JP3314958B2 - 半導体光エネルギー変換装置 - Google Patents

半導体光エネルギー変換装置

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義禮 中戸
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光エネルギーを電気エネ
ルギーに変換する半導体光エネルギー変換装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】昨今の地球環境問題に対する関心の高ま
りとともに、太陽エネルギーの有効利用が叫ばれるよう
になってきた。例えば太陽電池は、太陽光エネルギーを
効率よく電気エネルギーに変換する装置として期待され
ており、現在使用されているものは、主として単結晶シ
リコンを用いるpn接合太陽電池とアモルファス・シリ
コンを用いるpin接合太陽電池である。単結晶シリコ
ンを用いたpn接合太陽電池では20%を越える効率の
ものが発表されており、またpin接合を用いたアモル
ファス・シリコン太陽電池においても12%程度の効率
のものが作製されている。しかし、一般の電力用として
実用化するためには、さらなる効率の向上とともに、コ
ストの大幅な低減が必要である。このような太陽電池の
候補の一つとして、表面バリア型のMIS接合太陽電池
が考えられている。この太陽電池は接合形成が容易で、
多結晶薄膜、アモルファス薄膜、粒状膜のような安価な
半導体材料を利用することが可能であり、コストの大幅
な低減が期待される。しかしながら、MIS接合太陽電
池では接合形成のためにPtなどの金属薄膜が表面に蒸
着されており、効率が低下するという問題がある。そこ
で、Ptなどの超微細な金属アイランドを施した全く新
しいタイプの太陽電池が提案されている(特開昭62−
76166)。この太陽電池開回路光電圧Vocは0.
63〜0.68Vと、通常のpn接合シリコン太陽電池
と比較してかなり高くなっており、効率の向上が期待さ
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、微細な
金属アイランドを使用しているため、MIS接合太陽電
池同様に、その金属により太陽光が吸収・反射され、効
率の低下が起こる。
【0004】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、微細な金属アイランドを使用せず
に、効率が高く、コストの大幅な低減がはかれる新規な
半導体光エネルギー変換装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、内部に接合を有さない半導体、該半導体の光入射
面に設けた絶縁性膜、該絶縁性膜に設けた金属酸化物
透過性導電物質、及び前記半導体の他側面にオーミック
性接合された導体を備え、前記光透過性物質を通して前
記半導体へ光を入射させて電気エネルギーを得る半導体
光エネルギー変換装置において、前記絶縁性膜が微小な
細孔及び/または微小な溝を有するとともに、該微小な
細孔の径が50〜100Å、該微小な溝の幅が50〜1
00Åであり、該細孔及び/または溝を介して前記半導
体と光透過性導電物質が直接接合することを特徴とする
半導体光エネルギー変換装置である。
【0006】
【作用】本発明における微小な細孔及び/または微小な
溝は、開回路光電圧Vocを低下させることなく電流を
通す働きをする。
【0007】図1は、本発明の一実施例による半導体光
エネルギー変換装置を示す断面図である。図において、
3は半導体2の光入射面に接合された絶縁性膜であり、
半導体2と光透過性導電物質4との間の通電性を保持す
るために設けられる微小な細孔及び/または微小な溝6
を有する。この細孔の径、溝の幅を50〜100Åに規
定することにより、開回路光電圧Vocを低下させるこ
となく容易に光照射により発生した電荷の移動を行わせ
ることができる。
【0008】本発明における半導体の例としては、例え
ば、Si,GaAs,GaP,GaAsx1-x,In
P,AlAs,AlP,CdTe,CdSe,CdS,
Cu2S,ZnTe,ZnSe,Zn32,MoTe2
MoSe2,MoS2,WTe2,WSe2,WS2,Fe
2,RuS2,FePS3,ZrTe2,ZrS2,Cu
InS2,CuInSe2などが挙げられる。
【0009】この素子の構成は基本的にはMIS型太陽
電池に類似しており、従来のpn,pin接合等の高価
・複雑な工程を行う必要がなく、コストの低減が図れ
る。さらにまた、pn,pin接合を有する太陽電池で
は、光入射面に存在するp層ないしはn層におけるキヤ
リアの再結合が光電流を減少させるという問題があった
が、本発明の半導体では光入射面にこのようなp層ある
いはn層は存在せず、大きな光電流が得られる。
【0010】絶縁性膜に50〜100Å径の細孔及び/
または50〜100Åの幅を有する溝を設ける方法とし
ては、例えば、ゾル−ゲル法、多孔質膜を用いたエッチ
ング法、また場合によっては従来より知られているフォ
トレジスト法、X線レジスト法、電子線レジスト法等を
用いることができる。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0012】実施例1 厚さ0.5mmのn型シリコン単結晶(n−Si)ウエ
ーハー(ドナー濃度約1×1016cm-3)のエッチング
を、フッ化水素酸、硝酸及び少量の臭素を含むエッチン
グ溶液(CPD−2)で行った。続いて、ポリビニルピ
ロリドン(Mw=120×104)1g、エチルシリケ
ート2g、エタノール50gを混合した溶液に1N塩酸
をピペットで2滴滴下し、ディップコーティング用溶液
の調製を行った。調製された溶液を48時間室温で放置
し、その後、先にエッチングしたシリコン単結晶上にデ
ィップコーティングを行った。さらに室温で192時間
放置し、ポリビニルピロリドンを含有したSiO2膜の
作製を行った。得られたSiO2の膜厚は40Åであっ
た。続いて、SiO2膜付きシリコン単結晶を電気炉の
中にいれ、600℃で焼成する事により、ポリビニルピ
ロリドンの除去を行った。その結果、50Å程度の細孔
径を有するSiO2膜が得られた。続いて、この上に酸
化インジウム錫(ITO)を5,000Å蒸着した。こ
の上にマスクを用いて金を網状に蒸着し、ここに銀ペー
ストを用いて銅線を結合させた。上記の酸化インジウム
錫は光透過性導電物質である。
【0013】一方、このn−Siウエーハーの裏面に、
インジウム・ガリウム合金でオーミック性接合された導
体を形成し、銀ペーストで銅線を結合させた。
【0014】このようにして作製した太陽電池につい
て、上記の2本の銅線を可変抵抗を介してつなぎ、30
0Wハロゲンランプを光源として矢印イより光照射しな
がら光電流−電圧特性を測定したところ、図2に示すよ
うに、閉回路光電流25mAcm-2、開回路光電圧0.
