JP3316426B2 - シリアル式データ通信回路 - Google Patents

シリアル式データ通信回路

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俊行 前川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パソコン装置に
備えることが多いRS232C規格の様な非同期のシリ
アルデータ通信回路であって、特に受信データ上に重畳
されるノイズを除去可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種のノイズ除去方法は、通信ケ
ーブルにシールド線を利用することによってケーブルの
外部から侵入するノイズを遮断したり、ケーブルと直列
にアナログ式のノイズフィルタを介装することにより、
入力データ上に重畳されたノイズの装置側への侵入を阻
止するものが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た方法は何れも、製品のコストアップにつながるととも
に、小型化が難しいなど、不都合が多い。
【0004】本発明者等はかかる問題について考察した
結果、ノイズフィルタをデジタル回路化することによ
り、通信用の周辺回路と一体にASIC化することが可
能であり、上記問題が一挙に解消できることを知見し
た。
【0005】本発明は上記した知見に基づいてなされた
ものであって、非同期式のデータ通信回路中におけるデ
ータの入力側にデジタル式のフィルタを介装することに
より、製造にかかるコストアップを最小限に抑制すると
ともに、回路の小型化が図られるシリアル式のデータ通
信回路を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるデータ通
信回路10は、図1にその全体的な構成を示すごとく、
非同期状態で受け渡されるシリアルデータの入力側に、
入力信号のボーレートの変化に対応してその濾波特性が
自動的に変更される濾波手段24が介装されたことを特
徴とする。
【0007】シリアルデータの入力側に備える濾波手段
24としては、図2に示す如く、その濾波特性が固定さ
れた第1の濾波回路26aと、入力信号のボーレートの
変化に対応してその濾波特性が自動的に変更される第2
の濾波回路26bとを直列に介装したものあることが可
能である。
【0008】この場合、上記した第1の濾波回路26a
における濾波特性を、入力処理される可能性のあるボー
レートの最高値よりも十分に高い周波数域のノイズを除
去可能に設定する一方、上記した第2の濾波回路26b
における濾波特性を、実際に入力されている信号の波形
を損なうことなく、且つ、入力信号SIのボーレートに
できるだけ近い周波数帯域のノイズを除去可能に設定す
ることが好ましい。
【0009】上記した濾波回路26は、使用されるクロ
ック信号Scの繰り返し周期より短いパルス幅を有する
ノイズ信号を除去可能とするものとし、クロック信号S
cがボーレートに対応して設定される。具体的には、図
3に例示する如く多数決論理を利用したデジタルフィル
タとし、シリアルI/O回路22と一体に集積回路化
ることが可能である。
【0010】
【発明の効果】本発明は上記の如く、データ信号の入力
側に、受信処理しているデータ信号のボーレートに対応
してその周波数特性が自動的に変更される濾波手段24
を備えることにより、処理するデータ信号のボーレート
の変化に拘らず、ノイズを的確に除去可能とする。
【0011】更に、濾波手段24として多数決論理を利
用したデジタルフィルタで構成することにより、シリア
ルI/O回路と一体に集積回路化することが可能とな
り、製造コストのアップを最小限に抑制するとともに回
路構成の小型化が図られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明を、RS232C規格
のシリアル通信用ポートを備えたパソコン装置用のデー
タ通信回路10に実施した一例を示すがこれに限らず、
汎用あるいは専用の各種デジタル機器におけるデータ通
信回路に対しても略同様に実施できることは勿論であ
る。
【0013】本発明を実施するデータ通信回路10は、
図1に示すごとく、パソコン装置12の本体ケースに備
えたコネクタ14およびそのコネクタ14に着脱自在に
取り付けられる通信ケーブル16を介し、任意の外部装
置18との間でシリアル状態でデータの受け渡しを可能
とする、従来と略同様の通信規格のものである。
【0014】コネクタ14を介して本体ケース内に取り
込まれた高電圧の信号は、RS232C用インターフェ
イス回路20を介してパソコン装置が処理可能な低電圧
の信号に電気的特性が変換されたあと、シリアルI/O
回路22により所定のプロトコル制御が行われる。
【0015】本発明は上記構成にあって、シリアルI/
O回路22のデータ入力側に濾波手段24を介装したこ
とを特徴とする。ここで濾波手段24は、図2に示す如
く、第1および第2の濾波回路26a・26bから構成
され、両回路26をゲートアレイによりデジタル式に形
成することにより、シリアルI/O回路22と一体にA
SIC化している。
