JP3309863B2 - 中空糸状膜モジュールの製造方法 - Google Patents

中空糸状膜モジュールの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、様々な用途で使用され
ている中空糸状膜モジュールの製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】中空糸状膜モジュールは、単位容積当た
りの膜面積が大きく取れることから、逆浸透膜、限外濾
過膜、精密濾過膜、ガス分離膜等に多数使用されてい
る。中空糸状膜モジュールは、長さ200ないし300
0ミリメートル、膜外径0.1ないし5ミリメートルの
中空糸状膜を数百ないし数万本束ねてハウジングに収納
し、両側端部を熱硬化性樹脂で接着固定を行ない、端部
を切断、中空部を開口させることにより製造されてい
る。また、熱硬化性樹脂としては、2液性のエポキシ樹
脂が広く使われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】エポキシ樹脂を含む熱
硬化性樹脂は、硬化時に発熱し、使用量が多いと温度分
布を生じ、硬化後の樹脂内部に歪みを残す。また、硬化
収縮率の大きな樹脂では硬化後の収縮により、ハウジン
グと接着剤との間に剥離を生ずる等の問題もあった。そ
れらの問題を解決する手段として、特開昭60−232
207号公報では樹脂部に予め仕切り板を挿入した後樹
脂を投入する方法、特開昭60−147203号公報で
は接着部分を冷却する方法が開示されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
のうち、特に大量の樹脂を投入する場合と硬化前後の収
縮率の大きな樹脂についての残留歪み、ハウジングと樹
脂との間の剥離を生じない接着方法について鋭意研究し
た結果、本発明に到達した。即ち、本発明は多数本の中
空糸状膜よりなる束の両端をハウジングと異なる容器を
使用してエポキシアクリレート樹脂で接着固定した後、
ハウジングに収納し、中空糸状膜束とハウジングを接着
することを特徴とする中空糸状膜モジュールの製造方法
に関する。また、本発明は多数本の中空糸状膜よりなる
束の両端をあらかじめ接着したのち、その束を複数個ハ
ウジングに収納し、中空糸状膜束同士および中空糸状膜
束とハウジングを熱硬化性樹脂で接着することを特徴と
する中空糸状膜モジュールの製造方法に関する。
【0005】接着固定する中空糸状膜束の直径としては
12ないし200ミリメートルであれば接着可能で、熱
硬化性樹脂の硬化収縮率にもよるが12ないし75ミリ
メートルがより好適である。さらにモジュール径を大口
径にする場合には、12ないし200ミリメートルの両
端を接着固定した中空糸状膜束を複数束ねてハウジング
に収納し、接着固定することもできる。この場合、中空
糸状膜モジュール内の中空糸状膜束をあまり多く分割す
ると、単位容積当たりの膜面積が小さくなるため、通常
は2ないし10束が好ましい範囲である。
【0006】また、それぞれの両端が固定された中空糸
状膜束をプラスティック製の保護ネットで分割しておけ
ば、それぞれの中空糸状膜束の両端を接着固定する際に
中空糸状膜を傷つけることが少ないので、より製造収率
が向上する。本発明で使用される熱硬化性樹脂として
は、例えばエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、
アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。また、中
空糸状膜束の両端を接着固定する容器の断面形状として
は特に限定されず、例えば円、楕円、扇型、三角形、四
角形、六角形等の形状が挙げられる。
【0007】本発明で使用される中空糸状膜としては、
逆浸透膜、限外濾過膜、精密濾過膜、ガス分離膜等中空
糸状膜であればどの様な製法、材質のものでも使用で
き、例を挙げると、ポリアミド、スルホン化ポリフェニ
レンエーテル、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエ
ーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケ
トン、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリイミド、スルホン化ポリスルホン、パーフ
ルオロスルホン酸樹脂、パーフルオロカルボン酸樹脂、
ポリビニルアルコール等である。
【0008】また、本発明で使用されるハウジングとし
ては、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ステンレス等が
挙げられる。
【0009】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて、本発
明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限
定されるものではない。
【0010】
【実施例1】ポリエチレン製の中空糸状膜(内径0.7
ミリメートル、膜厚み0.3ミリメートル、有効長30
0ミリメートル)の多数本からなる中空糸状膜束の両端
に円柱状(内径22ミリメートル、高さ50ミリメート
ル)のシリコンゴム製の容器を装着し、遠心接着法によ
りエポキシアクリレート樹脂を注入した。エポキシアク
