JP3313855B2 - 腫瘍壊死因子産生誘導材料 - Google Patents

腫瘍壊死因子産生誘導材料

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JP3313855B2
JP3313855B2 JP29315993A JP29315993A JP3313855B2 JP 3313855 B2 JP3313855 B2 JP 3313855B2 JP 29315993 A JP29315993 A JP 29315993A JP 29315993 A JP29315993 A JP 29315993A JP 3313855 B2 JP3313855 B2 JP 3313855B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の材料と血液とを
接触させることにより腫瘍壊死因子(TNF:Tumor Ne
crosis Factor)を産生誘導するための材料に関し、上
記材料表面を工夫することによりTNFの産生効果的
に誘導される。また、本発明は、天然型のTNFを高濃
度に含む血液や血液成分(血漿や血清)を入手するのに
利用され、このようにして得られた血液、血液成分及び
天然型TNFに関する。さらに、このようにして得られ
た血液、血液成分及び天然型TNFを患者に戻すことに
より、癌などの疾患に治療効果を発揮するための方法に
利用される。
【0002】
【従来の技術】周知のごとく、生体の悪性腫瘍に対する
免疫監視機構を担う抗腫瘍性細胞としては、キラー細
胞、NK細胞、LAK細胞及び、活性化マクロファージ
等が重要な役割を果たしている。また、これらの細胞や
リンパ球から分泌されるインターロイキン、インターフ
ェロン、TNF等も生体の抗腫瘍性に大きく関与してい
る。従って、悪性腫瘍に対する免疫学的治療方法として
は、患者のこれらの細胞を活性化して抗腫瘍効果を効率
的に誘導することや、これらのサイトカインを誘導する
ことで抗腫瘍効果を発揮させることが考えられる。しか
しながら、癌患者では一般的に癌の進行とともに免疫能
が低下することが報告されており、癌患者の生体内にお
いては免疫抑制因子等により、免疫能が抑制されている
状態にあると考えられている。
【0003】このような免疫能の低下した癌患者の生体
内においては、抗腫瘍効果の効率的な誘導は困難である
と言える。従って、癌患者の体内で免疫系を賦活し、抗
腫瘍性を誘導するためには、免疫能の低下した患者の体
内に、誘導された抗腫瘍性細胞を導入する方法、あるい
は免疫賦活作用をもつサイトカインを体内に投与する方
法が癌治療法として考えられる。
【0004】最近、体外に取り出した癌患者のリンパ球
に遺伝子組み換えヒト・インターロイキン2を加えて培
養し、活性化してLAK細胞を誘導した後に癌患者体内
に戻して、抗腫瘍効果を発揮させる養子免疫療法や、腫
瘍細胞を特異的に攻撃するTNF等を癌患者体内に投与
する治療法が試みられている(Rosenberg,S.A.,Lotze,
M.T.,Muul,L.M.et al.:A Progress report on the tre
atment of 157 patients with advanced cancer using
lymphokine-activated killer cells and interleukin
2 or high-dose interleukin 2 alone. N.Engl.J.Med.
316:889-897,1987)。
【0005】また、細菌の菌体成分等を癌患者に投与し
て、内因性のTNFを誘導する試みも行われている(大
島治之、杣源一郎、水野伝一:腫瘍壊死因子(TN
F):内発性TNF産生の人癌への応用とその展望. B
IOTHERAPY, 1:145-151,1987 、加藤幹雄、岡田耕一、杣
源一郎、竹内正七、水野伝一:内因性および外因性T
NF(FET)療法 多施設共同研究による臨床成績.
BIOTHERAPY, 5:473-477,1991) 。
【0006】さらに、TNFを産生誘導するリポポリサ
ッカライド(LPS)を固定化した材料に血液を循環し
て癌患者の治療を行おうとする基礎的な研究も進められ
ている(阿部元:LPS固定化ビーズによる抗腫瘍効
果.日外会誌,92:627-635,1991)。同様に、LPSを半
透膜や選択性透過膜を介して血液と接触させて、体外で
免疫賦活した血液を患者に戻して免疫系を賦活すること
も考えられている(特開昭61-113465)。
【0007】前記の養子免疫療法では、癌患者から大量
のリンパ球を取り出し、無菌的に長期間、インターロイ
キン2の存在下で培養した後に、癌患者に注入するとい
う操作を行うため、非常に手間がかかること並びに、培
養に長時間を要することなどの、多くの問題があった。
【0008】また、最近、遺伝子組み換えにより、TN
Fの製造が可能となり、遺伝子組み換え型ヒトTNFを
用いた癌治療の臨床検査が進められている(池田重雄、
石原和之:皮膚悪性腫瘍に対する遺伝子組み換え型ヒト
