JP3304341B2 - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JP3304341B2 JP25651693A JP25651693A JP3304341B2 JP 3304341 B2 JP3304341 B2 JP 3304341B2 JP 25651693 A JP25651693 A JP 25651693A JP 25651693 A JP25651693 A JP 25651693A JP 3304341 B2 JP3304341 B2 JP 3304341B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一対の基体間に液晶が
配されている液晶素子に関し、特に、透明電極及び液晶
配向膜をこの順に設けた一対の基板が所定の間隙を置い
て対向配置され、前記間隙内に強誘電性液晶が注入され
ている液晶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶(FLC:ferroelectric
liquid crystal) を表示素子に応用しようとする研究開
発は、ここ10年来活発に進められてきている。FLCデ
ィスプレイは、主として次の(1)〜(3)の特徴を有
する優れたものである。 (1)高速応答性(従来のネマチック液晶表示に比較し
て1000倍も高速応答)。 (2)視野角依存性が少ない。 (3)画像にメモリ性がある等。
【0003】従来、こうした強誘電性液晶の表示技術と
しては、表示パネルのセルギャップを2μm以下にコン
トロールし、パネル界面の分子配向規制力を用いて液晶
分子を配向させ、2状態のみ安定なエネルギー状態をと
る表面安定化強誘電性液晶表示素子がクラークら(米国
特許第4,367,924 号)により提案され、そのμ秒オーダ
の応答性や、画像のメモリ効果などの特徴でもって研究
開発が精力的にすすめられてきた。
【0004】このように、双安定モードの強誘電性液晶
表示は、メモリ性をもつためにCRT(陰極線管)など
で問題となっているフリッカーをなくせること、そし
て、単純X−Yマトリックス駆動でも1000本以上の走査
線で駆動できること(TFT:薄膜トランジスタでの駆
動をなくせること)、また、現在主流のネマチック液晶
での視野角が狭いという問題に対しても、分子配向が一
様であること、およびパネルのギャップがネマチック液
晶パネルの半分以下であることから、広い視野角を有す
ることなどを特徴としてきた。
【0005】このようなFLCディスプレイ(強誘電性
液晶表示素子)は、例えば図25に概略的に示すような構
造からなっている。即ち、ガラスなどの透明な基板1a
上に、ITO(indium tin oxide:インジウムにスズを
ドープした導電性酸化物)などの透明電極層2a、及び
液晶配向膜としての例えばSiO斜方蒸着層3aを順次
積層した積層体Aと;これと同様に、基板1b上に、透
明電極層2b、例えばSiO斜方蒸着層3bを順次積層
した積層体Bと;を、液晶配向膜である例えばSiO斜
方蒸着層3a、3bが互いに対向するように配し、所定
のセルギャップを実現するためのスペーサ4を挟むこと
により液晶セルを構成し、そのセルギャップに強誘電性
液晶5を注入した構造を有している。
【0006】しかしながら、こうしたFLCディスプレ
イは上記の優れた特長を有してはいるが、階調表示が難
しいことが課題として挙げられていた。即ち、従来の双
安定モードを用いた強誘電性液晶表示は2状態のみ安定
であることから、ビデオ等の階調表示には不適当である
とされてきた。
【0007】即ち、従来の強誘電性液晶素子(例えば界
面安定型強誘電性液晶素子)は、外部印加電界Eに対し
て分子Mの配向方向が図26に示すように状態1と状態2
の二つの状態間をスイッチングする。この分子配向の変
化は、液晶素子を直交する偏光板間に設置することによ
って透過率の変化として現れ、図27のように印加電界に
対して透過率がしきい値電圧Vthで0%から 100%に急
峻に変化する。この透過率が変化する電圧幅は一般的に
1V以下である。さらに、Vthがセルギャップの微小な
変動によって変化する。
【0008】従って、従来の液晶素子では、透過率−印
加電圧のカーブに安定な電圧幅を持たせることが困難で
あり、電圧制御による階調表示は困難若しくは不可能で
ある。
【0009】このため、サブピクセルを設けて画素面積
を調節することにより階調を行う方法(面積階調法)
や、強誘電性液晶の高速スイッチング性を利用して1フ
ィールドの間にスイッチングを繰り返すことにより階調
を行う方法(タイムインテグレーション階調法)などの
方法が提案されている。しかし、これらの方法でも未だ
階調表示が不十分であるという問題があった。
【0010】即ち、面積階調法の場合、階調数を増やせ
ば増やすほど、必要なサブピクセルの数が増え、デバイ
ス作製という面から、また、駆動法という観点から考え
ても、コストパフォーマンスが悪いことは明らかであ
る。また、タイムインテグレーション階調法では、タイ
ムインテグレーション階調法単独ではもちろんのこと、
面積階調法との組み合わせを考えても、実用性は低いと
いう問題があった。
【0011】そこで、画素毎にアナログ階調表示を行う
方法として、一つの画素内で対向電極間の距離を変化さ
せたり、対向電極間に形成した誘電性層の厚みを変化さ
せることにより局所的に電界強度勾配をつける方法や、
対向電極の材質を変えることにより電圧勾配をつけるこ
とが提案されている。
【0012】しかしながら、実用レベルのアナログ階調
表示特性を有する液晶表示素子を製造することは、工程
的にも繁雑となり、また、製造条件のコントロールも非
常に困難となり、更に製造コストが高いという問題があ
った。
【0013】他方、特開平3−276126号公報に示される
ように、配向膜上に 0.3〜2μmのアルミナ微粒子を散
布する等により、この微粒子の存在部分と非存在部分と
で強誘電性液晶の反転を印加電圧によって制御し、階調
表示を行わんとするFLCディスプレイが提案されてい
る。
【0014】しかしながら、この公知技術の場合、上記
微粒子のサイズが大きすぎ、また散布量の規定等が不明
であるため、実際には、意図する階調表示は極めて困難
である。
【0015】即ち、例えば2μmのセルギャップ中に粒
径 0.3〜2μmの微粒子を単に散布したのでは、実際に
は液晶の反転を一画素内で微細に変化させることは極め
て困難である。しかも、強誘電性液晶ディスプレイがそ
の液晶の複屈折モードでの表示であるため、セルギャッ
プのコントロールは極めて困難であり、色ムラが出現し
てしまう。この状況は、セルギャップの変動が 500Å以
下であることが要求される現在のSTN(スーパーツイ
ストネマチック)表示素子と同様であると考えられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の欠点を解消し、液晶素子、特に強誘電性液晶表
示素子において高コントラストを保持しつつ、特にアナ
ログ階調表示を低コストにして容易かつ確実に実現する
