JP3310469B2 - セラミック電子回路基板の焼成装置および焼成方法 - Google Patents

セラミック電子回路基板の焼成装置および焼成方法

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JP3310469B2 JP18382294A JP18382294A JP3310469B2 JP 3310469 B2 JP3310469 B2 JP 3310469B2 JP 18382294 A JP18382294 A JP 18382294A JP 18382294 A JP18382294 A JP 18382294A JP 3310469 B2 JP3310469 B2 JP 3310469B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミック電子回路基
板の焼成装置およびその装置を用いた焼成方法に係り、
特に高寸法精度、高信頼性を有する多層セラミック電子
回路基板の生産性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、従来の技術によるセラミック焼結
体は、その作製過程において大きな寸法変化を伴って製
造される。なかでも、焼成工程での寸法変化は大きく、
原料の物理的、化学的性質や、焼成プロセスの条件バラ
ツキなどの影響を大きく受ける。近年の電子産業部門に
おける積層セラミックコンデンサ、圧電素子等の電子デ
バイスの小型・高性能化や、半導体素子を実装するため
のセラミック多層電子回路配線基板の高密度化の課題を
達成するには、この寸法変化は、できるだけ小さく抑え
ることが望まれている。特に、多数の半導体チップを搭
載し、前記チップと前記基板との間に多くの接続を必要
とするセラミック多層電子回路配線基板(以下、セラミ
ック電子回路基板という)においては、このバラツキの
低減は非常に重要な技術となってきている。
【0003】一般に、セラミック電子回路基板は、次の
ようにして製造される。まず、グリ−ンシ−ト積層法に
より、セラミック絶縁層の表面および内部のいずれかま
たは両方に導体層が形成されたグリ−ン積層体(以下、
積層体基板という)が作製される。次に、この積層体か
らバインダを除去する工程、焼結工程、および冷却工程
を経て、セラミック焼結基板が製造されるが、これらの
各工程は、一般に、加圧力なしで行われる。
【0004】しかし、以上の各工程には、前記の通り焼
成収縮による寸法変化のバラツキが大きくなり、セラミ
ック焼結基板の寸法精度を安定化することは非常に難し
い。特に内部に複雑なパタ−ンの導体層を有するセラミ
ック電子回路基の場合には、その寸法精度を安定化する
ことは、さらに一層困難な問題となる。
【0005】これらの困難な問題に対処するため、本発
明者らは、韓国特許公開92−6255号公報、すなわ
ち特願平3−239327号公報記載の技術において、
前記基板にバインダ除去工程、焼結工程、および冷却工
程を通して一定の圧力を加えながら焼成する方法、また
はバインダ除去工程を無加圧で行った後、一定の加圧力
のもとで焼成する方法を提案した。この方法によって、
セラミック電子回路基板の加圧方向に対し直角方向の面
内寸法変化を抑制し、寸法変化率を容易に0±0.5%
以内に安定化させることができた。
【0006】また、セラミック電子回路基板の生産効率
を上げるために、積層体基板を多数枚積み重ねて、多数
のセラミック電子回路基板を同時に焼成する方法は、圧
力を加えない無加圧焼成の量産化プロセスにおいて一般
的によく行なわれる方法である。例えば、特開平3−2
75572号公報記載の技術では、積層体基板の間にガ
ス抜き用のダミ−層を設けた多段積み焼成法が提案され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】発明者らはその後、上
記、従来の高寸法精度のセラミック電子回路基板の加圧
焼成法における技術的諸課題の検討を重ねてきた。一般
に行われる多段積み焼成法を適用し、複数枚の積層体基
板を重ねて、その最上面と最下面の間を加圧しながら焼
成する際には、焼成時の各積層体基板同士の固着を防止
するため、基板隔離用の中間板を前記各積層体基板間に
それぞれ介在させるのが一般的である。前記中間板とし
て、単独の板を用いても差し支えないし、複数の異なる
種類の板から構成しても差し支えない。この中間板は、
加圧焼成時の前記基板の寸法精度バラツキの低減のため
には、特に寸法変化のないことが望ましい。
【0008】また、上記の如く、中間板と積層体基板と
を交互に積み重ね(以下、積重体という)加圧焼成する
際、寸法精度バラツキを小さく抑えるためには、加圧力
が前記各基板内で一様に保たれることが必要である。図
16を参照して詳しく説明する。図16は、従来におけ
るセラミック電子回路基板焼成方法の略示説明図であ
る。図16は積重体の加圧方向に対する直角方向への位
置ずれを示している。
【0009】図16において、11は積層体基板、2
0、21は中間板、31、32は上下の台座である。設
置時にわずかでも基板面方向での位置ずれがあると、基
板11の上下で圧力のかかる部分に違いが生じ、前記基
板11の収縮とともにこの位置ずれが大きくなり、上下
の台座31、32から加圧方向、すなわち基板面に対し
直角方向に離れた中間部分に置かれた基板11および中
間板20、21は、位置ずれを起こし、加圧力1のた
め、前記基板11は斜めに変形する。
【0010】上記の現象は、加圧力1が大きくなるとと
もに顕著になってくる。結果として、台座31、32の
直下部分と、台座31、32からはみ出た部分との間で
は前記基板11内の加圧力に相違が生じる。前記基板1
1が斜めに変形することにより、後工程における前記基
板のハンドリング性が悪化することになり好ましくな
い。さらに、その位置ずれによる基板面内の圧力分布の
ため、中間部の前記積層体基板は、上部あるいは下部の
セラミックの積層体基板に比べて寸法精度を高精度に保
つことが不可能になる。
【0011】一般に、積層体基板には基板内厚さのバラ
ツキが存在する。積層体基板は、通常、セラミック絶縁
層に導体層を形成し、これらを積層、熱圧着して製造さ
れる。したがって、絶縁層・導体層の厚さバラツキ、圧
着装置の上下加圧板の平行度が不充分等の原因により、
積層体基板はその厚さに面内バラツキをもって製造され
る。
【0012】前記セラミック成分の量としてみれば、厚
い部分でも薄い部分でもほぼ同一の量であり、積層体基
板面内でのバラツキはない。また中間板においても、そ
の製造過程で厚さバラツキを非常に小さくすることは可
能であるが、完全にゼロにすることは難しい。積層体基
板を多数枚積み重ねて焼成する場合には、これらの厚さ
バラツキが積算されるため、加える圧力が前記基板内で
大きくばらつき、分布むらが生じ、前記基板内の寸法精
度がばらつくという問題がある。
【0013】また、積層体基板に含まれる有機バインダ
は、焼成後も残存することによって、焼結基板の強度の
低下や、ボイド量の増加などを招く恐れがあるため、脱
バインダ工程での完全な除去が必要である。しかし多数
枚積み重ねて焼成を行う際には、中間部に位置する積層
体基板においては、脱バインダ用ガスおよび分解ガスの
通気性が極めて劣るということになる。
【0014】通常、圧力を加えながら焼成する際には、
セラミックの積層体基板に含まれる有機バインダの除
去、すなわち脱バインダを効果的に行うために、寸法変
化の少ない多孔質板状の構造部材を積層体基板の上下面
に配置してこれを介して圧力を加えて焼成する。この場
合には、積層体基板の上下面からの分解用ガス供給およ
び有機バインダの加熱分解・燃焼成分の排出が可能とな
る。
【0015】しかしながら、複数枚の積層体基板を積み
重ねて焼成する場合には、焼成装置内に存在する積層体
基板の数が多く、存在する有機バインダの量も多量にな
り、脱バインダに要する分解用ガスの供給量、加熱分解
・燃焼成分の排出量も多量となる。したがって、上下面
に単に多孔質板状構造部材を配置しただけでは、バイン
ダの分解が不充分となり、脱バインダ工程に長時間を要
するいう問題があった。
【0016】さらに、当然のように、多数枚の積層体基
板および中間板を積み重ねることにより、上部に存在す
る中間板および積層体基板等の重量が下部の積層体基板
におよび、前記積層体基板への加圧力が上部と下部とで
は異なることになる。その結果、この積層体基板間の寸
法収縮が上下で異なるようになり、寸法精度を上下間で
安定させることが困難となる。
【0017】この状況は、圧力を加えて焼成する場合で
も、無加圧で焼成する場合でも変わらない。特に無加圧
で焼成する場合には、上下基板間での前記中間板および
積層体基板等の重量による上下の加圧力の違いが大きな
問題となる。圧力を加えて焼成を行う場合には、下部基
板に加わる実際の加圧力が、上部に配置された積層体基
板および中間板の重量による加圧力分大きくなるだけ
で、大きな圧力を加えて焼成を行っている分にはそれほ
ど大きな問題ではない。しかしながら、より精密に焼成
収縮率を制御しようとしたり、加える圧力が非常に小さ
い場合には、この上下基板間での重量による加圧力の違
いが問題になってくる。
【0018】本発明は、かかる従来技術の問題点を解決
するためになされたもので、多数枚のセラミックの積層
体基板を積み重ねて加圧焼成を行う際、各積層体基板間
の加圧方向に対して直角方向の位置ずれ、加圧方向の変
形および加圧力の前記基板内バラツキを防止し、上下間
の加圧力の違いを補正し、脱バインダを効果的に進行さ
せて、寸法精度バラツキを低減させ、生産性を向上させ
た高信頼性のセラミック電子回路基板の焼成装置および
焼成方法を提供することをその目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、セラミック電子回路基板の焼成装置に係る本発明の
構成は、セラミック絶縁層、導体層および有機バインダ
とからなる複数の多層セラミック積層体基板と寸法変化
少ない中間板とを交互に積み重ね、前記基板の表面に
圧力を加え、前記被加圧面の焼成収縮を抑制して焼成さ
せるように構成した焼成装置において、前記中間板が加
圧方向に対して直角方向への位置ずれを起さず、かつ相
互に平行を保持して移動できるように構成した構造部材
を具備していることを特徴とするものである。
【0020】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
装置において、前記各中間板を複数の板材からなる多層
構造としたことを特徴とする。前項記載のいずれかのセ
ラミック電子回路基板の焼成装置において、前記構造部
材は、前記各中間板および前記各積層体基板のいずれか
もしくは両方の端部側面の一部に接触し、その面をそろ
えるための整合部材と、前記整合部材を前記各中間板お
よび前記各積層体基板に対し直角に支持する支持部材と
からなることを特徴とする。
【0021】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
装置において、前記整合部材が、前記各中間板もしくは
前記各積層体基板の相対する角部のいずれかに接触する
少なくとも一対のL型部材であることを特徴とする。前
項記載のセラミック電子回路基板の焼成装置において、
前記整合部材が、前記各中間板もしくは前記各積層体基
板の相対する辺のいずれかに接触する少なくとも二対の
板状または棒状部材のいずれかであることを特徴とす
る。
【0022】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成装置において、前記構造部材は、前記中間板
にガイド穴を設け、前記ガイド穴に挿設した少なくも一
対以上の相対するガイドピンと、前記ガイドピンを前記
中間板および前記積層体基板に直角な方向に支持する支
持部材とからなることを特徴とする。前項記載のセラミ
ック電子回路基板の焼成装置において、前記ガイドピン
が前記ガイド穴を貫通するように構成したことを特徴と
する。
【0023】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成装置において、前記ガイドピンが前記中間板
