JP3305527B2 - 結晶配向超硬合金製多面体形状チップおよびその製造方法 - Google Patents

結晶配向超硬合金製多面体形状チップおよびその製造方法

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JP3305527B2
JP3305527B2 JP02866195A JP2866195A JP3305527B2 JP 3305527 B2 JP3305527 B2 JP 3305527B2 JP 02866195 A JP02866195 A JP 02866195A JP 2866195 A JP2866195 A JP 2866195A JP 3305527 B2 JP3305527 B2 JP 3305527B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板状晶WCを晶出さ
せ、かつ板状晶WCを特定方向に配向させることによ
り、硬さ,耐摩耗性,耐塑性変形性,靭性,耐衝撃性お
よび耐熱衝撃性を向上させて、しかも特定方向または特
定な面で、その効果を高めるようにした結晶配向超硬合
金製多面体形状チップ、被覆結晶配向超硬合金製多面体
形状チップおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に超硬合金は、炭化タングステンの
粒度,粒径または結合相の成分,含有量もしくは他の硬
質相としての立方晶系化合物の成分,含有量により、硬
さや耐摩耗性と強度,靭性,耐欠損性などの合金特性を
ある程度の範囲で調整することができることから、用途
に合せて合金特性を調整した多種類の超硬合金が実用さ
れている。これらの従来の超硬合金は、硬さを高めて耐
摩耗性を向上させると、靭性の低下および強度,耐欠損
性の劣化が生じ、逆に靭性,強度,耐欠損性を高める
と、硬さ,耐摩耗性が低下するという二律背反的傾向を
示し、1材質の超硬合金の用途範囲が非常に狭いという
問題がある。
【0003】この問題を解決する1つの方向として、W
Cの結晶面による機械的特性の異方性に注目したもの、
具体的には、例えばWC結晶の(001)面が最高硬さ
を示し、(100))面方向が最高弾性率を示すことか
ら、(001)面方向に優先的に成長させて、(00
1)面の発達した三角板状または六角板状に代表される
板状晶WCを含有させた超硬合金およびその製造方法に
ついての提案がある。この板状晶WC含有超硬合金およ
びその製造方法に関する代表的なものに、特公昭47−
23049号公報,特公昭47−23050号公報,特
開平2−47239号公報,特開平138434号公
報,特開平2−274827号公報および特開平5−3
39659号公報がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】板状晶WCに関する先
行技術の内、特公昭47−23049号公報および特公
昭47−23050号公報には、板状晶WCを成長させ
るための多孔性の凝集体でなるコロイド状炭化タングス
テン粉末とFe,Ni,Coまたはこれらの合金の粉末
からなる組成物を、型中で加熱焼結することにより、板
状晶WCを形成させた超硬合金およびその製造方法につ
いて記載されている。これら両公報に記載されている超
硬合金およびその製造方法は、コロイド状炭化タングス
テン粉末を調整することが困難であること、これを用い
て超硬合金を作製する場合には、型の短寿命と低生産性
により製造コストが顕著に高くなること、製品形状が制
限されること、板状晶WCの生成割合が少なく従来の超
硬合金に比べてそれほど大きな効果が得られないという
問題がある。
【0005】また、特開平2−47239号公報および
特開平2−138434号公報には、炭化タングステン
を過飽和に含有した(W,Ti,Ta)Cの固溶体を含
む組成物粉末を用いて、加熱焼結時に板状晶WCを晶出
させた超硬合金およびその製造方法について記載されて
いる。これら両公報に記載されている超硬合金およびそ
の製造方法は、炭化タングステンを過飽和に含有した固
溶体を作製するのが非常に困難であること、超硬合金の