ことを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、液晶配
向膜を設けた一対の基体間に液晶が配されている液晶素
子において、前記液晶をスイッチングするためのしきい
値電圧の異なる領域が微細に分布するように、カーボン
ブラックからなる微粒子が添加されており、かつ、前記
液晶配向膜がプレチルト角4度以下のときには反平行に
組まれ、前記液晶配向膜がプレチルト角5度以上のとき
には反平行又は平行に組まれていることを特徴とする液
晶素子に係るものである。
【0018】本発明者は、上記したカーボンブラックか
らなる微粒子(以下、単に微粒子と称する。)の添加に
よってしきい値電圧の異なる微細領域(マイクロドメイ
ン)を分布させることと、液晶のプレチルト角及び配向
膜の組み合わせとによって、目的とする階調表示が確実
に得られることを見出し、本発明に到達したものであ
る。
【0019】まず、上記した微粒子の添加について、図
1に例示するように、本発明の液晶素子では、印加電圧
によって透過率が従来(図27)のように急峻に変化する
のではなく、比較的緩やかな変化を示すものである。こ
れは、上記したように、特に、一つの画素内において、
しきい値電圧(Vth)の異なる微細な領域(マイクロド
メイン)の発現により、印加電圧の大きさに応じてマイ
クロドメインの透過率が変化するためである。そして、
1つのドメイン内では、液晶分子が双安定であるとメモ
リ機能を有し、フリッカーフリーな静止画像を実現で
き、しきい値電圧の異なるμmオーダのドメインから一
画素が形成されることから、連続階調表示が可能とな
る。
【0020】図1では、透過率が変化するしきい値電圧
のうち、透過率10%のときをVth1、透過率90%のとき
をVth2 とした場合、しきい値電圧の変化幅(△Vth
th2 −Vth1)が2ボルト以上である。
【0021】マイクロドメインについては、図2(A)
に示すように、透過率25%のときに2μmφ以上の大き
さの反転ドメインMDが 300個以上/mm2(好ましくは 6
00個/mm2以上)の割合で存在するものである。こうした
マイクロドメインによる微細な光透過部分によって、全
体として中間調の画面(透過率)を実現できるが、この
ようなマイクロドメインによる構造は、いわば星空の如
き様相を呈するので、以下に「スターライトテクスチ
ャ」と称することとする。ここで、反転ドメインとは、
例えば白の中に黒のドメイン又はその反対に現れるドメ
インのことである。
【0022】このスターライトテクスチャによれば、印
加電圧の大小に応じてマイクロドメインによる光透過部
分MDが図2(A)に一点鎖線で示す如くに拡大したり
(透過率上昇)、或いは縮小させる(透過率減少)こと
ができ、印加電圧によって任意に透過率を変化させるこ
とができる。これに反し、従来の構造では、図2(B)
に示すように、しきい値電圧幅が極めて小さいために、
印加電圧による光透過部分Dが急激に増加したり、或い
は消失してしまうだけであり、階調表示が極めて困難で
ある。
【0023】本発明において、上記のマイクロドメイン
を形成する手段として、液晶中に超微粒子を分散させ
る。図3には、こうした超微粒子10を分散させたFLC
ディスプレイを例示するが、この基本構造は図25に示し
たものと同様である。セルギャップは1.35〜2.35μmと
するのが望ましく、このような狭小ギャップでも、微粒
子添加は液晶の性能を低下させることなくその効果を発
揮できる。
【0024】ここで、超微粒子10によるしきい値電圧の
変化を図4について原理的に説明する。超微粒子10の粒
径をd2 、誘電率をε2 、超微粒子10を除く液晶5の厚
みをd1 、誘電率をε1 としたとき、液晶にかかる電界
Eeff は、次式(1)で表される。 Eeff =(ε2 /(ε12 +ε21 ))×Vgap ・・・・・(1)
【0025】従って、誘電率の値が液晶よりも小さい超
微粒子を添加すると(ε2 <ε1 )、液晶層の全厚dga
p(=d1+d2)よりも小さな微粒子(d2 )を入れること
により、 Eeff <Egap となり、液晶には、微粒子を入れない場合(Egap)に比
較して小さな電界Eeffが作用する。その反対に、誘電
率の値が液晶より大きな微粒子を添加することにより
(ε2 >ε1 )、 Eeff >Egap となり、液晶には、微粒子を入れない場合(Egap)に比
較して大きな電界Eeffが作用する。
【0026】以上をまとめると、次の通りとなる。 ε1 >ε2 のとき → Eeff <Vgap/(d1 +d2
=Vgap/dgap =Egap ε1 =ε2 のとき → Eeff =Egap ε1 <ε2 のとき → Eeff >Egap
【0027】いずれにしても、超微粒子の添加によっ
て、液晶自体に加わる実効電界Eeffは変化することに
なり、超微粒子が存在する領域とそうでない領域とで液
晶に加わる実効電界が異なることになる。この結果、同
じ電界Egap を作用させても、それら両領域間では反転
ドメインが生じる領域と生じない領域が存在し、図2
(A)で示した如きスターライトテクスチャ構造を発現
できるのである。
【0028】しかしながら、本発明者は、上記のスター
ライトテクスチャ構造(即ち、階調表示)は、液晶(特
に強誘電性液晶)に上記した微粒子を添加すれば必ず得
られるものではないことをつき止めた。
【0029】即ち、上記の微粒子の添加と同時に、液晶
のプレチルト角と液晶配向膜との組み合わせの選択によ
って、液晶の層構造がスターライトテクスチャ構造を確
実に発現させるように変化し、液晶のプレチルト角が4
度以下のときには液晶配向膜を反平行に組むことが必須
不可欠であり、また、液晶のプレチルト角が5度以上の
ときには液晶配向膜を反平行及び平行に組むことはいず
れも有効であること(好ましくは、反平行に組むこと)
を見出したのである。これについては、後記の実施例で
詳述する。
【0030】こうして得られる本発明によるスターライ
トテクスチャ構造は連続階調を実現するのに好適なもの
となり、超微粒子の添加及びプレチルト角と配向膜の組
み合わせで印加電圧(大きさ、パルス幅等)を制御する
こと(即ち、2種類以上の電圧を印加すること)によっ
て多様な透過率(即ち、2種類以上の階調レベル)を得
ることができる。これに反し、従来のように単に微粒子
を存在させるだけでは、図2(B)の如きものしか得ら
れず、特に微小な(2μm程度の)ギャップ中に 0.3〜
2μmの微粒子を存在させても目的とする表示性能が得
られないことが明らかであり、また、微小なギャップで
なくても微粒子部分による色ムラが生じてしまう(これ
については、後記の比較例で詳細に説明する)。本発明
では、このような現象を生じることなく、目的とする性
能が得られる。
【0031】本発明の液晶素子において、液晶に添加す
る微粒子としては、図3に示した対向する透明電極層2
a、2bの間に存在する液晶5に印加される実効電界強
度に分布を持たせることができるような微粒子であれば
よく、例えば誘電率の異なる複数の材質の微粒子を混合
して使用することができる。このように誘電率の異なる
微粒子を存在させることにより、各画素内に誘電率の分
布が形成される。この結果、上記したように、画素の透
