JP3296445B2 - 抗菌性組成物 - Google Patents

抗菌性組成物

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JP3296445B2 JP34855592A JP34855592A JP3296445B2 JP 3296445 B2 JP3296445 B2 JP 3296445B2 JP 34855592 A JP34855592 A JP 34855592A JP 34855592 A JP34855592 A JP 34855592A JP 3296445 B2 JP3296445 B2 JP 3296445B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な抗菌性組成物に関
するものである。特に、歯科用コンポジットレジン、歯
科用接着材、義歯床用レジン、常温重合型即時重合レジ
ン、シーラントおよび歯科用セメント等の口腔内で使用
される抗菌性の硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】う食発生の原因としては、ミュータンス
菌(Streptococcus mutans)が原
因菌の一つとして挙げられており、又歯周炎についても
同様に口腔内細菌が原因となって発症すると言われてい
る。う食にかかった場合、通常はその部分を削除した
後、コンポジットレジンや金属などで修復する処理が行
われるが、う食部分の取り残しや充填物と歯質の間にギ
ャップが存在する等の原因から二次う食が発生する場合
がしばしば報告されている。
【0003】この様な二次う食を予防するため、抗菌剤
を含有する歯科材料に関する研究が最近活発に行われて
いる。
【0004】その多くは、歯科材料にクロルヘキシジン
やメトロニダゾールなどの抗菌剤を添加したものである
が、これらの材料では抗菌剤の水に対する溶解性が高い
ために、抗菌剤が歯科材料から短期間に徐放してしまい
抗菌効果の持続の点では満足できるものではなかった。
又、これらに代わるものとして水に難溶性のフェノール
系化合物を含有する歯科用組成物(特開平3−1183
09号)も提案されているが、ある程度持続期間の延長
は可能なものの、未だに充分ではないため満足の行く結
果が得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、長期
間持続効果を有する抗菌性組成物を見い出すことであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため研究を重ねた結果、特定のシラン化合
物で表面処理された無機フィラーと(メタ)アクリレー
ト化合物およびラジカル重合開始剤を組み合わせること
によって抗菌性を長時間持続させることができることを
見い出し本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(A)一般式
【0008】
【化6】
【0009】〔式中、Rは低級アルキル基またはアリー
ル基を、Rは低級アルキル基を、Xは次式で示される
抗菌性を発現する基を、
【化7】 hは2または3の整数を、gは3−hの整数を示す〕で
表されるシラン化合物で表面処理された無機フィラー、
(B)(メタ)アクリレート化合物、および(C)ラジ
カル重合開始剤からなることを特徴とする抗菌性組成物
である。
【0010】本発明に用いられる無機フィラーは一般に
入手可能なものであれば特に制限無く使用される。具体
的に例示すると、石英粉末、アルミナ粉末、ヒドロキシ
アパタイト、炭酸カルシウム、フルオロアルミノシリケ
ートガラス、硫酸バリウム、酸化チタン、ジルコニア粉
末、超微子シリカ、球状シリカ、球状シリカ−チタニ
ア、球状シリカ−ジルコニア、不定形シリカ−チタニ
ア、不定形シリカ−ジルコニアなどが挙げられる。特
に、平均粒子径が0.05〜5.0μm、好ましくは
0.05〜1.0μmの範囲にある球状無機酸化物が好
適に使用される。無機フィラーの平均粒子径が上記範囲
よりも小さい場合には組成物中の無機フィラー充填率が
低くなるため硬化体の耐久性が低くなる恐れがある。一
方、上記範囲よりも大きい場合には、ペースト状態で保
存した場合モノマーとフィラーの分離が生じ易い欠点が
ある。又、フィラーの形状が球状で無い時には硬化体表
面が粗相になるため口腔内細菌による歯垢が形成され易
くなる恐れがある。
【0011】上記球状無機酸化物としては、SiO2
はSiO2 に対して周期律表第1族金属酸化物0.01
〜5mol%及び周期率表第4族金属酸化物(SiO2
を除く)1〜25mol%よりなる球状無機酸化物が、
特に好適である。
【0012】即ち、周期律表第4族金属酸化物は、得ら
れる硬化体の透明性を廃止させ歯質との色調を合わせる
ために有効であるだけでなく、光照射による硬化深度が
深くなるため硬化体の物性の向上につながる。また、周
期律表第1族金属酸化物は複合酸化物の酸性度を調整す
ることにより、得られる硬化体の変色・着色を防止する
ために必要である。周期律表第1族金属酸化物として
は、Na2 O,K2 O等が周期律表第4族金属酸化物と
しては、ZrO2 ,TiO2 等が好適に使用される。
【0013】上記球状無機酸化物の製造方法は特に制限
されるものではなく、公知の方法が採用される。
【0014】代表的な製造方法を例示すれば、前記無機
物の粒子を分散状態で溶融してその表面張力で球状化せ
しめ、冷却して固化させる方法が挙げられる。かかる方
法を具体的に示せば、例えば、無機物の粒子を該粒子の
融点以上の温度を有する火焔と接触させた後、冷却する
方法が好適である。また、特願昭56−206862号
に示されているように、アルコキシシラン化合物を有機
溶剤に溶解し、これに水を添加して部分加水分解した
後、更に複合化する他の金属のアルコキサイド及びアル
カリ金属化合物を添加してアルカリ性溶媒中で加水分解
して析出する反応物の粒子を乾燥、焼成する方法も採用
し得る。
【0015】本発明の抗菌性組成物において、無機フィ
ラーは抗菌性を付与し、且つ(メタ)アクリレート化合
