JP3304559B2 - 光計測方法および装置 - Google Patents

光計測方法および装置

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JP3304559B2 JP26606293A JP26606293A JP3304559B2 JP 3304559 B2 JP3304559 B2 JP 3304559B2 JP 26606293 A JP26606293 A JP 26606293A JP 26606293 A JP26606293 A JP 26606293A JP 3304559 B2 JP3304559 B2 JP 3304559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体内部の情報を光を用
いて測定する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】脳疾患などの予防診断、または定常的な
生体機能モニターを目的として、生体機能を簡便かつ生
体に害を与えずに測定する装置が臨床医療で望まれてい
る。この要望に対し、光計測は非常に有効である。その
第一の理由は、生体機能を反映する生体内酸素分圧は生
体中の特定色素の濃度に対応し、この色素濃度は光(可
視から近赤外領域の波長)吸収量から求められるからで
ある。この特定の色素としては、酸素分圧で光吸収スペ
クトルが変化することが知られているヘモグロビン(血
液中に存在、以下Hbと示す)、チトクロームaa3(細
胞内に存在)もしくはミオグロビン(筋肉中に存在)など
がある。また、光計測が有効である第二、第三の理由と
しては、光は光ファイバにより簡便に扱え、さらに安全
基準範囲内での使用により生体に害を与えないことが挙
げられる。この光計測の利点を利用し、可視から近赤外
の波長の光を用いて生体機能を測定する装置が、例えば
特開昭57−115232号公報もしくは特開昭63−
275323号公報で提示されている。また、生体機能
をより正確に計測するためには、生体中の上記色素濃度
を断層像として求める必要がある。なぜならば、例えば
脳機能計測を目的として頭部を測定する場合、脳機能を
直接反映する脳組織(生体表面から10mm以上の深さ)
中に存在する色素の濃度を、皮膚・頭蓋骨などの生体表
面部(生体表面から10mm以内)に存在する色素の濃度
(脳組織中の色素濃度の正確な計測の妨げとなる)とから
明確に分離しなければならないからである。このような
計測装置としては、生体透過光から断層像をCT画像と
して求める、いわゆる光CT装置が、例えば、特開昭6
0−72542号公報もしくは特開昭62−23162
5号公報に記載されている。また、生体反射光から断層
像を求める装置は、例えば、特表平03−505922
号公報もしくは特開平04−135551号公報に記載
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この生体機能計測装
置、特に定常的なモニター装置は病院内の病室もしくは
手術室などでベッドサイドで利用される。この場合、装
置の設置スペースを最小限にしなければならないため、
小型の装置が必要となる。また、定常的なモニターのた
め、特に手術室での使用では、断層像を実時間で計測・
表示しなければならないため、データ処理に簡便さが必
要となる。これらの点に関して、上記光CT装置は生体
を透過した微弱光を計測するために、特別な高感度光計
測装置が必要となり、装置構成の小型化は考慮されてい
ない。さらに、CT画像化にも特別な画像再生処理が必
要なため、データ処理の簡便化も考慮されていない。一
方、生体反射光量は透過光量に比べて非常に大きいた
め、反射光による断層像計測には高感度光計測装置が不
要となり、この場合装置構成を小型化できる可能性があ
る。ところが、従来技術の反射光検出型の断層像計測装
置では、断層像を求めるために、パルス光(数十ピコ秒)
とストリークカメラなどの検出光量の時間依存性を時間
分解能数ピコ秒程度で検出する、特別な時間分解光検出
器を用いるため装置が大型となる。また、断層像算出の
データ処理についても、逆問題解法を用いるため複雑に
なり、かつ時間を要する。本発明の目的は、臨床医療で
