JP3300157B2 - 炭酸ガスパルスアーク溶接方法 - Google Patents

炭酸ガスパルスアーク溶接方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、消耗式電極を用いる炭
酸ガスパルスアーク溶接方法に関し、特には開先内溶接
等におけるアーク安定性の向上を図ることのできる炭酸
ガスパルスアーク溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭酸ガスパルスアーク溶接方法に係る技
術については、例えば特公平 2− 31630号公報に提案さ
れているものがある。この公報に提案されている炭酸ガ
スパルスアーク溶接方法は、従来のパルスアーク溶接方
法では、臨界電流値より高いピーク電流(IP)と臨界電流
値より低いベース電流(IB)を交互に繰り返すことによ
り、1パルス(周期)毎に1個の溶滴を消耗式電極から
離脱させることが行われ、このパルスに同期した溶滴移
行をさせるためにシールドガスとして比較的高価なアル
ゴン混合ガス(Ar+20%炭酸ガス)が最も一般的に使用
されていることから、これを改善して、安価な炭酸ガス
主体のシールドガスを用いることにしたもので、その場
合、シールドガスを炭酸ガス主体のガスとしただけで
は、従来のパルスアーク溶接ではピーク電流(IP)に入っ
てから溶滴の形成を行うため、ピーク電流(IP)の電磁ピ
ンチ力により溶滴にくびれを生じるまでの時間が長くな
り、その結果アーク力によって溶滴がワイヤ(消耗式電
極)方向に押し戻され、溶滴がワイヤから離脱できなく
なるので、さらにこれを改善して、ピーク電流(IP)の初
期からワイヤ先端に充分な大きさの溶滴を形成するよう
にしたものである。
【0003】すなわち、上記公報に提案されている炭酸
ガスパルスアーク溶接方法では、ピーク電流(IP)の初期
からワイヤ先端に充分な大きさの溶滴が形成されるた
め、ピーク電流(IP)の電磁ピンチ力による溶滴のくびれ
も早く生じ、アーク力によって溶滴がワイヤ方向に押し
戻される前に溶滴をワイヤから離脱させることができ、
炭酸ガスによる安価なパルスアーク溶接が行える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報に
提案されている炭酸ガスパルスアーク溶接方法では、溶
接電流波形として種々の波形が提案され、それなりに効
果を有するとされているが、ピーク電流(IP)の立上りが
急激なために、次の如き問題がある。
【0005】上記問題を、矩形波パルスを電流波形に用
いた炭酸ガスパルスアーク溶接において1パルス1溶滴
移行を考慮した場合の移行形態をもとに説明する。通常
は、溶接電流波形として図4に示す如き矩形波パルスを
用いても溶接は可能であるが、アークの反発力により、
溶滴の移行形態が不安定になりスパッタ発生頻度が多く
なる。すなわち、ベース電流期間(TB)中に安定形成され
た溶滴は、ピーク電流(IP)の急激な立上がりによってア
ークがまだ溶滴の下端部から発生しているうちに、アー
ク力の影響すなわち上向きの反発力を受ける。よって、
本来離脱するはずの溶滴が、スパッタとなって飛散する
場合が多く生じるようになる。
【0006】またさらに、開先内等においては、試験板
に発生する磁場の影響によって、アーク切れが発生しや
すくなる。これは、電流波形において、ピーク電流(IP)
とベース電流(IB)を交互に出力することで、磁場による
溶滴の力の受け方がピーク時とベース時で異なるため
に、特に低電流域であるベース電流期間(TB)中にアーク
の発生が妨げられる場合が生じるためと考えられるが、
矩形波パルスにおいては、溶滴が安定しにくいことも加
わってアーク切れの発生頻度が非常に多くなる。
【0007】本発明は、上記問題点を解消するためにな
したもので、その目的は、アークの上向きの反発力を軽
減し、スパッタ発生の少ない安定した溶滴移行を行い得
るとともに、開先内溶接時のアーク切れを抑制した炭酸
ガスパルスアーク溶接方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る炭酸ガスパルスアーク溶接方法は、炭
酸ガスからなるシールドガス中に消耗式電極を送給し、
