JP3304145B2 - パルプ蒸解助剤組成物 - Google Patents
パルプ蒸解助剤組成物Info
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Description
組成物に関するものである。さらに詳しく述べると、本
発明は、アントラキノン粉体と2種類の特定非イオン界
面活性剤ならびに水および/または分子量200以下の
アルコール類からなる粉末状易分散性でしかも高性能な
蒸解力を発揮するパルプ蒸解助剤組成物に関する。
用以外にパルプ蒸解助剤、すなわち酸化還元(レドック
ス)触媒として用いることにより、蒸解速度を大きく
し、蒸解温度の低下による蒸気の節約、使用薬剤の節
約、蒸解時間の短縮による操業度の向上、パルプ品質の
向上およびパルプ収率の向上等に大いに寄与することが
わかり、多量に用いられるようになってきている。
り、そのため、例えば粉末状アントラキノンをそのまま
パルプ蒸解液に添加すると、粉末の大半は液上に浮上
し、液中に分散、溶解するのにかなりの時間を必要と
し、結果として、通常の蒸解時間内ではアントラキノン
のパルプ蒸解液中への分散、溶解は不十分なものとなる
ため、その触媒効果が十分には発揮されないなどの問題
を有している。
ば、還元型のテトラヒドロアントラキノンをアルカリ水
溶液中で希釈溶液として使用する方法がある。この方法
では、還元型テトラヒドロアントラキノンのパルプ蒸解
液中への分散、溶解が素早く行なえる点では優れている
けれども、アルカリ水溶液中の還元型テトラヒドロアン
トラキノンは空気と接触すると、酸化されてアントラキ
ノンの結晶が析出してしまうために、運搬時および使用
時共に窒素ガス等で該溶液全体を遮蔽しておかなければ
ならず、さらに希釈溶液なので運搬費等が高くなるなど
の弊害を持っている。
粉末状で使用する場合に、パルプ蒸解液への分散、溶解
を容易にするために、アントラキノン粉体に界面活性
剤、特に陰イオン界面活性剤を付着させて使用する方法
が開示されている(特開昭54−100,332号)。
しかしながら、こうした界面活性剤のうち陰イオン界面
活性剤を付着させる方法では、アントラキノン粉体をイ
オン性界面活性剤溶液でペースト状に混練した組成物で
あるため、輸送コストがかさむのみならず、イオン性界
面活性剤のアントラキノン粉体に対する使用量が多くな
るという弊害を持っている。また、当該方法の開示内容
として、界面活性剤のうち非イオン界面活性剤ではアン
トラキノン粉体の分散に適さないことが述べられてい
る。すなわち、非イオン界面活性剤を100%濃度のま
まアントラキノン粉体に均一に混合できたとしても、こ
れをパルプ蒸解液に加えると、非イオン界面活性剤の持
つ特有の性癖ともいうべき「ゲル化現象」を起こし、界
面活性剤の機能を果たすどころか、逆にアントラキノン
粉体の表面をゼリー状のもので覆うために、アントラキ
ノンのパルプ蒸解液への分散、溶解をさらに阻害して、
結果として蒸解に有効な効果を与えられなかったものと
考えられる。
様に界面活性剤を用いる方法が開示されている。該方法
の開示内容である陰イオン界面活性剤を使用する場合で
も、陰イオン界面活性剤の使用量が多いなどの問題を有
しているため、なお十分であるとは言えないものであっ
た。また該方法の場合にも、同様に実施例はすべて陰イ
オン界面活性剤の使用実例であり、何ら非イオン界面活
性剤については、その構造組成、使用実例等は述べられ
てはおらず、こうした界面活性剤の使用方法ならびに品
種選択では、なお多くの課題を有する非イオン界面活性
剤は、その研究の対象となり難く、有効な蒸解助剤とし
ての使用方法は見出せていないのが現状である。
使用した実例はなく、非イオン界面活性剤がアントラキ
ノンのパルプ蒸解液中への分散、溶解に有効なることが
報告された例はなく、非イオン界面活性剤の有効性が今
だ見出せていない事を反映したものといえる。
は、アントラキノンを粉末状で使用する場合において、
アントラキノン粉体をパルプ蒸解液に容易に分散、溶解
ならしめ、かつ、アントラキノンのレドックス触媒とし
ての効果をあますことなく発揮せしめることと同時に、
アントラキノン粉体を取り扱う場合、一般に問題とされ
る該粉体の飛散等による環境衛生上の弊害を改善されて
なるパルプ蒸解助剤組成物を提供することにある。
を達成するためにパルプ蒸解助剤組成物に関して鋭意検
討した結果、特定の2種類からなる非イオン界面活性剤
混合物に水および/または低分子量の水溶性アルコール
類を添加した状態で、アントラキノン粉体表面に担持さ
せることにより、上記課題を解決してなるパルプ蒸解助
剤組成物が得られることを見出し、この知見に基づき本
発明を完成させるに至った。
