JP3298609B2 - 無水フタル酸製造用触媒およびそれを用いてなる無水フタル酸の製造方法 - Google Patents

無水フタル酸製造用触媒およびそれを用いてなる無水フタル酸の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無水フタル酸製造
用触媒およびこの触媒を用いた無水フタル酸の製造方法
に関する。さらに詳しくは、オルトキシレンおよび/ま
たはナフタレンを分子状酸素または分子状酸素含有ガス
により気相接触酸化して無水フタル酸を製造するための
触媒およびこの触媒を用いた無水フタル酸の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オルトキシレンおよび/またはナ
フタレンを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより
気相接触酸化して無水フタル酸を製造する際には、粗生
成物を得た後、この粗生成物に対して熱処理を施したり
蒸留操作をしたりすることにより、品質の向上を図って
いる。この方法は簡便であり、また、容易に行うことが
できるため、この方法によって高品質の製品を多量かつ
安価に製造している。
【0003】また、生産性の向上手段として、原料ガス
濃度を上げる等して、高負荷反応条件下に酸化反応を行
うものがある。しかし、オルトキシレンおよび/または
ナフタレンから無水フタル酸を得る反応は著しい発熱を
伴うので、高濃度条件下ではホットスポット部における
温度上昇が激しく、過度の酸化反応が生じて、無水フタ
ル酸の収率が低下するとともに、触媒の劣化が著しく促
進されることになる。このような高負荷反応条件下での
使用に耐える触媒は、特公昭59−1378号公報など
に提案されている。
【0004】これらの触媒として、酸化バナジウムおよ
び酸化チタンを主成分とする触媒活性物質を不活性担体
に担持させた無水フタル酸製造用触媒は広く知られてお
り、例えば、特公昭47−15323号、特公昭49−
41036号、特公昭52−4538号、特開昭47−
5661号、特開昭49−89694号、特開昭57−
105241号の各公報に記載されている。これらの触
媒は、それぞれ特徴を有し、これらの中には、工業的に
使用されて実績を上げているものもある。
【0005】しかし、触媒性能の向上の余地はいまだ残
されており、製造装置の規模からして1パーセントの収
率の向上であってもその経済的効果は大きい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来公知の
触媒に比べて触媒性能が一段と改良され、無水フタル酸
の製造に好適な触媒およびそれを用いてなる無水フタル
酸の製造方法を提供しようとするものである。本発明の
1つの目的は、オルトキシレンおよび/またはナフタレ
ンの気相接触酸化により高選択率で無水フタル酸を製造
することのできる無水フタル酸製造用触媒およびそれを
用いてなる無水フタル酸の製造方法を提供することであ
る。
【0007】本発明の他の目的は、オルトキシレンおよ
び/またはナフタレンの気相接触酸化による無水フタル
酸の製造において、高負荷条件下、高温条件下において
も、高選択率で無水フタル酸の製造を可能とし、かつ、
耐久性に優れ、長期間にわたり無水フタル酸の安定した
生産を可能とする無水フタル酸製造用触媒およびそれを
用いてなる無水フタル酸の製造方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、バナジウム−チタン系触媒に触媒活性物
質の一成分としてアンチモンを導入するにあたり、その
出発原料として、従来のようにSb2 3 に代表される
ような3価のアンチモン化合物の代わりに、Sb2 5
に代表されるような5価のアンチモン化合物を使用する