腫瘍壊死因子Sertenef(PT-050)の臨床第2相試験.Skin
Cancer,5:210-226,1991) 。TNFは、免疫賦活効果と
腫瘍細胞を直接殺す効果の双方を併せ持つサイトカイン
であるが、組み換え型TNFの効果は、期待されたほど
大きくはなかった。これは、組み換え型は患者自身から
の内因性のものではないため、効果が少なく、副作用が
大きいためと考えられる。
【0009】そこで、BCGなどの菌体成分やOK−4
32などの薬剤を患者に投与して、内因性のTNFを誘
導して癌の治療を行おうとする試みが進められている。
しかし、菌体成分等によるTNF等の誘導は、癌患者体
内で菌体成分等が様々な反応をするため、副作用が起こ
る。
【0010】また、LPS固定化材料を用いた血液循環
法では、LPSが脱離し、体内に移行し、副作用を起こ
すという問題がある。また、一般に強い免疫賦活作用を
持つ免疫刺激物質は毒性なども強いものが多く、それら
を半透膜に包んだり、固定化したりした場合、血液中へ
の漏出や、脱離を完全に抑えることは難しく、安全性の
保証ができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の諸欠点を解消し、操作性、実用性、有効性及
び安全性等などが従来法に比べて著しく改善され腫瘍
壊死因子産生誘導材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、15〜
52℃の温度で体外にて血液と接触されることにより腫
瘍壊死因子を産生誘導するための材料であって、中心線
平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、かつ
凸平均間隔Sm値が5μm〜200μmある凹凸を表
面に有することを特徴とする腫瘍壊死因子産生誘導材料
が提供される
【0013】本発明の経緯 白血球などの血液中の細胞は、異物を貪食することや粘
着性の細胞であることが知られている。生体中では、侵
入した細菌等を貪食することで生体防御が行われている
が、ラテックスのような高分子からなる微粒子も白血球
は貪食する。また、生体中に高分子材料を埋め込んだ
り、血液と高分子材料とを接触させたりすると、白血球
や血小板が上記材料に粘着する。これらの貪食及び粘着
作用の際には、細胞内酵素の放出や活性酸素の遊離等の
様々な反応が起こる。また、これらの反応は、貪食や粘
着される高分子材料の表面性状、組成等によっても左右
される。
【0014】従来、細胞の貪食や粘着に関しては、細胞
に接触される材料の粒径、繊維径または組成等について
は調べられているが、接触される材料の表面形状につい
てはあまり調べられていなかった。もっとも、材料表面
の粗さまたは凹凸が、細胞の材料への粘着に関与し、細
胞の機能に影響を与える旨の報告も存在する(新村和
夫、山崎和俊:種々の高分子および表面粗さを有する材
料における全血中の顆粒球吸着挙動の検討.Polymer Pr
eprints,Japan.40:2230-2232,1991)。
【0015】また、従来、生理活性物質等を担体に固定
化して免疫反応を行うことが報告されているが、これら
の固定化材料に細胞等を接触させる場合、担体からの生
理活性物質の脱離が問題となる。すなわち、脱離した生
理活性物質が体内で作用することにより、種々の作用が
惹起されるので、安全性の保証が難しい。そこで、材料
自身の特性によって細胞からTNF等の産生誘導を行う
ことが考えられる。人工透析膜等の研究、治療等におい
て、透析膜と血液細胞の相互作用により種々の反応が起
きることが報告されている(Dennis E.Chenoweth:Compl
ement activation produced by biomaterials.Trans.A
m.Soc.Artif.Intern.Organs. XXXII:226-232,198
6) 。特に、補体の活性化については報告が多い。補体
は生体にとっては重要な免疫因子である。この活性化が
透析膜という材料に起因して起こるということは、材料
により、他の免疫因子の制御が行えることの可能性を示
す。
【0016】そこで、本願発明者らは、血液細胞と接触
される材料の表面形状により材料と細胞との相互作用が
影響を受けることに着目し、血液と接触すべき材料の表
面形状について鋭意研究した結果、特定の表面形状の材
料を用いた場合、TNFの産生を効果的に誘導し得るこ
とを見出し、本発明を成すに至った。
【0017】すなわち、ポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム及び酢酸セルロースフィルムについ
てTNFの産生誘導試験を行ったところ、1200メッ
シュ以下の荒さのサンドペーパーで各フィルムを研磨し
た場合には(Ra値が0.2μm以上表面粗さを有する
ように研磨した場合には、)、未研磨の各フィルムに比
べてTNFの産生を効果的に誘導し得ることがわかっ
た。また、ナイロンや酢酸セルロースの球状ビーズは、
表面にRa値が0.2μm以上の粗さをつけることによ
り、著しくTNFの産生誘導が行われることもわかっ
た。