望まれる生体機能断層像計測で必要とされる、装置の小
型化、もしくはデータ処理の簡便化を実現する方法およ
び装置を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】複数の異なる波長領域か
らなり各々の波長領域内でさらに複数の異なる波長から
構成される光を被検体に照射し、被検体から反射される
光を検出し被検体表面部分の情報を一つの波長領域の反
射光から決定し、この情報を用いて被検体の内部の深い
部分の情報を他の波長領域の反射光から順次決定し、被
検体の情報を深さ方向の断層像として計測する光計測方
法に特徴を有する。また、400nmから2000nm
の波長範囲にあり、100nm幅以内の2個以上の異な
る波長領域内で、さらに各々の波長領域で2個以上の異
なる波長の光からなる光源部と、光源部からの光を被検
体に照射する光導入部と、被検体から反射された光を検
出する光検出部と、光検出部による検出光デーダから被
検体表面部から内部にかけて順次断層像を各波長領域ご
とに算出する演算部と、演算部での演算結果を表示する
表示部と、演算結果を記憶する記憶部と、これら各部を
制御部とから構成されること光計測装置に特徴がある。
さらに、光源部はパルス光を放射する光源であり、検出
部は被検体からの反射光量の時間依存性を時間分解能数
ピコ秒程度で時間分解計測し、演算部は検出部による検
出光データから被検体表面部から内部にかけて順次断層
像を各波長領域ごと及び各検出時間ごとに算出する光計
測装置、光導入部は光源部から放射される光を被検体の
複数部位に実質的に同時に照射し、検出部は各々の光照
射位置の近傍の複数の位置で光を検出し、被検体の広い
空間領域で被検体内部の断層像を計測する光計測装置に
特徴がある。
【0005】
【作用】反射光計測で生体機能の断層像を正確に求める
ためには、生体内での光の浸入深さを明らかにすること
が不可欠である。そして、この深さが生体による光散乱
及び吸収特性、すなわち散乱及び吸収係数に依存し、か
つ、これら散乱及び吸収係数が波長変化するならば、波
長により光の浸入深さが異なることを利用して、生体表
面部から生体機能を順次断層像として決定できることに
なる。この場合、特定の波長に対する生体の光浸入深さ
を積極的に利用して、断層像計測において光の浸入深さ
を求めるための特別な時間分解光検出器が不要となる。
その結果、装置は小型となり、また、生体表面部から深
さ方向に対して順問題法により断層像を求めることがで
きるため、データ処理が簡便となる。そこで、本発明の
科学的基礎となる、生体の散乱及び吸収係数の波長依存
性と、散乱及び吸収係数の違いによる光の浸入深さの変
化を具体的に明らかにする。まず、生体の散乱及び吸収
係数の波長依存性については、例えば、ジェイムス・エ
ル・カラギアネス( James L.Karagiannes )及びツェン
ヤオ・ツァング( Zengyao Zhang )及びベス・グロスワ
イナ( Bess Grossweiner )及びレオナルド・グロスワイ
ナ( Reonard Grossweiner )の「組織及び組織模擬試料
の光学への一次元拡散近似の適用( Applications of th
e 1-D diffusion approximation to the optics of tis
sues and tissue phantoms )」、1989年6月15
日、アプライドオプティクス、第28巻、第12号、第
2311〜2317項( Applied Optics、28、12、2311
(1989))により報告されている。この散乱及び吸収係数
の波長依存性を図1及び図2に子牛脳組織について示
す。これらの図から、生体の散乱及び吸収係数が明確に
波長変化することが判る。
【0006】次に、散乱及び吸収係数の違いによる生体
内での光の浸入深さの変化を理論的に示す。まず、検討
する系を図3に示す。生体の散乱及び吸収特性を模擬し
た生体光学モデル31に光を照射し、光照射位置から3
0mm離れた場所で反射光を検出する状況を想定する。
この反射光が生体光学モデル31内でどの程度の深さま
で浸入していたかを明らかにするために、生体光学モデ
ル31中に仮想的に完全吸収板32を深さDに配置す
る。ここで、この完全吸収板32が無い場合の反射光量
