JP3314860B2 - 熱間連続圧延における金属片の切断方法 - Google Patents

熱間連続圧延における金属片の切断方法

Info

Publication number
JP3314860B2
JP3314860B2 JP29617296A JP29617296A JP3314860B2 JP 3314860 B2 JP3314860 B2 JP 3314860B2 JP 29617296 A JP29617296 A JP 29617296A JP 29617296 A JP29617296 A JP 29617296A JP 3314860 B2 JP3314860 B2 JP 3314860B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blade
cutting
cut
rolling
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP29617296A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10137805A (ja
Inventor
毅 平林
茂 磯山
英幸 二階堂
重史 桂
敏明 天笠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP29617296A priority Critical patent/JP3314860B2/ja
Publication of JPH10137805A publication Critical patent/JPH10137805A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3314860B2 publication Critical patent/JP3314860B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Shearing Machines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間連続圧延にお
ける金属片の切断方法に係り、特に、シートバーやスラ
ブ、ビレットあるいはブルーム等の金属片、特に鋼片を
数本乃至は数十本に亘って接合し、連続圧延する際に用
いるのに好適な、接合部の板厚減少を低減して、全厚さ
に亘って良好に接合し、仕上げ圧延での板破断を防止す
ることが可能な、熱間連続圧延における金属片の切断方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼片の熱間圧延ラインでは、圧延
すべき鋼片を一本ずつ加熱、粗圧延、仕上げ圧延して、
所望の厚みになる熱延板に仕上げていたが、このような
圧延方法では、仕上げ圧延での、圧延素材の噛み込み不
良によるラインの停止が避けられず、又、圧延素材の先
端、後端部の形状不良に起因した歩留り低下も著しいと
いう問題があった。
【0003】このため最近では、仕上げ圧延に先立っ
て、圧延すべき先行鋼片の後端部と後行鋼片の先端部を
繋ぎ合せ、これを熱間圧延ラインに連続的に供給して圧
延する連続圧延方法が採用されるようになってきてお
り、これに関する先行技術としては、特開昭58−11
2601、特開昭58−122109、特開昭60−2
44401に記載の技術や、先に発明者等が特願平6−
36012で提案した技術がある。
【0004】このうち、特開昭58−112601に記
載されている技術は、図1に示す如く、粗圧延機(図示
省略)から、ラインに沿って順次、巻取(巻戻)装置
(コイルボックス)10、鋼片の先端及び後端の形状を
接合するに好適な形状に切断整形するための、例えば、
上下一対の、刃を設置した回転ドラムを有する回転ドラ
ム式のクロップシャー12、入側挾持兼押圧装置14a
と出側挾持兼押圧装置14bを有する固定式の接合装置
(例えば溶接機)14、圧延材の長さを調整するための
ルーパ16、仕上げ圧延機18を設置するというもので
ある。
【0005】又、特開昭58−122109や特開昭6
0−244401に記載されている技術は、図2に特開
昭60−244401の例を示す如く、粗圧延機8と仕
上げ圧延機18の間に、高周波誘導加熱装置22、入側
挾持装置24a及び出側挾持装置24b、鋼片の先端及
び後端の形状を接合するに好適な形状に切断整形するた
めの、例えば上下一対の刃を備え、上刃を下刃に対して
降下させる、ギロチン式のクロップシャー26、及び押
