JP3311120B2 - 超電導コイル装置用ボビン - Google Patents

超電導コイル装置用ボビン

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JP3311120B2
JP3311120B2 JP29198693A JP29198693A JP3311120B2 JP 3311120 B2 JP3311120 B2 JP 3311120B2 JP 29198693 A JP29198693 A JP 29198693A JP 29198693 A JP29198693 A JP 29198693A JP 3311120 B2 JP3311120 B2 JP 3311120B2
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  • Insulating Of Coils (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導コイル装置用ボ
ビンに関する。
【0002】
【従来の技術】超電導コイル装置を構造的に分類すると
幾つかのタイプに大別される。ボビンを備えたものも1
つのタイプとして分類できる。このタイプの超電導コイ
ル装置は、大電流用のものが多く、ボビンの外周に超電
導導体を直に巻き付けて超電導コイルを形成したもの
や、ボビンの外周に超電導導体を巻き付けて最内層のコ
イル要素を形成するとともに最内層のコイル要素の外側
にスペーサを介して順次コイル要素を形成し、これらで
複数層構成の超電導コイルを形成したものなどが知られ
ている。そして、交流用やパルス用のものでは、ボビン
に渦電流を発生させないために、エポキシ樹脂をマトリ
ックスとしたガラス繊維強化プラスチック(以下、GF
RPと略称する)製のボビンを用いたものもある。
【0003】このような超電導コイル装置は、超電導コ
イルを形成している超電導導体を臨界温度以下に保つた
めに、ボビン共々、液体ヘリウムで代表される極低温液
体中に浸漬した状態で使用される。
【0004】しかしながら、GFRP製のボビンを備え
た従来の超電導コイル装置にあっては次のような問題が
あった。すなわち、図8(a) に示すように、GFRP製
のボビン1に超電導導体2を巻き付けて超電導コイル3
を形成してなる超電導コイル装置4を極低温液体中に浸
漬すると、ボビン1を構成しているガラス繊維およびエ
ポキシ樹脂が正の温度膨張係数を有しているため、ボビ
ン1は図中太矢印AおよびBで示すように軸方向に熱収
縮するとともに半径方向にも熱収縮する。一方、超電導
コイル3を構成している超電導導体2も正の温度膨張係
数を有する金属材で形成されている。このため、超電導
コイル3も図中太矢印CおよびDで示すように、軸方向
に熱収縮するとともに半径方向にも熱収縮する。
【0005】このように、超電導コイル装置4を極低温
液体中に単に浸漬した状態では、ボビン1および超電導
コイル3が同じ形態に熱収縮するので、両者間の結合状
態に緩みが生じるようなことはない。
【0006】しかし、極低温に冷却している状態で、超
電導コイル3に電流を流すと、この電流による電磁力に
よって、超電導コイル3は図8(b) 中に太矢印C′およ
びEで示すように、軸方向の収縮量が一層増し、半径方
向には逆に膨張する。このため、ボビン1に対する超電
導コイル3の固定状態に緩みが生じる。緩みが生じる
と、通電している間に超電導コイル3の全体あるいは一
部が動き易くなる。僅かでも動くと、それに伴なって摩
擦熱が発生する。液体ヘリウムで代表される極低温液体
は比熱が極めて小さいので、摩擦熱を極低温液体で速や
かに吸収することが困難となり、この結果として超電導
導体2が常電導転移(クエンチ)してしまう問題があっ
た。
【0007】そこで、このような不具合を解消するため
に、最近では、高強度・高弾性率(強度が2GPa以上
で、弾性率が100GPa以上)のポリエチレン繊維
(以下、DFと略称する。)を用いた繊維強化プラスチ
ックでボビンを形成することが検討されている。
