JP3311822B2 - 中空導光板本体及びそれを用いた中空導光板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、中空導光板本体及びそ
れを用いた中空導光板に関する。さらに詳しくは、各種
面照明装置のバックライト用導光板、ことに液晶を用い
たディスプレイ装置に好適なサイドライト方式の中空導
光板本体及び中空導光板に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶を用いたディスプレイ装置は、低電
力、薄型などに定評があるため、従来の陰極線管に替わ
るものとして実用化されて来ており、ことに大型の画面
表示装置として注目されている。このような液晶ディス
プレイ装置では、液晶自体は発光しないため、液晶を背
面から照明して可視化させるバックライト用導光板が必
要となる。上記導光板には、例えば透光性平板（アクリ
ル板）の側面から光を入射させ、これを大きな平板面か
ら出光させるいわゆるエッジライティングの技術を利用
したものが汎用されており、これらは概ね中実体のもの
で構成されている。

【０００３】ところで、液晶ディスプレイ装置は大型化
に向かう傾向にあり、これに伴って導光板も大型のもの
が要求されるが、大型化に伴い重量が増加するという問
題があるが、これに対しては、導光板を中空体に構成す
ることにより軽量化が図られている。この一例として、
透光性平板を中空構造体に構成して中空導光板基体と
し、この基体の２つの大きな面のうちの一つに光反射層
を構成し、他面を出光面としたものが挙げられる。

【０００４】しかしながら、このような中空導光板で
は、中空導光板基体の出光面側は外面及び内面がいずれ
も平坦面であって、側端面から導入される光を、光反射
層と出光面側内面の平坦面との間での反射及び出光面側
での屈折を繰返して、該基体内に導き、出光させるもの
であるが、導光される光が光源に近いところで基体を透
過して出光してしまい導光方向への拡散減衰が生じ、高
輝度な出光が望めなく、また輝度ムラも生じる。

【０００５】一方、高輝度な面光源素子としては、例え
ばサイドライト方式の中実導光板に、一面が平滑な面で
他面がプリズム群からなる透光性シートを併用し、この
透光性シートの平滑面が上記中実導光板の光出射面に対
向するよう配置させたものが知られている（特開平２−
８４６１８号公報参照）。しかしながら、上記透光性シ
ートは導光板の構成要素ではなく、また導光板の光出射
面と平行に配されて該光出射面からの出射方向を法線方
向に変換させるために用いられており、結局、この面光
源素子は特定方向のみの視角範囲が高輝度となるもので
ある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の解決し
ようとする課題は、高輝度かつ高均斉度の出光が可能
で、軽量な中空導光板本体及びそれを用いた中空導光板
を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かくして本願『請求項
１』にかかる発明によれば、『光を反射する反射面を有
する平坦な光反射層(2a)と、光反射層(2a)の前記反射面
側に空気層(4)を介して配置され、前記反射面と対向す
る面には一端から他端にかけて前記一端と平行な凹凸が
交互に連続するように形成された連続プリズム凹凸面が
設けられている光出射層(2b)と、空気層(4)の端部にて
光出射層(2b)の前記一端に沿って配置された線状の線状
の光源(2c)と、光源(2c)からの光を空気層(4)へ向けて
反射するランプリフレクタ(2d)とを備える、中空導光板
本体(2)であって、光出射層(2b)は、可撓性を有する透
光性シート(22)からなり、前記一端がランプリフレクタ
(2d)に接触し、前記他端が光反射層(2a)に接触し、か
つ、前記一端から前記他端にかけて形成された前記連続
プリズム凹凸面が凹状弯曲されている事を特徴とする、
中空導光板本体(2)』が提供される。

【０００８】本発明の中空導光板本体(2)において、光
出射層(2b)は可撓性の透光性シート(22)から構成され
る。この透光性シート(22)は、一面(2b1)が平滑面で、
他面は多数のプリズム体(P)が各主軸を平行に並列配置
された連続プリズム凹凸面に構成されたものが用いられ
る。上記透光性シート(22)は、平滑面が導光板本体の外
面側に、連続プリズム凹凸面が導光板本体の内側で光反
射層(2a)と向き合うように用いられる。さらに上記透光
性シート(22)は、一軸方向に滑らかに弯曲して用いられ
るが、このとき連続プリズム凹凸面の各プリズム体(P)
の主軸は弯曲した軸に対して略直角方向に設定される。
これによって、線状に配される光源の軸と各プリズムの
主軸とが平行又は略捩れ配置となり、光源からの直射光
や光反射層(2a)からの反射光を効率よく反射・屈折・透
過できることとなる。上記透光性シート(22)としては、
強度、透光性及び屈折性等の点からポリカーボネート製
のものが好ましく、アクリル共重合樹脂製のものも好適
に用いられるが別段これらに限定されない。