圧装置28が台車29上に搭載され、該台車29がレー
ル30上を走行する接合装置20を設け、該接合装置2
0が、鋼片の搬送速度に同期して移動しながら接合動作
を行うというものである。
【0006】更に、特願平6−36012で発明者等が
提案した技術は、図3に示す如く、コイルボックス10
及び、接合装置14とは別置きのクロップシャー12を
構成設備に含む点は、特開昭58−112601に記載
の技術と共通し、前記接合装置14が、鋼片の搬送速度
に同期してレール30上を移動する点では、特開昭58
−122109に記載の技術と共通しているが、コイル
ボックス10の出側に、該コイルボックス10で巻いて
繰り出した後の鋼片の巻き癖を矯正して平坦化するため
のレベラ32を設けると共に、クロップシャー12の入
側に、鋼片が該クロップシャー12によって左右対称に
切断されるようにセンタリングするためのガイド34を
設け、更に、接合装置14の出側に、接合部に生成する
バリを、例えばフライス36aによって除去するバリ除
去装置36と、例えば冷却ヘッダから噴射される水によ
って接合部を冷却する接合部冷却装置38を設けるとい
う改善を施したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ような従来の接合用設備においては、クロップシャーに
次のような問題点があった。
【0008】まず、図2に示した特開昭60−2444
01に記載の技術で用いられているギロチン式のクロッ
プシャー26で、通常の熱間圧延ラインにおける最大板
厚50mm×最大板幅2000mm程度の板を剪断可能
な剪断力を得るためには、シャー設備全体を大型化せざ
るを得ず、設置スペース上の問題、及び、設備費が高額
となるという問題があった。又、刃の交換に代表される
メンテナンスに手間がかかり、ラインの稼働率が低下す
るという問題もあった。
【0009】一方、図1に示した特開昭58−1126
01に記載の技術や、図3に示した特願平6−3601
2に記載の技術で用いられている回転ドラム式のクロッ
プシャー12を使えば、ドラムの回転による慣性を利用
でき、小型の設備で大きな剪断力が得られるので、前記
のギロチン式クロップシャーの問題を解決して、設備費
を安くでき、刃の交換に代表されるメンテナンスの手間
も少なくなるという利点がある。
【0010】前記回転ドラム式のクロップシャー12
は、図4に例示する如く、切断対象の鋼片40の表裏に
それぞれ配置される一対の回転ドラム42、44を有
し、各ドラム42、44には、対応する上刃46及び下
刃48と、同じく対応する上刃50及び下刃52からな
る、例えば2組の切断刃が固定保持されており、例えば
鋼片40が図中に矢印Aで示す如く右方向に移送される
場合には、上側の回転ドラム42を、図中に矢印Bで示
す如く反時計方向に回転し、下側の回転ドラム44を、
同じく図中に矢印Cで示す如く時計方向に回転すること
によって、鋼片40を切断する。なお、切断刃は2組で
なく、1組であってもよい。
【0011】ところが、図4に示したような回転ドラム
式のクロップシャーでカットした鋼片端面の板厚断面形
状は、図5に反りを矯正した後の形状を例示するよう
に、先行材40aの後端部及び後行材40bの先端部共
に、端面先端に向って次第に板厚が減少していくような
尖った形状になる。図5は、鋼片表面に刃先が食い込ん
でいく角度α=48°でカットした場合のカット後形状
である。
【0012】発明者等の実験によれば、このように、回
転ドラム式のクロップシャーでカットした端面同士を接
合する場合、図6に示す如く、先端に向って板厚が減少
していく断面形状の名残が幾らか残った状態で接合が完
了するため、その後の圧延性に悪影響が出るということ
が判明した。即ち、接合部には、溶接であれば溶鋼が鋼
片表面に乗り、加圧圧接であれば、圧接に伴なう板厚方
向の盛り上りが生じ、加熱と圧接の併用であれば、半溶
融状態の半溶鋼(バリ)60が、図6に示す如く、板厚
方向に滲み出す。従って、接合部の板厚方向断面形状
は、接合に関係ない定常部の板厚よりも、局部的に厚く
なる。この現象は、特に、半溶鋼が下方に垂れる鋼片下
面の方が鋼片上面よりも顕著である。
【0013】以下、加熱と圧接の併用によって、板厚方
向に滲み出したバリ60を圧延する場合を例にとって、
局部的な増厚部が、どのような変形挙動を示したかを、
圧延の順をおって、図7乃至図9により説明する。な
お、ここでは、加熱と圧接の併用の場合を例にとって説