【0008】DFは、通常のガラス繊維やセラミック繊
維とは異なり、低温になるにしたがって繊維方向に伸長
するという特異な性質をもっている。すなわち、このD
Fよりなる繊維強化プラスチック成形体(以下、DFR
P成形体と略称する。)は、図4に示すように、繊維方
向には負の温度膨張係数を示し、また半径方向には正の
温度膨張係数を示す。
【0009】このDFのロービングをエポキシ樹脂をマ
トリックスとして巻回し、図5(a)に示すように、DF
で強化された筒状のDFRP成形体5を形成した場合、
このDFRP成形体5の低温下における半径方向および
軸方向の寸法変化は、図5(b) に示すロービングの巻角
度θによって左右される。
【0010】図6にはその関係が示されている。図中X
aがDFRP成形体の軸方向の熱膨張係数を示し、Xr
がDFRP成形体の半径方向の熱膨張係数を示してい
る。また、この図6にはGFRP成形体の軸方向の熱膨
張係数がYaで示され、同じくGFRP成形体の半径方
向の熱膨張係数がYrで示されている。
【0011】この図6から判るように、DFRP成形体
の場合、使用するマトリックスが正の温度膨張係数を有
していても、DFの特性により、巻角度θが±40度か
ら±80度の範囲では、DFRP成形体の半径方向の熱
膨張係数が大きな負の値となり、逆に軸方向の温度膨張
係数が大きな正の値となる。したがって、巻角度θが上
記範囲に設定されたDFRP成形体では、低温になるに
したがって半径方向には大きく伸長(膨張)し、軸方向
には大きく収縮することになる。
【0012】これに対して、GFRP成形体の場合に
は、GF自身がどの方向に対しても正の温度膨張係数を
有しているため、巻角度θを如何なる値に設定しても、
GFRP成形体の半径方向および軸方向の温度膨張係数
は正となり、DFRP成形体のような特性は得られな
い。
【0013】したがって、寸法変化の点のみから評価す
ると、DFRPで形成されたボビンは、超電導コイルの
クエンチ防止に理想的な特性を発揮することになる。図
7はその理由を説明するための図である。すなわち、図
7(a) に示すように、巻角度θが前記範囲に設定された
DFRP製のボビン11に超電導導体12を巻き付けて
超電導コイル13を形成してなる超電導コイル装置14
を極低温液体中に浸漬すると、ボビン11は図中太矢印
JおよびKで示すように軸方向に大きく熱収縮するとと
もに半径方向に大きく熱膨張する。一方、超電導コイル
本体13は、図中太矢印CおよびDで示すように、軸方
向に熱収縮するとともに半径方向に熱収縮する。
【0014】このように、ボビン11と超電導コイル1
3とは半径方向には逆関係に膨張、収縮し、しかもボビ
ン11の軸方向の収縮量は超電導コイル13のそれを上
回る。このため、上記のように極低温液体中に浸漬する
と、ボビン11と超電導コイル13との結合強さは、製
作時に較べて大幅に強化された状態となる。
【0015】上記のように極低温に冷却している状態
で、超電導コイル13に電流を流すと、この電流による
電磁力によって、超電導コイル13は図7(b) に太矢印
C′およびEで示すように、軸方向の収縮量が一層増
し、半径方向には逆に膨張する。すなわち、ボビン11
と超電導コイル13との結合強さを弱める方向に超電導
コイル13が収縮、膨張する。
【0016】しかし、極低温液体中に浸漬された段階で
ボビン11と超電導コイル13との結合強さが大幅に強
化されているので、超電導コイル13が収縮、膨張して
も、ボビン11と超電導コイル13との結合強さは、製
作時と同程度の状態に戻るだけである。したがって、超
電導コイル13に電流を流しても、ボビン11と超電導
コイル13との結合状態に緩みが生じるようなことはな
く、結局、緩みが原因で起こるクエンチの発生を抑える
ことが可能となる。
【0017】このようにDFRPは、ボビン形成材とし
て有利な特性を備えているが、反面、加工性に問題を有
している。超電導コイル装置の中には、冷却等の観点か
ら、ボビンの外周面部に螺旋溝を形成し、この螺旋溝内
