JP3307521B2 - シンクロトロン装置 - Google Patents

シンクロトロン装置

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JP3307521B2
JP3307521B2 JP14351795A JP14351795A JP3307521B2 JP 3307521 B2 JP3307521 B2 JP 3307521B2 JP 14351795 A JP14351795 A JP 14351795A JP 14351795 A JP14351795 A JP 14351795A JP 3307521 B2 JP3307521 B2 JP 3307521B2
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ion
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、物理や化学の学術研
究、または微細加工や診断治療等に用いられる荷電粒子
線用シンクロトロン装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図14は例えば分子科学研究所発行の
「UVSOR入射用シンクロトロンの設計」(1981
年3月)に示された従来のシンクロトロン装置の主要な
構成を示す平面図である。図14において、100aは
電子シンクロトロン装置、1は電子を偏向させて周回軌
道を得るための偏向電磁石1aと電子を収束または発散
させるための一対の多極電磁石1b及び1cを有する電
磁石、2aは電子用加速装置、3は電子線型加速器、4
は電子入射ビームライン、5aは電子用入射装置、6a
は電子用出射装置、7aは電磁石電源、8aは真空ダク
ト、9は電子出射ビームライン、10は電子ビーム利用
機器、11aは電磁石電源7aの励磁電流パターンを制
御する制御装置、17aは蛍光板モニターでなる電子用
ビームモニターである。
【0003】次に、上記構成に係る動作について、図1
5に示す電子シンクロトロン装置の励磁電流パターン例
及び加速周波数変化パターン例を参照して説明する。ま
ず、図14において、電子線型加速器3にて予備加速さ
れた電子線は、電子入射ビームライン4を通って電子用
入射装置5aから電子シンクロトロン装置に入射され
る。電子用入射装置5aは、電場または磁場の少なくと
も一方を用いた偏向力を電子に与える。この入射時に電
子用ビームモニター17aは電子軌道を観測する役割を
持つ。また、入射時に、電磁石1は入射電子線の運動量
に対応する磁場にそれぞれ電磁石電源7aを用いて励磁
される。このとき、電磁石電源7aから電磁石1には、
図15(a)に示すように、励磁電流Iinが供給され
る。
【0004】入射された電子線は、電子シンクロトロン
装置内部を周回しながら、電子用加速装置2aから供給
される高周波電場によって加速され、その運動量は出射
予定の値に増加される。この際、一般に、電子シンクロ
トロン装置内部では、電子線はほぼ光速に達しているた
め、図15(b)に示すように、電子用加速装置2aに
よる加速電場の周波数Fは1サイクル時間Tsを通して
一定でよい。
【0005】一方、電子線を真空ダクト8aの内部で周
回させるため、増加する電子線の運動量に対応して電磁
石電源7aから電磁石1への励磁電流を、図15(a)
に示すように、入射時の励磁電流Iinから出射時の励磁
電流Ioutまで増加させる。励磁電流が出射時の値Iout
に達して、電子線の運動量が出射予定の値に達した後
は、電子線を電子用出射装置6aへ導き、電子出射ビー
ムライン9を通して電子ビーム利用機器10に供給す
る。電子用出射装置6aは、電場または磁場の少なくと
も一方を用いた偏向力を電子に与える。
【0006】また、図16は例えば三菱電機発行の三菱
電機技報Vol.69、No.2に掲載されている「科
学技術庁放射線医学総合研究所 重粒子線がん治療装置
(HIMAC)」(1995年2月)に示された従来の
イオンシンクロトロン装置の主要な構成を示す平面図で
ある。図16において、100bはイオンシンクロトロ
ン装置、1はイオンを偏向させて周回軌道を得るための
偏向電磁石1dとイオンを収束または発散させるための
一対の多極電磁石1e及び1fを有する電磁石、2bは
イオン用加速装置、12はイオン線型加速器、13はイ
オン入射ビームライン、5bはイオン用入射装置、6b
はイオン用出射装置、7bは電磁石電源、8bは真空ダ
クト、14はイオン出射ビームライン、15はイオンビ
ーム利用機器、11bは電磁石電源7bの励磁電流パタ
ーンを制御する制御装置、17bは蛍光板モニターでな
るイオン用ビームモニターである。
【0007】次に、上記構成に係る動作について、図1
7に示すイオンシンクロトロン装置の励磁電流パターン
例及び加速周波数変化パターン例を参照して説明する。
図16において、イオン線型加速器12にて予備加速さ
れたイオン線は、イオン入射ビームライン14を通って
イオン用入射装置5bからイオンシンクロトロン装置に
入射される。イオン用入射装置5bは、電場または磁場
の少なくとも一方を用いた偏向力をイオンに与える。こ
の入射時にイオンビームモニター17bはイオン軌道を
観測する役割を持つ。また、入射時に、電磁石1は入射
イオン線の運動量に対応する磁場にそれぞれ電磁石電源
7bを用いて励磁される。このとき、電磁石電源7bか
ら電磁石1には、図17(a)に示すように、励磁電流
I'inが供給される。
【0008】入射されたイオン線は、イオンシンクロト
ロン装置内部を周回しながら、イオン用加速装置2bか
ら供給される高周波電場によって加速され、その運動量
は出射予定の値に増加される。この際、一般に、イオン
線はシンクロトロン内部で光速に達しておらず、加速に
伴ってイオンの周回周波数が増大するため、図17
(b)に示すように、加速電場の周波数を入射時の加速
周波数F'in から出射時の加速周波数F'outまで増加さ
せる必要がある。
【0009】一方、イオン線を真空ダクト8bの内部で
