JP3298764B2 - 高精度歯車熱間転造方法 - Google Patents

高精度歯車熱間転造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高精度歯車熱間転造
方法に関する。本発明は、例えば車両における歯部を備
えたフライホィール、駆動系の歯車の製造に適用でき
る。
【0002】
【従来の技術】歯車は、円盤状の素材をホブ切削、シェ
ービング仕上を経て製造するのが一般的である。しかし
この方法では、歯車の外径や歯幅が大きくなると、生産
能率が悪化し、コストアップの要因となる。そこで産業
界では、歯車の歯部を熱間転造で創成する技術が開発さ
れている。この技術によれば、図7に示す様に、円盤状
をなす金属製の転造素材としてのブランク7を保持する
ブランク保持部100と、ブランク7の半径方向におい
てブランクを挟装する様に配置された対をなす第1ロー
ラダイス201及び第2ローラダイス202と、第1ロ
ーラダイス201を保持する第1ハウジング204と、
第2ローラダイス202を保持する第2ハウジング20
5とを備えたローラ押込装置206とを用い、そして、
第1ローラダイス201及び第2ローラダイス202を
歯創成方向に回転させると共に、熱間状態のブランク7
の外周部に対して第1ローラダイス201を矢印A1方
向に押込むと共に第2ローラダイス202を矢印A2方
向に押込むことにしている。
【0003】これによれば、熱間における転造加工に伴
い、ブランク7の外周部に歯部が創成される。この転造
によれば、ホブ切削・シェービング仕上方式に比較し
て、コスト低減に有利である。従って、特に切削加工す
ると生産性が低下し易い中モジュール〜大モジュールの
大径の歯車に、熱間転造方式を適用すれば、価格、生産
性などの面から有利である。
【0004】また歯車の高精度化を目指した熱間転造技
術として、図8に示す様に変位規制リング301、30
2を装備したものが知られている。このものによれば、
転造末期に第1ローラダイス201及び第2ローラダイ
ス202の押込量を微小量増して、ブランク7をサイジ
ング処理する。このものによれば、サイジング効果を確
保すべく、第1ローラダイス201及び第2ローラダイ
ス202を押し込むローラ押込装置206を押込方向つ
まり矢印A1、A2方向において高剛性化する必要があ
る。
【0005】また歯車の高精度化を目指した冷間転造技
術として、特開平4−89151号公報に開示されてい
る様に、2個一対の転造工具を個別のサーボモータで駆
動し、転造工具間の位相差によって生じるブランクの変
位量を変位センサで検出し、検出した変位信号に基づい
てサーボモータの駆動速度を個別に調整し、これにより
転造工具間の位相差を解消する技術が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで歯車に関する
JIS規格によれば、歯車の許容誤差における各等級が
規定されている。上記した熱間転造に基づいて歯車の歯
部を創成する方式によれば、高精度の歯車を得るには必
ずしも充分ではなく、例えば5級〜6級程度であり、こ
れが熱間転造方式において一般的には限界と考えられて
いた。
【0007】また従来ではローラ押込装置206の駆動
源としては、油圧を利用した油圧押込方向が採用されて
おり、油圧押込方式によれば、押込方向つまり矢印A
1、A2方向における第1ローラダイス201及び第2
ローラダイス202の押込同期精度の向上には限界があ
り、0.05mm程度の高精度の押込同期精度が事実上
得られない。
【0008】更には転造の際には、ブランク7の温度分
布のばらつき、ローラダイスとブランク7との間におけ
る潤滑状態のばらつき等に起因して、第1ローラダイス
201の押込荷重W Lと第2ローラダイス202の押込
荷重WR との間に、その加工荷重の数%程度のアンバラ
ンス力ΔWが生じやすい。このアンバランス力ΔWは、
高精度歯車を得るには不利である。このアンバランス力
ΔWは、双方の押込荷重の差の絶対値である|WR −W
L|で示される。
【0009】上記した図7や図8に示す方式によれば、
アンバランス力ΔWに対処すべく、ブランク保持部10
0は、押込方向つまり矢印A1、A2方向に容易に移動
可能である浮動方式が採用されている。このΔWに起因
してブランク保持部100の軸芯が押込方向つまり矢印
A1、A2方向において撓むため、撓みを回避するた
め、ブランク保持部100が押込方向つまり矢印A1、
A2方向において浮動式とされているものである。
【0010】この様にブランク保持部100を浮動式と
した技術によれば、図7においてブランク7の中心軸線
と第1ローラダイス201の中心軸線との間の距離をL
L とし、ブランク7の中心軸線と第2ローラダイス20
2の中心軸線との間の距離をLR とすると、転造の際
に、アンバランス力ΔWによりLL とLR とは厳密には
合致していないものである。そのため転造歯車の精度の
向上には限界があった。特に歯溝の振れに代表される真
円度の低下が誘発され易かった。
【0011】また上記した特開平4−89151号公報
に係る技術によれば、ブランク保持剛性は充分ではな
く、転造歯車の精度の向上には限界がある。この様に従
来の転造技術によれば、ブランク保持剛性及び押込同期
精度の双方を高水準で満たすものは、提示されていな
い。本発明は上記した実情に鑑みなされたものであり、
従来の転造技術では得られなかった高精度の歯部が得ら
れる高精度歯車熱間転造方法を提供することを課題とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は熱間転造歯車
について鋭意開発を進め、ブランク保持剛性及び第1、
第2ローラダイスの押込同期精度の双方を高水準で満た
すことにより、従来の転造技術では期待できなかった高
精度の歯部が得られることを知見し、本発明に係る高精
度歯車熱間転造方法を開発した。
【0013】本発明に係る高精度歯車熱間転造方法は、
半径方向外方に変位可能な係合爪を有すると共にブラン
クを挟持する互いに対向する第1ブランク保持部及び第
2ブランク保持部を有し、円盤状をなす金属製のブラン
クの中央孔の内壁面を半径方向外方に係合爪で付勢して
拘束すると共に係合爪を第1ブランク保持部及び第2ブ
ランク保持部で保持してブランクを保持すると共に、押
込方向におけるブランク保持部によるブランク保持剛性
を0.1mm/tonfよりも高剛性化したブランク保
持部と、ブランクの半径方向においてブランクを挟装す
る様に配置された対をなす第1ローラダイス及び第2ロ
ーラダイスと、第1ローラダイスをブランクに対して押
込可能および離間可能に保持する第1ハウジングと、第
2ローラダイスを第1ローラダイスと実質的に同期させ
てブランクに対して押込可能および離間可能に保持する
第2ハウジングと、回転に伴い第1ハウジングをブラン
クに対する押込方向及び離間方向に搬送する第1ボール
螺子軸と、回転に伴い第2ハウジングをブランクに対す
る押込方向及び離間方向に搬送する第2ボール螺子軸
と、第1ボール螺子軸を回転させるサーボモータと、第
2ボール螺子軸を回転させるサーボモータとを備えると
共に、第1ボール螺子軸及び第2ボール螺子軸を同期作
動させ、転造中において押込方向における該第1ローラ
ダイス及び該第2ローラダイスの押込同期精度を、0.