60V、曲線因子0.67を得、また光電流は200時
間以上安定であった。
【0015】実施例2 実施例1で用いたものと同じn−Siウエーハーを実施
例1と同様の方法でエッチング溶液(CPD−2)を用
いてエッチングし、続いて、水蒸気を含む酸素気流下4
00℃で1時間加熱して表面に薄い酸化膜を生成させ
た。この上に金を約100Åの厚さに蒸着し、10%フ
ッ化水素水溶液に約30秒浸漬した。これにより、金薄
膜中に存在する微小な割れ目(幅50〜100Å)の部
分において、Si上の酸化物が取り除かれた。さらに王
水中に約8時間浸漬して表面の金を取り除いた。続い
て、実施例1と同様な方法で光透過性物質及びオーミッ
ク性接合された導体の形成を行い太陽電池を完成させ
た。このようにして作製された太陽電池の特性は、閉回
路光電流23mAcm-2、開回路光電圧0.56V、曲
線因子0.63であり、また光電流は200時間以上安
定であった。
【0016】実施例3 実施例2と同様な方法でSiO2膜付きn−Siウエー
ハーの作製を行った。続いて、1,2,3,4,5-ペンタフェニ
ルシクロペンタジエンを50Åの膜厚に蒸着し、さらに
電気炉の中にいれ200℃で結晶化を進行させた。得ら
れた蒸着膜は50〜100Åの微小な細孔を有してい
た。このようにして得られた素子を10%フッ化水素水
溶液に約30秒浸漬し、微小な細孔部分に存在するシリ
コンウエーハー上の酸化物を取り除いた。さらにニトロ
ベンゼンに浸漬することにより、1,2,3,4,5-ペンタフェ
ニルシクロペンタジエンを取り除き、微小な細孔を有す
るSiO2膜付きn−Siウエーハーを作製した。続い
て、実施例1と同様な方法で光透過性物質及びオーミッ
ク性接合された導体の形成を行い太陽電池を完成させ
た。このようにして作製された太陽電池の特性は、閉回
路光電流24mAcm-2、開回路光電圧0.54V、曲
線因子0.62であり、また光電流は200時間以上安
定であった。
【0017】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、半導
体、該半導体の光入射面に設けた絶縁性膜、該絶縁性膜
上に設けた光透過性導電物質、及び前記半導体の他面側
にオーミック性接合された導体を備え、前記光透過性導
電物質を通して前記半導体へ光を入射させて電気エネル
ギーを得る半導体光エネルギー変換装置において、半導
体の光入射面部に設けた絶縁性膜に微小な細孔および/
または微小な溝を設けたことにより、半導体の劣化を抑
えて寿命を長くでき、さらに大きな光電変換効率を得ら
れる半導体光エネルギー変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による半導体光エネルギー変
換装置の断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係わる電流−電圧曲線の測
定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 オーミック接合された導体 2 半導体 3 絶縁性膜 4 光透過性物質 5 可変抵抗 6 微小な細孔および/または微小な溝
フロントページの続き (72)発明者 錦谷 禎範 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本 石油株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 黒田 信行 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本 石油株式会社中央技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−283078(JP,A) 特開 昭63−90177(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に接合を有さない半導体、該半導体
    の光入射面に設けた絶縁性膜、該絶縁性膜に設けた金属
    酸化物光透過性導電物質、及び前記半導体の他側面にオ
    ーミック性接合された導体を備え、前記光透過性物質を
    通して前記半導体へ光を入射させて電気エネルギーを得
    る半導体光エネルギー変換装置において、前記絶縁性膜
    が微小な細孔及び/または微小な溝を有するとともに、
    該微小な細孔の径が50〜100Å、該微小な溝の幅が
    50〜100Åであり、該細孔及び/または溝を介して
    前記半導体と光透過性導電物質が直接接合することを特
    徴とする半導体光エネルギー変換装置。
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