周回させるため、増加するイオン線の運動量に対応して
電磁石電源7bへの励磁電流を、図17(a)に示すよ
うに、入射時の励磁電流I'in から出射時の励磁電流
I'outまで増加させる。励磁電流が出射時の値I'outに
達して、イオン線の運動量が出射予定の値に達した後
は、イオン線をイオン用出射装置6bへ導き、イオン出
射ビームライン14を通してイオンビーム利用機器15
に供給する。イオン用出射装置6bは、電場または磁場
の少なくとも一方を用いた偏向力をイオンに与える。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のシンクロトロン
装置は以上のように構成されているため、電子及びイオ
ンの両方を加速して利用に供する場合、電子シンクロト
ロン装置100a及びイオンシンクロトロン装置100
bの両方を設置していたため、電磁石、電磁石電源、真
空ダクト等の構成機器を2台分製作せねばならず、装置
の製作・維持のためのコストがかかると共に、2台のシ
ンクロトロン装置を収納する建屋が大きくなるので、広
い敷地が必要であり、且つ建屋建設コストも膨大となる
等の問題があった。また、電子シンクロトロン装置10
0a及びイオンシンクロトロン装置100bを別々に設
置すると、加速された電子とイオンの利用を関連づけて
近接して行う必要が有る場合は、少なくとも一方の出射
ビームラインを長くしなければならないという問題もあ
った。
【0011】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、装置の製作・維持のためのコス
トを低減し、収納建屋の規模、敷地面積を縮小し、且つ
建屋建設コストを削減するとともに、電子とイオンの利
用を近接して行い易くすることができるシンクロトロン
装置を得ることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明に係るシンクロ
トロン装置は、電子及びイオンを周回させるための真空
ダクトと、この真空ダクト内に電子を入射するための電
子用入射装置と、上記真空ダクト内に入射した電子を加
速するための電子用加速装置と、加速した電子を真空ダ
クトから外部機器に出射するための電子用出射装置と、
上記真空ダクト内にイオンを入射するためのイオン用入
射装置と、上記真空ダクト内に入射したイオンを加速す
るためのイオン用加速装置と、加速したイオンを真空ダ
クトから外部機器に出射するためのイオン用出射装置
と、電子及びイオンをダクト内で周回させるための共用
の電磁石と、その電磁石に所定の励磁電流を供給するた
めの電源制御手段とを備えたものである。
【0013】また、上記真空ダクト内を周回する電子の
軌道接線方向に電子から放射される軌道放射光を取り出
すための放射光取り出しポートを設けたことを特徴とす
るものである。
【0014】また、上記電子用加速装置と上記イオン用
加速装置とを単一の加速装置で構成し、上記真空ダクト
内に入射した電子及びイオンを加速するのに共用するこ
とを特徴とするものである。
【0015】また、上記電源制御手段は、イオン利用時
に、電磁石の励磁極性を電子利用時とは反対側に切り換
える極性切換器を備えて、イオンの周回方向を電子の周
回方向と同一にすることを特徴とするものである。
【0016】また、上記電子用入射装置と上記イオン用
入射装置とを単一の入射装置で構成し、上記真空ダクト
内に電子及びイオンを入射するのに共用すると共に、こ
の単一の入射装置に電子またはイオンを入射させる入射
ビームライン上に電子とイオンの入射切り換えを行う入
射切換手段を備えたことを特徴とするものである。
【0017】また、上記電子用出射装置と上記イオン用
出射装置とを単一の出射装置で構成し、上記真空ダクト
内で加速した電子及びイオンを外部機器に出射させるの
に共用すると共に、この単一の出射装置から出射された
電子及びイオンの出射切り換えを行う出射切換手段を備
えたことを特徴とするものである。
【0018】また、上記電子用入射装置に入射される電
子を陽電子に変換して入射させる陽電子変換手段を備
え、上記真空ダクト、上記電子用入射装置、上記電子用
加速装置、上記電子用出射装置及び上記電磁石を、電子
利用に代えて陽電子利用に供することを特徴とするもの
である。
【0019】また、上記電子用出射装置から出射される
電子を入射して蓄積する電子蓄積リングを有し該電子蓄
積リングから放射される軌道放射光を用いた患部を診断
する診断装置と、上記イオン用出射装置から出射される
イオンを患部に照射して治療を行う治療装置とをさらに
備えたことを特徴とするものである。
【0020】さらに、上記真空ダクト内で加速する粒子
12+6と電子であり、炭素イオンの最大加速エネルギ
ーを320MeV/uとすると共に、電子の最大加速エ
ネルギーを1.68GeVとしたことを特徴とするもの
である。
【0021】
【作用】この発明に係るシンクロトロン装置において
は、電子及びイオンを周回させるための真空ダクトと、
この真空ダクト内に電子を入射するための電子用入射装
置と、上記真空ダクト内に入射した電子を加速するため
の電子用加速装置と、加速した電子を真空ダクトから外
部機器に出射するための電子用出射装置と、上記真空ダ
クト内にイオンを入射するためのイオン用入射装置と、
上記真空ダクト内に入射したイオンを加速するためのイ
オン用加速装置と、加速したイオンを真空ダクトから外
部機器に出射するためのイオン用出射装置と、電子及び
イオンをダクト内で周回させるための共用の電磁石と、
その電磁石に所定の励磁電流を供給するための電源制御
手段とを備え、電子とイオンを一台のシンクロトロン装
置に入射、加速し、出射電子線及び出射イオン線それぞ
れを利用に供することにより、建屋規模を抑え、装置及
び建屋の製作・維持費を低減させ、かつ加速された電子
及びイオンの近接利用を容易にする。
【0022】また、上記真空ダクト内を周回する電子の
軌道接線方向に電子から放射される軌道放射光を取り出