組成範囲が極端に制限されること、板状晶WCの生成割
合が少なく従来の超硬合金に比べてそれほど大きな効果
が得られないという問題がある。
【0006】さらに、特開平2−274827号公報に
は、使用済の超硬合金を酸化し、還元した後、炭化して
得られた組成物粉末をホットプレス焼結する異方性超硬
合金の製造方法について記載されている。同公報に記載
されている方法およびこの方法で得られる超硬合金は、
還元,炭化により生成した微細な炭化タングステンの粒
子成長作用を利用した方法およびそれにより得られた超
硬合金であるために、粒子径が制御し難いこと、製品形
状が制限されること、製造工程が複雑で製造コスト高、
すなわち製品コストが高くなること、板状晶WCの生成
割合が少なく、その制御が困難であるという問題があ
る。
【0007】その他、特開平5−339659号公報に
は、0.5μm以下のWCと、3〜40重量%の立方晶
系化合物と、1〜25重量%のCoおよび/またはNi
からなる混合粉末を用いて、長時間粉砕により微細で、
かつ高歪量の炭化タンクステンとした後、1450℃以
上で焼結し、板状晶WCを含有する超硬合金とする製造
方法が記載されている。同公報に記載されている製造方
法では、不純物量が多くなること、製造工程時間が長く
なること、得られる超硬合金には板状晶WCの含有量が
少なく、その含有量の制御が困難であるという問題があ
る。
【0008】本発明は、上述のような問題点を解決した
ものであり、具体的には、板状晶WCを多量に含有させ
て、かつその板状晶WCの結晶面を配向させることによ
り、高硬度,高靭性かつ耐摩耗性,耐塑性変形性,耐衝
撃性,耐熱衝撃性および耐欠損性に優れる結晶配向超硬
合金製多面体形状チップ、被覆結晶配向超硬合金製多面
体形状チップおよびその製造方法の提供を目的とするも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、長年に亘
り、超硬合金の硬さ,耐塑性変形性および耐摩耗性を低
下させずに、強度,靭性,耐欠損性および耐衝撃性を向
上させるための検討を行っていた所、板状晶WCを含有
した超硬合金にするとその目的が達成される傾向にある
こと、さらに板状晶WCの結晶面の方位を揃えて配向さ
せると、それぞれの特性が一層向上するという知見を得
て、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】本発明の結晶配向超硬合金製多面体形状チ
ップは、Co,Ni,Fe、これらの合金、これらにC
r,V,Mo,Wの1種以上が固溶された合金の中の1
種以上を主成分とする結合相3〜30重量%と、残りが
炭化タングステンの硬質相と不可避不純物とからなる超
硬合金製多面体形状チップであって、該多面体形状チッ
プの作製時における粉末成形体の加圧面に平行な面をp
面とし、該p面に対して垂直な面をh面とし、該p面お
よび該h面におけるWC結晶の(001)面および(1
01)面でのX線回折法によるピ−ク強度をそれぞれp
(001),p(101),h(001)およびh(1
01)と表わしたとき、p(001)/p(101)>
1.2×h(001)/h(101)でなることを特徴
とするものである。
【0011】本発明の超硬合金における結合相は、具体
的には、例えばCo,Ni,Fe,Co・Ni合金,C
o・Fe合金,Ni・Fe合金,Co・Ni・Fe合金
またはこれらにCr,V,Mo,Wの1種以上が固溶し
たCo・Cr合金,Co・V合金,Ni・Cr合金,N
i・V合金,Ni・Mo合金,Co・Ni・Cr合金,
Co・W合金,Co・Cr・V合金,Co・Ni・Cr
・V合金を挙げることができる。この結合相は、超硬合
金全体に対して3重量%未満になると、相対的に硬質相
が97重量%を超えて多くなること、硬質相中の板状晶
WCの含有量が少なくなることから強度,靭性,耐衝撃
性,耐欠損性が低下すること、逆に超硬合金全体に対し
て30重量%を超える結合相量になると、相対的に硬質
相が70重量%未満となることから硬さ,耐摩耗性の低
下が顕著となるために、3〜30重量%と定めたもので
ある。