【0016】第1および第2濾波回路26a・26bは
ともに、図3に例示するごとく3段の多数決理論を利用
した略同一の回路構成であって、クロック信号Scの周
波数を互いに異ならせることにより、必要な濾波特性を
獲得できる様にしている。以下、図3の回路図および図
4の波形図を用いて、濾波回路26の具体的な構成を詳
述する。
【0017】すなわち、Dタイプのフリップフロップを
用いた信号入力部28および信号出力部30の間に、多
数決回路32を備えている。多数決回路32は、第1〜
第3の3つのDタイプ・フリップフロップ34・36・
38をバッファ回路40・42を介して直列に接続する
とともに、各フリップフロップ34・36・38から出
力される3つの信号S1・S2・S3を第1〜第3のA
ND回路44・46・48に2つずつ並列に入力し、更
に第1〜第3AND回路44・46・48から出力され
る3つの信号S11・S22・S33をOR回路50に
入力し、その出力信号S4を信号出力部30から取り出
す構成である。
【0018】ここで、全フリップフロップは、例えばデ
ータ信号SI中のスタート信号の入力で形成されるリセ
ット信号Srの印加でリセットされるとともに、システ
ム側から送られるクロック信号Scに同期して動作す
る。なお、信号入力部28および信号出力部30は、ク
ロック信号Scの立上がり時点でデータの取り込みを行
うものであり、多数決回路32に備えた第1〜第3フリ
ップフロップ34・36・38は、クロック信号Scの
立ち下がり時点でデータの取り込が行われる。
【0019】上記した構成にあって、時刻t0にリセッ
ト信号Srが入力されて全フリップフロップが初期設定
されたあと、濾波手段24としての動作が開始される。
ここで、時刻t1にデータ信号DIの入力が開始される
と、信号入力部28では、クロック信号Scの立上がり
時点である時刻t2においてビット同期をとりながら、
出力信号Siを多数決回路32に送る。
【0020】多数決回路32では、時刻t3に第1フリ
ップフロップ34で、時刻t4に第2フリップフロップ
36で、更に時刻t5に第3フリップフロップ38でデ
ータ信号Siが取り込まれる。すなわち、第1〜第3フ
リップフロップ34・36・38を利用することによ
り、各フリップフロップの出力側からは、クロック信号
Scの立ち下がり時点で同期がとられ、且つクロック信
号Scの1周期分ずつ時間遅れを持たせながら信号S1
・S2・S3が取り出される。
【0021】一方、第1AND回路44には第1および
第2フリップフロップ34・36からの出力信号S1・
S2が、第2AND回路46には第2および第3フリッ
プフロップ36・38からの出力信号S2・S3が、第
3AND回路48には第3および第1フリップフロップ
38・34回路からの出力信号S3・S1が入力されて
いる。
【0022】したがって、第1〜第3AND回路44・
46・48の何れか1つから信号が出力されている期
間、すなわち、原則として第2フリップフロップ36か
ら信号が出力されている期間に対応してOR回路50か
ら信号S4が取り出され、信号出力部30によりクロッ
ク信号Scの立ち上がり時点でビット同期がとられなが
ら、シリアルI/O回路22に信号入力がなされる。
【0023】ここで、例えば有為なデータ信号が受信さ
れている時刻に「L」レベルの第1のノイズ信号Aが重
畳され、あるいは有為なデータ信号のない期間中に
「H」レベルの第2ノイズ信号Bが重畳された場合にあ
っても、クロック信号Scの立上がり時点まで持続しな
い様な短いパルス幅のノイズにあっては出力側に現れな
い。
【0024】一方、「L」レベルの第3ノイズ信号Cが
クロック信号Scの立上がり時点をまたいで持続する場
合にあっては、次の立上がり時点まで1周期分だけ持続
する信号としてクロック信号Scと同期がとられる。
【0025】しかしながら、第1〜第3のフリップフロ
ップ34・36・38から取り出される信号S1・S2
・S3はクロック信号Scの1周期分ずつ順次にずらし
たものであるから、第3ノイズ信号Cは矢印で示す如
く、第1のフリップフロップ34を通過した後に第2フ
リップフロップ36に取り込まれ、更に第2フリップフ
ロップ36を通過した後に第3フリップフロップ38に
取り込まれるという様に同時に2つのフリップフロップ
から出力されることがなく、その結果として第1〜第3
のAND回路44・46・48からは第3ノイズ信号C
に起因する信号の出力はない。
【0026】同様に、データ信号が「L」レベルの期間
中に「H」レベルの第4ノイズ信号Dが入力された場合
にあっても、第1〜第3フリップフロップ34・36・
38においてその出力時期がクロック信号Scの1周期
分ずつずらせて出力される結果、同時に2つの出力が
「H」レベルとなることがなく、多数決論理によりその
データはノイズと判定されて出力データ中から排除され
るのである。
【0027】以上のように、多数決論理を利用した濾波
回路26に入力された信号上に重畳されたノイズ信号の
うち、使用されるクロック信号Scの1周期分に満たな
い持続時間のものは排除されて出力側に現れない。
【0028】そこで本実施例にあっては、第1濾波回路
26aにおけるクロック信号Schの繰り返し周波数