をR、完全吸収板32を深さ10mmの位置に配置した
場合の反射光量をR10とすると、完全吸収板32が無い
場合(実際の生体の状況)の全反射光量に対して、比率R
10/Rの光が10mm以内の領域のみを通過して検出さ
れたものであり、また、比率(R−R10)/Rの光が10
mmより深い領域を通過したものとなる。従って、これ
らの比率が光の浸入深さを表す指標となる。次に、図3
の系での反射光量を、生体中の光散乱・吸収現象を拡散
方程式で記述する理論を用いて具体的に求める。入射光
として時間的にδ関数の光を照射した場合の反射光量の
時間依存性は、ミカエル・エス・パターソン( Michael
S.Pattrson )及びビー・チャンス( B.Chance )及びビー
・シー・ウィルソン( B.C.Wilson )の「組織光学特性の
非侵襲計測に対する時間分解反射率及び透過率( Time r
esolved refrectance and trans-mittance for the non
invasive measurement of tissue optical properties
)」、1989年6月15日、アプライドオプティク
ス、第28巻、第12号、第2331〜2336項( Ap
plied Optics、28、12、2331(1989))により報告されて
いる。この反射光量の時間依存性R(t)(t:検出時間(p
s))を数1で示す。
【0007】
【数1】
【0008】数1で、Sは散乱係数、Aは吸収係数、X
は入射・検出位置間の距離(図3では30mm)、Dは完
全吸収板32の深さ、cは生体中の光速度(水中での光
速度:0.23mm/psにほぼ等しい)、πは円周率を示
す。前記の図1、図2の散乱及び吸収係数のデータをS
及びAとして数1に代入すると、任意の波長での光の浸
入深さを求めることができる。ここでは、550及び8
00nmについて、完全吸収板32が無い場合(すなわ
ち数1でDが十分大きい場合と同等)及び完全吸収板3
2の深さが10mmの場合を計算する。この計算結果を
図4及び図5に示す。これらの図では、横軸は生体光学
モデル31に光が照射された時間を原点する検出時間
を、縦軸は反射光量の相対値を示す。
【0009】図4から、550nmでは完全吸収板32
が無い場合と、10mmの深さにある場合とでは、反射
光量はほとんど変化しないため、反射光の全ては表面か
ら深さ10mm以内ものであることが判る。一方図5か
ら、800nmでは完全吸収板32が10mmの深さに
ある場合の反射光量の全時間積分値は完全吸収板32が
無い場合の同様な値の約50%であるため、表面から1
0mmより深い領域を通過した光も約50%含んでいる
ことが判る。以上の結果から、波長に対する光浸入深さ
の差異が明確に示された。この現象は、定性的には、散
乱及び吸収が強いと(すなわち散乱及び吸収係数が大き
いと)生体内部に深く浸入する光は非常に少なくなり、
その結果反射光の大部分は生体表面の浅い部分を通過し
たもの考えられ、一方、散乱及び吸収係数が小さいと、
反射光はある程度内部まで深く浸入した光を含むと考え
られる。
【0010】この数1では反射光量を時間分解で計算し
ているが、得られた結果は時間分解計測に限らず、計算
結果を時間積分することで連続光計測にも容易に適用で
きる。次に、波長による生体の散乱及び吸収係数の違い
を利用した断層像算出の概略を示す。散乱及び吸収係数
が比較的近い値を示す波長領域、すなわち100nm内
程度の範囲であれば光の浸入深さは変化しないと考えら
れる。そこで、例えば500から600nmの光を複数
波長用いて生体表面から10mmの深さ以内の生体機能
をまず決定する。次に他の波長領域、例えば750から
850nmの波長領域では、その反射光は生体表面から
10mmより深い場所を通過するため、既に求められた
10mm以内の生体機能の情報を用いて、この波長領域
でさらに10mmより深い場所の生体機能を決定する。
この要領で、波長領域をさらに設定することにより、よ
り空間分解能よく断層像の計測が可能となる。
【0011】このように、特定の波長領域に対する生体
の光浸入深さを積極的に利用して表面からの情報を順次
決定することにより、パルス光源及び時間分解光検出器
など特別な装置を必要とせず小型の装置構成で、また、