【0012】この結合相の他に存在するもう1つの主成
分である硬質相は、炭化タングステンのみからなる場
合、または炭化タングステンに周期律表の4a,5a,
6a族元素の炭化物,窒化物およびこれらの相互固溶体
の中の1種以上の立方晶系化合物を50重量%以下混在
してなる場合があり、この内立方晶系化合物としては、
具体的には、例えばTiC,ZrC,HfC,VC,N
bC,TaC,TiN,ZrN,HfN,VN,Nb
N,TaN,CrN,Ti(C,N),Zr(C,N),
V(C,N),Ta(C,N),(Ti,Zr)C,(T
i,Zr)N,(Ti,Zr)(C,N),(Ti,Ta)
C,(Ti,Ta)N,(Ti,Ta)(C,N),(T
i,W)C,(Ti,W)N,(Ti,W)(C,N),
(Ti,Zr,Ta)C,(Ti,Zr,Ta)N,(T
i,Zr,Ta)(C,N),(Ti,Ta,W)C,(T
i,Ta,W)N,(Ti,Ta,W)(C,N),(Ti,
Ta,Nb,W)C,(Ti,Ta,Nb,W)N,(Ti,
Ta,Nb,W)(C,N)を挙げることができる。この
立方晶系化合物は、硬質相全体に対して50重量%を超
えて多くなると、超硬合金の強度,靭性が顕著に低下す
るために、硬質相中の50重量%以下と定めたものであ
る。
【0013】本発明の超硬合金は、上述の結合相と硬質
相とでなるものであるが、超硬合金を作製するために用
いる出発物質としての各種の粉末に微量混在している不
純物および超硬合金を作製するための各種の工程から微
量混入してくる不純物があり、これらの両不純物でなる
不可避不純物としては、具体的には、例えばSi,A
l,Ca,Mn,Mgを挙げることができる。この超硬
合金は、炭化タングステンを結晶配向させるために多面
体形状チップに形成する必要があり、多面体形状チップ
としては、例えば円錐形状の2面体,円柱形状の3面
体,三角錐形状,円筒形状の4面体,四角錐形状,三角
柱形状の5面体,四角柱形状の6面体,五角柱形状の7
面体を挙げることができる。
【0014】本発明の超硬合金製多面体形状チップは、
円柱形状,円筒形状,三角柱形状,四角柱形状(立方
体,直方体),五角柱形状,六角柱形状に代表される場
合のように、特定な1つの面と、その面に対して垂直な
面を有する多面体形状チップであることが好ましく、特
定な1つの面をp面とし、このp面に対して垂直な面を
h面としたとき、p面およびh面においてX線回折を行
い、そのときに得られるWC結晶の(001)面および
(101)面のピ−ク強度をそれぞれp(001),p
(101),h(001),h(101)と表わしたと
きに、p(001)/p(101)>1.2×h(00
1)/h(101)でなるようにWC結晶が配向されて
おり、このように配向されると、組織的にはアスペクト
比が3〜20でなる板状晶WCが相当多量に晶出してい
るものである。このときの板状晶WCが炭化タングステ
ン全体に対して30%以上であることが特に好ましいこ
とである。
【0015】以上に詳述してきた本発明の超硬合金製多
面体形状チップを基体とし、この基体上に硬質被膜を被
覆して被覆結晶配向超硬合金製多面体形状チップとする
こと、この硬質被膜は、具体的には、例えばTiC,Z
rC,HfC,VC,NbC,TaC,Cr32,Mo
2C,WC,W2C,TiN,ZrN,HfN,VN,N
bN,TaN,CrN,Ti(C,N),Ti(C,
O),Ti(N,O),Ti(C,N,O),(Ti,A
l)N,(Ti,Al)(N,C),(Ti,Al)(N,
O),(Ti,Al)(C,N,O),Al23,Al
N,立方晶窒化硼素(CBN),CBNに近似した特性
を有する硬質窒化硼素,ダイヤモンド,ダイヤモンドに
近似した特性を有するダイヤモンド状カ−ボンの中の1
種以上の単層または多層でなる硬質被膜を挙げることが
できる。
【0016】本発明の超硬合金製多面体形状チップは、
従来の板状晶WC超硬合金の製造方法を応用して、板状
晶WCを分離およびその板状晶WCを配向させることに
より得ることができるが、次の方法で作製すると簡易に
得ることができるので好ましいことである。
【0017】すなわち、本発明の超硬合金製多面体形状