ことによって、特に高温条件下において上記目的が達成
できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成
するに至った。
【0009】すなわち、第1の発明は、オルトキシレン
および/またはナフタレンを分子状酸素または分子状酸
素含有ガスにより気相接触酸化して無水フタル酸を製造
するための触媒において、この触媒が、酸化バナジウム
をV2 5 換算で1〜20重量部、比表面積が10〜6
0m2 /gのアナターゼ型酸化チタンをTiO2 換算で
99〜80重量部、さらに、これら2成分の合計100
重量部当たり、ニオブをNb2 5 換算で0.01〜1
重量部、カリウム、セシウム、ルビジウムおよびタリウ
ムから選ばれる少なくとも1種の元素をその酸化物換算
で0.05〜2重量部、リンをP2 5 換算で0.2〜
1.2重量部、および、アンチモン源としての5価のア
ンチモン化合物から得られるアンチモンをSb2 5
算で0.55〜5.5重量部含有する触媒活性物質を耐
熱性無機質担体に担持してなるものであることを特徴と
する無水フタル酸製造用触媒である。
【0010】第2の発明は、反応管内の触媒層が2層以
上に分割されていることにより複数個の反応帯が設けら
れているとともに、触媒活性を制御した複数個の触媒が
反応管の原料ガス導入入口部から出口部に向かって活性
がより高くなるように前記反応帯に配置されている反応
管内の前記触媒層にオルトキシレンおよび/またはナフ
タレンを分子状酸素または分子状酸素含有ガスと共に通
じて無水フタル酸を製造する方法において、前記触媒
が、酸化バナジウムをV2 5 換算で1〜20重量部、
比表面積が10〜60m2 /gのアナターゼ型酸化チタ
ンをTiO2 換算で99〜80重量部、さらに、これら
2成分の合計100重量部当たり、ニオブをNb2 5
換算で0.01〜1重量部、カリウム、セシウム、ルビ
ジウムおよびタリウムから選ばれる少なくとも1種の元
素をその酸化物換算で0.05〜2重量部、リンをP2
5 換算で0.2〜1.2重量部、および、アンチモン
源としての5価のアンチモン化合物から得られるアンチ
モンをSb2 5 換算で0.55〜5.5重量部含有す
る触媒活性物質を耐熱性無機質担体に担持してなるもの
であることを特徴とする無水フタル酸の製造方法であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明に係る触媒の特徴は、触媒活性物質の一成
分であるアンチモン源として、Sb2 5 で代表される
ような5価のアンチモン化合物が使用されることであ
る。アンチモン成分に関しては、Sb2 5 の他、5価
のアンチモンを含む化合物から適宜選択することができ
る。このアンチモン化合物の使用量は、酸化バナジウム
とアナターゼ型酸化チタンとの2成分の合計を100重
量部としたとき、Sb2 5 換算で0.55〜5.5重
量部、好ましくは1.5〜3.5重量である。このアン
チモン含有量が多すぎても少なすぎても本発明の目的を
達成することができない。
【0012】5価のアンチモンを含む化合物としては、
平均粒径1〜40μmのものが好ましく、さらに好まし
くは5〜30μmである。平均粒径が40μmより大き
くなると、触媒化した場合に活性のふれが大きくなる。
つまり、最適温度を一定にすることが難しくなる。これ
は、触媒活性層の中でアンチモン粒子の偏在が起こるた
めと考えられる。また、平均粒径が1μmより小さくな
ると、触媒の活性が1μm以上の粒子を用いた場合より
高くなり、5価のアンチモンを加えた効果が低くなる。
これは、5価のアンチモンを含む化合物自身の表面での
反応活性が高いためと考えられる(平均粒径は、触媒調
製前に透過型電子顕微鏡により求められる)。
【0013】本発明の特徴の一つは、触媒活性物質の一
成分として、比表面積が10〜60m2 /g、好ましく
