JP3297020B2 - 制御システムの制御性能評価のための方法及び装置とそのためのプログラム記録媒体 - Google Patents
制御システムの制御性能評価のための方法及び装置とそのためのプログラム記録媒体Info
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Description
フィードバック制御システム(以後簡単に「制御システ
ム」と呼ぶ)は、化学プラントなどのプロセス制御分野
において多用されており、通常、一つの製造プラント当
たり50から1,000の制御システムが稼働してい
る。本発明は、このようなプラント内の数多くの制御シ
ステムを対象として、その制御性能を定量的に評価する
と共に、制御性能の変化を連続して自動監視する実用的
な制御性能評価方法とそのためのプログラム記録媒体を
提供するものである。本発明によれば、プラント内の制
御性能が悪くて改善を要するような制御システムを短時
間で容易に摘出することができ、また、外乱や運転条件
の変動などによる制御性能の経時変化を、自動的に逸早
く検出することが可能である。また本発明によれば、数
多くの制御システムの中から、その制御性能に問題があ
り改善対策の必要な対象を、逸早く確実に検出すること
ができる。
目標値(SV)、制御量(PV)、操作量(MV)の時
間的な推移とその関連性を観察し、観察者が望ましいと
する状態と対比することにより行われていた。通常この
望ましい状態はあいまいなものであり、定量性に欠けて
いるため、評価結果は、観察者による個人差の大きいも
のとなっていた。また、制御性能の経時変化の検出も、
SV、PV、MVの長期間に亘る変動状況を観察するこ
とによって行われていた。この場合、制御装置であるD
CSやプロセスコンピュータに保存されている時系列デ
ータと、それを時間軸に展開したグラフ表示(以後「ト
レンドグラフ」と呼ぶ)を観察し、一つ一つの制御シス
テムについて変動の有無の判定を行う必要があった。こ
の作業には多大な労力を必要とし、全ての制御システム
について日常的にこれを実施することは不可能であっ
た。
ムの制御性能の評価とその変化の監視の作業負担を軽減
すると共に、連続的に制御性能の変化監視を行い、ま
た、全ての制御システムの中から問題となる対象システ
ムを摘出できるようにすることを目的としている。
ムの制御性能評価を実現するシステム構成を図1に示し
た。図示のシステムは、DCS1とプロセスコンピュー
タ2からなり、プロセスコンピュータ2はさらに、プロ
セスデータベース部3と、データ処理部4と、演算結果
保存部5と、演算結果解析部6を備えている。プロセス
データベース部3は、DCS1から各制御システムのS
V、PV、MVを定周期に連続収集して、データベース
に長期間保存する。データ処理部4は、各時点のSV、
PV、MVに基づいて、後述される制御性指標Ce 、操
作性指標Cu 、制御性能指標Cp を計算し、制御システ
ムの評価と経時変化監視に必要なデータを作成する。
算した各時点の制御性指標Ce 、操作性指標Cu 、制御
性能指標Cp を時系列データとして保存する。演算結果
解析部6は、演算結果保存部5に保存されている制御性
指標Ce 、操作性指標Cu 、制御性能指標Cp の時系列
データを解析して、各制御システムの制御性能につい
て、評価と経時変化の監視とを行う。次に本発明方法の
原理について説明する。なお、以下の説明中で用いられ
る記号の一覧を数28に示す。
のように定義する。 制御性指標Ce : 数29の式(1)で表される制御偏差を用い、特定期間
(たとえば1日)における制御偏差の標準偏差を、その
期間の目標値の平均値で無次元化したものである。数2
9の式(2)で表される制御性指標Ce が小さいほど、
制御性能は良い。
えば1日)における操作量の標準偏差を、その期間の操
作量の平均値で無次元化したものである。
るので、必ずしも小さい方が良いわけではないが、同じ
制御性能が得られるのであれば、Cu は小さい方が望ま
しい。Cu は、外乱や目標値変更を検知する上で、Ce
より有効な指標となる。なお、上記した制御性指標Ce
および操作性指標Cu は、係数を用いて補正してもよ
く、例えば誤差の分布を考慮して3倍したり、さらには
百分率で取り扱う為に100倍したりして用いることが
できる。 総合評価の方法: 制御性指標Ce を横軸にし、操作性指標Cu を縦軸にし
て散布図を描き、Ceに重きを置いて制御性能を評価す
る。制御システム個別にCe の評価基準値を設定するこ
とが望ましいが、数百の対象システムに個別にこれを設
定することは事実上不可能である。そこで、制御量を物
理的に分類し、蓄積された実績から物理量単位で評価基
準値を設定する。すなわち、流量=5%、圧力=1%、
温度=1%、液面=5%、組成=3%のように決める。
この評価基準値と個々の制御システムのCe を比較し、
制御性能を判定する。その結果不良な対象は、制御シス
テムを再調整するなどの対策を施し、Ce を評価基準値
内にする。
の変化を、連続して自動的に監視する。そのために、先
に定義したCe とCu を組合せ、数31の式(4)に示
す制御性能指標Cp を用いる。
うために100倍する等係数を用いて補正してもよい。
ここで、数32はCe 、Cu の基準値で、任意の期間
(たとえば1ケ月間)の平均値を用いる。制御性能の経
時変化の監視は、定周期(たとえば1日周期)でCp を
計算し、上限基準値と逐次比較することで、制御性能の
変化を検出できる。上限基準値は、百分率で表示した場
合は、経験的に150から200%が適当である。この
監視で制御性能の変化(劣化)が検出された制御システ
ムについては、再調整などの対策が必要となる。
タから制御システム性能評価に用いる指標を算出する処
理の実施例フローであり、図1のデータ処理部4で行わ
れる処理の詳細を示す。以下、図1のシステム構成を参
照しつつ、図2のフローの順次のステップ(S1)〜
(S6)を説明する。 (S1):データ処理部4は、評価対象期間(たとえば
