ウン管フェースプレート面に塗布,熱処理して膜を形成
した場合のコントラストを調べた。結果を表1〜3に示
す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】〔実施例 2〕実施例1で作製したSiO
2無機骨格に有機色素が結合したゾル溶液を、SnO2
微粒子を7wt%含有したSiO2ゾル溶液に配合添加
した(配合比は前者1に対し後者5)。これをブラウン
管フェースプレート表面にスピンコートし、次いで16
0℃で30分間熱処理し波長選択吸収膜を形成した。こ
の膜は、SnO2超微粒子が導電性を有するために帯電
防止効果を有し、その表面抵抗は108Ω/□のものが
得られた。これによって、高コントラストで、かつ、帯
電防止機能を持つブラウン管を得ることができた。
【0057】〔実施例 3〕実施例2でブラウン管フェ
ースプレート面に形成した波長選択吸収膜上にSiO2
ゾル溶液(濃度7.5wt%)をさらにスピンコート
し、次いで160℃で30分間熱処理した。このように
して作製したブラウン管の概略図を図3に示す。図中、
7は有機色素とSnO2とを含有した帯電防止膜(10
00Å)、8はSiO2膜(1000Å)である。この
積層膜は、SiO2膜が低屈折率、SnO2膜が高屈折率
であるので、さらに高度な反射防止効果を与えることが
できる。
【0058】上記積層膜は表面反射率が1.5%で、下
層に有機色素を含む帯電防止波長選択吸収層が形成され
ているため、高コントラストで反射帯電防止機能を持つ
ブラウン管を得ることができた。
【0059】〔実施例 4〕SnO2超微粒子を7wt
%含有させたSiO2ゾル溶液をブラウン管フェースプ
レート表面にスピンコートし、次いで実施例1で合成し
た有機色素結合SiO2ゾル溶液をスピンコートした。
これを160℃で30分間熱処理した。これによって、
帯電防止機能を有し、高コントラストで反射防止機能を
持つ高性能なのブラウン管が得られた。
【0060】〔実施例 5〕実施例1の波長選択吸収膜
形成用ゾル溶液は、それぞれの有機合成反応の段階でそ
れぞれの物質を単離し、次の段階の反応に供給すること
で純粋な化合物を合成することができる。
【0061】しかし、合成反応の簡便さのため、1バッ
チで全反応を進行させることもできる。この場合、反応
生成物中に反応の副生成物を含有するが、次の方法で副
生成物を除去し、本発明の波長選択吸収膜を形成するこ
とができる。
【0062】1バッチで合成した波長選択吸収膜用ゾル
溶液を用いて、ブラウン管フェースプレート面にスピン
コートし、次いで、熱処理して膜を形成した。この膜の
表面をエタノールをしみ込ませたキムワイプで10回拭
った。エタノール,水等に対する溶解度の高い副反応生
成物はこれによって除去することができた。
【0063】エタノールで拭いた後は、膜中の有機色素
は無機骨格と化学結合を有しているため滲み出しはな
い。
【0064】〔実施例 6〕実施例1と同様にしてスル
ホンアミド結合によりキサンテン系発色団を結合させた
シリコンアルコキシドを合成し、その100mgをエタ
ノール50mlに溶解した。この溶液をブラウン管フェ
ースプレート面にスピンコート(150rpm)し、次
いで160℃,30分間熱処理した。
【0065】上記により得られた薄膜は、アルコキシド
のアルコキシ基がブラウン管フェースプレートガラスの
Si−OH基と反応して、式〔10〕
【0066】
【化6】
【0067】のような結合を生成するため、フェースプ
レート面と緊密に密着した波長選択吸収膜が得られた。
これは、該膜の赤外吸収スペクトルによれば、1050
cm~1にSi−O−Si結合に基づく吸収が認められる
ことから確認された。
【0068】上記により、有機色素を結合した金属アル
コキシド溶液そのものを塗布しても本発明の波長選択吸
収膜を得ることができる。
【0069】〔実施例 7〕スルホローダミンBスルホ
ン酸ナトリウム塩1gを乾燥ピリジン150mlに溶解
した。この溶液にチオニルクロライド0.5gを加え、
2時間反応させた。沈殿物を濾過した後、アミノチタン
カップリング剤〔H2NC36Ti(OC37)3〕0.9
gを添加した。2時間反応させた後、沈殿物を濾過し、
ピリジンを減圧除去した。この残渣をエタノールに溶解