複雑な逆問題解法を用いずに簡便な順問題解法によるデ
ータ処理で断層像計測が可能となる。本発明において
は、波長領域により生体内の光浸入深さが異なることを
利用して、生体表面部の浅い場所の情報をある特定の波
長領域で決定し、この情報を用いて、さらに深い場所の
情報を他の波長領域で順次決定することにより、生体の
断層像が計測される。
【0012】
【実施例】
(実施例1)本発明の第一の実施例を以下に示す。まず、
この装置構成を図6で説明する。波長領域500から6
00nm内で異なる3波長と、波長領域750から85
0nm内で異なる3波長の合計6波長で構成される光源
部1から放射される光を、波長ごとに順次照射用光ファ
イバ2で被検体3に照射する。被検体3への光照射位置
から、20から40mm内の任意の距離をへだてて配置
された検出用光ファイバ4を介して、被検体3からの反
射光を光検出部5で検出する。この結果は一番目の波長
の反射光量として反射光量記憶部6で記憶される。次に
光源部1から放射される波長を二番目の波長に切り替
え、一番目の波長と同様に反射光量を計測する。全ての
波長に対して同様な反射光量が計測された後、各波長の
反射光量は演算部7で断層像として処理され、表示部8
で表示されると共に断層像記憶部9で記憶される。この
測定の間、制御部10で全ての装置構成要素は制御され
る。次に、反射光量から断層像を算出する演算部7での
処理フローを詳細に示す。波長領域500から600n
m内では、前述したように反射光の全ては表面から深さ
10mm以内の領域(深さ領域D10)のみを通過したもの
である。そこで、この波長領域での計測から、深さ領域
D10の生体機能を以下の要領で決定する。ここで、光路
長及び吸収体の濃度に対して光は指数関数で減少するこ
とを示すランバート・ベール則を応用すると、この波長
領域の任意の波長(λ1とする)の反射光量R(λ1)は、数
2で示される。
【0013】
【数2】
【0014】この数2に含まれる未知数及び定数及び関
数を図7で説明する。Co(D10)、Cd(D10)はそれぞれ深
さ領域D10の酸素化Hb及び脱酸素化Hbの濃度を、Q
はこの波長領域での散乱による光減衰を示す未知数であ
る。εo(λ1)、εd(λ1)は波長λ1での酸素化Hb及び
脱酸素化Hbの吸収係数を、Iは入射光量を示す定数で
ある。また、f(L)はこの波長領域での、検出光に対す
る被検体3内での光路長Lの分布を表す確率密度関数で
あり、数2では通常のランバート・ベール則に対する光
路長の重み関数となっている。このf(L)は、光路長と
被検体3内の光の飛行時間とが一対一に対応しているこ
とを利用して、例えばあらかじめ数1で示した計算方法
もしくはモンテカルロ法によるシュミレーションで求め
ておく。このモンテカルロ法シュミレーションは散乱体
中での光伝播、特に光路長分布を求める有効な方法であ
る。また、数2では光路長Lを連続変数として扱ってい
るが、これは随時離散的に扱うことも可能である。この
数2の未知数はQ、Co(D10)、Cd(D10)の3個である。
従って、この波長領域内で異なる3波長λ1、λ2、λ3
で反射光量を計測することにより、これら未知数に関す
る、数2と同様な3個の独立な関係式が得られるため、
これら未知数を全て容易に決定できる。
【0015】得られたCo(D10)及びCd(D10)の値は、深
さ領域D10の生体機能を示す酸素分圧に対応する。この
対応は、例えば、日本国の医学書院による1985年発
行の山林一等編集による著書「血液ガス−わかりやすい
基礎知識と臨床応用−第2版」に記述されている方法で
実効できる。次に、求められたこの深さ領域D10の生体
機能の情報を用いて、深さ領域10から20mm以内
(深さ領域D20)の生体機能を、波長領域750から85
0nm内の異なる3波長で決定する。この波長領域での
反射光は、前述したように10mmよりも深い領域を通
過した光を約50%含むため、この波長領域の光を用い
ることで深さ領域D20の生体機能を計測することが可能
となる。ここで、この波長領域内の任意の波長(λ4とす
る)の反射光量R(λ4)は、数2の類推から数3で示され
る。
【0016】
【数3】
【0017】この数3に含まれる未知数及び定数及び関
数を図8で説明する。Co(D20)、Cd(D20)はそれぞれ深