は15〜40m2 /gのアナターゼ型酸化チタンを使用
することである。このアナターゼ型酸化チタンの比表面
積が10m2 /g未満では、得られる触媒の活性が低
く、一方、60m2 /gを超えると、触媒の耐久性が悪
くなり、短時間で収率が低下して好ましくない(比表面
積はBET法により測定される)。
【0014】アナターゼ型酸化チタンの製造方法として
は、「溶液法」、「固化法」等があるが、好ましくは
「溶液法」である。この溶液法を具体的に示すと、イル
メナイト(FeOTiO2 )を、70〜80%程度の硫
酸で処理し、次いで150℃近辺で加圧下に加水分解を
行い、さらに焼成を行うことによってアナターゼ型酸化
チタンが得られる。得られたアナターゼ型酸化チタン
は、多孔性でありながら機械的強度が高く、通常のボー
ルミルなどの機械的粉砕ではつぶれず、「一次粒子」と
みなし得るほどの強度を有し、さらに、0.4〜0.7
μmの範囲の大きな平均粒子径を有するにも拘らず、1
0〜60m2 /gという高い比表面積を有するものであ
る。従って、この粒子は、本質的には小さな径をもつ一
次粒子の会合体であると推定される(平均粒子径は透過
型電子顕微鏡を用いて測定される)。使用に際しては、
この粒子のうち、実質的に球状であるものが好適に用い
られる。
【0015】また、「固化法」は、「溶液法」に比べて
高い硫酸濃度で行われるため、使用に際し若干不便であ
る。なお、このアナターゼ型酸化チタンには、原料鉱石
との関係から、鉄、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ク
ロム、カルシウム、鉛などが混入する場合もあるが、酸
化チタンに対して酸化物として0.5重量%以下であれ
ば、触媒性能上、特に問題はない。
【0016】本発明で使用する耐熱性無機質担体は、触
媒焼成温度および無水フタル酸を製造する際の触媒温度
よりも充分高い温度で長時間安定であり、また、触媒活
性物質と反応しないことが必要である。このような耐熱
性無機質担体の例としては、シリコンカーバイド(Si
C)、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどを
使用することができる。
【0017】これらのうちでも、シリコンカーバイド担
体が好ましく、このシリコンカーバイドに含まれるアル
ミナ(Al2 3 )含量は、20重量%以下が好まし
く、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好適な
ものとしては、純度98%以上のシリコンカーバイドの
粉末を自焼結させて得られるシリコンカーバイド担体を
挙げることができる。また、シリコンカーバイド担体の
見掛け気孔率は、10%以上が好ましく、さらに好まし
くは15〜45%である。
【0018】上記耐熱性無機質担体の形状については、
特に制限はないが、球状または円柱状のものが取扱う上
で好ましく、その平均直径が2〜15mm程度のものが
好適に使用される。この触媒を調製する際の、バナジウ
ム、ニオブ、カリウム、セシウム、ルビジウム、タリウ
ムおよびリンの各成分の出発原料としては、V2 5
Nb2 5、K2 O、Cs2 O、Rb2 O、Tl2 O、
2 5 などの酸化物の他に、各元素のアンモニウム
塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、有機酸塩、水酸化
物など、加熱によって上記のような酸化物に変化する化
合物から適宜選択することができる。
【0019】カリウム、セシウム、ルビジウムおよびタ
リウムの合計使用量は、酸化バナジウムとアナターゼ型
酸化チタンとの2成分の合計100重量部に対して、上
記酸化物換算で0.05〜2重量部であることが好まし
い。リンについてはP2 5換算で0.2〜1.2重量