明するが、溶接のみの場合でも、加圧圧接の場合でも、
あるいは、その他の接合法による場合でも、増厚部の圧
延による変形挙動は同様であり、本質的な差異はない。
【0014】まず、仕上げ圧延機第1スタンドでの圧延
により、バリ60は、図7に示す如く、上ワークロール
63及び下ワークロール64から受ける力によって横に
押し倒され、鋼片40の定常部側に倒れ込み、母材と融
合せずに母材を押し潰し、母材側は、図8に示す如く、
局部的に板厚が薄くなる。仕上げ圧延機第2スタンド以
降の圧延でも、各スタンドで、この一度できた局部的な
板厚の薄い母材部分は、倒れ込んだバリ62によって更
に押し潰され、図9に示す多パス圧延後の状態のよう
に、定常部の板厚には復帰しない。従って、最終板厚の
薄物化を図った場合、この局部的に板厚の薄い部分にス
タンド間の張力が集中し、その張力が破断応力値を越え
た場合は、破断に至ることがわかった。
【0015】発明者等の実験によれば、炭素C=0.0
04重量%の極低炭素鋼を接合した後、バリ除去を行わ
ず、盛り上がりが発生したままの状態で、仕上げ板厚を
2.4mm以下として通板した場合、最終スタンド間の
張力が5kgf/mm2 以上では、破断に至った。な
お、上記張力の値は、押し潰されて局部的に薄くなった
部分の正味断面積に係る張力であり、破断に至る応力
は、材料の温度依存性があるが、この実験では、材料温
度は800℃であった。そこで発明者等は、図3に示し
た如く、仕上げ圧延機18の入側にバリ除去装置36を
設け、バリを除去した後に圧延する実験を行った。この
実験によれば、同じ圧延条件であっても、非破断で通板
可能な下限板厚を1.6mmまで下げることができた。
【0016】しかしながら、既に述べたように、回転ド
ラム式のクロップシャーでカットした場合、カットした
端面の、先端に向って板厚が減少していく断面形状が、
クロップシャーでのカットに引続く接合処理の更に後で
も、幾らか残るため、図10(バリ除去中)及び図11
(バリ除去後)に示す如く、バリを完全に除去できず、
バリの残り61を生じる場合があることが分った。この
バリの残り61は、重力の影響で鋼片下面の方が大きく
なる。図10において、実線Dは、回転鋸刃又は回転砥
石等の、バリ除去装置の研削手段の外周軌道である。
【0017】上記のような、ドラム式のクロップシャー
でのカットから、圧延での破断に至る経緯を辿ると、 下刃の刃先が鋼片下面に食い込むときに、鋼片下面の
板厚減少作用が顕著に現われること バリ除去時に鋼片下面のバリが鋼片上面のバリに比べ
て残り易いことが、原因として大きいことがわかった。
【0018】そこで、圧延での破断を防止し、薄物化を
促進するためには、次の2つの対策が考えられる。 下刃の刃先が鋼片下面に食い込むときに、鋼片下面の
板厚減少作用を小さくすること バリ除去時に鋼片下面のバリを除去する板厚方向深さ
を、鋼片上面のそれに比べて深くすること。
【0019】しかしながら、の方法では、鋼片下面を
母材ごと深く削り取ることになり、その切削動力が大き
くなって、バリ除去設備の大型化による、設置スペース
上の問題と、設備費高額化の問題を生じる。
【0020】一方、特開平5−185111には、上下
の各回転ドラムの回転方向及び各回転ドラムに取り付け
られている刃の向きを互いに逆とすることによって、各
圧延材の端部に対する切断の形態を同一として、切断面
を左右対称形とすることにより、先行圧延材の後端部と
後行圧延材の先端部を互いに容易且つ確実に溶接可能な
形状に切断することが記載されている。
【0021】しかしながら、この特開平5−18511
1により切断された圧延材においても、先後端部におけ
る先端切断面の板厚の減少が発生しており、やはり改善
の余地があった。
【0022】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、接合部の板厚減少を少なくして、全
厚さに亘って良好に接合し、接合部へのスタンド間張力
集中による板破断を回避することを課題とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、先行金属片の
後端部と後行金属片の先端部を、それぞれ、外周に切断
刃を有するドラムシャーを用いて切断し、次いで各端部
を加熱、昇温し、相互に押圧して接合した後、圧延設備
に送給して連続的に熱間仕上げ圧延を行うに当たり、先
行金属片の後端部と後行金属片の先端部を、それぞれ、
刃表を前方に向けて回転する切断刃と刃表を後方に向け