に一部または全部が収容されるように超電導導体を巻き
付けて超電導コイル本体を形成することを望まれるもの
がある。このような構成を採用するものでは、ボビンの
外周面部に螺旋溝を形成したり、さらには超電導コイル
を冷却する極低温液体を案内するための冷媒案内溝を形
成したりする必要がある。しかし、前述の如くDFRP
は加工性が悪いため、通常の工作機械を使って精度良
く、かつシャープな溝を形成することが極めて困難で、
切削端に剥離の残存した溝や、切削面が毛羽だった溝し
か形成できない。このため、このような溝に超電導体を
巻込んでも、DFRPが本来持っている負膨張特性を有
効に利用することができず、耐クエンチ性の向上につな
がらない問題があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、GFRP
単独で形成されたボビンあるいはDFRP単独で形成さ
れたボビンを備えた従来の超電導コイル装置にあって
は、クエンチ発生を本質的に回避できない問題があっ
た。そこで本発明は、上述した不具合を解消できる超電
導コイル装置用ボビンを提供することを目的としてい
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の代表的な例では、ボビン本体と、このボビ
ン本体の外周面部に形成された螺旋溝とを備え、上記螺
旋溝に一部または全部が収容されるように超電導導体を
巻き付けた状態で極低温下において使用される超電導コ
イル装置用ボビンにおいて、前記ボビン本体が高強度・
高弾性率ポリエチレン繊維(DF)のロービングを軸心
線に対して±40度から±80度の範囲に配向させたD
FRP層と、このDFRP層の外側に形成されたGFR
P層とからなる二層構造に形成されており、前記螺旋溝
がGFRP層に形成されていることを特徴としている。
【0020】なお、ここで言うDFとは、強度が2GP
a以上、弾性率が100GPa以上のポリエチレン繊維
で、たとえばポリエチレン用の溶剤を含むポリエチレン
フィラメントをポリエチレンの膨潤点と融点との間の温
度で延伸処理して高強度化されたものなどであるが、そ
の他の方法で高強度化されたものでもよい。高強度化処
理されたポリエチレン繊維の詳しい製法については、た
とえば特開昭55−137506号公報、特開昭56−
15408号公報等に記載されている。
【0021】また、GFRP層を形成しているガラス繊
維(GF)は、製作面からDFRP層を構成しているD
Fと同様に、ロービングを軸心線に対して±40度から
±80度の範囲に配向させることが好ましいが、必ずし
も上記配向である必要はない。また、GFRP層の厚み
は、DFRP層の歪特性、すなわち極低温下において周
方向に膨張し、軸方向に収縮する特性を阻害しない厚み
であればよい。
【0022】
【作用】外層を形成しているGFRP層は、一般に加工
性に勝れている。したがって、通常の工作機械を使って
精度良く、かつシャープな溝をGFRP層に形成するこ
とができる。一方、内層を形成しているDFRP層は、
DFを前述した角度範囲に配向させているので、極低温
下において周方向に膨張し、軸方向に収縮する特性を備
えている。
【0023】したがって、GFRP層の厚みがDFRP
層の歪特性を阻害しない値に設定されているものとする
と、ボビンにDFRP層の特性とGFRP層の特性との
両方を発揮させることができる。すなわち、ボビンに勝
れた溝加工性と、クエンチ防止に有効な熱収縮特性との
両方を発揮させることが可能となる。
【0024】なお、内層であるDFRP層の厚み(x)
に対して外層であるGFRP層の厚み(y)が大きい
と、DFRP層が本来持つ負膨張に由来する歪特性がG
FRP層によって消され、GFRP層に近い特性とな
る。したがって、DFRP層に負膨張に由来する歪特性
を発揮させるには、ボビンに設けられる溝の最大深さを
dとしたとき、 (y−d)/x< 0.7 …(1) の関係を満たすことが望ましい。
【0025】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を説明す