部、ニオブについてはNb2 5 換算で0.01〜1重
量部であることがそれぞれ好ましい。これらの含有量が
多すぎても少なすぎても本発明の目的を達成することが
できない。
【0020】触媒活性物質の耐熱性無機質担体に対する
担持量は、使用される担体の大きさによって異なるが、
通常、担体100cc当たり3〜20gとするのが好適で
ある。上記担体に触媒活性物質を担持して得られる触媒
活性物質層は、0.15〜0.45μmの直径を有する
細孔が占める合計細孔容積が10μm以下の直径を有す
る細孔の占める全細孔容積の50%以上を占めるような
表面特性を有することが好ましく、0.15〜0.45
μmの直径を有する細孔が占める合計細孔容積が10μ
m以下の直径を有する細孔が占める全細孔容積の75%
以上を占めるような表面特性を有することがより好まし
い(細孔容積は、水銀圧入式ポロシメーターによって測
定した細孔径分布から求められる)。このような表面特
性を有する触媒活性物質層を設けることによって、本発
明の目的をさらに効果的に達成することができるからで
ある。
【0021】本発明の触媒調製時における、上記触媒活
性物質に耐熱性無機質担体に担持する方法については特
に制限がなく、一般に用いられている方法によって担持
することができる。特に、外部から加熱可能な回転ドラ
ムに一定量の担体を入れ、これを200〜300℃に保
ちつつ触媒活性物質を含有するスラリーを噴霧して触媒
活性物質を担持する方法が最も簡便である。
【0022】上記のような表面特性を有する触媒活性物
質層を設ける方法を具体的に示す。まず、スラリーを調
製するに際して、アナターゼ型酸化チタンの一次粒子の
粒子の粒径が0.005〜0.05μmであるアナター
ゼ型酸化チタンを使用する場合、スラリー濃度を5〜2
5重量%、好ましくは10〜20重量%に、また一次粒
子の粒径が0.05μmより大きいアナターゼ型酸化チ
タンを使用する場合にはスラリー濃度を10〜40重量
%、好ましくは15〜25重量%に調製し、乳化機によ
り十分均一にし、次いで、200〜300℃に保った回
転ドラムに耐熱性無機質担体を入れ、回転させながら前
述のスラリーを噴霧し、触媒活性物質が所定の担持量と
なったのち、450〜700℃、好ましくは500〜6
00℃の温度で空気流通化2〜10時間程度焼成して、
本発明の触媒が得られる。
【0023】本発明の触媒を用いたオルトキシレンおよ
び/またはナフタレンの酸化反応は、通常の反応条件下
に実施することができる。例えば、内径が5〜40m
m、好ましくは15〜27mmの反応管に触媒を1〜5
m、好ましくは1.5〜3mの高さに充填し、この反応
管を熱媒体によって340〜420℃、好ましくは36
0〜400℃の温度に保持し、この反応管に原料のオル
トキシレンおよび/またはナフタレンを空気または5〜
21容量%の分子状酸素を含有するガスとともに、空気
の場合は5〜70g/Nm3 (空気)、また、分子状酸
素含有ガスの場合は5〜110g/Nm3 (分子状酸素
含有ガス)の割合で、空間速度1000〜6000hr
-1(STP)、好ましくは1000〜4000hr
-1(STP)で導入する。
【0024】第2の発明は、反応管内の触媒層を2層以
上に分割して複数個の反応帯を設け、これら反応帯に触
媒活性を制御した複数個の触媒を、反応管の原料ガス導
入入口から出口部に向かって、より活性が高くなるよう
に配置することにより、本発明の触媒を有利に使用する
方法に関するものである。好ましくは、反応管を2層に
分けて入口部(全触媒層高の30〜70%となる層高)
に所定の触媒(前段触媒)を、出口部の残りの層高に前
段触媒に比べて活性がより高い触媒(後段触媒)を充填
してオルトキシレンおよび/またはナフタレンの酸化反
応に供するものである。
【0025】本発明の触媒を例にして具体的に説明すれ
ば、触媒活性物質のうち、リン成分を酸化物換算で0.