この消耗式電極と被溶接物との間に、交互に繰り返すピ
ーク電流とベース電流を通電してアークを発生させて行
う炭酸ガスパルスアーク溶接方法において、前記交互に
繰り返すピーク電流とベース電流およびそれらの期間を
それぞれ、ピーク電流(IP)= 400〜600A、ピーク電流期
間(TP)= 3〜20ms、ベース電流(IB)=80〜250A、ベース
電流期間(TB)= 2〜40msの範囲とするとともに、なおか
つパルス電流波形初期のアップスロープ期間(TS)= 1.5
〜 4msの範囲に設定してパルスアーク溶接を行うもので
ある。
【0009】そして、上記炭酸ガスパルスアーク溶接方
法においては、ピーク電流(IP)が 450〜550A、ピーク電
流期間(TP)が 5〜15ms、ベース電流(IB)が 100〜200A、
ベース電流期間(TB)が 5〜30ms、およびアップスロープ
期間(TS)が 1.5〜 2.5msの各範囲内であってもよいし、
またはこれらの範囲内の組合せであってもよい。
【0010】また、上記炭酸ガスパルスアーク溶接方法
においては、消耗式電極として、その全重量に対し 1〜
20ppmのカリウム(K) を電極表面に付着せしめておよび
/または電極中に含有せしめてあるものを使用すること
ができる。またさらに、消耗式電極は、 C:0.01〜0.05
wt%、Si+Mn:1.5 〜3.0 wt%、Ti+Al:0.05〜0.40wt
%、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成のも
のであってもよい。
【0011】
【作用】本発明の炭酸ガスパルスアーク溶接方法におけ
る最重要要件は、図1に示すようにパルス電流波形にお
いて、ベース電流(IB)からピーク電流(IP)に至る過程の
ピーク電流(IP)の初期にアップスロープ期間(TS)= 1.5
〜 4msを設けることであって、これによって、急激なア
ークの発生を防ぎ、徐々にアークの発生点を溶滴の上方
部へ移動させてからパルス電流のピンチ力によって溶滴
を下向き、すなわち離脱の方向へ作用させることができ
るようになるためである。また開先内溶接等において
も、通常の矩形波パルスを適用する場合より磁場の影響
が軽減でき、アーク切れの発生頻度を減少させることが
できるためである。
【0012】以下、上記アップスロープ期間(TS)= 1.5
〜 4msを含め、パルス電流条件並びに消耗式電極の成分
範囲等の限定理由を説明する。
【0013】ピーク電流(IP)= 400〜600Aとする。IP=
400Aより小さいと、溶滴を離脱させる為の電磁ピンチ力
が弱まり、溶滴がさらに大粒化し、スパッタ発生の原因
となる。また、IP=600Aより大きいと、アークの反発力
が増大し、溶滴が移行せずにスパッタとなる現象が生じ
る。このため、IP= 400〜600Aとする。
【0014】ピーク電流期間(TP)= 3〜20msとする。TP
= 3msより短いと、安定移行形態である1パルス1溶滴
移行領域から外れやすくなり(nパルス1溶滴)、溶滴
移行が不安定となる。また、TP=20msより長いと、逆に
1パルスn溶滴となりやすいため、同様に溶滴移行が不
安定となる。このため、TP= 3〜20msとする。またさら
に、1パルス1溶滴移行領域となるパルス電流(IP)とTP
の関係において、IP= 450〜550A、かつTP= 5〜15msの
範囲内に設定すると、非常に安定した溶滴移行が得ら
れ、その結果アーク切れも減少させることができ好まし
い(図2参照)。
【0015】ベース電流(IB)=80〜250Aとする。IB=80
A より小さいと、アークの発生が困難になり、アーク切
れおよび短絡等が生じやすくなる。またアーク切れに関
してはIBを上げる程減少するが(図3a参照)、IB=25
0Aより大きくなると、本来ベース電流期間(TB)を設ける
理由であるベース電流期間中での溶滴の安定形成が行え
ず、ベース電流期間(TB)にもアークの影響を多く受ける
ことになり、パルスアーク溶接を行う意味がなくなって
しまうので好ましくない。このため、IB=80〜250Aとす
る。そして、より好ましくはIB= 100〜200Aとするとよ
く、この範囲では、溶滴移行が非常に安定し、なおかつ
アーク切れはほとんど生じなくなる。