る。図1には本発明の一実施例に係るボビンを組み込ん
だ超電導コイル装置が示されている。
【0026】この超電導コイル装置は、大きく分けて、
筒状のボビン21と、このボビン21に超電導導体22
を巻き付けて形成された超電導コイル23とで構成され
ている。
【0027】ボビン21は、図2(a)に示すように、D
FRP層で形成された内層24と、この内層24の外側
にGFRP層で形成された外層25との二層構造体によ
って形成されている。
【0028】外層25の両端部以外の部分は、小径に削
り出し加工されており、これによって外層25の両端部
にフランジ26a,26bが形成されている。また、外
層25のフランジ26a,26b間に位置する部分の外
面には、螺旋溝27が形成されている。外層25のフラ
ンジ26a,26b間に位置する部分の外面には、螺旋
溝27より深く、かつ内層24に達しない深さで、軸方
向に延びる冷媒案内溝28が周方向に複数形成されてお
り、さらにフランジ26a,26bには各冷媒案溝28
の端部に通じる孔29が形成されている。
【0029】ここで、内層24を形成しているDFRP
層の厚みをxとし、フランジ26a,26b間において
外層25を形成しているGFRP層の厚みをyとし、外
周面からの冷媒案内溝28の深さをdとしたとき、前記
(1) 式 の関係を満たすようにx,y,dが設定されて
いる。
【0030】超電導導体22は、一部が螺旋溝27に嵌
入する形態で一定のテンションでソレノイド状に巻き付
けられている。そして、超電導導体22の両端は、それ
ぞれ図1に示すように、銅製の端子板30a,30bに
半田付けされている。
【0031】端子板30a,30bは、図3に端子板3
0aだけを取出して示すようにボビン21に取付けられ
ている。すなわち、フランジ26aに切欠部31を設
け、この切欠部31を通して一部がフランジ26bより
内側に位置するように端子板30aをボビン21の外面
に当てがい、この状態で端子板30aをボルト32とナ
ット33とを使ってボビン21に固定したものとなって
いる。そして、端子板30aのフランジ26bより内側
に位置している部分34の外面に超電導導体22の線端
が半田層35によって固定されている。なお、この例の
場合、端子板30a,30bと内層24との間に外層2
5を所定の厚み存在させ、かつ超電導導体22の線端を
他の部分より外方へ突出させないために、フランジ26
a,26b間に位置する外層25の表面と端子板30
a,30bの表面とが面一となるように端子板30a,
30bがボビン21に対して取付けられている。
【0032】ここで、具体的な実施例について説明す
る。まず、フイラメントとして35g/dの強度を持つ
DF(ダイニーマ、SK−60、東洋紡績株式会社製)
を用意するとともにマトリックスとしてエポキシ樹脂を
用意し、図5(b) に示すように、DFにエポキシ樹脂を
含浸させながら巻角度θが±65度となるようにマンド
レルに巻き付けて内層24を形成し、その上にGFにエ
ポキシ樹脂を含浸させながら巻角度θが±65度となる
ように巻き付けて外層25を形成し、DFRP層からな
る内層24とGFRP層からなる外層25との二層構造
の円筒状体を得た。これを100℃で2時間保持した後
に、130℃で3時間保持して硬化させ、繊維体積含有
量65%の図5(a) に示すような円筒状の成形体を得
た。
【0033】次に、この成形体の両端部以外の外層25
に機械加工を施し、その一部を取り除き、これによって
成形体の両端部にフランジ26a,26bを形成した。
次に、各フランジ26a,26bに端子板30a,30
bを取付けるための切欠部31をそれぞれ形成するとと
もに、フランジ26a,26b間に位置する外層25の
外面に深さ3mm,開き角90度,断面がV字状の螺旋
溝27を8mmピッチに形成し、続いて螺旋溝27より
深い、深さ4mm,幅4mmで、かつ軸方向に延びる冷
媒案内溝28を周方向に10度ピッチで36本形成し、
さらにフランジ26a,26bに各冷媒案内溝28の端
部に一対一の関係に通じる孔29を設けた。
