JP3297948B2 - レーザ光学素子の固定方法及びレーザ光学装置 - Google Patents

レーザ光学素子の固定方法及びレーザ光学装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光学素子の固定
方法及びレーザ光学装置に関し、特に、例えば半導体レ
ーザ一体型の光導波路を有する第2高調波発生素子(以
下SHG素子という)等の光デバイス装置におけるレー
ザ光学素子の固定方法及びレーザ光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年において、レーザ光の利用範囲の拡
大化と各技術分野でのレーザ光利用の最適化を図るた
め、第2高調波発生(SHG)によって波長範囲が短波
長側に拡大化された第2高調波レーザ光が注目されるよ
うになっている。この第2高調波発生は、周波数ωの光
を周波数2ωの光に変換するものであり、よってレーザ
光の短波長化が成される。
【0003】この短波長化されたレーザ光を用いること
により、例えば光記録再生、光磁気記録再生等におい
て、その記録密度の向上を図ることができる。
【0004】このように短波長化された第2高調波レー
ザ光を発生するものとしては、非線形光学結晶素子の基
板に光導波路を形成して、これに半導体レーザ素子等か
らの基本波を通し、第2高調波レーザ光を取り出す光導
波路型の波長変換素子が知られている。
【0005】上記波長変換素子では、半導体レーザから
の基本波を効率よく光導波路に入射させると第2高調波
レーザ光を効率よく発光できる。この半導体レーザ素子
の基本波を光導波路に効率よく導波させるためには、基
本波をレンズを介して光導波路の端面に集光したり、レ
ンズを介さないときは半導体レーザ素子の発光点と光導
波路の端面とを基本波レーザ光の波長オーダー以下の距
離に近づけることが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したレ
ンズを用いる方法、およびレンズを用いない方法のいず
れの方法においても、光導波路素子とレンズ、および光
導波路素子と半導体レーザとの位置合わせ精度はミクロ
ンオーダーを必要とし、さらにそれらの位置は、温度、
湿度等の外環境に対しても、安定であることが要求され
る。特に、第2高調波発生における光導波路において
は、変換される第2高調波の光量は、光導波路に入射さ
れる基本波の光量の2乗に比例するため、光導波路素子
とレンズ、および光導波路素子と半導体レーザとの位置
合わせに関し、より高精度な位置決め精度と安定性を必
要とする。また高精度な位置決めを行う場合には、固定
を行う各部品の温度を制御し、一定にしてから固定を行
わないと、精度を保つことが不可能となる場合もある。
とくに半導体レーザと光導波路との位置合わせ固定を行
う場合には、半導体レーザを発光させた状態において位
置合わせを行わなければならない場合が多く、その場合
には、半導体レーザからの発熱を伴うため、固定を行う
部品内部にける温度勾配を防ぐためにも、固定を行う各
部品の温度を制御する必要がある。そしてさらに各部品
は、外環境の変化による安定性を補償するためにも、温
度変化による膨張係数を揃える必要がある。
【0007】温度を制御した状態において、半導体レー
ザ等の各部品を固定する方法に、上記光導波路と、上記
半導体レーザとの位置合わせをエポキシ系あるいはシア
ン系あるいはシリコン系の接着剤を用いる方法がある。
しかしこの方法で固定された場合には、固定をされた2
つ以上の部品は、それらエポキシ系あるいはシアン系あ
るいはシリコン系の接着剤を介して接続されることとな
る。しかしこれらの接着剤を用いて固定を行った場合に
は、各部品と接着剤との界面において、それらが無機的
な反応を生じて固定されているのではないので、外環境
の変化による安定性を高めることは、容易でない。また
各部品との温度変化による膨張係数を揃えることに関し
ても、選択範囲が狭いという欠点が存在する。
【0008】また、半導体レーザ等の各部品を固定する
方法に、高パワーのYAGレーザ等を用いたレーザ溶着
あるいはレーザ溶接という方法がある。この方法により
固定された2つ以上の部品は、それらの界面において溶
着され、あるいは合金化されているので、外環境の変化
による安定性は高い。しかしレーザ溶接装置あるいはレ
ーザ溶着装置は設備的に高額であるという欠点が存在す
る。また固定を行う際に、高パワーのレーザを固定され
る部分に照射するため、固定される部品の温度を一定す
ることが困難である。また固定を行う部品が軽量である
場合などは、レーザを照射することにより、部品がその
衝撃により移動してしまい、高精度の位置決めを保つこ
とができないという欠点がある。
【0009】さらに、半導体レーザ等の各部品を固定す
る方法には、レーザを用いたハンダ付けという方法も知
られている。この方法は、レーザ溶着あるいはレーザ溶
接に用いるレーザよりも設備的に小型のレーザを用い、
固定を行う箇所にクリームハンダを塗布しておき、この
ハンダ部分にレーザを照射する方法である。この方法に
より固定された2つ以上の部品は、それらの界面におい
てハンダが拡散し溶着されているので、合金化されてい
ることとなり、外環境の変化による安定性は高い。しか
し、レーザを用いたハンダ付けを行う場合には、クリー
ムハンダ中に含まれるイソプロピルアルコール等の溶剤
類が、レーザ照射を行った時に瞬時に蒸発するため、半
導体レーザ等の光学部品にその蒸発した溶剤が付着する
という欠点が存在する。
【0010】また固定を行う際に、高パワーのレーザを
固定される部分に照射するため、固定される部品の温度
を一定にすることが困難である。
【0011】本発明は、高精度を必要とする部品の位置
合わせ、とりわけ高精度および外環境の変化に対して安