に支持されるように構成したことを特徴とする。前項記
載のいずれかのセラミック電子回路基板の焼成装置にお
いて、前記ガイド穴に挿設したガイドピンのうち少なく
とも1本が、前記積層体基板を貫通するように構成した
ことを特徴とする。
【0024】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成装置において、前記中間板、前記構造部材の
少なくとも一部もしくは全部が、焼成時のガス通気用経
路を備えていることを特徴とする。前項記載のセラミッ
ク電子回路基板の焼成装置において、前記中間板が前記
積層体基板との接触面を均一な多孔質材料とし、少なく
ともそれ以外の一つの面に前記ガス通気用経路を備えて
いることを特徴とする。
【0025】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成装置において、前記ガス通気用の経路を、中
間板の少なくとも一つの層に形成した溝と穴とのいずれ
かまたは両方の組合せにより構成したことを特徴とす
る。前項記載のいずれかのセラミック電子回路基板の焼
成装置において、前記ガス通気用経路に予熱ガスを通気
できるように構成したことを特徴とする。前項記載のい
ずれかのセラミック電子回路基板の焼成装置において、
前記中間板が、前記積層体基板に接触しない部分の一部
または全部にガス通気の阻害層を備えていることを特徴
とする。
【0026】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成装置において、前記多孔質材料が、アルミ
ナ、コ−ジェライト、ムライト、炭化ケイ素、窒化ケイ
素、窒化アルミニウムから選択した少なくとも一種類を
主成分とする耐熱性材料であることを特徴とする。前項
記載のいずれかのセラミック電子回路基板の焼成装置に
おいて、前記多孔質材料が、アルミナまたはムライトの
いずれかを主成分とする耐熱性繊維材料であることを特
徴とする。前項記載のいずれかのセラミック電子回路基
板の焼成装置において、前記多孔質材が、耐熱鋼、ニッ
ケル、クロム、タングステン、モリブデンから選択した
少なくとも一種類を主成分とする耐熱性焼結金属材料で
あることを特徴とする。
【0027】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成装置において、前記焼成装置の少なくとも一
部もしくは全部を、その熱伝導率が20W/m・K以上
の材料で構成することを特徴とする。前項記載のいずれ
かのセラミック電子回路基板の焼成装置において、前記
焼成装置の少なくとも一部もしくは全部を、その熱膨張
係数と前記積層体基板の熱膨張係数との差を2×10~6
/℃以下の材料で構成すること特徴とする。前項記載の
いずれかのセラミック電子回路基板の焼成装置におい
て、前記焼成装置の少なくとも一部もしくは全部を、耐
熱鋼、炭化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化
ケイ素から選ばれる少なくとも一種類からなる耐熱性材
料で構成することを特徴とする。
【0028】上記目的を達成するため、セラミック電子
回路基板の焼成装置に係る本発明の他の構成は、セラミ
ック絶縁層、導体層および有機バインダとからなる複数
の多層セラミック積層体基板と寸法変化の少ない中間板
とを交互に積み重ね、前記基板の表面に圧力を加え、前
記被加圧面の焼成収縮を抑制して焼成させるように構成
した焼成装置において、前記各中間板を、加圧方向に対
して直角方向への位置ずれを起させず、かつ相互に平行
を保持して移動できるようにする構造部材と、前記積層
体基板の表面ごとの加圧力を調整する加圧力調整手段を
設けたことを特徴とする。
【0029】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
装置において、前記構造部材は、前記中間板にガイド穴
を設け、前記ガイド穴に挿設した少なくとも一対以上の
相対するガイドピンと、前記ガイドピンを前記中間板お
よび前記積層体基板に直角な方向に支持する支持部材と
を具備し、前記加圧力調整手段は、前記ガイドピンと係
合し、かつ前記ガイド穴を有する複数の中間板の少なく
とも上下の各一層と当接する弾性部材とを具備したこと
を特徴とする。
【0030】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
装置において、前記弾性部材は、その弾性定数もしくは
その長さのいずれかまたは両方を、前記ガイドピンごと
に異なるように構成したことを特徴とする。前項記載の
いずれかのセラミック電子回路基板の焼成装置におい
て、前記挿設された各ガイドピンが、前記各ガイド穴の
内面との間で異なる摩擦力を発生させる摩擦力発生手段
を有することを特徴とする。前項記載のセラミック電子
回路基板の焼成装置において、前記摩擦力発生手段は、
前記中間板の各ガイド穴の内面粗さを異なるように構成
したことを特徴とする。
【0031】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成装置において、前記ガイドピンが独立に操作
されるシリンダを備えていることを特徴とする。前項記
載のセラミック電子回路基板の焼成装置において、前記
シリンダの駆動を油圧もしくはガス圧により行うことを
特徴とする。前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
装置において、前記焼成装置を構成する材料の少なくと
も一部もしくは全部の熱伝導率が20W/m・K以上で
あることを特徴とする。
【0032】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
装置において、前記焼成装置の少なくとも一部または全
部を構成する材料と前記積層体基板材料との熱膨張係数
差が、2×10~6/℃以下であることを特徴とする。前
項記載のセラミック電子回路基板の焼成装置において、
前記焼成装置を構成する材料が、耐熱鋼、炭化ケイ素、
アルミナ、窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素から選択
した少なくとも一種からなる耐熱性材料であることを特
徴とする。
【0033】上記目的を達成するため、セラミック電子
回路基板の焼成方法に係る本発明の構成は、セラミック
絶縁層、導体層および有機バインダとからなる複数の多
層セラミック積層体基板と寸法変化の少ない中間板とを
交互に積み重ね、前記セラミック積層体基板間を隔離
し、前記基板の表面に圧力を加え、前記被加圧面の焼成
収縮を抑制して焼成するセラミック電子回路基板の焼成
方法において、前記中間板をそれぞれ複数の板材からな
る多層構造とし、その一部に設けた偏圧防止層により、
前記積層体基板に対する加圧力の面内分布を一様にする
ことを特徴とする。
【0034】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
方法において、前記偏圧防止層を、前記中間板と前記積
層体基板との接触部分に設けることを特徴とする。前項
記載のいずれかのセラミック電子回路基板の焼成方法に
おいて、前記偏圧防止層の前記加圧力による厚さ変化量
が、前記積層体基板の初期厚さとその上下に位置させた
中間板厚さとの和の面内最大バラツキ幅より大きいこと
を特徴とする。
【0035】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成方法において、前記偏圧防止層の密度、ヤン
グ率および硬度のうち少なくとも一つが、前記積層体基
板のそれよりも小さいことを特徴とする。前項記載のい
ずれかのセラミック電子回路基板の焼成方法において、
前記偏圧防止層の気孔率が、前記積層体基板のそれより
も大きいことを特徴とする。前項記載のいずれかのセラ
ミック電子回路基板の焼成方法において、前記偏圧防止
層の熱伝導率が、20W/m・K以上であることを特徴
とする。前項記載のいずれかのセラミック電子回路基板
の焼成方法において、前記偏圧防止層と前記積層体基板
との熱膨張係数差が、2×10~6/℃以下であることを
特徴とする。
【0036】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成方法において、前記偏圧防止層を、前記積層
体基板材料の焼結温度よりも100℃以上高いセラミッ
クスと、有機バインダとを主成分とすることを特徴とす
る。前項記載のセラミック電子回路基板の焼成方法にお
いて、前記セラミックスが破砕状粒子であることを特徴
とする。前項記載のいずれかのセラミック電子回路基板
の焼成方法において、前記セラミックスが、ムライトを
主成分とすることを特徴とする。
【0037】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成方法において、前記有機バインダが、前記積
層体基板に含まれる有機バインダよりも低温で軟化する
材料であることを特徴とする。前項記載のいずれかのセ
ラミック電子回路基板の焼成方法において、前記有機バ
インダが、前記積層体基板に含まれる有機バインダより
も、ガラス転移点が低い材料であることを特徴とする。
【0038】上記目的を達成するため、セラミック電子
回路基板の焼成方法に係る本発明の他の構成は、セラミ
ック絶縁層、導体層および有機バインダとからなる複数
の多層セラミック積層体基板と寸法変化の少ない中間板
とを交互に積み重ね、前記セラミック積層体基板間を隔
離し、前記基板の表面に圧力を加え、前記被加圧面の焼
成収縮を抑制して焼成するセラミック電子回路基板の焼
成方法において、前記焼成時に、前記積層体基板に焼成
ガスを供給しつつ、そこから発生する焼成ガスを排気す
ることを特徴とする。
【0039】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
方法において、前記焼成ガスの給排気を前記中間板の少
なくとも一つに備えたガス通気用経路を介してなされる
ことを特徴とする。前項記載のセラミック電子回路基板
の焼成方法において、前記焼成ガスの給気に予熱ガスを
用いることを特徴とする。前項記載のいずれかのセラミ
ック電子回路基板の焼成方法において、前記中間板の積
層体基板との接触面の均一な多孔質材を介して前記焼成
ガスの給排気をなし、前記中間板の積層体基板との非接
触面の一部または全部のガス通気を阻害することを特徴
とする。
【0040】上記目的を達成するため、セラミック電子
回路基板の焼成方法に係る本発明の他の構成は、セラミ
ック絶縁層、導体層および有機バインダとからなる複数
の多層セラミック積層体基板と寸法変化の少ない中間板
とを交互に積み重ね、前記セラミック積層体基板間を隔
離し、前記基板の表面に圧力を加え、前記被加圧面の焼
成収縮を抑制して焼成するセラミック電子回路基板の焼
成方法において、前記中間板を前記積層体基板の加圧方
向に対して直角方向への位置ずれを防ぎ、かつ加圧方向
に相互の平行を保持しながら移動させることを特徴とす
る。
【0041】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
方法において、前記各中間板および前記各積層体基板の
いずれかもしくは両方の一部の端部側面の位置をそろえ
て保持することにより、前記中間板の位置ずれを防止
し、加圧方向への平行移動をおこなわせることを特徴と
する。前項記載のいずれかのセラミック電子回路基板の
焼成方法において、板材からなる多層構造の中間板を用
い、前記中間板に設けたガイド穴に挿設され、前記積層
体基板に直角な方向に支持されるガイドピンと、前記ガ
イドピンと係合し、ガイド穴を有する中間板の少なくと
も上下の各一層と当接する弾性部材とにより、各積層体
基板に対する加圧力を所定の大きさに調整をすることを
特徴とする。
【0042】前項記載のセラミック電子回路基板の焼成
方法において、前記弾性部材は、その弾性定数もしくは
その長さのいずれかまたは両方を、前記ガイドピンごと
に異ならしめたことを特徴とする。前項記載のいずれか
のセラミック電子回路基板の焼成方法において、前記ガ