て回転する切断刃との一組で切断する際に、前記刃表を
前方に向けて回転する切断刃により切断され、圧延に供
給される方の金属片の切断面の食い込み角度が、45°
以下−5°以上となるようにして、前記課題を解決した
ものである。
【0024】又、前記刃表を前方に向けて回転する切断
刃の刃先角度を調整するようにしたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】発明者等が、図4に示したような
回転ドラム式のクロップシャーにおいて、図12に切断
刃の要部断面形状を示す如く、刃表48aを前方にして
回転する、刃先角度βの下刃48と、刃裏46bを前方
にして回転する、同じ刃先角度βの上刃46とで鋼片を
切断する場合について、剪断のメカニズムを詳細に検討
したところ、次のようなことがわかった。
【0026】即ち、先行材40aの後端部の切断では、
切断した後の先行材40aが接合に供され、クロップ4
0cは切捨てられる。その際、刃表48aを前方にして
図12の矢印C方向に回転する下刃48は、切断初期に
は、図13に示す如く、刃先が鋭角に鋼片40の下面に
食い込む。次いで、切断中期には、図14に示す如く、
刃表48aの面が先行材40aの面から離れ、刃裏48
bの面が先行材40aのクロップ40cを押し下げて
(図14では押し上げて)鋼片を切断するように作用す
る。
【0027】一方、刃裏46bを前方にして回転する上
刃46は、図13に示す如く、刃裏46bの面が鋼片4
0の上面を押えるように作用した後、図14に示す如
く、刃裏46bの面が、鋼片40の上面を垂直方向から
回転方向に傾いた方向に押し下げながら、上刃46と下
刃48の間で鋼片40を切断するように作用し、図15
に示す如く、切断が行われる。
【0028】一方、後行材40bの先端部の切断では、
図13乃至図15に括弧内の符号で示した如く、切断し
た後の後行材40bが接合に供され、そのクロップ40
dは切捨てられる。この際、先行材40aの後端部を切
断する場合と同様に上刃46と下刃48が作用し、後行
材40bの切断面は図15に示す如くとなる。即ち、後
行材40bの先端部の切断面の形状は、先行材のクロッ
プ40cと同じとなる。
【0029】そこで本発明者等は、切断面の形状、特に
刃表を前方にして回転する切断刃が食い込む側の鋼片の
切断後の形状を改善することを考えた。即ち、発明者等
は、回転ドラム式クロップシャーの刃先が、図16に示
す如く、パスラインPL上に存在する鋼片下表面に食い
込んでいく角度αを種々に変化させ、実際に鋼片を切断
し、接合し、圧延する実験を実施した。実験に際して、
図17に示す如く、上刃と下刃のオーバーラップ量OL
は3mmとし、他の寸法は刃先角度γを変えた点を除き
図17中の数値に設定した。
【0030】実験の結果を図18に示す。図18におい
て、○印は破断せず通板したもの、×印は通板時に破断
してしまったものを示す。食い込み角度αは、後述の式
(2)〜(6)により求めたものである。又、横軸の括
弧内の数値は、図17に示す下刃48の刃先角度γであ
る。
【0031】図18から、回転ドラム式クロップシャー
の刃先角度γを59°以上として、刃先が鋼片表面に食
い込んでいく角度αを45°以下にすれば、板厚0.8
mmまで、圧延による破断を皆無にできることがわかっ
た。なお、図19に示す如く、食い込み角度αを0°以
下にすると、図20に示すような切断形状となるが、切
断や接合、バリの除去に支障が出るわけではない。よっ
て、αがマイナスでもよい。しかし、おのずと限界はあ
る。
【0032】具体的には、刃先角度γを、以下の計算式
から求められるような関係から、110°以下にするの
が、特に切断性確保の観点から、より好適である。
【0033】 γ≦90°+tan -1{(3(突き出し量)) /(34.16(刃幅)×1/4)} =110° …(1)
【0034】これは、次のような理由による。図21
示すように、下刃48が上死点、上刃46が下死点で正
対する状態にあって、下刃はその刃先の幅に対して、そ
の中間の点が突き出しているものを用い、その中間の点
が刃幅内で位置が種々に変化した場合、どのような切断
性を示すのか、発明者らは実験を行った。
【0035】このとき、その他の条件を固定することと
した。まず刃先の幅を34.16mm、上刃と下刃のオ
ーバーラップ量OLを3mm、突き出し量を3mm程度
に固定した。オーバーラップが小さいと、クロップを完
全に分離できないでつながったまま残ることがあるた