【０００９】上記光出射層(2b)は、光源(2c)の近傍すな
わち中空導光板本体(2)の一端部では光反射層(2a)と対
向し、光源(2c)から遠位になるに連れて光反射層(2a)に
向かって滑らかに弯曲され、最終的に光反射層(2a)に接
するように配置される。

【００１０】本発明の中空導光板本体(2)においては、
光出射層(2b)を構成する上記透光性シート(22)の弯曲部
の曲率及び各プリズム体(P)の大きさを調節することに
より、光出射量及び光反射量を定量的に制御することが
できる。

【００１１】上記光出射層(2b)を構成する透光性シート
(22)は、本願『請求項２』に示すように、該シートの連
続プリズム凹凸面の凸部を構成する各プリズム体の頂角
(θ)は、70〜110°の範囲に調節されたものが高輝度、
高均斉度の点から好ましい。

【００１２】本発明の中空導光板本体(2)において、線
状に配置される光源(2c)とは、線状光源を用いてもよく
また点状光源を線状に多数配列したものであってもよ
い。本発明においては線状光源を用いることが好まし
く、蛍光灯や冷陰極放電管等が挙げられ、後者は単位長
さ当たりの光量が大であること、殆ど発熱しない等の点
からさらに好ましいものである。

【００１３】光反射層(2a)は、当該分野で公知の光反射
シートをそのまま用いることができるが、アルミ箔、銀
鏡反応等による薄膜等の自由電子を有する反射層は微弱
ながらも発熱を伴うので好ましくなく、白色のプラスチ
ックシート(21)が好適に用いられる。光反射層(2a)のよ
り好ましい態様としては、本願『請求項３』に示すよう
に、上記光反射シート(21)と多数の光散乱性ドット(23)
による光散乱層(2A)とから構成し、光散乱性ドット(23)
を光出射層(2b)の曲率変化に基づいて密度を調節して光
反射シートに付したものを挙げることができ、これは高
輝度及び高均斉度の点から非常に好ましいものである。
上記光散乱層は、透明樹脂に光散乱性の無機物を混入し
て光散乱性インクを調製し、これを光出射層の曲率等に
応じてドットグラデーションパターン印刷したものが好
適であるが、これに限定されず、上記ドットグラデーシ
ョンパターンにおける各光散乱性ドットそのものを、光
反射性シートを直接粗面処理して構成することも挙げら
れる。

【００１４】本願発明はまた、『請求項４』に示すよう
に、上記本願発明の中空導光板本体(2)の２つを、各光
源が両端に位置するように左右対称的に配し、各中空導
光板本体(2)の光出射層(2b)と光反射層(2a)との接続線
が互いに接触すると共に、各光反射層が同一平面を形成
するように連結してなる中空導光板(1)を提供すること
もできる。

【００１５】上記中空導光板(1)において、本願『請求
項５』に示すように、光拡散層(3)が、光出射層(2b)の
外側でかつ光反射層(2a)と略平行に配置されていてもよ
い。上記光拡散層としては当該分野で公知のものがその
まま用いられる。

【００１６】

【作用】本願『請求項１』にかかる発明によれば、光源
(2c)から照射された光の大部分は、空気層(4)を介して
配された光反射層(2a)と光出射層(2b)の連続プリズム凹
凸面との間を反射を繰返して導光体内を光源から遠位方
向に導かれる。ここで、光源(2c)から水平方向に進む直
進光も上記反射光も、空気層(4)中を通過するので、こ
の通過中で光は吸収されなく光量の減衰は生じない。ま
た、光出射層(2b)は光源(2c)から遠位になるほど滑らか
に弯曲して空気層(4)を遮るので、直進光は必ずいずれ
かのプリズム面に入射して屈折・出光されると共に、反
射光もこの弯曲に伴って出光が遠位部まで引き伸ばされ
ることとなり、光源近傍での出光が抑制される一方、光
源から遠位部での出光量が増えることとなる。

【００１７】本願『請求項２』にかかる発明によれば、
連続プリズム凹凸面の凸部を構成する各プリズム体(P)
の頂角(θ)が70〜110°に設定されているので、遠位部
へ導かれる光量が増えると共にさらに均斉化される。