チップの製造方法は、Co,Ni,Fe、これらの合
金、これらにCr,V,Mo,Wの1種以上が固溶され
た合金およびCo前駆体物質,Ni前駆体物質,Fe前
駆体物質の中の1種以上でなる結合相形成物質と、炭
素,黒鉛および炭素前駆体物質の中の1種以上の炭素源
物質と、WまたはWと周期律表の4a,5a,6a族元
素の炭化物,窒化物,酸化物およびこれらの相互固溶体
の中の1種以上の高融点物質でなる硬質相形成物質とか
らなる出発物質を用いて、該出発物質を混合粉砕して混
合粉末とする混合工程と、該混合粉末を成形して粉末成
形体とする成形工程と、該粉末成形体を非酸化性雰囲気
中で加熱焼結する焼結工程を経て超硬合金を製造する方
法であって、該出発物質中に存在するWが機械的に扁平
状に変形してあることを特徴とする方法である。
【0018】本発明の製造方法における出発物質は、具
体的には、例えば結合相形成物質としては、Co,N
i,Co・Ni合金,Co・Cr合金,Ni・Cr合
金,Ni・Fe合金,Co・Ni・Cr合金,Co・V
・Cr合金,Co・V合金,およびCoO,Co34
CoCO3,Co(COO)2,Co(C5722、N
iO,Ni(NO32、FeO,Fe23,Fe34
前駆体物質を、炭素源物質としてはカ−ボン,グラファ
イト,樹脂,石油ピッチ,コ−クス,木炭を、硬質相形
成物質としてはWまたはWにTiC,ZrC,HfC,
VC,NbC,TaC,Cr32,Mo2C,WC,T
iN,ZrN,HfN,VN,NbN,TaN,Cr
N,TiO2,ZrO2,Ta25,Cr23,WO3
Ti(C,N),Ti(C,O),Ti(N,O),Ti
(C,N,O),(Ti,W)C,(Ti,Ta,W)C,
(Ti,W)(C,O),(Ti,Ta,W)(C,N,O)
でなる高融点物質の1種以上を50重量%以下含有して
いる場合を挙げることができる。
【0019】これらの出発物質を選定して、出発物質を
所定の配合組成に秤量した後、混合粉砕して混合粉末と
する混合工程は、例えばボ−ルミル,アトライタ−,ロ
−ラ−ミル,スタンプミル,振動ミルにより混合粉砕す
ればよく、混合粉末を粉末成形体とする成形工程は、遠
心成形,鋳込み成形,金型成形,押出し成形,射出成
形,リキッド加圧成形,ロ−ル成形にするか、または黒
鉛型で直接焼結するための前段状態とすればよく、粉末
成形体を加熱焼結する焼結工程は、真空,窒素ガス,水
素ガス,不活性ガスに代表される雰囲気中で1200〜
1600℃に加熱焼結するものである。
【0020】この出発物質として用いる機械的に扁平状
に変形させたWとは、例えばスタンプミルでもってW粉
末を鱗片状にしたもの,または上述の混合工程において
W粉末を特に粉砕したものでなり、扁平な面の平均径が
1〜10μmのW金属粉末でなることが特に好ましく、
また炭素源物質が2〜20μmのグラファイト粉末でな
ることが特に好ましく、結合相形成物質が3μm以下の
金属粉末でなることが特に好ましいことである。
【0021】本発明の製造方法において、炭化タングス
テン、特に板状晶WCを配向する方法は、機械的に扁平
状に変形させたWを含有した混合粉末に一定方向の圧力
を付加することにより配向することができるものであ
り、具体的には、扁平状Wを含有した混合粉末に一定方
向から加圧し、焼結すると、加圧面に平行に板状晶WC
が揃った状態の超硬合金となるものである。特に、焼結
工程において、混合粉末中に混在している扁平状Wと結
合相形成物質と炭素源物質により、例えばCo3
94,Co33C,Ni24C,Co24C,(Co,
Cr)394,(Co,Ni)33C,(Ni,Cr)2
4Cで表わされる複合固溶体炭化物を形成させておい
てから、実質上の焼結温度条件とすることが好ましいこ
とである。
【0022】また、本発明の被覆結晶配向超硬合金製多
面体形状チップは、上述の方法で得た結晶配向超硬合金
製多面体形状チップを基体とし、この基体の表面を従来
から行われている研磨,洗浄などの前処理を施した後、
化学蒸着法,物理蒸着法,プラズマ化学蒸着法などによ
り、基体上に硬質被膜を被覆して得ることができる。
【0023】