径10μm以下、最大粒径30μm以下のアントラキノ
ン粉体に、炭素数10〜16の範囲の第2級アルコール
のエチレンオキサイドの付加モル数が7〜20のものを
有するアルキレンオキサイド付加物よりなるHLBが1
2〜16である第1の非イオン界面活性剤と炭素数6〜
12の範囲よりなるアルキルフェノールのエチレンオキ
サイドの付加モル数が8〜15のものを有するアルキレ
ンオキサイド付加物よりなるHLBが12〜16である
第2の非イオン界面活性剤との重量比が5:1〜1:5
であり、かつその合計用量が該アントラキノン粉体に対
して0.1〜2重量%である非イオン界面活性剤混合
物、およびパルプ蒸解助剤組成物100重量%に対する
含有率が5〜30重量%である水および/または分子量
200以下のアルコール類をそれぞれ混合してなること
を特徴とするパルプ蒸解助剤組成物により達成できるも
のである。
よび第2の非イオン界面活性剤混合物の平均HLBが1
3〜15である上記(1)に記載のパルプ蒸解助剤組成
物により達成できるものである。
および/または分子量200以下のアルコール類のパル
プ蒸解助剤組成物100重量%に対する含有率が10〜
20重量%である上記(1)に記載のパルプ蒸解助剤組
成物によっても達成できるものである。
は、平均粒径が10μm以下、好ましくは7μm以下で
あり、最大粒径が30μm以下、好ましくは20μm以
下のものである。該平均粒径が10μmを越える場合に
は、パルプ蒸解液中への分散、溶解速度が低下するため
に時間を要し、結果として、通常の蒸解時間内ではアン
トラキノンのパルプ蒸解液中への分散、溶解が不十分な
ものとなるため好ましくない。また最大粒径が30μm
を越える場合にも同様に、分散、溶解速度が低下するた
め好ましくない。
剤混合物中の1種の第1の非イオン界面活性剤として
は、炭素数10〜16、好ましくは12〜14の範囲の
第2級アルコールのエチレンオキサイドの付加モル数が
7〜20、好ましくは9〜15の1〜2基を有するアル
キレンオキサイド付加物であり、そのHLB(親水性親
油性バランス)が12〜16、好ましくは13〜15の
範囲の非イオン界面活性剤であればよい。
は、炭素数6〜12、好ましくは8〜9の範囲よりなる
アルキルフェノールのエチレンオキサイドの付加モル数
が8〜15、好ましくは10〜14のものを有するアル
キレンオキサイド付加物であり、そのHLBが12〜1
6、好ましくは13〜15の範囲の非イオン界面活性剤
であればよい。
および第2の非イオン界面活性剤の比率は、前記第2級
アルコールのアルキレンオキサイド付加物(第1の非イ
オン界面活性剤)と前記アルキルフェノールのアルキレ
ンオキサイド付加物(第2の非イオン界面活性剤)とが
5:1〜1:5、好ましくは3:1〜1:3(いずれも
重量比)である。これら第1および第2の非イオン界面
活性剤の比率が上記の範囲外の場合には、アントラキノ
ン粉体をパルプ蒸解液に分散、溶解を容易ならしめるこ
とが困難となる。この事は、例えば第2級アルコールの
アルキレンオキサイド付加物が一般に浸透力に優れた公
知の界面活性剤であり、特に疎水性繊維への浸透力は最
も優れた界面活性剤の1種であるにも拘らず該界面活性
剤を単独で用いるとアントラキノン粉体をパルプ蒸解液
に分散、溶解せしめるのに長時間を必要とすることから
わかる。すなわち、これら2種類の第1および第2の非
イオン界面活性剤を上記範囲内の比率において併用する
ことで初めてパルプ蒸解液への分散、溶解を容易ならし
めることができるものである。
ントラキノン粉体に対する合計用量は、通常0.1〜2
重量%、好ましくは0.2〜1重量%の範囲で添加され
る。該アントラキノン粉体に対する合計用量が0.1重
量%未満の場合には、アントラキノン粉体の表面を非イ
オン界面活性剤混合物により完全に被覆することができ
ず、パルプ蒸解液に添加した際に一部の該粉体が液上に
浮遊するなど尚十分な分散、溶解が得られないものであ
った。
性剤混合物の平均HLBは12〜16、好ましくは13
〜15の範囲である。該HLBについても上記非イオン
界面活性剤の比率と同様に前記の範囲内において初めて
優れた蒸解効果を奏するものである。
しては、通常分子量200以下、好ましくは分子量12
0以下の水溶性化合物であれば、特に限定されるもので
なく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール等の低級の1価アルコール、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコー
ル等が挙げられる。
は分子量200以下のアルコール類の含有率は、パルプ
蒸解助剤組成物100重量%に対して5〜30重量%、
