JP2018011872A - 中性子捕捉療法システム - Google Patents

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Abstract

【課題】システム全体の稼働効率の向上が可能な中性子捕捉療法システムを提供する。
【解決手段】中性子捕捉療法システム100は、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bが設けられた加速器10と、第1ビーム出射口12Aから出射した荷電粒子線Rが照射され、中性子線Nを生成する第1ターゲットTAと、第2ビーム出射口12Bから出射した荷電粒子線Rが照射され、中性子線Nを生成する第2ターゲットTBと、第1ビーム出射口12Aと第1ターゲットTAとを接続する第1ビーム輸送部30Aと、第2ビーム出射口12Bと第2ターゲットTBとを接続する第2ビーム輸送部30Bと、を備え、加速器10は、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bの双方から同時に荷電粒子線Rを出射可能であり、第1ターゲットTA及び第2ターゲットTBは同時に中性子線Nを生成可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、中性子捕捉療法システムに関する。
特許文献1には、荷電粒子線を出射する加速器と、2つの照射室と、それぞれの照射室に対応して配置され中性子線を出力するターゲットと、を備えた中性子捕捉療法システムが記載されている。この中性子捕捉療法システムでは、一方の照射室で中性子線を照射している間、他方の照射室では照射準備を行う。
特開2014−161624号公報
中性子捕捉療法は、X線治療又は陽子線治療等といった他の放射線治療に比べ、長い照射時間が必要となる場合がある。このため、特許文献1に記載の中性子捕捉療法システムでは、一方の照射室で中性子線を照射している間、他方の照射室では待機状態となり、効率よく治療を行うことができない場合がある。したがって、中性子捕捉療法システムの稼働効率の向上が要請されている。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、システム全体の稼働効率の向上が可能な中性子捕捉療法システムを提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る中性子捕捉療法システムは、中性子線を被照射体に照射する中性子捕捉療法システムであって、第1ビーム出射口及び第2ビーム出射口が設けられ、荷電粒子線を出射する加速器と、第1ビーム出射口から出射した荷電粒子線が照射され、中性子線を生成する第1中性子線発生部と、第2ビーム出射口から出射した荷電粒子線が照射され、中性子線を生成する第2中性子線発生部と、第1ビーム出射口と第1中性子線発生部とを接続する第1ビーム輸送部と、第2ビーム出射口と第2中性子線発生部とを接続する第2ビーム輸送部と、を備え、加速器は、第1ビーム出射口及び第2ビーム出射口の双方から同時に荷電粒子線を出射可能であり、第1中性子線発生部及び第2中性子線発生部は同時に中性子線を生成可能である。
一形態に係る中性子捕捉療法システムでは、加速器は、第1ビーム出射口及び第2ビーム出射口の双方から同時に荷電粒子線を出射可能であり、第1中性子線発生部及び第2中性子線発生部は同時に中性子線を生成可能である。これにより、2つの被照射体に対して同時に中性子線を照射することが可能である。したがって、システム全体の稼働効率を向上させることができる。
一形態では、加速器は、第1中性子線発生部からの中性子線の照射が完了した後、第1ビーム出射口から荷電粒子線を出射せずに、第1ビーム出射口から出射されていた荷電粒子線も第2ビーム出射口から出射してもよい。この構成によれば、第1中性子線発生部からの中性子線の照射が完了した後、第1ビーム出射口から出射していた荷電粒子線も第2ビーム出射口から出射されるので、第2ビーム出射口から出射する荷電粒子線の電流値を大きくすることができる。したがって、より多くの中性子線を生成し、被照射体に照射することができる。
一形態では、中性子捕捉療法システムは、当該中性子捕捉療法システムを制御する制御部を更に備え、制御部は、第1中性子線発生部からの中性子線の照射が完了した後、第2中性子線発生部からの中性子線の照射の残り時間を短くしてもよい。第1ビーム出射口から出射していた荷電粒子線も第2ビーム出射口から出射される場合、第2ビーム出射口から出射する荷電粒子線の電流値が大きくなるので、被照射体により多くの中性子線を照射することができる。したがって、第2中性子線生成部からの中性子線の照射時間を短くすることができる。
一形態では、中性子捕捉療法システムは加速器と第1中性子線発生部との間に設けられ、荷電粒子線を遮断することが可能な第1遮断部と、加速器と第2中性子線発生部との間に設けられ、荷電粒子線を遮断することが可能な第2遮断部と、を更に備え、第1中性子線発生部からの中性子線の照射が先に完了した場合には、第1ビーム出射口から出射した荷電粒子線を第1中性子線発生部に照射せず、第1遮断部に照射し、第2中性子線発生部からの中性子線の照射が先に完了した場合には、第2ビーム出射口から出射した荷電粒子線を第2中性子線発生部に照射せず、第2遮断部に照射してもよい。この構成によれば、第1中性子線発生部からの中性子線の照射が先に完了した場合、第1遮断部により第1ビーム出射口から出射する荷電粒子線を遮断することができるので、第1ビーム出射口及び第2ビーム出射口の双方から荷電粒子線を出射している状態のまま第1中性子発生部への荷電粒子線の照射を止めることが可能である。