さ領域D20に含まれる酸素化Hb及び脱酸素化Hbの濃
度を、Q’は波長領域750から850nm内での散乱
による光減衰を示す未知数である。εo(λ4)、εd(λ4)
は波長λ4における酸素化Hb及び脱酸素化Hbの吸収
係数を示す定数である。f(L)はこの波長領域での検出
光に対する被検体3内での光路長Lの分布を表す確率密
度関数である。また、F(L(D10))、F(L(D20))は、光
路長Lの検出光が深さ領域D10及びD20を通過する割合を
示す。例えば、光路長Lで検出された光の、深さ領域D1
0内の光路長がy1+y3、深さ領域D20内の光路長がy2なら
ば、これらは、y1+y2+y3=Lの関係式を充たし、F
(L(D10))=(y1+y3)/L及びF(L(D20))=y2/Lとな
る。このF(L(D10))及びF(L(D20))はあらかじめモン
テカルロ法シミュレーションで求めておく。この数3
で、Co(D10)及びCd(D10)の値は既知となっているため
に、この場合も、未知数はQ’、Co(D20)、Cd(D20)の
3個である。従って、この波長領域内で異なる3波長に
より反射光量を計測することで、深さ領域D20の生体機
能を深さ領域D10の場合と同様に決定できる。以上の結
果から、深さ領域を2分割とした断層像が得られる。ま
た、計測の波長領域をさらに増加させることにより、深
さ領域の分割数をさらに増加させ空間分解能よく計測す
ることも可能となる。
【0018】(実施例2)次に本発明の第二の実施例を示
す。この実施例では、本発明を時間分解計測と組合わせ
る。この場合、装置構成の小型化には適さないが、反射
光の情報をより多く利用できるため、空間分解能の精度
が向上する。また、本発明の方法によりデータ処理は簡
便となるため、実時間で高空間分解能の計測が必要な場
合に有効である。この第二の実施例の装置構成を図9で
示す。波長領域500から600nm内で異なる3波長
と、波長領域750から850nm内で異なる3波長の
計6波長で構成され、パルス幅数十ピコ秒の光を放射す
るパルス光源部11からの光を順次照射用光ファイバ2
で被検体3に照射する。被検体3への照射位置から、2
0から40mm内の任意の距離をへだてて配置された検
出用光ファイバ4を介して、被検体3からの反射光を時
間分解光検出部12で検出する。この結果は、一番目の
波長の反射光量の時間依存性として反射光記憶部6で記
憶される。次にパルス光源部11から放射される波長を
二番目の波長に切り替え、一番目の波長と同様に反射光
量の時間依存性を計測する。全ての波長に対して同様な
反射光量が計測された後、各波長の反射光量の時間依存
性は、演算部7で断層像として処理され、その結果は表
示部8で表示されると共に断層像記憶部9で記憶され
る。この測定の間、制御部10で全ての装置構成要素は
制御される。次に断層像を算出する演算部7の処理フロ
ーを詳細に示す。まず、波長領域500から600nm
内で異なる3波長により、表面から10mm以内の断層
像を詳細に算出する。ここで、表面から深さ2mm以内
領域(深さ領域D02)の生体機能の情報は、例えば反射光
量の時間依存性を示す図10において、検出時間が早い
(従って光路長が短い)時間t0からt1の領域(時間領域T1)
に含まれている。この時間領域T1で、かつこの波長領域
内の任意の波長λ1の反射光量R(T1、λ1)は数4で示さ
れる。
【0019】
【数4】
【0020】この数4に含まれる未知数及び関数を説明
する。Co(D02)、Cd(D02)はそれぞれ深さ領域D02に含
まれる酸素化Hb及び脱酸素化Hbの濃度を、Q1は波
長領域500から600nmで、かつ時間領域T1での散
乱による光減衰を示す未知数である。f(T1、L)は、こ
の波長領域で、かつ時間領域T1での検出光に対する被検
体3内での光路長Lの分布を表す確率密度関数である。
この数4に含まれる3個の未知数は、この波長領域内の
異なる3波長による反射光量を時間領域T1で計測するこ
とで求められる。そして、実施例1と同様に深さ領域D0
2の生体機能を決定できる。次に、求められたこの深さ
領域D02の生体機能の情報を用いて、深さ領域2から4
mm以内(深さ領域D04)の生体機能を、この500から
600nmの波長領域内で、かつ図10において検出時
間がt1からt2の領域(時間領域T2)の反射光量から求め