した後、カラムクロマトグラフィーにより精製して純粋
なものとした。
【0070】これにより、有機色素と反応活性アルコキ
シ基とを有するアミノチタンカップリング剤が結合した
化合物を合成することができる。
【0071】上記の化合物をゾルゲル反応により合成し
たSiO2ゾル溶液中に加えることにより、SiO2無機
骨格に有機色素が結合したゾル溶液を得ることができ
る。
【0072】また、上記有機色素を結合した金属アルコ
キシド溶液そのものを塗布しても本発明の波長選択吸収
膜を得ることができる。
【0073】〔実施例 8〕本発明の波長選択吸収膜を
形成した直流(DC)型プラズマディスプレイを作製し
た。カラープラズマディスプレイは、表示セルと呼ばれ
る小さな螢光放電管が多数並んでおり、それぞれの表示
セルの明るさを制御して画像を表示するものである。D
C型表示装置は、セルの中で陰極、陽極とも放電空間に
露出しており、電圧が加わって放電が生じる。放電によ
って紫外線が生じセル内の螢光体を刺激して、螢光体特
有の可視光が放出される。
【0074】図4はプラズマディスプレイの表示セル1
個の模式断面図を示す。
【0075】図中、10は波長選択吸収膜、11は前面
板、12は螢光体、13は陰極、14は陽極、15は背
面板、16は障壁である。ガラス基板からなる背面板1
5上に帯状にAlからなる陽極14を蒸着した。次に、
障壁16を低融点ガラスを用いて、厚膜印刷法により形
成した。
【0076】この障壁16内に三種の螢光体12を順次
厚膜印刷法により形成した。螢光体材料は、赤が(Y,
Ga)BO3:Eu,青がBaMgAl423:Eu,緑
がZn2SiO4:Mnである。
【0077】この上にガラス基板からなる前面板11上
に帯状に透明電極を形成したものを設置してセルを構成
し、Ne+He混合ガスを封入した。
【0078】このようにして、表示セル800×134
4個、厚さ8mmの画面サイズ40インチ型プラズマデ
ィスプレイを作製した。次いで実施例1で合成した有機
色素結合SiO2ゾル溶液を用いて波長選択吸収膜10
を形成した。この波長選択吸収膜が、発光体のサイドバ
ンドを吸収するため色純度が向上し、かつ、高コントラ
ストなディスプレイを得ることができた。
【0079】〔実施例 9〕本発明の波長選択吸収膜を
形成した薄膜エレクトロルミネッセンス素子を作製し
た。図5aに薄膜エレクトロルミネッセンス素子1個の
模式断面図を、また、図5bに薄膜エレクトロルミネッ
センス素子の模式平面図を示す。
【0080】図中、25はガラス基板、26はITO透
明電極、27は第一絶縁層、28は発光層、29は第二
絶縁層、30は上部電極、31は波長選択吸収膜であ
る。
【0081】ガラス基板25上にスパッタリング法によ
りITO(Indium Tin Oxide)膜を2000Åの厚
さに全面に形成し、次いで、ホトリソグラフィにより横
方向に帯状に平行配列した透明電極26をエッチング形
成した。この上にTa25からなる第一絶縁層27を基
板温度200℃、Ar/O2(90%/10%)の混合
ガス雰囲気下,ガス圧7×10~1Paで2500Å厚さ
にスパッタリングした。
【0082】次いで、発光層28として緑色発光体(Z
nS:TbF3)、赤色発光体(ZnS:SmF3)、青
色発光体(SrS:CeF3)を電子ビーム蒸着法によ
り形成した。この上に前記第一絶縁層27と同様な形成
条件で、第二絶縁層29であるTa25膜を形成した。
【0083】次いで、Al被膜からなる上部電極30を
前記透明電極26に対向させて帯状に真空蒸着により形
成した。そして、最後に実施例1で合成した有機色素結
合SiO2ゾル溶液を用いて波長選択吸収膜31を形成
した。
【0084】こうして作製した薄膜エレクトロルミネッ
センス素子は、色純度も向上し、また、表面反射の抑え
られた高性能なものが得られた。
【0085】〔実施例 10〕図6に本発明の波長選択
吸収膜を形成したマトリクス型カラー液晶ディスプレイ
(LCD)の模式断面図を示す。図中、32はガラス基
板、33は画素電極、34は液晶層、35は対向電極、
36はカラーフィルタ、37は偏光板、38は波長選択
吸収膜、39は液晶の配向膜である。
【0086】マトリクス型カラーLCDの最表面に実施
例1で合成した有機色素結合SiO2ゾル溶液を用いて