【作用】本発明の超硬合金製多面体形状チップは、超硬
合金に含有するWC結晶、特に板状晶WCが特定な面に
配向されていることにより、板状晶WCがその面におけ
る硬さ,靭性,強度を顕著に高める作用をしている。ま
た、本発明の製造方法は、成形工程が扁平状Wを加圧面
に平行に配向する作用をし、焼結工程が扁平状Wを複合
固溶体炭化物とする作用とこの複合固溶体炭化物から板
状晶WCの晶出の促進作用をしているものである。
【0024】
【実施例1】市販されている平均粒径が3.5μmのW
(表中、W/Lと記す),1.6μmのW(表中、W/
Mと記す),3.5μmのWをステンレス製ポットにア
セトン溶媒と超硬合金製ボ−ルと共に装入して24時間
混合粉砕して得た1.5μmのW(表中、W/Fと記
す),4.5μmのWC(表中、WC/Lと記す),
2.3μmのWC(表中、WC/Mと記す),6μmの
グラファイト(表中、Gと記す),1.2μmのCo
(表中、Co/Mと記す),0.10μmのCo(表
中、Co/Fと記す),0.12μmのNi,1〜2μ
mのCr32,TaC,(W,Ti,Ta)C固溶体(重
量比でWC/TiC/TaC=50/20/30,表
中、WTTと記す)の各粉末を用いて、表1に示す配合
組成に秤量し、ステンレス製ポットにアセトン溶媒と超
硬合金製ボ−ルと共に装入し、48時間混合粉砕後、乾
燥して混合粉末を得た。この混合粉末を用いて、JIS
−B4120に記載のSNGN120408形状用の金
型でもって2ton/cm2に加圧し、16×16×
6.2mmの粉末成形体を得た。次いで、アルミナとカ
−ボンの繊維からなるシ−ト上に粉末成形体を設置し、
雰囲気圧力10Paの真空中で加熱焼結し、表1に併記
する温度に1時間保持することにより、本発明品1〜7
および比較品1〜10の超硬合金製多面体形状チップを
得た。こうして得た本発明品と比較品の合金組成を表2
に示した。(但し、表2に記載の炭化物は、炭化タング
ステン(WC)と、他の炭化物に1部のWCを含有した
複合固溶体になっているものである) 本発明品1〜7
および比較品1〜10のそれぞれの試料を#230のダ
イヤモンド砥石で湿式研削加工し、さらに試料の上下面
(表中、p面と記す)および側面(表中、h面と記す)
の各1面を1μmのダイヤモンドペ−ストでラップ加工
した。なお、各試料のp面が加圧面に平行な面であり、
h面が加圧方向(p面に対して)に垂直な面である。こ
れらの各試料のp面とh面について、X線回折によるW
C結晶の(101)面に対する(001)面のピ−ク強
度比を求めて、その結果を表3に示した。また、各試料
のp面とh面について、荷重:196Nでのビッカ−ス
硬さと破壊靭性値:K1C(IM法)を測定して、その
結果を表3に併記した。さらに、各試料のp面とh面に
ついて、電子顕微鏡写真の画像処理によるWCの平均粒
子径とその最大径と最小径との比が3.0以上である板
状晶WCのWC全体に対する体積割合を求めて、その結
果を表4に示した。
【0025】次に、本発明品1,2および比較品1,2
を用いて、被削材:FC350,切削速度:100m/
min,切込み:1.5mm,送り:0.3mm,チッ
プ形状:SNGN120408,の条件で乾式旋削試験
を行い、平均逃げ面摩耗幅が0.35mmとなるまでの
寿命時間を求めた結果、本発明品1:30min,本発
明品2:35min,比較品1:15min,比較品
2:13minであった。
【0026】
【実施例2】実施例1で得た本発明品5,6および比較
品5,6を用いて、それぞれの試料に−30°×0.1
5mmのプリホ−ニングを施した後、化学蒸着装置でも
って、各試料の表面に1.0μm厚さのTiN被膜と
5.0μm厚さのTi(CN)被膜と2.0μm厚さの
TiC被膜と2.0μm厚さのAl23被膜と1.0μ
mのTiN被膜を順次被覆して、それぞれを本発明品
8,9および比較品11,12とした。
【0027】こうして得た本発明品8,9および比較品
11,12を用いて、被削材:S48C(4本溝入
り),切削速度:200m/min,切込み:2.0m
m,の条件で乾式断続旋削試験を行い、切れ刃のチッピ