明電極層2a、2b間に均一に外部電界を印加した場合
でも、その画素内の液晶に印加される実効電界強度には
分布ができ、液晶(特に強誘電性液晶)の双安定状態間
をスイッチングするためのしきい値電圧の幅を広げるこ
とができ、一画素内でアナログ階調表示が可能となる。
【0032】また、使用する微粒子として、誘電率が同
じものを使用する場合には、大きさに分布をもたせれば
よい。このように、誘電率は異ならないが大きさが異な
る微粒子を存在させることにより液晶層の厚みに分布が
できる。その結果、一画素の透明電極層2a、2b間に
均一に外部電界を印加した場合でも、その画素内の液晶
に印加される実効電界強度には分布ができ、一画素内で
アナログ階調表示が可能となる。微粒子の大きさの分布
について、その分布の広がりはある程度大きい方が、優
れたアナログ階調表示ができるので好ましい。
【0033】本発明の液晶素子では、液晶に添加する微
粒子はpH2.0 以上の表面を有することが望ましいが、こ
れは、pH2.0 未満では酸性が強すぎるとプロトンにより
液晶が劣化し易いからである。
【0034】また、この微粒子は、50重量%以下、 0.1
重量%以上の割合で液晶に添加されているのが望まし
い。添加量があまり多いと、凝集してスターライトテク
スチャ構造が発現し難く、また液晶の注入が困難となり
易い。
【0035】使用可能な微粒子はカーボンブラックから
なるが、このカーボンブラックはファーネス法で作製し
たカーボンブラックであるのがよい。ファーネス法で作
製したカーボンブラックは、微粒子の粒度分布が比較的
広い。
【0036】使用可能な微粒子は、凝集していない一次
微粒子の状態で、液晶セルギャップの半分以下の大きさ
(0.4μm以下、特に 0.1μm以下)が好ましい。また、
その粒度分布によって階調表示特性をコントロールでき
るが、粒度分布の標準偏差が9.0nm以上であることが透
過率の変化(トランスミタンス)を緩やかにできる点で
望ましい。微粒子の比重が液晶の 0.1〜5倍であること
が、液晶中に分散させた際の沈降防止の点で望ましく、
また、微粒子が良分散性を示すようにシランカップリン
グ剤等で表面処理されているのがよい。
【0037】本発明において、微粒子は対向する電極間
に存在させる必要があるが、その場所は特に限定され
ず、液晶中でも、液晶配向膜中又は液晶配向膜上でもよ
い。
【0038】本発明の液晶素子においては、液晶の層傾
斜角が配向膜近傍領域とこれ以外のバルク領域とで異な
っているのがよく、また、液晶の層傾斜角を示すX線回
折強度のピークが、X線入射角90°以下又は90°以上に
おいて少なくとも2つ存在するのがよい。この場合のX
線回折強度のピークの半値幅が3°以上であるのが、階
調性を出し易いので好ましい。
【0039】また、本発明においては、しきい値電圧の
異なる複数のドメインを構成する液晶分子のみかけのチ
ルト角(コーン角)が、モノドメインの状態よりも±1
°以上変化していることがよい。そして、液晶分子のコ
ーン角の温度依存性が、モノドメインの状態よりも小さ
いことが望ましい。
【0040】基本的には、通常、強誘電性液晶は層構造
をもち、その構造はブックシェルフまたはシェブロンで
あるのに対して、本発明によるスターライトテクスチャ
構造はそのどちらでもなく、配向膜表面近傍では、バル
ク部分と異なった層傾斜角をもっている構造をなす。
【0041】さらに、チルト角がモノドメイン状態であ
るときに比較して小さくなることは、次のように考えら
れる。即ち、実験的に確認されたことであるが、配向処
理方向に対して、小さくなったチルト角が対称であるこ
とから、配向膜表面の液晶分子は配向膜方向に対して平
行に配向していることが分かった。また、この配向膜表
面の液晶分子は、電界によってスイッチングせずに、不
動であることが分かった。従って、みかけのチルト角が
表面の液晶分子がスイッチングする場合に比べて、小さ
く観測されることになる。また、チルト角が大きくなる
ことは、通常の層傾斜角に比べて、増大したか、若しく
は、プレチルト角が増大したために、起こった変化であ
ると考えられる。
【0042】本発明による液晶素子は、常法に従って製
造することができる。例えば、ガラス基板にスパッタ法
により透明ITO層を形成し、フォトリソグラフ法によ
り所定のパターニングを行った後、SiOを基板に対し
斜めに真空蒸着させる。
【0043】このようにして液晶セルを組み立てた後
に、セルギャップに特に微粒子を均一に混入した液晶を
注入することにより製造することができる。液晶配向膜
としては、ラビング処理されたポリイミド膜やSiO斜
方蒸着膜を使用することができる。
【0044】配向膜が酸化シリコンの蒸着層からなって
いるときは、その蒸着後にアニール処理が施されたもの
であることが、その表面性を変化させてスターライトテ
クスチャ構造を出現させる上で好ましい。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例について比較例の参照
下に更に詳細に説明する。
【0046】実施例1 種々のプレチルト角を持つ配向膜と、強誘電性液晶とし
て下記の表1に示すチッソ(株)製のCS−1014、
CS−1025、CS−1028、メルク社製のZLI
−3774とを用い、また、微粒子としてはキャボット
社製のカーボンブラックMogul Lを1重量%添加
した液晶組成物を用いた。この組成物は、 100℃に加熱
し(即ち、アイソトロピック温度に加熱し)、超音波ホ
モジナイザーを用いて均一に分散させた。
【0047】この組成物を真空中でアイソトロピック温
度に加熱して、テストセルに注入した。このときのテス
トセルの作製において、スパッタ法により 400オングス
トローム厚の透明ITO膜(面抵抗 100Ω/cm2)を設け
たガラス基板上に、液晶配向膜としてポリイミド膜又は
SiO斜方蒸着膜を形成した。
【0048】ポリイミド膜の場合、常法に従い、スピン
コート後に、液晶分子を一定方向に配向させるためにラ
ビング処理を行った。即ち、ローラーにバフ材としてベ
ンベルグCFやレーヨンを巻付け、真空チャックした基
板を押し込み量 0.1〜0.2mm、ステージ速度 150mm/
分、ローラー回転速度95rpm の条件で2回ラビングを行
った。
【0049】また、SiO斜方蒸着膜の場合は、蒸着角
度は基板の法線に対して85度、基板温度は 170℃とし、
50nmの膜厚に蒸着した。蒸着後、 300℃で空気中でアニ
ールした。
【0050】このように処理した2枚のガラス基板を、
1.6μm径のスペーサ(真し球:触媒化学株式会社製)
と紫外線硬化型接着剤(フォトレック:積水ファインケ
ミカル株式会社製)とを用いて、SiO斜方蒸着膜の蒸
着方向が互いに反平行又は平行になるように液晶セルに
組み立て、このセルギャップに上記の各強誘電性液晶組
成物を注入し、得られた液晶セルに、周波数 100Hzで±
35Vの交流電界を印加して液晶表示素子を製造した。
【0051】こうして作製された液晶セルについて、透
過率が25%となるような電圧を印加して、階調表示に必
要なスターライトテクスチャが発現するかどうかを調べ
た。この結果を下記の表1に示す。