を、非同期型のシリアルI/O回路22における最高速
のボーレートである115.2kの例えば32倍あるい
はそれ以上の値に設定することにより、持続時間が十分
に短いパルス状のノイズを除去可能とする。
【0029】一方、第2濾波回路26bにおいては、実
際に処理するデータ信号のボーレートの例えば16倍の
周波数のクロック信号Sclを利用することにより、デ
ータ信号のパルス波形を損なうことなく、データ信号に
できるだけ近いパルス幅のノイズ信号を除去するように
している。
【0030】なお、上記した第2濾波回路26bにおけ
るボーレートの16倍というクロック信号は、シリアル
I/O回路22において一般にデータ信号のビット同期
あるいはサンプリング用に使用されるクロック信号の周
波数と同一であり、両者は流用できて好ましい。しかし
ながら、クロック信号Scの周波数は、第1および第2
濾波回路26a・26bともに適宜変更して実施できる
ことは勿論である。
【0031】また多数決論理を3段のフリップフロップ
で構成した例を示したが、段数を変更したり、同様な動
作をする他の回路で実施することもできる。更にまた、
濾波回路26それ自体を1に減少させ、あるいは3以上
に増加させることもできる。更に濾波手段24の介装位
置は、シリアルI/O回路22の入力側に備えれば、同
回路22と一体にASIC化できて製造に必要なコスト
や設置面積の増大が無視できる程度に抑制可能である
が、それに限定されるものでなく、RS232C用イン
ターフェイス回路20の入力側に備えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】データ通信回路の全体的な構成を示す説明図で
ある。
【図2】濾波手段の一例を示すブロック図である。
【図3】濾波回路の具体的な構成を示す電気回路図であ
る。
【図4】図3における各部の動作状況を示す波形図であ
る。
【符号の説明】
10 データ通信回路 12 パソコン装置 14 コネクタ 16 通信ケーブル 18 外部装置 20 RS232C用インターフェイス回路 22 シリアルI/O回路 24 濾波手段 26 濾波回路 28 信号入力部 30 信号出力部 32 多数決回路 34 第1フリップフロップ 36 第2フリップフロップ 38 第3フリップフロップ 44 第1AND回路 46 第2AND回路 48 第3AND回路 50 OR回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−276944(JP,A) 特開 平3−69238(JP,A) 特開 平3−181218(JP,A) 特開 平10−145439(JP,A) 特開 平5−167564(JP,A) 特開 平5−130151(JP,A) 特開 平4−59655(JP,A) 特開 平7−202951(JP,A) 特開 平4−97639(JP,A) 特開 昭62−60322(JP,A) 実開 平1−117115(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04L 25/03 H04L 25/08 H04B 1/10 H03H 17/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非同期状態でシリアルデータが受け渡さ
    れるシリアルI/O回路(22)の入力側に濾波手段
    (24)が介装されたシリアル式データ通信回路であっ
    て、 前記濾波手段(24)は、 その濾波特性が固定された第1の濾波回路(26a)
    と、 入力信号のボーレートの変化に対応してその濾波特性が
    自動的に変更される第2の濾波回路(26b)とを直列
    に備え 前記第1の濾波回路(26a)および第2の濾波回路
    (26b)は共に、多数決論理を利用した略同一構成の
    デジタルフィルタで構成され、使用されるクロック信号
    Scの繰り返し周期より短いパルス幅を有するノイズ信
    号を除去可能とするとともに、クロック信号Scの周波
    数が入力信号のボーレートに対応して設定されるもので
    あって、更に 前記第1の濾波回路(26a)は、入力処
    理される可能性のあるボーレートにおける最高値の32
    倍以上の周波数のクロック信号を使用することにより、
    その濾波特性を、入力処理される可能性のあるボーレー
    トの最高値よりも十分に高い周波数域のノイズを除去可
    能に設定する一方、 前記第2の濾波回路(26b)は、実際に処理するデー
    タ信号のボーレートの16倍の周波数のクロック信号を
    使用することにより、その濾波特性を、実際に入力され
    ている信号の波形を損なうことなく、且つ、入力信号の
    ボーレートにできるだけ近い周波数域のノイズを除去可
    能に設定したことを特徴とするシリアル式データ通信回
    路。
  2. 【請求項2】 前記シリアルI/O回路(22)と濾波
    手段(24)は、一体に集積回路化されている請求項1
    記載のデータ通信回路。
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