JP3300330B2 - 処理室の窓蓋 - Google Patents

処理室の窓蓋

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JP3300330B2
JP3300330B2 JP2000257295A JP2000257295A JP3300330B2 JP 3300330 B2 JP3300330 B2 JP 3300330B2 JP 2000257295 A JP2000257295 A JP 2000257295A JP 2000257295 A JP2000257295 A JP 2000257295A JP 3300330 B2 JP3300330 B2 JP 3300330B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、処理室の窓蓋に関
する。すなわち、液体を用いた処理が行われ、内部が外
部より高温となり外部との間に温度差が生じ易い処理室
について、メンテナンスや点検等の作業用に付設され
る、窓や蓋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】《処理室1について》図6は、この種従
来例の処理室の窓蓋の正断面図であり、(1)図は、外
部との温度差が無く、反り変形していない場合を示し、
(2)図は、外部との温度差が生じ、全体的に反り変形
した場合を示す。例えば、プリント配線基板の製造工程
において、エッチング工程や剥離工程では、それぞれの
処理室1の内部Aで、処理対象たるプリント配線基板材
をコンベヤにて搬送しつつ、腐食液や剥離液等の液体B
を多数のスプレーノズルから噴射し、もってプリント配
線基板材の表面処理が行われている(後述の図3,図4
等も参照)。このような表面処理後の液体Bは、処理室
1の内部A下部の液槽2に、流下,回収,貯留され、ポ
ンプや配管を介し再び噴射用に循環使用されている。
【0003】《窓蓋3について》そして、このような処
理室1の上面や側面には、内部Aのメンテナンス,点
検,緊急処理,その他の作業用に、多くの窓蓋3が付設
されている。図6では、窓蓋3として上面の蓋が示され
ると共に、内部Aのプリント配線基板材等の処理対象,
コンベヤ,スプレーノズル等の図示は、省略されてい
る。図中4は、液槽2中に配された加温用のヒーターで
ある。この窓蓋3は、平板状をなし、処理室1に形成さ
れた開口部5を、常時は密閉,閉鎖すると共に、作業時
において外部Cに開放するが、開口部5の形成周壁6に
内フランジ状に付設された台座7に、密接,保持されて
いる。ところで、この種の処理室1を形成する壁体や窓
蓋3は、従来より熱可塑性樹脂等の樹脂製よりなる。す
なわち、金属製に比し樹脂製のものは、一般的に酸やア
ルカリの影響を受けにくく、しかも各種形状への成形が
容易であり、この種の箱状の処理室1自体や、平板状の
窓蓋3としては、樹脂製の素材が使用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】《第1の問題点につい
て》ところで、このような従来例の窓蓋3にあっては、
次の問題が指摘されていた。まず第1に、処理室1の内
部Aで噴射される液体Bや、処理室1の内部A下部の液
槽2に貯留された液体Bは、例えば30℃から60℃程
度に加温された、酸性やアルカリ性の処理液よりなる。
そこで、処理が行われる処理室1の内部Aには、このよ
うな液体Bから発生した有害のガス,臭気,蒸気等の気
体が充満している。これと共に、処理室1の内部Aは、
このような液体Bにより高温となっており、外部Cとの
間で温度差が生じやすい。そして、このような内部Aと
外部C間の温度差に起因して、平板状をなす樹脂製の窓
蓋3が、図6の(1)図に示した常時の状態から、図6
の(2)図に示したように、全体的に反り変形し易かっ
た。
【0005】すなわち周知のごとく、素材としての樹
脂、特にこの種の窓蓋3で一般的に使用されている熱可
塑性樹脂は、金属に比し一般的に温度の影響を受けやす
く、膨張,収縮し易い。そこで、このような樹脂製の窓
蓋3は、処理室1の内部Aと外部Cとの温度差が10℃
程度に達すると、全体的に徐々に反り変形を開始し、温
度差が20℃前後に達すると顕著に全体的に大きく反り
変形するに至る。この反り変形は、例えばm当たり数1
0mmに達する。すなわち、従来の平板状で樹脂製の窓
蓋3は、内部Aと外部Cとの温度差に起因して、処理室
1の内部Aの雰囲気に触れて昇温した面が、外部C側の
より低温の面より膨張率が大となり、もって、図1の
(1)図の状態から(2)図の状態へと、全体的に反り
変形し弓なりに湾曲してしまう、という問題が指摘され
ていた。
【0006】《第2の問題点について》第2に、そこで
このような窓蓋3の全体的な反り変形により、処理室1
の開口部5が、窓蓋3にて密閉,閉鎖されなくなる。そ
して、開口部5と全体的に反り変形した窓蓋3との間か
ら、つまり、開口部5側の台座7と窓蓋3の外周部との
間に反り変形により生じた隙間から、前述により処理室
1の内部Aに充満していた有害なガス,臭気,蒸気等の
気体が、外部Cに漏れ出してしまう、という問題が指摘
されていた。窓蓋3は、1つの処理室1について複数個
設けられると共に、例えばプリント配線基板の製造工程
では各ラインを合計すると数100個にも及び、しか
も、作業中長時間にわたり各窓蓋3から、このような有
害なガス,臭気,蒸気等の気体の漏出が、継続される状
況にある。そして、このように漏出した有害なガス,臭
気,蒸気等の気体は、作業者等の人体に極めて有害であ
り、作業環境の悪化を招くと共に、他の機械,設備等の
腐食,損傷させる。