【0018】上記の事実は、適度な表面粗さを有する材
料では、その材質によらず、表面の凹凸性が原動力とな
り、TNF産生誘導を促進することを意味しているもの
と考えられる。また、白血球などの大きさが10μm〜
20μmであるのに対し、上記材料のRa値が0.2μ
m〜10μmの範囲であり、白血球などに比べて、上記
Ra値が非常に小さいため、上記表面粗さによる効果
は、単なる接触表面積の増大によるものではないと考え
られる。
【0019】従って、本発明において用いられる上記材
料は、材料の種類を問うものではなく、中心線平均粗さ
Ra値が0.2μm〜10μmの範囲にある凹凸を表面
に有するものであれば任意の材料を用いることができ、
また好ましくは後述の実施例から明らかなように凹凸平
均間隔Sm値が200μm以下である凹凸を表面に有す
る材料が用いられる。
【0020】なお、上記Ra値とはJIS B0601
−1982における中心線平均粗さである。また、上記
凹凸平均間隔Sm値は、以下のようにして定義される値
である。
【0021】でこぼこ平均間隔Sm値 現在のJIS規格では、表面粗さの高さ方向の情報につ
いては規定されているが、面方向の情報に関しては規定
されていない。しかしながら、本発明における凹凸は、
好ましくは、凹凸の面方向における間隔によっても後述
の実施例から明らかなように限界付けられるものであ
る。そこで、本発明では、好ましくは、上記のようにで
こぼこ平均間隔Sm値を用いることにより凹凸の面方向
の範囲が規定される。
【0022】上記でこぼこの平均間隔Sm値は、以下の
ようにして求められる。まず、図1に示す粗さ曲線Aの
中心線Bに対して、それぞれ、一定の高さ及び深さの位
置に上側カウントレベル及び下側カウントレベルを引
く。次に、下側のカウントレベルと粗さ曲線Aとが交差
する2点間において、上側カウントレベルと粗さ曲線と
が交差する点が一回以上存在するときに、一つの山とし
て「山」を定義する。
【0023】そして、でこぼこ平均間隔Sm値は、図2
に示すように、基準長さLの間にある山の間隔をSmi
としたときに、下記の式で定義される値である。
【0024】
【数1】
【0025】すなわち、でこぼこ平均間隔Sm値とは、
基準長さLの間にある山同士の間隔の平均値を示す。こ
のようにして、でこぼこの平均間隔Sm値により、凹凸
の面方向の条件が定義される。
【0026】本発明者らは、前述したRa値が0.2μ
m以上であるPETフィルムを1200メッシュのサン
ドペーパーで研磨時間を変えて研磨することにより、S
m値が474、374、213、101、56、31μ
mの各フィルムを作成し、後述のフィルムによるTNF
産生誘導試験を実施した結果、Sm値が200μm以下
となるとTNFの産生誘導が著しく高められることを見
いだした。
【0027】従って、TNFの産生誘導を高めるには、
中心線平均粗さRa値が0.2μm〜10μmであり、
また、より好ましくはでこぼこの平均間隔Sm値が20
0μm以下であることが必要である。
【0028】本発明で血液と接触させるのに用いられる材料 本発明において用い得る上記材料としては、人体に対し
て有害でないもの、例えば、血液と材料とが接触された
際に有害な金属や可塑剤などの添加物の流出が無いもの
であれば、その種類を問わず利用することができる。用
い得る材料の例としては、ガラス及びアルミナ等の無機
材料、並びに酢酸セルロース、ポリスチレン、ナイロ
ン、ポリテトラフルオルエチレン、ポリトリフルオルエ
チレン、パーフルオロエチレン−プロピレン共重合体、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化
ビニル、アクリル樹脂、エチルセルロースなどの合成及
び天然の有機高分子材料等が挙げられる。
【0029】また、材料に上記表面粗さを付与する方法
としては、研磨法が一般的であるが、他の方法によって
上記特定の表面粗さを有するように構成してもよい。例
えば、材料表面に微粒子を物理的或いは化学的に固定す
る方法や、表面が多孔質の材料を用いる方法等も利用す
ることができる。
【0030】材料表面に微粒子を固定する方法として
は、例えば0.1μm〜20μmの微粒子をコーティン
グする方法が挙げられ、それによってTNFを産生誘導
させ得る。ここで用いる微粒子は、例えばスチレン系や
アクリル系などのビニル系モノマーの単独あるいは2成
分以上の混合物を乳化重合や懸濁重合することにより調
製することができる。これらの微粒子としては、好まし
くは、例えば、ジビニルベンゼンのような2官能基以上
の多官能性モノマーとの共重合体からなるものが用いら
れる。
【0031】次に、上記微粒子コーティングする方法を
説明する。先ず、コーティングのための結合剤としての
合成高分子や天然高分子を0.1〜5重量%程度溶解さ
せた液にこれらの微粒子を懸濁させる。次に、この懸濁
液に予め成形しておいた有機もしくは無機材料からなる
ビーズ、繊維またはフィルム状の担体を浸漬し、その後
乾燥することにより、本発明のTNF産生誘導に用いら
れる材料を作製することができる。この場合のRa値の