好ましくは10〜20重量%の範囲である。該含有率が
パルプ蒸解助剤組成物100重量%に対して5重量%未
満では、非イオン界面活性剤混合物に対する水および/
または分子量200以下のアルコール類の量が不十分と
なり、非イオン界面活性剤混合物がゲル化現象を起こす
ため、非イオン界面活性剤の本来の機能が阻害されたま
まの状態でアントラキノン粉体上に担持されているため
該パルプ蒸解助剤組成物がパルプ蒸解液に遭遇した時
に、該界面活性剤の機能が発揮できず、アントラキノン
のパルプ蒸解液への分散、溶解を妨げるため好ましくな
い。また該含有率がパルプ蒸解助剤組成物100重量%
に対して30重量%を越える場合には、過剰な水および
/または分子量200以下のアルコール類のためアント
ラキノン粉体上に非イオン界面活性剤が担持されること
なく該過剰な水および/または分子量200以下のアル
コール類とアントラキノン粉体が分離してしまうためパ
ルプ蒸解液への分散、溶解が不十分となり好ましくな
い。
ルプ蒸解液へ投入して使用する前に適当な混合機または
攪拌機などを用いて、より均一に混合されていることが
望ましい。
入するパルプ蒸解液は、特に限定されるものではなく、
一般に使用される蒸解液であればよく、例えば、クラフ
ト法でのアルカリ蒸解液あるいは亜硫酸法での酸性蒸解
液等への投入が可能である。
るが、本発明は、これら実施例のみに限定されるもので
ない事は言うまでもない。
ップを絶乾で600g、パルプ蒸解助剤組成物を0.3
g、さらに苛性ソーダと硫化ソーダを活性アルカリ16
重量%(Na2 O換算)、硫化度25重量%、液比
3.6リットル/kgになるように加え、166℃まで
約70分で昇温させ、166℃で40分間蒸解した。
およびパルプ収率を測定し、その結果を表1に示した。
表1よりカッパー価16、パルプ収率52.0重量%と
なった。
粒径5μm、最大粒径18μmのアントラキノン粉体が
80重量部、炭素数12〜14の直鎖アルキル第2級ア
ルコールのエチレンオキサイドの付加モル数が12のも
のを有するアルキレンオキサイド付加物よりなるHLB
が14.5である第1の非イオン界面活性剤(株式会社
日本触媒製、以下、ソフタノール−120と略記)とア
ルキルの炭素数が9よりなるアルキルフェノールのエチ
レンオキサイドの付加モル数が10のものを有するアル
キレンオキサイド付加物よりなるHLBが13.3であ
る第2の非イオン界面活性剤(三洋化成工業株式会社
製、以下、ノニポール100と略記)との重量比が1:
1であり、かつその合計用量が該アントラキノン粉体に
対して0.4重量%である非イオン界面活性剤混合物、
およびパルプ蒸解助剤組成物100重量%に対する含有
率が20重量%である水をそれぞれ混合してなるパルプ
蒸解助剤組成物を使用した。
と同様に蒸解を行ない、得られたパルプを離解後、カッ
パー価およびパルプ収率を測定し、その結果を表4に示
した。表4よりカッパー価16、パルプ収率50.8重
量%となった。
分間とした。これはパルプ収率を同一カッパー価で比較
するのが一般的であるので、実施例1とほぼ同一カッパ
ー価になるように蒸解時間により調節したためである。
比較例2〜9の場合も、ほぼ同一カッパー価になるよう
に166℃での蒸解時間を調節し、実施例1と同一カッ
パー価でのパルプ収率で比較した。
変化させた以外は実施例1と同様に蒸解を行ない、表1
に示すカッパー価およびパルプ収率が得られた。
変化させた以外は実施例1と同様に蒸解を行ない、表2
に示すカッパー価およびパルプ収率が得られた。
変化させた以外は実施例1と同様に蒸解を行ない、表3
に示すパルプ収率が得られた。
剤の使用割合は全て1:1とした。
変化させた以外は実施例1と同様に蒸解を行ない、表4
に示すパルプ収率が得られた。
剤の使用割合は全て1:1である。
用いた以外は実施例1と同様に蒸解を行ない、カッパー
価16、パルプ収率52.2重量%となった。
測定装置CAPA−700(株式会社堀場制作所製)に
より行なった。
を用いた以外は実施例1と同様に蒸解を行ない、カッパ
ー価16、パルプ収率50.7重量%となった。
ように変化させた以外は実施例1と同様に蒸解を行な
い、表5に示すパルプ収率が得られた。
ように変化させた以外は実施例1と同様に蒸解を行な
い、表6に示すパルプ収率が得られた。
用いた以外は、実施例1と同様に蒸解を行ない、得られ
たパルプを離解後、カッパー価およびパルプ収率を測定
した。その結果、カッパー価16、パルプ収率52.0
重量%となった。
を用いた以外は、実施例1と同様に蒸解を行ない、得ら
れたパルプを離解後、カッパー価およびパルプ収率を測
定した。その結果、カッパー価16、パルプ収率52.