03mmよりも高い同期精度に設定したローラ押込装置
とを用い、第1ローラダイス及び第2ローラダイスを歯
部創成方向に回転させると共に、ブランク保持部に保持
した熱間状態のブランクの外周部に対して、押込方向に
おいて第1ローラダイス及び第2ローラダイスを押込同
期精度で同期させて押し込むことにより、ブランクの外
周部に歯部を高精度で創成するものである。
【0014】なお請求項1に係る方法においては、ブラ
ンク保持部によるブランク保持剛性は0.1mm/to
nfを含む剛性である。第1ローラダイス及び第2ロー
ラダイスの押込同期精度は、0.03mmを含む同期精
度である。請求項2に係る高精度歯車熱間転造方法は、
第1ハウジング及び第2ハウジングを平面コの字形状に
設定し、ローラ押込装置の押込方向における剛性を0.
03mm/tonfよりも高剛性化していることを特徴
とするものである。
【0015】請求項2に係る方法においては、ローラ押
込装置の押込方向における剛性は0.03mm/ton
fを含む剛性である。なおブランク保持剛性、押込同期
精度等の定義は実施例の記載に基づく。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は以下の形態で実施でき
る。 押込方向におけるブランク保持部によるブランク保持
剛性を0.01mm/tonf〜0.085mm/to
nfとする。 転造開始時から転造終了時までの間にわたり、押込方
向における第1ローラダイス及び第2ローラダイスの押
込同期精度を、0.005mm〜0.03mmとする。
【0017】第1ローラダイス及び第1ローラダイス
を備えたローラ押込装置の押込方向における剛性を、そ
れぞれ0.005mm/tonf〜0.033mm/t
onfとする。 転造開始時から転造終了時までの間において、第1ロ
ーラダイス及び第2ローラダイスのダイス位相差を、第
1ローラダイスの1回転あたり平均0.03°以内とす
る。
【0018】本発明に係る種々の試験の結果、転造歯
車の歯溝の振れは基本的には次の式で近似できることを
見出した。この基本式(Ea)に基づいて歯車を転造す
ることが好ましい。 転造歯車の歯溝の振れ(mm)≒〔押込方向におけるロ
ーラ押込装置の剛性の値+押込方向におけるブランク保
持部のブランク保持剛性の値〕(mm/tonf)×ア
ンバランス力ΔWの値(tonf)+押込同期精度の値
(mm)………(Ea) ここで次の(Eb)の式に従うことが好ましい。
【0019】〔押込方向におけるローラ押込装置の剛性
の値+押込方向におけるブランク保持部のブランク保持
剛性の値〕<0.09(mm/tonf)…………(E
b)
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。 (実施例に係る装置の構造)まず使用する装置を図1を
参照して説明する。図1は装置全体の平面図である。図
2は要部の正面図である。
【0021】図1において、被加工物保持部として機能
するブランク保持部1は、互いに対向する太径の第1保
持軸11aを備えた第1ブランク保持部11と、太径の
第2保持軸12aを備えた第2ブランク保持部12とで
構成されている。ブランク回転手段として機能する第1
モータ21が駆動すると、第1ブランク保持部11はこ
れの周方向(図2における矢印E1方向)に回転され
る。更に第1ブランク保持部11を移動するためのブラ
ンク搬送用の第2モータ22が装備されている。第2モ
ータ22が回転すると、ボール螺子軸24rがこれの周
方向に回転し、第1ブランク保持部11ひいてはブラン
ク7が矢印Y1、Y2方向に搬送される。
【0022】更に図1においてブランク回転手段として
機能する第3モータ23が駆動すると、伝達トルク可変
クラッチ26(例えばパウダークラッチ)を介して第2
ブランク保持部12はこれの周方向つまり第1ブランク
保持部11の回転方向と同じ方向に回転される。また図
9に示す第2ブランク保持部12搬送用の油圧シリンダ
29が駆動すると、第2ブランク保持部12はボールス
プライン26fにより第1ブランク保持部11に向けて
矢印Y3方向に移動され、第2ブランク保持部12と第
1ブランク保持部11とでブランク7を挟持して圧着で
きる。
【0023】第1ブランク保持部11の先方には、被加
工物としてのブランク7を誘導加熱するためのリング状
をなす加熱手段として機能する高周波加熱コイル28が
配置されている。高周波加熱コイル28によるブランク
の加熱状況は、放射温度計である温度センサ28cによ
り検出される。ローラ押込装置3は、ブランクの半径方
向においてブランク7を挟装する様に配置された対をな
す第1ローラ押込装置31と第2ローラ押込装置41と
で構成されている。第1ローラ押込装置31は、熱間加
工用の転造工具として機能する第1ローラダイス32
と、温間仕上加工用の仕上転造工具として機能する第1
仕上ローラダイス33と、第1ローラダイス32と第1
仕上ローラダイス33とを同軸的に直結する第1連結軸
34と、第1ローラダイス32及び第1仕上ローラダイ
ス33を回転可能に保持する第1ハウジング36とを備
えている。更に第1ローラ押込装置31は、第4モータ
24、第1ボール螺子軸37とを備えている。
【0024】図1において、同様に第2ローラ押込装置
41は、熱間加工用の転造工具として機能する第2ロー
ラダイス42と、温間仕上加工用の仕上転造工具として