調整は微粒子の大きさにより、またSm値の調整は懸濁
粒子の濃度によって行い得る。
【0032】また、多孔質材料の場合でも、その形状は
膜状、繊維状またはビーズ状の何れでもよく、かつ表面
のみが多孔性であってもよく、材料全体が多孔性であっ
てもよい。表面多孔質材料については、例えば、有機も
しくは無機材料からなるビーズ、繊維またはフィルム状
の担体に、コーティング液として合成高分子や天然高分
子をそれらの良溶媒中に0.1〜5重量%程度溶解させ
た液をスプレーによって霧状に吹き付けて加熱乾燥する
ことによって得られる。また、材料全体が多孔性になっ
ているものの製法としては、一般的な多孔性膜及び多孔
性ビーズなどの製法を使用することができる。例えば、
多孔性膜では、合成高分子を良溶媒に溶解させてガラス
板上に流延させてキャスティングフィルムを作製し、そ
の後、合成高分子の貧溶媒にてフィルムを洗浄し、良溶
媒を抽出することによって多孔性膜を調製することがで
きる。
【0033】多孔性材料の場合のRa値やSm値の調整
は、細孔径や細孔量を調整することによって達成され、
細孔径や細孔量は材料を溶解させる溶媒の種類や量を変
えることにより容易に調節することができる。
【0034】本発明において、血液と上記材料とを接触
させる方法については、血液と上記材料とが十分に接触
され得る限り、任意の方法を用いることができる。例え
ば、繊維状の上記材料をカラムに充填し、該カラムに血
液を循環させる方法、や粒径50μm〜5mmのビーズ
状の材料をカラムに充填し、血液を循環させる方法を用
いることができる。さらに、血液中に種々の形状の上記
材料を浮遊させることにより、血液と上記材料を接触さ
せてもよい。
【0035】上記材料と血液を接触させる際の温度は、
後述の実施例から明らかなように、接触温度が15℃〜
52℃の範囲の方が、TNFの産生誘導を高めるうえで
は好ましい。接触温度が15℃未満のときにはTNFの
産生誘導が十分でなかった。また、接触温度が52℃を
超えた場合には、血漿タンパク質の変成、著しい溶血、
白血球の崩壊が起こり、TNFの産生誘導は激減した。
【0036】本発明では、上記材料を血液とを接触させ
ることにより、上記材料と細胞との相互作用により、T
NFの産生誘導が行われる。このTNF産生細胞とは、
抹消血中の細胞に限らず、リンパ管、リンパ節または脾
臓等から得られる細胞も含まれる。血液中には、TNF
を産生するこれらの細胞が多く含まれている。血液中の
これらの細胞が、上記材料と作用し、TNFが産生誘導
されるが、直接作用せずとも、上記材料と血液中の何ら
かの因子とが作用して誘導された別の因子を介して上記
細胞により、TNFの産生が誘導されてもよい。
【0037】本発明では、上記特定の表面粗さの材料
が、血液と接触されてTNFの産生誘導が行われるた
め、癌患者等の血液からTNFを産生誘導することがで
きるため、本発明は癌などの治療に好適に用いることが
できる。また、本発明の方法によってTNFが産生誘導
された血液を癌患者に戻すことにより、癌患者内因性の
TNFを患者に与えることができるため、患者の体内に
おいて優れた抗腫瘍効果を発揮させることができる。ま
た、上記材料と接触された血液から血漿等を分離し、T
NFを産生誘導した癌患者自身の血漿などを必要に応じ
て患者に投与することもできる。
【0038】これらの治療方法をより詳しく述べる。ま
ず、癌疾患などの治療には、これらの材料を充填したカ
ラムを用いた血液の体外循環治療方法を行うことができ
る。癌患者などの血液を血液チューブなどを用いて体外
循環システムに導き、繊維状またはビーズ状にしたTN
F誘導材料を充填したカラムに導入する。カラム内で、
血液と材料が接触することにより内因性のTNFが血液
内で誘導される。高濃度の内因性TNFを含む血液を再
び癌患者などの体内に返還することで、患者体内に患者
自身由来のTNFが投与されることになる。
【0039】また、あらかじめ患者の血液からこれらの
材料でTNFを誘導して、患者自身由来のTNFを高濃
度に含有する血漿などを採取する。この血漿などを凍結
して保存しておき、必要に応じて患者に投与すること
で、有効な治療を行うことができる。例えば、腫瘍を外
科的に切除するときなどにあらかじめ凍結しておいた自
己のTNF誘導血漿を全身もしくは腫瘍局所に投与する
ことにより、腫瘍の増大、転移を阻止することができ
る。
【0040】また、上記材料を用いて患者血液から簡便
にTNFを誘導することができ、その誘導の大きさの程
度を測定することにより、患者のTNF産生能力を見る
ことができる。つまり、患者自身のもつTNF産生能力
を簡便に調べることができる。これは、患者の病態を反
映する有効な免疫学的パラメーターとなり得る。
【0041】一方、従来の方法によって血液中のTNF
濃度を測定する場合、標準品として遺伝子組み換え型T
NFが用いられているが、天然型TNFを高濃度に含む
血漿、天然型TNF及び患者自身由来のTNFなどは、
非常に信頼性の高い標準品となる。ポリスチレン修飾体
を用いた血液からのTNF産生誘導方法により産生され