【0052】この場合、テストセルの性能を次のように
評価した。 ◎:スターライトテクスチャが十分に発現(2μmφ以
上の反転ドメインが1000個/mm2 以上) ○:スターライトテクスチャがかなり発現(2μmφ以
上の反転ドメインが 600個〜1000個/mm2 ) △:スターライトテクスチャが発現(2μmφ以上の反
転ドメインが 300個〜 600個/mm2 ) ×:スターライトテクスチャが実質的に発現せず
【0053】また、各種配向膜でのプレチルト角を下記
の表2に示す。プレチルト角の測定は、それぞれの配向
膜で50μmギャップの反平行セルを作製し、メルク社製
ネマチック液晶ZLI−2008−100を注入し、ク
リスタルローテーション法及びゼロ磁場法にて、測定し
た結果である。
【0054】
【0055】
【0056】この結果から、階調表示に必要なスターラ
イトテクスチャが発現した系は、プレチルト角が4度以
下の場合には、反平行に配向膜を組んだ時のみであるこ
とが明らかである。また、プレチルト角が5度以上の場
合には、平行、反平行どちらの場合も階調表示が可能と
なるが、単位となるドメインの細かさ、安定性という観
点からは、反平行の組み合わせが好ましい。
【0057】このように、強誘電性液晶(FLC)中に
単にカーボンブラック微粒子を添加するのみではスター
ライトテクスチャが発現しないことがあり、同じFLC
を用いても、平行配向でプレチルト角が小さい場合に
は、階調表示に特徴的なスターライトテクスチャは全く
出現しないが、反平行配向にするとスターライトテクス
チャが出現することが多くなる。即ち、プレチルト角の
コントロールが重要であることが明らかである。このこ
とは、超微粒子を同様に加えても、液晶の層構造に与え
る影響が配向膜の組み方によって異なるために生じると
考えられる。
【0058】実施例2 実施例1において、FLCとしてCS−1014を使用
し、配向膜としてSiO斜方蒸着膜を反平行に組み、そ
の他は同様にして作製した液晶セルに対し、直交ニコル
下で、図5に示すような駆動波形を液晶表示素子に印加
した。まず、リセットパルス(Vreset パルス(パルス
幅1msec))を印加し、次にリセットパルス以下のグレ
イパルス(Vgrayパルス(パルス幅1msec))を印加し
た。リセットパルス印加後(ダークレベル)の光透過強
度とグレイパルス印加後(グレイレベル)の光透過強度
を比較することによりコントラスト比を求めた。
【0059】こうして、印加電圧によるコントラスト比
(透過率に対応)の変化を測定した結果を図6に示す。
この結果から明らかなように、本実施例で得られた液晶
表示素子は、電圧に応じて異なるコントラスト比が得ら
れており、強誘電性液晶の双安定状態間のスイッチング
のためのしきい値電圧(コントラスト比が最大値の1/10
〜9/10又は透過率が10〜90%の範囲内でのしきい値電圧
の変化幅)が2V以上と広くかつメモリ性を有し、アナ
ログ階調表示が可能であることを示している。従って、
TFTなどのアクティブ素子を画素毎に設けることな
く、単純マトリックスでの画像表示が可能となることが
分かる。
【0060】これに反し、カーボンブラックを添加しな
い比較例1の液晶表示素子は、しきい値が急峻なカーブ
を有しているので、アナログ階調性を有していないこと
が分かる。
【0061】参考例1 実施例2において、超微粒子として酸化チタンを用い、
出光興産社製のチタニアのうち、高分散タイプのIT−
UDを1重量%添加した。この酸化チタンは、非晶質で
あることを特徴とするもので、このタイプの平均粒径は
17nmであった。そして、実施例1と同様にして液晶セル
を作製した。
【0062】酸化チタン超微粒子添加系(実施例3)と
従来系(即ち、CS−1014のみ)(比較例1)とに
ついて、コーン角の温度依存性を調べた。その結果を図
7に示す(ここでは、30度の時のコーン角を1として規
格化してある)。
【0063】この結果から、この参考例によるスターラ
イトテクスチャの方がコーン角の温度依存性が小さいこ
とがわかる。このことは、表面での液晶分子の不動化が
あるために、温度に対して層構造が安定となり、その結
果、コーン角がより高温度まで狭くならないということ
になっていると考えられる。即ち、通常のテクスチャで
は、SmA相からSmC相への相転移点近傍に温度が近
付くと、次第にチルト角が小さくなり、転移点では、チ
ルト角が0度になるが、その減少の仕方が、スターライ
トテクスチャでは、より小さくなっているというメリッ
トを持つ。
【0064】参考例2 実施例2と同様に、液晶としてCS−1014、配向膜
もSiO配向膜を用いた。添加する微粒子としては、出
光興産社製のチタニアのうち、表面が親水性であり、粒
度分布のみが異なるIT−S、IT−PA、IT−PB
をそれぞれ用いた。それぞれの平均粒径は、17nm、24n
m、40nmであった(これらの粒度分布を図8に示す)。
そして、実施例1と同様にして液晶セルを作製した。
【0065】これらの酸化チタン超微粒子を1重量%加
えた系での、透過率と印加電圧との関係を図9に示す。
即ち、傾きがIT−S>IT−PA>IT−PBの順に
急峻になっていることが分かった。従って、超微粒子の
粒度分布によってしきい値電圧幅及びその印加電圧によ
る変化を制御できる。即ち、酸化チタンの粒度分布が広
くなると、しきい値電圧幅も広くなる傾向があることも
分かった。この実施例で得られた液晶表示素子も、電圧
に応じて異なるコントラスト比が得られており、強誘電
性液晶の双安定状態間のスイッチングのためのしきい値
電圧幅が広く、かつメモリ性を有し、アナログ階調表示
が可能であることを示している。従って、TFTなどの
アクティブ素子を画素毎に設けることなく、単純マトリ
ックスでの画像表示が可能となることが分かった。
【0066】さらに、粒度分布の標準偏差と透過率変化
の傾きとの関係を調べると、図10のようにリニアに近い
関係があることが明らかになった。即ち、階調表示のた
めのしきい値電圧特性のコントロールは、添加する粒子
の粒度分布のコントロールによって可能であり、その標
準偏差を 9.0nm以上とすれば透過率変化の勾配(即ち、
しきい値電圧の変化幅)を良好にでき、スターライトテ
クスチャ構造を得易い。
【0067】実施例3 1)SiO斜方蒸着配向膜の形成及び評価セルの作製方
法 スパッタITO膜(面抵抗100Ω/cm2)付ガラス基板
(2.5mm厚)上に、ガラス基板法線が垂線と85°をなす
ように置き、ガラス基板を170℃に保ちながら、真空度
8×10-6Torrにて、ピンホールの開いたTaボート(日
本バックスメタル社製)に入れた一酸化珪素SiO(フ
ルウチ化学社製:純度99.99%、粉末)を抵抗加熱法に
より蒸着速度1Å/secで膜厚500Åの斜方蒸着膜を形成
した。膜厚及び蒸着速度は水晶振動子膜厚計によりフィ
ードバックコントロールした。
【0068】次に、このガラス基板をクリーンオーブン
(ヤマト科学製DT62)にて 300℃で1時間加熱処理し
た後(液晶配向性を向上させるため)、斜方蒸着方向が
反平行となるように 1.4μm径スペーサ(触媒化成工業
社製の真し球)を分散させた紫外線硬化樹脂(積水ファ