め、完全に分離するためにオーバーラップ量を3mm程
度、突き出し量を3mm程度とすることが適当である
【0036】ここでは、突き出し量を固定とし、突き出
し量の位置を刃幅方向に変化させることで、刃先角度を
変化させることにした。
【0037】実験の結果、次のようなことがわかった。
【0038】刃幅の分だけ傾斜した場合(刃先角度γ=
95°)、切断性は良好。
【0039】a=bとし、刃幅の半分だけ傾斜した場合
(刃先角度γ=100°)、切断性は良好。
【0040】a:b=3:1とし、刃幅の4分の1だけ
傾斜した場合(刃先角度γ=110°)までは、何とか
切断できた。
【0041】ところが、刃幅の4分の1よりも短い長さ
に対して傾斜した場合(刃先角度γが110°を超える
場合)は、完全に切断しきれない場合があることがわか
った。
【0042】このようにして刃先角度γを110°以下
にするのが良いことがわかった。この場合の食い込み角
度は−5.8°なので食い込み角度は−5°以上とし
た。
【0043】次に、図22及び図23を参照して、食い
込み角度αを求める方法を説明する。
【0044】図22は、刃先角度γ=90°の様態を示
している。図22中に示した通り、回転ドラム中心から
刃先までの距離r(回転半径に相当する)は、536.
5mmである。
【0045】下回転ドラム44側に取り付けられた下刃
48の刃先は、下回転ドラムの回転の上死点において、
16.5mmだけパスラインPLより上方に突き出る。
【0046】この幾何学的関係から、図23に示すよう
に、刃先角度γ=90°の場合において、刃先が金属表
面に食い込んでいく角度αの算出には次の式を用いる。
【0047】 α1=COS-1(1−16.5/536.5) =14.2° …(2) なぜならば、 r−rCOSα1=16. …(3) COSα1=(r−16.)/r …(4) α1=COS-1(1−16./r) …(5) だからである。
【0048】更に、図16に示したように、刃先角度γ
が90°より小さく、尖った方向に変化する場合には、
その小さくなった分だけ、ここで求めたα1よりも、食
い込んでいく角度αが大きくなっていく。例えば、γ=
65°の場合は、γは90°よりも25°だけ小さい。
このときαの方は、14.2°に対して25°だけ大き
くなって、39.2°になる。
【0049】刃先角度γが90°より大きく、鈍角の方
向に変化する場合には、上記と逆の関係になり、次式の
関係が成立する。
【0050】α=α1+90−γ …(6)
【0051】なお、刃先が金属表面に食い込んでいく角
度αは、切断後の後行材40bの下面の傾斜角度αと同
一になる。
【0052】その理由は、以下の通りである。下回転ド
ラム(上回転ドラムも)の回転によって、刃先が金属表
面に食い込んでいく角度は変化していくように感ずるか
もしれないが、実はそうではない。その理由は、下回転
ドラムの回転による角度α(刃の上面とパスラインでな
す角度)の変化に伴って、図13、図14に示すように
後行材40bが反って上に持ち上がりながら回転するか
らである。その結果、刃先がパスラインよりも上に突き
出そうとするときに金属表面に食い込んでいく角度と、
図5に示した切断後の後行材40bの下面の傾斜角度と
は共に等しくαになる。
【0053】図22は、下刃48の刃先角度γを90°
にして、回転ドラム44に切断刃を取り付けた状態を示
したものである。図22に示したような刃先形状とする
ためには、同じく図22中に示した上刃46と同じもの
をもう1つ用意し、その刃先角度β=67.5°の一部
を平らに削ってγ=90°にすればよく、加工が容易で
ある。
【0054】なお、前記説明においては、上刃46と下
刃48の断面形状について述べているが、もう1組の上
刃50と下刃52の断面形状も、それぞれ、対応する上
刃46と下刃48と同じとすれば良い。
【0055】このようにして、刃表を前方に向けて回転
する切断刃、例えば下刃の刃先が金属片表面に食い込む
ときの、金属片表面、例えば下面の板厚減少作用を小さ
くすることで、増厚部を小さくし、バリを除去する板厚
方向深さが小さくて済むとともに、倒れ込んだりバリに
よる母材板厚減少に起因する、接合部へのスタンド間張
力集中による板破断を防止することが可能となる。
【0056】
【実施例】一実施例として、極低炭素鋼を粗圧延して、
先行鋼片、後行鋼片共に板厚30mm、板幅800mm
とし、刃先角度γを77.2°として、刃先が鋼片表面
に食い込んでいく角度αを27°としてクロップシャー