たTNFは、非常に信頼性の高い標準品となることがで
き、かつ簡便に提供される。
【0042】
【作用】本発明では、中心線平均粗さRa値が0.2μ
m〜10μmである凹凸を表面に有する材料が血液と接
触されるため、上記材料の上記表面形状により血液中の
TNFを産生する細胞と該材料との相互作用が促進され
ることにより、あるいは上記材料と何らかの因子とが相
互作用し、それによって誘導された別の因子により、T
NFの産生が効率よく誘導され得る。また、中心線平均
粗さRa値が0.2〜10μmであり、かつ上記でこぼ
こ平均間隔Sm値が200μm以下の凹凸を表面に有す
る材料を用いた場合、より一層効率よくTNFの産生が
誘導される。
【0043】本発明によれば、天然にヒト体内などで産
生されたTNFを、血液中に本来存在している状態で高
濃度に含有する血液や血液成分を得ることが可能とな
る。この方法を用いることにより、癌疾患などの患者か
ら患者自身由来のTNFを高濃度に含む血液や血液成分
を得ることができ、これらは各種疾患の治療や病態把握
などに有効に用いることができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を挙げるこ
とにより、本発明を詳細に説明する。まず、下記の実施
例1〜13及び比較例1〜13に用いた試料の作製方法
及び試験方法を説明する。
【0045】(1)研磨フィルムの作製方法(実施例1
〜6、比較例1〜6) TNF産生誘導材料としてのフィルムを用意し、該フィ
ルムの表面をメチルアルコールで洗浄した後、ストルア
ス社(デンマーク)製、自動研磨機(商品名;プラノボ
ールペデマックス)に、220、500、1200、2
400、及び4000メッシュのサンドペーパーを取り
付けたものを用い、表面の両側に表面粗さを持つ研磨フ
ィルムを作製した。
【0046】(2)フィルムによるTNF産生誘導試験
方法(実施例1〜9、比較例1〜9) フィルムを3cm×4cmの大きさに切り、これをさら
に5mm×5mmの大きさの細片にした。これらの細片
を注射用生理食塩水(大塚製薬社製)で洗浄後、同じく
注射用生理食塩水で洗浄した2m1用チューブ(eppend
orf 社) にすべて充填した。
【0047】フィルムを充填したチューブにヘパリン採
血した健常人新鮮血2.0mlを加えて回転円盤に取り
付けて、37℃にて2時間、回転数26rpmで転倒混
和した。しかる後、血液を回収し、後述の方法で血漿中
のTNFの濃度を測定した。
【0048】(3)ビーズによるTNF産生誘導実験
(実施例10〜13及び比較例10〜13) ビーズを注射用生理食塩水(大塚製薬社製)で洗浄後、
同じく注射用生理食塩水で洗浄した2m1用チューブ
(eppendorf 社) に規定数を充填した。
【0049】各ビーズを充填したチューブにヘパリン採
血した健常人新鮮血1.6m1を加えて回転円盤に取り
付けて、37℃にて2時間、回転数26rpmで転倒混
和した。しかる後、血液を回収し、後述の方法で血漿中
のTNFの濃度を測定した。
【0050】(4)表面粗さの測定方法 各実施例及び比較例において記載されている中心線平均
粗さRa値及びでこぼこ平均間隔Sm値は、表面粗さ測
定装置(小坂研究所製、商品名;サーフコーダSE−3
0D)により測定、または走査型レーザー顕微鏡(レー
ザーテック社性、商品名;1ML21W)により観察し
た表面画像を画像解析システム(三谷商事社製、商品
名;SUPER ASPECT)にて処理して測定し
た。
【0051】(5)血漿中TNF濃度測定方法 TNF産生誘導試験後の血液を遠心分離して血漿を採取
し、血漿中のTNFの濃度をTNFモノクローナル抗体
を用いて、免疫酵素抗体法(R&D System社製、商品
名; Quantikine TNF-α)にて測定した。この測定方法
の検出限界濃度は7pg/mlであった。この測定方法
の検出限界濃度は、血漿をそのまま測定した場合には
7.5pg/ml、血漿を希釈液にして4倍希釈して測
定した場合には30pg/mlであった。
【0052】また、採血直後の血液を遠心分離して血漿
を採取して、血漿中のTNFの濃度を同様にして測定し
た。採血直後の血液の血漿中TNF濃度は何れも検出限
界以下であった。
【0053】実施例1〜3及び比較例1〜3 PETフィルム(ユニチカ社製、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、商品名:エンブレットS−75)を用
い、上述した研磨フィルムの作製方法に従って、5段階
に研磨されたフィルムを作製した。そして、未研磨のフ
ィルム及び5段階に研磨されたフィルムのそれぞれにつ
いて、Ra値及びSm値を求めた後、上述したフィルム
によるTNF産生誘導試験を行った。結果を下記の表1
に示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1から明らかなように、Ra値が0.6
lμm以上の実施例1〜3では、TNFの産生誘導が急
激に増加した。なお、Sm値については、比較例1の未
研磨フィルムでは475μmであったのに対して、それ