インケミカル製のフォトレック)を挟んで組み、紫外線
を照射して硬化させ、所望のセルギャップを形成した。
【0069】2)微粒子の分散 中間階調を可能とする微小ドメインの発現を誘起するた
めに、実施例1で述べたように強誘電性液晶中に微粒子
を分散させた。 100℃、つまり等方相に加熱したチッソ
社製の強誘電性液晶:CS−1014 100mgに対して、
キャボット社製のカーボンブラックMogul Lを1
mg混ぜ、超音波ホモジナイザーにて攪拌した(よって、
微粒子の重量比はおよそ1%となる)。上述のように作
製した素子に、微粒子を分散させた強誘電性液晶CS−
1014を等方相にて注入した後、室温まで自然冷却し
た。
【0070】3)しきい値特性の評価 上記の方法で作製した強誘電性液晶素子を、一方のメモ
リ状態が偏光板の透過軸に一致するように直交偏光板間
に置き、パルス幅1msec、電圧±25Vの矩形波(リセッ
トパルス)印加後の透過光強度Tdarkとパルス幅1mse
c、電圧±30V以下の矩形波(セレクトパルス)印加後
の透過光強度Tbrightの比により、コントラスト比CR
を以下のように決定した。 CR=Tbright/Tdark
【0071】セレクトパルスの電圧値を変化させること
により、コントラスト比のしきい値特性(最低コントラ
スト(=1)から最高コントラスト比までの電圧幅)を
測定した。その測定結果は図6に示したものと同様(横
軸はセレクトパルスの電圧、縦軸はメモリ状態のコント
ラスト比)であった。微粒子を添加しない強誘電性液晶
素子ではしきい値幅がおよそ1Vと非常に急峻であるの
に対し、微粒子を添加した強誘電性液晶素子ではおよそ
10Vに広がり、中間階調表示が可能となる。
【0072】偏光顕微鏡による観察により、上述の微粒
子を添加した強誘電性液晶素子の中間階調状態は、〜μ
m径のごく微小なマルチドメイン状態となっており、 1
00μm角程度の高精細素子の一画素中での中間階調表示
にも対応できる(しきい値幅10Vである強誘電性液晶素
子では、非常に均一なドメインである)。また、微粒子
を添加するしないにかかわらず、40以上の高コントラス
ト比である。
【0073】4)層構造の解析 X線回折法を用いて、上述の方法で作製した強誘電性液
晶素子の強誘電性を持つSmC* 相における層構造を解
析した。測定した強誘電性液晶素子では、X線の透過量
を考え、 100μm厚のガラス基板を用いて作製した。理
学電機社製の回転対陰極型X線源RU−300(ターゲ
ットCu、Kα線 1.542Å:50kV、 240mA)を用いた。
【0074】図11に示すように、入射X線(ピンホール
コリメーターによりビーム径 2.5mmに絞られる。)は、
理学電機社製の繊維試料台FS−3を組み合わせた理学
電機社製の広角ゴニオメーターCN2155D5に配向
処理方向が水平となるように取付けられた試料により回
折し、入射X線に対して試料固有のブラック角θB の2
倍角(CS−1014は2θB =3.08°)に固定された
モノクロメーターにより波長選択(この場合、CuKα
線 1.542Å)された後(試料とモノクロメーターの間に
1mm角のスリットあり)、理学電機社製NaIシンチレ
ーションカウンターSC−30により、1秒間当たりの
カウント数を計数した(モノクロメーターとシンチレー
ションカウンターの間に2’幅スリットあり)。
【0075】広角ゴニオメーターにより入射X線の入射
角度αを、繊維試料台により試料面内での回転角βをそ
れぞれ変えることができる。角度αは試料基板面が入射
X線と平行になるときを原点とし(従って、入射X線が
試料基板面に垂直のとき90°)、上から見て時計回りを
正とする。また、角度βは試料の配向処理方向が水平と
なるときを原点とし、時計回りを正とする。
【0076】以上の光学系において、図12に示すよう
に、基板法線に対する層傾斜角度δは、β=0°及びβ
=180 °で角度αをスキャンした場合の回折X線強度の
極大値の角度αをそれぞれα1 、α2 とすると、 δ=|α1 −α2 |/2 と求めることができる。また、回折強度ピークが複数あ
った場合、β=0°及びβ=180 °のX線回折パターン
について、α=90°に対して対称な位置にあるピークに
対して同様に求めればよい。測定における以上の操作
は、試料基板面を正確に入射X線に対して垂直にするこ
とが困難なために行った。
【0077】図13(a)に、しきい値特性(しきい値
幅)が1Vの強誘電性液晶素子の測定結果を、同図
(b)にしきい値幅が10Vの素子の測定結果を示す。
(a)では、回折強度ピークは非常にシャープな(ピー
ク半値幅2°)一本(層傾斜角32°)のピークだけであ
るが、(b)では、α=90°〜135 °にわたってブロー
ドな三本のピーク(層傾斜角8°(8°)、32°(4
°)、45°(8°);カッコ内は各層傾斜角度を示すX
線回折ピークの半値幅)が見られる。
【0078】以上の測定により、考えられる層構造はそ
れぞれ、図14(a)及び(b)のようになる。図中の角
度δは、X線回折法により求めた基板法線に対する層傾
斜角であり、また、その値の後ろにX線回折ピークの半
値幅(つまり、その層傾斜角度の広がりを示す。)の半
分を±として示してある。
【0079】以上の層構造の違いにより、しきい値幅の
相違を考える。しきい値幅1Vの場合は、非常にX線回
折ピークがシャープであり、液晶分子(即ち、スイッチ
ングの源である自発分極)が、均一に配向している。従
って、ある大きさの電界を印加した場合に大部分の液晶
分子が一斉にスイッチングする。それに対し、しきい値
幅10Vの場合は、その層構造は種々の層傾斜角を持ち、
液晶分子(即ち、自発分極)が広い分布をもって配向し
ている。よって、ある電界を印加した場合に、スイッチ
ングする部分、しない部分が現れ、画素全体として中間
階調が表示できる。こうした一画素内の中間階調表示
は、図14(b)に例示したように、層傾斜角の分布が広
い層構造に起因すると考えられる。この場合、配向膜近
傍で層傾斜角が変化し、それ以外のバルク部分では層傾
斜角が揃っている。
【0080】実施例4 本実施例では、上記した各実施例で述べたFLCディス
プレイの階調駆動法を説明する。
【0081】駆動波形の有効性を確認するために、ま
ず、単一ピクセル液晶セルにその電圧を印加し、直交偏
光板間のセルの透過率制御の可能性を確認した。
【0082】セルの作製は次のように行った。40×20×
3mm3 の透明電極付きITOガラス基板二枚で液晶セル
を作製し、ガラス基板は標準ソーダ素材のものであり、
透明電極はスパッタによって 500Åコーティングされ
た。ITOの抵抗は 100Ω/cm2であった。
【0083】基板表面に、液晶分子配向させるための配
向膜を、SiO斜方蒸着膜によって作製した。蒸着角は
85度で、配向膜の厚さは 500Åにした。液晶セルは、蒸
着方向が平行と反平行となるように二種類の液晶セルを
作製した。液晶セルのギャップは、二枚のガラス基板を
接着するシール材にシリカの微粒を混合して制御した。
シリカのサイズは 1.4〜2.0 μmのものを使用した。
【0084】強誘電性液晶は、チッソ石油化学(株)製