定性を要求される光学部品を位置合わせして固定する際
に、その固定が容易かつ確実に行い得るようなレーザ光
学素子の固定方法を提供することを目的とする。また、
このような固定方法によりレーザ光学素子が固定されて
成るレーザ光学装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るレーザ光学
素子の固定方法は、レーザ光を発光あるいは出射する第
1の光学素子と、この第1の光学素子から発光あるいは
出射されたレーザ光が透過、入射あるいは受光される第
2の光学素子との少なくとも一方を、これらの第1、第
2の光学素子を実装するための基板に固定するレーザ光
学素子の固定方法において、少なくともガリウムを主成
分とする液体金属と共に、銅、銀を主成分とする金属粒
子を用い、上記基板と上記液体金属と上記金属粒子とを
合金化反応させることにより上記第1、第2の光学素子
の少なくとも一方を上記基板に固定することを特徴とし
て、上述の課題を解決する。
【0013】また、本発明に係るレーザ光学装置は、レ
ーザ光を発光あるいは出射する第1の光学素子と、上記
第1の光学素子から発光あるいは出射されたレーザ光が
透過、入射あるいは受光される第2の光学素子と、上記
第1、第2の光学素子を実装するための基板とからな
り、上記第1、第2の光学素子の少なくとも一方を上記
基板に実装する際に、少なくともガリウムを主成分とす
る液体金属と共に、銅、銀を主成分とする金属粒子を用
い、上記基板と上記液体金属と上記金属粒子とを合金化
反応させることにより固定されて成ることを特徴とし
て、上述の課題を解決する。
【0014】ここで、上記液体金属は、ガリウムのみな
らず、インジウムを主成分とするものが挙げられる。ま
た、上記液体金属と共に、銅、銀を主成分とする金属粒
子を用い、上記基板と上記液体金属と上記金属粒子とを
合金化反応させることにより上記第1、第2の光学素子
を上記基板に固定することが挙げられる。
【0015】また、上記液体金属に、ガリウム、インジ
ウム、錫を主成分としたものを用いたり、ガリウム、イ
ンジウム、亜鉛を主成分としたものを用いることが挙げ
られ、これらガリウムGa、インジウムIn、錫Sn、
亜鉛Znの組成として、 Ga 40%〜95% In 5%〜40% Sn 0%〜30% Zn 0%〜10% としたものを用いることが好ましい。
【0016】上記組成において、インジウムInの下限
値を5%としたのは、ガリウムGaのみだと融点が約3
0°C(29.8°C)であるので、5%以上添加する
ことにより融点が低下し、操作性が高まるからである。
インジウムInの上限値を40%としたのは、これ以上
添加すると合金反応後の強度が得られないからであり、
また、ガリウムGaと比較してインジウムInは上記金
属粒子や上記基板として用いられるCu、Ag、Au等
の元素に対してさほど拡散を生じないため、合金化が容
易でないからである。次に、錫Snの上限値を30%と
し、また亜鉛Znの上限値を10%としたのは、いずれ
も融点の上昇となり、室温における反応が生じなくなる
からである。
【0017】次に、上記金属粒子については、銀、銅、
錫を主成分としたり、銀、銅、錫、金、パラジウムを主
成分とすることが挙げられる。また、上記第1の光学素
子については、半導体レーザ素子や、光導波路素子を用
いることが考えられ、また上記第1、第2の光学素子の
一方をレンズとすることが考えられる。さらに、上記第
2の光学素子としては、光導波路素子、非線形光学素
子、波長変換機能を有する光導波路素子、あるいはフォ
トダイオード素子を用いることが挙げられる。
【0018】
【作用】本発明に係るレーザ光学素子の固定方法によれ
ば、レーザ光を発光あるいは出射する第1の光学素子
と、この第1の光学素子から発光あるいは出射されたレ
ーザ光が透過あるいは入射あるいは受光される第2の光
学素子と、上記第1の光学素子および上記第2の光学素
子とを実装するための基板を用いて、上記第1の光学素
子と上記第2の光学素子とを上記基板に固定する際に、
ガリウム、インジウムを主成分とする液体金属を用い、
上記基板と上記液体金属とを合金化反応させることによ
り固定される。従って、高額な装置を必要とせず、合金
化反応を生じさせることができ、また、温度制御状態を
保った状態で合金化反応を生じさせることができる。そ
のため、高精度を必要とする部品の位置合わせ、とりわ
け高精度および外環境の変化に対して安定性を要求され
る光学部品の位置合わせ固定が、容易にできるようにな
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明に係るレーザ光学素子の固定方
法及びレーザ光学装置のいくつかの実施例について図面
を参照しながら説明する。図1は本発明に係る第1の実
施例としてのレーザ光学装置の概略構成を示す図であ
る。この図1に示す第1の実施例のレーザ光学装置にお
いて、Cu表面に金属膜を施したセラミックあるいはペ
ルチェ素子等でできた比較的剛性を有する基板(以下固
定基板という)11上に、半導体レーザ素子の放熱手段
であるCu等でできたヒートシンク3が配置固定されて
おり、このヒートシンク3の表面端部に、シングルモー
ドの基本波のレーザ光を発生する半導体レーザチップ1
が配されている。この半導体レーザチップ1からのシン
グルモードの基本波レーザ光は、プロトン交換光導波路
4に入射されており、このプロトン交換光導波路4が分
極反転構造部を有する例えばLiNbO3 のX基板(以
下LN−X基板という)5上に形成されて波長変換素子
(以下LN−X波長変換素子という)6を構成してい
る。上記プロトン交換光導波路4を上記半導体レーザチ
ップ1の端面に近接させた状態で、上記LN−X波長変
換素子6の主面21が上記固定基板11の主面22に対
し直角となるように配置している。具体的には、上記L