したがって、第1中性子線発生部からの中性子線の照射が完了した後であっても、第2ビーム出射口から出射する荷電粒子線の電流値を一定に保つことができるので、被照射体に照射する中性子線の量を一定に保つことができる。同様に、第2中性子線発生部からの中性子線の照射が先に完了した場合、第2遮断部により第2ビーム出射口から出射する荷電粒子線を遮断することができるので、第1ビーム出射口及び第2ビーム出射口の双方から荷電粒子線を出射している状態のまま第2中性子発生部への荷電粒子線の照射を止めることが可能である。したがって、第2中性子線発生部からの中性子線の照射が完了した後であっても、第1ビーム出射口から出射する荷電粒子線の電流値を一定に保つことができるので、被照射体に照射する中性子線の量を一定に保つことができる。
本発明によれば、システム全体の稼働効率の向上が可能な中性子捕捉療法システムが提供される。
一実施形態に係る中性子捕捉療法システムの構成を概略的に示す図である。 図1に示す中性子捕捉療法システムの中性子線出力部20Aの近傍を示す図である。 図1に示す中性子捕捉療法システムの加速器を概略的に示す図である。 図3に示す加速器の作用を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線に沿った断面図である。 図1に示す中性子捕捉療法システムの変形例を概略的に示す図である。 図1に示す中性子捕捉療法システムの変形例を概略的に示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1を参照して、一実施形態にかかる中性子捕捉療法システムについて説明する。図1は、一実施形態にかかる中性子捕捉療法システム100を模式的に示す図である。中性子捕捉療法システム100は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutoron Capture Therapy)を用いたがん治療を行う装置である。中性子線捕捉療法は、ホウ素(10B)が投与された患者(被照射体)H(図2参照)に対して中性子線Nを照射することによりがん治療を行うものである。図1に示すように、中性子捕捉療法システム100は、加速器10と、第1中性子線出力部20Aに配置された第1ターゲット(第1中性子線発生部)TAと、第2中性子線出力部20Bに配置された第2ターゲット(第2中性子線発生部)TBと、第1ビーム輸送部30Aと、第2ビーム輸送部30Bと、を備えている。加速器10と第1中性子線出力部20Aとの間には、第1ビーム偏向部40A及び第1ビームダンプ(第1遮断部)50Aが設けられ、加速器10と第2中性子線出力部20Bとの間には、第2ビーム偏向部40B及び第2ビームダンプ(第2遮断部)50Bが設けられている。また、中性子捕捉療法システム100は、第1ターゲットTAで発生した中性子線Nが照射される第1照射室60Aと、第2ターゲットTBで発生した中性子線Nが照射される第2照射室60Bと、を備えている。図1(b)に示すように、加速器10には、負イオン源装置11が接続されている。
加速器10は、負イオン源装置11によって生成された負イオン(陰イオンともいう)を加速して、荷電粒子線R(例えば、陽子線)を作り出し、出射する。加速器10は、例えば、ビーム半径40mm、60kW(30MeV×2mA)の荷電粒子線Rを生成する能力を有している。加速器10には、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bが設けられており、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bの双方から同時に荷電粒子線Rを出射可能である。加速器10としては、例えば、サイクロトロンが用いられる。第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bから同時に荷電粒子線Rを出射する構成については、図3及び図4を用いて後述する。
中性子捕捉療法システム100は、制御部(算出手段)C(不図示)を備える。制御部Cは、CPU、ROM、RAM等を有する電子制御ユニットである。中性子捕捉療法システム100を用いて患者Hの治療を行う際には、治療計画、すなわち、患者Hへ中性子線を照射する時間及び中性子線の強度などが予め決定される。制御部Cは、この治療計画を記憶し、治療計画にしたがって中性子捕捉療法システムを総合的に制御する。
第1ビーム輸送部30Aは、加速器10の第1ビーム出射口12Aと第1ターゲットTAとを接続している。第1ビーム輸送部30Aは、加速器10の第1ビーム出射口12A及び第1ビーム偏向部40Aを接続する第1ビームダクト31Aと、第1ビーム偏向部40A及び第1中性子線出力部20Aを接続する第2ビームダクト32Aと、第1ビーム偏向部40A及び第1ビームダンプ50Aを接続する第3ビームダクト33Aと、を含む。また、第2ビーム輸送部30Bは、加速器10の第2ビーム出射口12Bと第2ターゲットTBとを接続している。第2ビーム輸送部30Bは、加速器10の第2ビーム出射口12B及び第2ビーム偏向部40Bを接続する第1ビームダクト31Bと、第2ビーム偏向部40B及び第2中性子線出力部20Bを接続する第2ビームダクト32Bと、第2ビーム偏向部40B及び第2ビームダンプ50Bを接続する第3ビームダクト33Bと、を含む。