以外のフィルムで30〜130μmの範囲であった。
【0056】実施例4〜6及び比較例4〜6 PETフィルムをCAフィルム(アートプラス社製、酢
酸セルロースフィルム、商品名;アセチフィルムVR−
R)に代え、さらに、メチルアルコールで洗浄する代わ
りにメチルアルコールでソックスレー抽出(24時間)
を行って可塑剤を抽出し、フィルムを取り出した後、1
5時間風乾後、さらに80℃で5時間乾燥させたこと以
外は、実施例1〜3及び比較例1〜3と同様にして未研
磨及び研磨フィルムを作製し、TNF産生誘導試験を行
った。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2から明らかなように、実施例4〜6、
すなわち1200メッシュ以下のサンドペーパーで研磨
した研磨フィルム(Ra値=0.58μm以上)におい
てTNFの産生誘導は急激に増加した。なお、Sm値に
ついては、未研磨フィルム(比較例3)が250μmで
あったのに対して、研磨フィルムは30〜130μmの
範囲であった。
【0059】実施例7〜9及び比較例7〜9 1200メッシュのサンドペーパーを用いて研磨したこ
と、及び研磨時間を変化させたこと以外は実施例1〜3
と同様にして、表面粗さRa値が0.6μm以上、Sm
値が30〜370μmの範囲にある5種類の研磨フィル
ムを作製した(表3参照)。
【0060】上記5種類の研磨フィルムと未研磨のPE
Tフィルム(比較例7)とを用意し、実施例1と同様に
してTNFの産生誘導試験を行った。結果を表3に併せ
て示す。
【0061】
【表3】
【0062】表3から明らかなように、Sm値が200
μmを超えている比較例7〜9に比べて、Sm値が20
0μm以下である実施例7〜9では、TNFの産生誘導
が著しく大きいことがわかる。すなわち、同程度のRa
値を持っていても、Sm値が200μm以下でないと産
生誘導の効果が小さいことがわかる。
【0063】実施例10 酢酸セルロースペレット(アートプラス社製、可塑剤と
してアセチルクエン酸トリエチル30重量%含有)を射
出成形し、直径2.5mmの球状ビーズを作製した。こ
のビーズ50gをメタノール300mlにより、50℃
で24時間ソックスレー抽出し、可塑剤を抽出した。し
かる後、可塑剤が抽出されたビーズをステンレス製バッ
トに取り出し、15時間風乾した後、さらに80℃で5
時間乾燥させた。
【0064】ポットミル(東洋エンジニアリング社製、
商品名;5l−セラミックポットミルBP−5)に、上
記ビーズ200ml及び同容量の研磨材;WHITE
ABRAX(WA)#34(日本研磨材工業社製)を投
入し、さらにセラミックポットミル用ボール(東洋エン
ジニアリング社製、商品名;BB−13)数個を投入
し、ボール研磨機(日陶科学社製ポットミル、商品名;
AN−3S)により5時間研磨した。このようにして、
Ra値1.36μm及びSm値97.2μmのビーズを
得た。
【0065】得られたビーズをメタノールで3回洗浄し
て、注射用生理食塩水(大塚製薬社製)で5回洗浄し
た。その後、同じく注射用生理食塩水で洗浄した2ml
用チューブ(eppendorf 社)に充填した。充填量はビー
ズ70個とした。比較例10とともに上記ビーズによる
TNF産生誘導実験を行った。結果を下記の表4に示
す。
【0066】比較例10 実施例10と同様にして、但し、研磨をしていないRa
値0.186μm、Sm値298.7μm のビーズを
作製した。実施例10と同様に、洗浄し、次に2m1用
チューブに上記ビーズ70個を充填し、上記ビーズによ
るTNF産生誘導試験を行った。結果を、下記の表4に
示す。
【0067】
【表4】
【0068】実施例11 ナイロン66ペレット(宇部興産社製、商品名;ウベ6
6 2020B)を射出成形し、直径2.5mmの球状
ビーズを作製した。ポットミル(東洋エンジニアリング
社製、商品名;5l−セラミックポットミルBP−5)
に、上記ビーズ200ml及び同容量の研磨材;WHI
TE ABRAX(WA)#34(日本研磨材工業社
製)を投入し、さらにセラミックポットミル用ボール
(東洋エンジニアリング社製、商品名;BB−13)数
個を投入し、ボール研磨機(日陶科学社製ポットミル、
商品名;AN−3S)により5時間研磨した。
【0069】上記のようにして、Ra値9.1μm及び
Sm値123.5μmのビーズを得た。このビーズをメ
タノールで3回洗浄して、注射用生理食塩水(大塚製薬
社製)で5回洗浄した。その後、同じく注射用生理食塩
水で洗浄した2ml用チューブ(eppendorf 社)に充填
した。充填量はビーズ70個とした。比較例11ととも
に上記のビーズによるTNF産生誘導実験を行った。結
果を下記の表5に示す。
【0070】比較例11 実施例11と同様にして、但し、研磨をしていない、R
a値0.210μm、Sm値294.4μm のビーズ
を作製した。実施例11と同様に、上記ビーズを洗浄し
て、70個を2ml用チューブに充填した。
【0071】
【表5】
【0072】実施例12及び比較例12 比較例10で得たCAビーズ(未研磨ビーズ)を、懸濁