N−X波長変換素子6及び上記固定基板11に接するよ
うに、Cuあるいは表面に金属膜を施したセラミック等
でできた直角を有する部材20を設けており、この部材
20にLN−X波長変換素子6が近接された状態で固定
基板11上に配置する。
【0020】次に、ガリウム、インジウムを主成分とす
る液体金属60を、上記固定基板11と上記部材20と
の間、および上記LN−X波長変換素子6と上記部材2
0との間に塗布する。この液体金属60の塗布方法は、
予め上記部材の表面に塗布しておいても構わないが、塗
布を行う隙間に対する液体金属60の毛細管現象を利用
しても良い。そしてこの液体金属60は、上記固定基板
11と上記部材20およびLN−X波長変換素子6に対
して、5分から数時間をそのままの位置を保持すること
により、加熱する必要なく、拡散反応および相互拡散反
応を生じ、合金化される。つまり、この合金化により、
上記固定基板11と上記部材20、および上記LN−X
波長変換素子6と上記部材20とが固定される。すなわ
ち、上記液体金属60を用いることにより、半導体レー
ザ素子と光導波路素子とが固定される。
【0021】ここで、液体金属60は、固定温度におい
て液体に近い状態であることが望ましく、例えばガリウ
ム、インジウムを主成分とし、錫(スズ)あるいは亜鉛
を必要に応じて加えるような液体金属の場合には、ガリ
ウムGa、インジウムIn、錫Sn、亜鉛Znの組成と
して、 Ga 40%〜95% In 5%〜40% Sn 0%〜30% Zn 0%〜10% としたものを用いることが好ましい。
【0022】上記組成において、インジウムInの下限
値を5%としたのは、ガリウムGaのみだと融点が約3
0°C(29.8°C)であるので、5%以上添加する
ことにより融点が低下し、操作性が高まるからである。
インジウムInの上限値を40%としたのは、これ以上
添加すると合金反応後の強度が得られないことを考慮し
たものであり、また、ガリウムGaと比較してインジウ
ムInは上記金属粒子や上記基板として用いられるC
u、Ag、Au等の元素に対してさほど拡散を生じない
ため、合金化が容易でないからである。次に、錫(ス
ズ)Snの上限値を30%とし、また亜鉛Znの上限値
を10%としたのは、いずれも融点の上昇となり、室温
における反応が生じなくなるからである。
【0023】ここで、液体金属の具体例をいくつか挙げ
ると、ガリウム:75.5%、インジウム:24.5%
の融点15.7℃の液体金属、あるいは、ガリウム:6
2.0%、インジウム:25.0%、スズ(錫):1
3.0%の融点5℃の液体金属、あるいは、ガリウム:
67.0%、インジウム:29.0%、亜鉛:4.0%
の融点13℃の液体金属、等を用いることが望ましい。
ただし、液体金属60の組成は上記のガリウム:75.
5%、インジウム:24.5%の融点15.7℃の液体
金属、あるいは、ガリウム:62.0%、インジウム:
25.0%、スズ:13.0%の融点5℃の液体金属、
あるいは、ガリウム:67.0%、インジウム:29.
0%、亜鉛:4.0%の融点13℃の液体金属に近い組
成であればよい。
【0024】この合金化反応を生じる拡散領域は、数ミ
クロンのオーダーであるので、上記液体金属60の塗布
量は10ミクロン以下であることが望ましく、そのた
め、上記固定基板11と上記部材20との間、および上
記LN−X波長変換素子6と上記部材20との間の間隙
は、10ミクロン以下であることが望ましい。
【0025】上記部材20の材質および固定基板11の
材質は、上記液体金属60と合金反応を生じる材質であ
る、Cu、Ag、Au等の金属などで構成されている
か、もしくは、上記液体金属60と合金反応を生じる材
質である、Cu、Ag、Au等の金属などが0.2ミク
ロンから数ミクロンの厚さで施されていることが必要で
ある。また、上記固定基板11に対する上記プロトン交
換光導波路4の相対位置が、振動等の外乱によって大き
く変化しないような程度の剛性を持っていることが望ま
しく、温度変化等の外乱によって上記固定基板11に対
する上記半導体レーザチップ1の位置が相対的に変化し
た場合に、上記プロトン交換光導波路4を上記半導体レ
ーザチップ1の端面に近接するように、固定基板11と
上記半導体レーザチップ1と間に存在する物質の熱膨張
率と等しい熱膨張率を持っていることが望ましい。
【0026】また、上記LN−X波長変換素子6の、上
記部材20側の面には、上記液体金属60と合金反応を
生じる材質である、Cu、Ag、Au等の金属などが少
なくとも、0.2ミクロンから数ミクロンの厚さで被覆
が施されていることが必要である。
【0027】上記LN−X波長変換素子6の構成例を図
2に示す。上記LN−X波長変換素子6は、LN−X基
板5上に周期分極反転構造部10を作製し、該LN−X
基板5上にピロ燐酸(H4 2 7 )等によるプロトン
交換法等によりプロトン交換光導波路4が形成されてい
る。上記周期分極反転部10は、単一分極化された強誘
電体結晶であるLN−X基板5に対し、その分極方向に
第1及び第2の電極を配置させ、少なくとも第1の電極
は最終的に得られる分極反転構造のパターンに対応する
パターンに形成され、150℃未満の温度下において、
上記第1及び第2の電極間に、上記LN−X基板の自発
分極の負側を負電位、正側を正電位となるように1kV
/mm〜100kV/mmの電圧を印加させ、分極反転
を形成させるものである。このように、上記LN−X基
板5に周期分極反転構造部10及びプロトン交換光導波
路4を形成させ、TEモードの光を導波する。また、こ
のプロトン交換光導波路4には、非線形光学効果を回復
させるためにアニールが施されている。
【0028】ここで、上記LN−X波長変換素子6は、
図3に示すように分極反転部10が形成されたLN−X
基板5と該LN−X基板5に形成されたプロトン交換光