【００１８】本願『請求項３』にかかる発明によれば、
光反射層(2a)が、光反射シート(21)及び該光反射シート
に付される多数の光散乱性ドット(23)による光散乱層(2
A)とからなり、光散乱性ドット(23)の分布が光出射層(2
b)の曲率変化に基づいて粗密が調節されているので、光
出射層(2b)からの出光がより高度に均斉化されることと
なる。

【００１９】本願『請求項４』にかかる発明によれば、
請求項１〜３のいずれかの中空導光板本体(2)の２つ
が、同一平面上の光反射層(2a)上に左右対称的に配され
ているので、各光源近傍部での出光が押さえられると共
に、中央部では各中空導光板本体(2)からの出光量が適
度に混合されるので、全体的に高均斉化されかつ高輝度
になる。

【００２０】本願『請求項５』にかかる発明によれば、
光出射層(2b)の外側に光拡散層(3)が光反射層(2a)と略
平行に配置されているので、高輝度かつ高均斉度を保持
したまま出光面でのギラツキが防止されることとなる。

【００２１】

【実施例】以下、本発明を図示実施例に従って詳述する
が、これによって本発明が限定されるものではない。 実施例１ 図１は本発明の中空導光板の一例の断面構成説明図であ
る。同図において、中空導光板(1)は、左右対称的に配
置された２つの中空導光板本体(2)(2)と、これらの中空
導光板本体の上部に設けられた光拡散板(3)とから主と
して構成されている。

【００２２】各中空導光板本体(2)は、平板状の光反射
層(2a)と、一方向に滑らかに弯曲して降下する光出射層
(2b)と、線状光源(2c)と、ランプリフレクタ(2d)とから
主として構成されている。

【００２３】光反射層(2a)は、白色のプラスチックシー
ト(21)で構成されており、この例では２つの中空導光板
本体(2)に共通な一枚もので構成されている。

【００２４】各光出射層(2b)は、ポリカーボネート製の
透光性シートで、外面は平滑面(2b1)であり、内面は多
数のプリズム体(P)が各主軸を上記弯曲方向と略直角で
かつ並列配置された連続プリズム凹凸面(2b2)からなっ
ている。上記連続プリズム凹凸面における各プリズム体
(P)は、図２に示すように各頂角(θ)が、70〜110°の範
囲となるように設定されている。上記光出射層(2b)と光
反射層(2a)とは、空気層(4)を介して配されており、中
空導光板本体において一端部では互いに略平行に対向し
ており、他端部では光出射層(2b)は光反射層(2a)に接触
している。そして略平行に対向配置された側の空気層
(4)の端部に線状光源(2c)が配置されている。

【００２５】線状光源(2c)は、２本の冷陰極放電管(2c
1)(2c2)が用いられており、図面に略垂直方向に配され
ると共にこれら２つの放電管は図面の上下方向に重なる
ように配されている。

【００２６】ランプリフレクタ(2d)は、内部に線状光源
(2c1)(2c2)を包み、上記光反射層(2a)の端部から光出射
層(2b)の端部に亙って設けられている。

【００２７】中空導光板(1)は、各中空導光板本体(2)
(2)が、共通の光反射層(2a)上での各光出射層(2b)(2b)
の接触端が互いに接触して境界線(B)を形成しうるよう
に配置されている。

【００２８】光拡散板(3)は、当該分野で通常用いられ
ているものと同様のものであり、２つの中空導光板本体
(2)(2)の上部でかつ光反射層(2a)と略平行に配されてい
る。

【００２９】上記のように構成された中空導光板(1)
は、例えば図３の平面構成説明図に示されるように１対
の対向長辺側に線状光源(2c)が配置されたものであり、
大きさは図１及び図３におけるＸ＝230mm，Ｙ＝145mm，
t＝10mmに設定されているが、これに限定されない。

【００３０】以上の構成において、プリズム体の頂角
(θ)をそれぞれ110°，90°，70°に変更する以外は同
様の構成である３種の中空導光板(1A)(1B)(1C)を作製
し、各中空導光板において図３における中線Ｕ線上の輝
度(cd/m²)を、一方の線状光源から５mm間隔で測定した
ところ、図４の表に示す結果を得た。なお、比較例とし
て、平面図における出光面の面積が実施例と同一な中実
の導光板で、i)一様な厚さ（t＝10mm）のもの〔比較例
〕、ii)光出射面が円筒面の一部をなす凹面でこれと
対向面が平坦面であるもの（最高厚みt＝10mm）〔比較
例〕、iii)横断面がクサビ型（最高厚みt＝10mm）の
ものを左右対称形に対向連結したもの〔比較例〕をそ
れぞれ用意し、各光出射面での輝度を実施例と同様に測
定した。結果を図４の表に併せて記す。