【0007】《第3の問題点について》第3に、そこで
従来は、窓蓋3について、次のような反り変形対策も行
われたが、いずれも難点があった。 イ.窓蓋3を、処理室1側の開口部5の形成周壁6に対
し、複数のボルトで止着する対策が行われたが、内部A
のメインテナンスや点検作業に際し、窓蓋3を開放する
ためボルトを外す手間を要し、面倒であるという難点が
あった。特に、緊急処理作業に際し素早い対応ができな
い、という難点があった。 ロ.平板状をなす窓蓋3の肉厚を厚くする対策も行われ
たが、依然として反り変形が発生していた。肉厚を厚く
すると、窓蓋3の内部A側の面と外部C側の面との温度
差が、より拡大し、もって反り変形が一段と大きくな
る、という指摘もあった。 ハ、窓蓋3の素材を、樹脂に代えて温度差による反り変
形が少ないガラスを採用する対策も行われた。しかしな
がら、強化ガラス板等は、反り変形は解消されるもの
の、アルカリ性の液体Bの悪影響を受け易く、成形加工
も困難を伴い,重量が重く,割れ易い,コスト的に高く
つく、等々の難点が指摘され、本格的採用は見送られ
た。 ニ.窓蓋3を内外の2重構造とする対策も考えられた
が、例え窓蓋3を2重にそれぞれ開口部5の形成周壁6
に配設しても、依然としてそれぞれについて、反り変形
の発生が指摘されていた。
【0008】《本発明について》本発明は、このような
実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべく、発明者の
鋭意研究努力の結果なされたものであって、温度差によ
り中央部を中心に反り変形する遮蔽板と、強度面に優れ
た構造よりなり反り変形しない枠体と、を備えた窓蓋を
採用したことを特徴とする。例えば、この枠体は、処理
室の雰囲気には触れず、遮蔽板より5〜10倍程度厚い
肉厚よりなり、開口部の形成周壁との間に隙間が形成さ
れ、略矩形短筒形状をなして立設され、表面遮蔽板が取
付けられている。又、遮蔽板は、パッキンへの液体拡散
を規制する拡散防止板が付設され、透視可能となってい
る。そして、このような樹脂製の窓蓋は、処理室側の開
口部の形成周壁の台座に密接,保持せしめられており、
このような窓蓋を備えた処理室は、例えばプリント配線
基板の製造工程で用いられ、下部に液槽が形成されてい
る。もって本発明は、第1に、温度差による全体的な反
り変形が回避され、第2に、よってガス,臭気,蒸気等
の漏出が防止され、第3に、しかもこれらが簡単容易に
難点もなく実現される、処理室の窓蓋を提案することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】《技術的手段について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次の
とおりである。まず、請求項1については次のとおり。
すなわち、この請求項1の処理室の窓蓋において、該処
理室は、内部で液体を用いた処理が行われ、内部が外部
より高温となり外部との間で温度差が生じ易い。そして
該窓蓋は、該処理室に形成された開口部を閉鎖する遮蔽
板と、該遮蔽板の外周部に一体的に立設された枠体と
を、有してなり、該枠体は、該遮蔽板より強度面に優れ
た構造よりなること、を特徴とする。請求項2について
は次のとおり。すなわち、この請求項2の処理室の窓蓋
は、請求項1に記載した処理室の窓蓋において、該窓蓋
は、窓又は蓋よりなり、メンテナンス,点検,緊急処
理,その他の作業用に使用される。該液体は、高温であ
り、ガス,臭気,蒸気,その他の気体を発生する。そし
て該遮蔽板は、該処理室内の雰囲気に直接触れると共
に、内部と外部との温度差に起因して中央部を中心に反
り変形する。該枠体は、外部に向け立設されており、該
処理室内の雰囲気に触れず、同温度差によっては反り変
形しないこと、を特徴とする。
【0010】次に、請求項3については次のとおり。す
なわち、この請求項3の処理室の窓蓋は、請求項2に記
載した処理室の窓蓋において、該遮蔽板と該枠体は、同
種の樹脂製よりなると共に、該枠体は、該遮蔽板より3
倍程度以上肉厚が厚く設定されており、かつ該枠体と該
処理室側の開口部の形成周壁との間に、隙間が形成され
ていること、を特徴とする。請求項4については次のと
おり。すなわち、この請求項4の処理室の窓蓋は、請求
項3に記載した処理室の窓蓋において、該枠体は、略矩
形短筒形状をなすと共に、該枠体には、更に外表面遮蔽
板が取付けられている。もって、該枠体と該外表面遮蔽
板と該遮蔽板とにより、中空空間が形成されると共に、
該中空空間と外部間を連通する通気孔が付設されている
こと、を特徴とする。請求項5については次のとおり。
すなわち、この請求項5の処理室の窓蓋は、請求項4に
記載した処理室の窓蓋において、該処理室内部では、該
液体を処理対象に噴射して処理が行われる。又、該開口
部の形成周壁には、内フランジ状に台座が付設されてい
る。そして該窓蓋は、周設介装されたパッキンを介し、
外周部が該台座に密接,保持されていること、を特徴と
する。
【0011】次に、請求項6については次のとおり。す
なわち、この請求項6の処理室の窓蓋は、請求項5に記
載した処理室の窓蓋において、該遮蔽板の内面には、噴
射された該液体が該パッキン側へと拡散することを規制
する拡散防止板が、周設付設されていること、を特徴と
する。請求項7については次のとおり。すなわち、この
請求項7の処理室の窓蓋は、請求項1に記載した処理室
の窓蓋において、該遮蔽板は、透視可能であること、を
特徴とする。請求項8については次のとおり。すなわ
ち、この請求項8の処理室の窓蓋にあっては、請求項1
に記載した処理室の窓蓋において、該処理室は、プリン