【0034】このようにして、内径80mm,外径(フ
ランジ間に位置する部分)95mm,内層24を形成し
ているDFRP層の厚み10.5mm,外層25を形成
しているGFRP層の厚み4.5mm,軸方向長さ(フ
ランジ内面間)150mmで、(1) 式を満たすボビン2
1を得た。
【0035】次に、このボビン21に端子板30a,3
0bを取付けた後、螺旋溝27内に収容されるように、
線径1.8mmの超電導導体22をテンション50kg
で螺旋状に巻き付け、この超電導導体22の両線端を図
3に示すように、対応する端子板30a,30bに半田
付けして超電導コイル装置を完成させた。
【0036】一方、参考例1として、同一寸法、同一形
状のGFRP製のボビンを用意し、これに同じく線径
1.8mmの超電導導体をテンション50kgで巻き付
けて超電導コイル装置を完成させた。
【0037】また、参考例2として、同一寸法、同一形
状のDFRP製のボビンを用意し、これに同じく線径
1.8mmの超電導導体をテンション50kgで巻き付
けて超電導コイル装置を完成させた。
【0038】さらに、参考例3として、内層を構成して
いるDFRP層の厚みが5mm,外層を構成しているG
FRP層の厚みが10mm,冷媒案内溝の深さが4mm
の二層構造のボビン、つまり同じ二層構造でも(1) 式を
満たさないボビンを用意し、これに同じく線径1.8m
mの超電導導体をテンション50kgで巻き付けて超電
導コイル装置を完成させた。
【0039】実施例および参考例1,3のボビンにおい
ては、溝加工が容易で、精度の高い溝を設けることがで
きた。しかし、参考例2のボビンでは溝加工が困難で、
切削面での毛羽立ちが激しく、超電導導体を巻き回す作
業も困難であった。また、この参考例2のボビンにあっ
ては、耐熱性に劣るDFRP層に端子板が直接接触して
いるため、超電導導体の線端を端子板に半田付けすると
き、端子板を通して伝わった熱でDFRP層の端子板に
接触している部分が溶融する現象が認められた。実施例
および参考例1,3では耐熱性に富んだGFRP層に端
子板が接触しているため、溶融現象は認められなかっ
た。
【0040】このようにして得られた4つの超電導コイ
ル装置を液体ヘリウム中に浸漬し、それぞれクエンチ電
流を測定したところ、下表に示す結果が得られた。すな
わち、GFRP製のボビンを用いた参考例1では、トレ
ーニング15回を経た後においても1150Aでクエン
チした。DFRP製のボビンを用いた参考例2ではトレ
ーニング9回を経た後、1400Aでクエンチした。ま
た、同じ二層構造でも(1) 式を満たさないボビンを用い
た参考例3ではトレーニング回数15回を経た後でも1
200Aでクエンチした。しかし、(1) 式を満たす二層
構造のボビンを用いた本実施例では3つの参考例に較べ
て少ないトレーニング回数(7回)で、最も大きい値で
ある1538Aまで通電することができた。
【0041】
【表1】
【0042】また、冷却時にボビンに発生する歪みを測
定したところ、参考例1のGFRP製のボビンでは半径
方向に0.31%,軸方向に0.38%収縮し、同じ二
層構造でも(1) 式を満たさない参考例3のボビンでは半
径方向に0.2%,軸方向に0.25%収縮したのに対
し、二層構造で(1) 式を満たす本実施例のボビンでは半
径方向に0.61%膨脹し、軸方向には0.55%収縮
していることが確認された。この値は、参考例2のDF
RP製のボビンで得られた半径方向に0.68%膨脹,
軸方向に0.59%収縮の値より少し下がる程度で、D
FRPの負膨脹特性を損なうことのないボビンが形成さ
れていることが判った。
【0043】このように、(y−d)/xが前記関係に
設定され、表層にGFRP層を持つDFRP製のボビン
を用いると、加工上の問題を解消することができ、かつ
極低温下において、このボビンを軸方向には収縮させ、
半径方向には膨張させることができ、この収縮、膨張に
よって、ボビンと超電導コイル本体との結合状態に緩み
が生じるのを防止できる。この結果、緩みが原因で起こ