【0016】ベース電流期間(TB)= 2〜40msとする。TB
= 2msより短いと、溶滴を形成するためのベース電流期
間が短いために、ピーク電流期間中に溶融された溶滴が
不安定な状態のまま次のパルスにかかるため、離脱が不
安定となり、その結果アーク切れが生じやすくなる。ま
た、TB=40msより長いと、低電流であるベース電流期間
が長いため、短絡およびアーク切れ等が生じやすくな
る。このため、TB= 2〜40msとする。そして、より好ま
しくはTB= 5〜30msとするとよく、この範囲では、安定
した溶滴移行が可能となり、なおかつアーク切れの頻度
も最小限に抑えることが可能となる(図3b参照)。
【0017】アップスロープ期間(TS)= 1.5〜 4msとす
る。TSが 1.5msより短いと、溶滴はピーク電流(IP)の急
激な立ち上がりによってアークがまだ溶滴の下端部から
発生しているうちに、アーク力の影響すなわち上向きの
反発力を受ける。よって、本来離脱するはずの溶滴が、
スパッタとなって飛散する場合が多く生じるようにな
る。また、溶接電流一定のもとでパルス条件を設定する
場合を考えると、TS= 0msでは、低電流のベース電流期
間(TB)がTSを設けた場合に比べて長くなるため、アーク
切れが発生しやすくなる。一方、TSが 4msより長いと、
特に大電流域において、ベース電流期間(TB)の維持が難
しくなり、アークの影響を多く受けることになるので、
溶滴の安定形成が行えない(図3c参照)。このため、
TS= 1.5〜 4msとする。そして、より好ましくはTS=
1.5〜 2.5msとするとよく、この範囲では、大電流域に
おいてもベース期間の維持は容易で、安定した溶滴移行
が得られ、かつアーク切れもほぼ抑制できる。
【0018】次に、本発明方法において、消耗式電極は
特に限定するものではないが、好ましいものとして、消
耗式電極の全重量に対し 1〜 20ppmのカリウム(K) を電
極表面に付着せしめておよび/または電極中に含有せし
めてあるものを使用するとよい。その理由は、消耗式電
極の全重量に対し、 K= 1〜 20ppmとなるように電極表
面に Kを付着および/または電極中に Kを含有する消耗
式電極を用いることで、アークの溶滴上方部への背上が
りが促進され、電磁ピンチ力が溶滴上部から発生しやす
くなり、結果的に磁気吹きによるアーク切れが減少す
る。しかし、 K=1ppm以下では、磁気吹きによるアーク
切れが増加し、前記作用効果が享受できず、一方、 K=
20ppmより多くなると、不均一性の問題が生じアークが
極端に這い上がる場合と這い上がりが悪くなる場合が交
互に生じる可能性があるため、溶滴移行が不安定にな
り、アーク切れにも影響する(図3d参照)。また消耗
式電極特に溶接用ワイヤの場合にワイヤを送給するため
のコンジット内部に Kを含有する成分が詰まり、送給性
に悪影響を及ぼすようになる。
【0019】なお、 Kの添加方法としては、ワイヤ溶製
時に添加するよりはワイヤ表面に付着させる方が、製造
上容易である。また、 K源としては、ステアリン酸カ
リ、あるいはピロリン酸カリメッキ液、シアン化カリ銅
メッキ液より供給されるものなどが上げられる。
【0020】またさらに、消耗式電極の好ましいものと
して、その成分組成が、 C:0.01〜0.05wt%、Si+Mn:
1.5 〜3.0 wt%、Ti+Al:0.05〜0.40wt%、残部Feおよ
び不可避的不純物からなるものがよい。以下にその限定
理由を説明する。
【0021】消耗式電極の C量が0.05wt%を超えると、
溶融池より発生するスパッタ(ガス放出)が増加する。
また C量が0.01wt%未満の場合は、溶着金属の強度の低
下につながるので適さない。よって、0.01〜0.05wt%の
範囲とするのが望ましい。
【0022】消耗式電極のSi+Mnが 1.5wt%未満の場
合、粘性の低下により、パルス電流通電時にアークの影
響を受けやすくなり、溶滴が安定しなくなるために、ア
ーク切れが発生しやすくなる。一方、 3.0wt%を超える
と、アーク切れを防止する効果は持続するものの、溶着
金属の靱性が低下し、消耗式電極が硬質になって線引き
性等に影響ができるので 1.5〜 3.0wt%の範囲とするの
が望ましい。