ト配線基板の製造工程で用いられる。そして、該処理室
の内部では、プリント配線基板材に対し、現像液,腐食
液,剥離液,又は水洗液等の該液体が多数のスプレーノ
ズルから噴射されて、該プリント配線基板材が表面処理
される。これと共に、該処理室の下部は、表面処理後に
流下,回収された該液体を貯留する液槽となっているこ
と、を特徴とする。
【0012】《作用について》本発明は、このようにな
っているので、次のようになる。この処理室では、内部
で処理対象に液体を噴射する等により、液体を用いた処
理が行われる。例えばこの処理室は、プリント配線基板
の製造工程で用いられ、内部でプリント配線基板材に対
し、現像液,腐食液,剥離液,又は水洗液等の液体が、
多数のスプレーノズルから噴射されて、プリント配線基
板材が表面処理される。処理室の下部は、流下,回収さ
れた液体を貯留する液槽となっている。そして、噴射さ
れ貯留される液体が高温であるので、処理室の内部も高
温となっており、外部との間で温度差が生じ易い。
【0013】窓蓋は、このような処理室内部のメンテナ
ンス,点検,緊急処理,その他の作業用に使用され、処
理室の開口部を閉鎖する遮蔽板と、遮蔽板の外周部に立
設された枠体とを、有してなる。遮蔽板は、処理室内の
雰囲気に直接触れており、処理室内部と外部の温度差に
起因して、その中央部を中心に反り変形するが、枠体
は、遮蔽板より強度面に優れた構造よりなると共に処理
室内の雰囲気に触れておらず、反り変形しない。例え
ば、a.遮蔽板と枠体は同種の樹脂製よりなるが、枠体
は、遮蔽板より3倍程度以上、肉厚が厚く設定されてい
る。b.枠体は、略矩形短筒形状をなし立設されてい
る。c.枠体には、外面遮蔽板が取付けられている。
d.枠体と開口部の形成周壁との間には、隙間が形成さ
れている。なお窓蓋には、中空空間と外部を連通する通
気孔が付設されており、熱膨張した空気や湿気等を外部
に逃がす。又、遮蔽板や外面遮蔽板を透視可能としてお
くと、内部を外部から確認できる。処理室側の開口部の
形成周壁には、台座が付設されており、窓蓋は、パッキ
ンを介し外周部が台座に密接,保持される。遮蔽板に
は、噴射された液体のパッキン側への拡散防止板が、周
設付設されている。
【0014】さてそこで、第1に、処理室の内部が高温
となり、外部との温度差が生じた場合、窓蓋の遮蔽板中
央部が、部分的に反り変形するに留まる。窓蓋の外周部
の枠体は、そのa.肉厚,b.形状,c.外面遮蔽板、
等に基づき強度面に優れると共に、e.処理室内の雰囲
気に触れず、d.隙間もあり、処理室内部の温度上昇の
影響を受けない。もって、枠体は反り変形しない。この
ように、この窓蓋は、外周部の枠体が反り変形せず、全
体的な反り変形・要部の反り変形は回避される。第2
に、そこで処理室側の台座と窓蓋側の要部たる枠体との
間に、隙間は発生しない。処理室の内部には、高温の液
体から発生したガス、臭気、蒸気、その他の気体が充満
しているが、このように隙間が発生しないので、その外
部への漏出も防止される。なお、拡散防止板の存在も、
このような漏出防止に寄与する。第3に、この窓蓋は、
所定の遮蔽板と枠体等を組み合わせてなり、簡単な構成
により容易にしかも難点を伴なうこともなく、上述した
点が実現される。
【0015】
【発明の実施の形態】《図面について》以下本発明を、
図面に示す発明の実施の形態に基づいて、詳細に説明す
る。図1,図2は、本発明の実施の形態の説明に供す
る。そして図1は、処理室の正断面図であり、図2の
(1)図は、窓蓋の平面図、(2)図は、窓蓋の正断面
図、(3)図は、窓蓋の斜視図である。図3は、処理室
の正断面図、図4は、処理室の側断面図、図5の(1)
図は、処理室の側面図、(2)図は、プリント配線基板
(材)の平面説明図である。
【0016】《プリント配線基板Dの製造工程等につい
て》本発明の窓蓋8が設けられる処理室1は、例えば、
プリント配線基板Dの製造工程で用いられる。そこでま
ず、プリント配線基板Dの製造工程等について、図3,
図4,図5等を参照しつつ説明しておく。プリント配線
基板Dは、広く各種のOA機器用の基板,その他の電子
機器用の基板として用いられており、片面基板,両面基
板,多層基板(含、最近のビルドアップ工法のもの)
等、各種のものがあり、その一環として、半導体チップ
・パッケージ絡みのCSP,PBGAも出現している。
そしてプリント配線基板Dは、近年ますます小型化,軽
量化,ファイン化,極薄化,フレキシブル化,多層化等
が進み、外表面に形成される回路Eの高密度化,微細
化,高精度化等が著しい。例えばプリント配線基板Dの
肉厚は、絶縁基材の部分が60μm程度で、回路E部分
が55μmから0.18μm程度まで極薄化されてお
り、多層基板の場合でも、全体の肉厚が1.0mmから
0.4mm程度まで極薄化されつつある。回路Eの幅
も、70μmから20μm程度と微細化傾向にある。
【0017】そしてプリント配線基板Dは、公知のごと
く、次の工程を順次辿って製造される。まず、樹脂やガ
ラスクロス製の絶縁基材に銅箔が、熱プレス等により張
り付けられた後、銅箔表面を粗化するソフトエッチング
が行われ、ワークサイズに切断される。それから、この
ように準備された銅張り積層板たるプリント配線基板材
Fについて、多くの場合、スルホール用の多数の穴あけ
加工が施された後、パネルめっきが施され、スルホール
内壁がめっきされる。しかる後、プリント配線基板材F
の外表面について、感光保護膜たる感光性レジストが、
膜状に塗布又は張付けられる。(なお、図示例のプリン
ト配線基板材Fは、表面と裏面の両外表面に回路Eが形
成される両面基板タイプよりなり、両面銅張り積層板が
用いられているが、片面の外表面のみに回路Eが形成さ