第1ビーム輸送部30A及び第2ビーム輸送部30Bのそれぞれは、荷電粒子線Rを調整するためのビーム調整部(不図示)を含んでいる。ビーム調整部は、荷電粒子線Rの軸調整のための水平型ステアリング及び水平垂直型ステアリング、荷電粒子線Rの発散を抑制するための四重極電磁石、及び荷電粒子線Rの整形のための四方向スリット等を含んでいる。なお、第1ビーム輸送部30A及び第2ビーム輸送部30Bのそれぞれは、ビーム調整部を備えていない構成であってもよい。
また、第1ビーム輸送部30A及び第2ビーム輸送部30Bのそれぞれは、必要に応じて電流モニタM(図3参照)を備えてもよい。電流モニタMは、第1中性子線出力部20A及び第2中性子線出力部20Bに照射される荷電粒子線Rの電流値(つまり、電荷、照射線量率)をリアルタイムで測定するものである。また、第2ビームダクト32A、32Bは、必要に応じて荷電粒子線走査部36(図2参照)を備えてもよい。荷電粒子線走査部36は、荷電粒子線Rを走査し、第1ターゲットTA(図2参照)に対する荷電粒子線Rの照射制御を行うものである。荷電粒子線走査部36は、例えば、第1荷電粒子線RAの第1ターゲットTAに対する照射位置を制御する。
第1ビーム偏向部40A及び第2ビーム偏向部40Bは、スイッチング電磁石を利用して荷電粒子線Rの進行方向を制御するものである。第1ビーム偏向部40Aは、第1ビームダクト31A、第2ビームダクト32A、及び第3ビームダクト33Aに接続されるように設けられている。第1ビーム偏向部40Aは、第1ビームダクト31Aから入射する荷電粒子線Rを第1中性子線出力部20A又は第1ビームダンプ50Aに導くことが可能である。例えば、荷電粒子線Rを第1中性子線出力部20Aに導く場合には、第1ビーム偏向部40Aは荷電粒子線Rをそのまま通過させ、荷電粒子線Rを第1ビームダンプ50Aに導く場合には、第1ビーム偏向部40Aはスイッチング電磁石を用いて荷電粒子線Rの軌道を第1ビームダンプ50A側に曲げることにより、荷電粒子線Rの進行方向を制御する。また、第2ビーム偏向部40Bは、第1ビームダクト31B、第2ビームダクト32B、及び第3ビームダクト33Bに接続されるように設けられている。第2ビーム偏向部40Bは、第1ビーム偏向部40Aと同様の制御により、第1ビームダクト31Bから入射する荷電粒子線Rを第2中性子線出力部20B又は第2ビームダンプ50Bに導くことが可能である。
第1ビームダンプ50A及び第2ビームダンプ50Bは、照射された荷電粒子線Rのエネルギーを消費して遮断するための装置である。第1ビームダンプ50A及び第2ビームダンプ50Bのそれぞれは、例えば、荷電粒子線Rが照射されるビーム受け部(不図示)と、ビーム受け部からの輻射熱を受ける輻射熱受け部(不図示)と、ビーム受け部及び輻射熱受け部を冷却する冷却部(不図示)と、を有している。
第1照射室60A及び第2照射室60Bは、中性子線Nを患者H(図2参照)に照射するために、患者Hが配置される部屋である。第1照射室60A及び第2照射室60Bの大きさは、例えば、幅3.5m×奥行き5m×高さ3mである。第1照射室60A及び第2照射室60Bは、室外から室内への放射線の侵入及び室内から室外への放射線の放出を抑制する遮蔽壁によって囲まれている。第1照射室60A及び第2照射室60Bの室内には、例えば、患者H(図2参照)を載置するための治療台80(図2参照)が配置されている。なお、治療台80は、第1照射室60A(第2照射室60B)の内部と外部との間で移動可能とされていてもよい。
次に、図2を参照して中性子線出力部について説明する。図2は、中性子捕捉療法システム100の第1中性子線出力部20Aの近傍を示す図である。ここで、第1中性子線出力部20Aと第2中性子線出力部20Bとは互いに同様の構成を有する。したがって、以下では主に第1中性子線出力部20Aについて説明する。図2に示すように、第1中性子線出力部20Aは、中性子線Nを生成するための第1ターゲットTAと、中性子線Nを減速するための減速材22aと、遮蔽体22bとを含んでいる。なお、減速材22a及び遮蔽体22bは、モデレータを構成する。
第1ターゲットTA及び第2ターゲットTBは、荷電粒子線Rの照射を受けて中性子線Nを発生させるものであり、同時に中性子線Nを生成可能である。第1ターゲットTA及び第2ターゲットTBは、例えば、ベリリウム(Be)、リチウム(Li)、タンタル(Ta)、又はタングステン(W)などにより形成され、直径160mmの円板状をなしている。なお、第1ターゲットTA及び第2ターゲットTBに用いられる材料は、中性子線Nを発生可能な材料であればよく、上記に限定されない。また、第1ターゲットTA及び第2ターゲットTBは板状(固体)に限らず、液体であってもよい。
減速材22aは、第1ターゲットTAから出射される中性子線Nを減速させるものである。減速材22aにより減速されて所定のエネルギーに低減された中性子線Nは治療用中性子線とも呼ばれる。減速材22aは、例えば異なる複数の材料からなる積層構造とされている。減速材22aの材料は、荷電粒子線Rのエネルギーなどの諸条件によって適宜選択される。例えば、加速器10(図1参照)からの出力が30MeVの陽子線であり、第1ターゲットTAとしてベリリウムターゲットを用いる場合には、減速材22aの材料は、鉛、鉄、アルミニウム、又はフッ化カルシウムとすることができる。また、加速器10からの出力が11MeVの陽子線であり、第1ターゲットTAとしてベリリウムターゲットを用いる場合には、減速材22aの材料は、重水(D2O)又はフッ化鉛とすることができる。また、加速器10からの出力が2.8MeVの陽子線であり、第1ターゲットTAとしてリチウムターゲットを用いる場合には、減速材22aの材料は、フルエンタール(商品名:アルミニウム、フッ化アルミ、フッ化リチウムの混合物)とすることができる。また、加速器10からの出力が50MeVの陽子線であり、第1ターゲットTAとしてタングステンターゲットを用いる場合には、減速材22aの材料は、鉄又はフルエンタールとすることができる。遮蔽体22bは、中性子線N及び中性子線Nの発生に伴って生じたガンマ線等の放射線が外部へ放出されないように遮蔽する機能を有している。