でカットして得られた、図24に示す断面形状の先行材
40aの後端と後行材40bの先端を、高周波誘導加熱
で1470℃に加熱した後、応力2kgf/mm2 で圧
接により接合し、回転鋸刃でバリを除去して、仕上げ圧
延に供し、最終スタンド間張力4kgf/mm2 で通板
した結果、板厚を、仕上げ圧延機18の動力限界である
0.8mmまで圧延できた。このとき、板破断は起ら
ず、通板性も極めて良好であった。図24中の数値は、
反り矯正後に測定した各部の寸法(単位mm)である。
【0057】これに対して、下刃の刃先が鋼片に食い込
んでいく角度αを65°とした比較例では、板厚1.2
mmまでしか圧延できず、板厚1.0mmでは破断が発
生した。
【0058】以上、接合の際の押圧によって接合部の盛
り上がりの板厚が定常部の板厚よりも厚いために、接合
部の盛り上がりを除去するバリ除去処理を行った場合に
ついて説明した。
【0059】本発明の方法で切断すると、接合部の板厚
の減少量が従来より小さくなるので、接合した後、前記
バリ除去処理を行わなくても、従来方法で切断し、接合
した後、バリ除去処理を行ったものと同じ板厚にまで圧
延することができた。即ち、従来の切断方法では、バリ
除去処理を行っても、破断しない下限板厚が1.6mm
であったのが、本発明法により切断した場合には、バリ
除去処理を行わなくても、同じ1.6mmまで圧延でき
た。従って、圧延する板厚が従来と同じ板厚であれば、
バリ除去処理を行わなくてもよいので、バリ除去処理装
置の設置が不要となるか、又は、バリ除去処理費用が削
減できる。
【0060】これは、接合部の板厚の減少量が従来より
小さくなったので、接合部に盛り上がりが発生しないよ
うに、接合部の板厚が定常部の板厚と同じか、又は定常
部の板厚よりも小さく接合しても、従来方法で切断し、
接合した後、バリ除去処理を行ったものと同じ程度の切
欠の深さとなったためと考えられる。
【0061】なお、前記説明においては、下刃の刃先角
度γが110°以下59°以上とされていたが、本発明
を実施する態様はこれに限定されず、切断刃の回転状態
及び向きに合せて、上刃の刃先角度βを59°以上11
0°以下とすることもできる。又、圧延に供される方の
金属片の切断面の食い込み角度αを45°以下−5°以
上とする方法は、前記切断刃の刃先角度を110°以下
59°以上にするものに限定されず、他の方法によっ
て、圧延に供される方の金属片の切断面の食い込み角度
αを45°以下−5°以上とすることも可能である。更
に、切断対象も、鋼片に限定されず、他の金属片の切断
にも適用できることも明らかである。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、回転ドラム式クロップ
シャーに設置した刃先が、金属片表面に食い込んでいく
角度が適正となり、カットされた金属片の、カット断面
における板厚の、カット断面以外の板厚に比べる減少量
が小さくなるため、接合後のバリも小さくなり、残存す
るバリに起因した過薄部へのスタンド間張力集中による
板破断を回避でき、金属片接合部に生成するバリや変形
部を後処理装置で整形することによって、従来技術によ
り連続熱間圧延をした場合に比べて、最終板厚を、より
薄くすることができる。
【0063】なお、最終板厚を薄くする必要がない場合
には、バリ除去処理が不要となり、バリ除去に要する設
備又は運転費を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】特開昭58−112601に記載された従来の
連続熱間圧延ラインの設備列を示す工程図
【図2】特開昭60−244401に記載された従来の
連続熱間圧延ラインの設備列を示す工程図
【図3】特願平6−36012で出願人が提案した連続
熱間圧延ラインの設備列を示す工程図
【図4】本発明の対象である回転ドラム式クロップシャ
ーの構成例を示す正面図
【図5】従来法により鋼片表面への食い込み角度α=4
8°でカットした場合の、カット後の先行材後端及び後
行材先端の板厚断面形状を示す断面図
【図6】従来法によりカットされた鋼片を接合したとき
の接合部のバリ除去前の板厚断面形状を示す断面図
【図7】接合時に生成する増厚部の変形挙動により、母
材を破断に至らしめるメカニズムを説明するための、仕
上げ第1スタンド圧延前の状態を示す断面図
【図8】同じく仕上げ第1スタンド圧延直後の状態を示
す断面図
【図9】同じく多パス圧延後の状態を示す断面図
【図10】図6に示した接合後の鋼片に対して、接合部