【0023】消耗式電極のTi+Alが0.05wt%未満の場
合、粘性の低下により、パルス電流通電時にアークの影
響を受けやすくなり、溶滴が安定しなくなるために、ア
ーク切れが発生しやすくなる。一方、0.40wt%を超える
と、アーク切れを防止する効果は持続するものの、溶着
金属の靱性が低下し、消耗式電極が硬質になって線引き
性等に影響ができるので0.05〜0.40wt%の範囲とするの
が望ましい。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0025】〔実施例1〕下記溶接条件および表1に示
す電流波形のパルス条件で、炭酸ガスパルスアーク溶接
を行った。この時のカリウムの量(K量)、アーク切れ
の評価結果および溶接状況(備考欄)を表1に併せて示
す。なお、表1の電流波形のパルス条件欄のIPはピーク
電流、TPはピーク電流期間、IBはベース電流、TBはベー
ス電流期間、TSはアップスロープ期間を示す。また、ア
ーク切れの評価は、◎:良好、○:やや良好、△:やや
不良、×:不良を意味する。 (溶接条件) 供試ワイヤ:JIS Z3312 YGW-11 シールドガス:炭酸ガス 試験板:SM490 突出し長さ:25mm 開先形状:V開先45° ギャップ: 0mm
【0026】
【表1】
【0027】表1によれば、 No.1、 No.2、 No.5、
No.6、 No.9、 No.10、 No.12、No.13、 No.14、 N
o.17、 No.18、 No.19、 No.20、 No.24は本発明例であ
るが、この中 No.2は、パルス条件は満たしているが、
Kを含まない分アークの溶滴上部への這い上がりが No.
1の実施例に比べて悪かった。また、 No.5, No.6共
に、ほぼ1パルス1溶滴移行ではあるが、 No.5につい
てはnパルス1溶滴移行が、また、 No.6については1
パルスn溶滴移行が、わずかに認められており、その結
果、本発明例ではあるがアーク切れ評価は若干悪い結果
となった。また、 No.14は、IBが230Aと高めなのでベー
ス電流期間中に溶滴がアークの影響を受けはじめるのが
確認されたが、本発明の条件内であり、特にアーク切れ
にたいしても問題はなかった。
【0028】次に、上記本発明例を除く比較例について
表1を元に説明する。 No.3:TSを設けていないために、溶滴がパルス電流の
アークの影響を受け溶滴移行が不安定となる。 No.4:TSを設けていない上に、 Kが0ppmなので、アー
クの這い上がりが悪く溶滴移行が不安定となる。 No.7:IPとTPが共に下限値以下であり、nパルス1溶
滴移行となる。 No.8:IPとTPが共に上限値以上であり、1パルスn溶
滴移行となる。 No.11:IBが下限値以下と低いため、ベース電流期間中
のアークの維持が難しくなる。 No.15:IBが上限値以上と高いため、ベース電流期間中
に溶滴がアークの影響を受け溶滴移行が不安定となる。 No.16:TBが非常に短いため、溶滴を安定させることが
できない。 No.21, 22:上記 No.3,4とほぼ同じ状態であって、T
Sが 0.5msではTSを設けた効果が認められなかった。 No.23:TSが 7msと長いため、1パルス1溶滴移行とは
ならず、どちらかといえば1パルス2溶滴移行に近くな
る。 No.25:K量が 25ppmと多いため、K量のワイヤ長手方
向のバラツキもあってアーク長さが変化しやすくなる。
またワイヤ表面に付着させた場合にワイヤの送給性が悪
くなり、アーク切れが生じやすくなる。
【0029】〔実施例2〕消耗式電極(ワイヤ)として
表2に示す成分組成のものを用い、電流波形のパルス条
件を上記表1の No.1の条件で、且つ下記溶接条件のも
とで、炭酸ガスパルスアーク溶接を行った。この時のア
ーク切れの評価結果を表1に併せて示す。 (溶接条件) シールドガス:炭酸ガス 試験板:SM490 (厚12mm×幅75mm×長さ 430mm) 突出し長さ:20mm 溶接姿勢:ビードオンプレート トーチ角:試験板に対し垂直
【0030】
【表2】 注)アーク切れ評価 ◎:良好、○:やや良好、△:や
や不良
【0031】上記表2によれば、本発明例の No.1,2
は共にアーク切れなどの不具合は全くなかったが、 No.
