JP3297337B2 - 溶融アルミニウム合金用給湯レードルの製造方法 - Google Patents
溶融アルミニウム合金用給湯レードルの製造方法Info
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Description
備において溶融アルミニウム合金の給湯に使用される給
湯レードルの製造方法に係り、特に、給湯レードルの耐
久性の向上に関するものである。
に使用される材料は、一般に、鋳鉄材であり、例えば、
FC20〜30などが使用されている。しかし、その組
成等に関して、従来、細かくは規定されていなかった。
その理由として、どのような材料を使用しても、その表
面にセラミックス系のコーティングを施さなければ簡単
に溶融してしまうので、常に、コーティングを施した状
態で使用されるからである。
系のものが使用され、ジルコンサンド、窒化珪素、シリ
カ、酸化鉄などが、単独であるいはそれらの混合物で使
用されている。また、これらの塗膜を塗布するために使
用されるバインダーとしては、水系のものが多く使用さ
れ、一般的には、水に珪酸ソーダを溶解したもの(水ガ
ラス)が使用されている。これらの塗膜は、鋳鉄製のレ
ードル母材に塗布された後、適当な温度で乾燥される。
ードルの寿命は短く、一日の稼働時間が終了すると、翌
日は再度、塗膜を塗布するなどの方法で対処しているの
が現状である。更に、従来の給湯レードルでは、塗膜が
簡単に剥離するために、溶融アルミニウム合金によって
レードル母材が侵食されるので、レードル母材自体の寿
命が短かいことも問題となっている。
との間の密着性が十分ではないことにある。例えば、レ
ードル母材の組成の炭素当量が4.2よりも低いと、黒
鉛の晶出が不十分となり、また基地にパーライトが含ま
れるので、レードルの使用中にパーライトが分解して膨
脹差が生じ、塗膜にクラックが発生する。また、黒鉛の
晶出が不十分であり、黒鉛の数および大きさが小さいの
で、塗膜の黒鉛によるアンカー効果が小さいため、塗膜
の付着強度が低い。
ソーダを溶解したバインダー(水ガラス)を使用してい
るが、珪酸ソーダの量を多くすると、珪酸ソーダとアル
ミニウムとが反応してスラグを形成するので、逆に、塗
膜が剥離し易くなる。
程度で乾燥した場合に最高強度が得られるが、塗布後の
乾燥温度について特に規定されていないのが現状であ
る。
用の給湯レードルにおいては、レードル母材の鋳鉄材の
選択が不十分であること、塗膜及びそのバインダーの選
択が不十分であること、更に、その乾燥温度が不適当で
あることなどに起因して、塗膜が、容易に剥離してしま
うことが問題となっている。
問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、セラ
ミック系の塗膜の付着強度に優れ、長時間の使用が可能
な溶融アルミニウム合金用の給湯レードルを提供するこ
とにある。
ム合金用の給湯レードルの製造方法は、鋳鉄製のレード
ル母材に、水ガラス水溶液に分散させたセラミックス粉
末を塗布し、これを乾燥してレードル母材の表面に塗膜
を形成する溶融アルミニウム合金用給湯レードルの製造
方法において、前記レードル母材は、その組成が、Cが
3.3wt%以上、3.8wt%以下、Siが1.8w
t%以上、3.0wt%以下、Mnが0.3wt%以下
であり、且つ、その炭素当量が4.2以上、4.4以下
であるねずみ鋳鉄製であり、前記セラミックス粉末は、
構成比、70wt%以上、90wt%以下のジルコンサ
ンド、及び構成比、10wt%以上、30wt%以下の
シリカを含み、前記水ガラス水溶液は、珪酸ソーダの構
成比が6wt%以上、10wt%以下であり、前記セラ
ミックス粉末と前記水ガラス水溶液との重量混合比は、
3:7から6:4の範囲であることを特徴とする。
給湯レードルの製造方法によれば、レードル母材となる
鋳鉄について、上記の様に組成及び炭素当量を規定した
結果、熱膨張が小さく、塗膜の付着強度に優れたレード
ル母材が得られる。即ち、レードル母材の材料として、
鋳鉄を製造する際の基本的な組成であるC、Siを規定
するとともに、その相互関係が炭素当量で4.2〜4.