のバリを除去している状態を示す断面図
【図11】同じくバリ除去後の状態を示す断面図
【図12】回転ドラム式クロップシャーで鋼片を切断し
た場合に、端面で板厚が小さくなって尖った断面形状に
なるメカニズムを説明するための、刃先形状を示す断面
【図13】同じく切断初期の状態を示す断面図
【図14】同じく切断中期の状態を示す断面図
【図15】同じく切断直後の状態を示す断面図
【図16】本発明の原理を説明するための、下刃が鋼片
下面に食い込んでいく状態を示す断面図
【図17】本発明に係る刃先形状を示す断面図
【図18】本発明の原理を説明するための、クロップシ
ャーの刃先が鋼片表面に食い込んでいく角度αと、仕上
げ圧延時における板破断の有無の関係の例を示す線図
【図19】同じく、食い込み角度αを0°未満とした場
合の刃先形状を示す断面図
【図20】同じく、食い込み角度αを0°未満とした場
合の切断形状を示す断面図
【図21】発明者らの実験条件を示す断面図
【図22】本発明において、食い込み角度αを求める方
法を説明するための、本発明の実施形態における刃先形
状を示す断面図
【図23】同じく下刃の先端形状を拡大して示す断面図
【図24】本発明の実施形態により鋼板表面への食い込
み角度α=27°でカットした場合の、カット後の先行
材後端及び後行材先端の板厚断面形状を示す断面図
【符号の説明】
8…粗圧延機 10…巻取(巻戻)装置 12…クロップシャー 14…接合装置 18…仕上げ圧延機 36…バリ除去装置 40…鋼片 40a…先行材 40b…後行材 40c、40d…クロップ 42、44…回転ドラム 46、50…上刃 48、52…下刃 46a、48a…刃表 46b、48b…刃裏 60…バリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桂 重史 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 天笠 敏明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平1−310809(JP,A) 特開 平8−300008(JP,A) 特公 昭62−27924(JP,B1) 特公 昭61−50731(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/26 B21B 15/00 B23D 19/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先行金属片の後端部と後行金属片の先端部
    を、それぞれ、外周に切断刃を有するドラムシャーを用
    いて切断し、次いで各端部を加熱、昇温し、相互に押圧
    して接合した後、圧延設備に送給して連続的に熱間仕上
    げ圧延を行うに当たり、 先行金属片の後端部と後行金属片の先端部を、それぞ
    れ、刃表を前方に向けて回転する切断刃と刃表を後方に
    向けて回転する切断刃との一組で切断する際に、 前記刃表を前方に向けて回転する切断刃により切断さ
    れ、圧延に供給される方の金属片の切断面の食い込み角
    度が、45°以下−5°以上となるように切断すること
    を特徴とする熱間連続圧延における金属片の切断方法。
  2. 【請求項2】記刃表を前方に向けて回転する切断刃の
    刃先角度を調整することを特徴とする請求項1に記載の
    熱間連続圧延における金属片の切断方法。
JP29617296A 1996-11-08 1996-11-08 熱間連続圧延における金属片の切断方法 Expired - Fee Related JP3314860B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29617296A JP3314860B2 (ja) 1996-11-08 1996-11-08 熱間連続圧延における金属片の切断方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29617296A JP3314860B2 (ja) 1996-11-08 1996-11-08 熱間連続圧延における金属片の切断方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10137805A JPH10137805A (ja) 1998-05-26
JP3314860B2 true JP3314860B2 (ja) 2002-08-19