すための放射光取り出しポートを設けたことにより、シ
ンクロトロン装置を放射光装置としても兼用することが
でき、建屋規模を抑え、装置及び建屋の製作・維持費を
低減させる。
【0023】また、上記電子用加速装置と上記イオン用
加速装置とを単一の加速装置で構成し、上記真空ダクト
内に入射した電子及びイオンを加速するのに共用するこ
とにより、加速装置の費用を低減し、かつより小型のシ
ンクロトロン装置とすることができ、建屋規模を抑え、
建屋の製作・維持費を低減させる。
【0024】また、上記電源制御手段により、イオン利
用時に、電磁石の励磁極性を電子利用時とは反対側に切
り換える極性切換器を備えて、イオンの周回方向を電子
の周回方向と同一にすることにより、電子とイオンの入
射ビームラインの配置上の干渉、出射ビームライン配置
上の干渉を小さくでき、建屋規模を抑え、建屋の製作・
維持費を低減させかつ、電子及びイオンの近接利用を容
易にすると共に、ビームモニターを電子とイオンで共用
とし、安価なシンクロトロン装置を得る。
【0025】また、上記電子用入射装置と上記イオン用
入射装置とを単一の入射装置で構成し、上記真空ダクト
内に電子及びイオンを入射するのに共用すると共に、こ
の単一の入射装置に電子またはイオンを入射させる入射
ビームライン上に電子とイオンの入射切り換えを行う入
射切換手段を備えたことにより、入射装置の設置費用を
低減し、かつより小型のシンクロトロン装置とすること
ができ、建屋規模を抑え、建屋の製作・維持費を低減さ
せる。
【0026】また、上記電子用出射装置と上記イオン用
出射装置とを単一の出射装置で構成し、上記真空ダクト
内で加速した電子及びイオンを外部機器に出射させるの
に共用すると共に、この単一の出射装置から出射された
電子及びイオンの出射切り換えを行う出射切換手段を備
えたことにより、出射装置の設置費用を低減し、かつよ
り小型のシンクロトロン装置とすることができ、建屋規
模を抑え、建屋の製作・維持費を低減させ、かつ電子ビ
ーム利用機器とイオンビーム利用機器を近接配置できる
ので両者を関連づけた利用を容易に行うことが可能とな
る。
【0027】また、上記電子用入射装置に入射される電
子を陽電子に変換して入射させる陽電子変換手段を備
え、上記真空ダクト、上記電子用入射装置、上記電子用
加速装置、上記電子用出射装置及び上記電磁石を、電子
利用に代えて陽電子利用に供することにより、陽電子と
イオンを一台のシンクロトロン装置に入射、加速し、出
射電子線及び出射イオン線それぞれを利用に供すること
ができ、電磁石の励磁電流を反転させる装置を設けるこ
となく、イオンと電子の周回方向を同一とすることがで
き、建屋規模を抑えることができる。
【0028】また、上記電子用出射装置から出射される
電子を入射して蓄積する電子蓄積リングを有し該電子蓄
積リングから放射される軌道放射光を用いた患部を診断
する診断装置と、上記イオン用出射装置から出射される
イオンを患部に照射して治療を行う治療装置とをさらに
備えたことにより、容易に診断と治療を関連づけて近接
して行うことができる。
【0029】さらに、上記真空ダクト内で加速する粒子
12+6と電子であり、炭素イオンの最大加速エネルギ
ーを320MeV/uとすると共に、電子の最大加速エ
ネルギーを1.68GeVとしたことにより、1台のシ
ンクロトロン装置で、その出射炭素イオンを用いて体内
飛程20cmのがん治療装置、及び出射電子を用いて概
ね数十keV以下のエネルギーの放射光を利用に供する
放射光装置として利用でき、少なくともシンクロトロン
装置1台分の電磁石、電磁石電源、真空ダクトが削減で
き、シンクロトロン装置1台分の建屋スペースを減じる
ことができる。
【0030】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図について説明
する。図1と図2はこの発明の実施例1に係るシンクロ
トロン装置を示す平面図と鳥瞰図である。これら図にお
いて、100はシンクロトロン装置、1は電子及びイオ
ンを偏向させて周回起動を得るための偏向電磁石1gと
電子及びイオンを収束または発散させるための一対の多
極電磁石1h、1iを有する電磁石、2aは電子用加速
装置、2bはイオン用加速装置、3は電子線型加速器、
4は電子線型加速器3により予備加速されて入射される
電子入射ビームライン、5aは電子を電子入射ビームラ
インからシンクロトロン装置に入射させる電子用入射装
置、5bはイオンをイオン入射ビームラインからシンク
ロトロン装置に入射させるイオン用入射装置、6aは電
子線を出射させる電子用出射装置、6bはイオン線を出
射させるイオン用出射装置である。
【0031】また、7は上記電磁石1を励磁する電磁石
電源、8は電子及びイオンが周回するための真空ダク
ト、9は上記電子用出射装置6aから出射された電子出
射ビームライン、10はその電子出射ビームライン9を
利用する電子ビーム利用機器、11は上記電磁石電源7
の励磁電流パターンを制御する制御装置、12はイオン
線型加速器、13はイオン線型加速器12により予備加
速されて入射されるイオン入射ビームライン、14は上
記イオン用出射装置6bから出射されたイオン出射ビー
ムライン、15はそのイオン出射ビームライン14を利
用するイオンビーム利用機器、17aと17bは入射時
の電子軌道とイオン軌道をそれぞれ観測するための蛍光
板モニターでなる電子用ビームモニターとイオン用ビー
ムモニターである。
【0032】次に上記構成に係る動作について説明す
る。まず、電子をシンクロトロン装置100に入射、加
速、出射して利用に供する手順は、図14の従来のシン
クロトロン装置100aについて説明した手順と同様で
ある。すなわち、電子線型加速器3により予備加速され
た電子線は、電子入射ビームライン4から電子用入射装
置5aを通って真空ダクト8の中に入射される。この
際、電子用入射装置5aは電場または磁場の少なくとも
一方を用いた偏向力を電子に与える。この入射時に電子
用ビームモニター17aを用いて電子軌道(位置)を確