コリメータ23は、中性子線Nの照射野(中性子線Nの進行方向に直交する平面における照射範囲)を形成するものであり、中性子線Nが通過する開口23aを有している。第1ターゲットTAで発生した中性子線Nは、減速材22aを通り抜けた後、一部がコリメータ23の開口23aを通過する一方で、残部がコリメータ23の開口23aを確定する周辺部により遮蔽される。その結果、コリメータ23を通過した中性子線Nは、開口23aの形状に対応した形状に成形される。
続いて、図3及び図4を参照して加速器10について詳細に説明する。図3は、中性子捕捉療法システム100の加速器10を概略的に示す図である。また、図4は、加速器10の作用を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線に沿った断面図である。
図3に示されるように、本実施形態において加速器10は、サイクロトロンである。加速器10は、図3において紙面の垂直方向に対向して配置された一対の円柱状の磁極13と、それぞれの磁極を囲むように配置されて磁極と共に電磁石を構成する一対のコイル(不図示)と、負イオンP(図4参照)が周回する真空箱14と、一対の磁極13同士の間に配置された一対の加速電極15と、第1フォイルストリッパー16A及び第2フォイルストリッパー16Bと、第1フォイルストリッパー16Aによって軌道変更された陽子を取り出す第1ビーム出射口12Aと、第2フォイルストリッパー16Bによって軌道変更された陽子を取り出す第2ビーム出射口12Bと、を備えている。負イオンPは、負イオン源装置11によって真空箱14内に供給される。
磁極13の対向する面は、複数の谷領域と複数の山領域とが交互に現れる複数のセクタに分割されている。このように構成することで、セクターフォーカシングを利用して真空箱内で加速する負イオンPの収束を図っている。
真空箱14は、箱本体14aと箱蓋(不図示)とを有している。箱本体14aの底壁部には、磁極13の外形と略同径の開口部が設けられており、この開口部から、一方の磁極13の谷領域及び山領域を備える面が、真空箱14内に突出している。また、箱本体14aには真空排気用の排気口(不図示)が設けられており、この排気口には図示しない真空ポンプが接続されている。箱蓋は、真空ポンプによって真空箱14内を真空化できるように、箱本体14aの上部開口を塞いでいる。箱蓋には、箱本体14aと同様に、他方の磁極13の谷領域及び山領域を備える面を真空箱14に突出させるために、磁極13の外形と略同径の開口部が設けられている。
一対のコイル(不図示)は、一対の磁極13の側面の周りにそれぞれ設けられている。一対のコイルに電流が供給されることで、一対の磁極13、13間に磁場が形成される。つまり、磁極13及びコイルにより、電磁石が構成されている。
一対の加速電極15は、それぞれ平面視において三角形状をなし、それぞれの頂角を付き合わせるようにして対向配置されている。各加速電極15は、例えば、銅などの電気導体から構成されており、上下二枚の三角形を底辺で連結して構成されている。そして、加速電極15の板面には、冷却用の冷媒を通すための管が設けられている。
一対の加速電極15は、一対の磁極13の谷領域に位置する。そして、加速電極15の先端部同士が、接続部材により、機械的且つ電気的に接続されている。なお、接続部材の形態としては、様々な形状がある。
磁極13の中心位置には、負イオン源装置11で生成された負イオンP(図4参照)を真空箱14内に供給するイオン供給口17が設けられている。負イオン源装置11は、水素ガスなどの原材料中でアーク放電を行って負イオンP(図4参照)を生成する装置である。負イオン源装置11で生成された負イオンPはイオン供給口17を介して真空箱14内に引き込まれるように供給され、高周波の電圧がかけられている加速電極15によって周回しながら加速し、次第にエネルギーを増している。エネルギーが増せば負イオンP(図4参照)の回転半径は大きくなり、螺旋運動をしているような周回軌道K(図4参照)をえがく。なお、負イオン源装置11は加速器10の外部に配置されていてもよいし、加速器10の内部に設けられていてもよい。
第1フォイルストリッパー16A及び第2フォイルストリッパー16Bは、磁極13の中心を挟むようにして対向配置されている。第1フォイルストリッパー16Aは、第1ターゲットTAに照射される荷電粒子線Rを取り出すために機能し、第2フォイルストリッパー16Bは、第2ターゲットTBに照射される荷電粒子線Rを取り出すために機能する。なお、以下の説明では、第1フォイルストリッパー16Aによって取り出される荷電粒子線を「第1荷電粒子線RA」、第2フォイルストリッパー16Bによって取り出される荷電粒子線を「第2荷電粒子線RB」として説明する。
第1フォイルストリッパー16Aは、磁極13の径方向に沿って延在するストリッパー駆動軸18aと、ストリッパー駆動軸18aの先端に設けられたフォイル18bと、ストリッパー駆動軸18aを磁極13の径方向に沿って進退自在に駆動するフォイル駆動部18cと、を備えている。フォイル駆動部18cは高精度のモータ等を備えており、フォイル駆動部18cの駆動制御によってストリッパー駆動軸18aは10−2mm〜10−1mmの単位で進退し、その結果、フォイル18bが負イオンPの周回軌道K(図4参照)を交差するように進退自在となる。