イドピンと前記ガイド穴側面とで発生する摩擦力を、前
記各中間板ごとに異ならしめたことを特徴とする。前項
記載のセラミック電子回路基板の焼成方法において、前
記中間板のガイド穴内側面の粗さの相違により前記摩擦
力を異ならしめることを特徴とする。
【0043】前項記載のいずれかのセラミック電子回路
基板の焼成方法において、前記ガイドピンをシリンダに
より独立に操作することを特徴とする。前項記載のセラ
ミック電子回路基板の焼成方法において、前記シリンダ
の駆動を油圧もしくはガス圧により行うことを特徴とす
る。前項記載のいずれかのセラミック電子回路基板の焼
成方法において、前記加圧力を各積層体基板間で調整
し、前記各積層体基板に同一加圧力が加わるように保持
することを特徴とする。
【0044】
【作用】上記各技術的手段はつぎのとおりである。本発
明の構成によれば、中間板および積層体基板が、前記基
板の面方向に移動しないように固定し、かつ加圧方向に
互いに平行を保ちながら移動するようにしたので、積層
体基板を多数枚積み重ねて加圧焼成する際、その中間部
に配置された各積層体基板およびその間に介在させる中
間板を加圧方向に対して直角方向に位置ずれを起さず、
前記基板の斜め方向のつぶれを防ぎ、緻密に焼成させ、
強度を高め、ボイド量を低減し、セラミック電子回路基
板の焼成寸法精度を高く安定させることができる。
【0045】具体的には、第一に、中間板と積層体基板
との端部側面に接触し、前記端部側面を揃えるための構
造部材と、それを前記基板面に対し直角に支持する構造
部材とにより、互いに平行を保ちながら基板面方向の移
動を防止することができる。また、第二に、前記積層体
基板間に介在させる前記基板隔離用の中間板にガイド穴
を設け、それに挿設したガイドピンと、それを加圧方向
に対し直角に支持する構造部材を備えたので、上下の加
圧力の変更が容易、同一の加圧力下での焼成ができ、す
べての基板の焼成収縮率を高く安定させることができ
る。具体的には、前記中間板間に弾性部材、しゅう動摩
擦部材、シリンダ等を設けたので、発生する反力によ
り、積層体基板への加圧力を所定の大きさに変更し、上
下基板間の加圧力の違いを低減しつつ、前記基板面方向
の移動を防止することができる。
【0046】また、加圧力の基板内バラツキは、中間板
の一部、特に積層体基板に直接接触する部分に、偏圧防
止層を設け、焼成の初期段階で変形させることにより、
積層体基板に初期の厚さバラツキがあっても、前記基板
内の圧力分布を低減し、圧力を一様にかけた状態で焼成
でき、寸法精度の高い厚みのバラツキの小さいセラミッ
ク電子回路基板を作成することができる。さらに、前記
偏圧防止層に含まれる材料、特にセラミック材料の粒子
形状が角ばったカドをもつ破砕状の粒子としたので、加
圧方向に直角な方向への構成材料、特に、偏圧防止層の
はみ出しを防止することができる。
【0047】また、前記中間板の少なくとも一つの層
に、ガス通気用の経路を設け、強制的に通気をさせるの
で、積層体基板の上下面からの分解用ガスの供給および
有機バインダの加熱分解・燃焼成分の排出が可能とな
り、脱バインダを効果的に進行させることができる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の各実施例を図1ないし図15
を参照して説明する。 〔実施例 1〕本発明の一実施例に係るセラミック電子
回路基板の焼成装置を説明する。図1は、本発明の一実
施例に係るセラミック電子回路基板の焼成装置の略示説
明図、図2は、図1の実施例に係るセラミック電子回路
基板の焼成装置における変形例の略示断面図である。
【0049】図1において、従来技術の説明に用いた図
16と同一符号は同等部分であるが、改めて説明する。
また、積層体基板と中間板とを多数重ねたものを積重体
という。図1において、1は積層体基板に対して直角方
向の加圧力、11は積層体基板、20、21a、21c
は、各積層体基板を隔離する中間板、21bは、積層体
基板を直角に支持する構造部材をかねた中間板、31、
32は積重体を挾む上下の台座、45はガイドピン、5
1、52はガイド穴である。
【0050】セラミック電子回路基板を形成する積層体
基板11には、前記基板11の上下を隔離する中間板2
0、21が設けられている。前記基板11と前記中間板
20、21との積重体を上下の台座31、32により挾
み、加圧力1を与えて焼成する際、回路基板の強度を高
め、ボイド量を低減し緻密に焼成する必要がある。さら
に、前記積重体の中間部に配置された前記基板11の加
圧方向に対して直角方向への位置ずれを防止し、セラミ
ック焼結基板の焼成寸法精度を高く安定させなければな
らない。すなわち、前記積層体基板11および前記中間
板20、21とが、前記基板面方向に移動することをを
防止し固定しなければならない。
【0051】前記実施例の具体的構成例は、前記積層体
基板11間に介在させる基板隔離用の中間板にガイド穴
51、52を設け、それに配置したガイドピン45と、
前記ガイドピン45を加圧方向に対し、直角に支持する
構造部材を備えて構成したものである。この支持構造部
材は、中間板を利用するのが望ましいが、その一部とし
て上下の台座を用いても差し支えないし、独立に作製し
て用いても差し支えないし、またガイドピンを前記中間
板に貫通させても差し支えない。
【0052】図1は、構造部材として中間板および上下
の台座を利用したものであり、積層体基板と中間板との
位置ずれを防止するため、前記ガイドピンが中間板を貫
通し、加圧方向に対して直角に支持するように構成した
ことを示している。本実施例においては、中間板21b
の基板面方向の移動は、ガイドピン45によって規制さ
れ、結果として、前記の中間板20と21aとに挟まれ
た前記基板11も基板面方向には移動することがない。
一方、ガイドピン45は、各中間板のガイド穴52を通
して自由に加圧方向に移動できる構造となっているた
め、前記基板11は、加圧方向に、充分な収縮・膨脹が
可能である。
【0053】また、このガイドピン45は、前記各中間
板20、21a、21b、21cのがたつきを抑え、基
板面方向の傾きを防止することができ、加圧力を一様に
かけることができる。このガイドピン45は、辺部また
は角部に少なくとも一対あればよく、前記基板11と前
記中間板20,21bとをともに貫通していてもよい。
なお、このガイドピン45は、焼成する際に用いるすべ
ての中間板を貫通するだけの長さは必要であり、前記積
層体基板11が加圧方向に収縮・膨脹しても、前記台座
31、32の加圧方向の移動が防げられることなく、圧
力の伝達が効果的に行われなければならない。
【0054】また、図2は、図1の実施例において前記
ガイドピン45が中間板を貫通しない場合を示してい
る。図2に示すように、その長さは、前記基板11が、
加圧方向に収縮・膨脹しても、直上の中間板のガイド穴
52もしくは上部台座のガイド穴51に所定の長さが挿
入されている必要があるとともに、前記ガイド穴51、
52の天面に接触して圧力の伝達を防げられてはならな
い。上記構成の焼成装置を用いることにより、多数枚の
積層体基板11を積み重ね、加圧焼成したとき、中間部
分の積層体基板11が、基板面方向の位置ずれを起さ
ず、上下部分基板と同様に、寸法精度を安定させること
ができる。
【0055】〔実施例 2〕本発明の他の一実施例に係
るセラミック電子回路基板の焼成装置を説明する。本実
施例に係るセラミック電子回路基板の焼成装置は、積重
体の端部側面に接触して、前記端部側面を揃える構造部
材と、前記構造部材を前記基板面に対し直角に支持する
構造部材とにより、互いに平行を保ちながら加圧方向に
移動できるように構成したものである。積重体の端部を
揃える際には、前記積重体を構成する前記各積層体基板
と前記各中間板との端部の両方を揃えれば最も効果があ
るが、前記各中間板の端部のみを揃えても差し支えな
い。
【0056】次に、上記焼成装置の構成を具体的に説明
する。まず、積重体端部側面を揃えるための構造部材を
説明する。図3、4、5を参照して説明する。図3は、
本発明の一実施例に係るセラミック電子回路基板焼成装
置における積重体の端部側面を揃える構造部材の説明
図、図4、5は、図3の実施例に係る積重体端部の側面
を揃える構造部材の変形例である。
【0057】図3、4、5において、32は下部の台
座、41、42、43、44は、各型の積重体端部側面
を揃える構造部材である。図3には、L型構造部材4
1、図4には、板状構造部材42、図5には、棒状構造
部材43をそれぞれ示している。前記構造部材のいずれ
を用いてもよく、上下部の台座の31、32のいずれに
支持させても差し支えない。
【0058】前記L型構造部材41は、積重体の相対す
る角部に接触するように少なくとも一対配置すればよい
が、上下の台座31、32にそれぞれ一対ずつ、合わせ
て二対配置しても差し支えない。一方、板状構造部材4
2および棒状構造部材43は、前記積重体の相対する二
辺に接触するように配設するだけでは、基板面の二方向
のうち、一方向の移動を防止するのみである。したがっ
て、前記積重体の四辺すべてに配設する方がより効果的
である。図示では、下部の台座31に二対すべてを配置
している場合を示しているが、上下台座31、32に一
対ずつ配置しても差し支えなし。
【0059】さらに、図5においては、前記棒状構造部
材43の断面が角型の場合を図示するが、円形構造であ
っても差し支えない。また、前記各型の構造部材41、
42、43は、前記基板11が加圧方向に収縮・膨脹し
ても、脱バインダ、焼結、冷却の各工程を通して相対す
る上下の台座31、32の加圧方向の移動を阻害せず、
かつ加圧方向に対してある程度の高さがあることが必要
である。図3の構造部材を用いたセラミック電子回路基
板焼成装置に積層体基板11を配置した具体例を図11
(後述)に示している。
【0060】〔実施例 3〕本発明のさらに他の実施例
に係るセラミック電子回路基板の焼成方法を説明する。
図6は、本発明のさらに他の一実施例に係るセラミック
電子回路基板の焼成方法における加圧力の変化説明図、
図7は、図6の実施例に係る焼成方法における各工程の
プロセス経過時間と各層の厚さ、相対密度との関係を示
す線図である。
【0061】本実施例は、積層体基板および中間板の厚
さバラツキによる前記基板内の加圧力の分布むらを低減
させる構成となっている。本実施例は、中間板の一部に
焼成の初期段階で変形する偏圧防止層を設け、加圧力分
布むらを低減させるようにしたものである。
【0062】前記偏圧防止層は、焼成時において、積層
体基板より早く変形させる必要があり、例えば密度、ヤ
ング率および硬度のうち少なくとも一つの物性が、前記
積層体基板よりも小さくしたり、その気孔率を前記積層
体基板よりも大きくすることにより達成することができ
る。特に、前記偏圧防止層を前記積層体基板に直接接触
する部分に設けると、効果的である。
【0063】また、多数の前記積層体基板の焼成だけで
はなく、一枚のみを焼成する場合でも、前記偏圧防止層
を加圧媒体と前記積層体基板との間に設けることにより
加圧力分布むらを低減することができる。説明を簡単に
するため、一枚の積層体基板を焼成する場合を示すが、
複数の積層体基板を積み重ねた場合は、さらに厚さバラ
ツキが大きくなり、偏圧防止層の働きがより発揮され
る。
【0064】図6を参照して、偏圧防止層を説明する。
図6において、図1と同一符号は同等部分であるので、
説明を省略する。新たな符号のみを説明する。A部は積
層体基板の厚みが大きい部位、B部は積層体基板の厚み
が小さい部位、60、61は偏圧防止層、ZSAは、加熱
後における上下偏圧防止層のA部側の厚みの和、ZSB
加熱後における上下偏圧防止層60、61のB部側の厚
みの和、ZSOは焼成工程前における上下偏圧防止層6
0、61の厚みの和、ZGAは、加熱後における基板11
のA部側の厚み、ZGBは、加熱後における基板11のB
部側の厚み、ZGAOは、焼成工程前における基板11の
A部側の厚み、ZGBOは、焼成工程前における基板11
のB部側の厚み、ρSAは、加熱後における偏圧防止層の
A部側の密度、ρSBは、加熱後における偏圧防止層のB
部側の密度、ρGAは、焼成工程前における基板11のA
部側の密度、ρGBは、焼成工程前における基板11のB
