JP3315127B2 - 二酸化炭素感応物質 - Google Patents

二酸化炭素感応物質

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、改質された雰囲気の包装(MAP)内に正し
い量の二酸化炭素が流入したか否かを指示し、また包装
内の二酸化炭素の濃度が包装の開放又は破損によって減
少したか否かを指示する二酸化炭素感応物質に関するも
のである。
国際公開第91/05252号では、二酸化炭素の濃度の変化
に応じて色が変化する二酸化炭素感応物質から成る二酸
化炭素モニタが開示されている。この二酸化炭素感応物
質は、親油性有機第四陽イオン、指示染料陰イオン、ポ
リマーバインダ及び可塑剤から成っている。物質の色が
変化するときの二酸化炭素の濃度は、おおむね5%より
低く、またこの物質は、二酸化炭素の高い濃度に晒され
るとそれ以上色の変化を示さない。この物質は、医療に
応用する場合に二酸化炭素を監視するのに適している。
しかしながら、改質された雰囲気の包装では、包装内
の二酸化炭素の濃度が5%より大きくても、変化を監視
することが望まれる。例えば、加工された肉、魚は、30
%の二酸化炭素を含む雰囲気で包装されることがあり、
また赤肉は100%の二酸化炭素を含む雰囲気で包装され
ることがある。今まで知られている二酸化炭素感応物質
は、5%の二酸化炭素を含有する雰囲気で完全に色が変
化し、また5%の二酸化炭素を含有する包装内の物質は
100%の二酸化炭素を含有する雰囲気中の物質と同じ色
を呈することになるので、このような改質された雰囲気
の包装に適用して二酸化炭素の濃度を監視するのには不
適当である。
従って、改質された雰囲気の包装には所望の範囲の二
酸化炭素濃度にわたって色が変化する二酸化炭素感応物
質を備えることが望ましい。
本発明によれば、二酸化炭素の濃度に応じて色が変化
するような濃度で、ポリマーバインダと、可塑剤と、親
油性有機第四陽イオンと、指示染料陰イオンと、芳香族
アルコールとから成る二酸化炭素感応物質が提供され
る。
我々は、今まで知られている感応物質の色が一定の二
酸化炭素濃度で温度と共に著しく変化することを発見し
た。従って、温度が正確に知られていない限り、もっと
重要なことは、温度と感応物質の二酸化炭素に対する感
度との間の関係が知られていない限り、二酸化炭素の濃
度を測定することは不可能である。
我々は、公知の物質が高温でよりも低温で二酸化炭素
に一層感応することも発見した。例えば、室温では、2
%の二酸化炭素の濃度に晒されたとき、色が変化する物
質は、0℃では0.5%の二酸化炭素の濃度に晒されても
色が変化する。
我々は、公知の物質では、低温では反応速度が遅くな
り、従って室温では数秒以内に色が変化する物質は、4
℃より低い温度では数分かかることを発見した。
このような物質は、二酸化炭素に対する感度及び二酸
化炭素に対する反応速度が温度に依存するので、4℃よ
り低い温度で保存される包装内の二酸化炭素の濃度を正
確に検知することが望まれる改質された雰囲気中の包装
に適用するには適当でない。
従って、今まで知られている物質ほど温度変化に敏感
でない二酸化炭素感応物質を改質雰囲気の包装に備える
ことも望まれる。
本発明によれば、可塑剤は、使用時に、温度に対する
感応物質の反応速度及び感度を定めるように、アジピン
酸塩(アジパート)、フタル酸塩(フタラート)及びリ
ン酸塩(ホスフェート)から成る化合物の群から選択さ
れる。
以下の一連の表は、本発明によって、感応物質の二酸
化炭素に対する感度と、温度に対する感度と反応速度と
を制御する要因を示している。
親油性有機第四陽イオンと、指示染料陰イオンと、ポ
リマーバインダと、可塑剤とから成る通常の二酸化炭素
感応物質に芳香族アルコールを添加すると、この感応物
質の二酸化炭素に対する感度、即ち、二酸化炭素に対す
る感度を制御するのに有効であり、すなわち、この物質
が完全な色の変化を受ける際の二酸化炭素の濃度を制御
するのに有効であることが解った。我々は、この目的に
適当な添加物がm−クレゾール、p−クレゾール、o−
クレゾール、サントホワイトML(Santowhite ML)(モ
ンテディソン−montedison)、2、4−ジクロロフェノ
ール、2−エチルフェノール、2−クロロフェノール、
3−クロロフェノール、2−エトキシフェノール、フェ
ノール、レゾルシン、ナフトール、2、6−ジメチルフ
ェノール及び3、5−ジメチルフェノールを含むことが
解った。
以下の表1を参照すると、芳香族アルコール添加物の
濃度と完全な色の変化が起きるときの二酸化炭素の濃度
の関係が示されている。この例では、芳香族アルコール
は、p−クレゾールとジクロロペンタジエンとのブチル