のCS−1014を使用した。液晶は、等方相(110℃)
で脱気し、同様に等方相において毛細管効果を利用し
て、 1.5μmのガラス間の隙間に注入された。液晶が完
全に注入された後に、徐々にセルを室温に冷却した。冷
却時間は2〜3時間であった。
【0085】強誘電性液晶に超微粒子として、上記実施
例1のようにカーボン微粒子を混合した。その混合方法
は、液晶を等方相に加熱してカーボン微粒子を混合し、
超音波攪拌機で微粒子と液晶を均一に混合させた。そし
て、上記した実施例1と同様にして液晶セルを作製し
た。
【0086】この場合、強誘電性液晶セルは、階調表示
させるために、図15に示すように、透明電極がついたガ
ラス基板1aおよび1bで強誘電性液晶セルを作製し
た。透明電極は、基板1bにX方向に平行な一群2bを
N本有し、基板1aにはY方向に平行な一群2aをM本
有する(配向膜は図示省略)。そして、図16に示すよう
に、それぞれのY方向の透明電極に画素の表示を選択す
る電気信号、X方向に表示する情報の内容、白もしくは
黒、あるいは中間階調を表示するための電気信号を印加
した。
【0087】Y方向に印加される選択電気信号の波形
は、次の通りであった。 1.選択パルスは正負対称な二パルスから構成される。
そのパルス電圧強度および高さは図1に示した液晶素子
のしきい値によって決定される。パルス幅は液晶の応答
速度で決定される。パルスの高さは黒表示をしている液
晶のモノドメインにスターライトテクスチャが出る電
圧:直交偏光板間の液晶セルの透過率変化(Tr )と印
加電圧(V)との関係のTr −Vカーブの電圧しきい値
thlow である。
【0088】2.選択パルスの前に対称なリセットパル
スを設定する。リセットパルスの幅は選択パルスの2倍
であり、その高さは液晶を完全にスイッチングさせるた
めの電圧:Tr −VカーブにVthhighにΔVを足したも
のである。ΔVは、後述する基板1bのX方向の電極に
印加される最大信号電圧とする。
【0089】また、X方向に印加されるデータ用の電気
信号の波形は、次の通りであった。 1.信号電気信号は正負対称のパルス二つによって構成
される。パルス幅は選択信号の幅と等しくする。信号電
圧の高さVS は表示する液晶のグレーレベルによって0
からVthhigh−Vthlow の間で変化する。
【0090】2.信号電圧パルスの極性は、選択パルス
の極性と逆になるように設定する。このことにより、デ
ィスプレイ上の(n,m)にある画素に印加される電圧
はVS +Vthlow の和となり、Vthhigh−Vthlow の間
で変化する。
【0091】図17には、上記した電圧を印加した時に得
られた液晶セルの透過率の変化を示している。ここで使
用したセルは、配向膜としてSiOの蒸着方向が平行に
なるように作製された。セルギャップは 1.6μmであっ
た(ギャップ測定は大塚電子(株)製のMS−2000
膜厚測定装置を使用した)。このセルでは、カーボン微
粒子:モーガルLを 1.3重量%液晶中に添加した。液晶
セルは直交偏光板間に設置し、電圧を印加していないメ
モリ状態で液晶セルの透過率が最低になるように、セル
の方向を設定した。
【0092】信号パルスの幅は 350μsで、リセットパ
ルス幅はその2倍の 700μsとした。しきい値電圧はこ
のセルでは34Vであったために、リセット電圧を35Vと
した。信号電圧は18Vから30Vの間に変化させ、セルの
透過率の変化を測定した。図17からわかるように、セル
の透過率は印加電圧18Vから28Vまでの範囲に連続的に
変化する。電圧強度を制御することで、液晶セルの透過
率を制御できることを示した。
【0093】実施例5 図18には、上記と同様に作製されたセルギャップが1.8
μmであり、配向膜のSiOの蒸着方向が反平行になる
ように作製したセルの透過率−電圧の関係を示してい
る。ここでは、電界印加しないときにセルの透過率が最
大になるようにセル方向を設置した。
【0094】波形として、信号パルス幅は 350μsに
し、リセットパルス幅はその2倍の 700μsであった。
リセットパルスの強度は35Vにした。透過率は信号電圧
25Vから30Vまでの間で測定した。上記と同様に、電圧
によって透過率を制御する可能性はここでも示されてい
る。
【0095】実施例6 実施例4、5のデータに基いて、カーボン微粒子混合の
強誘電性液晶を用いたセルの階調表示のマトリクス駆動
を行った。
【0096】セルの作製は次のように行った。ガラス基
板はコーニング製の7059、サイズは52×52×0.7mm3
であった。電極は、スパッタリングによって作製したI
TOを使用した。電極の形状は図19に示し、ITOの抵
抗は 100Ω/cm2であった。セルは、同様なガラス基板二
枚を用いて図20に示すように、両電極が直交するように
作製した。液晶配向膜はSiO斜方蒸着膜を使用した。
蒸着方向は反平行であった。セルギャップは 1.5μmで
あった。また、カーボン微粒子はモーガルLを使用し、
液晶に対する濃度は2重量%であった。使用した液晶は
チッソ石油化学(株)製のCS−1014であった。
【0097】図21に基板1bのX方向、図22に基板1a
のY方向の電極に印加される電圧波形をそれぞれ示して
いる。Y方向の電極に印加される信号の構成は次のよう
にした。リセット電圧は24Vで選択電圧は20Vにした。
信号パルスの幅 400μsであった。リセットパルス幅は
その2倍の 800μsにした。X方向の電極への印加電圧
は、パルス幅が信号電圧と同様 300μsで、電圧の強度
は10Vから 2.5Vの間で変化させた。
【0098】図23に印加波形によって表示される表示パ
ターンを示した。これによれば、良好な階調表示が実現
されていることがわかった。
【0099】比較例1 既述した特開平3−276126号公報に示された内容に基い
て、以下のようにしてFLCディスプレイを作製した。
【0100】長さ40mm、幅25mmで3mmの厚みをもつIT
O透明電極付きガラス(ITO面抵抗=100 Ω/cm2、膜
厚 500Å)に日本合成ゴム社製のポリイミドJALS−
246を 500Åの厚みでスピンコートした。スピンコー
トの条件は、 300rpm 3秒、3000rpm 30秒であった。こ
のポリイミドをコートしたガラス基板を、レイヨン布を
ローラに巻き付け固定したラビング装置を用いて、毛の
押し込み深さを0.15mm、ローラの回転速度を 94rpm、ス
テージの送り速度を5cm/分とし、3回のラビングを行
った。
【0101】そして、その基板上に 0.5μmの粒径のア
ルミナを、ソノコム社製のスペーサ散布機を用いて、1
mm2 中に散布密度として 300個となるように散布した
(これは、それ以上の散布濃度にするためには、アルミ
ナの微粒子が凝集を起こしてしまうためである)。この
基板上にさらに、2μmのスペーサを同じ散布機を用い
て散布した。この散布密度は、25個/mm2 とした。
【0102】ここで、他方のガラス基板において、三井
東圧社製のストラクトボンドをシール剤として用いて、
基板の周辺部にスクリーン印刷機を用いて塗布した。そ
して、両者の基板を位置合わせした後、貼り合わせギャ
ップが 1.7μmに均一にとれるまで、均一に圧力を加え