部側の密度である。
【0065】図6は、中間板20、21の厚さバラツキ
ができるだけ小さくした場合を示しているが、前記中間
板がある程度の厚さにバラツキがあっても同様である。
図6(a)は、前記基板11と前記中間板20、21と
を積み重さね、その間に偏圧防止層60、61を設け、
加圧力1を加えた焼成工程前の状態を示してある。
【0066】この状態では、前記積重体の厚さが大きい
A部にのみ圧力1が加わり、前記積重体の厚さが小さい
B部には圧力1が加わらない。この状態で圧力1を加え
たままにて加熱を開始するが、前記基板11が変形する
前に、偏圧防止層60、61が加圧方向に変形すること
が必要である。
【0067】前記偏圧防止層60、61の変形量として
は、前記基板11および前記中間板20、21の初期厚
さバラツキを低減するのに充分な量が必要なのはもちろ
んであるが、この変形量があまりにも大きいと加圧方向
のみならず、加圧方向に直角な方向、すなわち基板面方
向にも、その構成材料がはみ出して大きく変形が発生す
る。この偏圧防止層60、61のはみ出しは、前記基板
11への加圧力の伝達を阻害する恐れがある。
【0068】前記偏圧防止層60、61のはみ出しを防
止するためには、偏圧防止層60、61に含まれる材
料、特に、セラミック材料の粒子形状が、球状であるよ
りも角ばった形状をもつ破砕状の粒子である方が好まし
い。上記のような偏圧防止層60、61を設け、加圧力
1を加えたまま加熱する。
【0069】図6(b)の焼成中の加圧力分布について
説明する。前記偏圧防止層60は、前記積層体の厚さが
大きく、加圧力の大きいA部、すなわちその厚さZSA
密度ρSAが、加圧力の小さいB部、その厚さZSB、密度
ρSBに比べてより厚さが薄くなり、密度が大となる。
【0070】この状態では、全体の厚さZA=ZGA+Z
SAと、ZB=ZGB+ZSBとが同じ厚さに近づくため、加
圧力1の分布むらは、図6(a)に示される焼結前の状
態より小となる。このまま脱バインダ工程でバインダが
除去され、次の焼結工程に進む。これら工程においても
偏圧防止層は、やはり基板面方向への変形は無い方が好
ましい。
【0071】加圧焼結工程では、セラミック脱バインダ
体の緻密化が進行する。前述のごとく、積層体基板厚さ
のバラツキはあるが、セラミック成分の量としてみれ
ば、厚い部分でも薄い部分でもほぼ同一であり、バラツ
キはない。加圧力の分布むらが小さいので、まず、脱バ
インダ体のA部、B部ともに同じ程度に緻密化が進行す
る。
【0072】もともと厚さが薄かったB部が充分緻密化
すると、次に、もともと厚かったA部のみが緻密化す
る。最終的には、図6(c)に示す焼成後の加圧力分布
のように厚さバラツキの小さいZGAとZGBとが等しい焼
結体となる。このとき、図7に示すように、偏圧防止層
60、61も同様の密度変化を示す。
【0073】上述の課程の進行のためには、偏圧防止層
の初期の厚さの和ZS0は、積層体基板11の初期の厚さ
バラツキzGA0−zGB0よりも大きい必要がある。より好
ましくは、zS0は(zGA0−zGB0)の2倍以上であるこ
とが望ましい。さらに、積層体基板11よりも先に変形
し、その変形量がある程度大きくなるためには、偏圧防
止層の初期の密度は、積層体基板11のそれよりも小さ
い必要があり、好ましくはセラミック充填密度にして5
%以上、より好ましくは10%以上小さい方がよい。
【0074】また、ヤング率および硬度等の物性も同様
に積層体基板のそれよりも小さいことが必要で、好まし
くは5%以上、より好ましくは、10%以上小さいこと
が望まれる。また、偏圧防止層60、61を構成するセ
ラミック材料の粒径は、積層体基板11を構成するセラ
ミック材料の粒径よりも大きい方がよく、好ましくは1
5%以上、より好ましくは30%以上大きい方がよい。
【0075】一方、偏圧防止層の初期の気孔率は積層体
基板よりも大きいほうがよく、好ましくは5%以上、よ
り好ましくは10%以上大きいことが望まれる。さら
に、偏圧防止層は、主にセラミック材料と有機バインダ
から構成されることが望ましいが、必ずしもセラミック
材料を含む必要はない。偏圧防止層に含まれるセラミッ
ク材料は、積層体基板材料よりも高温で焼結し、より好
ましくは、焼結温度が100℃以上高いことが望まれ
る。
【0076】これは、偏圧防止層が、本来セラミック電
子回路基板の機能とは無関係であり、焼結後に容易に除
去できることが望ましいためである。さらに、偏圧防止
層に含まれる有機バインダ材料は、前述の如く積層体基
板に含まれるバインダよりも低温で軟化し、ガラス転移
点が10℃以上低いものが好ましい。
【0077】この偏圧防止層は、加圧力分布を低減する
効果に加え、中間板の他層と積層体基板との固着防止、
反応防止にも大きな効果があり、中間板の他層の再生利
用という点でも有利である。なお、図6は、偏圧防止層
を積層体基板の上下両面に接するように配置している
が、上下片面のいずれかだけに介在させてもなんら差し
支えない。
【0078】上記の偏圧防止層を設ける本実施例によ
り、積層体基板間に厚さバラツキのある場合でも、加圧
力を一様にかけた状態で焼成でき、寸法精度を高く安定
させた厚みのバラツキが小さいセラミック電子回路基板
が作製できる。
【0079】〔実施例 4〕本発明のさらに他の一実施
例に係るセラミック電子回路基板の焼成装置を説明す
る。本実施例は、セラミックの積層体基板を多数枚積み
重ねて加圧焼成する際、中間部に積み重ねられた前記積
層体基板の脱バインダを効果的に進行させるものであ
る。図8は、本発明のさらに他の一実施例に係るセラミ
ック電子回路基板焼成装置の略示断面図、図9は、図8
のセラミック電子回路基板焼成装置における変形例の略
示説明図である。セラミック電子回路基板の生産性を向
上させるという点から、脱バインダ時の分解用ガスの供
給および加熱分解・燃焼成分の排出を効果的に行う必要
がある。
【0080】そのためには、本実施例のように、前に述
べた焼成装置のうち、図8に示す中間板の端部側面を揃
えるための構造部材、ガイドピンおよびそれらを支持す
る構造部材等にガス通気用の経路を設け、強制的に通気
できるようにすればよい。図8、9において、14、1
5は積層体基板、14a、15aは積層体基板14、1
5のそれぞれ側面、24a、24b、24c、25は中
間板、42は、積層体基板の端部側面を揃えるためのL
型構造部材、70は通気阻害層、90は構造部材からの
ガス吹き出し口、91はガイドピンへのガス導入口、9
2は構造部材へのガス導入口である。
【0081】図8に示すように、ガス経路は、構造部
材、図示ではL型構造部材へのガス導入口92から導入
され、中間板24bを介し、積層体基板14、15の上
下面のみならず、積層体基板の側面14a、15aの近
傍にもガス吹き出し口90を通して流出させ、分解用ガ
スを大幅に供給させる。
【0082】また、積層体基板の焼成工程において、寸
法変化の少ない多孔質板を中間板の一部として積層体基
板の上下面に配置する場合には、その多孔質板を含む中
間板の一部に加工を施して通気用経路を確保させる。こ
の際、積層体基板に直接接触する中間板の多孔質板の部
分は、均一の材料とすることが望ましい。もし、均一の
材料でない場合には、焼成時の収縮・膨脹に対し抑制効
果を持つ積層体基板と多孔質板との間に働く摩擦力が、
前記基板内で分布を持つことになり、寸法精度を高く安
定化させるという点で好ましくない。
【0083】上述の通気用経路は、多孔質板を含む中間
板に予め形成した溝および穴のいずれかまたは両方の組
合せから選ばれるものである。なお、この場合には、通
常強制的に通気を行うことはないが、前記構造部材等に
設けた通気用経路による通気と併用してもなんら問題は
生じない。
【0084】図9には、さらに効果的な通気が望まれる
装置を示すものである。図9において、図8と同一符号
は同等部分であるので、説明を省略する。図9に示す如
く、多孔質板を含む中間板が積層体基板に直接接触しな
い面からの強制通気ガスの逃げを防止するため、積層体
基板に接触しない面に通気を阻止する阻害層70を設
け、前記ガスが前記積層体基板にのみ到達するようにし
たものである。
【0085】上記の場合には、中間板の一部として使用
する多孔質板の気孔率は、加えられる加圧力に耐えうる
強度を持つ範囲内で、できるだけ大きい方が好ましく、
30〜90%が最適である。これらの材料としては、例
えば、アルミナ、コ−ジェライト、ムライト、炭化ケイ
素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等から選ばれた少な
くとも一種を主成分とする耐熱性の材料があげられる。
【0086】さらには、セラミック繊維、例えばアルミ
ナ、ムライト等を主成分とする耐熱性繊維材は、それら
を複合した多孔質板が強度低下を抑えて気孔率を大きく
できるので、前記目的に有効である。また、耐熱性の焼
結金属もこの目的のために使用可能である。上記によ
り、焼成装置内に多数の積層体基板が存在する場合で
も、充分なバインダ除去が、それほど長時間を必要とせ
ずに可能となる。
【0087】〔実施例 5〕本発明のさらに他のセラミ
ック電子回路基板焼成装置を図10を参照して説明す
る。図10は、本発明のさらに他の一実施例に係るセラ
ミック電子回路基板焼成装置の略示説明図である。本実
施例は、積層体基板と中間板との積重体に、加圧焼成を
施す際に、上下に配置した前記積層体基板間の加圧力を
調整する装置である。前記積層体基板間の加圧力を、以
下に説明するような調整装置を用いて変更することがで
きる。したがって、前記上下基板間に同一の圧力を加え
て焼成することができる。
【0088】以下、本実施例は、同時に焼成するセラミ
ック基板にそれぞれ所定の加圧力を加えて、それぞれの
個々の基板に対する寸法収縮率を制御する場合について
説明するが、すべての基板に同一の加圧力を加えて焼成
し、すべての基板の焼成収縮率を安定させる場合も同様
である。
【0089】上記上下に配設された積層体基板への加圧
力を変更する装置の一つは、前記積層体基板間に介在さ
せる前記基板隔離用の中間板にガイド穴を設け、加圧方
向に配置したガイドピンとそれを加圧方向に対し直角に
支持する構造部材とを有し、前記各積層体基板を挟むよ
うに配設した上下の中間板と支持用構造部材の一部と
に、ともに接触する弾性部材を備えた構成としたもので
ある。
【0090】図10において、図8と同一符号は同等部
分であるので新しい符号のみを説明する。23a、23
b、23cは中間板、45はガイドピン、83、84、
85は弾性部材である。図10に示す如く、弾性部材、
例えば83、84、85を介在させることによって、各
中間板23b、24bおよび支持構造部材、すなわち台
座32との間には、上下方向からの加圧力に対する反力
83、F84、F85が作用する。
【0091】前記弾性部材83、84、85の長さもし
くは弾性定数を各弾性部材にて変化させることにより、
上述反力F83、F84、F85を調整し、前記積層体基板1
4、15に加えられる圧力を上下で所定の大きさに調整
することができる。なお、図10に示す実施例は、前記
ガイドピン45が前記中間板23b、24bを貫通する
場合であるが、貫通してなくても同様の効果が得られ
る。
【0092】また、上述のガイド穴を備えた中間板23
b、24bのガイド穴内の側面とガイドピン45との摺
動による摩擦力を生ぜしめ、これを上下からの加圧力へ
の反力として利用してもよい。前記反力を各中間板23
b、24b間で調整するためには、前記中間板のガイド
穴側面と前記ガイドピン45のいずれかまたは両方の表
面粗さを各中間板毎において異なるものにしてやればよ
い。
【0093】さらに、他の加圧力調整装置としては、上
述のガイドピン45をシリンダ構造とし、前記シリンダ
の運動を通して、上下からの加圧力への反力を発生させ
ることもできる。この反力をシリンダの運動量によって
調整すれば、前記積層体基板への加圧力を上下で所定の
大きさに調整することができる。
【0094】前記シリンダ運動を調整する手段として
は、油圧またはガス圧を利用することができる。これら
の実施例の加圧力変更装置を用いることにより、いずれ
の場合も、前記上下基板間に所定の圧力を加えて、前記