機能する第2仕上ローラダイス43と、第2ローラダイ
ス42と第2仕上ローラダイス43とを同軸的に直結す
る第2連結軸44と、第2ローラダイス42及び第2仕
上ローラダイス43を回転可能に保持する第2ハウジン
グ46とを備えている。更に第2ローラ押込装置41
は、第5モータ25、第2ボール螺子軸47とを備えて
いる。
【0025】第1ハウジング36は、ブランク7に対し
て矢印X1方向に押込可能および矢印X2方向に離間可
能とされている。第2ハウジング46は、ブランク7に
対して矢印X1方向に押込可能および矢印X2方向に離
間可能とされている。図1から理解できる様に第1ハウ
ジング36は平面『コ』の字形状をなしており、互いに
対向する2個の厚肉の第1対向壁部36a、36bと、
第1対向壁部36a、36b同士をつなぐ厚肉の第1連
設壁部36cとを備えている。第2ハウジング46も同
様に平面『コ』の字形状をなしており、互いに対向する
2個の厚肉の第2対向壁部46a、46bと、第2対向
壁部46a、46b同士をつなぐ厚肉の第2連設壁部4
6cとを備えている。
【0026】図2から理解できる様に第1ハウジング3
6及び第2ハウジング46はそれぞれ、これらを支持す
る基台3aの案内部3bにそって矢印X1、X2方向に
移動可能に配置されている。さて図1において第4モー
タ24が駆動すると、その駆動力は第1減速機24iで
減速されて第1ボール螺子軸37に伝達され、第1ボー
ル螺子軸37がこれの周方向に回転し、これにより第1
ハウジング36が矢印X1方向に搬送され、ひいては第
1ハウジング36に保持されている第1ローラダイス3
2及び第1仕上ローラダイス33が同方向に搬送され、
ブランク7に押し込まれる。
【0027】またこの第4モータ24が逆動すると、第
1ボール螺子軸37がこれの周方向に逆回転し、これに
より第1ハウジング36が矢印X2方向に搬送され、第
1ローラダイス32及び第1仕上ローラダイス33が同
方向に搬送され、ブランク7から離間する。従って第4
モータ24、第1ボール螺子軸37は、第1ローラダイ
ス32及び第1仕上ローラダイス33をブランク7に押
し込む押込駆動手段として機能する。
【0028】同様に図1において第5モータ25が駆動
すると、その駆動力は第2減速機25iで減速されて第
2ボール螺子軸47に伝達され、第2ボール螺子軸47
がこれの周方向に回転し、これにより第2ハウジング4
6が矢印X1方向に搬送され、第2ローラダイス42及
び第2仕上ローラダイス43が同方向に搬送され、ブラ
ンク7に押し込まれる。
【0029】この第5モータ25が逆動すると、第2ボ
ール螺子軸47がこれの周方向に逆回転し、これにより
第2ハウジング46が矢印X2方向に搬送され、第2ロ
ーラダイス42及び第2仕上ローラダイス43が同方向
に搬送され、ブランク7から離間する。従って第5モー
タ25、第2ボール螺子軸47は、第2ローラダイス4
2及び第2仕上ローラダイス43をブランク7に押し込
む押込駆動手段として機能する。
【0030】第1ハウジング36に作用する負荷荷重は
第1ロードセル36rで検知され、第1ハウジング36
の移動量は第1リニヤスケール36kで検知される。第
2ハウジング46に作用する負荷荷重は第2ロードセル
46rで検知され、第2ハウジング46の移動量は第2
リニヤスケール46kで検知される。各検知信号は制御
系に入力される。
【0031】前記した第4モータ24及び第5モータ2
5はそれぞれサーボモータであり、制御系からの押込同
期指令信号や離間同期指令信号により制御され、第1ボ
ール螺子軸37及び第2ボール螺子軸47を同期して作
動させる。これにより第1ローラダイス32と第2ロー
ラダイス42とを同期させて矢印X1方向に同期させて
押し込んだり、矢印X2方向に同期させて離間させ得
る。
【0032】また図1において制御系からの駆動指令信
号によりサーボモータであるダイス回転用モータ5が駆
動すると、減速用の歯車50、歯車51を介して第1減
速機52が作動し、更に回転軸52e、第1等速ユニバ
ーサルジョイント53を介して第1連結軸34、第1仕
上ローラダイス33、第1ローラダイス32が共に回転
し、転造が行われる。
【0033】更に第1ダイス回転用モータ5の駆動力
は、位相合せ機構55x、第2減速機55、回転軸55
e、第2等速ユニバーサルジョイント56を介して第2
連結軸44、第2仕上ローラダイス43、第2ローラダ
イス42に伝達され、これらが回転し、転造が行われ
る。位相合せ機構55xは、第1ローラダイス32の加
工歯の周方向の位相と第2ローラダイス42の加工歯の
周方向の位相とを対応させるものであり、第1ローラダ
イス32と第2ローラダイス42とのダイス位相差を解
消させる機能をもつ。例えば、この位相合せ機構55x
は、放射方向にのびる多数個の係合歯が周方向に列設さ
れた一対の盤体55yと、一対の盤体55yを連結する
連結手段とで構成でき、盤体55yの周方向における係
合歯の噛み合い位置を調整することにより、ダイス位相
差を調整できる。
【0034】次に図3を参照してブランク保持部1の保
持機構について説明を加える。即ち、図3に示す様に第
1ブランク保持部11は、先端に向かうにつれて外径が
小さくなる第1円錐面11cを備えた剛性の高い第1保
持軸11aと、第1保持軸11aの挿通孔11dに摺動
可能に挿通された作動軸14と、作動軸14の先端の鍔