第2フォイルストリッパー16Bは、実質的に第1フォイルストリッパー16Aと同一の構成を備えており、ストリッパー駆動軸19a、フォイル19b及びフォイル駆動部19cを備えている。フォイル駆動部19cの駆動制御によってストリッパー駆動軸19aは進退し、その結果、フォイル19bが負イオンPの周回軌道K(図4参照)を交差するように進退自在となる。なお、本実施形態では、ストリッパー駆動軸18a、19aが軸方向に直線運動することによって、周回軌道Kを交差するようにフォイル18b、19bを進退させているが、ストリッパー駆動軸18a、19aの回転によってフォイル18b、19bを回転させて、周回軌道Kを交差するようにフォイル18b、19bを進退させる態様とすることも可能である。
フォイル18b、19bは、例えば炭素製の薄膜からなる。フォイル18b、19bは、周回する負イオンPの周回軌道K上に進入して負イオンPに接触すると、その負イオンPから電子を剥ぎ取る。図4に示すように、電子を剥奪された陽子(加速粒子)は、周回軌道の曲率が反転し、その軌道が外方に飛び出す方向に向けて変更される。反転後の陽子の軌道上には、陽子を真空箱14内から取り出すための第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bが設けられている。より詳細には、第1フォイルストリッパー16Aによって軌道が変更される陽子の軌道上には第1ビーム出射口12Aが設けられ、第2フォイルストリッパー16Bによって軌道が変更される陽子の軌道上には第2ビーム出射口12Bが設けられている。したがって、フォイル18b、19bは、負イオンPから電子を奪うことで、結果的に陽子を第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bまで誘導することになる。
第1ビーム出射口12Aには、第1ビーム輸送部30Aの第1ビームダクト31Aが接続されており、第2ビーム出射口12Bには、第2ビーム輸送部30Bの第1ビームダクト31Bが接続されている。電流モニタMは、例えば、第1ビームダクト31A、31Bのそれぞれに設置される。なお、電流モニタMが設置される位置は第1ビームダクト31A、31Bに限定されず、第1ビーム輸送部30A及び第2ビーム輸送部30Bの任意の位置に設置することができる。
また、加速器10は制御装置Sを備えており、制御装置Sは、第1フォイルストリッパー16A及び第2フォイルストリッパー16Bの各フォイル駆動部18c、19c、電流モニタ、及び負イオン源装置11に制御信号を送受信可能に有線又は無線にて接続されている。制御装置Sは、中央処理装置を備え、中央処理装置は、ハードウェア構成としてCPU、RAM、ROM、等を有し、機能的構成として制御部、演算部、及び記憶部を有する。更に、制御装置Sは、第1荷電粒子線RA及び第2荷電粒子線RBの指定電流量などの情報やデータを取り込むための入力装置、電流モニタMで測定された電流量を出力するモニタなどの出力装置を備えている。なお、制御装置Sは、中性子捕捉療法システム100全体の制御を行う制御部Cに含まれていてもよく、制御部Cとは別体で設けられていてもよい。
次に、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bから同時に荷電粒子線Rを出射する場合の制御装置Sによる第1フォイルストリッパー16A及び第2フォイルストリッパー16Bの制御方法について説明する。制御装置Sは、負イオン源装置11からの負イオンPの供給量を制御可能であり、また、第1フォイルストリッパー16Aのフォイル駆動部18cを駆動制御してフォイル18bの進退量を制御可能であり、更に、第2フォイルストリッパー16Bのフォイル駆動部19cを駆動制御してフォイル19bの進退量を制御可能である。第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bから同時に荷電粒子線Rを出射する場合には、第1フォイルストリッパー16Aのフォイル18bが周回軌道K上の一部の負イオンPのみと接触するようにフォイル駆動部18cを駆動制御し、第2フォイルストリッパー16Bのフォイル19bが周回軌道K上の残りの負イオンPと接触するようにフォイル駆動部19cを駆動制御する。このように第1フォイルストリッパー16A及び第2フォイルストリッパー16Bを制御することにより、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bから同時に荷電粒子線Rを出射することが可能である。また、制御装置Sは、これらの複合的な制御によって第1ビーム出射口12Aから取り出される第1荷電粒子線RA及び第2ビーム出射口12Bから取り出される第2荷電粒子線RBの電流量を制御することが可能である。
具体的には、第2フォイルストリッパー16Bのフォイル19bが定位置に保持されている場合には、負イオンPの周回軌道K上に第1フォイルストリッパー16Aのフォイル18bが深く侵入すればするほど、第1ビーム出射口12Aから出射される第1荷電粒子線RAの電流量は増加する。逆に、第1フォイルストリッパー16Aのフォイル18bが定位置に保持されている場合には、負イオンPの周回軌道K上に第2フォイルストリッパー16Bのフォイル19bが深く侵入すればするほど、第2ビーム出射口12Bから出射される第2荷電粒子線RBの電流量は増加する。