基板の焼成ができる。さらに、これを利用すれば、上下
基板間での加圧力の違いを低減させ、同時に焼成される
すべての基板を同一加圧力条件下で焼成でき、すべての
基板の寸法精度を高精度に安定化できる。
【0095】次ぎに、上記〔実施例 1〕から〔実施例
5〕までの加圧焼成装置および焼成方法に用いられる
構成部材について具体的に説明する。前述の構成部材と
して、中間板、端部側面をそろえるための構造物、ガイ
ドピン、それらを加圧方向に支持する構造物、上下間の
加圧力の違いを変更するための弾性部材、シリンダ構造
体および上下台座等が挙げられる。
【0096】これらの構造物のうち、中間板は、端部側
面をそろえるための構造物あるいはガイドピンにより、
加圧方向に対して、その直角方向の移動を規制されなが
らスム−ズに移動できる機能を持たねばならない。この
ためには、その構成部材がすべて、少なくとも前記規制
されている部分については、焼成工程において、同じ熱
膨張挙動を示す必要がある。
【0097】もし、異なる熱膨張挙動を示す部材を用い
た場合には、前記規制部分における運動がスム−ズでな
くなり、ひいては寸法精度を不安定にする要因となる。
極端な場合には、装置自体の破壊にもつながる。さらに
重要な点は、前記中間板と前記積層体基板との接触層
と、前記基板材料との熱膨張挙動が大きく異なると、最
終的な焼結基板の寸法収縮率が前記中間板の熱膨張挙動
の影響を受けることである。
【0098】したがって、上記構成部材は、基板材料と
の熱膨張係数の差が、小さいほうがよい。好ましくは、
この熱膨張係数の差は、2×10~6/℃以下にする必要
がある。なお、焼結基板の熱膨張係数よりも大きな熱膨
張係数を持つ材料を用いると、焼結基板表面に圧縮応力
が残り、これによってセラミック電子回路基板の強度を
向上することもできる。
【0099】また、加圧焼成する積層体基板が大型化す
ると、焼成装置内での前記積層体基板の温度分布が問題
になってくる。これもまた積層体基板内、積層体基板間
の寸法精度に影響を与える。したがって、できるだけ温
度分布を低減するため、前記構成部材は、熱伝導率が大
きいほうがよく、好ましくは、20W/m・K以上、よ
り好ましくは、50W/m・K以上にすることが望まし
い。
【0100】このためには、ガス通気用の経路に予め加
熱したガスを通気する方法も効果がある。例えば、これ
ら構成部材の材料としては、耐熱鋼、炭化ケイ素、アル
ミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などから選ばれる
耐熱性の材料であることが望ましい。
【0101】また、セラミック電子回路基板の内部にス
ル−ホ−ルもしくはビアホ−ルおよび配線を形成させる
無加圧焼成においては、セラミック絶縁層と導体層との
焼成収縮挙動、つまり焼成収縮率および収縮量等を厳密
に一致させる必要がある。もしも、焼成収縮挙動が大き
く異なる場合には、スル−ホ−ルもしくはビアホ−ルお
よび配線の周囲に剥離やクラックが発生する。これら収
縮挙動の違いの問題は、圧力を加えながら焼成すれば、
ある程度は解決できる。
【0102】しかし、本実施例によれば、積層体基板の
上下各部分においても、加圧力を厳密に同一にし、前記
基板内の圧力分布のむらも低減できるため、同一焼成装
置内で焼成したすべての前記基板は同一加圧条件とな
り、この焼成収縮挙動の問題をさらに効果的に解決でき
る。
【0103】なお、セラミック絶縁層材料としては、ア
ルミナ、ムライト、ジルコニア、窒化アルミニウム、窒
化ホウ素、またはこれらの混合物を主成分とするセラミ
ックスや、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス等
種々のガラス、コ−ジェライト、β−ユ−クリプタイト
等の結晶を含む結晶化ガラス、およびこれらとアルミ
ナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、マグネシア、シリ
コンカ−バイド、シリコンナイトライド、窒化アルミニ
ウム、窒化ホウ素、ダイヤモンド等のセラミックスフィ
ラとの複合材等のセラミックスが用いられる。
【0104】また、導体材料としては、銅、銀、金、銀
/パラジウム、ニッケル、タングステン、モリブデン、
パラジウム、白金またはこれらの組合せからなる材料が
好適である。また、前記絶縁層を異なる種類の材料で形
成したセラミック電子回路基板でも同様に、焼成収縮挙
動をそれほど厳密に一致させないで焼成しても、剥離・
クラック等の問題を起さずに精度のよい基板を作製する
ことができる。
【0105】例えば、各種ノイズの低減に有効な多層の
セラミック電子回路基板を提供するために、低誘電率材
料からなる多層配線基板の内部や表面に、高誘電率材料
からなる層を設けて同時焼成することで、コンデンサを
内蔵した多層セラミック電子回路基板を作製することも
できる。さらに、抵抗、コイル等の部品を複数内蔵する
こともできる。用いられる材料としては、チタン酸バリ
ウム、チタン酸鉛、その他鉛を含む複合ペロブスカイト
化合物等のコンデンサや圧電素子に好適な材料等の各種
セラミックスが用いられる。
【0106】次ぎに、以下、上記説明した各実施例によ
る焼成装置および焼成方法によるセラミック電子回路基
板の具体的焼成例を説明する。〔実施例 6〕図11
は、本発明の一実施例に係るセラミック電子回路基板焼
成装置にサンプル基板を配置した略示説明図、図12
は、図11の実施例におけるサンプル基板の初期加圧方
向に対する下部台座からの配置高さHと、加圧方向に対
し直角方向の基板内焼成収縮率のバラツキとの関係を示
す線図である。図中、図2、3と同一符号は同等部分で
あるので説明を省略する。新たな符号のみ説明する。5
3はL字溝である。
【0107】まず、酸化物に換算してSiO2を75〜
85重量%、B23を10〜30重量%、Al23を1
〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量%以下、
その他を1重量%以下とする組成を有する平均粒径2μ
mのホウケイ酸ガラス粉末65体積%と、平均粒径2μ
mのアルミナ粉末15体積%および平均粒径2μmのコ
−ジェライト粉末20体積%とを混合する。さらに、こ
れら粉末に水分散性のメタクリル酸系バインダ、可塑
剤、分散剤、消泡剤および水を含む溶剤を加えて、ボ−
ルミルにより24h、湿式混合してスラリ−を作製し
た。
【0108】次に、ドクタ−ブレ−ド法により、上記ス
ラリ−をグリ−ンシ−トに成形し、前記グリ−ンシ−ト
に、パンチ法により60〜100μmφの穴をあけ、こ
れにCuの導体ペ−ストを印刷法により充填してビアを
形成した。また、グリ−ンシ−ト上にもCuペ−ストを
用いて配線パタ−ンを印刷した。
【0109】これら各種配線パタ−ンを印刷したグリ−
ンシ−トを各層のビアが接続されるように位置を合わせ
て50枚積層した。その後、120℃、150kg/c
2の条件下で加熱圧着する。上記方法で三次元に配線
の形成された積層体基板11を5枚作製した。得られた
各積層体基板11の大きさは200×200mm、厚さ
は約8mmであった。
【0110】次に、図11を参照して焼成方法を説明す
る。図11は、積層体基板11を焼成装置内に配置した
場合の略示説明図である。この場合、〔実施例 1〕の
図3に示したようなL型構造部材を有する上下の台座を
準備する。前記上下の台座本体は、大きさ300×30
0mm、厚さ30mmの炭化ケイ素焼結板31、32を
その上下面の平行度が少なくとも1/10000となる
ように加工して作製した。
【0111】つぎに、前記焼結板の台座本体中央部21
0×210mmの外側対角部に、この台座本体の上下面
に直角となるように幅3mm、深さ15mm、長さ75
mmのL字部溝53を一対形成させる。前記溝53に、
炭化ケイ素焼結体でできた厚さ3mm、高さ100m
m、長さ75mmのL型構造部材41を挿入した。
【0112】前記の如き構成部材を上下の台座31、3
2用として二組用意した。さらに、大きさ210×21
0mm、厚さ10mmの炭化ケイ素焼結板21bを4枚
と、大きさ210×210mm、厚さ10mmのアルミ
ナ質の多孔質板20、21a、21cを10枚を用意し
た。なお、前記多孔質板20、21a、21cの気孔率
は、約70%、平均気孔径は10μmである。
【0113】前記炭化ケイ素焼結板21bの上下面は、
上記の如く、少なくとも1/10000の平行度になる
ように加工されており、前記アルミナ多孔質板20、2
1a、21cの上下面は、少なくとも1/1000の平
行度になるよう加工した。なお、上記各部材の大きさ
は、前記のL型構造部材41を挿入時および炭化ケイ素
板21b、多孔質板20、21a、21c、積層体基板
11の配置時に多少の隙間が生じるように微調整して作
製した。
【0114】前述したL型構造部材物41を備えた下部
台座32に、積層体基板11を多孔質板20、21cに
挟んで配置し、その上に炭化ケイ素板21bを配置し、
その上に同様にして多孔質板に挟んだ積層体基板を配置
した。この作業を五枚すべての積層体基板11について
行い、五枚目の積層体基板11上の多孔質板20上にL
型構造部材41を備えた上部台座31を配設した。
【0115】この際、上下台座のL型構造部材41が互
いに接触しないように、上部台座を90°回転させ交互
になるように配置した。この上部台座31と下部台座3
2との間に、2kg/cm2の圧力を加え、加湿雰囲気
中、800℃に保持して有機バインダ残分を除去したの
ち、非酸化性雰囲気中、950℃で1時間焼成した。な
お、比較のために、L型構造部材41のみを欠いた構成
の前記焼成装置を用いて、全く同じ条件で焼成を行っ
た。
【0116】上記加圧力下で焼成すると、L型構造部材
41の有無にかかわらず、いずれの場合でも、表面パタ
−ン焼成寸法収縮率は、ほぼゼロのまま保てることがわ
かった。しかし、その基板内のバラツキについては、前
記二つの場合で大きく異なった結果を示すことが見出さ
れた。図12(a)は、サンプルの積層体基板の下部台
座31からの初期加圧方向における配置高さHと、加圧
方向に対し直角な方向、すなわちXY方向の表面パタ−
ンの基板内焼成収縮率バラツキとの関係を示した線図で
あり、図12(b)は、配置高さHとXY方向とを示す
説明図である。
【0117】まず、上記L型構造部材41を用いない場
合のセラミック電子回路基板について説明する。上下台
座に距離的に近い配置、すなわちHが小さいかまたは大
きい位置では、サンプル基板、多孔質板および炭化ケイ
素板のXY方向への位置ずれが、せいぜい1〜2mm程
度であるのに対し、遠い配置のサンプル基板、すなわち
Hが中程度の大きさでは、この位置ずれが大きくなる。
【0118】上記の結果、Hが中程度の中間部における
サンプル基板では、前記基板の端部分に加わる圧力が、
上下の炭化ケイ素板21bからはみ出た部分と、そうで
ない部分とで異なるため、焼成収縮率のバラツキが大き
くなってしまい、最大で約±0.5%となる。
【0119】一方、上記L型構造部材41を用いた場合
には、上述のような位置ずれは、みられず、焼成収縮率
のバラツキも±0.2%以内に抑えることができた。し
たがって、上記L型構造部材を用いる焼成装置が、寸法
精度バラツキを低減するために非常に効果的であること
が確認された。なお、本実施例により焼成したサンプル
基板には、前記アルミナ質の多孔質板の一部が固着・残
留したが、サンプル基板表面を軽く研磨したり、ブラス
ト処理を施すことで表面パタ−ンを損傷することなく、
前記残留物が除去できた。
【0120】つぎに、上記説明した実施例による焼成装
置および焼成方法によるセラミック電子回路基板の他の
具体的焼成例を説明する。〔実施例 7〕図13は、本
発明のさらに他の一実施例に係るセラミック電子回路基
板の焼成装置にサンプル基板を配置した略示説明図であ
る。図中、図2、3と同一符号は同等部分であるので説
明を省略する。新たな符号のみ説明する。20、21
a、21cは多孔質板、54は止めねじである。
【0121】図13では、積層体基板11を焼成装置内
に配置した場合を略示している。上記セラミック電子回
路基板の作成は、まず、酸化物に換算してMgOを0.