1日)に処理すべき各対象計器について、目標値、制御
量、操作量、制御状態に関するプロセスデータを、プロ
セスデータベース部3のデータベースより収集する。 (S2):計器ごとに、その目標値と制御量を計器レン
ジなどの計器固有の補正値を用いて正規化する。以後、
正規化されたデータのみが用いられるようにする。
いる計器について、目標値、制御量、操作量それぞれの
平均値を求め、さらに目標値−制御量と操作量に関して
それぞれの標準偏差を求める。 (S4):(S3)で求めた各量の平均値と標準偏差の
データにより制御性指標Ce と操作性指標Cu を演算
し、演算結果保存部5に出力する。このときCe とCu
の値は、評価をしやすくするため、適当な係数(たとえ
ばCe に対してはαe =300、Cu に対してはαu =
300)を乗じて補正しておく。 (S5):あらかじめ保存されているCe とCu の基準
値を、制御計器ごとに収集する。 (S6):当日分の制御性指標Ce 、操作性指標Cu と
それらの基準値とにより制御性能指標を求め、適当な係
数(たとえばαp =100)で補正して、演算結果保存
部5に出力する。 次に、制御性能変化監視についての具体例を説明する。
テムの事例により説明する。図3の(a)のトレンドグ
ラフから分かるように、17日目のところで制御システ
ムの調整を行ったが、これが逆に制御性能に悪影響を及
ぼしている。このデータについて制御性能の経時変化監
視を行うと、図3の(b)に示すように制御システム調
整前までは、Cp 値は100%近辺であったものが、調
整後は150〜180%まで上昇している。このよう
に、制御性能の劣化がCp によって容易に検出できるこ
とが分かる。すなわち、連続して定周期でCp を監視す
ることにより、制御性能の経時変化を自動的に検出する
ことができる。以上説明した本発明による制御システム
の制御性能評価方法は、プロセスコンピュータなどのコ
ンピュータを制御するプログラムを用いて実現される。
このようなプログラムは、コンピュータ内のメモリやH
DD、あるいはCD−ROM,MO,ZIP,MD,F
Dなどの任意のリムーバル記憶媒体に記録して用いられ
ることができる。
になるとともに、自動的に制御性能の経時変化の検出が
可能になる。これによって、従来人に依存していた制御
性能評価の作業が自動化され、人の負荷を軽減できる。
また、制御性能の劣化を早期検出できるので、制御シス
テムの再調整を遅滞なく行え、制御不良による運転変調
や経済的な損失を防止することができる。
ー図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 制御システムの制御性能を反映するパラ
メータを観測し、該パラメータの経時変化の大小を反映
する制御性能評価指標を算出し、該制御性能評価指標の
大小により制御性能を評価する制御システムの制御性能
評価方法において、 該制御性能評価指標が、数1〜数9で定義される制御性
能指標Cp であることを特徴とする制御システムの制御
性能評価方法。 【数1】 【数2】 【数3】 【数4】 【数5】 【数6】 【数7】 【数8】 【数9】 (ここで、数1は任意の期間における目標値の平均値、
数2は制御偏差の標準偏差、数3のCeは制御性指標、
数4は任意の期間における操作量の平均値、数5は操作
量の標準偏差、数6のCuは操作性指標、数7はC e の基
準値であって任意の期間の平均値、数8はC u の基準値
であって任意の期間の平均値をそれぞれ示す。) - 【請求項2】 制御システムの制御性能を評価する制御
性能評価装置であって、 制御システムの制御性能を反映するパラメータを収集し
て、収集したパラメータを保存するプロセスデータベー
ス部と、 該プロセスデータベース部に保存されたパラメータに基
づいて、数10〜数12の式で定義される制御性指標C
e 、数13〜数15の式で定義される操作性指標Cu、
および数16〜数18の式で定義される制御性能指標C
pを算出するデータ処理部と、 該データ処理部で算出された制御性能指標Cp を時系列
データとして保存する演算結果保存部と、 該演算結果保存部に保存された制御性能指標Cp の時系
列データを解析して制御システムの制御性能の評価と経
時変化の監視を行う演算結果解析部と、 を含んで構成されていることを特徴とする制御システム
の制御性能評価装置。 【数10】 【数11】 【数12】 【数13】 【数14】 【数15】 【数16】 【数17】 【数18】 (ここで、数10は任意の期間における目標値の平均
値、数11は制御偏差の標準偏差、数12のCeは制御
性指標、数13は任意の期間における操作量の平均値、
数14は操作量の標準偏差、数15のCuは操作性指
標、数16はC e の基準値であって任意の期間の平均
値、数17はC u の基準値であって任意の期間の平均値
をそれぞれ示す。) - 【請求項3】 観測結果の制御システムの制御性能を反
映するパラメータについて、該パラメータの経時変化の
大小を反映する制御性能評価指標を算出する機能と、該
制御性能評価指標の大小により制御システムの制御性能
を評価する機能とを備えたプログラムを記録したコンピ
ュータ読み取り可能なプログラム記録媒体であって、 該制御性能評価指標が、数19〜数27で定義される制
御性能指標Cp であることを特徴とするプログラム記録
媒体。 【数19】 【数20】 【数21】 【数22】 【数23】 【数24】 【数25】 【数26】 【数27】 (ここで、数19は任意の期間における目標値の平均
値、数20は制御偏差の標準偏差、数21のCeは制御
性指標、数22は任意の期間における操作量の平均値、
数23は操作量の標準偏差、数24のCuは操作性指
標、数25はC e の基準値であって任意の期間の平均
値、数26はC u の基準値であって任意の期間の平均値
をそれぞれ示す。)
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