反応生成物(サントホワイトML)であり、指示染料はこ
の染料が晒される二酸化炭素の濃度に応じて色が青から
黄色に変化するm−クレゾールパープルである。
この表は、完全な色の変化が起きる二酸化炭素の濃度
が感応物質内の芳香族アルコール添加物(サントホワイ
トML)の濃度に比例することを示す。
今度は以下の表2を参照すると、感応物質内の他の芳
香族アルコール添加物の濃度と完全な色の変化が起きる
のに要求される二酸化炭素の濃度との関係が示されてい
る。この例では、芳香族アルコールは、m−クレゾール
であり、また指示染料は、色が青から黄色に変化するm
−クレゾールパープルとクレゾールレッドとの混合物で
ある。
この表は、完全な色の変化が起きる二酸化炭素の濃度
が芳香族アルコール添加物であるm−クレゾールの濃度
に比例することを示す。
この例では、色の変化は徐々に生じ、感応物質は、二
酸化炭素の濃度が0%から100%に増加するにつれて幾
つかの色を表すのが解る。実際の色は、調合物に用いら
れる指示染料に依存する。
今度は以下の表3を参照すると、m−クレゾールパー
プル、クレゾールレッド及びフェノールレッドの3つの
指示染料によって示される色の変動範囲が示されてい
る。
二酸化炭素に感応するこれらの及び他の指示体の混合
物は、異なる色を付与したり、色の変動範囲の色の数を
拡張するのに用いることができることが認められる。ま
たこの感応物質は、この物質が晒される二酸化炭素の濃
度が増大するにつれて次第に中間色の範囲を表し、また
このようにして、この物質の実際の色は、この物質が晒
される二酸化炭素の感度を直接指示することが解る。
次に、表4を参照すると、二酸化炭素の種々の濃度に
応じて二酸化炭素感応物質によって表される色が示され
ている。指示染料は、クレゾールレッドであり、芳香族
アルコール添加物は、乾燥したフィルム重量の20%の濃
度のサントホワイトMLである。
二酸化炭素感応物質に2つ又はそれ以上の芳香族アル
コール添加物を添加してもよいことが解る。
二酸化炭素感応物質の温度に対する感度は、可塑剤の
種類の関数であり、可塑剤を選択することによって、感
応物質の温度に対する感度を低減することができること
が解っている。
次に、表5を参照すると、可塑性剤の種類と温度に対
する感度との関係が示されている。感応物質の温度に対
する感度の測定は、二酸化炭素が0%での吸光度から10
0%までの二酸化炭素の濃度での吸光度の割合をプロッ
トすることによって得られた。吸光度の測定は、0℃か
ら40℃までの温度の範囲にわたって600nmで行われた。
各温度でのカーブの勾配(α)が得られ、In(α)対相
反温度のアレニウスプロットが形成される。アレニウス
プロットの勾配は、感応物質の温度に対する感度を示
す。勾配の低い値は、温度に対する感度が低いことを示
す。
上記の表から解るように、温度に対する感度の減少に
関して最も有効な可塑剤は、リン酸2−エチルヘキシル
ジフェニルである。
また、可塑剤の有効性が増すにつれて感応物質の二酸
化炭素の感度が減少することが解った。従って、可塑剤
の種類に関して二酸化炭素の感度を減少する一般的な順
序は、アジピン酸塩、フタル酸塩、次いでリン酸塩であ
ることが解る。
感応物質が二酸化炭素の存在に反応する速度は、可塑
剤の種類の関数であることが解り、また可塑剤の種類の
選択と感応物質内の可塑剤の濃度とが低い温度で許容で
きる反応速度を維持するのに重要であることが解った。
次に、表6を参照すると、可塑剤の種類と可塑剤の濃
度と反応速度との関係が示されている。
この表は、反応速度が可塑剤の種類と反応物質内の可
塑剤の濃度に依存し、物質内の可塑剤の濃度が増加する
につれて反応速度が一般的には小さくなることを示して
いる。
有効な可塑剤は、0−5%の二酸化炭素の交互の雰囲
気に晒されたときに、反応物質の応答及び回復時間を減
少するものであると考えられる。これを基にして、最も
有効な可塑剤は、リン酸をベースとしたものであり、次
いでフタル酸をベースにしたものであり、次にアジピン
酸をベースにした可塑剤である。
本発明による物質は、正しい包装、包装の漏れ、正し
くないシール又はタンパーエビデンスを指示する目的
で、改質雰囲気を有する包装に用いられることが解る。
また、この物質は、包装された製品の状態を直接指示
する目的で用いることができることが解る。
更に、この物質は、細孔性の基体に堆積されて包装の
内面にシールしてもよいことが解る。
以下の例は、本発明による二酸化炭素感応物質の調製
を示す。
調合物 m−クレゾールパープル/水酸化アンモニウムテトラ
オクチル/エチルセルローズ/リン酸トリブチル/ガラ
ス 調製 1cm3の0.5モルdm-3水酸化アンモニウムテトラオクチ