部14cに係合して第1保持軸11aの先端に配置され
たスリーブ状の締め体15と、半径方向外方つまり矢印
C1方向に変位可能な係合爪として機能するコレット1
6と、第1保持軸11aの先端面に図略のボルトで保持
されたリング状の押圧体17とを備えている。
【0035】図3において作動軸14が矢印D1方向に
作動すると、締め体15が同方向に変位し、これにより
締め体15の円錐面15hがコレット16の円錐面16
tを強圧し、コレット16が矢印C1方向に変位し、こ
れによりコレット16がブランク7の中央孔の内壁面7
1を矢印C1方向に付勢し、以て第1ブランク保持部1
1にブランクが保持される。
【0036】第2ブランク保持部12は、軸先端に形成
された圧入孔18と、軸先端に図略のボルトで保持され
たリング状の押圧体19とを備えている。圧入孔18に
は、若干のテーパをもつ案内壁面18kが形成されてい
る。そして、ブランク7を保持するために、第1ブラン
ク保持部11と第2ブランク保持部12とが軸長方向に
おいて相対的に接近すると、図3に示す様に第2ブラン
ク保持部12の第2保持軸12aの圧入孔18に締め体
15が圧入される。すると、締め体15の半径方向にお
ける変位が拘束される。よってコレット16がブランク
7を拘束する力が高剛性化し、第1ブランク保持部11
と第2ブランク保持部12とでブランク7が強固に保持
される。従って第1ブランク保持部11及び第2ブラン
ク保持部12で保持されたブランク7は、押込方向つま
り矢印X1、X2方向において実質的に浮動できず、固
定式とも呼ばれる非浮動式とされている。
【0037】(本装置における特性値)上記した構成が
採用されている本実施例に係る装置によれば、特性値は
次の様に設定されている。 ○ブランク保持剛性 本実施例によればブランク保持部1によるブランク保持
剛性は、押込方向つまり矢印X1方向において0.1m
m/tonfよりも高剛性に設定されている。具体的に
は0.01〜0.085mm/tonf、あるいは、
0.07〜0.08mm/tonfに設定できる。
【0038】ブランク保持部1によるブランク保持剛性
は次の様に定義される。図3においてアンバランス力Δ
W’によって、第1保持軸11a及び第2保持軸12a
が仮想線で示す様に撓んで、押込方向つまり矢印X1、
X2方向においてブランク7の変位ΔBS が生じたとす
る。なお理解容易のため、仮想線による撓みは誇張して
示されている。このときブランク保持剛性をEB とする
と、EB は次の式で規定される。
【0039】 EB ={ΔBS (mm)/ΔW’(tonf)} 上記した様にブランク保持剛性EB を0.1mm/to
nfよりも高剛性化するには、コレット16の外壁面と
ブランク7の中央孔の内壁面71との間のがたが極微小
あるいは零であること、第1ブランク保持部11の第1
保持軸11a、第2ブランク保持部12の第2保持軸1
2aの押込方向(矢印X1、X2方向)における剛性が
高いことなどが必要である。これらは、第1保持軸11
aや第2保持軸12aの大径化、第1ハウジング36や
第2ハウジング46の厚肉化、剛性を高める補強リブの
増設、更には剛性に富む材料を母材として選択すること
や、ハウジング移動のための摺動面のガタを油圧等のロ
ック機構により0にすることで達成できる。
【0040】○押込同期精度 第1ローラダイス32及び第2ローラダイス42の押込
同期精度は、第1ローラダイス32及び第2ローラダイ
ス42を同期させてブランク7に押し込むときに、双方
の押込量の転造中における平均偏差を意味する。本実施
例によれば、転造中において、押込方向つまり矢印X1
方向における第1ローラダイス32及び第2ローラダイ
ス42の押込同期精度ΔLは、0.03mmよりも高い
同期精度に設定されている。具体的には0.005〜
0.03mmに設定されている。本実施例によれば、第
1ローラダイス32や第2ローラダイス42の押込同期
精度ばかりでなく、第1仕上ローラダイス33及び第2
仕上ローラダイス43についても、同様な範囲とされて
いる。
【0041】押込同期精度ΔLは次の様に把握される。
即ち、図2においてブランク7に触れる第1ローラダイ
ス32の先端とブランク保持部1の中心軸線との間の距
離をLLS(mm)とし、ブランク7に触れる第2ローラ
ダイス42の先端とブランク保持部1の中心軸線との間
の距離をLRS(mm)とする。下添字の『S』はローラ
ダイスの先端を意味する。
【0042】このときある時刻における瞬間値としての
押込同期精度をΔL’とすると、ΔL’はその時刻にお
ける第1ローラダイス32の押込量と第2ローラダイス
42の押込量との差の絶対値、つまりΔL’=|LLS
RS|で示される。前述した様にΔL’は瞬間値であ
り、転造開始時から転造終了までの間に変動するため、
その瞬間値ΔL’の平均値を、本発明に係る押込同期精
度ΔLと規定する。
【0043】なお、前記したΔL’は、無負荷時におけ
るローラ押込装置3の本来の送り同期精度と、転造中に
おけるローラ押込装置3のたわみ量とに影響を受ける。
本実施例の様な高精度の押込同期精度ΔLを得るには、
油圧を利用した油圧押込方式では不充分と考えられる。
送り精度が充分ではないからである。図1に示した様に
精密なボール螺子軸37、47を用いるボール螺子方式
を採用すると共に、サーボモータであるモータ24、2