れる片面基板タイプよりなり、片面銅張り積層板が用い
られるものもある。)
【0018】それから、このようなプリント配線基板材
Fに、回路Eのネガフィルムである回路写真をあてて、
露光する。もって、プリント配線基板材Fの外表面を被
覆していた感光性レジストは、露光されて硬化した回路
形成部分を残し、他の不要部分が、液体Bたる現像液の
噴射により溶解除去される。しかる後、このようなプリ
ント配線基板材Fの外表面の銅箔は、感光性レジストが
硬化して被覆,保護された回路形成部分を残し、上述に
より感光性レジストが溶解除去された不要部分が、処理
液Bたる腐食液・エッチング液の噴射により、溶解除去
・エッチングされる。それから、残っていた硬化した回
路形成部分の感光性レジストが、液体Bたる剥離液の噴
射により溶解除去されるので、残った回路形成部分の銅
箔にて、プリント配線基板材Fの外表面に所定の回路E
が形成され、もってプリント配線基板Dが製造される。
なお、このような工程を辿って製造されたプリント配線
基板Dについては、後処理工程として上述した工程に準
じ、形成された回路Eの保護被膜が、感光性レジストに
て形成される。
【0019】さて、このようなプリント配線基板材Fの
現像,エッチング,剥離等の各工程では、それぞれの処
理室1の内部Aにおいて、プリント配線基板材Fが、コ
ンベヤ9のホイール11等にて水平姿勢で搬送方向Gに
搬送される。図中12は、コンベヤシャフトである。こ
れと共に、処理室1内部Aに上下に対向配設された多数
のスプレーノズル10から、現像液,腐食液,剥離液等
の液体Bが、搬送されるプリント配線基板材Fに対して
噴射され、もってプリント配線基板材Fが、現像,エッ
チング,剥離等の薬液処理・表面処理される。又、この
ような現像,エッチング,剥離の各工程、更にはその前
処理工程を含むその他の製造工程では、それぞれ付随し
て事後、洗浄処理・表面処理が行われる。この洗浄用の
処理室1内においては、プリント配線基板材Fを搬送し
つつ、水洗液よりなる液体Bがスプレーノズル10から
噴射され、もって洗浄処理・表面処理が行われる。プリ
ント配線基板Dの製造工程等は、このようになってい
る。
【0020】《処理室1について》次に、処理室1につ
いて、図3,図4を参照しつつ更に詳述する。窓蓋8が
設けられる処理室1は、例えば、このようなプリント配
線基板Dの製造工程において、液体Bを用いてプリント
配線基板材Fを表面処理する、各工程において用いられ
る。そして、処理室1の内部Aにおいては、各スプレー
ノズル10から噴射された現像液,腐食液,剥離液,水
洗液等の液体Bが、搬送されるプリント配線基板材Fの
外表面を左右方向Hたる幅方向に流れ、もってプリント
配線基板材Fを、薬液処理や洗浄処理等の表面処理した
後、処理室1の下部に形成された液槽2に、流下,回
収,貯留される。液槽2に貯留された液体Bは、その多
くが、配管13やポンプ14を介し、スプレーパイプ1
5へと圧送されて、循環使用される。
【0021】この現像液,腐食液,剥離液等の液体B
は、酸性やアルカリ性の薬剤が水溶液に混入されてな
り、化学処理・表面処理用に30℃から60℃程度に、
液槽2のヒーター4等にて加温されている。これに対し
外部Cの温度は、通常20℃程度である。そこで、処理
室1の内部Aは、外部Cに比し高温となり易く、外部C
との間で温度差が生じやすい。これと共に、常温時とは
異なり、このように加温されて噴射され,貯留される液
体Bからは、有害なガス,臭気,水蒸気,その他の気体
が発生し、処理室1内に充満する。なお、洗浄処理用の
処理室1にあっても、水洗液よりなる液体Bは、循環使
用に伴うかく拌により、次第に加温されると共に、水蒸
気,その他の気体を発生する。
【0022】ところで、窓蓋8が設けられる処理室1
は、このようなプリント配線基板Dの製造工程以外にお
いても、用いられる。すなわち、この窓蓋8付の処理室
1は、内部Aで液体Bを処理対象に噴射する処理が行わ
れる処理室1や、その他、内部Aで液体Bを用いた処理
が行われる各種の処理室1について、適用される。これ
らの処理室1では、加温された液体Bにより、内部Aが
外部Cより高温となり、外部Cとの間で温度差が生じや
すいと共に、加温された液体Bから、ガス,臭気,蒸
気,その他の気体が発生する。このような処理室1の例
としては、メッキ装置のディプ槽を備えた処理室1、そ
の他の各種化学反応装置の加温槽を備えた処理室1、循
環槽(液体Bが循環使用に伴うかく拌により次第に加温
される)を備えた処理室1、等々が考えられる。処理室
1は、このようになっている。
【0023】《窓蓋8について》以下、窓蓋8につい
て、図1,図2等を参照しつつ、説明する。上述した処
理室1には、窓蓋8が設けられている。すなわち、処理
室1の上面や側面には、多くの窓蓋8が設けられてお
り、この窓蓋8は、内部Aの処理対象,装置,機構等、
図示例ではプリント配線基板材F,コンベヤ9,多数の
スプレーノズル10,液槽2等々について、メンテナン
ス,点検,緊急処理・トラブル処理,その他の作業用に
使用される。図示例では、処理室1の上面に、左右方向
Hのほぼ全幅にわたると共に搬送方向Gに4個の窓蓋8
が、蓋として設けられている(図3,図4,図5の
(1)図を参照)。又、処理室1の両側面には、搬送方
向Gに2個の窓蓋8が、窓として設けられている(図
4,図5の(1)図を参照)。そして、これらの蓋や窓
たる窓蓋8は、常時は密閉,封鎖されており、作業時の
み外部Cに開放されて、作業者が内部Aに手を挿入し
て、必要な作業を行う。
【0024】処理室1や窓蓋8の素材としては、熱可塑
性樹脂等の樹脂が使用されている。そして、処理室1の