認することができる。また、電磁石電源7により電磁石
1の磁場を増大させつつ、入射電子を電子用加速装置2
aによって所定の運動量に加速した後、電子用出射装置
6aを通して電子出射ビームライン9を出射し、電子ビ
ーム利用機器10に使用する。
【0033】この時、イオン用加速装置2bは停止させ
ておく。また、制御装置11による電磁石電源7の励磁
電流パターン及び電子用加速装置2aの電場周波数パタ
ーンは、図15(a)、(b)に示した従来例と同じで
ある。
【0034】次に、イオンをシンクロトロン装置100
に入射、加速、出射して利用に供する手順は、図16に
示す従来のシンクロトロン装置100bについて説明し
た手順と同様である。すなわち、イオン線型加速器12
により予備加速されたイオン線は、イオン入射ビームラ
イン13からイオン用入射装置5bを通って真空ダクト
8の中に入射される。この際、イオン用入射装置5bは
電場または磁場の少なくとも一方を用いた偏向力をイオ
ンに与える。この入射時にイオン用ビームモニター17
bを用いてイオン軌道(位置)を確認することができ
る。また、電磁石電源7により電磁石1の磁場を増大さ
せつつ、入射イオンを、イオン用加速装置2bによって
所定の運動量に加速した後、イオン用出射装置6bを通
してイオン出射ビームライン14を出射し、イオンビー
ム利用機器15で使用する。
【0035】この時、電子用加速装置2aは停止させて
おく。また、制御装置11による電磁石電源7の励磁電
流パターン及びイオン用加速装置2bの電場周波数パタ
ーンは、図17(a)、(b)に示した従来例と同じで
ある。また、ここで、電磁石1、電磁石電源7、真空ダ
クト8、制御装置11は電子と共用であり、電磁石電源
7の励磁電流パターンの電子加速時とイオン加速時の切
り替えは、制御装置11から指令される。さらに、加速
されるイオンは、一般に正イオンであるので、イオンは
電子と逆方向に周回される。
【0036】上述したように、上記実施例1によれば、
電子及びイオンを周回させるための電磁石1、電磁石電
源7、真空ダクト8、及び制御装置11を共用した構成
により、電子とイオンの両方を加速することができるシ
ンクロトロン装置を得られ、コスト、スペースを削減で
きると共に、電子とイオンを近接位置で利用できる効果
がある。
【0037】なお、この実施例1では、入射用の前段加
速器として、電子には電子線型加速器3、イオンにはイ
オン線型加速器12を掲げたが、電子の場合は、マイク
ロトロン、シンクロトロンでもよく、イオンの場合は、
静電加速器、サイクロトロン、シンクロトロンでもよ
い。また、イオンとして正イオンの例と示すものである
が、負イオンでも同様の効果を奏する。但し、その場
合、イオンと電子の周回方向が同じとなる。
【0038】実施例2.次に、図3は実施例2に係るシ
ンクロトロン装置を示す平面図である。図3において、
図1及び図2に示す実施例1と同一部分は同一符号を付
し、その説明は省略する。新たな符号として、16は真
空ダクト8中での電子の周回時にその軌道接線方向に電
子から放射される放射光を取り出すための放射光利用ポ
ートである。すなわち、この実施例2では、電子線利用
とイオン線利用の他に、放射光利用を行うもので、3種
類の利用を1台のシンクロトロン装置で近接して行うも
のである。
【0039】次に動作について説明する。図3におい
て、電子入射ビームライン4から電子用入射装置5aを
通ってシンクロトロン装置100に入射された電子は、
電子用加速装置2aによって所定の運動量まで加速され
る。この間、電磁石1の磁場を電子の運動量に対応させ
て増加させることにより、電子は真空ダクト8の中を加
速されながら周回するのは実施例1と同様である。
【0040】この後、電磁石1の磁場を一定に保つこと
により、電子は真空ダクト8内で周回しながらその軌道
接線方向に軌道放射光を放射する。この放射光を放射光
ポート16から取り出し利用に供する。このような放射
光利用運転時は、制御装置11から電磁石電源7に図4
に示す励磁電流パターンを指令することにより実現され
る。
【0041】すなわち、制御装置11は、入射時に、電
磁石電源7から電磁石1に励磁電流Iinを供給して、入
射電子線の運動量に対応する磁場に励磁する。そして、
入射電子線を真空ダクト8の内部で周回させるため、増
加する電子線の運動量に対応して電磁石電源7から電磁
石1への励磁電流を、入射時の励磁電流Iinから蓄積時
の励磁電流Istr まで増加させる。励磁電流が蓄積時の
値Istr となり、電子線の運動量が蓄積予定の値に達し
た後は、励磁電流をIstr に一定に保つようにして電子
蓄積モードを実行する。
【0042】この実施例2に係るシンクロトロン装置で
は、上述した電子蓄積モードの他、実施例1に示したよ
うに、電磁石電源7の励磁電流パターン、電子用加速装
置2a、イオン用加速装置2bの動作条件等を変更する
ことにより、電子出射モードまたはイオン出射モードに
切り替えて動作させることも可能であり、より少ないコ
スト及びスペースで、放射光利用、電子線利用、イオン
線利用を行えるとともに、これら3種類の利用を近接し
て行うことができる。
【0043】なお、実施例2では、放射光利用、電子線
利用、イオン線利用を1台のシンクロトロン装置で実現
する場合について述べたが、電子用出射装置6a、電子
出射用ビームライン9を設けない場合においても、より
少ないコスト、スペースで放射光利用、イオン線利用を
行う兼用シンクロトロン装置が得られるれるとともに、
放射光利用及びイオン線利用を近接して行うことができ
る。
【0044】実施例3.次に、図5は実施例3に係るシ
ンクロトロン装置を示す平面図である。図5において、
図1及び図2に示す実施例1と同一部分は同一符号を付
し、その説明は省略する。新たな符号として、2は電子
及びイオン兼用の加速装置を示し、この実施例3におい
ては、実施例1の電子用加速装置2aとイオン用加速装
置2bを兼用した加速装置2により、さらにより少ない
スペース及びコストで電子線利用とイオン線利用を図る
ものである。