更に、負イオン源装置11から供給される負イオンPの供給量が一定の場合には、第1ビーム出射口12Aから取り出される第1荷電粒子線RAの電流量が増加すれば、第2ビーム出射口12Bから取り出される第2荷電粒子線RBの電流量は減少し、逆に、第2ビーム出射口12Bから取り出される第2荷電粒子線RBの電流量が増加すれば、第1ビーム出射口12Aから取り出される第1荷電粒子線RAの電流量は減少する。
ここで、図1、図3、及び図4を参照して中性子捕捉療法システム100を用いて治療を行う場合の制御方法について説明する。加速器10は、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bの双方から同時に荷電粒子線Rを出射可能であるので、中性子捕捉療法システム100では、第1照射室60A及び第2照射室60Bにおいて同時に中性子線Nを照射することができる。この場合、制御装置Sは第1フォイルストリッパー16Aのフォイル駆動部18c及び第2フォイルストリッパー16Bのフォイル駆動部19cを駆動し、フォイル18bによって取り出される第1荷電粒子線RAの電流値と、フォイル19bによって取り出される第2荷電粒子線RBの電流値とが実質的に同じ値となるように制御する。第1ビーム偏向部40Aは、第1ビームダクト31Aから入射する第1荷電粒子線RAを第2ビームダクト32Aに導くように制御される。これにより、第1ビーム出射口12Aから出射した第1荷電粒子線RAは、第1ビームダクト31A及び第2ビームダクト32Aを経て第1中性子線出力部20Aに配置された第1ターゲットTAに照射される。同様に、第2ビーム偏向部40Bは、第1ビームダクト31Bから入射する第2荷電粒子線RBを第2ビームダクト32Bに導くように制御される。これにより、第2ビーム出射口12Bから出射した第2荷電粒子線RBは、第1ビームダクト31B及び第2ビームダクト32Bを経て第2中性子線出力部20Bに配置された第2ターゲットTBに照射される。
第1照射室60A及び第2照射室60Bのどちらか一方において中性子線Nの照射が完了した場合には、照射が完了した一方の照射室側への荷電粒子線Rの出射を止め、照射が完了していない他方の照射室側へ全ての荷電粒子線Rを出射することができる。例えば、第1照射室60Aにおける中性子線Nの照射が完了した場合には、第1ビーム出射口12Aからの第1荷電粒子線RAの出射を止め、第2荷電粒子線RBに加え、第1ビーム出射口12Aから出射されていた第1荷電粒子線RAも第2ビーム出射口12Bから出射することができる。この場合、制御装置Sは、第1フォイルストリッパー16Aのフォイル駆動部18cを駆動し、フォイル18bが負イオンPの周回軌道Kと交差しない位置、すなわち、フォイル18bが負イオンPと接触しない位置にフォイル18bが退避するように制御する。同時に、制御装置Sは、第2フォイルストリッパー16Bのフォイル駆動部19cを駆動し、実質的に全ての周回軌道K上の負イオンPがフォイル19bと接触するように制御する。このように制御することにより、第2ビーム出射口12Bから出射する第2荷電粒子線RBの電流値を大きくすることができ、第2ターゲットTBからより多くの中性子線Nを生成することができる。
また、この場合、第2ターゲットTBからより多くの中性子線Nを生成することができるので、第2照射室60Bにおける残りの照射時間を短くすることができる。例えば、第1荷電粒子線RAの電流値と、第2荷電粒子線RBの電流値とが実質的に同じ値で出射されていた場合、第2ビーム出射口12Bから出射される第2荷電粒子線RBの電流値は2倍となるので、第2照射室60Bにおける残りの照射時間を二分の一とすることができる。
また、第1照射室60A及び第2照射室60Bのどちらか一方において中性子線Nの照射が完了した場合に、照射が完了した一方の照射室側のターゲットに荷電粒子線Rを照射せず、ビームダンプに荷電粒子線Rを照射することもできる。例えば、第1照射室60Aにおける中性子線Nの照射が完了した場合には、第1ビーム出射口12Aからの第1荷電粒子線RAの出射を止めず、第1ビームダンプ50Aに第1荷電粒子線RAを照射することができる。この場合、第1フォイルストリッパー16A及び第2フォイルストリッパー16Bの制御は行われず、第1ビーム偏向部40Aによって第1荷電粒子線RAが第3ビームダクト33Aに導かれるように制御する。これにより、第1照射室60Aにおける中性子線Nの照射が完了した後であっても、第2荷電粒子線RBの電流値を一定の値に保った状態で第2照射室60Bにおける中性子線Nの照射を行うことが可能である。
以上説明したように、中性子捕捉療法システム100では、加速器10は、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bの双方から同時に荷電粒子線Rを出射可能であり、第1ターゲットTA及び第2ターゲットTBは同時に中性子線Nを生成可能である。これにより、2つの被照射体(患者H)に対して同時に中性子線Nを照射することが可能である。したがって、照射が行われるまでの待ち時間を減らすことができ、システム全体の稼働効率を向上させることができる。
また、加速器10は、第1ターゲットTAからの中性子線Nの照射(第1照射室60Aにおける照射)が完了した後、第1ビーム出射口12Aから第1荷電粒子線RAを出射せずに、第1ビーム出射口12Aから出射されていた第1荷電粒子線RAも第2ビーム出射口12Bから出射する。これにより、第1ターゲットTAからの中性子線Nの照射が完了した後、第1ビーム出射口12Aから出射していた第1荷電粒子線RAも第2ビーム出射口12Bから出射されるので、第2ビーム出射口12Bから出射する第2荷電粒子線RBの電流値を大きくすることができる。したがって、より多くの中性子線Nを生成し、被照射体に照射することができる。