るクエンチの発生を少なくすることができる。
【0044】なお、この実施例のように、ボビン21の
外周面に断面がV字状の螺旋溝27を設け、この螺旋溝
27内に収容されるように超電導導体22をボビン21
に巻き付ける構成であると、巻き付け時に超電導導体2
2を自動的にV字の中央に位置決めでき、巻き付け作業
を容易化できるとともに、通電時においても位置ずれを
生じ難くすることができる。さらに、螺旋溝27のピッ
チを超電導導体22の径より大きく設定することによっ
て、超電導導体22同志の電気絶縁を確実に確保でき
る。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ボ
ビンの加工性を向上させることができると同時に、極低
温下において起こるボビンの熱変形を有効に利用して超
電導導体を強固に固定でき、もってクエンチの発生を少
なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るボビンを組み込んだ超
電導コイル装置の外観図
【図2】(a) は同装置を図1におけるE−E線に沿って
切断し矢印方向に見た断面図で、(b) は同装置を(a) に
おけるF−F線に沿って切断し矢印方向に見た断面図
【図3】同装置を図1におけるG−G線に沿って切断し
矢印方向に見た局部的断面図
【図4】高強度化処理されたポリエチレン繊維および各
種繊維よりなる繊維強化プラスチック成形体の熱収縮量
(ただし、金属はそれ自体の特性)を示す図
【図5】(a) は繊維強化プラスチック成形体の一例を示
す斜視図で、(b) は同成形体を製作するときに巻角度を
説明するための図
【図6】DFRP成形体およびGFRP成形体の巻角度
と熱膨張係数との関係を示す図
【図7】DFRP製のボビンを用いた超電導コイル装置
の作用を説明するための図
【図8】GFRP製のボビンを用いた超電導コイル装置
の作用を説明するための図
【符号の説明】
21…ボビン 22…超電導導体 23…超電導コイル 24…DFRP層
で形成された内層 25…GFRP層で形成された外層 26a,26b…
フランジ 27…螺旋溝 28…冷媒案内溝 29…孔 30a,30b…
端子板 31…切欠部 32…ボルト 33…ナット 35…半田層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山中 淳彦 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−267734(JP,A) 特開 昭60−173808(JP,A) 特開 昭63−292604(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 6/00 - 6/06 H01F 27/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ボビン本体と、このボビン本体の外周面部
    に形成された螺旋溝とを備え、上記螺旋溝に一部または
    全部が収容されるように超電導導体を巻き付けた状態で
    極低温下において使用される超電導コイル装置用ボビン
    において、前記ボビン本体は高強度・高弾性率ポリエチ
    レン繊維のロービングを軸心線に対して±40度から±
    80度の範囲に配向させたポリエチレン繊維強化プラス
    チック層と、このポリエチレン繊維強化プラスチック層
    の外側に形成されたガラス繊維強化プラスチック層とか
    らなる二層構造に形成されており、前記螺旋溝は前記ガ
    ラス繊維強化プラスチック層に形成されていることを特
    徴とする超電導コイル装置用ボビン。
  2. 【請求項2】前記ボビン本体には、前記超電導導体を冷
    却する極低温液体を案内するための冷媒案内溝が前記螺
    旋溝と交差するように形成されていることを特徴とする
    請求項1に記載の超電導コイル装置用ボビン。
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