【0045】次に動作について説明する。まず、電子を
加速する場合は、図15(b)に示す周波数変化パター
ン、イオンを加速する場合は、図17(b)に示す周波
数変化パターンで、それぞれ加速装置2を動作させる。
その他の動作は実施例1と同様である。このことによ
り、加速装置を2台設けることなく、電子、イオン双方
を加速でき、より少ないコスト、スペースで、電子線利
用、イオン線利用を行えるとともに、これら両者の利用
を近接して行うことができる電子、イオン兼用のシンク
ロトロン装置を得る効果がある。
【0046】実施例4.次に、図6は実施例4に係るシ
ンクロトロン装置を示す平面図である。図6において、
新たな符号として、17は蛍光板モニターでなるビーム
モニター、18はイオン利用時に電磁石1の励磁極性を
電子利用時とは反対側に切り換える極性切換器である。
【0047】次に動作について説明する。まず、電子を
シンクロトロン装置100に入射、加速、出射して利用
に供する手順は、実施例1のシンクロトロン装置100
について説明した手順と同様である。次に、イオンを利
用する場合の動作について説明する。図6において、イ
オンを利用する場合は、制御装置11からの指令により
極性切換器18を動作させ、電磁石電源7から電磁石1
までのケーブルの極性を電子を利用する場合と反対に切
り換える。
【0048】このことにより、イオンの場合と電子の場
合で周回方向を同一にすることができる。この後、イオ
ンをシンクロトロン装置100に入射、加速、出射して
利用に供する手順は、実施例1のシンクロトロン装置1
00について説明した手順と同様である。
【0049】以上述べた方法でイオンの場合と電子の場
合で周回方向を同一にすることができるので、電子とイ
オンの入射ビームラインの配置上の干渉、出射ビームラ
イン配置上の干渉を小さくでき、建屋規模を抑え、建屋
の製作・維持費を低減させかつ、電子及びイオンの近接
利用を容易にするものである。また、周回方向が同一で
あることから、ビームモニター17を電子とイオンで共
用とし、ビームモニター17の設置数を削減でき、より
安価な装置とする効果がある。
【0050】なお、実施例4では、電磁石1の励磁極性
を極性切換器18を用いて切り換えたが、電磁石電源7
を両極性にて製作することにより同様の効果が得られ
る。また、共用できるビームモニター17として蛍光板
モニターを実施例として掲げたが、例えばCT(カレン
トトランス)のように、イオン、電子の双方に使用可能
であるが、粒子の周回する方向によって方向性があるビ
ームモニターについても本例と同様の効果がある。
【0051】実施例5.次に、図7は実施例5に係るシ
ンクロトロン装置を示す平面図である。図7において、
新たな符号として、5は電子及びイオン共用の入射装
置、19は入射装置5に電子またはイオンを入射させる
入射ビームライン上に電子とイオンの入射切り換えを行
う入射ビーム切換え電磁石である。
【0052】次に動作について説明する。上述した実施
例4と同様の方法を用い、電子とイオンの周回方向を同
じする。電子を入射する際は、入射装置5における電場
または磁場の少なくとも一方を用いた偏向力を入射電子
の運動量に対応した値に設定し、入射装置5を経て電子
入射ビームラインから真空ダクト8内に電子を入射す
る。この後の動作は実施例4と同様である。
【0053】イオンを入射する際は、入射装置5におけ
る電場または磁場の少なくとも一方を用いた偏向力を入
射イオンの運動量に対応した値に設定するとともに、入
射ビーム切換え電磁石19を励磁し、イオン入射ビーム
ライン13から入射装置5を経て電子入射ビームライン
から真空ダクト8内に電子を入射する。この後の動作は
実施例4と同様である。
【0054】この実施例5では、入射装置5を電子とイ
オンと共用することができ、安価なシンクロトロン装置
を提供する。また、両者の入射ビームライン4及び13
を近接配置できるので、建屋スペースの小さいシンクロ
トロン装置を提供することができる。
【0055】なお、この実施例5では電子の入射ビーム
ライン4に入射切換え電磁石19を設置した例について
示したが、イオンの入射ビームライン13に入射切換え
電磁石19を設置しても同様の効果を奏する。また、電
子の入射ビームライン4とイオンの入射ビームライン1
3の切り換えに、入射切換え電磁石19を設置した例に
ついて示したが、入射切換えに電場を用いても同様の効
果を奏する。
【0056】実施例6.次に、図8は実施例6に係るシ
ンクロトロン装置を示す平面図である。図8において、
新たな符号として、6は電子及びイオン共用の出射装
置、20は出射装置6から出射された電子及びイオンの
出射切り換えを行う出射ビーム切換え電磁石である。
【0057】次に動作について説明する。実施例4と同
様の方法を用い、電子とイオンの周回方向を同じする。
電子及びイオンを入射、加速する動作も、実施例4と同
様である。また、加速した電子を出射する際は、出射装
置6における電場または磁場の少なくとも一方を用いた
偏向力を出射電子の運動量に対応した値に設定し、出射
装置6を用いて電子を出射ビームライン9出射にし電子
ビーム利用機器で利用に供する。
【0058】イオンを出射する際は、出射装置5におけ
る電場または磁場の少なくとも一方を用いた偏向力を入
射イオンの運動量に対応した値に設定するとともに、出
射ビーム切換え電磁石20を励磁し、出射イオンをイオ
ン出射ビームライン14からイオンビーム利用機器で利
用に供する。
【0059】この実施例6では、出射装置6を電子とイ
オンと共用することでき、安価なシンクロトロン装置を
提供する。また、両者の出射ビームライン4及び13を
近接配置できるので、建屋スペースの小さく、電子とイ
オンを近接位置で利用できるシンクロトロン装置を提供
することができる。さらに、電子ビーム利用機器10と
イオンビーム利用機器15を近接配置できるので、両者
を関連づけた利用を容易に行うことが可能となる効果が
ある。
【0060】実施例7.次に、図9は実施例7に係るシ