【００３１】以上の結果から、本発明の中空導光板(1A)
(1B)(1C)ではいずれも、比較例，及びに比して、
質量が非常に小さい上、平均輝度が大きく、かつ光出射
面全体での均斉化が優れていることが分かる。

【００３２】実施例２ 実施例１の中空導光板(1)において、光反射層(2a)の光
出射層との対向面に光散乱層(2A)を設ける以外は、これ
と同様な構成であり、従って同一部材については同一番
号で示しこれらについての説明は省略する。光散乱層(2
A)は、透明樹脂に光散乱性の無機物粉体（例えばＳi
Ｏ₂）を混入したインクを用いて光散乱性ドット(23)を
印刷すると共に、このときに光出射層(2b)の曲率変化に
対応してドット分布の粗密を調節したいわゆるドットグ
ラデーション印刷層にて構成されている。上記ドットグ
ラデーション印刷においては、ドット分布が光源側が粗
になり光源から遠位になるにつれてすなわち曲率に従っ
て密になるようになされる。

【００３３】以上のような光散乱層を設けることによ
り、全出射面における輝度がより一層高度に均一化され
た中空導光板を得ることができた。

【００３４】

【発明の効果】本発明によれば、大きな光射出面を有
し、輝度が大きくかつ均一な輝度で出光するサイドライ
ト方式の導光板を提供できる。さらに、大型に構成され
ても中空構造によって非常に軽量な導光板とすることが
できる。またさらに、ドットグラデーション印刷による
光散乱層を設けたものでは、より高度に輝度均斉化を達
成でき、より大型で品質の高いサイドライト方式の導光
板を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の中空導光板の断面横成説明図

【図２】図１の要部拡大概略図

【図３】図１の平面構成説明図

【図４】本発明の中空導光板の光出射面における輝度分
布を、比較例と共に示した図表

【符号の説明】

（１）（１Ａ）（１Ｂ）（１Ｃ）…中空道光板
（２）…中空導光板本体 （３）…光拡散板 （４）…空気層 （２１）…白色プラスチックシート （２２）…透光
性シート （２Ａ）…光散乱層 （Ｐ）…プリズ
ム体 （２ａ）…光反射層 （２ｂ）…光出
射層 （２ｃ）…線状光源 （２ｄ）…ラン
プリフレクタ （２ｂ１）…平滑面 （２ｂ２）…連
続プリズム凹凸面 （２ｃ１）（２ｃ２）…冷陰極放電管

フロントページの続き (72)発明者 田口 裕純 愛媛県新居浜市新田町３丁目７番17号 日本ケミテック株式会社 内 (56)参考文献 特開 昭64−11203（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−158376（ＪＰ，Ａ) 米国特許5190370（ＵＳ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G02B 6/00 331 F21V 8/00 601 G02F 1/13357

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】光を反射する反射面を有する平坦な光反射
   層と、前記光反射層の前記反射面側に空気層を介して配
   置され、前記反射面と対向する面には一端から他端にか
   けて前記一端と平行な凹凸が交互に連続するように形成
   された連続プリズム凹凸面が設けられている光出射層
   と、前記空気層の端部にて前記光出射層の前記一端に沿
   って配置された線状の光源と、前記光源からの光を前記
   空気層へ向けて反射するランプリフレクタとを備える、
   中空導光板本体であって、 前記光出射層は、可撓性を有する透光性シートからな
   り、前記一端が前記ランプリフレクタに接触し、前記他
   端が前記光反射層に接触し、かつ、前記一端から前記他
   端にかけて形成された前記連続プリズム凹凸面が凹状弯
   曲されている事を特徴とする、 中空導光板本体。
2. 【請求項２】連続プリズム凹凸面の凸部を構成する各プ
   リズム体の頂角が70〜110°である請求項１記載の中空
   導光板本体。
3. 【請求項３】光反射層が、光反射シート及び該光反射シ
   ートに付される多数の光散乱性ドットによる光散乱層と
   からなり、光散乱性ドットが光出射層の曲率変化に基づ
   いて分布密度が調節されてなる請求項１又は２記載の中
   空導光板本体。
4. 【請求項４】請求項１〜３のいずれかに記載の中空導光
   板本体の２つを、各光源が両端に位置するように左右対
   称的に配し、各中空導光板本体の光出射層と光反射層と
   の接続線が互いに接触すると共に、各光反射層が同一平
   面を形成するように連結してなる中空導光板。
5. 【請求項５】光出射層の外側に光拡散層が光反射層と略
   平行に配置されてなる請求項４に記載の中空導光板。