る。先程の時間領域T1よりも遅れた、すなわちより光路
長の長い検出光は深さ領域D04を通過した光も含むた
め、この時間領域T2の検出光から深さ領域D04の生体機
能を計測することが可能となる。ここで、この時間領域
T2の反射光量R(T2、λ1)は数5で示される。
【0021】
【数5】
【0022】この数5に含まれる未知数及び関数を説明
する。Co(D04)、Cd(D04)はそれぞれ深さ領域D04に含
まれる酸素化Hb及び脱酸素化Hbの濃度を、Q2は波
長領域500から600nmで、かつ時間領域T2での散
乱による光減衰を示す未知数である。f(T2、L)は、こ
の波長領域、かつ時間領域T2での検出光に対する被検体
3内での光路長Lの分布を表す確率密度関数である。ま
た、F(T2、L(D02))、F(T2、L(D04))は、この波長領
域で、かつ時間領域T2で、光路長Lの検出光が深さ領域
D02及びD04を通過する割合を示す。この数5で、Co(D0
2)及びCd(D02)の値は既知となっているために、この場
合も、未知数はQ2、Co(D04)、Cd(D04)の3個であ
る。従って、この波長領域、かつ時間領域T2で異なる3
波長で反射光量を計測することで、深さ領域D04の生体
機能を深さ領域D02の場合と同様に決定できる。以下、
この波長領域500から600nm内で、他の時間領域
T3、T4における反射光量を利用して同様な操作を繰り返
すことにより、10mm以内の断層像が決定される。次
に、この10mm以内の断層像を利用して、波長領域7
50から850nm内での異なる3波長による計測結果
から、表面部10から20mm以内の生体機能を同様に
して詳細に決定できる。
【0023】(実施例3)本発明による第三の実施例を示
す。ここでは、被検体の複数部位に光を同時に照射し、
各々の照射位置近傍の複数位置での反射光量の計測から
被検体の広い空間領域で断層像を求める。この第三の実
施例の装置構成を図11に示す。波長領域500から6
00nm内で異なる3波長と、波長領域750から85
0nm内で異なる3波長の計6波長からなる光源部1か
らの光を、順次照射用光ファイバ束21表面に一様な強
度で導入する。この照射用光ファイバ束21として、例
えばコア径10μmφのファイバを複数本束にして合計
3mmφとしたものを用いる。この照射用光ファイバ束
21の他端は、この光ファイバ束を構成している個々の
光ファイバの総本数をp等分したもので、それぞれ被検
体3の周囲に配置する。この照射用光ファイバ束21の
被検体3側の端を、照射用光ファイバ束21−1から2
1−pと示す。これら照射用光ファイバ束21−1から
21−pの周囲に配置された検出用光ファイバ22−1
から22−2pを介して、反射光量をマルチチャンネル
光検出部23で、おのおのの検出用光ファイバに対して
独立に検出する。各々の検出部位に対して独立に反射光
量を検出する。これらの検出光量は第一番目の計測波長
に対する反射光量として反射光量記憶部6で記憶され
る。次に光源部1から放射される波長を二番目の波長に
切り替え、一番目の波長の場合と同様に計測する。全て
の波長に対して同様な反射光量が計測された後、各波長
の反射光量は演算部7で断層像として処理され、その結
果は、広い空間領域の断層像として表示部8で表示され
ると共に断層像記憶部9で記憶される。この測定の間、
制御部10で全ての装置構成要素は制御される。
【0024】次に、広い空間領域での断層像の算出方法
を示す。図12に、照射用ファイバ束21−1から21
−pと、検出用光ファイバ22−1から22−2pの一
部分を示す。ここで、照射用光ファイバ束21−1から
被検体3に照射され、検出用光ファイバ22−1及び2
2−2で検出された光は、それぞれ空間領域1及び空間
領域2を通過したものである。また、照射用光ファイバ
束21−2から被検体3に照射され、検出用光ファイバ
22−3及び22−4で検出された光は、それぞれ空間
領域3及び空間領域4を通過したものである。このよう
に、個々の検出用光ファイバがそれぞれ異なる特定の空
間領域に対応する。そこで、個々の検出用光ファイバが
対応する空間領域ごとに、実施例1で示した方法で生体
機能の断層像を求め、全ての空間領域で得られた結果を
組み合わせて最終的に広い空間領域の断層像を求める。