導波路4とをクラッド層12で覆った構造にしてもよ
い。このクラッド層12は、例えばSiO2 等によって
1〜2μmの厚さに被着形成され、その屈折率は上記プ
ロトン交換光導波路4の屈折率より低い。
【0029】また、上記LN−X波長変換素子6は、図
3に示すようにプロトン交換光導波路4の入射端面及び
出射端面に無反射コーティング膜13を形成した構造と
しても良い。
【0030】ここで波長変換素子は、図4に示すように
非線形光学材料であるKTiOP4(以下KTPとい
う)基板55に、Ta2 5 の光導波路54が形成さ
れ、さらにSiO2 等によりなるクラッド膜52が形成
された波長変換素子56であってもよい。
【0031】次に、本発明の第2の実施例の概略構成を
図5に示す。図5において、本発明に係る第2の実施例
は、Cu表面に金属膜を施したセラミックあるいはペル
チェ素子等でできた比較的剛性を有する固定基板11上
に、半導体レーザ素子の放熱手段であるCu等でできた
ヒートシンク3が配置固定されており、このヒートシン
ク3の表面端部に、シングルモードの基本波のレーザ光
を発生する半導体レーザチップ1が配されている。この
半導体レーザチップ1からのシングルモードの基本波レ
ーザ光は、プロトン交換光導波路4に入射されており、
このプロトン交換光導波路4が分極反転構造部を有する
例えばLiNbO3 のX基板(以下LN−X基板とい
う)5上に形成されて波長変換素子(以下LN−X波長
変換素子という)6を構成している。上記プロトン交換
光導波路4を上記半導体レーザチップ1の端面に近接さ
せた状態で、上記LN−X波長変換素子6の主面21が
上記固定基板11の主面22に対し直角となるように配
置している。具体的には、上記LN−X波長変換素子6
及び上記固定基板11に接するように、Cuあるいは表
面に金属膜を施したセラミック等でできた直角を有する
部材20を設けており、この部材20にLN−X波長変
換素子6が近接された状態で固定基板11上に配置す
る。
【0032】次に、ガリウム、インジウムを主成分とす
る液体金属60と、銅、銀を主成分とする金属粒子61
とを、固定基板11と上記部材20との間、および上記
LN−X波長変換素子6と上記部材20との間に塗布す
る。この液体金属60の塗布方法は、予め上記部材の表
面に塗布しておいても構わないが、塗布を行う隙間に対
する液体金属60の毛細管現象を利用しても良い。そし
てこの液体金属60は、銅、銀を主成分とする金属粒子
61および上記固定基板11および上記部材20および
LN−X波長変換素子6に対して、5分から数時間をそ
のままの位置を保持することにより、加熱する必要な
く、拡散反応および相互拡散反応を生じ、合金化され
る。つまり、この合金化により、上記固定基板11と上
記部材20、および上記LN−X波長変換素子6と上記
部材20とが固定される。すなわち、上記液体金属60
を用いることにより、半導体レーザ素子と光導波路素子
とは固定される。
【0033】ここで、液体金属60は、固定温度におい
て液体に近い状態であることが望ましく、前述した第1
の実施例のような組成のものを使用でき、具体的には、
ガリウム:75.5%、インジウム:24.5%の融点
15.7℃の液体金属、あるいは、ガリウム:62.0
%、インジウム:25.0%、スズ:13.0%の融点
5℃の液体金属、あるいは、ガリウム:67.0%、イ
ンジウム:29.0%、亜鉛:4.0%の融点13℃の
液体金属、等を用いることが望ましい。ただし液体金属
60の組成は上記のガリウム:75.5%、インジウ
ム:24.5%の融点15.7℃の液体金属、あるい
は、ガリウム:62.0%、インジウム:25.0%、
スズ:13.0%の融点5℃の液体金属、あるいは、ガ
リウム:67.0%、インジウム:29.0%、亜鉛:
4.0%の融点13℃の液体金属に近い組成であればよ
い。
【0034】また金属粒子61の組成は、液体金属と合
金化反応を生じる組成であれば問題はない。そして合金
化反応を体積膨張をともなわず、高融点の合金を生成す
るための金属粒子として、Cu、Agを主成分とする金
属粒子あるいはCu、Ag、Snを主成分とする金属粒
子などがある。また、合金化の反応時間を早くするもの
として上記金属粒子にAu、Pdの成分を付加する場合
もある。
【0035】この合金化反応を生じる拡散領域は、数ミ
クロンのオーダーであるが、上記液体金属60と上記金
属粒子61とが合金反応を生じるため、上記液体金属6
0と上記金属粒子61の塗布量は、実施例1の場合とは
異なり、10ミクロン以下である必要はない。そのた
め、上記固定基板11と上記部材20との間、および上
記LN−X波長変換素子6と上記部材20との間の間隙
は、10ミクロン以下である必要はない。
【0036】上記部材20の材質および、固定基板11
の材質および、上記LN−X波長変換素子6の上記部材
20側の面の物質は、実施例1に記したのと同様に、上
記液体金属60と合金反応を生じる材質、もしくは、上
記液体金属60と合金反応を生じる材質がである、C
u、Au等の金属などが0.2ミクロンから数ミクロン
の厚さで施されていることが必要である。
【0037】次に、本発明に係るレーザ光学装置および
固定方法の第3の実施例の概略構成を図6に示す。図6
において、この第3の実施例は、Cuあるいはセラミッ
クあるいはペルチェ素子等でできた比較的剛性を有する
基板(以下固定基板という)11上に配置固定された、
半導体レーザ素子の放熱手段であるCu等でできたヒー
トシンク33の表面端部に配されシングルモードの基本
波のレーザ光を発生する半導体レーザチップ31と、こ
の半導体レーザチップ31からのシングルモードの基本
波レーザ光が入射されるプロトン交換光導波路34が分
極反転構造部を有する例えばLiNbO3 のZ基板(以
下LN−Z基板という)35上に形成された波長変換素