ング,刃先の破損または平均逃げ面摩耗幅が0.35m
mとなるまでの寿命時間を求めた結果、本発明品8:3
9min(正常摩耗),本発明品9:31min(正常
摩耗),比較品11:13min(チッピング),比較
品12:15min(塑性変形による異常摩耗)であっ
た。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【0032】
【発明の効果】本発明の超硬合金は、従来の超硬合金に
比較して(001)面の成長した板状晶WCを多量に含
有し、かつ多面体の特定面で板状晶WCが配向されてお
り、その結果硬さおよび破壊靱性値が顕著に高く、耐摩
耗性および耐欠損性が顕著に優れており、長寿命になる
という効果がある。また、本発明の製造方法は、従来の
製造方法に比較して多量の板状晶WCを晶出させ得るこ
と、およびその板状晶WCを特定面で配向させ得るとい
う効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 29/00 - 29/18 C22C 1/04 - 1/05

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co,Ni,Fe、これらの合金、これ
    らにCr,V,Mo,Wの1種以上が固溶された合金の
    中の1種以上でなる結合相3〜30重量%と、残りが炭
    化タングステンの硬質相と不可避不純物とからなる超硬
    合金製多面体形状チップにおいて、該多面体形状チップ
    の作製時における粉末成形体の加圧面に平行な面をp面
    とし、該p面に対して垂直な面をh面とし、該p面およ
    び該h面におけるWC結晶の(001)面および(10
    1)面でのX線回折法によるピ−ク強度をそれぞれp
    (001),p(101),h(001)およびh(1
    01)と表わしたとき、p(001)/p(101)>
    1.2×h(001)/h(101)でなることを特徴
    とする結晶配向超硬合金製多面体形状チップ。
  2. 【請求項2】 Co,Ni,Fe、これらの合金、これ
    らにCr,V,Mo,Wの1種以上が固溶された合金の
    中の1種以上でなる結合相3〜30重量%と、残りが炭
    化タングステンに周期律表の4a,5a,6a族元素の
    炭化物,窒化物およびこれらの相互固溶体の中の1種以
    上でなる立方晶系化合物を50重量%以下混在してなる
    硬質相と不可避不純物とからなる超硬合金製多面体形状
    チップにおいて、該多面体形状チップの作製時における
    粉末成形体の加圧面に平行な面をp面とし、該p面に対
    して垂直な面をh面とし、該p面および該h面における
    WC結晶の(001)面および(101)面でのX線回
    折法によるピ−ク強度をそれぞれp(001),p(1
    01),h(001)およびh(101)と表わしたと
    き、p(001)/p(101)>1.2×h(00
    1)/h(101)でなることを特徴とする結晶配向超
    硬合金製多面体形状チップ。
  3. 【請求項3】 上記立方晶系化合物は、上記硬質相に対
    して30重量%以下でなることを特徴とする請求項2に
    記載の結晶配向超硬合金製多面体形状チップ。
  4. 【請求項4】 上記超硬合金は、該超硬合金の断面組織
    における炭化タングステンのアスペクト比が3〜20で
    なる板状晶WCを含有し、該板状晶WCが炭化タングス
    テン全体の30%以上であることを特徴とする請求項
    1,2または3に記載の結晶配向超硬合金製多面体チッ
    プ。
  5. 【請求項5】 上記請求項1,2,3または4に記載の
    結晶配向超硬合金製チップを基体とし、該基体上に周期
    律表の4a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物,炭酸
    化物,窒酸化物、Alの酸化物,窒化物およびこれらの
    相互固溶体、立方晶窒化硼素,硬質窒化硼素,ダイヤモ