重合により作製したスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体(共重合比は1:1)微粒子(積水化学工業社製、粒
径3μm)2重量%を懸濁した酢酸セルロース(ダイセ
ル化学工業社製、商品名;リンター)の1重量%の塩化
メチル−エタノール(重量比で9:1)溶液に浸漬した
後、風乾し、それによって微粒子コーティングビーズ
(実施例12)を作製した。
【0073】ビーズ表面上に、上記微粒子が酢酸セルロ
ースによってコーティングされていることを電子顕微鏡
により確認した。上記のようにして得た微粒子コーティ
ングビーズ(実施例12)及び未コーティングビーズ
(比較例12)各70個を用い、前述したビーズによる
TNF産生誘導試験を行った。結果を表6に示す。
【0074】
【表6】
【0075】表6から明らかなように、微粒子コーティ
ングビーズ(実施例12)では、Ra値が2.46μ
m、Sm値が62.5μmであるためか、未コーティン
グビーズ(比較例12)に比べて、TNFの産生誘導量
は23倍であった。
【0076】実施例13及び比較例13 TNFの産生誘導試験に用いる多孔性の担体として、ナ
イロン66ペレット(宇部興産社製)を射出成形し、粒
径2.5mmのビーズを調製した。上記ビーズ4.6k
gをとり、コーティング液として、酢酸セルロース樹脂
(ダイセル化学工業社製)5重量%の塩化メチレン/メ
タノール(重量比9:1)溶液を用い、フローコーター
(フロイント産業社製、商品名;FL0−5)を用いス
プレーし、酢酸セルロース樹脂でコーティングされたビ
ーズを作製した。このコーティングされたビーズを走査
型電子顕微鏡により写真撮影し、観察した結果、厚み2
00μmのコーティング層を有する表面多孔性のビーズ
が得られていることが確認された。
【0077】なお、コーティング条件は下記の通りであ
る。 スプレー空気圧 :3.5kg/cm2 スプレー液温度 :室度 スプレー液流速 :100ml/分 スプレー温度 :60℃ スプレーノズル口径:1.2mm 上記のようにして得たコーティングビーズ(実施例1
3)及び未コーティングビーズ(比較例13)各70個
を用い、前述したビーズによるTNF産生誘導試験を行
った。結果を表7に示す。
【0078】
【表7】
【0079】表7から明らかなように、コーティングビ
ーズ(実施例12)ではRa値が1.18μm、Sm値
が5.8μmであり、未コーティングビーズ(比較例1
2)に比べて、TNFの産生誘導量は35倍であった。
【0080】実施例14,15,16 ポリスチレン多孔性粒子ダイヤイオンHP−50(三菱
化成社製)、ポリアクリルエステル多孔性粒子ダイヤイ
オンHP−1MG(三菱化成社製)、ポリアクリルエス
テル多孔性粒子アンバーライトXAD−7(オルガノ社
製)を、それぞれ、蒸留水にて3回洗浄し、一晩室温に
て静置した。しかる後、蒸留水にて3回洗浄をし、メタ
ノールにて洗浄後、メタノールに懸濁して室温にて6時
間静置した。これらを蒸留水、注射用生理食塩水で洗浄
し、注射用生理食塩水中に懸濁して超音波洗浄を行い、
吸引ポンプを用いて脱気した。このように洗浄した各粒
子を滅菌及び洗浄を行ったポリプロピレン製チューブ
(エッペンドルフセイフロックチューブ2.0ml用:
ダイヤトロン社製)にかさ体積で500μl充填した。
このチューブに健常人からヘパリン採血した血液1.6
mlを添加し、37℃にて2時間、ゆるやかに転倒攪拌
した。血液を取り出し、血漿を分離して前述のTNF濃
度測定方法にて血漿中TNF濃度を測定した。結果を表
8に示す。
【0081】
【表8】
【0082】表8から明らかなように、表面粗さRaが
0.2μm〜10μmの範囲であるHP−50、HP−
1MG、XAD−7では著しいTNFの産生誘導が認め
られた。
【0083】実施例17 実施例14と同様に十分に洗浄したポリスチレン多孔性
粒子ダイヤイオンHP−50(三菱化成社製)を、滅菌
及び洗浄を行ったポリプロピレン製チューブ(エッペン
ドルフセイフロックチューブ2.0ml用:ダイヤトロ
ン社製)にかさ体積で500μl充填した。このチュー
ブに健常人からヘパリン採血した血液1.6mlを添加
し、15℃にて2時間、ゆるやかに転倒攪拌した。血液
を取り出し、血漿を分離して前述のTNF濃度測定方法
にて血漿中TNF濃度を測定した。結果を表9に示す。
【0084】実施例18 実施例14と同様に十分に洗浄したポリスチレン多孔性
粒子ダイヤイオンHP−50(三菱化成社製)を、滅菌
及び洗浄を行ったポリプロピレン製チューブ(エッペン
ドルフセイフロックチューブ2.0ml用:ダイヤトロ
ン社製)にかさ体積で500μl充填した。このチュー
ブに健常人からヘパリン採血した血液1.6mlを添加
し、25℃にて2時間、ゆるやかに転倒攪拌した。血液
を取り出し、血漿を分離して前述のTNF濃度測定方法
にて血漿中TNF濃度を測定した。結果を表9に示す。
【0085】実施例19 実施例14と同様に十分に洗浄したポリスチレン多孔性
粒子ダイヤイオンHP−50(三菱化成社製)を、滅菌