【0025】
【発明の効果】特定の波長領域に対する生体の光浸入深
さを利用して、生体表面から内部にかけて生体機能を順
次決定することにより、小型の装置構成で、もしくは簡
便なデータ処理で生体機能の断層像の計測が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】生体の散乱係数の波長依存性を示す図。
【図2】生体の吸収係数の波長依存性を示す図。
【図3】生体内の光浸入深さを理論的に検討する系を示
す図。
【図4】波長550nmに対する生体光学モデルからの
反射光量時間依存性を示す図。
【図5】波長800nmに対する生体光学モデルからの
反射光量時間依存性を示す図。
【図6】本発明による第一の実施例の装置構成を示す
図。
【図7】被検体内の深さ10mm以内の光路を模式的に
示す図。
【図8】被検体内の深さ20mm以内の光路を模式的に
示す図。
【図9】本発明による第二の実施例の装置構成を示す
図。
【図10】第二の実施例における時間領域を示す図。
【図11】本発明による第三の実施例の装置構成を示す
図。
【図12】第三の実施例において検出用光ファイバと空
間領域との対応を示す図。
【符号の説明】
1…光源部、2…照射用光ファイバ、3…被検体、4…
検出用光ファイバ、5…光検出部、6…反射光量記憶
部、7…演算部、8…表示部、9…断層像記憶部、10
…制御部、11…パルス光源部、12…時間分解光検出
部、21…照射用光ファイバ束、22−1〜22−2p
…検出用光ファイバ、23…マルチチャンネル光検出
部、31…生体光学モデル、32…完全吸収板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 文男 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 伊藤 嘉敏 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 篠原 幸人 神奈川県伊勢原市下粕屋143番地 学校 法人東海大学医学部内 (72)発明者 高木 繁治 神奈川県伊勢原市下粕屋143番地 学校 法人東海大学医学部内 (72)発明者 灰田 宗孝 神奈川県伊勢原市下粕屋143番地 学校 法人東海大学医学部内 (72)発明者 篠原 伸顕 神奈川県伊勢原市下粕屋143番地 学校 法人東海大学医学部内 (56)参考文献 特開 平5−329163(JP,A) 特開 平5−126719(JP,A) 特開 平5−203563(JP,A) 特開 平5−332924(JP,A) 特開 平7−120401(JP,A) 特開 昭63−294831(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/00 - 21/01 G01N 21/17 - 21/61 A61B 10/00 実用ファイル(PATOLIS) 特許ファイル(PATOLIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パルス光を放射し400nmから2000
    nmの波長範囲にあり、100nm幅以内の2個以上の
    異なる波長領域内で、さらに各々の波長領域で2個以上
    の異なる波長の光からなる光源部と、該光源部からの光
    を被検体に照射する光導入部と、前記被検体から反射さ
    れた反射光を時間分解計測する光検出部と、該光検出部
    による検出光デーから前記被検体表面部から内部にか
    けて順次断層像を各波長領域ごと及び各検出時間ごとに
    算出する演算部と、該演算部での演算結果を表示する表
    示部と、前記演算結果を記憶する記憶部と、これら各部
    を制御部とから構成されることを特徴とする光計測装
    置。
  2. 【請求項2】前記光導入部は前記光源部から放射される
    光を前記被検体の複数部位に実質的に同時に照射し、前
    記検出部は各々の光照射位置の近傍の複数の位置で光を
    検出し、前記被検体の広い空間領域で被検体内部の断層
    像を計測することを特徴とする請求項記載の光計測装
    置。
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