    ンド,ダイヤモンド状カ−ボンの中の1種以上でなる単
    層または多層の硬質被膜が被覆されたことを特徴とする
    被覆結晶配向超硬合金製多面体形状チップ。
  6. 【請求項6】 Co,Ni,Fe、これらの合金、これ
    らにCr,V,Mo,Wの1種以上が固溶された合金お
    よびCo前駆体物質,Ni前駆体物質,Fe前駆体物質
    の中の1種以上でなる結合相形成物質と、炭素,黒鉛お
    よび炭素前駆体物質の中の1種以上の炭素源物質と、W
    またはWと周期律表の4a,5a,6a族元素の炭化
    物,窒化物,酸化物およびこれらの相互固溶体の中の1
    種以上の高融点物質でなる硬質相形成物質とからなる出
    発物質を用いて、該出発物質を混合粉砕して混合粉末と
    する混合工程と、該混合粉末を成形して粉末成形体とす
    る成形工程と、該粉末成形体を非酸化性雰囲気中で加熱
    焼結する焼結工程を経て超硬合金製多面体形状チップを
    製造する方法であって、該出発物質中に存在するWが機
    械的に扁平状に変形されており、扁平状Wを含有した該
    混合粉末に一定方向の圧力を付加することを特徴とする
    結晶配向超硬合金製多面体形状チップの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記扁平状のWは、扁平な面の平均径が
    1〜10μmの金属粉末でなり、上記炭素源物質は、平
    均径が2〜20μmの黒鉛(グラファイト)粉末でな
    り、上記結合相形成物質は、3μm以下の金属粉末でな
    ることを特徴とする請求項6記載の結晶配向超硬合金製
    多面体形状チップの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記超硬合金製多面体形状チップは、C
    o,Ni,Fe、これらの合金、これらにCr,V,M
    o,Wの1種以上が固溶された合金の中の1種以上でな
    る結合相3〜30重量%と、残りが炭化タングステンの
    硬質相と不可避不純物とからなり、該超硬合金製多面体
    形状チップの作製時における粉末成形体の加圧面に平行
    な面をp面とし、該p面に対して垂直な面をh面とし、
    該p面および該h面におけるWC結晶の(001)面お
    よび(101)面でのX線回折法によるピ−ク強度をそ
    れぞれp(001),p(101),h(001)およ
    びh(101)と表わしたとき、p(001)/p(1
    01)>1.2×h(001)/h(101)でなるこ
    とを特徴とする請求項6または7に記載の結晶配向超硬
    合金製多面体形状チップの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記超硬合金製多面体形状チップは、C
    o,Ni,Fe、これらの合金、これらにCr,V,M
    o,Wの1種以上が固溶された合金の中の1種以上でな
    る結合相3〜30重量%と、残りが炭化タングステンに
    周期律表の4a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物お
    よびこれらの相互固溶体の中の1種以上の立方晶系化合
    物を50重量%以下混在してなる硬質相と不可避不純物
    とからなり、該超硬合金製多面体形状チップの作製時に
    おける粉末成形体の加圧面に平行な面をp面とし、該p
    面に対して垂直な面をh面とし、該p面および該h面に
    おけるWC結晶の(001)面および(101)面での
    X線回折法によるピ−ク強度をそれぞれp(001),
    p(101),h(001)およびh(101)と表わ
    したとき、p(001)/p(101)>1.2×h
    (001)/h(101)でなることを特徴とする請求
    項6または7に記載の結晶配向超硬合金製多面体形状チ
    ップの製造方法。
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