た。その際、配向方向は、平行及び反平行の両方を作製
した。その圧力は、1kg/cm2であった。その貼り合わせ
状態のまま、セルを温風式ヒータに入れ、 180℃に2時
間置いて、シール剤を硬化させた。その後、ギャップを
大塚電子社製のセルギャップ測定装置を用いて測定する
と、 1.7μm±0.1 μmにセル全体にわたってギャップ
がコントロールされていることを確認した。
【0103】次に、このセルにメルク(株)社製の強誘
電性液晶組成物:ZLI−3775を80℃で真空脱気
後、アイソトロピック温度領域である 110℃に昇温し、
真空中で注入した。この過程は、 1.5時間を要した。こ
のセルを室温に徐冷した後、直交した偏光板の間にはさ
み、顕微鏡下でその液晶分子配向性、および電気光学特
性を測定した。
【0104】1)液晶分子配向について:平行配向セ
ル:図24に示すように、スペーサのまわりが全体を黒の
状態にしても、光もれを起こしており、そのことがセル
のコントラストを低下させる主因となる黒レベルの低下
を引き起こしていた。
【0105】また、強誘電性液晶は、複屈折モードでの
表示であるために、セルギャップは極めて均一に最適な
厚みにコントロールされなければならない。しかしなが
ら、0.5μmのアルミナを散布した近傍部分では、これ
がスペーサとして作用し、最適のセルギャップから大き
くずれてしまうために、色ムラが顕著に観測された。こ
のことは、いうまでもなく表示品位を大きく低下させ
る。このことは、スペーサが可視光の波長に対して、十
分な大きさをもつことによると考えられる。スペーサ散
布密度をいたずらに増すことは、スペーサの周りの光も
れにより、コントラストを低下してしまい、やはり好ま
しくない。
【0106】しかしながら、本発明に基づくスターライ
トテクスチャ構造は、上述した超微粒子の分散によるも
のであるから、光もれが低減し、また液晶の配向も乱す
ことはなく、誘電率分布による実効電界分布を効果的に
生ぜしめることができる。
【0107】反平行配向セル:液晶分子の配向テクスチ
ャとしては、配向処理方向にμmオーダーの細かな縞が
観測された。スペーサのまわりが全体を黒の状態にして
も、光もれを起こしており、そのことがセルのコントラ
ストを低下させる主因となる黒レベルの低下を引き起こ
している。また、スペーサの周りには、多くの欠陥が見
られ、そのことが光もれの大きな原因であると考えられ
る。
【0108】2)電気光学効果について:平行配向セ
ル:パルス幅1mm秒で電圧が30Vのリセットパルスをバ
イポーラで印加後、信号パルスとして、パルス幅1mm秒
で、1Vから30Vまで電圧を変化させ、そのときの透過
率変化が通常の双安定モードの強誘電性液晶と異なるか
どうかを調べた。
【0109】この結果、電圧を変化させて加えていく
と、スペーサの上の部分から液晶分子が動きはじめてい
くようには、顕微鏡下では見えず、スペーサの上の部分
では、液晶の分子配向は乱れており、決してユニフォー
ムではない(全体が黒ならば、輝点として観測され、全
体が白ならば、黒い点として観測される。いずれの場合
にも、コントラストを低下させる:図24参照)。
【0110】また、肝心の反転のスイッチングである
が、スペーサ部分(及びその近傍)から反転が起こるこ
ともあり、また、他の部分から反転スイッチングがはじ
まることも観測された。即ち、必ずしも、スペーサ部分
及びその近傍部分から反転スイッチングが起こるとは限
らない。
【0111】更に、重要なことは、反転が起きてドメイ
ンが広がるが、その広がりがしきい値電圧幅をもつなら
ば、スイッチング電圧幅をもたなければならない。しか
し、結果的には、しきい値電圧の幅の広がりは、従来系
に比較して殆ど見られなかった。即ち、この系でのしき
い値電圧幅は、1Vであった。また、電圧をDC的に変
化させて、そのスイッチングのドメインの変化を検討し
た結果、典型的なボート型ドメインであり、また、セル
の端の部分にジグザグ欠陥が散見されたことから、層構
造としては、 chevron構造であることが確認された。セ
ル全体のスイッチング特性としては、反転がスペーサ部
分及びその近傍から起きる場合もあるということであっ
て、通常のセルと同様のスイッチング特性であった。従
って、一画素内階調表示というレベルのものでは、到底
ありえないものであった。
【0112】反平行配向セル:パルス幅1m秒で電圧が
30Vのリセットパルスをバイポーラで印加後、信号パル
スとして、パルス幅1m秒で、1Vから30Vまで電圧を
変化させ、そのときの透過率変化が通常の双安定モード
の強誘電性液晶と異なるかどうかを調べた。
【0113】この結果、電圧を変化させて加えていく
と、スペーサの上の部分から液晶分子が動きはじめてい
くようには、顕微鏡下では見えず、μmオーダーの細か
な、ラビング処理方向に出現した縞に沿って、スイッチ
ングが起こっていることが明らかになった。ここでも、
スペーサの上の部分では、液晶の分子配向は乱れてお
り、決してユニフォームではない(図24参照)。
【0114】次に検討したものとして、スペーサの散布
密度を変化させてその影響を検討した。その結果、スペ
ーサの散布密度が0〜500 個/1mm2 のセルでは、セル
全体としてのスイッチング特性は、上に述べた 300個/
1mm2 の場合と同様であることが、実験によって確認さ
れた。
【0115】次に、セルギャップの変化として、平行配
向の場合には 1.8μm、 1.5μmの中心値を持つもの
(いずれの場合も、±0.1 μmの間にセルギャップはコ
ントロールしてある。)でも、全く同様のデバイス特性
を示した。また、反平行セルにおいても、 1.5μm、
1.8μmに中心値を持つものをさらに検討したが、結果
は全く同様であった。
【0116】以上をまとめると、本検討により、特開平
3−276126号のディスプレイは、その実施例に忠実に追
試実験を行った結果、階調表示技術として、同公報に述
べられているような効果は得られず、実用的な技術では
ないことが判明した。
【0117】以上、本発明を実施例について説明した
が、上述した実施例は本発明の技術的思想に基いて更に
変形が可能である。
【0118】例えば、上述した液晶や配向膜の種類をは
じめ、液晶素子の各構成部分の材質、構造、形状、組み
立て方法、更には微細なマイクロドメインの形成に用い
る超微粒子の物性、種類等は種々に変更することができ
る。また、超微粒子の添加方法も変更してよいし、その
分布位置は液晶中のみならず、配向膜上、或いは配向膜
中であってよい。
【0119】また、本発明に基づくスターライトテクス
チャ構造は、既述したようにX線回折スペクトルによっ
て、X線入射角αが90度以下でピークが2つ以上存在す
ることに特徴があるが、X線入射角αが90度以上でピー
クが2つ以上存在していてもよい。要は、αが90度以下
又は以上でピークが少なくとも2つ存在していればよ
い。これは、従来技術による液晶セルの層傾斜角では、
αが90度付近でピークが1つしか存在しないか或いはα
が90度以下又は90度以上でピークが1つしか存在してい
ないものに比べて、本質的に異なる点である。
【0120】なお、上述した実施例では、表示素子に好