2は、 No.1に比較して溶融池でスパッタの発生が認め
られた。一方、比較例の No.3,4は、共に粘性が低い
ため溶滴がアークによって振れやすくなり、その結果、
溶滴離脱時のスパッタが認められ、またアーク切れが発
生した。
【0032】
【発明の効果】上述したように、本発明に係わる炭酸ガ
スパルスアーク溶接方法によれば、溶滴に対するアーク
の上向きの反発力が軽減でき、スパッタの発生頻度の少
ない安定した1パルス1溶滴移行ができる。また特に開
先内溶接時には、アーク切れを抑制した炭酸ガスパルス
アーク溶接ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の係わる炭酸ガスパルスアーク溶接方法
に適用される電流波形と溶滴移行の説明図である。
【図2】本発明の係わるピーク電流とピーク電流期間が
及ぼす溶滴の移行形態の説明図である。
【図3】本発明に係わるパルス条件の説明図であって、
aはベース電流(IB)とアーク切れ頻度との関係、bはベ
ース電流期間(TB)とアーク切れ頻度との関係、c はアッ
プスロープ期間(TS)とアーク切れ頻度との関係、dはカ
リウム( K)量とアーク切れ頻度との関係をそれぞれ示
す。
【図4】従来の矩形波パルスの電流波形と溶滴移行の説
明図である。
【符号の説明】
IP:ピーク電流 TP:ピーク電流期
間 IB:ベース電流 TB:ベース電流期
間 TS:アップスロープ期間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 輿石 房樹 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株式会社神戸製鋼所 藤沢事業所内 (72)発明者 伊藤 崇明 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株式会社神戸製鋼所 藤沢事業所内 (56)参考文献 特開 昭60−56486(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/173

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ガスからなるシールドガス中に消耗
    式電極を送給し、この消耗式電極と被溶接物との間に、
    交互に繰り返すピーク電流とベース電流を通電してアー
    クを発生させて行う炭酸ガスパルスアーク溶接方法にお
    いて、前記交互に繰り返すピーク電流とベース電流およ
    びそれらの期間をそれぞれ、ピーク電流(IP)= 400〜60
    0A、ピーク電流期間(TP)= 3〜20ms、ベース電流(IB)=
    80〜250A、ベース電流期間(TB)= 2〜40msの範囲とする
    とともに、なおかつパルス電流波形初期のアップスロー
    プ期間(TS)= 1.5〜 4msの範囲に設定してパルスアーク
    溶接を行うことを特徴とする炭酸ガスパルスアーク溶接
    方法。
  2. 【請求項2】 ピーク電流(IP)が 450〜550Aである請求
    項1記載の炭酸ガスパルスアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】 ピーク電流期間(TP)が 5〜15msである請
    求項1または請求項2記載の炭酸ガスパルスアーク溶接
    方法。
  4. 【請求項4】 ベース電流(IB)が 100〜200Aである請求
    項1、請求項2または請求項3記載の炭酸ガスパルスア
    ーク溶接方法。
  5. 【請求項5】 ベース電流期間(TB)が 5〜30msである請
    求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の炭酸
    ガスパルスアーク溶接方法。
  6. 【請求項6】 アップスロープ期間(TS)が 1.5〜 2.5ms
    である請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または
    請求項5記載の炭酸ガスパルスアーク溶接方法。
  7. 【請求項7】 消耗式電極が、その全重量に対し 1〜 2
    0ppmのカリウム(K)を電極表面に付着せしめておよび/
    または電極中に含有せしめてなるものである請求項1、
    請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項
    6記載の炭酸ガスパルスアーク溶接方法。
  8. 【請求項8】 消耗式電極が、 C:0.01〜0.05wt%、Si
    +Mn:1.5 〜3.0 wt%、Ti+Al:0.05〜0.40wt%、残部
    Feおよび不可避的不純物からなるものである請求項1、
    請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6ま
    たは請求項7記載の炭酸ガスパルスアーク溶接方法。
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