2〜0.4重量部使用することによって前段触媒を調製
することができ、また、リン成分を酸化物換算で0.4
〜1.2重量部使用することによって前段触媒に比べて
活性のより高い後段触媒を調製することができる。ま
た、カリウム、セシウム、ルビジウムおよびタリウムか
ら選ばれる少なくとも1種の元素の種類、量を変更する
ことによっても同様に、触媒活性を制御することができ
る。
【0026】さらに、本発明の触媒に銀成分を加えた
を併用して活性の制御された触媒充填層を設けること
もできる。
【0027】
【作用】上記のような条件下に酸化反応を行うことによ
り、触媒層内のホットスポットにおける蓄熱が抑制さ
れ、これによって熱負荷による触媒の劣化が防止され、
工業的に長期間安定した運転を実施することができる。
また、ホットスポットにおける過度の酸化反応が防止さ
れ、選択率が向上するなど、種々の効果が得られる。
【0028】このような効果は、特に、オルトキシレン
および/またはナフタレンのガス濃度を上げるなどの高
負荷反応条件下において顕著であり、これによって生産
性を著しく向上させることができる。触媒活性物質の一
成分であるアンチモン源として、5価のアンチモンを含
む化合物を用いると、最終の触媒の最適な反応温度は、
3価のアンチモンを含む化合物を用いた場合より高温に
なり、反応器の熱除去能力の点から高温条件下での運転
に制約されるプラントに適した触媒となる。これは熱交
換器における単位時間当たりの交換熱流量dQは高温流
体と低温流体の温度差ΔTに比例するためである。熱交
換の基本式としてはdQ=UdAΔT、U:総括伝熱係
数、A:伝熱面積(化学工学便覧・丸善より)で表され
る。つまり、高温反応の方がプラントの熱除去能力が高
くなるということである。
【0029】
【実施例】以下、実施例と比較例を挙げて本発明をさら
に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定さ
れない。 −実施例1−触媒の調製 イルメナイトに80%の濃硫酸を混合し、充分反応を行
った後、水で希釈して硫酸チタン水溶液を得た。これに
還元剤として鉄片を加え、イルメナイト中の鉄分を第一
鉄イオンに還元した後、冷却して硫酸第一鉄として分離
した。このようにして得られた硫酸チタン水溶液に15
0℃に加熱した水蒸気を吹き込み、含水酸化チタンを沈
澱させた。これを水洗、酸洗および二次水洗した後、8
00℃の温度で空気流通下に4時間焼成した。これをジ
ェット気流粉砕処理し、平均粒子径約0.5μmで比表
面積22m2 /gのアナターゼ型酸化チタン(以下、単
に「酸化チタン」という場合もある)を得た。
【0030】脱イオン水6400ccに蓚酸200gを溶
解して蓚酸水溶液とし、これにメタバナジン酸アンモニ
ウム47.24g、第一リン酸アンモニウム5.95
g、塩化ニオブ18.67g、硫酸セシウム8.25g
および五酸化アンチモン(平均粒子径20μm)45.
91gを添加し充分攪拌した。このようにして得られた
溶液に酸化チタン1800gを加え、乳化機により攪拌
して、触媒スラリー液を調製した。
【0031】外部から加熱できる直径35cm、長さ8
0cmのステンレス製回転炉中に直径6mmの球状で、
見掛け気孔率35%のSiC自焼結担体2000ccを入
れ、200〜250℃に予熱しておき、炉を回転させな
がら担体上に上記触媒スラリー液を噴霧して、触媒活性
物質を8g/100cc(担体)の割合で担持させた。そ
の後、空気を流通させながら電気炉中で580℃の温度
で6時間焼成して触媒(A)を調製した。
【0032】触媒(A)の組成および触媒活性物質層に
おける、0.15〜0.45μmの直径を有する細孔が
占める合計細孔容積の、10μm以下の細孔が占める全
細孔容積に対する割合(容量%)、ならびに、触媒の調
製に使用した酸化チタンの平均粒子径および比表面積
(以下、これらを「触媒特性」と総称する)を表1に示
す。なお、0.15〜0.45μmの直径を有する細孔
が占める容積の全細孔容積に対する割合は、水銀圧入式
ポロシメーターによる細孔分布の測定結果より求めた。
【0033】上記触媒(A)の調製において、第一リン
酸アンモニウムの添加量を23.82gに変更した以外