0重量%となった。
の代わりに、エチレンオキサイドの付加モル数が表7に
示すような非イオン界面活性剤を用いた以外は、実施例
1と同様に蒸解を行ない、表7に示すパルプ収率が得ら
れた。
わりに、エチレンオキサイドの付加モル数が表8に示す
ような非イオン界面活性剤を用いた以外は、実施例1と
同様に蒸解を行ない、表8に示すパルプ収率が得られ
た。
おいては、これをクラフト法、亜硫酸法、ソーダ法のみ
ならずセミケミカル法等の蒸解法でも効果を発揮できる
蒸解助剤として用いることができ、単独のアントラキノ
ンの蒸解助剤と比べて格段と優れた蒸解効果が得られ、
さらにその使用形態で理想とされるテトラヒドロアント
ラキノンのアルカリ水溶液と比べて、有効アントラキノ
ン換算では、より優れた蒸解効果を得ることができるも
のである。
剤が「ゲル化現象」を起こさないように、特定の2種の
非イオン界面活性剤を共用するとともに水および/また
は分子量200以下のアルコール類の適量と併せて添加
されるために、非イオン界面活性剤の本来の機能が保持
された状態で、アントラキノン粉体上で担持されている
ので、該組成物がパルプ蒸解液に遭遇した時に、直ちに
界面活性剤の機能が発揮され、アントラキノンのパルプ
蒸解液への分散、溶解を容易ならしめることができ、ア
ントラキノンのレドックス触媒としての効果をあますこ
となく発揮することができるものである。
場合に、従来法では平均粒径が10μm程度のアントラ
キノン粉体を用いる際に風速が2m/sec程度でもか
なり周囲に該粉体が飛散し、環境衛生の問題上、使用に
耐えないものであるが、本発明におけるパルプ蒸解助剤
組成物では、非イオン界面活性剤と水および/または分
子量200以下のアルコール類を添加することにより湿
潤な状態にでき、全く粉塵がたたず、また飛散すること
もない。
た、原木やチップとして針葉樹並びに広葉樹はもちろん
草木類を用いた場合にも優れた蒸解効果が発揮できる。
従って、本発明が広く有効に活用されれば、工業的にも
環境資源的にも大いに有用であり、広く人類の進歩と繁
栄に貢献し得るものとなることが期待できる。
Claims (3)
- 【請求項1】 平均粒径10μm以下、最大粒径30μ
m以下のアントラキノン粉体に、炭素数10〜16の範
囲の第2級アルコールのエチレンオキサイドの付加モル
数が7〜20のものを有するアルキレンオキサイド付加
物よりなるHLBが12〜16である第1の非イオン界
面活性剤と炭素数6〜12の範囲よりなるアルキルフェ
ノールのエチレンオキサイドの付加モル数が8〜15の
ものを有するアルキレンオキサイド付加物よりなるHL
Bが12〜16である第2の非イオン界面活性剤との重
量比が5:1〜1:5であり、かつその合計用量が該ア
ントラキノン粉体に対して0.1〜2重量%である非イ
オン界面活性剤混合物、およびパルプ蒸解助剤組成物1
00重量%に対する含有率が5〜30重量%である水お
よび/または分子量200以下のアルコール類をそれぞ
れ混合してなることを特徴とするパルプ蒸解助剤組成
物。 - 【請求項2】 該第1および第2の非イオン界面活性剤
混合物の平均HLBが13〜15である請求項1に記載
のパルプ蒸解助剤組成物。 - 【請求項3】 前記水および/または分子量200以下
のアルコール類のパルプ蒸解助剤組成物100重量%に
対する含有率が10〜20重量%である請求項1に記載
のパルプ蒸解助剤組成物。
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