子(以下LN−Z長変換素子という)36と、上記プロ
トン交換光導波路34を上記半導体レーザチップ31の
端面に近接した状態で、上記LN−Z波長変換素子36
の主面41が上記固定基板11の主面22に対し直角と
なるように配置し、上記LN−Z波長変換素子36及び
上記固定基板11に接するように、Cuあるいはセラミ
ック等でできた直角を有する部材20を配置する。
【0038】次に、ガリウム、インジウムを主成分とす
る液体金属60、あるいは、ガリウム、インジウムを主
成分とする液体金属60と、銅、銀を主成分とする金属
粒子61とを、上記固定基板11と上記部材20との
間、および上記LN−Z波長変換素子36と上記部材2
0との間に塗布する。この液体金属60の塗布方法は、
予め上記部材の表面に塗布しておいても構わないが、塗
布を行う隙間に対する液体金属60の毛細管現象を利用
しても良い。そしてこの液体金属60は、上記固定基板
11および上記部材20およびLN−Z波長変換素子3
6あるいは金属粒子61に対して、5分から数時間をそ
のままの位置を保持することにより、加熱する必要な
く、拡散反応および相互拡散反応を生じ、合金化され
る。すなわち、この合金化により、上記固定基板11と
上記部材20、および上記LN−Z波長変換素子36と
上記部材20とが固定される。すなわち、上記液体金属
60を用いることにより、半導体レーザ素子と光導波路
素子とは固定される。
【0039】ここで、液体金属60は、固定温度におい
て液体に近い状態であることが望ましく、前述した第1
の実施例のような組成のものを用いることができ、具体
例としては、ガリウム:75.5%、インジウム:2
4.5%の融点15.7℃の液体金属、あるいは、ガリ
ウム:62.0%、インジウム:25.0%、スズ:1
3.0%の融点5℃の液体金属、あるいは、ガリウム:
67.0%、インジウム:29.0%、亜鉛:4.0%
の融点13℃の液体金属、などで有ることが望ましい。
ただし液体金属60の組成は上記のガリウム:75.5
%、インジウム:24.5%の融点15.7℃の液体金
属、あるいは、ガリウム:62.0%、インジウム:2
5.0%、スズ:13.0%の融点5℃の液体金属、あ
るいは、ガリウム:67.0%、インジウム:29.0
%、亜鉛:4.0%の融点13℃の液体金属に近い組成
であればよい。
【0040】また金属粒子61の組成は、液体金属と合
金化反応を生じる組成であれば問題はない。そして合金
化反応を体積膨張をともなわず、高融点の合金を生成す
るための金属粒子として、Cu、Agを主成分とする金
属粒子あるいはCu、Ag、Snを主成分とする金属粒
子などがある。また、合金化の反応時間を早くするもの
として上記金属粒子にAu、Pdの成分を付加する場合
もある。
【0041】この第3の実施例の合金化反応における上
記液体金属60の塗布量および塗布方法あるいは、上記
液体金属60と上記金属粒子61の塗布量および塗布方
法については、上記第1および第2の実施例とほとんど
同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0042】また、この第3の実施例における、上記部
材20の材質および、固定基板11の材質および、上記
LN−Z波長変換素子36の上記部材20側の面の物質
は、上記第1の実施例および第2の実施例で説明したの
と同様に、上記液体金属60と合金反応を生じる材質、
もしくは、上記液体金属60と合金反応を生じる材質で
ある、Cu、Au等の金属などが0.2ミクロンから数
ミクロンの厚さで施されていることが必要である。
【0043】上記LN−Z波長変換素子36の構成例を
図7に示す。上記LN−Z波長変換素子36は、LN−
Z基板35上に周期分極反転構造部10を作製し、該L
N−Z基板35上にピロ燐酸(H4 2 7 )等による
プロトン交換法等によりプロトン交換光導波路34を形
成している。上記周期分極反転部10は、単一分極化さ
れた強誘電体結晶であるLN−Z基板35に対し、その
分極方向に第1及び第2の電極を配置し、少なくとも第
1の電極は最終的に得る分極反転構造のパターンに対応
するパターンに形成され、150℃未満の温度下におい
て、上記第1及び第2の電極間に、上記LN−X基板の
自発分極の負側を負電位、正側を正電位となるように1
kV/mm〜100kV/mmの電圧を印加して、分極
反転を形成するものである。このように、上記LN−Z
基板35に周期分極反転構造部10及びプロトン交換光
導波路34を形成しており、TMモードの光を導波す
る。また、このプロトン交換光導波路34には、非線形
光学効果を回復させるためにアニールが施されている。
【0044】ここで、上記LN−Z基板35上に形成さ
れたプロトン交換光導波路は、結晶の光学軸(Z軸と平
行)に平行な成分の屈折率が増すことから、図8に示す
ような上記LN−Z基板35の結晶の光学軸(Z軸に平
行)に平行な電界方向(図8に導波できる光の電界方向
として矢印で示す)を持つ光のみを伝搬する。
【0045】つまり、本第3の実施例のレーザ光発生装
置は、上記LN−Z基板35と上記半導体レーザチップ
31の成膜面とを直角な位置関係とし、上記プロトン交
換光導波路34を上記半導体レーザチップ31の端面に
近接するように配置し、上記Cuあるいはセラミック等
でできた直角を有する部材20を介し、上記固定基板1
1上に固定することにより、上記半導体レーザチップ3
1から発光された基本波レーザ光を上記プロトン交換光
導波路34に伝搬できる。
【0046】ここで、上記LN−Z波長変換素子36
は、図9に示すように分極反転部10が形成されたLN
−Z基板35と該LN−Z基板35に形成されたプロト
ン交換光導波路34とをクラッド層12で覆った構造に
してもよい。このクラッド層12は、例えばSiO2
によって1〜2μmの厚さに被着形成され、その屈折率