05〜25重量%、CaOを0.05〜25重量%、A
23を20〜35重量%、B23を20〜55重量
%、SiO2を0〜25重量%、アルカリ金属酸化物を
0〜5重量%、ZnOを0〜5重量%、PbOを0〜2
0重量%とし、総量100%となるように選んだ平均粒
径2μmの結晶化ガラス組成のガラス粉末60重量%
と、平均粒径1μmのアルミナ粉末40重量%とを混合
し、さらにこれら粉末に、メタクリル酸系のバインダ、
可塑剤および溶剤を加えて、ボ−ルミルで24h湿式混
合してスラリ−を作製した。
【0122】前記〔実施例 6〕と同様に、ドクタ−ブ
レ−ド法により、グリ−ンシ−トとし、穴明け後、これ
にAg/Pd導体ぺ−ストを用いてビア充填および配線
印刷を施した。さらに、積層体基板の最表面に配置され
る基板には、Auのペ−ストを用いて、ビアおよび配線
パターンを形成した。これらグリ−ンシ−トを各層のビ
アが接続されるように位置を合わせて30枚積層し、1
00℃、100kg/cm2の条件で圧着し、積層体基
板11を5枚作製した。得られた各積層体基板11の大
きさは、150×150mm、厚さは約6mmであっ
た。
【0123】次に、図4に示す板状構造部材を備えた上
下の台座31、32を準備した。まず、大きさ160×
160mm、厚さ30mmのアルミナ焼結板32をその
上下面およびその相対する側面の平行度が、少なくとも
1/10000となるように加工して作製した。
【0124】前記焼結板32の四つの側面にそれぞれ止
めねじ54に対する二つのねじ穴を設けた。このねじ穴
に、アルミナ焼結体で作製した厚さ3mm、幅50m
m、高さ180mmの板状構造部材42を止めねじ54
により、前記ねじ穴に取り付けた。さらに、大きさ15
0×150mm、厚さ5mmのアルミナ焼結板21bを
4枚と、大きさ150×150mm、厚さ10mmのア
ルミナ質の多孔質板20a、21a、21cを10枚準
備する。前記多孔質板20a、21a、21cは、気孔
率約70%、平均気孔径10μmである。
【0125】前記アルミナ焼結板21bの上下面は、少
なくとも1/10000の平行度になるように加工し、
前記アルミナ多孔質板20a、21a、21cの上下面
は、少なくとも1/1000の平行度になるよう加工し
た。なお、各部材の大きさは、アルミナ焼結板21b、
多孔質板20a、21a、21c、積層体基板11を配
置する際にある程度の隙間が生じるように微調整し、作
製した。
【0126】上記各部材を〔実施例 6〕と同様に積み
重ね、その上に上部台座31として、大きさ150×1
50mm、厚さ30mmのアルミナ焼結板を配設した。
さらに、板状構造部材42と、アルミナ焼結板21b、
31、32と、多孔質板20a、21a、21cと、積
層体基板11のすべての各部材の一部に接するように、
厚さ5mm、幅50mm、高さ160mmのアルミナ質
の多孔質板49をそれぞれ配置し、2kg/cm2の加
圧力を加え、大気中で室温から600℃までは50℃/
h以下の緩やかな速度で昇温し、充分に脱バインダを行
なわさせた。
【0127】そののち、圧力を加えたまま、750℃で
1時間、主として基板の緻密化のための焼成を行なった
後、さらに基板部分の結晶化処理および導体、基板部分
の最終的な緻密化のため、950℃で1時間焼成した。
なお、比較のために、板状構造部材のみを欠いた同様の
構成の焼成装置を用い、全く同じ条件で焼成を行った。
板状構造部材のない場合に±0.5%であった中間部の
前記基板における焼成収縮率のバラツキが、本実施例に
よる焼成装置を用いることで、±0.1%まで低減でき
た。
【0128】〔実施例 8〕さらに、上記実施例に係る
焼成装置による多層のセラミック電子回路基板のさらに
他の具体的焼成例を説明する。図14は、本発明のさら
に一実施例に係る焼成方法により作製したセラミック電
子回路基板における残留炭素量と、温度保持時間との関
係を示す線図である。なお、保持温度は800℃であ
る。
【0129】まず、酸化物に換算してSiO2を75〜
85重量%、B23を10〜30重量%、Al23を1
〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量%以下、
その他を1重量%以下とする組成を有する平均粒径2μ
mのホウケイ酸ガラス粉末55体積%と、平均粒径2μ
mのアルミナ粉末15体積%および平均粒径2μmのム
ライト粉末30体積%とを混合した材料を用い、〔実施
例 6〕と同様、ドクターブレード法により、グリ−ン
シ−ト100枚を積層した積層体基板11を5枚作製し
た。
【0130】さらに、〔実施例 1〕の図1に示したガ
イドピン45を備えた焼成装置に、気孔率約70%、平
均気孔径10μmのアルミナ質の多孔質板20、21a
に挟んだ前記積層体基板11を配置した。この焼成装置
は、炭化ケイ素焼結体を材料とし、〔実施例 4〕に示
した図8と同様に、焼成ガス通気用経路をガイドピン4
5、中間板21bおよび支持用構造物である上下台座3
1、32上に備えたものと備えないものとを作製し、そ
れぞれ焼成実験を行った。
【0131】前記焼成装置において、1kg/cm2
圧力をそれぞれ加え、加湿雰囲気中、800℃にて0〜
50時間保持させ有機バインダ残分を除去したのち、4
kg/cm2の圧力をそれぞれ加え、非酸化性雰囲気
中、1000℃で2時間焼成し、前記積層体基板11の
残留炭素量を調べた。この際、前記通気用の経路に、予
め加熱した分解用ガスを通気した場合と通気をしない場
合の焼成実験および前記焼成装置に通気用経路自体がな
い場合の焼成実験とをともに実施した。
【0132】図14は、焼結体の残留炭素量と、800
℃の保持時間との関係を示した線図である。この結果、
通気用経路がなく、強制的に通気を行わない場合には、
焼結後の基板に残留する炭素の量は、800℃で50時
間保持した場合でも200ppm以下にはならなかっ
た。
【0133】一方、ガイドピンおよび中間板の両方に通
気用経路があるだけでも、分解用ガスの供給、分解・燃
焼成分ガスの排気が充分に行われ、前記焼結体の残留炭
素量は、時間とともに急激に減少することがわかった。
さらに、強制的に通気を行った場合には、残留炭素量
は、800℃、15時間の保持でかなり減少し、800
℃、24時間保持すれば130ppmと充分減少するこ
とが明らかになった。
【0134】また、セラミックコ−ティング剤を塗布す
るなどして〔実施例 4〕の図9に示されるような通気
の阻害層を設けた結果、前記残留炭素量は、さらに10
0ppmまで減少した。したがって、上記通気経路を設
け、強制通気を行うことによって、脱バインダ工程に要
する時間を大幅に低減することができ、全体工程の時間
短縮が可能となった。なお、予熱したガスを通気するこ
とにより、前記積層体基板内および前記積層体基板間の
温度分布むらが低減され、寸法精度も向上した。
【0135】〔実施例 9〕さらに、上記実施例に係る
焼成装置によるセラミック電子回路基板のさらに他の具
体的焼成例を説明する。まず、ムライト(分子式3Al
23・2SiO2、平均粒径3μm)70〜80重量
%、焼結助剤としてSiO220〜35重量%、Al2
31〜5重量%、アルカリ土類金属酸化物0.1〜5重
量%で、総量を100%とした混合粉末を用い、〔実施
例 6〕と同様にしてグリ−ンシ−トを作製した。前記
グリ−ンシ−トは、穴明け後、WとMoの混合導体ペ−
ストを用いてビア充填および配線や電源層を印刷した。
【0136】これらのグリ−ンシ−トをビアの位置を合
わせながら50枚積層し、熱圧着して積層体基板を作製
した。さらに、片面が均一で面粗さRaが2μmであ
り、もう一方の面に格子状に幅2mm、深さ2mmの溝
を加工したアルミナ質多孔質板二枚で前記積層体基板を
挾んだ。なお、前記アルミナ質多孔質板は、気孔率約7
0%、平均気孔径10μm、上下面間平行度1/100
0のものを用いた。
【0137】この際、前記アルミナ質多孔質板の均一な
面が、前記積層体基板に接触するようにした。前記三枚
を1組とし、全部で5組を、〔実施例 2〕の図3に示
すL型構造部材を備えた焼成装置に配置し、上下台座を
通して、2.5kg/cm2の圧力を加えながら、窒
素、水素、水蒸気の混合気流中で、1650℃で3時間
焼成した。
【0138】前記溝を設けていないアルミナ質多孔質板
を用いた場合には、約1200℃まで100℃/h以下
の比較的遅い速度で昇温しても、残留炭素量は200p
pm以下とはならない。本実施例のように、前記溝を設
けるだけで、昇温速度を200℃/h以上と速くしても
残留炭素量は130ppmまで減少した。
【0139】なお、前記多孔質板として、気孔率約60
%、平均気孔径15μmのコ−ジェライト質のものおよ
び気孔率約80%、平均気孔径15μmのアルミナ繊維
材を主成分とするものを用いてもほぼ同様の結果が得ら
れた。なお、溝が加工された面を前記三枚1組の積層体
に接触させるようにして焼成すると、前記積層体基板内
に加圧力の分布むらが生じ、焼成収縮率バラツキが±
0.7%と大きくなり、極端な部分では、前記基板にい
わゆる割れが発生した。
【0140】〔実施例 10〕さらに、上記実施例に係
る焼成装置によるセラミック電子回路基板のさらに他の
具体的焼成例を説明する。まず、酸化物に換算してSi
2を75〜85重量%、B23を10〜30重量%、
Al23を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10
重量%以下とする組成を有する平均粒径4μmのホウケ
イ酸ガラス粉末50体積%と、平均粒径2μmのアルミ
ナ粉末13体積%、平均粒径2μmのコ−ジェライト粉
末22体積%および平均粒径2μmのSiO2ガラス1
5体積%とを混合し、さらにこれら粉末に、水分散性の
メタクリル酸系バインダ、可塑剤、分散剤、消泡剤およ
び水をふくむ溶剤を加えて、ボ−ルミルで24h湿式混
合してスラリ−を作製した。
【0141】以下、〔実施例 6〕と同様にして積層体
基板を作製した。この積層体基板の密度は、セラミック
充填率にして約50%であり、積層体基板に含まれる有
機バインダの軟化する温度は、ほぼ250℃であった。
また、その厚さのバラツキは、基板内で最大150μm
であり、多孔質の中間板では、最大150μmであっ
た。一方、他の中間板は、これらに比べて厚さバラツキ
がなく、最大でも20μmとなるように加工した。
【0142】この積層体基板を〔実施例 4〕に示した
図8と同様の通気経路を備えた焼成装置に配置する際
に、中間板のうち、前記積層体基板に接する部分に偏圧
防止層を設けた。まず、平均粒径3μmのムライト粉
末、平均粒径1μmのアルミナ粉末、平均粒径2μmの
窒化ホウ素粉末に、それぞれ水溶性のアクリル系バイン
ダ、可塑剤、分散剤、消泡剤および水を含む溶剤を加
え、ボ−ルミルで24h湿式混合して3種類のスラリ−
を作製した。なお、前記3種の粉末には、いずれも焼結
助剤を含んでいない。
【0143】これらを〔実施例 6〕と同様にして、そ
れぞれのグリ−ンシ−トに成形した。これらのグリ−ン
シ−トのセラミック充填率は、いずれも約40%であ
り、前記グリ−ンシ−トに含まれるバインダの軟化温度
は、約200℃であった。上述の積層体基板、多孔質
板、その他の中間板を積み重ねた際に、できるだけ全体
の厚さのバラツキが小さくなるように〔実施例 6〕と
同様に積み重ねた。この際、偏圧防止層として上記グリ
−ンシ−トを、前記積層体基板と上下の多孔質中間板と
の間に配置した。前記偏圧防止層の厚さの和は、各積層
体基板の上下面で500μmであり、3種のグリ−ンシ
−トそれぞれについて形成し、焼成実験を行った。
【0144】次に、〔実施例 1〕の図1に示したガイ
ドピンを有する焼成装置を用いて、2kg/cm2の圧
力を加え、加湿雰囲気中で充分脱バインダを行なったの
ち、非酸化性雰囲気中、950℃で2時間焼成した。こ
の方法で焼成した電子回路基板は、焼成中の積層体基板
内の加圧力分布がさらに小さくなり、寸法精度がさらに
向上し、前記基板内での寸法収縮率のバラツキは、±
0.05%以内に抑えることができた。