上面や側面には、それぞれ開口部5が形成され、この開
口部5に窓蓋8が、それぞれ開閉可能に取付けられてい
る。開口部5は、処理室1の天井壁や側壁を切り欠いた
貫通開口穴として形成されており、外周が形成周壁6と
なっている。図1に示したように、この開口部5の形成
周壁6には、内フランジ状に台座7が付設されており、
窓蓋8は、周設介装されたパッキン16を介し、外周部
が台座7に密接,保持されている。
【0025】すなわち窓蓋8は、開口部5の形成周壁6
の台座7に対し、外部C側から当接されることにより、
開口部5を密閉,封鎖する。又、台座7から外部C側へ
と離反されることにより、開口部5を開放する。図示例
の台座7は、形成周壁6の下部分に付設されると共に、
内側に向け内フランジ状に周設・突設されている。窓蓋
8と形成周壁6間には、必要に応じヒンジやストッパ
が、回動用,位置決め用,固定用として対応設される。
なお、開口部5,形成周壁6,窓蓋8等の奥行き寸法
(図1の例では上下寸法)は、ほぼ見合っている。
【0026】このような窓蓋8の構成について、図1,
図2により更に詳述する。なお図示例の窓蓋8は、処理
室1上面の蓋よりなるが、処理室1側面の窓について
も、これに準じ同様の構成よりなる。そして、この窓蓋
8は、処理室1に形成された開口部5を閉鎖する(勿論
開放も可能な)遮蔽板17と、遮蔽板17の外周部に一
体的に立設された枠体18とを、有してなる。以下、こ
のような遮蔽板17と枠体18について詳述する。
【0027】まず遮蔽板17は、処理室1内の雰囲気に
直接触れると共に、内部Aと外部Cとの温度差に起因し
て、その中央部を中心に反り変形する。すなわち遮蔽板
17は、例えば、肉厚が1mm程度の長方形や正方形の
薄い熱可塑性樹脂製の平板材よりなり、内部Aと外部C
との温度差が10℃程度に達すると、中央部を中心に徐
々に下方・内部A側に向け反り変形を開始し、温度差が
20℃前後に達すると、図中想像線表示のように、大き
く反り変形する。遮蔽板17の平面的大きさ・寸法(図
1の例では左右,前後寸法)は、開口部5より小さく、
内フランジ状の台座7の内径よりは大きく、設定されて
いる。又、遮蔽板17の内面には、噴射された液体Bが
パッキン16側へと拡散することを規制する拡散防止板
19が、周設付設されている。すなわち、遮蔽板17の
内部A側の面(図1の例では下面)には、略矩形短筒形
状の拡散防止板19が、垂下設されており、外側の台座
7との間に、僅かな間隙を存して対向位置している。
【0028】次に枠体18は、遮蔽板17の外周部に、
一体的に立設されている。すなわち枠体18は、長方形
や正方形の略矩形短筒形状をなし、例えば肉厚が5mm
から10mm程度であり、遮蔽板17と同種の熱可塑性
樹脂製よりなるものの、遮蔽板17より3倍程度以上
(代表的には5倍から10倍程度)、肉厚が厚く設定さ
れている。又、枠体18は、遮蔽板17と一体成形した
後に折曲形成してもよりが、別々に成形後に遮蔽板17
に接着するようにしてもよい。図示例の枠体18は、遮
蔽板17の外周部上から、外部Cに向けて立設されてい
るが、これによらず、遮蔽板17の外周部の外側から、
外部Cに向けて立設するようにしてもよい。いずれにし
ても枠体18は、高さ寸法や平面的寸法が、開口部5や
形成周壁6より若干小さいと共に、平面的寸法が、内フ
ランジ状の台座7の内径と外径間の大きさに設定されて
いる。もって枠体18は、開口部5内に収納されると共
に、台座7に当接,裁置され、密接,保持される。
【0029】更に、枠体18と開口部5の形成周壁6と
の間には、隙間20が形成されている。すなわち、台座
7に当接,裁置された枠体18外周面と、形成周壁6内
周面との間には、内部Aの熱が伝達するのを遮断するの
に必要十分な広さの隙間20が形成される。枠体18
は、このような隙間20が形成されるように、形成周壁
6や台座7に対し位置決めされており、もって処理室1
の内部Aの雰囲気に触れないことも合いまって、内部A
と外部Cとの温度差によって反り変形しないようにな
る。
【0030】又、枠体18は、遮蔽板17より曲げ強度
や圧縮強度等の強度面に優れた構造よりなり、この面か
らも温度差にて反り変形しないようになる。例えば、枠
体18は、前述したように略矩形短筒形状をなして立設
されると共に、肉厚が厚く設定されている。更に枠体1
8には、外面遮蔽板21が取付けられている。外面遮蔽
板21は平面的寸法が遮蔽板17とほぼ同寸法の平板状
をなすと共に、枠体18等と同種の樹脂製よりなり、枠
体18について、遮蔽板17とは反対側に、一体成形又
は接着により取付けられている。この外面遮蔽板21
は、枠体18を補強する機能と共に、窓蓋8の洗浄時に
枠体18と遮蔽板17で囲まれた中空空間22内に水洗
液が溜まらないようにする機能、見映え上の機能、等を
発揮する。
【0031】そして、枠体18と外表面遮蔽板21と遮
蔽板17とにより、中空空間22が形成されると共に、
中空空間22と外部C間を連通する通気孔23が付設さ
れている。図示例の通気孔23は、枠体18の4面の下
部中央に、それぞれ1個ずつ、計4個形成されている。
又、この外面遮蔽板21および遮蔽板17は、図示例で
は透明とされ、外部Cから内部Aが透視可能となってい
る。なお、このような図示例によらず、外面遮蔽板21
を設けないことも可能である。窓蓋8は、このようにな
っている。
【0032】《作動等について》本発明は、以上説明し
たように構成されている。そこで以下のようになる。こ
の窓蓋8が用いられる処理室1は、内部Aで処理対象に
液体Bを噴射して処理が行われる等、内部Aで液体Bを
用いた処理が行われる。例えば、この処理室1は、プリ