は上記触媒(A)の調製法と同様にして触媒(B)を調
製した。触媒(B)の触媒特性を表1に示す。なお、触
媒(B)中のリン成分含量は触媒(A)のそれよりも多
く、触媒(B)の活性は触媒(A)の活性よりも高い。
【0034】酸化反応 390℃の温度に保たれた溶融塩浴中に浸した内径25
mm、長さ3mの鉄製反応管に、まず触媒(B)を後段
触媒として原料ガス出口部に1mの高さに充填し、次い
で触媒(A)を前段触媒として入口部に1.5mの高さ
に充填した。オルトキシレンを酸素10容量%、水蒸気
10容量%および窒素80容量%よりなる合成ガスに対
して85g/Nm3 (合成ガス)の割合で混合した混合
ガスを上記反応管の上部入口から空間速度(SV)25
00hr-1(STP)で導入して、オルトキシレンの酸
化反応を行った。
【0035】反応初期、反応開始から3ケ月後の無水フ
タル酸の収率を測定し、その結果を表2に示した。な
お、オルトキシレンの転化率は、ほぼ100%であり、
上記収率は、無水フタル酸の選択率とみなし得るもので
ある。 −比較例1− 実施例1(触媒の調製)において、五酸化アンチモン4
5.91gの代わりに三酸化アンチモン36.73gを
使用し、また硫酸セシウムの添加量を10.61gとし
た以外は実施例1(触媒の調製)と同様に触媒(C)、
(D)を調製し、以下、実施例1(酸化反応)と同様に
酸化反応を行った。触媒(C)、(D)の触媒特性を表
1に、また、酸化反応の結果を表2に示す。
【0036】−実施例2−触媒の調製 イルメナイトに80%の濃硫酸を混合し、充分反応を行
った後、水で希釈して硫酸チタン水溶液とした。これに
還元剤として鉄片を加え、イルメナイト中の鉄分を第一
鉄イオンに還元した後、冷却して硫酸第一鉄として析出
分離した。このようにして得られた硫酸チタン水溶液
に、150℃に加熱された水蒸気を吹き込み、含水酸化
チタンを沈澱させた。これを水洗、酸洗および二次水洗
した後、700℃の温度で空気流通下4時間焼成した。
これをジェット気流粉砕処理し、平均粒子径約0.45
μmでBET法で測定した比表面積33m2 /gのアナ
ターゼ型酸化チタンを得た。
【0037】脱イオン水6400ccに蓚酸900gを溶
解させて蓚酸水溶液とし、この水溶液に、メタバナジン
酸アンモニウム408.50g、第一リン酸アンモニウ
ム10.30g、塩化ニオブ17.22g、硫酸セシウ
ム4.08g、硫酸カリウム3.92gおよび五酸化ア
ンチモン(平均粒子径20μm)52.93gを添加し
充分攪拌した。このようにして得られた溶液に上記酸化
チタン1800gを加え、乳化機により攪拌して触媒ス
ラリーを調製した。
【0038】上記スラリーを用い、実施例1と同様にし
て触媒活性物質を担持した。担持率は8.0g/100
cc(担体)であった。その後、空気を流通させながら電
気炉中560℃の温度で6時間焼成して、触媒(E)を
調製した。上記触媒(E)の調製において、第一リン酸
アンモニウムの使用量を30.89gとした以外は触媒
(E)の調製と同様にして触媒(F)を調製した。
【0039】酸化反応 395℃に保たれた溶融塩浴中に浸した内径25mm、
長さ3mの鉄製反応管に、まず、後段触媒として触媒
(F)を1mの高さに充填し、次いで、前段触媒として
触媒(E)を1.5mの高さに充填し、反応管上部から
ナフタレンを、酸素10容量%、水蒸気10容量%およ
び窒素80容量%からなる合成ガスに対して85g/N
3 (合成ガス)の割合で混合したガスを空間速度25
00hr-1(STP)で導入して、酸化反応を行った。
結果を表2に示す。
【0040】−比較例2− 実施例2(触媒の調製)において、五酸化アンチモン5
2.93gの代わりに三酸化アンチモン42.34gを
使用し、また、硫酸セシウムの添加量を5.44gとし
た以外は触媒(E)、(F)の調製と同様にして触媒
(G)、(H)を調製し、以下、実施例2(酸化反応)
と同様にして反応を行った。触媒(G)、(H)の触媒
特性を表1に、また、酸化反応の結果を表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明の触媒を使用することによって、
オルトキシレンおよび/またはナフタレンから高選択率