波長選択吸収膜38を形成した。回転数200rpmで
スピンコートし、次いで、160℃熱処理した。このL
CDは外光が波長選択吸収膜により吸収されて反射が抑
えられるため視認性が飛躍的に向上した。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、表示装置の波長選択吸
収膜として、波長選択吸収機能を有する有機色素が無機
骨格に直結しているため耐久性に優れ、有機色素の滲み
出しがなく、しかも高濃度に導入されているので、高コ
ントラストな表示装置を得ることができる。
【0088】また、波長選択吸収膜に導電性微粒子を導
入することにより、帯電防止機能を合わせ持つ高コント
ラストな表示装置を得ることができる。
【0089】また、上記の波長選択吸収膜の上に低屈折
率な酸化ケイ素などの薄膜を形成すると、高コントラス
トで、反射,帯電防止機能を合わせ持つ表示装置を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブラウン管の発光体の発光スペクトルと有機色
素結合波長選択吸収膜の透過率を示すグラフである。
【図2】有機色素結合波長選択吸収膜の溶媒浸漬実験結
果を示すグラフである。
【図3】本発明のブラウン管の一態様の概略図である。
【図4】プラズマディスプレイの模式断面図である。
【図5】薄膜エレクトロルミネッセンス素子の模式図で
ある。
【図6】マトリクス型カラー液晶の模式断面図である。
【符号の説明】
1…波長選択吸収膜の透過率、2…青色発光体のスペク
トル、3…緑色発光体のスペクトル、4…赤色発光体の
スペクトル、5…従来膜、6…本発明膜、7…有機色素
含有帯電防止膜、8…SiO2膜、9…ブラウン管、1
0,31,38…波長選択吸収膜、11…前面板、12…
螢光体、13…陰極、14…陽極、15…背面板、16
…障壁、25,32…ガラス基板、26…ITO透明電
極、27…第一絶縁層、28…発光層、29…第二絶縁
層、30…上部電極、33…画素電極、34…液晶層、
35…対向電極、36…カラーフィルタ、37…偏光
板、39…配向膜。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 29/88 H01J 29/88 (72)発明者 高橋 研 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 西沢 昌紘 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日 立製作所 電子デバイス事業部内 (56)参考文献 特開 平5−178623(JP,A) 特開 平4−2635(JP,A) 特開 平5−9406(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/22 C03C 17/22 C03C 17/28 - 17/30 H01J 11/02 H01J 29/88 - 29/89 C03C 17/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表示装置のフェースプレート面上に、ス
    ルホンアミド結合により金属アルコシドと結合した有機
    色素が前記金属アルコシドを介してSiO 2 の無機骨格
    化学的に結合した透明な波長選択吸収膜が形成されて
    いることを特徴とする表示装置。
  2. 【請求項2】 前記有機色素が400〜600nmに吸
    収を有する請求項1に記載の表示装置。
  3. 【請求項3】 前記有機色素がキサンテン系発色団を有
    する請求項1に記載の表示装置。
  4. 【請求項4】 一般式〔1〕または〔2〕 【化1】 アリール基を示し互いに異なっていてもよい。R6
    H,NHCH3,NHC65,N(CHC65)2を、Rは
    SO3,COO,CO225・Clを、7は低級アルキ
    ル基を、Mは金属元素を示し、nは1〜5の整数を示
    す。)で表される金属アルコキシドのゾル溶液からなる
    ことを特徴とする表示装置の波長選択吸収膜用材料。
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