ルのメタノール溶液に0.012gのm−クレゾールパープル
を添加することによって溶液(溶液I)を調製し、更に
2.5CM3のメタノールが添加された。20cm3のエタノール
と80cm3のトルエンとから成る溶液に10gのエチルセルロ
ーズを溶解することによって第2の溶液(溶液II)を調
製した。可塑性のm−クレゾールパープルを作るのに用
いられる最終溶液(溶液III)は、1cm3の溶液Iと、10g
の溶液IIと、1cm3のリン酸トリブチルと、1cm3の0.5モ
ルdm-3水酸化アンモニウムテトラオクチルのメタノール
溶液とから作られた。
この可塑性のフィルムは、0.5cm×1cmの矩形孔を有す
る100μm厚みの真ちゅう板を通してガラス製の顕微鏡
スライドに溶液IIIを注入することによって製造され
た。乾燥時のフィルムの厚さは典型的には20μmであっ
た。
フロントページの続き (72)発明者 ホイットウッド・ロバート・ジョーン 英国 スタッフォードシャー SR16 1NS,スタッフォード,ストーン ロ ード 280 (72)発明者 ミルズ・アンドルー 英国 スワンシー SA2 0AB,ア プランド,グイドル クレッセント 49 (72)発明者 モナフ・レラ・マーガレット 英国 スワンシー SA1 6LL,タ ウンヒル,グイネッド アベニュー 179 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 31/00 G01N 31/22

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二酸化炭素の濃度に応じて色が変化するよ
    うな濃度で、ポリマーバインダと、可塑剤と、親油性有
    機第四陽イオンと、指示染料陰イオンと、芳香族アルコ
    ールとから成る二酸化炭素感応物質。
  2. 【請求項2】請求項2に記載の物質であって、前記芳香
    族アルコールは、2、4−ジクロロフェノール、2−エ
    チルフェノール、2−クロロフェノール、3−クロロフ
    ェノール、2−エトキシフェノール、フェノール、レゾ
    ルシン、m−クレゾール、p−クレゾール、O−クレゾ
    ール、ナフトール、2、6−ジメチルフェノール及び
    3、5−ジメチルフェノール、p−クレゾールとジクロ
    ロペンタジエンとのブチル反応生成物又はこれらの混合
    物のいずれかである二酸化炭素感応物質。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の物質であって、前
    記可塑剤は、使用時に、反応速度、温度に対する感応物
    質の感度及び二酸化炭素の濃度の変化に対する感応物質
    の感度を定めるように、アジピン酸塩、フタル酸塩及び
    リン酸塩から成る化合物の群から選択される二酸化炭素
    感応物質。
  4. 【請求項4】上記の請求項のいずれか1つに記載の物質
    であって、前記可塑剤は、アジピン酸ジイソデシル、ア
    ジピン酸ジイソクチル、アジピン酸−ジエチルヘキシ
    ル、アジピン酸ジ−(C7−9−アルキル)、フタル酸ブ
    チルベンジル、フタル酸2−エチルヘキシルベンジル、
    フタル酸ベンジル、フタル酸ジメチル、リン酸2−エチ
    ルヘキシルジフェニル、リン酸イソデクチル、リン酸ト
    リブチル、リン酸トリトリル、リン酸トリス−2−エチ
    ル、ヒマシ油又はこれらの混合物のいずれかである二酸
    化炭素感応物質。
  5. 【請求項5】上記の請求項のいずれか1つに記載の物質
    であって、前記指示染料陰イオンは、m−クレゾールパ
    ープル、クレゾールレッド、フェノールレッド又はこれ
    らの混合物である二酸化炭素感応物質。
  6. 【請求項6】上記の請求項のいずれか1つに記載の物質
    であって、前記指示染料は、多数の色を表すようになっ
    ており、その各色は、二酸化炭素の特定の濃度を指示す
    る二酸化炭素感応物質。
  7. 【請求項7】上記の請求項のいずれか1つに記載の物質
    の、正しい包装、包装の漏れ、正しくないシール又はテ
    ンパエビデンスを指示することを目的とした、改質され
    た雰囲気の包装における使用。
  8. 【請求項8】上記の請求項のいずれか1つに記載の物質
    の、包装された製品の状態を直接指示することを目的と
    した、包装における使用。
  9. 【請求項9】細孔性の基体に設けて包装の内面にシール
    される、上記の請求項のいずれか1つに記載の物質の使
    用。
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