ンクロトロン装置を示す平面図である。図9において、
新たな符号として、21は電子用入射装置5aに入射さ
れる電子を陽電子に変換する陽電子発生装置である。
【0061】次に動作について説明する。まず、イオン
をシンクロトロン装置100に入射、加速、出射して利
用に供する手順は、実施例1のシンクロトロン装置10
0について説明した手順と同様である。次に、陽電子を
利用する場合の動作について説明する。図9において、
電子線形加速器3の下流に陽電子発生装置21を置くこ
とにより、電子は陽電子に変換される。ここで、陽電子
は正電荷を持っているので、イオンの場合と陽電子の場
合で周回方向が同一になる。この後、陽電子をシンクロ
トロン装置100に入射、加速、出射して利用に供する
手順は、実施例1のシンクロトロン装置100について
電子の場合で説明した手順と同様である。
【0062】以上述べた方法で、極性切換器を用いるこ
となく、イオンの場合と電子の場合で周回方向を同一に
することができるので、電子とイオンの入射ビームライ
ンの配置上の干渉、出射ビームライン配置上の干渉を小
さくでき、建屋規模を抑え、建屋の製作・維持費を低減
させかつ、電子及びイオンの近接利用を容易にできる。
【0063】また、陽電子を利用機器10で利用する方
法として陽電子を蓄積し、放射光装置とした場合は、陽
電子は電子より放射光装置内の残留ガスに影響されにく
いので電子の放射光装置より、蓄積時の陽電子の保持時
間(即ち放射光の利用時間)が長くできる利点もある。
【0064】実施例8.次に、図10は実施例8に係る
シンクロトロン装置を示す平面図である。図10におい
て、新たな符号として、22は電子用出射装置6aから
出射される電子を入射して蓄積する電子蓄積リングを有
し該蓄積リングから放射される軌道放射光を用いて患部
を診断する診断装置としてのアンギオグラフィ装置、2
3はイオン用出射装置6bから出射されるイオンを患部
に照射して治療を行う治療装置としてのイオン線がん治
療装置である。
【0065】次に動作について説明する。電子及びイオ
ンをシンクロトロン装置100に入射、加速、出射して
利用に供する手順は、実施例1のシンクロトロン装置1
00について説明した手順と同様である。電子ビーム利
用機器として電子の軌道放射光を用いたアンギオグラフ
ィ装置22を設置する。このアンギオグラフィ装置22
では電子を用いた放射光装置から放射される30keV
付近の放射光(X線)を用いて動脈等の診察を行う。一
方、イオンビーム利用装置としてイオン線がん治療装置
23を設置する。このイオン線がん治療装置23ではイ
オン線をがんに照射し、がんを死滅させることによりが
ん治療を行う。
【0066】この実施例8によれば、それぞれ診断と治
療ができるアンギオグラフィ装置22とがん治療装置2
3の医療装置を1台のシンクロトロン装置で実現でき、
かつ近接して配置できるため、低コスト、小スペースで
容易に診断、治療ができる装置を得ることができる。
【0067】なお、電子の医療応用としてアンギオグラ
フィ装置22を用いたが、単色X線CT装置による診断
等、放射光を用いた他の診断装置としても同様の効果を
奏する。
【0068】実施例9.次に、図11は実施例9に係る
シンクロトロン装置を示す平面図である。図11に示す
シンクロトロン装置は、図1に示す実施例1のシンクロ
トロン装置と同一構成であるが、真空ダクト8内で加速
する粒子が12+6と電子であり、炭素イオンの最大加速
エネルギーを320MeV/uとすると共に、電子の最
大加速エネルギーを1.68GeVとする点が異なる。
【0069】また、図12は実施例9の装置から出射さ
れる電子を用いた放射光装置から放出される放射光のス
ペクトル分布を示すグラフ、図13はイオン線のエネル
ギーと人体内の飛程を表すグラフである。
【0070】次に動作について説明する。図11におい
て、電子及びイオンをシンクロトロン装置100に入
射、加速、出射して利用に供する手順は、実施例1のシ
ンクロトロン装置100について説明した手順と同様で
ある。ここで、電子の最大加速エネルギーを1.68G
eVとすることにより、シンクロトロン装置100の電
磁石1の偏向電磁石1gに要求される磁場堅さは5.5
9T・mとなる。エネルギー1.68GeVの電子を用
いた放射光装置から放出される放射光のスペクトル分布
は図11のとおりであり、概ね数十keV以下のエネル
ギーの放射光を利用に供することができ、例えば33k
eVの放射光を用いるアンギオグラフィ装置を実現する
ことができる。
【0071】一方、炭素イオン12+6の最大加速エネル
ギーを320MeV/uとすることにより、シンクロト
ロン装置100の電磁石1の偏向電磁石1gに要求され
る磁場堅さは前記の電子の場合と同じ5.59T・mと
なり、電子と同じ最大励磁電流で電磁石1を励磁するこ
ととできる。また、最大加速エネルギー320MeV/
uの炭素イオン線の人体における飛程は、図13に示す
ように、約20cmであるので、体内深さ20cmまで
のがんを治療するがん治療装置を設けて、炭素イオンを
利用に供することができ、電子と炭素イオンを1台のシ
ンクロトロン装置で有効に利用できる装置を実現でき
る。
【0072】このように、実施例9によれば、1台のシ
ンクロトロン装置で、その出射炭素イオンを用いて体内
飛程20cmのがん治療装置、及び出射電子を用いて概
ね数十keV以下のエネルギーの放射光を利用に供する
放射光装置として利用でき、少なくともシンクロトロン
装置1台分の電磁石、電磁石電源、真空ダクトが削減で
き、シンクロトロン装置1台分の建屋スペースを減じる
ことができるという効果がある。
【0073】
【発明の効果】以上のように、この発明に係るシンクロ
トロン装置によれば、電子及びイオンを周回させるため
の真空ダクトと、この真空ダクト内に電子を入射するた
めの電子用入射装置と、上記真空ダクト内に入射した電
子を加速するための電子用加速装置と、加速した電子を
真空ダクトから外部機器に出射するための電子用出射装