で無水フタル酸を製造することができ、かつ、無水フタ
ル酸製品を得るまでの熱処理や蒸留操作が容易となり、
従来法に比べて、より安価に高品質の製品を得ることが
できる。
【0044】本発明の触媒は、耐久性に優れ、このた
め、工業的に長期間安定した運転が可能となる。さら
に、原料ガス濃度を上げるなど高負荷反応条件下におい
ても、また、380℃以上の高温条件下においても高選
択率で無水フタル酸を生成し、また長期間使用しても耐
久性に優れて、無水フタル酸製造の生産性が著しく向上
される。従って、本発明の触媒は、無水フタル酸の製造
に極めて有用な触媒であるということができる。
フロントページの続き (72)発明者 田中 信也 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 触媒研究所内 (56)参考文献 特開 昭56−78635(JP,A) 特公 昭39−4463(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 38/74 C07B 61/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オルトキシレンおよび/またはナフタレン
    を分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより気相接触
    酸化して無水フタル酸を製造するための触媒において、
    この触媒が、酸化バナジウムをV2 5 換算で1〜20
    重量部、比表面積が10〜60m2 /gのアナターゼ型
    酸化チタンをTiO2 換算で99〜80重量部、さら
    に、これら2成分の合計100重量部当たり、ニオブを
    Nb2 5 換算で0.01〜1重量部、カリウム、セシ
    ウム、ルビジウムおよびタリウムから選ばれる少なくと
    も1種の元素をその酸化物換算で0.05〜2重量部、
    リンをP2 5 換算で0.2〜1.2重量部、および、
    アンチモン源としての5価のアンチモン化合物から得ら
    れるアンチモンをSb2 5 換算で0.55〜5.5重
    量部含有する触媒活性物質を耐熱性無機質担体に担持し
    てなるものであることを特徴とする無水フタル酸製造用
    触媒。
  2. 【請求項2】触媒活性物質を耐熱性無機質担体に担持し
    てなる触媒中の触媒活性物質層において、0.15〜
    0.45μmの細孔直径を有する細孔の占める合計細孔
    容積が、10μm以下の細孔直径を有する細孔の占める
    全細孔容積に対して50%以上の割合である請求項1記
    載の無水フタル酸製造用触媒。
  3. 【請求項3】反応管内の触媒層が2層以上に分割されて
    いることにより複数個の反応帯が設けられているととも
    に、触媒活性を制御した複数個の触媒が反応管の原料ガ
    ス導入入口部から出口部に向かって活性がより高くなる
    ように前記反応帯に配置されている反応管内の前記触媒
    層にオルトキシレンおよび/またはナフタレンを分子状
    酸素または分子状酸素含有ガスと共に通じて無水フタル
    酸を製造する方法において、前記触媒が、酸化バナジウ
    ムをV2 5 換算で1〜20重量部、比表面積が10〜
    60m2 /gのアナターゼ型酸化チタンをTiO2 換算
    で99〜80重量部、さらに、これら2成分の合計10
    0重量部当たり、ニオブをNb2 5 換算で0.01〜
    1重量部、カリウム、セシウム、ルビジウムおよびタリ
    ウムから選ばれる少なくとも1種の元素をその酸化物換
    算で0.05〜2重量部、リンをP2 5 換算で0.2
    〜1.2重量部、および、アンチモン源としての5価の
    アンチモン化合物から得られるアンチモンをSb2 5
    換算で0.55〜5.5重量部含有する触媒活性物質を
    耐熱性無機質担体に担持してなるものであることを特徴
    とする無水フタル酸の製造方法。
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