5でボール螺子軸37、47を同期作動制御するサーボ
制御方式との組合わせにより、第1ローラダイス32や
第2ローラダイス42を押込方向に送る送り精度を高め
ること、さらには次に述べる様にローラ押込装置3の剛
性を高剛性化することにより、前記した高精度の押込同
期精度を達成できる。
【0044】○ローラ押込装置3の剛性 本実施例によれば、ローラ押込装置3の剛性は、0.0
3mm/tonfよりも高剛性に設定されている。具体
的には0.005〜0.03mm/tonfに設定され
ている。ローラ押込装置3における剛性は次の様に定義
される。図4において無負荷時においてブランク保持部
1の中心軸線からローラダイス42の先端までの距離を
RSO (mm)とする。また荷重F(tonf)が作用
したときにおいてブランク保持部1の中心軸線からロー
ラダイス42の先端までの距離をLRSK (mm)とす
る。ここでローラ押込装置3の剛性をER で示すと、E
R (mm/tonf)={(LRSK −LRSO )/F}の
式で表される。なお図4において理解容易のため、仮想
線による撓みは誇張して示されている。
【0045】○転造中のダイス位相差 本実施例によれば、転造中において、第1ローラダイス
32、第2ローラダイス42のダイス位相差は、第1ロ
ーラダイス32の1回転あたり、第2ローラダイス42
の回転角の偏差(=転造中における平均偏差)が0.1
°以内に収まる様に設定される。望ましくは0.03°
以内が良い。これは、制御系によりサーボモータである
ダイス回転用モータ5を制御すること、前記した位相合
せ機構55xの調整、高性能な等速ユニバーサルジョイ
ント53、56と駆動系のバックラッシュ除去のための
ブレーキ装置の採用などにより達成できる。
【0046】即ち、転動歯車の歯数が奇数のときを例に
とってダイス位相差を説明すると、図5に示す様に第1
ローラダイス32の中心軸線をOL とし、第2ローラダ
イス42の中心軸線をOR とし、両者を結ぶOL −OR
線を規定する。転造中において第1ローラダイス32の
加工歯の1個の歯溝中心32tと相手方である第2ロー
ラダイス42の1個の加工歯の中心42rとの双方が、
転造中において常にO L −OR 線上に位置するとき、ダ
イス位相差は0°とされる。
【0047】ここで転造中のダイス位相差は、以下述べ
る転造前における第1ローラダイス32と第2ローラダ
イス42との初期位相差Δθと、回転系の速度むらΔθ
m との合計値に影響を受ける。転造前において、第1ロ
ーラダイス32の歯溝中心32tがOL −OR 線上にあ
るものの、第2ローラダイス42の加工歯の中心42r
がOL −OR 線上から角度Δθずれているとき、その角
度Δθは第1ローラダイス32と第2ローラダイス42
との初期位相差とされる。
【0048】また第1ローラダイス32が回転角θL
ん回転したとき、第2ローラダイス42の回転角θR
理想的にはθR =θL であるものの、回転系の速度むら
等の影響を受けて微視的レベルではθR =θL とは必ず
しもならない。一般的にはθ R =θL +Δθm ’とな
る。Δθ’m は回転系の速度むらを意味する。このΔ
θ’m はある時刻における瞬間値であり、回転中におい
て多少変動するため、転造開始から転造終了までの間に
おける平均値をΔθm とする。
【0049】なお転造歯車の歯数が偶数個のときには、
第1ローラダイス32の加工歯の歯溝と第2ローラダイ
ス42の加工歯の歯溝とが対向する配置とし、第1ロー
ラダイス32の1個の歯溝の歯溝中心と第2ローラダイ
ス42の1個の歯溝の歯溝中心との双方がOL −OR
上に位置するとき、ダイス位相差は0°とされる。 (実施例に係る転造方法)まず、図1において第1ブラ
ンク保持部11にブランク7を保持する。次に第2モー
タ22を駆動して、ブランク7を矢印Y1方向に搬送し
て高周波加熱コイル28内に配置すると共に、第1モー
タ21を駆動させてブランク7をその周方向(図2の矢
印E1方向)に回転させる。そしてブランク7を回転さ
せながら、ブランク7の外周部を高周波加熱コイル28
で誘導加熱する。900℃以上の温度に誘導加熱する領
域は、ブランク7の外周面から歯丈の約1.3倍程度の
深さとする。加熱時間は数秒〜30秒間程度である。
【0050】ブランク7が所定温度域(900°以上)
に加熱されたら、加熱終了から転造開始までの時間は5
秒以内とする。ブランク7の内部への伝熱を抑制してブ
ランクの中央域の温度上昇を軽減し、ブランク7におけ
る温度分布を良好にするためである。加熱が終了した
ら、第2モータ22によりボール螺子軸24rを作動さ
せブランク7を更に矢印Y1方向に搬送し、ブランク7
を加工位置R1に配置する。このとき第2ブランク保持
部12を矢印Y3方向に移動させて第2ブランク保持部
12と第1ブランク保持部11との双方により、図3に
示す形態でブランク7を挟持して圧着する。圧着力は、
第2ブランク保持部12を押圧する油圧シリンダ29に
より1tonf〜数tonfに確保される。
【0051】この状態では第3モータ23の駆動力でブ
ランク7はこれの周方向に回転される。このとき第1モ
ータ21の駆動はオフとする。よってブランク7は第3
モータ23のみで回転される。なおブランク7の目標回
転数NB は次の様に設定される。即ち、ローラダイス3
2、42の回転数をNR (150〜300rpm程度)