4の範囲に入る様に規定しているので、黒鉛のサイズが
ASTM規格でAタイプのNO.2からNO.3の範囲
に収まる。また、Mn量を0.3wt%以下と規定して
いるので、組織が全てフェライトとなり、レードル使用
中においても相変態を生じない。更に、上記の組成のも
のは、黒鉛中に塗膜が浸み込み、アンカー効果が極めて
大きく、塗膜が剥離することがほとんどない。また、組
織がフェライトで且つ黒鉛量が多いために、熱膨脹係数
が9×10-6/℃程度と小さい。従って、レードル使用
中は、例えば、急激に50℃から680℃に昇温する様
な熱衝撃が加わるが、熱膨脹係数が小さく発生する熱応
力が小さいので、塗膜にクラックが発生することがな
い。
して、ジルコンサンド及びシリカ(珪砂)の混合物を使
用し、その重量組成比を7:3〜9:1としているの
で、塗膜の熱膨張係数がレードル母材である鋳鉄の熱膨
張係数に近い値となる。これは、ジルコンサンドはジル
コニア分が多く、熱膨張係数が比較的大きいためであ
る。なお、シリカを添加したのは、バインダー中の珪酸
ソーダとのなじみを良くするためである。なお、ここ
で、ジルコンサンドの構成比を上記の範囲よりも小さく
すると、塗膜の熱膨脹係数が小さくなり、従って、塗膜
とレードル母材(鋳鉄)との熱膨脹差が増大する。これ
は、シリカは熱膨脹係数が極めて小さいためである。一
方、ジルコニアの構成比を上記の範囲よりも大きくする
と、先に述べた様に、バインダーとの密着性が低下す
る。
ラス水溶液を使用している。ただし、珪酸ソーダは融点
が低く、軟化して溶融アルミニウム合金中の酸化物と反
応するので、その重量構成比を6〜10%としている。
なお、水だけでは付着強度が出ないので、塗布後、乾燥
あるいは運搬する際、レードル同士が衝突あるいは重な
りあった時に塗膜が剥離してしまう。一方、珪酸ソーダ
が6wt%よりも少ない値では塗膜の強度を確保できな
い。
との重量混合比については、5:5が塗りやすく、乾燥
時においてもクラックが発生しない。セラミックス粉末
が60wt%を超えると、塗布が困難になる。また、セ
ラミックス粉末が30wt%よりも少ないと、混合液の
粘度が下がり、一回の塗布による塗膜が薄くなるので、
塗布の回数が増えて作業効率が悪い。従って、セラミッ
クス粉末と水ガラス水溶液との混合比(重量)は、3:
7〜6:4の範囲が適当である。
150℃以上、200℃以下が好ましい。乾燥後の塗膜
の強度自体に関しては、図5に示す様に、乾燥温度が8
0〜110℃の時の最高になり、それ以上でも以下でも
強度が低下する。しかし、110℃以下では、塗膜に含
まれる水分の除去が困難なため、150℃以上とする必
要があり、一方、強度を確保するため200℃以下が良
い。従って、150℃〜200℃の範囲が好ましい。
ルミニウム合金用の給湯レードルが得られる。
し、成分の調整を行った後、砂型に鋳込み、レードル母
材を鋳造した。レードル母材の組成は、C=3.5wt
%、Si=2.1wt%、Mn=0.25wt%、炭素
当量は4.2であった。このレードル母材の金属組織を
調べた結果、黒鉛がAタイプで、大きさはNO.2(A
STM規格による)であった。一方、塗膜材料として、
ジルコンサンド90wt%、シリカ10wt%を均一混
合したセラミックス粉末100g、及び、珪酸ソーダ5
wt%の水ガラス水溶液100gをビーカーに入れ、均
一撹拌して塗膜材料を作成した。
し、自然乾燥の後、200℃に保持した乾燥炉に入れて
20分間、乾燥を行った。
を、アルミニウム合金用のダイカスト鋳造設備の給湯機
に取り付け、1日10時間の運転を7日間継続したとこ
ろ、溶損はほとんど認められなかった。
を示す外観の顕微鏡写真を示す。図2に、給湯レードル
の使用後の断面組織の顕微鏡写真を示す。図2中、左側
が塗膜層、右側が鋳鉄部分である。図1に示すように、
一部、塗膜の剥離は認められたが、溶損は生じなかっ
た。また、図2に示す様に、アルミニウム合金の浸透層
は認められなかった。
レードルが溶損してしまう。比較のため、図3及び図4
に、従来の給湯レードルを使用した場合の外観及び断面
組織の顕微鏡写真を示す。なお、この給湯レードルの製
造諸元は以下の通りである。レードル母材は4.0炭素
当量の鋳鉄、塗膜材料はシリカとジルコンサンドのセラ
ミックス粉末の混合物(重量構成比=1:1)と、珪酸
ソーダ12wt%の水ガラス水溶液の混合液(重量構成
比=4:6)、乾燥温度は200℃、乾燥時間は60分
である。
ルの鋳鉄部がアルミニウム合金で浸食され(矢印部)、
その断面組織には、アルミニウム浸透層及び拡散層が認
められる。
溶融アルミニウム合金用の給湯レードルは、塗膜の付着
強度に優れ、給湯レードルを長期間、手入れなしで使用
することが可能になる。また、母材に溶損が発生しにく
いので、レードル母材の寿命を延長させることができ
る。
ルの使用後の損傷状況を示す外観の顕微鏡写真。
ルの使用後の断面組織の顕微鏡写真。
外観の顕微鏡写真。
鏡写真。
Claims (2)
- 【請求項1】 鋳鉄製のレードル母材に、水ガラス水溶
液に分散させたセラミックス粉末を塗布し、これを乾燥
してレードル母材の表面に塗膜を形成する溶融アルミニ
ウム合金用給湯レードルの製造方法において、 前記レードル母材は、その組成が、Cが3.3wt%以
上、3.8wt%以下、Siが1.8wt%以上、3.
0wt%以下、Mnが0.3wt%以下であり、且つ、
その炭素当量が4.2以上、4.4以下であるねずみ鋳
鉄製であり、 前記セラミックス粉末は、構成比70wt%以上、90
wt%以下のジルコンサンド、及び構成比10wt%以
上、30wt%以下のシリカを含み、 前記水ガラス水溶液は、珪酸ソーダの構成比が6wt%
以上、10wt%以下であり、 前記セラミックス粉末と前記水ガラス水溶液との重量混
合比は、3:7から6:4の範囲であることを特徴とす
る溶融アルミニウム合金用給湯レードルの製造方法。 - 【請求項2】 前記レードル母材に前記混合液を塗布し
た後の乾燥温度が、150℃以上、200℃以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融アルミニウム合
金用給湯レードルの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP01196297A JP3297337B2 (ja) | 1997-01-07 | 1997-01-07 | 溶融アルミニウム合金用給湯レードルの製造方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10193072A JPH10193072A (ja) | 1998-07-28 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3297337B2 (ja) |
-
1997
- 1997-01-07 JP JP01196297A patent/JP3297337B2/ja not_active Expired - Fee Related
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