また、中性子捕捉療法システム100は、当該中性子捕捉療法システム100を制御する制御部Cを更に備え、制御装置Sは、第1ターゲットTAからの中性子線Nの照射が完了した後、第2ターゲットTBからの中性子線Nの照射の残り時間を短くする。ここで、「残り時間」とは、予め治療計画で定められた照射時間までの残りの時間である。第1ビーム出射口12Aから出射していた第1荷電粒子線RAも第2ビーム出射口12Bから出射される場合、第2ビーム出射口12Bから出射する第2荷電粒子線RBの電流値が大きくなるので、被照射体により多くの中性子線Nを照射することができる。したがって、第2ターゲットTBからの中性子線Nの照射時間を短くすることができる。
また、中性子捕捉療法システム100は、加速器10と第1ターゲットTAとの間に設けられ、荷電粒子線Rを遮断することが可能な第1ビームダンプ50Aと、加速器10と第2ターゲットTBとの間に設けられ、荷電粒子線Rを遮断することが可能な第2ビームダンプ50Bと、を更に備え、第1ターゲットTAからの中性子線Nの照射が先に完了した場合には、第1ビーム出射口12Aから出射した第1荷電粒子線RAを第1ターゲットTAに照射せず、第1ビームダンプ50Aに照射すし、第2ターゲットTBからの中性子線Nの照射が先に完了した場合には、第2ビーム出射口12Bから出射した第2荷電粒子線RBを第2ターゲットTBに照射せず、第2ビームダンプ50Bに照射する。これにより、第1ターゲットTAからの中性子線Nの照射が先に完了した場合、第1ビームダンプ50Aにより第1ビーム出射口12Aから出射する第1荷電粒子線RAを遮断することができるので、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bの双方から荷電粒子線Rを出射している状態のまま第1ターゲットTAへの第1荷電粒子線RAの照射を止めることが可能である。したがって、第1ターゲットTAからの中性子線Nの照射が完了した後であっても、第2ビーム出射口12Bから出射する第2荷電粒子線RBの電流値を一定に保つことができるので、被照射体に照射する中性子線Nの量を一定に保つことができる。同様に、第2ターゲットTBからの中性子線Nの照射が先に完了した場合、第2ビームダンプ50Bにより第2ビーム出射口12Bから出射する第2荷電粒子線RBを遮断することができるので、第1ビーム出射口12A及び第2ビーム出射口12Bの双方から荷電粒子線Rを出射している状態のまま第2ターゲットTBへの第2荷電粒子線RBの照射を止めることが可能である。したがって、第2ターゲットTBからの中性子線Nの照射が完了した後であっても、第1ビーム出射口12Aから出射する第1荷電粒子線RAの電流値を一定に保つことができるので、被照射体に照射する中性子線Nの量を一定に保つことができる。また、このような制御が可能であることにより、あらかじめ設定した治療計画を変更しないために一定量の中性子線Nを照射し続けたい等といった要求にも対応することができ、中性子捕捉療法システム100による治療計画の自由度を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変形態様を採用可能である。例えば、上記の実施形態では、一つのビーム出射口に対して一つの照射室が設けられていたが、一つのビーム出射口に対して複数の照射室が設けられていてもよい。図5は、本実施形態の変形例に係る中性子捕捉療法システム200を概略的に示す図である。図5に示すように、中性子捕捉療法システム200では、第1ビーム出射口12Aに対して2つの中性子線出力部20A1、20A2及び2つの照射室60A1、60A2が設けられ、第2ビーム出射口12Bに対し2つの中性子線出力部20B1、20B2及び2つの照射室60B1、60B2が設けられている。また、中性子捕捉療法システム200は、第3ビーム偏向部40C及び第4ビーム偏向部40Dを更に備えている。第3ビーム偏向部40Cは、第3ビームダクト33Aから入射する第1荷電粒子線RAを第4ビームダクト34A又は第5ビームダクト35Aに導くことが可能であり、第4ビーム偏向部40Dは、第3ビームダクト33Bから入射する第2荷電粒子線RBを第4ビームダクト34B又は第5ビームダクト35Bに導くことが可能である。第4ビームダクト34Aは、第3ビーム偏向部40Cと中性子線出力部20A1に配置されたターゲットとを接続し、第5ビームダクト35Aは第3ビーム偏向部40Cと中性子線出力部20A2に配置されたターゲットとを接続している。また、第4ビームダクト34Bは、第4ビーム偏向部40Dと中性子線出力部20B1に配置されたターゲットとを接続し、第5ビームダクト35Bは第4ビーム偏向部40Dと中性子線出力部20B2に配置されたターゲットとを接続している。
中性子捕捉療法システム200では、照射室60A1、60A2のどちらか一方、及び、照射室60B1、60B2のどちらか一方において同時に中性子線Nを照射可能であり、中性子線Nを照射していない照射室では、中性子線Nを照射するための準備を行うことができる。例えば、照射室60A1及び照射室60B1において中性子線Nを照射している場合、照射室60A2及び照射室60B2では、次の患者Hに中性子線N照射するための準備を行うことができる。これにより、システム全体の稼働効率を更に向上させることが可能である。