とし、ローラダイス32、42の歯数をZRHとし、ブラ
ンク7で形成される転造歯車の歯数をZB とすると、N
B =NR ×〔ZRH/ZB 〕となる。
【0052】また第1ローラダイス32及び第2ローラ
ダイス42を等速で同期回転させておく。そして、制御
系による押込同期指令信号により、第1ローラダイス3
2を矢印X1方向に移動してブランク7の外周部に押し
込むと共に、第2ローラダイス42を矢印X1方向に移
動してブランク7の外周部に互いに同期させて押し込む
(押込速度6mm/sec程度、すなわちブランク半回
転当たりモジュールの0.2倍程度の押込速度に設定)
と共に、押込先頭位置で2〜5secの保持を行う。こ
れによりブランク7の外周部には歯部の盛り上がりとサ
イジングが生じ、適数個の歯部が熱間転造で創成され
る。その後、制御系からの離間同期指令信号により第1
ローラダイス32及び第2ローラダイス42を矢印X2
方向に同期させて移動させてブランク7から離脱させ
る。
【0053】この様にして熱間転造が終了したら、第2
モータ22によりブランク7を更に矢印Y1方向に搬送
させ、ブランク7を仕上加工位置R2に配置する。この
状態で、制御系からの押込同期指令信号により、回転す
る第1仕上ローラダイス33を矢印X1方向に移動して
ブランク7に押し込むと共に、回転する第2仕上ローラ
ダイス43を矢印X1方向に移動してブランク7に互い
に同期させて押し込む。これによりブランク7の歯部が
温間領域(仕上転造の開始温度700〜終了温度400
°C)で仕上転造される。その後、第1仕上ローラダイ
ス33及び第2仕上ローラダイス43を矢印X2方向に
移動させてブランク7から離脱させる。
【0054】本実施例によれば第1ローラダイス32と
第2ローラダイス42との押込同期精度が高いので、図
2に示す様にブランク7の中心軸線と第1ローラダイス
32の中心軸線との間の距離をLL とし、ブランク7の
中心軸線と第2ローラダイス42の中心軸線との間の距
離をLR とすると、熱間転造の際に、LL とLR とは高
精度で合致している。従って転造した歯車における歯溝
の振れを低減できる。
【0055】更に図2から理解できる様に、転造加工を
終えた第1ローラダイス32に対面する様に、液状の潤
滑剤を噴射する第1噴射装置76が装備され、転造加工
を終えた第2ローラダイス42に対面する様に、黒鉛粉
末が含まれた液状の潤滑剤を噴射する第2噴射装置77
が装備されている。つまり転造位置から90°離れた位
置に第1噴射装置76及び第2噴射装置77はそれぞれ
装備されている。
【0056】そのため転造の際において、潤滑剤の塗布
タイミングの均一化、塗布時間の均一化が図られ、更に
第1ローラダイス32への潤滑剤塗布量と第2ローラダ
イス42への潤滑剤塗布量との均一化が図られている。
このためブランク7の潤滑性や温度分布の均一化や適正
化に有利であり、この意味においても高精度の転造に有
利である。
【0057】(具体例)具体的には鋼系のブランク7を
熱間状態である1000°Cまで加熱した後、4秒後に
熱間転造を開始した。このとき押込同期精度は0.02
5mm、ブランク保持剛性は0.05mm/tonf、
ローラ押込装置3の剛性は0.02mm/tonfであ
った。さらに第1ローラダイス32の押込荷重WL 、第
2ローラダイス42の押込荷重WR の最大値はそれぞれ
6tonf、左右荷重の差の絶対値であるアンバランス
力ΔWは0.1〜0.3tonfであった。
【0058】ちなみに、第1ローラダイス32及び第2
ローラダイス42の精度は1〜2級、歯数は73枚、回
転数は300rpm、転造時間は6秒であり、第1ロー
ラダイス32及び第2ローラダイス42のダイス位相差
は0.08°とし、転造中に黒鉛系潤滑剤を水に希釈し
た液状潤滑剤を第1ローラダイス32、第2ローラダイ
ス42に5cc/秒の量スプレー塗布した。
【0059】上記の様にして転造した歯車の精度を測定
したところ、第1ローラダイス32及び第2ローラダイ
ス42による熱間転造すれば、温間仕上転造しなくて
も、歯溝の振れは35〜50μm、累積ピッチ誤差は5
5〜75μmの範囲で3〜4級程度の歯車が得られた。
更に熱間転造に加えて、同条件で第1仕上ローラダイス
33及び第2仕上ローラダイス43を用いて、歯面圧下
量30μm、温間領域である500〜600°Cで5秒
間温間仕上を行った。この場合には、歯溝の振れは20
〜38μm、累積ピッチ誤差は35〜55μmに矯正さ
れ、2〜3級精度の歯車が得られた。
【0060】(試験結果)本発明の効果を確認する試験
を行った。この試験例では、外径が180mm、内径が
108mm、モジュールが2.4、材質がS58Cのリ
ングギヤを転造する場合において、第1ローラダイス3
2と第2ローラダイス42とによって熱間で歯車を転造
した場合であり、第1仕上ローラダイス33と第2仕上
ローラダイス43とによる温間転造は行われていない。
【0061】試験結果を図6に示す。図6の横軸はブラ
ンク保持部1によるブランク保持剛性を示す。横軸にお
いて右端に、ブランク保持部1が浮動式(押込方向に移
動容易な方式)である場合を示す。図6の縦軸は歯車の
精度を示す歯溝の振れを示す。歯溝の振れは、JIS規
格に基づき、玉等の接触片を歯溝を形成する歯面におい
てピッチ円付近に接触させたときの半径方向における変
位を意味する。図8の縦軸においてF1はJIS規格に