及び洗浄を行ったポリプロピレン製チューブ(エッペン
ドルフセイフロックチューブ2.0ml用:ダイヤトロ
ン社製)にかさ体積で500μl充填した。このチュー
ブに健常人からヘパリン採血した血液1.6mlを添加
し、42℃にて2時間、ゆるやかに転倒攪拌した。血液
を取り出し、血漿を分離して前述のTNF濃度測定方法
にて血漿中TNF濃度を測定した。結果を表9に示す。
【0086】実施例20 実施例14と同様に十分に洗浄したポリスチレン多孔性
粒子ダイヤイオンHP−50(三菱化成社製)を、滅菌
及び洗浄を行ったポリプロピレン製チューブ(エッペン
ドルフセイフロックチューブ2.0ml用:ダイヤトロ
ン社製)にかさ体積で500μl充填した。このチュー
ブに健常人からヘパリン採血した血液1.6mlを添加
し、47℃にて2時間、ゆるやかに転倒攪拌した。血液
を取り出し、血漿を分離して前述のTNF濃度測定方法
にて血漿中TNF濃度を測定した。結果を表9に示す。
【0087】実施例21 実施例14と同様に十分に洗浄したポリスチレン多孔性
粒子ダイヤイオンHP−50(三菱化成社製)を、滅菌
及び洗浄を行ったポリプロピレン製チューブ(エッペン
ドルフセイフロックチューブ2.0ml用:ダイヤトロ
ン社製)にかさ体積で500μl充填した。このチュー
ブに健常人からヘパリン採血した血液1.6mlを添加
し、52℃にて2時間、ゆるやかに転倒攪拌した。血液
を取り出し、血漿を分離して前述のTNF濃度測定方法
にて血漿中TNF濃度を測定した。結果を表9に示す。
【0088】比較例14 実施例14と同様に十分に洗浄したポリスチレン多孔性
粒子ダイヤイオンHP−50(三菱化成社製)を、滅菌
及び洗浄を行ったポリプロピレン製チューブ(エッペン
ドルフセイフロックチューブ2.0ml用:ダイヤトロ
ン社製)にかさ体積で500μl充填した。このチュー
ブに健常人からヘパリン採血した血液1.6mlを添加
し、10℃にて2時間、ゆるやかに転倒攪拌した。血液
を取り出し、血漿を分離して前述のTNF濃度測定方法
にて血漿中TNF濃度を測定した。結果を表9に示す。
【0089】比較例15 実施例14と同様に十分に洗浄したポリスチレン多孔性
粒子ダイヤイオンHP−50(三菱化成社製)を、滅菌
及び洗浄を行ったポリプロピレン製チューブ(エッペン
ドルフセイフロックチューブ2.0ml用:ダイヤトロ
ン社製)にかさ体積で500μl充填した。このチュー
ブに健常人からヘパリン採血した血液1.6mlを添加
し、60℃にて2時間、ゆるやかに転倒攪拌した。血液
を取り出し、血漿を分離して前述のTNF濃度測定方法
にて血漿中TNF濃度を測定した。結果を表9に示す。
【0090】
【表9】
【0091】表9から明らかなように、表面粗さRaが
0.2μm〜10μmの範囲であるHP−50では、1
5℃〜52℃の範囲の温度では著しいTNF産生誘導が
見られるが、温度が15℃未満や52℃より高温度にな
ると、産生誘導がほとんど認められなくなった。また、
52℃よた高温度では著しい溶血や白血球の崩壊などが
見られた。
【0092】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、上記特
定の表面形状を有する材料と血液とが接触されるため、
腫瘍壊死因子(TNF:Tumor Necrosis Factor)の産生
が効果的に誘導される。従って、天然型のTNFや癌患
者由来の内因性TNFを簡便に得ることができ、癌など
の疾患の治療や病態の把握のための免疫学的診断などに
新しい方法を提供することが可能となる。
【0093】また、本発明では、上記のような表面形状
を有する材料を用いれば良いだけであり、従来の生理活
性物質固定化材料のように、固定化された生理活性物質
等の脱離が発生しないため、安全性の点においても優れ
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】でこぼこ平均間隔Sm値を求めるための山の定
義方法を説明するため図。
【図2】でこぼこ平均間隔Sm値を求めるための方法を
説明するための図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 和俊 滋賀県大津市南郷2丁目46−3 (56)参考文献 特開 昭61−113465(JP,A) 特開 昭57−14357(JP,A) 特開 平2−46858(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/36 500

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 15〜52℃の温度で体外にて血液と接
    触されることにより腫瘍壊死因子を産生誘導するための
    材料であって、中心線平均粗さRa値が0.2μm〜1
    0μmであり、かつ凹凸平均間隔Sm値が5μm〜20
    0μmである凹凸を表面に有することを特徴とする腫瘍
    壊死因子産生誘導材料
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