は上記プロトン交換光導波路34の屈折率より低い。
【0047】また、上記LN−Z波長変換素子36は、
図9に示すようにプロトン交換光導波路34の入射端面
及び出射端面に無反射コーティング膜13を形成した構
造としても良い。
【0048】次に、本発明に係るレーザ光学装置および
固定方法の第4の実施例の概略構成を図10に示す。図
10において、この第4の実施例は、Cuあるいはセラ
ミックあるいはペルチェ素子等でできた比較的剛性を有
する基板(以下固定基板という)11上に配置固定され
た、半導体レーザ素子の放熱手段であるCu等でできた
ヒートシンク33の表面端部に配され、レーザ光を発生
する半導体レーザチップ31と、この半導体レーザチッ
プ31からのレーザ光が入射され、コリメートする光学
レンズ72とを配置する。
【0049】次に、ガリウム、インジウムを主成分とす
る液体金属60あるいは、ガリウム、インジウムを主成
分とする液体金属60と、銅、銀を主成分とする金属粒
子61とを、上記固定基板11と光学レンズ72との間
に塗布する。この液体金属60の塗布方法は、予め上記
部材の表面に塗布しておいても構わないが、塗布を行う
隙間に対する液体金属60の毛細管現象を利用しても良
い。そしてこの液体金属60は、上記固定基板11およ
び光学レンズ72に対して、5分から数時間をそのまま
の位置を保持することにより、加熱する必要なく、拡散
反応および相互拡散反応を生じ、合金化される。つま
り、この合金化により、上記固定基板11と光学レンズ
72とが固定される。つまり、上記液体金属60を用い
ることにより、半導体レーザ素子と光学レンズとは相対
的に固定される。
【0050】ここで、液体金属60は、固定温度におい
て液体に近い状態であることが望ましく、前述した第1
の実施例の組成のものが使用でき、具体例としては、ガ
リウム:75.5%、インジウム:24.5%の融点1
5.7℃の液体金属、あるいは、ガリウム:62.0
%、インジウム:25.0%、スズ:13.0%の融点
5℃の液体金属、あるいは、ガリウム:67.0%、イ
ンジウム:29.0%、亜鉛:4.0%の融点13℃の
液体金属、等を用いることが望ましい。ただし液体金属
60の組成は上記のガリウム:75.5%、インジウ
ム:24.5%の融点15.7℃の液体金属、あるい
は、ガリウム:62.0%、インジウム:25.0%、
スズ:13.0%の融点5℃の液体金属、あるいは、ガ
リウム:67.0%、インジウム:29.0%、亜鉛:
4.0%の融点13℃の液体金属に近い組成であればよ
い。
【0051】また金属粒子61の組成は、液体金属と合
金化反応を生じる組成であれば問題はない。そして合金
化反応を体積膨張をともなわず、高融点の合金を生成す
るための金属粒子として、Cu、Agを主成分とする金
属粒子あるいはCu、Ag、Snを主成分とする金属粒
子などがある。また、合金化の反応時間を早くするもの
として上記金属粒子にAu、Pdの成分を付加する場合
もある。
【0052】この第4の実施例の合金化反応における上
記液体金属60の塗布量および塗布方法あるいは、上記
液体金属60と上記金属粒子61の塗布量および塗布方
法については、上記第1および第2および第3の実施例
とほとんど同様であるので、ここでは省略する。
【0053】また、この第4の実施例における、固定基
板11の材質および、上記光学レンズ72の上記部材2
0側の面の物質は、実施例1および実施例2および実施
例3に記したのと同様に、上記液体金属60と合金反応
を生じる材質、もしくは上記液体金属60と合金反応を
生じる材質がである、Cu、Au等の金属などが0.2
ミクロンから数ミクロンの厚さで施されていることが必
要である。またこの光学レンズ72は、上記液体金属6
0と合金反応を生じる材質により、覆われていてもかま
わない。
【0054】次に、本発明に係るレーザ光学装置および
固定方法の第5の実施例の概略構成を図11に示す。図
11において、この第5の実施例は、Cuあるいはセラ
ミックあるいはペルチェ素子等でできた比較的剛性を有
する基板(以下固定基板という)11上に配置固定され
た、レーザ光を出射する光導波路素子73と、この光導
波路素子73からのレーザ光が入射され、コリメートす
る光学レンズ72とを配置する。
【0055】次に、ガリウム、インジウムを主成分とす
る液体金属60あるいは、ガリウム、インジウムを主成
分とする液体金属60と、銅、銀を主成分とする金属粒
子61とを、上記固定基板11と光学レンズ72との間
に塗布する。この液体金属60の塗布方法は、予め上記
部材の表面に塗布しておいても構わないが、塗布を行う
隙間に対する液体金属60の毛細管現象を利用しても良
い。そしてこの液体金属60は、上記固定基板11およ
び光学レンズ72に対して、5分から数時間をそのまま
の位置を保持することにより、加熱する必要なく、拡散
反応および相互拡散反応を生じ、合金化される。この合
金化により、上記固定基板11と光学レンズ72とが固
定される。すなわち、上記液体金属60を用いることに
より、光導波路素子と光学レンズとは相対的に固定され
る。
【0056】ここで、液体金属60は、固定温度におい
て液体に近い状態であることが望ましく、前述した組成
のものを用いるこことができ、具体的には、ガリウム:
75.5%、インジウム:24.5%の融点15.7℃
の液体金属、あるいは、ガリウム:62.0%、インジ
ウム:25.0%、スズ:13.0%の融点5℃の液体
金属、あるいは、ガリウム:67.0%、インジウム:
29.0%、亜鉛:4.0%の融点13℃の液体金属、
等を用いることが望ましい。ただし液体金属60の組成
は上記のガリウム:75.5%、インジウム:24.5
%の融点15.7℃の液体金属、あるいは、ガリウム:
62.0%、インジウム:25.0%、スズ:13.0
%の融点5℃の液体金属、あるいは、ガリウム:67.