ント配線基板Dの製造工程で用いられ、その内部Aで、
プリント配線基板材Fに対し、現像液,腐食液,剥離
液,又は水洗液等の液体Bが、多数のスプレーノズル1
0から噴射されて、プリント配線基板材Fが表面処理さ
れる。処理室1の下部は、表面処理後に流下,回収され
た液体Bを貯留する液槽2となっている(図1,図3,
図4等を参照)。そして、プレーノズル10から噴射さ
れ,プリント配線基板材Fの外表面を流れ,液槽2に貯
留される液体Bが高温であるので、処理室1の内部A
も、外部Cより高温となっており、外部Cとの間で温度
差が生じ易い。更に、処理室1の内部Aは、このような
高温の液体Bから発生したなガス、臭気、蒸気、その他
の気体が充満している。
【0033】窓蓋8は、このような処理室1の上面や側
面に付設された窓や蓋よりなり、処理室1内部のメンテ
ナンス,点検,緊急処理,その他の作業用に使用され
る。そして、この窓蓋8は、処理室1に形成された開口
部5を閉鎖する遮蔽板17と、遮蔽板17の外周部に外
部Cに向け一体的に立設された枠体18とを、有してな
る(図1,図2を参照)。遮蔽板17は、処理室1内部
Aの雰囲気に直接触れており、処理室1内部Aと外部C
の温度差に起因して、その中央部を中心に反り変形する
が、枠体18は、遮蔽板17より強度面に優れた構造よ
りなると共に、処理室1内部Aの雰囲気に触れておら
ず、処理室1内部Aと外部Cの温度差によっては反り変
形しない。例えば、a.遮蔽板17と枠体18は同種の
樹脂製よりなるが、枠体18は、遮蔽板17より3倍程
度以上(代表的には5〜10倍程度)、肉厚が厚く設定
されている。b.更に枠体18は、略矩形短筒形状をな
して、立設されている。c.枠体18には、遮蔽板17
との間で中空空間22を形成するように、外面遮蔽板2
1が取付けられている。d.枠体18と開口部5の形成
周壁6との間には、隙間20が形成されている(特に図
1を参照)。
【0034】なお、窓蓋8の枠体18には、中空空間2
2と外部C間を連通する通気孔23が付設されており、
中空空間22内の熱膨張した空気や湿気等を外部Cに逃
がし、結露や遮蔽板17等のくもりを解消する。又、遮
蔽板17や外面遮蔽板21を透視可能としておくと、処
理室1内部の状況を外部から確認できる。そして、処理
室1側の開口部5の形成周壁6には、内フランジ状に台
座7が付設されており、窓蓋8は、周設介装されたパッ
キン16を介して、外周部が台座7に密接,保持され
る。なお、遮蔽板17の内面には、噴射されて飛散した
液体Bがパッキン16側へと拡散することを規制する拡
散防止板19が、周設付設されている。
【0035】《第1に全体的な反り変形回避について》
さてそこで、この窓蓋8にあっては、次の第1,第2,
第3のようになる。第1に、処理室1の内部Aが高温と
なり、外部Cとの温度差が生じても、窓蓋8の遮蔽板1
7の中央部が、全体の反りを吸収するかのように、部分
的に反り変形するに留まる。窓蓋8の外周部の枠体18
は、そのa.肉厚,b.形状,c.外面遮蔽板21等に
基づき、強度面に優れると共に、e.処理室1内の雰囲
気に触れず、d.隙間20も形成されており、処理室1
の内部Aの温度上昇の影響を受けない。もって、枠体1
8は反り変形しない。このように、この窓蓋18は、外
周部の枠体18が反り変形しないことにより、全体的な
反り変形・要部の反り変形の発生が、回避される。
【0036】このような反り変形回避について更に詳述
する。処理室1の内部Aが高温となると、→肉厚が例え
ば1mm程度と薄い樹脂製よりなる窓蓋8の遮蔽板17
は、その中央部が全体の反りを吸収するかのように、反
り変形し、→弓なりに湾曲する(図1の想像線表示を参
照)。これに対し、窓蓋8の枠体18は、a.肉厚が5
〜10mm程度と厚く、b.形状が横の遮蔽板17に対
し縦に立設されたフレーム構造の略矩形短筒形状をな
し、c.平板状の横の外面遮蔽板21が取付けられ補強
されている。もって枠体18は、曲げ強度や圧縮強度等
の強度面に優れた構造よりなる(特に図1を参照)。更
に枠体18は、e.台座7上に遮蔽板17の外周端部か
ら立設されており、処理室1内部Aの高温の雰囲気に触
れないよう、遮断された位置にあると共に、d.処理室
1側の形成周壁6との間に、隙間20がエリア的に形成
されており、処理室1内部Aの熱が窓蓋8側に伝達され
ないように遮断されている。もって枠体18は、処理室
1内部Aの温度上昇の影響をほとんど受けない。このよ
うなa.b.c.d.の強度面とd.e.の熱遮断とに
より、この窓蓋8は、要部たる枠体18が反り変形せ
ず、隣接する遮蔽板17外周部の反り変形もおさえられ
ている。
【0037】《第2にガス等の漏出防止について》第2
に、このように窓蓋8の全体的な反り変形、要部たる枠
体18の反り変形が回避されるので、処理室1側の開口
部5の台座7と、窓蓋8側の要部たる枠体18との間
に、反り変形に起因した隙間が発生することは回避され
る。処理室1の内部Aには、ガス、臭気、蒸気、その他
の気体が充満しているが、このように隙間が発生しない
ので、その外部Cへの漏出も防止される。
【0038】このような漏出防止について、更に詳述す
る。この窓蓋8にあっては、窓蓋8の外周部の枠体18
が、その自重も活用しつつ、図示例では遮蔽板17の外
周部やパッキン16等を介し、台座7に当接,密接,位
置決めされ、もって開口部5が密封,閉鎖されている。
そして、前述した第1のように処理室1の内部Aと外部
C間に温度差が生じた場合でも、枠体18そして図示例
では遮蔽板17外周部の反り変形が回避されるので、枠
体18や遮蔽板17外周部と、台座7との間の当接,密
接は、パッキン16を介しつつそのまま維持され、隙間