適な液晶素子について説明したが、表示素子では特に階
調性(中間調)を実現できる点で好ましいものである。
しかし、本発明は、表示素子に限らず、液晶素子をフィ
ルタやシャッタ、OA機器のディスプレイ画面、スクリ
ーンや、ウォブリング用の位相制御素子等にも適用可能
である。これらのいずれも、上述したしきい値電圧幅に
よって駆動電圧に応じた透過率又はコントラスト比を示
すことを利用して、従来にはない性能を得ることができ
る。
【0121】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、液晶配向膜
を設けた一対の基体間に液晶が配されている液晶素子に
おいて、前記液晶をスイッチングするためのしきい値電
圧の異なる領域が微細に分布するように、カーボンブラ
ックからなる微粒子を添加し、かつ、液晶のプレチルト
角が4度以下のときには前記液晶配向膜を反平行に組
み、液晶のプレチルト角が5度以上のときには前記液晶
配向膜を反平行又は平行に組んでいるので、上記の微粒
子の添加と同時に、液晶のプレチルト角と液晶配向膜と
の組み合わせの選択によって、液晶の層構造をスターラ
イトテクスチャ構造を確実に発現させるように変化さ
せ、特に、一つの画素内において、しきい値電圧
(Vth)の異なる微細な領域(マイクロドメイン)の発
現により、印加電圧の大きさに応じてマイクロドメイン
の透過率が比較的緩やかに変化することになる。そし
て、1つのドメイン内では、液晶分子が双安定であると
メモリ機能を有し、フリッカーフリーな静止画像が実現
でき、しきい値電圧の異なるμmオーダのドメインから
一画素が形成されていることから、高コントラストでア
ナログ的な連続階調表示が可能となる。
【0122】また、こうした階調性は、特殊なピクセル
や駆動法によらずとも実現できるので、液晶素子の作製
を低コストにして容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく液晶表示素子のしきい値電圧特
性を示す透過率−印加電圧特性図である。
【図2】同液晶表示素子のスイッチング時の透過率の変
化を説明するための概略図(A)であり、同図(B)は
階調性のない場合の同様の概略図である。
【図3】同液晶表示素子の概略断面図である。
【図4】同液晶表示素子の液晶中での実効電界を説明す
るための概略図である。
【図5】液晶表示素子における印加電圧とコントラスト
比との関係を評価するためのパルス波形図である。
【図6】液晶表示素子の印加電圧とコントラスト比との
関係を比較して示す特性図である。
【図7】液晶表示素子の液晶コーン角の温度依存性を比
較して示すグラフである。
【図8】酸化チタンの粒度分布図である。
【図9】添加微粒子を変えたときの液晶表示素子の印加
電圧とコントラスト比との関係を比較して示す特性図で
ある。
【図10】液晶表示素子の透過率変化の勾配と添加微粒
子の粒度分布の標準偏差との関係を示すグラフである。
【図11】液晶表示素子のX線回折測定時の概略配置図
である。
【図12】同X線回折測定時のX線入射角による回折現
象を説明するための概略図である。
【図13】同X線回折測定による回折強度を比較して示
すスペクトル図である。
【図14】液晶の層傾斜角を比較して示す概略図であ
る。
【図15】液晶表示素子の概略斜視図である。
【図16】液晶表示素子の走査波形図及び信号波形図で
ある。
【図17】液晶表示素子の印加電圧と透過率との関係を
示す特性図である。
【図18】他の液晶表示素子の印加電圧と透過率との関
係を示す特性図である。
【図19】液晶表示素子の電極形状を示す概略平面図で
ある。
【図20】同電極を交差して配した液晶表示素子の概略
平面図である。
【図21】具体的な走査波形図である。
【図22】具体的な信号波形図である。
【図23】同波形によって得られた表示パターン図であ
る。
【図24】比較例による液晶表示素子の透過状態を説明
するための概略図である。
【図25】従来の液晶表示素子の概略断面図である。
【図26】強誘電性液晶のモデル図である。
【図27】従来の液晶表示素子のしきい値電圧特性を示
す透過率−印加電圧特性図である。
【符号の説明】
1a、1b・・・基板 2a、2b・・・透明電極層 3a、3b・・・液晶配向膜 4・・・スペーサ 5・・・液晶 10・・・超微粒子 Vth・・・しきい値電圧 MD・・・マイクロドメイン D・・・ドメイン Eeff ・・・実効電界
フロントページの続き (72)発明者 楊 映保 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (56)参考文献 特開 平2−240192(JP,A) 特開 平4−58224(JP,A) 特開 平3−276126(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 510 G02F 1/133 560

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶配向膜を設けた一対の基体間に液晶
    が配されている液晶素子において、前記液晶をスイッチ
    ングするためのしきい値電圧の異なる領域が微細に分布
    するように、カーボンブラックからなる微粒子が添加さ
    れており、かつ、前記液晶配向膜がプレチルト角4度以
    下のときには反平行に組まれ、前記液晶配向膜がプレチ
    ルト角5度以上のときには反平行又は平行に組まれてい
    ることを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 カーボンブラックからなる微粒子がpH2.
    0以上の表面を有している、請求項1に記載した液晶素
    子。
  3. 【請求項3】 カーボンブラックからなる微粒子が50重
    量%以下の割合で液晶に添加されている、請求項1に記
    載した液晶素子。
  4. 【請求項4】 カーボンブラックがファーネス法で作製
    されたカーボンブラックである、請求項1に記載した液
    晶素子。
  5. 【請求項5】 しきい値電圧特性をカーボンブラックか
    らなる微粒子の粒度分布によってコントロールするよう
    に構成した、請求項1〜4のいずれか1項に記載した液
    晶素子。
  6. 【請求項6】 カーボンブラックからなる微粒子の粒度
    分布の標準偏差が9.0nm以上である、請求項5に記載し
    た液晶素子。
  7. 【請求項7】 カーボンブラックからなる微粒子の比重
    が液晶の0.1〜5倍である、請求項1〜6のいずれか1
    項に記載した液晶素子。
  8. 【請求項8】 カーボンブラックからなる微粒子が良分
    散性を示すように表面処理されている、請求項1〜7の
    いずれか1項に記載した液晶素子。
  9. 【請求項9】 セルギャップが1.35〜2.35μmである、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載した液晶素子。
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