おける5級上限値を示し、F2は4級上限値を示す。*
は押込同期精度を意味する。
【0062】図6における特性線K1、K2は比較例を
示し、第1ローラダイス32及び第2ローラダイス42
の押込を油圧で行う油圧押込式と、非浮動式としたブラ
ンク保持部1とを採用した場合の試験結果である。特性
線K1は押込同期精度が0.1mmのときの試験結果、
特性線K2は押込同期精度が0.05mmのときの試験
結果を示す。
【0063】油圧を利用した油圧押込式によれば、0.
05mmよりも高い押込同期精度は得られないのが実情
である。そのため仮にブランク保持剛性を0.1mm/
tonfとかなり高剛性化したとしても、油圧押込方式
に係る特性線K1から理解できる様に、転造された歯車
における歯溝の振れは約140〜150μm程度と大き
くなり、5級上限値にも満たない。
【0064】また仮にブランク保持剛性を0.1mm/
tonfと高剛性化したとしても、押込同期精度が0.
05mmであれば、特性線K2から理解できる様に、歯
溝の振れは最良でも5級上限値程度にしかならない。一
方、図6における特性線M1、M2は、ブランク保持剛
性を前述の高剛性範囲に規定すると共に押込同期精度を
高精度化した本実施例の試験結果を示すものである。特
性線M1は押込同期精度が0.03mmの場合の試験結
果を示し、特性線M2は押込同期精度が0.01mmの
場合の試験結果を示す。特性線M1、M2から理解でき
る様に、ブランク保持剛性を0.1mm/tonfより
も高剛性領域つまり領域Maに設定すれば、歯溝の振れ
は、図6におけるF2で示される4級上限値よりもかな
り低減され、高精度が得られる。
【0065】更に押込同期精度を0.01mmと高精度
化すると共に、ブランク保持剛性を0.07mm/to
nfよりも高剛性領域つまり領域Mbに設定すれば、特
性線M2から理解できる様に、歯溝の振れは図6のF2
で示される4級上限値よりも更に低減され、従来の熱間
転造歯車では得られない高精度のものが得られる。この
様な図6に示す試験結果からしても、ブランク保持剛性
のみを高剛性化したとしても、高精度の歯車は得られな
いことがわかる。即ち、押込同期精度が充分に高精度で
ないと、加工が進行するにつれて荷重のアンバランス力
が比例的に増大し、ブランク保持部の振れ回りを押え込
めず、精度がでないものと考えられる。
【0066】従って転造加工においては、ブランク保持
剛性を高剛性化する他に、押込同期精度を高精度化する
ことが重要であることがわかる。なお図6に示す特性線
K3は他の比較例を示すものであり、第1ローラダイス
32及び第2ローラダイス42の押込を油圧で行う油圧
押込式とし、ブランク保持部1を浮動式とするものの、
押込最終端において変位規制(変位規制時のみ:押込同
期精度0.02mm)してサイジングする方式を採用す
る場合、即ち図8に示す形態の試験結果を示す。
【0067】この比較例によれば、図6に示す特性線K
3から理解できる様に、4〜5級程度の精度が得られる
ものの、ブランク保持剛性を0.1mm/tonfより
も高剛性化しても、精度を4級程度に安定的に納めるこ
とはできなかった。その理由は、変位規制範囲がサイジ
ング工程のみで0.1mm程度の微小押込範囲でしか行
われず、ローラ押込で生じたアンバランスを矯正するの
に限界があると考えられるからである。
【0068】なお浮動式のブランク保持部を採用した場
合には、図6における矢印K4で示す様に精度はせいぜ
い5級程度のものしか得られず、かつ、ばらつきも大き
い。なお、図6においては『歯溝の振れの大きさ』のみ
をデータとして示しているが、本実施例方法によれば、
歯溝の振ればかりか、歯車における累積ピッチ誤差、歯
形や歯すじ精度のばらつきも極めて小さくなり、総合精
度3級〜4級の大径歯車も成形可能である。
【0069】(付記)本発明は次の技術的思想としても
把握できる。 ○請求項1において、第1ローラダイスには第1仕上ロ
ーラダイスが同軸的に直結され、第1仕上ローラダイス
に対面する第2仕上ローラダイスが第2ローラダイスに
同軸的に直結されており、熱間転造後に、温間仕上転造
を行う方法。これによれば、熱間転造後に速やかに温間
仕上転造を行い得るため、温間仕上転造の開始温度や終
了温度の適正化に有利である。
【0070】○円盤状をなす金属製のブランクを保持す
るブランク保持部と、該ブランクの半径方向において該
ブランクを挟装する様に配置された対をなす第1ローラ
ダイス及び第2ローラダイスと、該第1ローラダイスを
該ブランクに対して押込可能および離間可能に保持する
第1ハウジングと、該第2ローラダイスを該第1ローラ
ダイスと実質的に同期させて該ブランクに対して押込可
能および離間可能に保持する第2ハウジングとを備えた
ローラ押込装置とを具備し、該ブランク保持部を該第1
ローラダイス及び第2ローラダイスの押込方向において
非浮動式とすると共に、押込方向における該ブランク保
持部によるブランク保持剛性を0.1mm/tonfよ
りも高剛性化し、転造中において押込方向における該第
1ローラダイス及び該第2ローラダイスの押込同期精度
を、0.03mmよりも高い同期精度に設定し、該第1
ローラダイス及び該第2ローラダイスを歯部創成方向に
回転させると共に、該ブランク保持部に保持した熱間状
態の該ブランクの外周部に対して、該押込方向において
該第1ローラダイス及び該第2ローラダイスを前記押込