0%、インジウム:29.0%、亜鉛:4.0%の融点
13℃の液体金属に近い組成であればよい。
【0057】また金属粒子61の組成は、液体金属と合
金化反応を生じる組成であれば問題はない。そして合金
化反応を体積膨張をともなわず、高融点の合金を生成す
るための金属粒子として、Cu、Agを主成分とする金
属粒子あるいはCu、Ag、Snを主成分とする金属粒
子などがある。また、合金化の反応時間を早くするもの
として上記金属粒子にAu、Pdの成分を付加する場合
もある。
【0058】この第5の実施例の合金化反応における上
記液体金属60の塗布量および塗布方法あるいは、上記
液体金属60と上記金属粒子61の塗布量および塗布方
法については、上記第1〜第4の実施例とほとんど同様
であるので、ここでは省略する。
【0059】また、この第5の実施例における、固定基
板11の材質および、上記光学レンズ72の上記部材2
0側の面の物質は、上記第1〜第4の実施例において説
明したものと同様に、上記液体金属60と合金反応を生
じる材質、もしくは、上記液体金属60と合金反応を生
じる材質がである、Cu、Au等の金属などが0.2ミ
クロンから数ミクロンの厚さで施されていることが必要
である。またこの光学レンズ72は、上記液体金属60
と合金反応を生じる材質により、覆われていてもかまわ
ない。
【0060】次に、本発明に係るレーザ光学装置および
固定方法の第6の実施例の概略構成を図12に示す。図
12において、この第5の実施例は、Cuあるいはセラ
ミックあるいはペルチェ素子等でできた比較的剛性を有
する基板(以下固定基板という)11上に配置固定され
た、レーザ光を出射する光学レンズ72と、この光学レ
ンズ72からのレーザ光が入射されるフォトダイオード
74とを配置する。
【0061】次に、ガリウム、インジウムを主成分とす
る液体金属60、あるいは、ガリウム、インジウムを主
成分とする液体金属60と、銅、銀を主成分とする金属
粒子61とを、上記固定基板11とフォトダイオード7
4との間に塗布する。この液体金属60の塗布方法は、
予め上記部材の表面に塗布しておいても構わないが、塗
布を行う隙間に対する液体金属60の毛細管現象を利用
しても良い。そしてこの液体金属60は、上記固定基板
11およびフォトダイオード74に対して、5分から数
時間をそのままの位置を保持することにより、加熱する
必要なく、拡散反応および相互拡散反応を生じ、合金化
される。つまり、この合金化により、上記固定基板11
とフォトダイオード74とが固定される。すなわち、上
記液体金属60を用いることにより、フォトダイオード
と光学レンズとは相対的に固定される。
【0062】ここで、液体金属60は、前述したように
固定温度において液体に近い状態であることが望まし
く、前記組成のものが使用でき、具体的には例えば、ガ
リウム:75.5%、インジウム:24.5%の融点1
5.7℃の液体金属、あるいは、ガリウム:62.0
%、インジウム:25.0%、スズ:13.0%の融点
5℃の液体金属、あるいは、ガリウム:67.0%、イ
ンジウム:29.0%、亜鉛:4.0%の融点13℃の
液体金属、等を用いることが望ましい。ただし液体金属
60の組成は上記のガリウム:75.5%、インジウ
ム:24.5%の融点15.7℃の液体金属、あるい
は、ガリウム:62.0%、インジウム:25.0%、
スズ:13.0%の融点5℃の液体金属、あるいは、ガ
リウム:67.0%、インジウム:29.0%、亜鉛:
4.0%の融点13℃の液体金属に近い組成であればよ
い。
【0063】また金属粒子61の組成は、液体金属と合
金化反応を生じる組成であれば問題はない。そして合金
化反応を体積膨張をともなわず、高融点の合金を生成す
るための金属粒子として、Cu、Agを主成分とする金
属粒子あるいはCu、Ag、Snを主成分とする金属粒
子などがある。また、合金化の反応時間を早くするもの
として上記金属粒子にAu、Pdの成分を付加する場合
もある。
【0064】この第6の実施例の合金化反応における上
記液体金属60の塗布量および塗布方法あるいは、上記
液体金属60と上記金属粒子61の塗布量および塗布方
法については、上記第1および第2および第3および第
4の実施例とほとんど同様であるので、ここでは省略す
る。
【0065】また、この第6の実施例における、固定基
板11の材質および、上記フォトダイオード74の上記
部材20側の面の物質は、実施例1および実施例2およ
び実施例3および実施例4に記したのと同様に、上記液
体金属60と合金反応を生じる材質、もしくは、上記液
体金属60と合金反応を生じる材質がである、Cu、A
u等の金属などが0.2ミクロンから数ミクロンの厚さ
で施されていることが必要である。またこのフォトダイ
オード74は、上記液体金属60と合金反応を生じる材
質により、覆われていてもかまわない。
【0066】なお、本発明は上述した実施例にのみ限定
されるものではなく、高精度を必要とする部品の位置合
わせ、とりわけ高精度および外環境の変化に対して安定
性を要求される光学部品を位置合わせ固定する際に、容
易に適用することができることは勿論である。
【0067】
【発明の効果】本発明に係るレーザ光学素子の固定方法
によれば、レーザ光を発光あるいは出射する第1の光学
素子と、この第1の光学素子から発光あるいは出射され
たレーザ光が透過、入射あるいは受光される第2の光学
素子との少なくとも一方を、これらの第1、第2の光学
素子を実装するための基板に固定する際に、少なくとも
ガリウムを主成分とする液体金属を用い、上記基板と上
記液体金属とを合金化反応させることにより固定してい
るため、高額な装置を必要とせず、合金化反応を生じさ
せることができ、また、温度制御状態を保った状態で合
金化反応を生じさせることができる。そのため、高精度
を必要とする部品の位置合わせ、とりわけ高精度および
外環境の変化に対して安定性を要求される光学部品の位
置合わせ固定が、容易にできるようになる。
【0068】また、本発明に係るレーザ光学素子の固定
方法は、高精度で安定性を要求される固定を行なう時
に、加熱をともなわず、合金化反応を生じることができ
るので、位置合わせ時の精度を狂わすことなく、高精度
の位置決め固定および外環境の変化に対して安定性の高
い、高信頼性の固定を行なうことができる。
【0069】さらに、本発明に係るレーザ光学装置は、
分極反転構造を有するLiNbx Ta(1-x) 3 (0≦
x≦1)にプロトン交換光導波路を形成してなる波長変
換素子、あるいは、KTiOPO4 非線形光学結晶基板
上にTa2 5 からなる光導波路を被着形成してなる波
長変換素子と、上記光導波路内に入射する基本波を発生
する光源である半導体レーザ素子とを、比較的剛性を有
する基板上に配置し、上記光導波路を上記半導体レーザ
チップの端面に近接した状態で、加熱をともなわず、合
金化反応を用いた固定を行なうことにより、基本波レー
ザ光(半導体レーザ光)を光導波路に精度よく安定して
導波させることができ、外環境が変化した際の安定性も
高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ光学装置の第1の実施例の
構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】第1の実施例に用いられるLN−X波長変換素
子の構造を示す図である。
【図3】他のLN−X波長変換素子の構造を示す図であ
る。
【図4】第1の実施例に用いられる非線形光学材料であ
るKTiOP4 (以下KTP)基板に、Ta2 5 の光
導波路が形成された波長変換素子の構造を示す図であ
る。
【図5】本発明に係るレーザ光学装置の第2の実施例の
構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】本発明に係るレーザ光学装置の第3の実施例の
構成を概略的に示す斜視図である。
【図7】第3の実施例に用いられるLN−Z波長変換素
子の構造を示す図である。
【図8】第3の実施例に用いられるプロトン交換光導波
路の電界方向を説明するための図である。
【図9】他のLN−Z波長変換素子の構造を示す図であ
る。
【図10】本発明に係るレーザ光学装置の第4の実施例
の構成を概略的に示す斜視図である。
【図11】本発明に係るレーザ光学装置の第5の実施例
の構成を概略的に示す斜視図である。
【図12】本発明に係るレーザ光学装置の第6の実施例
の構成を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・・・半導体レーザチップ 3・・・・・ヒートシンク 4・・・・・プロトン交換光導波路 5・・・・・LN−X基板 6・・・・・LN−X波長変換素子 9・・・・・プロトン交換光導波路出射端面 11・・・・剛性を有する基板 20・・・・直角を有する部材 60・・・・液体金属 61・・・・金属粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−20783(JP,A) 特開 平4−84481(JP,A) 特開 平2−194580(JP,A) 実開 平4−48656(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 H01L 21/52

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光を発光あるいは出射する第1の
    光学素子と、この第1の光学素子から発光あるいは出射
    されたレーザ光が透過、入射あるいは受光される第2の
    光学素子との少なくとも一方を、これらの第1、第2の
    光学素子を実装するための基板に固定するレーザ光学素
    子の固定方法において、 少なくともガリウムを主成分とする液体金属と共に、
    銅、銀を主成分とする金属粒子を用い、上記基板と上記
    液体金属と上記金属粒子とを合金化反応させることによ
    り上記第1、第2の光学素子の少なくとも一方を上記基
    板に固定することを特徴とするレーザ光学素子の固定方
    法。
  2. 【請求項2】 上記液体金属として、ガリウム、インジ
    ウムを主成分とする液体金属を用いることを特徴とする
    請求項1記載のレーザ光学素子の固定方法。
  3. 【請求項3】 上記液体金属を、ガリウム、インジウ
    ム、錫を主成分としたことを特徴とする請求項1記載の
    レーザ光学素子の固定方法。
  4. 【請求項4】 上記液体金属を、ガリウム、インジウ
    ム、亜鉛を主成分としたことを特徴とする請求項1記載
    のレーザ光学素子の固定方法。
  5. 【請求項5】 上記液体金属として、ガリウムGa、イ
    ンジウムIn、錫Sn、亜鉛Znの組成を、 Ga 40%〜95% In 5%〜40% Sn 0%〜30% Zn 0%〜10% としたものを用いることを特徴とする請求項1記載のレ
    ーザ光学素子の固定方法。
  6. 【請求項6】 上記金属粒子を、銀、銅、錫を主成分と
    したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載
    のレーザ光学素子の固定方法。
  7. 【請求項7】 上記金属粒子を、銀、銅、錫、金、パラ
    ジウムを主成分としたことを特徴とする請求項1、2、
    3、4又は5記載のレーザ光学素子の固定方法。
  8. 【請求項8】 上記第1の光学素子を半導体レーザ素子
    としたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6
    又は7記載のレーザ光学素子の固定方法。
  9. 【請求項9】 上記第1の光学素子を光導波路素子とし
    たことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は
    7記載のレーザ光学素子の固定方法。
  10. 【請求項10】 上記第1、第2の光学素子の一方をレ
    ンズとしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7、8又は9記載のレーザ光学素子の固定方
    法。
  11. 【請求項11】 上記第2の光学素子を光導波路素子と
    したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8又は9記載のレーザ光学素子の固定方法。
  12. 【請求項12】 上記第2の光学素子を非線形光学素子
    としたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8又は9記載のレーザ光学素子の固定方法。
  13. 【請求項13】 上記第2の光学素子を波長変換機能を
    有する光導波路素子としたことを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8又は9記載のレーザ光学素
    子の固定方法。
  14. 【請求項14】 上記第2の光学素子をフォトダイオー
    ド素子としたことを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7、8又は9記載のレーザ光学素子の固定方
    法。
  15. 【請求項15】 レーザ光を発光あるいは出射する第1
    の光学素子と、 上記第1の光学素子から発光あるいは出射されたレーザ
    光が透過、入射あるいは受光される第2の光学素子と、 上記第1、第2の光学素子を実装するための基板とから
    なり、 上記第1、第2の光学素子の少なくとも一方を上記基板
    に実装する際に、少なくともガリウムを主成分とする液
    体金属と共に、銅、銀を主成分とする金属粒子を用い、
    上記基板と上記液体金属と上記金属粒子とを合金化反応
    させることにより固定されて成ることを特徴とするレー
    ザ光学装置。
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