リレート樹脂が硬化した後、接着部をシリコンゴム製容
器から取外し、図1に示す様な両側端部が接着固定され
た中空糸状膜束を作製した。次にその中空糸状膜束を円
柱状のステンレス製ハウジング(内径25ミリメート
ル、長さ240ミリメートル)に収納し、中空糸状膜束
とハウジングをエポキシアクリレート樹脂により接着固
定した。硬化後、接着端部を切断し、図2に示す様な中
空糸状膜モジュールを作製した。同様のサンプルを合計
5サンプル作製した。それぞれの5サンプルの接着部を
観察したところ、5サンプルとも亀裂、剥離等は観察さ
れなかった。
【0011】
【実施例2】ポリスルホン製の中空糸状膜(内径0.8
ミリメートル、膜厚み0.3ミリメートル、有効長12
00ミリメートル)の多数本からなる中空糸状膜束の両
端に三角柱状(断面は一辺が72ミリメートルの正三角
形、高さ70ミリメートル)のポリエチレン製容器を装
着し、遠心接着法によりエポキシ樹脂を注入した。硬化
後、接着部をポリエチレン製容器から取り外し、図4に
示す様な両側端部が接着固定された中空糸状膜束を作製
した。同様なものを合計6個作製した。次に、ポリスル
ホン製のハウジング(内径150ミリメートル、長さ1
100ミリメートル)に6個全てを収納し、中空糸状膜
束とハウジング及び中空糸状膜束同士をエポキシ樹脂に
より接着固定した。硬化後、接着端部を切断し、図5に
示す様な中空糸状膜モジュールを作製した。同様のサン
プルを合計3サンプル作製した。作製した、3本の中空
糸状膜モジュールの接着部を観察したところ、3サンプ
ルとも亀裂、剥離は観察されなかった。また、この3本
の中空糸状膜モジュールに121℃のスチーム、15℃
の純水を交互に20分間隔で50回流した後に再度、接
着断面を観察したが、3サンプルとも亀裂、剥離は認め
られなかった。
【0012】
【比較例1】ポリエチレン製の中空糸状膜(内径0.7
ミリメートル、膜厚み0.3ミリメートル、有効長30
0ミリメートル)の多数本からなる中空糸状膜束を円柱
状のステンレス製ハウジング(内径25ミリメートル、
長さ240ミリメートル)に収納し、遠心接着法により
中空糸状膜束とハウジングをエポキシアクリレート樹脂
を使用して接着固定した。硬化後、接着端部を切断し、
図3に示す様な中空糸状膜モジュールを作製した。同様
に合計5サンプルを作製した。それぞれのモジュールの
接着部を観察したところ、5サンプルのうち、4サンプ
ルに接着断面の亀裂が観察され、そのうち1サンプルは
ハウジングと樹脂との間に一部剥離を生じていた。
【0013】
【比較例2】ポリスルホン製の中空糸状膜(内径0.8
ミリメートル、膜厚み0.3ミリメートル、有効長12
00ミリメートル)の多数本からなる中空糸状膜束を、
ポリスルホン製のハウジング(内径150ミリメート
ル、長さ1100ミリメートル)に収納し、中空糸状膜
束とハウジングをエポキシ樹脂により接着固定した。硬
化後、接着端部を切断し、図6に示す様な中空糸状膜モ
ジュールを作製した。同様に合計3サンプルを作製し
た。3本の中空糸状膜モジュールそれぞれの接着部を観
察したところ、3サンプルのうち、1サンプルに亀裂が
確認された。残りの2サンプルについて121℃のスチ
ーム、15℃の純水を交互に20分間隔で50回流した
後に再度、接着断面を観察したところ2サンプルとも亀
裂及び、剥離が観察された。
【0014】
【発明の効果】以上のように、本発明により今まで使用
不可能だったエポキシアクリレートのような硬化収縮率
の高い熱硬化性樹脂の使用が可能となり、又、中空糸状
束を適当な大きさに分割することによって、大口径のモ
ジュールの製造が可能となり、モジュールの製造収率を
向上できる。さらに、中空糸状膜モジュールの運転中に
生ずる接着固定部に起因する亀裂や剥離などのトラブル
を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の両側端部が接着固定された中空糸状
膜束の説明図。
【図2】実施例1の中空糸状膜モジュールの説明図。
【図3】比較例1の中空糸状膜モジュールの説明図。
【図4】実施例2の両側端部が接着固定された中空糸状
膜束の説明図。
【図5】実施例2の中空糸状膜モジュールの説明図。
【図6】比較例2の中空糸状膜モジュールの説明図。
【符号の説明】
1.中空糸状膜 2.接着固定部 3.モジュールハウジング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 63/02 B01D 63/00 500

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数本の中空糸状膜よりなる束の両端を
    断面形状が円、楕円、扇型、三角形、四角形、六角形で
    ある容器を使用してあらかじめ熱硬化性樹脂で接着した
    、その束の複数個ハウジングに収容し、中空糸状膜
    束同士および中空糸膜束とハウジングとを熱硬化性樹脂
    で接着することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 両端を接着固定された中空糸状膜束がプ
    ラスティック製の保護ネットにより分割されていること
    を特徴とする請求項に記載の中空糸膜モジュールの製
    造方法。
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