Family

ID=17830101

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29617296A Expired - Fee Related JP3314860B2 (ja) 1996-11-08 1996-11-08 熱間連続圧延における金属片の切断方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3314860B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10137805A (ja) 1998-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2163934C2 (ru) Способ изготовления горячекатаной стальной ленты и устройство для его осуществления
JP2528808B2 (ja) 鋼片の連続熱間圧延方法
US4282996A (en) Method of continuous slitting of flat material and apparatus therefor
JP6001397B2 (ja) 鋼の連続鋳造における鋳片切断装置
CN106694553B (zh) 一种中间坯连接设备及系统
JP3314860B2 (ja) 熱間連続圧延における金属片の切断方法
JP4695163B2 (ja) 金属板の接合方法、接合装置及び熱間圧延設備
JP3360716B2 (ja) 圧延材の切断方法及び装置
JPH07112203A (ja) 常温単一多重形材要素から常温で単一完成形材を得る方法と機械
JP3235238B2 (ja) 金属帯端部処理装置
JP3666761B2 (ja) 熱間鋼材の接合方法
JP3501914B2 (ja) 鋼材の熱間圧接方法
CN116586430A (zh) 一种难变形金属薄板片拼焊轧制的方法
US2714339A (en) System for trimming welded joints
JP3664883B2 (ja) 熱間圧接方法およびその装置
JP3663684B2 (ja) 金属帯の加工装置
JP4692350B2 (ja) 鋼板の端面機械加工方法及び装置
JP2010179348A (ja) 冷延鋼板の製造方法および製造設備
WO2022172516A1 (ja) 鋼帯のレーザー切断方法、レーザー切断設備、冷間圧延方法、及び冷延鋼帯の製造方法
JP2626642B2 (ja) 鋼片の連続熱間圧延方法
SU536025A1 (ru) Способ обработки сварного шва
JP3103496B2 (ja) 熱間粗バーの接合方法
JP3124471B2 (ja) 熱間粗バー接合供給材とその接合方法
JP2002292408A (ja) 熱間鋼片の接合隆起部除去方法および装置
SU1348114A1 (ru) Способ обработки сварного шва при получении подката дл холоднокатаных листов

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080607

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090607

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100607

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110607

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120607

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120607

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130607

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140607

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees