JP3306456B2 - カラーフィルターの製造方法 - Google Patents

カラーフィルターの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,撮像素子の色分解や,
カラー液晶ディスプレーの色合成等に用いられるカラー
フィルターの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カラーフィルターの用途は,年々広範な
ものとなっている。撮像素子と組み合わせて,カメラの
みならず,FAX,複写機やイメージスキャナー等の用
途が展開され,一方,液晶ディスプレーと組み合わせ
て,OA用のディスプレー,テレビ,投影機,ビデオカ
メラ用ビューファインダー等に用いられるに至ってい
る。その一方で,カラーフィルターを構成する着色画素
の微細化,高耐久性の要求も今迄以上に強いものになっ
ている。
【0003】特開昭60−129738号公報,特開昭
60−129707号公報,特開昭60−129742
号公報,特開昭60−129739号公報によって開示
された着色組成物等は,その要求に応えるものとして提
案されたものである。すなわち,着色部材として,極微
細な顔料等を高感度な感光性樹脂に分散せしめ,高い耐
久性を有する,微細な着色画素を形成できると共に,工
程的には,染料により着色する工程を不要にすることに
より,工程簡略化を可能とするものであった。上記のカ
ラーフィルターの製造方法は,いわゆる「顔料分散法」
とよばれているものである。
【0004】かかる「顔料分散法」によれば,高い耐久
性(特に耐光性,耐熱性)を有する着色画素が,最小サ
イズで20〜30μm□程度の大きさで形成することが
可能である。従って,耐久性が要求される液晶ディスプ
レーの組み合わせにおけるカラーフィルターの製造方法
として広く用いられてきた。
【0005】一方,デバイス等の製造分野において,光
リソグラフィ−法の微細化検討が種々行われて,光露光
によりサブミクロンの線幅加工を可能にする製造方法あ
るいは材料の提案がされてきた。その中で,CEL(
ontrast nhanstment aye
r)による方法も一つの手法として提案されてる。具体
的には,ホトレジスト(感光性樹脂)にコントラスト増
強層を含ませ,露光時のコントラストを増大させる方法
(特開昭61−198237号公報),ホトレジスト上
にコントラストを高める特性を有するパターン形成層を
積層する方法(特開昭61−250634号公報,特開
昭63−52133号公報など)が開示されている。
【0006】しかし,CELによる製造方法では,光褪
色性部材に与えるエネルギーが100mJ/cm2 程度
必要なこと,ホトレジストの微細化が,1〜2割程度改
善されるに留まることにより,デバイス等の製造分野で
受け入れられるにはいたっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述のように,カラー
フィルターの用途の広がりと共に,「顔料分散法」によ
るカラーフィルターの高い耐久性を維持しつつ,更に微
細な着色画素が要求されている。具体的には,ビデオカ
メラ用ビューファインダーに用いられる液晶ビューファ
インダー用であり,一方では,小型複写機,FAXに用
いられる撮像素子用のカラーフィルターである。これら
のカラーフィルターに要求される着色画素のサイズは,
10〜15μm□程度になってきており,従来開示され
ていた「顔料分散法」によっては,これらの着色画素の
形成は,困難であった。
【0008】「顔料分散法」によるカラーフィルターの
着色画素の微細化を阻む主たる要因は,2つある。1つ
は,着色した感光性樹脂中に顔料が分散されているた
め,この顔料粒子による光の乱反射があり,図2に示す
ように,線幅が大になるという問題点があった。また,
2つめは,現在主流となっている露光法が,図3に示す
ように,生産性を向上させるために,プロキシミティー
法を採用していることにある。この露光法によれば,フ
オトマスクが,感光性樹脂に直接接触しないため,生産
性は向上するものの,光が回り込み,当該部分が露光さ
れ,画素の微細化を困難なものにしていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は,以上の問題点
を解決すべく研究した結果得られたものであり,その要
旨は,以下のものである。すなわち,基板上に繰り返し
て着色画素が配列してなる顔料分散法によるカラーフィ
ルターの製造方法において,少なくとも着色材とジアゾ
系染料の塩化亜鉛塩からなる光褪色性部材とポリビニル
アルコールからなる樹脂とを含む感光性樹脂を塗布する
工程と、プロキシミティー法による露光工程とを包含す
ることを特徴とするカラーフィルターの製造方法であ
る。
【0010】着色材で着色した感光性樹脂としては,例
えば,特開昭60−129738号公報,特開昭60−
129707号公報,特開昭60−129742号公
報,特開昭60−129739号公報によって開示され
たものが使用できる。
【0011】一方,光褪色性部材は,代表例として,光
褪色性染料が挙げられる。この条件として,光を吸収す
る波長が,紫外線から短波長可視域であること,また,
光吸収エネルギーは,概ね100mJ/cm2 以下が望
ましい。これを満足するものは,ジアゾ系染料に多く,
具体的には,以下のようなものが挙げられる。〔 〕内
はCAS No.を示す。4−N,N−ジエチルアミノ
ベンゼンジアゾニウム塩化亜鉛複塩〔13533−17
−0〕,4−(4’−メトキシベンゾイルアミノ)−
2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム塩化亜鉛複塩
〔52543−24−5〕, 4−モルホリノ−2,5−
ジブトキシ−ベンゼンジアゾニウム塩化亜鉛複塩〔14
726−58−0〕, 4−N,N−ジエチルアミノベン
ゼンジアゾニウム テトラフッ化ホウ酸塩〔347−4
6−6〕,4−モルホリノ−2,5−ジブトキシ−ベン
ゼンジアゾニウム テトラフッ化ホウ酸塩〔50543
−78−7〕,4−(4’−メチルフェニルチオ−2,
5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム テトラフッ化ホ
ウ酸塩〔74577−10−9〕,4−モルホリノベン
ゼンジアゾニウム テトラフッ化ホウ酸塩〔2248−
34−2〕,4−ピロリジノ−3−メチルベンゼンジア
ゾニウム−テトラフッ化ホウ酸塩〔36422−95−
4〕,4−N,N−ジメチルアミノベンゼンジアゾニウ
ム ヘキサフッ化ホウ酸塩〔733−51−7〕,4−
モルホリノ−2,5−ジブトキシ−ベンゼンジアゾニウ
ム ヘキサフッ化ホウ酸塩〔68015−88−3〕,
4−(4’−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキ
シベンゼンジアゾニウム−ヘキサフッ化ホウ酸塩〔38
686−70−3〕,4−ピロリジノ−3−メチルベン
ゼンジアゾニウム−ヘキサフッ化ホウ酸塩〔68015
−90−7〕がある。このうち,塩化亜鉛塩を構成して
いるものは,水に可溶であるため,水溶性樹脂に溶解さ
せることができる。
【0012】そして,予め着色材で着色した感光性樹脂
の中に,前述した光褪色性部材を添加して溶解させたも
のを塗布することができる。例えば,特開昭60−12
9738号公報で開示された着色画素においては,基質
が水溶性のPVAであるので,この中に,前述のジアゾ
系染料の塩化亜鉛塩を添加し,十分に溶解する。このよ
うな操作により,「予め着色し光褪色性部材を含む感光
性樹脂」を得ることができる。このような感光性樹脂に
よれば,同一出願人が,別途提案したような,塗布時に
予め着色した感光性樹脂の層と光褪色性部材の層の2層
を形成する必要がなく,常法による製版工程で,着色画
素を得ることができる。塗布工程は,一般に,スピン塗
布法が用いられるが,所定膜厚と分光特性が得られれば
良いため,種々の塗布法,たとえば,ロ−ルコート法,
ミヤバーコート法等も採用しうる。
【0013】図4に,光褪色性部材(ジアゾ系;4−モ
リホリノ−2,5−ジブトキシ−ベンゼンジアゾニウム
塩化亜鉛塩の光露光前後の光の透過率の変化を示す。実
線は,光照射前であり,点線は,光照射後の透過率であ
る。光照射により,光褪色性部材の紫外域の吸収が失わ
れ透過するようになることがわかる。
【0014】
【作用】図2,図3について前述したように,顔料によ
り着色された感光性樹脂単独では,光の照射により,顔
料粒子による光の乱反射が生ずる。また,感光性樹脂を
硬化させるに十分な光照射を行うと,光の乱反射による
線巾の太りを避けることができない。ここで,図5に示
すように,光褪色性部材を感光性樹脂に含ませると,乱
反射による光は,光褪色性部材に吸収される作用があ
る。従って,感光性樹脂を硬化させるに十分な光照射を
行っても光の乱反射が大巾により軽減される結果,線巾
の太りを防止することができ,着色画素の微細化が実現
する。同じように,回り込み光についても光褪色性部材
に吸収される作用があり,線巾の太りを防止することが
できる。
【0015】
【実施例】次に,以上の発明の構成を更に詳細に,図面
を参照しながら,実施例を用いて説明する。 (実施例1) 「着色し光褪色性部材を含む感光性樹脂」の調整 調整方法としては,例えば,赤色顔料は,次のような処
理で作られた。シムラフアストピラゾロンレッドBT
(大日本インキ化学社製顔料)80gを平均分子量15
00,ケン化度約88%のポリビニルアルコール100
gと重クロム酸アンモニウム30gを水780gで溶解
させた感光性樹脂に混合し,得られた混合物をサンドミ
ルで練肉分散した後,10000rpmで20分間遠心
分離した。次いで,光褪色性部材として,ジアゾ系染料
DH−300(ダイトー化学社製)10gを添加し,攪
拌した後,1μmのメンブランフィルターでー濾過し,
赤色着色の感光性樹脂組成物を得た。同様の方法で緑
色,青色の感光性樹脂組成物を作成した。これらの感光
性樹脂組成物の組成例を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】(実施例2) カラーフィルターの製造 図1は,本発明のカラーフィルターの製造工程を説明す
る図であり,図1(a)に示す,6インチφのシリコン
ウェーハーに面付けされた一次元ラインセンサー(基板
1)上に,図1(b)に示すように,実施例1で作成し
た赤色着色感光性樹脂を膜厚2.0μmになるように,
スピン塗布した後,60℃のホットプレート上で5分間
乾燥させた。次いで,次いで,図1(c)に示すよう
に,所望のパターンを有するフオトマスク4を介して,
20μmのプロキシミティギャップで300mJ/cm
2 の紫外線を照射した。更に,図1(d)に示すよう
に,水を用いて30秒間現像し,150℃のオーブンで
30分間硬化させた後,所望の赤色の着色画素3aを得
た。かかる工程を緑,青と同様に繰り返し,最後に保護
膜として光感光性アクリル樹脂FVR−10(富士薬品
工業社製)を塗布,露光,現像を行い,必要部位のみ製
版することにより保護膜を形成した。以上のようにし
て,完成させたカラーフィルター付の一次元ラインセン
サーをイメージスキャナーに組み込んで画像出力を試み
たところ良好な画質の画像が得られた。図6には,青色
に着色した感光性樹脂について,Aの光褪色性部材を添
加しない着色した感光性樹脂のみを使用した場合に対比
して,Bの光褪色性部材としてジアゾ系染料DH−30
0(ダイトー化学社製)を添加した場合について,それ
ぞれ露光量(mJ/cm2 )と解像度(μm)の変化を
示した。露光量が一定の場合に,本発明では,着色した
感光性樹脂のみを使用した場合に比べて,約60〜70
%に微細化されたライン・アンド・スペース・パターン
を形成できるほど解像度が向上していることがわかる。
【0018】
【発明の効果】露光量が一定の場合,光褪色性部材を添
加する前のものに比べ,解像度が3〜4割程度向上し
た。デバイス等の製造分野で用いられるCELでは,1
〜2割程度の解像度が向上するのに比べ,可視領域の特
定の領域の光を透過する分光特性を有する感光性樹脂で
は,その効果は,著しく大きいものであった。また,光
褪色性部材による光吸収は,約100mJ/cm2 であ
ったが,もともと光褪色性部材を含む着色された感光性
樹脂の感度が数100mJ/cm2 であるため,減感の
比率も軽微であり,生産性の大巾な低下はなかった。
(なお,デバイス等の製造分野で使用される感光性樹脂
は,例えば,ノボラック系樹脂で50〜100mJ/c
2 であるため,減感の比率が大になる)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルターの製造工程を説明す
る図である。
【図2】従来の「顔料分散法」における顔料粒子による
光の乱反射を説明する図である。
【図3】従来の「顔料分散法」における光の回り込み状
況を説明する図である。
【図4】本発明で使用する光褪色性部材例の光露光前後
の光の透過率を説明する図である。
【図5】本発明の作用を説明する図である。
【図6】本発明と従来法とを対比した露光量と解像度と
の関連を説明する図である。
【符号の説明】
1 基板 2 顔料分散感材(着色した感光性樹脂) 3 着色材と光褪色性部材を含む感光性樹脂 3a 着色画素 4 フオトマスク 5 光 5a 乱反射光 5b 回り込み光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−75751(JP,A) 特開 平1−106048(JP,A) 特開 昭62−133444(JP,A) 特開 昭63−314501(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/20 101 G02F 1/1335 505

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に繰り返して着色画素が配列して
    なる顔料分散法によるカラーフィルターの製造方法にお
    いて,少なくとも着色材とジアゾ系染料の塩化亜鉛塩か
    らなる光褪色性部材とポリビニルアルコールからなる樹
    脂とを含む感光性樹脂を塗布する工程と、プロキシミテ
    ィー法による露光工程とを包含することを特徴とするカ
    ラーフィルターの製造方法。
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