置と、上記真空ダクト内にイオンを入射するためのイオ
ン用入射装置と、上記真空ダクト内に入射したイオンを
加速するためのイオン用加速装置と、加速したイオンを
真空ダクトから外部機器に出射するためのイオン用出射
装置と、電子及びイオンをダクト内で周回させるための
共用の電磁石と、その電磁石に所定の励磁電流を供給す
るための電源制御手段とを備え、電子とイオンを一台の
シンクロトロン装置に入射、加速し、出射電子線及び出
射イオン線それぞれを利用に供することにより、建屋規
模を抑え、装置及び建屋の製作・維持費を低減させ、か
つ加速された電子及びイオンの近接利用を容易にするこ
とができるという効果がある。
【0074】また、上記真空ダクト内を周回する電子の
軌道接線方向に電子から放射される軌道放射光を取り出
すための放射光取り出しポートを設けたことにより、シ
ンクロトロン装置を放射光装置としても兼用することが
でき、建屋規模を抑え、装置及び建屋の製作・維持費を
低減させることができるという効果がある。
【0075】また、上記電子用加速装置と上記イオン用
加速装置とを単一の加速装置で構成し、上記真空ダクト
内に入射した電子及びイオンを加速するのに共用するこ
とにより、加速装置の費用を低減し、かつより小型のシ
ンクロトロン装置とすることができ、建屋規模を抑え、
建屋の製作・維持費を低減させることができるという効
果がある。
【0076】また、上記電源制御手段により、イオン利
用時に、電磁石の励磁極性を電子利用時とは反対側に切
り換える極性切換器を備えて、イオンの周回方向を電子
の周回方向と同一にすることにより、電子とイオンの入
射ビームラインの配置上の干渉、出射ビームライン配置
上の干渉を小さくでき、建屋規模を抑え、建屋の製作・
維持費を低減させかつ、電子及びイオンの近接利用を容
易にすると共に、ビームモニターを電子とイオンで共用
とし、安価なシンクロトロン装置を得ることができると
いう効果がある。
【0077】また、上記電子用入射装置と上記イオン用
入射装置とを単一の入射装置で構成し、上記真空ダクト
内に電子及びイオンを入射するのに共用すると共に、こ
の単一の入射装置に電子またはイオンを入射させる入射
ビームライン上に電子とイオンの入射切り換えを行う入
射切換手段を備えたことにより、入射装置の設置費用を
低減し、かつより小型のシンクロトロン装置とすること
ができ、建屋規模を抑え、建屋の製作・維持費を低減さ
せることができるという効果がある。
【0078】また、上記電子用出射装置と上記イオン用
出射装置とを単一の出射装置で構成し、上記真空ダクト
内で加速した電子及びイオンを外部機器に出射させるの
に共用すると共に、この単一の出射装置から出射された
電子及びイオンの出射切り換えを行う出射切換手段を備
えたことにより、出射装置の設置費用を低減し、かつよ
り小型のシンクロトロン装置とすることができ、建屋規
模を抑え、建屋の製作・維持費を低減させ、かつ電子ビ
ーム利用機器とイオンビーム利用機器を近接配置できる
ので両者を関連づけた利用を容易に行うことが可能とな
るという効果がある。
【0079】また、上記電子用入射装置に入射される電
子を陽電子に変換して入射させる陽電子変換手段を備
え、上記真空ダクト、上記電子用入射装置、上記電子用
加速装置、上記電子用出射装置及び上記電磁石を、電子
利用に代えて陽電子利用に供することにより、陽電子と
イオンを一台のシンクロトロン装置に入射、加速し、出
射電子線及び出射イオン線それぞれを利用に供すること
ができ、電磁石の励磁電流を反転させる装置を設けるこ
となく、イオンと電子の周回方向を同一とすることがで
き、建屋規模を抑えることができるという効果がある。
【0080】また、上記電子用出射装置から出射される
電子を入射して蓄積する電子蓄積リングを有し該電子蓄
積リングから放射される軌道放射光を用いた患部を診断
する診断装置と、上記イオン用出射装置から出射される
イオンを患部に照射して治療を行う治療装置とをさらに
備えたことにより、容易に診断と治療を関連づけて近接
して行うことができるという効果がある。
【0081】さらに、上記真空ダクト内で加速する粒子
12+6と電子であり、炭素イオンの最大加速エネルギ
ーを320MeV/uとすると共に、電子の最大加速エ
ネルギーを1.68GeVとしたことにより、1台のシ
ンクロトロン装置で、その出射炭素イオンを用いて体内
飛程20cmのがん治療装置、及び出射電子を用いて概
ね数十keV以下のエネルギーの放射光を利用に供する
放射光装置として利用でき、少なくともシンクロトロン
装置1台分の電磁石、電磁石電源、真空ダクトが削減で
き、シンクロトロン装置1台分の建屋スペースを減じる
ことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1に係るシンクロトロン装
置を示す平面図である。
【図2】 この発明の実施例1に係るシンクロトロン装
置を示す鳥瞰図である。
【図3】 この発明の実施例2に係るシンクロトロン装
置を示す平面図である。
【図4】 この発明の実施例2に係るシンクロトロン装
置の放射光利用運転時の電磁石電源の励磁電流パターン
図である。
【図5】 この発明の実施例3に係るシンクロトロン装
置を示す平面図である。
【図6】 この発明の実施例4に係るシンクロトロン装
置を示す平面図である。
【図7】 この発明の実施例5に係るシンクロトロン装
置を示す平面図である。
【図8】 この発明の実施例6に係るシンクロトロン装
置を示す平面図である。
【図9】 この発明の実施例7に係るシンクロトロン装
置を示す平面図である。
【図10】 この発明の実施例8に係るシンクロトロン
装置を示す平面図である。
【図11】 この発明の実施例9に係るシンクロトロン
装置を示す平面図である。
【図12】 この発明の実施例9に係るシンクロトロン
装置から出射される電子を用いた放射光装置から放出さ
れる放射光のスペクトル分布を示す説明図である。
【図13】 この発明の実施例9に係るシンクロトロン
装置から出射されるイオン線のエネルギーと人体内の飛