【0145】なお、〔実施例 3〕の図6で説明したよ
うに、この方法により製造した焼結基板は、厚さの面内
バラツキが非常に小さく、最大でも50μmであった。
なお、この方法では、サンプル基板と多孔質の中間板と
の固着は起らず、サンプル基板表面のムライト、アルミ
ナおよび窒化ホウ素は、未焼結のままで残存していた。
【0146】前記未焼結層は、軽く研磨するだけで除去
でき、基板のスル−ホ−ルまたはビア配線部、すなわち
端子パッドを表面に露出させることが容易であった。ま
た、前記研磨後の表面も比較的平坦、かつ平滑であっ
た。一部の基板は、さらに表面を平滑に研磨した後、ポ
リイミドの薄膜配線層を両面に形成し、LSIチップを
多数個搭載して、マルチチップモジュ−ルを構成した。
【0147】〔実施例 11〕さらに、図15を参照し
て、上記実施例に係る焼成方法によるセラミック電子回
路基板のさらに他の具体的焼成例を説明する。図15
は、本発明のさらに一実施例に係る焼成方法におけるサ
ンプル基板の初期加圧方向の下部台座から配置高さと、
加圧方向に直角な方向の表面パタ−ン焼成収縮率との関
係を示す線図である。まず、酸化物に換算してSiO2
を75〜90重量%、B23を5〜30重量%、Al2
3を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量
%以下、アルカリ土類金属酸化物を10重量%以下とす
る組成を有する平均粒径4μmのホウケイ酸ガラス粉末
65体積%と、平均粒径2μmのアルミナ粉末20体積
%および平均粒径2μmのコ−ジェライト粉末15体積
%とを混合した材料を用いた、
【0148】〔実施例 6〕と同様の方法により、グリ
−ンシ−ト40枚を積層した積層体基板を作製した。次
に、〔実施例 5〕の図10に示した焼成装置を準備
し、さらに耐熱鋼で作製したバネ定数の異なるバネを各
4個ずつ、5種類用意した。バネ定数は、バネピッチを
変更することによって異なるものとした。
【0149】図10に示すように、積層体基板14、1
5、多孔質の中間板23a、23c、24a、24c、
25、その他の中間板23b、24b、およびバネ8
3、84、85を焼成装置に組み込んで配置し、0.5
kg/cm2の圧力を加え、加湿雰囲気中で充分脱バイ
ンダを行なったのち、非酸化性雰囲気中において、95
0℃で1時間焼成した。
【0150】図15には、サンプル基板の下部台座から
の初期加圧方向における配置高さ(H)と、加圧方向に
対し直角な方向(XY方向)の表面パタ−ンの焼成収縮
率との関係を示している。前記各中間板間にバネを介在
させることにより、バネがない場合、(図示では比較
例)に比べて、サンプル基板の配置される位置による焼
成収縮率のわずかな違いが低減されることが確かめられ
た。これによって上下基板間での焼成寸法収縮率のバラ
ツキを±0.05%以内に高精度化できた。この場合、
基板内の焼成収縮率バラツキも±0.05%以内に抑え
られた。
【0151】〔実施例 12)〔実施例 6〕と同様の
方法により、グリ−ンシ−ト40枚を積層した積層体基
板を作製した。次に、〔実施例 1〕に示した図1に示
す焼成装置を準備し、そのガイドピン45の側面の面あ
らさRaを2μmに加工し、各中間板のガイド穴内側面
52を下部台座に近い方から表面あらさRaをそれぞれ
30、20、10、1μmとなるように加工した。な
お、表面あらさRaは、触針により測定され、微細な凹
凸の振幅に関する中心線平均あらさを示し、単位はμm
で表される。
【0152】前記〔実施例 4〕と同様に、サンプル基
板を焼成装置内に配置し、0.5kg/cm2の圧力を
加え、加湿雰囲気中で充分脱バインダを行なったのち、
非酸化性雰囲気中、950℃で二時間焼成した。前記
〔実施例 6〕の方法と同様に、この方法でも上下基板
間での焼成寸法収縮率のバラツキを±0.05%以内に
高精度化できた。なお、基板内の焼成収縮率バラツキ
は、最大で±0.07%であった。この方法で基板内の
バラツキが大きくなったのは、ガイド穴を通した中間板
の加圧方向への移動が、前記〔実施例 6〕の場合より
も下部になるほど滑らかでないためであると考えられ
る。
【0153】〔実施例 13〕さらに、上記実施例に係
る焼成装置によるセラミック電子回路基板のさらに他の
具体的焼成例を説明する。前記〔実施例 6〕に示した
平均粒径2μmのホウケイ酸ガラス粉末65体積%と、
平均粒径2μmのムライト粉末35体積%とを混合した
粉末(A粉末)と、上記のホウケイ酸ガラス50体積%
と上記ムライト粉末50体積%とを混合した粉末(B粉
末)とのそれぞれについて、前記〔実施例 6〕と同様
の方法によって、グリ−ンシ−ト50枚を積層したA粉
末を用いた積層体基板を二枚、B粉末を用いた積層体基
板を三枚作製した。
【0154】次に、〔実施例 5〕に示した図10に示
す焼成装置を準備し、前記焼成装置内に〔実施例 6〕
と同様にして、積層体基板、多孔質板、その他の中間板
およびバネを配置した。この際、A粉末を用いた積層体
基板は下方に2枚を、B粉末を用いた積層体基板はその
上方に配置した。用いたバネは、下方二つについては、
バネ定数を非常に大きくし、上方三つについては小さく
した。
【0155】前記積層体基板をサンプル基板として焼成
装置内に配置するに先立ち、前記焼成装置内のサンプル
基板の配置位置での実際の加圧力をロ−ドセルで測定し
た。前記上下台座間に10kg/cm2の加圧力を加え
た時、下方二つの位置では約4kg/cm2、上方では
約8kg/cm2の加圧力であった。この焼成装置を用
いて、10kg/cm2の圧力を上下台座間に加え、加
湿雰囲気中で充分脱バインダを行ない、非酸化性雰囲気
中、1000℃で2時間焼成した。
【0156】前記A粉末は2kg/cm2の加圧力をか
けて焼成しても緻密化する材料であるが、前記B粉末は
最低でも8kg/cm2の加圧力下でないと緻密化しな
い。加圧力変更装置を備えていない焼成装置を用いて同
様の焼成方法にて焼成を施した結果、B粉末を用いた積
層体基板が緻密化する圧力を加えて焼成すると、A粉末
を用いた積層体基板が加圧方向に大きくつぶれてしまっ
た。
【0157】本実施例では、これら二種類の積層体を同
時に同じ焼成装置内で焼成したが、上下の加圧力が所定
の値に制御されているため、Aを用いた積層体基板、B
を用いた積層体基板ともに緻密化が達成され、さらに寸
法精度も高かった。アルキメデス法で測定した相対密度
は、Aを用いた積層体基板が99%、Bを用いた積層体
基板が97%であった。また、焼成収縮率バラツキは、
ともに±0.1%以内であり、焼結基板の側面凸率は、
いずれも3%以内であった。
【0158】〔実施例 14〕さらに、上記実施例に係
る焼成装置による多層のセラミック電子回路基板のさら
に他の具体的焼成例を説明する。まず、前記〔実施例
6〕に示した混合粉末を用い、水分散性のメタクリル酸
系バインダもしくは水溶性のアクリル系バインダを加
え、さらにそれぞれに、可塑剤、分散剤、消泡剤、およ
び水を含む溶剤を加えて、ボ−ルミルで24h湿式混合
して二種のスラリ−を作製した。なお、前者を以下、A
スラリ−といい、後者を以下、Bスラリ−という。
【0159】これらスラリ−を用い、〔実施例 6〕と
同様にして、グリ−ンシ−ト20枚を積層した積層体基
板をそれぞれAスラリ−のものを二枚、Bスラリ−のも
のを三枚作製した。次に、〔実施例 5〕に示した図1
0の焼成装置を準備し、〔実施例 6〕と同様にして、
積層体、多孔質板、その他の中間板およびバネを配置し
た。この際、Aスラリ−を用いた積層体は下方に二枚
を、Bスラリ−を用いた積層体三枚はその上方に配置し
た。
【0160】用いたバネは、下方二つはバネ定数を非常
に大きくし、上方三つは小さくした。サンプル基板を配
置する前に、配置位置での実際の加圧力をロ−ドセルで
測定したところ、上下台座間に10kg/cm2の加圧
力を加えた時、下方二つの位置では約2kg/cm2
上方では約8kg/cm2の加圧力であった。また、上
下台座間に3kg/cm2の圧力を加えた時、下方二つ
の位置では約0.5kg/cm2、上方では約2kg/
cm2の加圧力であった。
【0161】この焼成装置を用いて、10kg/cm2
の加圧力を上下台座間に加え、600℃までバインダの
熱分解を充分行ない、3kg/cm2の加圧力下、加湿
雰囲気中で残留炭素を充分除去した後、3kg/cm2
の加圧力のまま、非酸化性雰囲気中、950℃で1時間
焼成した。Aスラリ−を用いた積層体、すなわち水分散
性バインダ使用においては、バインダの熱分解時の寸法
収縮率をゼロとするには、1kg/cm2の加圧力で充
分であるが、Bスラリ−を用いた積層体、すなわち水溶
性バインダ使用の場合には、少なくとも8kg/cm2
が必要である。
【0162】一方、残留炭素除去時および焼結時の寸法
収縮率をゼロとするには、いずれの場合も0.5kg/
cm2で充分であった。本実施例では、これら二種類の
積層体基板を同時に同じ装置内で焼成したが、バインダ
の熱分解時およびその後の工程で上下の加圧力が所定の
値に制御されているため、二種類の積層体基板ともに寸
法精度が高かった。
【0163】〔実施例 15〕さらに、上記実施例に係
る焼成装置によるセラミック電子回路基板のさらに他の
具体的焼成例を説明する。前記〔実施例 6〕と同様の
ホウケイ酸ガラスとアルミナ、コジェライト混合フィラ
複合材のグリ−ンシ−トおよび低温焼成が可能なPb
(Mg1/3Nb2/3〕O3−Pb(Zn1/3Nb2/3〕O3
高誘電率材料のグリ−ンシ−トを作製した。前記これら
のグリ−ンシ−トに、パンチ法により100〜150μ
mφの穴を開け、Ag/Pd導体ペ−ストでビアを充填
した。
【0164】前者のホウケイ酸ガラス複合材シ−トはさ
らに配線回路を印刷し、後者の高誘電率材料のシ−トに
は、コンデンサ用の電極層を印刷した。これらのグリ−
ンシ−トを二十枚積層し、120℃、150kg/cm
2の条件で加熱圧着し、コンデンサを内蔵した多層配線
基板積層体を5枚作製した。この積層体基板を0.5k
g/cm2の加圧力を加えながら、約600℃までは、
100℃/h以下のゆっくりした速度で昇温し、脱バイ
ンダを充分に行なった。その後、大気中で950℃で1
時間焼成した。
【0165】得られた基板は、LSIマイクロチップキ
ャリアとして使用するため、小さく分割切断した。さら
にこの基板に微小ハンダボ−ルを用いたいわゆるCCB
法によりLSIチップを搭載した。得られた基板は、反
りや、スル−ホ−ル部の凹凸がなく、スル−ホ−ルの表
面位置精度が極めて良好なため、LSIチップとの接合
および導通で、歩留まりが飛躍的に向上した。
【0166】
【発明の効果】以上詳細に説明した如く、本発明によれ
ば、基板内および基板間の焼成収縮率を非常に高精度に
保ったまま、積層体基板を多数枚積み重ねて加圧焼成を
施し、脱バインダの進行を効果的にし、効率良く生産
し、工程に要する時間を飛躍的に低減することができる
多層セラミック電子回路基板の焼成装置および焼成方法
を提供することができる。より詳しく説明すれば、チッ
プ搭載面およびI/Oピン接続面の寸法精度が非常に高
く、後工程での位置合わせが容易に行え、各種電子機器
に用いられるセラミック部品、電子計算機のLSI実装
用多層配線基板等を生産する電子回路基板の焼成装置お
よび焼成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るセラミック電子回路基
板の焼成装置の略示説明図である。
【図2】図1の実施例に係るセラミック電子回路基板の
焼成装置の変形例の略示説明図である。
【図3】本発明の一実施例に係るセラミック電子回路基
板の焼成装置における積重体の端部側面を揃える構造部
材の説明図である。
【図4】図3の実施例に係るセラミック電子回路基板の
焼成装置における積重体の端部側面を揃える構造部材の
変形例説明図である。
【図5】図3の実施例に係るセラミック電子回路基板の
焼成装置における積重体の端部側面を揃える構造部材の
変形例説明図である。