同期精度で同期させて押し込むことにより、該ブランク
の外周部に歯部を高精度で創成する高精度歯車熱間転造
装置。
【0071】
【発明の効果】本発明方法によれば、ブランク保持剛性
を高剛性化すると共に、押込同期速度を高精度で同期さ
せるため、従来の転造方法では得られなかった高精度の
歯車を得ることができる。特に歯溝の振れに代表される
真円度の精度を向上させるのに有利である。
【0072】更に本発明方法によれば、更に温間領域で
仕上転造も加えれば、歯溝の振れ、累積ピッチ誤差にお
ける矯正効果も一層向上し、等級も1〜2級改善され
る。従って熱間転造と温間仕上転造とを組合わせれば、
JIS規格3級という転造歯車としては極めて高精度の
歯車の成形が可能となる。請求項2の方法によれば、ダ
イス位相差が良好であるため、歯車の精度を一層向上さ
せるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置全体を概略して示す平面図である。
【図2】装置の要部の正面図である。
【図3】ブランク保持部の内部構造を示す断面図であ
る。
【図4】ローラ押込装置の剛性を説明するための構成図
である。
【図5】ダイス位相差を説明するための構成図である。
【図6】ブランク保持剛性とローラダイスの押込同期精
度と歯溝の振れとの関係を示すグラフである。
【図7】従来技術に係る構成図である。
【図8】他の従来技術に係る構成図である。
【図9】図1のW3−W3線に沿う矢視図である。
【符号の説明】
図中、1はブランク保持部、11は第1ブランク保持
部、11aは第1保持軸、12は第1ブランク保持部、
12aは第1保持軸、3はローラ押込装置、31は第1
ローラ押込装置、32は第1ローラダイス、36は第1
ハウジング、41は第2ローラ押込装置、42は第2ロ
ーラダイス、46は第2ハウジング、7はブランクを示
す。
フロントページの続き (72)発明者 藤原 康之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 田中 利秋 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 土屋 能成 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 団野 敦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平9−66332(JP,A) 特開 平7−16684(JP,A) 特開 昭53−17550(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21H 5/00 - 5/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半径方向外方に変位可能な係合爪を有する
    と共にブランクを挟持する互いに対向する第1ブランク
    保持部及び第2ブランク保持部を有し、円盤状をなす金
    属製の該ブランクの中央孔の内壁面を半径方向外方に該
    係合爪で付勢して拘束すると共に該係合爪を該第1ブラ
    ンク保持部及び該第2ブランク保持部で保持して該ブラ
    ンクを保持すると共に、該押込方向におけるブランク保
    持剛性を0.1mm/tonfよりも高剛性化したブラ
    ンク保持部と、 該ブランクの半径方向において該ブランクを挟装する様
    に配置された対をなす第1ローラダイス及び第2ローラ
    ダイスと、該第1ローラダイスを該ブランクに対して押
    込可能および離間可能に保持する第1ハウジングと、該
    第2ローラダイスを該第1ローラダイスと実質的に同期
    させて該ブランクに対して押込可能および離間可能に保
    持する第2ハウジングと、回転に伴い該第1ハウジング
    を該ブランクに対する押込方向及び離間方向に搬送する
    第1ボール螺子軸と、回転に伴い該第2ハウジングを該
    ブランクに対する押込方向及び離間方向に搬送する第2
    ボール螺子軸と、該第1ボール螺子軸を回転させるサー
    ボモータと、該第2ボール螺子軸を回転させるサーボモ
    ータとを備えると共に、該第1ボール螺子軸及び該第2
    ボール螺子軸を同期作動させ、転造中において該押込方
    向における該第1ローラダイス及び該第2ローラダイス
    の押込同期精度を、0.03mmよりも高い同期精度に
    設定したローラ押込装置とを用い、 該第1ローラダイス及び該第2ローラダイスを歯部創成
    方向に回転させると共に、該ブランク保持部に保持した
    熱間状態の該ブランクの外周部に対して、該押込方向に
    おいて該第1ローラダイス及び該第2ローラダイスを前
    記押込同期精度で同期させて押し込むことにより、該ブ
    ランクの外周部に歯部を高精度で創成する高精度歯車熱
    間転造方法。
  2. 【請求項2】該第1ハウジング及び該第2ハウジングを
    平面コの字形状に設定し、該ローラ押込装置の押込方向
    における剛性を0.03mm/tonfよりも高剛性化
    ていることを特徴とする請求項1に記載の高精度歯車
    熱間転造方法。
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