程を表す説明図である。
【図14】 従来の電子シンクロトロン装置を示す平面
図である。
【図15】 従来の電子シンクロトロン装置における電
磁石電源の励磁電流パターン及び加速周波数変化パター
ンの説明図である。
【図16】 従来のイオンシンクロトロン装置を示す平
面図である。
【図17】 従来のイオンシンクロトロン装置における
電磁石電源の励磁電流パターン及び加速周波数変化パタ
ーンの説明図である。
【符号の説明】
1 電磁石、1g 偏向電磁石、1h、1i 多極電磁
石、2a 電子用加速装置、2b イオン用加速装置、
2 加速装置、3 電子線型加速器、4 電子入射ビー
ムライン、5a 電子用入射装置、5b イオン用入射
装置、5 入射装置、6a 電子用出射装置、6b イ
オン用出射装置、6 出射装置、7 電磁石電源、8
真空ダクト、9 電子出射ビームライン、10 電子ビ
ーム利用機器、11 制御装置、12 イオン線型加速
器、13 イオン入射ビームライン、14 イオン出射
ビームライン、15 イオンビーム利用機器、16 放
射光利用ポート、17a 電子用ビームモニター、17
b イオン用ビームモニター、18 極性切換器、19
入射ビーム切換え電磁石、20 出射ビーム切換え電
磁石、21 陽電子発生装置、22 アンギオグラフィ
装置、23 イオンがん治療装置、100 シンクロト
ロン装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−226999(JP,A) 特開 平6−34759(JP,A) 特開 昭62−217599(JP,A) 特開 平6−89800(JP,A) 特開 平5−198400(JP,A) 特開 昭63−45599(JP,A) 特開 平6−310300(JP,A) 特開 平5−13200(JP,A) 特開 平6−203999(JP,A) 特開 平4−197273(JP,A) 特開 平8−78199(JP,A) 特開 平7−161500(JP,A) 特開 平7−6900(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 13/04

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子及びイオンを周回させるための真空
    ダクトと、この真空ダクト内に電子を入射するための電
    子用入射装置と、上記真空ダクト内に入射した電子を加
    速するための電子用加速装置と、加速した電子を真空ダ
    クトから外部機器に出射するための電子用出射装置と、
    上記真空ダクト内にイオンを入射するためのイオン用入
    射装置と、上記真空ダクト内に入射したイオンを加速す
    るためのイオン用加速装置と、加速したイオンを真空ダ
    クトから外部機器に出射するためのイオン用出射装置
    と、電子及びイオンをダクト内で周回させるための共用
    の電磁石と、その電磁石に所定の励磁電流を供給するた
    めの電源制御手段とを備えたシンクロトロン装置。
  2. 【請求項2】 上記真空ダクト内を周回する電子の軌道
    接線方向に電子から放射される軌道放射光を取り出すた
    めの放射光取り出しポートを設けたことを特徴とする請
    求項1記載のシンクロトロン装置。
  3. 【請求項3】 上記電子用加速装置と上記イオン用加速
    装置とを単一の加速装置で構成し、上記真空ダクト内に
    入射した電子及びイオンを加速するのに共用することを
    特徴とする請求項1または2記載のシンクロトロン装
    置。
  4. 【請求項4】 上記電源制御手段は、イオン利用時に、
    電磁石の励磁極性を電子利用時とは反対側に切り換える
    極性切換器を備えて、イオンの周回方向を電子の周回方
    向と同一にすることを特徴とする請求項1ないし3のい
    ずれかに記載のシンクロトロン装置。
  5. 【請求項5】 上記電子用入射装置と上記イオン用入射
    装置とを単一の入射装置で構成し、上記真空ダクト内に
    電子及びイオンを入射するのに共用すると共に、この単
    一の入射装置に電子またはイオンを入射させる入射ビー
    ムライン上に電子とイオンの入射切り換えを行う入射切
    換手段を備えたことを特徴とする請求項4記載のシンク
    ロトロン装置。
  6. 【請求項6】 上記電子用出射装置と上記イオン用出射
    装置とを単一の出射装置で構成し、上記真空ダクト内で
    加速した電子及びイオンを外部機器に出射させるのに共
    用すると共に、この単一の出射装置から出射された電子
    及びイオンの出射切り換えを行う出射切換手段を備えた
    ことを特徴とする請求項4または5記載のシンクロトロ
    ン装置。
  7. 【請求項7】 上記電子用入射装置に入射される電子を
    陽電子に変換して入射させる陽電子変換手段を備え、上
    記真空ダクト、上記電子用入射装置、上記電子用加速装
    置、上記電子用出射装置及び上記電磁石を、電子利用に
    代えて陽電子利用に供することを特徴とする請求項1記
    載のシンクロトロン装置。
  8. 【請求項8】 上記電子用出射装置から出射される電子
    を入射して蓄積する電子蓄積リングを有し該電子蓄積リ
    ングから放射される軌道放射光を用いた患部を診断する
    診断装置と、上記イオン用出射装置から出射されるイオ
    ンを患部に照射して治療を行う治療装置とをさらに備え
    たことを特徴とする請求項1記載のシンクロトロン装
    置。
  9. 【請求項9】 上記真空ダクト内で加速する粒子が12
    +6と電子であり、炭素イオンの最大加速エネルギーを3
    20MeV/uとすると共に、電子の最大加速エネルギ
    ーを1.68GeVとしたことを特徴とする請求項8記
    載のシンクロトロン装置。
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