は発生しない。このように隙間は発生しないので、処理
室1内部Aの有害なガス,臭気,蒸気,その他の気体
が、外部Cに漏出することもない。なお、遮蔽板17に
付設された拡散防止板19により、噴射されて飛散した
液体Bが、パッキン16側へと拡散することが規制,遮
断されるので、この面からも、液体Bから発生するガ
ス,臭気,蒸気,その他の気体が、外部Cに漏出するこ
とは防止される。
【0039】第3に、この窓蓋8は、所定の遮蔽板17
と枠体18等を組み合わせてなり、簡単な構成により、
上述した全体的な反り変形の発生が、容易にしかも特に
難点を伴なうこともなく、実現される。すなわち、この
窓蓋8は、平板状の遮蔽板17,フレーム構造の枠体1
8,略フレーム構造の拡散防止板19,平板状の外面遮
蔽板21、等を組み合わせた構成よりなり、構成が反り
変形回避のため複雑化することもなく、簡単である。し
かも、窓蓋8の開閉操作も、ボルト等が使用されておら
ず容易である。更に、この窓蓋8は、熱可塑性樹脂等の
樹脂製よりなるので、素材の特性により液体Bの悪影響
を受けず、成形も容易であり、重量も比較的軽く、割れ
等の不安もない。更に、遮蔽板17や外面遮蔽板21等
を透視可能とした場合は、処理室1内部Aの状況を外部
Cから確認できる利点がある。又、拡散防止板19によ
り、飛散した液体Bによるパッキン16の劣化,硬化が
防止される利点もある。
【0040】
【発明の効果】本発明に係る処理室の窓蓋は、以上説明
したように、温度差により中央部を中心に反り変形する
遮蔽板と、強度面に優れた構造よりなり反り変形しない
枠体と、を備えた窓蓋を採用してなること、を特徴とす
る。例えば、この枠体は、処理室内の雰囲気には触れ
ず、遮蔽板より5〜10倍程度厚い肉厚よりなり、開口
部の形成周壁との間に隙間が形成され、略矩形短筒形状
をなして立設され、表面遮蔽板が取付けられている。
又、遮蔽板は、パッキンへの液体拡散を規制する拡散防
止板が付設され、透視可能となっている。そして、この
ような樹脂製の窓蓋は、処理室側の開口部の形成周壁の
台座に密接,保持せしめられており、このような窓蓋を
備えた処理室は、例えばプリント配線基板の製造工程で
用いられ、下部に液槽が形成されている。そこで本発明
は、次の効果を発揮する。
【0041】《第1の効果》第1に、温度差による全体
的な反り変形が、回避される。すなわち、この処理室
は、内部で液体を用いた処理が行われ、内部が外部より
高温となり温度差が生じやすい。そして、この窓蓋は、
遮蔽板の中央部がこのような温度差にて反り変形するも
のの、このような遮蔽板と一体をなす外周部の枠体は、
その肉厚,形状,外面遮蔽板、等により強度面に優れる
と共に、処理室内の雰囲気には触れず隙間も形成されて
おり、処理室の内部の温度上昇の影響を受けないので、
温度差によっては反り変形しない。このように、この窓
蓋にあっては、部分的に遮蔽板の中央部が反り変形する
に過ぎず、外周部の枠体が反り変形しないことにより、
全体的な反り変形・要部の反り変形は、回避される。つ
まり、前述したこの種従来例のように、窓蓋が全体的に
反り変形して、弓なりに湾曲してしまうことは、回避さ
れる。
【0042】第2に、もってガス,臭気,蒸気等の漏出
が防止される。上述したように、処理室の内部と外部に
温度差が生じても、窓蓋の全体的な反り変形,窓蓋要部
の反り変形,窓蓋外周部の枠体の反り変形は、回避され
る。そこで、処理室側の開口部の台座と、窓蓋要部たる
外周部との間に、反り変形に起因した隙間の発生も、回
避される。従って、前述したこの種従来例のように、全
体的に弓なりに湾曲する反り変形に起因し、隙間から、
処理室の内部に充満していた有害なガス,臭気,蒸気等
の気体が、外部に漏出することは防止される。なお、拡
散防止板の存在も、このような漏出防止に寄与する。
【0043】窓蓋は、1つの処理室について複数個設け
られており、例えばプリント配線基板の製造工程では、
各ラインを合計すると計100個程度にも及ぶほど多数
設けられていることに鑑み、このように、窓蓋からの気
体の漏出が防止される意義は、大なるものがある。さて
このように、多数の処理室からの作業中長時間にわた
り、有害なガス,臭気,蒸気等の漏出が防止されるの
で、作業者等の人体への安全性が向上し、作業環境が好
転すると共に、他の機械,設備等の腐食,損傷等も回避
される。
【0044】第3に、しかもこれらは、簡単容易に難点
もなく実現される。すなわち、この処理室の窓蓋は、所
定の遮蔽板,枠体,拡散防止板等を組み合わせた簡単な
構成よりなり、上述した第1,第2の点は、容易に実現
される。しかもこの窓蓋は、前述したボルトを使用した
従来例のように、窓蓋の開放に特に手間取ることもな
く、緊急処理作業に際しても素早い対応が可能である。
又、前述したガラスを用いた従来例のように、アルカリ
性の液体にて悪影響を受けることがなく、成形上の困難
もなく、重量も軽く、割れ易いこともなく、コスト面に
も優れている。このように、本発明では特に難点を伴う
ようなこともない。
【0045】なお、遮蔽板等を透視可能とした場合は、
処理室内部のコンベヤ,スプレーノズル,プリント配線
基板材等の処理対象,その他の機械,装置の状況を、外
部から確認できる利点がある。又、遮蔽板に拡散防止板
が付設されているので、噴射により飛散した液体が、パ
ッキン側へと拡散することが規制,遮断されるので、パ
ッキンの劣化,硬化が防止されるという利点もある。こ
のように、この種従来例に存した課題がすべて解決され
る等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるもの
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理室の窓蓋について、発明の実
施の形態の説明に供し、処理室の正断面図である。
【図2】同発明の実施の形態の要部の説明に供し、
(1)図は窓蓋の平面図、(2)図は窓蓋の正断面図、
(3)図は窓蓋の斜視図である。
【図3】処理室の正断面図である。
【図4】処理室の側断面図である。
【図5】(1)図は、処理室の側面図であり、(2)図
は、プリント配線基板(材)の平面説明図である。
【図6】従来例の処理室の窓蓋の正断面図であり、
(1)図は、外部との温度差が無く、反り変形していな
い場合を示し、(2)図は、外部との温度差が生じ、全
体的に反り変形した場合を示す。
【符号の説明】
1 処理室 2 液槽 3 窓蓋(従来例のもの) 4 ヒーター 5 開口部 6 形成周壁 7 台座 8 窓蓋(本発明のもの) 9 コンベヤ 10 スプレーノズル 11 ホイール 12 コンベヤシャフト 13 配管 14 ポンプ 15 スプレーパイプ 16 パッキン 17 遮蔽板 18 枠体 19 拡散防止板 20 隙間 21 外面遮蔽板 22 中空空間 23 通気孔 A 内部 B 液体 C 外部 D プリント配線基板 E 回路 F プリント配線基板材(処理対象) G 搬送方向 H 左右方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2001−298254(JP,A) 特開 平2−176752(JP,A) 実開 平5−33153(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23F 1/08 E06B 5/00 H05K 3/06 H05K 3/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理室の窓蓋であって、該処理室は、内
    部で液体を用いた処理が行われ、内部が外部より高温と
    なり外部と温度差が生じ易く、 該窓蓋は、該処理室に形成された開口部を閉鎖する遮蔽
    板と、該遮蔽板の外周部に一体的に立設された枠体と
    を、有してなり、 該枠体は、該遮蔽板より強度面に優れた構造よりなるこ
    と、を特徴とする処理室の窓蓋。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した処理室の窓蓋におい
    て、該窓蓋は、窓又は蓋よりなり、メンテナンス,点
    検,緊急処理,その他の作業用に使用され、該液体は高
    温であり、ガス,臭気,蒸気,その他の気体を発生し、 該遮蔽板は、該処理室内の雰囲気に直接触れると共に、
    内部と外部との温度差に起因して中央部を中心に反り変
    形し、該枠体は、外部に向け立設されており該処理室内
    の雰囲気に触れず、同温度差によっては反り変形しない
    こと、を特徴とする処理室の窓蓋。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載した処理室の窓蓋におい
    て、該遮蔽板と該枠体は、同種の樹脂製よりなると共
    に、該枠体は、該遮蔽板より3倍程度以上肉厚が厚く設
    定されており、かつ該枠体と該処理室側の開口部の形成
    周壁との間に、隙間が形成されていること、を特徴とす
    る処理室の窓蓋。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載した処理室の窓蓋におい
    て、該枠体は、略矩形短筒形状をなすと共に、該枠体に
    は、更に外表面遮蔽板が取付けられており、もって該枠
    体と該外表面遮蔽板と該遮蔽板とにより中空空間が形成
    されると共に、該中空空間と外部間を連通する通気孔が
    付設されていること、を特徴とする処理室の窓蓋。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載した処理室の窓蓋におい
    て、該処理室内部では、該液体を処理対象に噴射して処
    理が行われ、又、該処理室側の開口部の形成周壁には、
    内フランジ状に台座が付設されており、 該窓蓋は、周設介装されたパッキンを介し、外周部が該
    台座に密接,保持されていること、を特徴とする処理室
    の窓蓋。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載した処理室の窓蓋におい
    て、該遮蔽板の内面には、噴射された該液体が該パッキ
    ン側へと拡散することを規制する拡散防止板が、周設付
    設されていること、を特徴とする処理室の窓蓋。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載した処理室の窓蓋におい
    て、該遮蔽板は、透視可能であること、を特徴とする処
    理室の窓蓋。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載した処理室の窓蓋におい
    て、該処理室は、プリント配線基板の製造工程で用いら
    れ、 該処理室の内部では、プリント配線基板材に対し、現像
    液,腐食液,剥離液,又は水洗液等の該液体が多数のス
    プレーノズルから噴射されて、該プリント配線基板材が
    表面処理されると共に、該処理室の下部は、表面処理後
    に流下,回収された該液体を貯留する液槽となっている
    こと、を特徴とする処理室の窓蓋。
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