また、中性子捕捉療法システム100では、加速器10は2つのビーム出射口を有していたが、加速器10は更に多くのビーム出射口を有していてもよい。図6は、本実施形態の変形例に係る中性子捕捉療法システム300を概略的に示す図である。図6に示すように、中性子捕捉療法システム300では、加速器10は、第1ビーム出射口12A、第2ビーム出射口12Bに加え、第3ビーム出射口12C及び第4ビーム出射口12Dを更に備え、それぞれのビーム出射口に対応した4つのフォイルストリッパーを有している。また、中性子捕捉療法システム300は、第3中性子線出力部20Cに配置された第3ターゲットTCと、第4中性子線出力部20Dに配置された第4ターゲットTDと、第3ビーム輸送部30Cと、第4ビーム輸送部30Dと、を更に備えている。加速器10と第3中性子線出力部20Cとの間には、第3ビーム偏向部40C及び第3ビームダンプ50Cが設けられ、加速器10と第4中性子線出力部20Dとの間には、第4ビーム偏向部40D及び第4ビームダンプ50Dが設けられている。更に、中性子捕捉療法システム300は、第3ターゲットTCで発生した中性子線Nが照射される第3照射室60Cと、第4ターゲットTDで発生した中性子線Nが照射される第4照射室60Dと、を備えている。
中性子捕捉療法システム300では、第1照射室60A、第2照射室60B、第3照射室60C、及び第4照射室60Dの4つの照射室において同時に中性子線Nを照射可能である。これにより、システム全体の稼働効率を更に向上させることが可能である。また、それぞれのビーム出射口から出射される荷電粒子線Rは、中性子捕捉療法システム100と同様に制御され得るので、例えば、2つの照射室で中性子線Nを照射し、他の2つの照射室で中性子線Nを照射するための準備を行うことも可能である。なお、この場合には、対向する2つのビーム出射口から荷電粒子線Rを出射することが好ましいが、隣り合う2つのビーム出射口から荷電粒子線Rを出射してもよい。また、3つの照射室で中性子線Nを照射し、他の照射室で中性子線Nを照射するための準備を行ってもよい。
10…加速器、11…負イオン源装置、12A…第1ビーム出射口、12B…第2ビーム出射口、13…磁極、14…真空箱、15…加速電極、16A…第1フォイルストリッパー、16B…第2フォイルストリッパー、17…イオン供給口、18a,19a…ストリッパー駆動軸、18b,19b…フォイル、18c,19c…フォイル駆動部、20A…第1中性子線出力部、20B…第2中性子線出力部、30A…第1ビーム輸送部、30B…第2ビーム輸送部、31A,31B…第1ビームダクト、32A,32B…第2ビームダクト、33A,33B…第3ビームダクト、40A…第1ビーム偏向部、40B…第2ビーム偏向部、50A…第1ビームダンプ(第1遮断部)、50B…第2ビームダンプ(第2遮断部)、60A…第1照射室、60B…第2照射室、80…治療台、100,200,300…中性子捕捉療法システム、H…患者(被照射体)、K…周回軌道、M…電流モニタ、N…中性子線、P…負イオン、R…荷電粒子線、RA…第1荷電粒子線、RB…第2荷電粒子線、S…制御装置、TA…第1ターゲット(第1中性子線発生部)、TB…第2ターゲット(第2中性子線発生部)。

Claims (4)

  1. 中性子線を被照射体に照射する中性子捕捉療法システムであって、
    第1ビーム出射口及び第2ビーム出射口が設けられ、荷電粒子線を出射する加速器と、
    前記第1ビーム出射口から出射した前記荷電粒子線が照射され、前記中性子線を生成する第1中性子線発生部と、
    前記第2ビーム出射口から出射した前記荷電粒子線が照射され、前記中性子線を生成する第2中性子線発生部と、
    前記第1ビーム出射口と前記第1中性子線発生部とを接続する第1ビーム輸送部と、
    前記第2ビーム出射口と前記第2中性子線発生部とを接続する第2ビーム輸送部と、を備え、
    前記加速器は、前記第1ビーム出射口及び前記第2ビーム出射口の双方から同時に前記荷電粒子線を出射可能であり、
    前記第1中性子線発生部及び前記第2中性子線発生部は同時に前記中性子線を生成可能である、中性子捕捉療法システム。
  2. 前記加速器は、前記第1中性子線発生部からの前記中性子線の照射が完了した後、前記第1ビーム出射口から前記荷電粒子線を出射せずに、前記第1ビーム出射口から出射されていた前記荷電粒子線も前記第2ビーム出射口から出射する、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
  3. 前記中性子捕捉療法システムを制御する制御部を更に備え、
    前記制御部は、前記第1中性子線発生部からの前記中性子線の照射が完了した後、前記第2中性子線発生部からの前記中性子線の照射の残り時間を短くする、請求項2に記載の中性子捕捉療法システム。
  4. 前記加速器と前記第1中性子線発生部との間に設けられ、前記荷電粒子線を遮断することが可能な第1遮断部と、
    前記加速器と前記第2中性子線発生部との間に設けられ、前記荷電粒子線を遮断することが可能な第2遮断部と、を更に備え、
    前記第1中性子線発生部からの前記中性子線の照射が先に完了した場合には、前記第1ビーム出射口から出射した荷電粒子線を前記第1中性子線発生部に照射せず、前記第1遮断部に照射し、
    前記第2中性子線発生部からの前記中性子線の照射が先に完了した場合には、前記第2ビーム出射口から出射した荷電粒子線を前記第2中性子線発生部に照射せず、前記第2遮断部に照射する、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
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