【図6】本発明の他の一実施例に係るセラミック電子回
路基板の焼成方法における加圧力の変化説明図である。
【図7】図6の実施例に係る焼成方法における各工程の
プロセス経過時間と各層の厚さ、相対密度との関係を示
す線図である。
【図8】本発明のさらに他の一実施例に係るセラミック
電子回路基板の焼成装置の略示断面図である。
【図9】図8の実施例に係るセラミック電子回路基板の
焼成装置における変形例の略示説明図である。
【図10】本発明のさらに他の一実施例に係るセラミッ
ク電子回路基板の焼成装置の略示断面図である。
【図11】本発明のさらに他の一実施例に係るセラミッ
ク電子回路基板焼成装置にサンプル基板を配置した略示
説明図である。
【図12】図11の実施例におけるサンプル基板の初期
加圧方向の下部台座からの高さと、加圧方向に対し直角
方向の基板内の焼成収縮率との関係を示す線図である。
【図13】本発明のさらに他の一実施例に係るセラミッ
ク電子回路基板焼成装置にサンプル基板を配置した略示
説明図である。
【図14】本発明のさらに他の一実施例に係る焼成方法
により焼成したセラミック電子回路基板における残留炭
素量と、温度保持時間との関係を示す線図である。
【図15】本発明のさらに他の一実施例に係る焼成方法
におけるサンプル基板の初期加圧方向の下部台座からの
高さと、加圧方向に直角方向の表面パータンの焼成収縮
率との関係を示す線図である。
【図16】従来におけるセラミック電子回路基板焼成方
法の略示説明図である。
【符号の説明】
1…加圧力 11、14、15…積層体基板 20…中間板 21a、b、c…中間板 23a、b、c…中間板 24a、b、c…中間板 25…中間板 31…上部台座 32…下部台座 41…L型構造部材 42…板状構造部材 43…棒状構造部材 45…ガイドピン 49…多孔質板 51、52…ガイド穴 53…L字溝 54…止めねじ 60、61…偏圧防止層 70…通気阻害層 83、84、85…弾性部材 90…構造部材からのガス吹き出し口 91…ガイドピンへのガス導入口 92…構造部材へのガス導入口 A部…積層体基板の厚みが大きい部位 B部…積層体基板の厚みが小さい部位 F…弾性部材による反力の総称
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石原 昌作 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 平6−300465(JP,A) 特開 平7−309671(JP,A) 実開 平1−102133(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/64 H05K 3/46

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック絶縁層、導体層および有機バ
    インダとからなる複数の多層セラミック積層体基板と寸
    法変化の少ない中間板とを交互に積み重ね、前記基板の
    表面に圧力を加え、前記被加圧面の焼成収縮を抑制して
    焼成させるように構成した焼成装置において、 前記中間板が加圧方向に対して直角方向への位置ずれを
    起さず、かつ相互に平行を保持して移動できるように構
    成した構造部材を具備していることを特徴とするセラミ
    ック電子回路基板の焼成装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のセラミック電子回路基板
    の焼成装置において、前記構造部材は、前記各中間板お
    よび前記各積層体基板のいずれかもしくは両方の端部側
    面の一部に接触し、その面をそろえるための整合部材
    と、前記整合部材を前記各中間板および前記各積層体基
    板に対し直角に支持する支持部材とからなり、前記整合
    部材が、前記各中間板もしくは前記各積層体基板の相対
    する角部のいずれかに接触する少なくとも一対のL型部
    材あるいは前記各中間板もしくは前記各積層体基板の相
    対する辺のいずれかに接触する少なくとも二対の板状ま
    たは棒状部材のいずれかであることを特徴とするセラミ
    ック電子回路基板の焼成装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のセラミック電子回路基板
    の焼成装置において、前記構造部材は、前記中間板にガイド穴を設け、前記ガ
    イド穴に挿設した少なくも一対以上の相対するガイドピ
    ンと、前記ガイドピンを前記中間板および前記積層体基
    板に直角な方向に支持する支持部材とからなり、前記ガ
    イドピンが前記ガイド穴を貫通するように構成されもし
    くは前記中間板に支持されるように構成されていること
    を特徴とするセラミック電子回路基板の焼成装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3記載のいずれかのセラ
    ミック電子回路基板の焼成装置において、 前記中間板、前記構造部材の少なくとも一部もしくは全
    部が、焼成時のガス通気用経路を備えていることを特徴
    とするセラミック電子回路基板の焼成装置。
  5. 【請求項5】 セラミック絶縁層、導体層および有機バ
    インダとからなる複数の多層セラミック積層体基板と寸
    法変化の少ない中間板とを交互に積み重ね、前記基板の
    表面に圧力を加え、前記被加圧面の焼成収縮を抑制して
    焼成させるように構成した焼成装置において、 前記各中間板を、加圧方向に対して直角方向への位置ず
    れを起させず、かつ相互に平行を保持して移動できるよ
    うにする構造部材と、前記各積層体基板に対する加圧力
    を調整する加圧力調整手段を設けたことを特徴とするセ
    ラミック電子回路基板の焼成装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のセラミック電子回路基板
    の焼成装置において、前記構造部材は、前記中間板にガ
    イド穴を設け、前記ガイド穴に挿設した少なくとも一対
    以上の相対するガイドピンと、前記ガイドピンを前記中
    間板および前記積層体基板に直角な方向に支持する支持
    部材とを具備し、前記加圧力調整手段は、前記ガイドピ
    ンと係合し、かつ前記ガイド穴を有する複数の中間板の
    少なくとも上下の各一層と当接する弾性部材とを具備し
    たことを特徴とするセラミック電子回路基板の焼成装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のセラミック電子回路基板
    の焼成装置において、前記弾性部材は、その弾性定数も
    しくはその長さのいずれかまたは両方を、前記ガイドピ
    ンごとに異なるように構成したことを特徴とするセラミ
    ック電子回路基板の焼成装置。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載のいずれかのセラ
    ミック電子回路基板の焼成装置において、前記挿設され
    た各ガイドピンが、前記各ガイド穴の内面との間で異な
    る摩擦力を発生させる摩擦力発生手段を有し、前記摩擦
    力発生手段は、前記中間板の各ガイド穴の内面粗さを異
    なるように構成したことを特徴とするセラミック電子回
    路基板の焼成装置。
  9. 【請求項9】 請求項6ないし8記載のいずれかのセラ
    ミック電子回路基板の焼成装置において、前記ガイドピ
    ンが独立に操作されるシリンダを備え、前記シリンダの
    駆動を油圧もしくはガス圧により行うことを特徴とする
    セラミック電子回路基板の焼成装置。
  10. 【請求項10】 セラミック絶縁層、導体層および有機
    バインダとからなる複数の多層セラミック積層体基板と
    寸法変化の少ない中間板とを交互に積み重ね、前記基板
    の表面に圧力を加え、前記被加圧面の焼成収縮を抑制し
    て焼成するセラミック電子回路基板の焼成方法におい
    て、前記中間板をそれぞれ複数の板材からなる多層構造と
    し、その一部に設けた偏圧防止層により、前記積層体基
    板に対する加圧力の面内分布を一様にし、前記偏圧防止
    層を、前記中間板と前記積層体基板との接触部分に設け
    ること を特徴とするセラミック電子回路基板の焼成方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のセラミック電子回路
    基板の焼成方法において、前記偏圧防止層の前記加圧力
    による厚さ変化量が、前記積層体基板の初期厚さとその
    上下に位置させた中間板厚さとの和の面内最大バラツキ
    幅より大きいことを特徴とするセラミック電子回路基板
    の焼成方法。
  12. 【請求項12】 請求項10記載のセラミック電子回路
    基板の焼成方法において、前記偏圧防止層の密度、ヤン
    グ率および硬度のうち少なくとも一つが、前記積層体基
    板のそれよりも小さく、前記偏圧防止層の気孔率が、前
    記積層体基板のそれよりも大きいことを特徴とするセラ
    ミック電子回路基板の焼成方法。
  13. 【請求項13】 請求項10ないし12記載のいずれか
    のセラミック電子回路基板の焼成方法において、前記偏
    圧防止層を、前記積層体基板材料の焼結温度よりも10
    0℃以上高いセラミックスと、有機バインダとを主成分
    とすることを特徴とするセラミック電子回路基板の焼成
    方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のセラミック電子回路
    基板の焼成方法において、前記有機バインダが、前記積
    層体基板に含まれる有機バインダよりも低温で軟化する
    材料もしくは前記積層体基板に含まれる有機バインダよ
    りもガラス転移点が低い材料であることを特徴とするセ
    ラミック電子回路基板の焼成方法。
  15. 【請求項15】 セラミック絶縁層、導体層および有機
    バインダとからなる複数の多層セラミック積層体基板と
    寸法変化の少ない中間板とを交互に積み重ね、前記基板
    の表面に圧力を加え、前記被加圧面の焼成収縮を抑制し
    て焼成するセラミック電子回路基板の焼成方法におい
    て、前記焼成時に、前記積層体基板に焼成ガスを供給しつ
    つ、そこから発生する焼 成ガスを排気し、前記焼成ガス
    の給排気を前記中間板の少なくとも一つに備えたガス通
    気用経路を介してなされること を特徴とするセラミック
    電子回路基板の焼成方法。
  16. 【請求項16】 セラミック絶縁層、導体層および有機
    バインダとからなる複数の多層セラミック積層体基板と
    寸法変化の少ない中間板とを交互に積み重ね、前記基板
    の表面に圧力を加え、前記被加圧面の焼成収縮を抑制し
    て焼成するセラミック電子回路基板の焼成方法におい
    て、前記中間板を前記積層体基板の加圧方向に対して直角方
    向への位置ずれを防ぎ、かつ加圧方向に相互の平行を保
    持しながら移動させることとし、前記各中間板および前
    記各積層体基板のいずれかもしくは両方の端部側面の位
    置をそろえて保持することにより、前記中間板の位置ず
    れを防止し、加圧方向への平行移動をおこなわせること
    を特徴とするセラミック電子回路基板の焼成方法。
  17. 【請求項17】 請求項16記載のセラミック電子回路
    基板の焼成方法において、前記加圧力を各積層体基板間
    で調整し、前記各積層体基板に同一加圧力が加わるよう
    に保持することを特徴とするセラミック電子回路基板の
    焼成方法。
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