物への分散性を改良する目的で、一般式
【0016】
【化8】
【0017】〔R1 ,R,X,h,gの定義は前に同
じ〕で表される抗菌性シラン化合物により表面処理を行
うことが必須である。
【0018】上記抗菌性シラン化合物としては、前記し
抗菌性を発現しうる基を含有するアルコキシシラン化
合物であれば公知のものが制限なく使用でき、下記シラ
ン化合物類が例示される。
【0019】
【化9】
【0020】一般に好適に使用されるシラン化合物を具
体的に例示すると
【0021】
【化10】
【0022】等が挙げられる。
【0023】無機フィラーに対する該シラン化合物の処
理量は、無機フィラー100重量部に対して、0.5〜
20重量の範囲が好ましい。
【0024】上記シラン化合物だけでも、無機フィラー
の(メタ)アクリレート化合物への分散性は充分である
が、抗菌性組成物硬化後の硬化体の強度を高めるために
は一般式
【0025】
【化11】
【0026】〔式中、R3 は水素原子又は低級アルキル
基を、l,mは0又は1であり、R4は炭素数3〜10
のアルキレン基を、R5 は低級アルキル基を示す〕で表
されるビニル基含有シラン化合物を組み合わせて用いる
ことが好ましい。該ビニル基含有シラン化合物として、
具体的には
【0027】
【化12】
【0028】等が挙げられる。
【0029】ビニル基含有シラン化合物は、前記抗菌性
基含有シラン化合物100重量部に対して、10〜15
0重量部、好ましくは、20〜100重量部の割合で加
えることが硬化体の強度を高めるために好ましい。
【0030】無機フィラーの前記シラン化合物による処
理方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が何
ら制限なく採用される。具体的には、無機フィラー粒子
を有機溶媒に分散させ、シラン化合物を添加した後、溶
媒を除去し、加熱、減圧乾燥することによりシラン処理
物を得ることができる。上記溶媒としては、ヘキサン、
トルエン、ベンゼンなどの炭化水素化合物、四塩化炭
素、クロロホルム、塩化メチレンなどの塩素系炭化水素
化合物のような疎水性溶媒が好適に使用される。上記溶
媒の除去は一般にエバポレーターにより行い、加熱、減
圧乾燥は80〜200℃の範囲で、1〜20時間行えば
よい。
【0031】本発明の抗菌性組成物において無機フィラ
ーは、全(メタ)アクリレート化合物100重量部に対
して、20〜900重量部、好ましくは30〜600重
量部となる割合で使用される。
【0032】無機フィラーの量が20重量部より少ない
場合は、硬化体の耐久性が充分でなく、該フィラー量が
900重量部より多い場合には、得られる抗菌性組成物
の粘度が高くなり過ぎて歯質に対する濡れが悪くなり、
辺縁部にギャップが存在し易く二次う食にかかり易くな
る傾向にある。
【0033】本発明の抗菌性組成物の成分の一つは(メ
タ)アクリレート化合物である。該(メタ)アクリレー
ト化合物としては、ラジカル重合触媒によって重合する
公知のものが特に限定されることなく使用できる。一般
に好適に使用される該(メタ)アクリレート化合物を具
体的に例示するとメチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレ
ート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アク
リレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アク
リレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アク
リレート等の単官能ビニルモノマー;エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,
2′−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ
フェニル〕プロパン、2,2′−ビス〔4−(3−メタ
クリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニ
ル〕プロパン、トリメチロールプロパン(メタ)アクリ
レート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト等の多官能ビニルモノマー等が用いられる。
【0034】又、本発明の抗菌性組成物を接着材として
用いる場合には、一般式
【0035】
【化13】
【0036】〔式中、R6 はアルキル基又は水素原子、
7 は炭素数2〜20の有機残基、Yはカルボキシル基
(l=2の場合、Yは酸無水基の形で存在してもよい)
又は−OPO(OH)R8 基(R8 は水酸基、アルコキ
シル基又はアリーロキシル基)、lは1又は2の整数、
mは0又は1の整数)で表わされる酸性基含有ビニルモ
ノマーを上記(メタ)アクリレート化合物に混合して用
いることが好ましい。
【0037】上記一般式中、R6 で示される基は水素原
子又はアルキル基であり、アルキル基としては具体的に
メチル基、エチル基が挙げられる。
【0038】又、R7 は主鎖が酸素で中断されることも
ある炭素数2〜20の2価の有機酸基である。炭素数1
以下の場合は、湿潤下での接着耐久性が低い。炭素数2
1以上の場合は、材料の入手が困難であり、しかも硬化
体の強度が得られないため接着力が低い。該有機残基
は、上記炭素数を満足する限り脂肪族系あるいは芳香族
系有機残基のいづれでもよく、さらにハロゲン、アミノ
基、水酸基等の置換基によって一部が置換されていても
よい。
【0039】一般式中、Yはカルボキシル基又は−OP
O(OH)R8 基であり、上記有機残基に1又は2個結
合している。ここでR8 で示される基は水酸基;メトキ
シ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル基;フ
ェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリーロキシル基の
いづれかである。
【0040】該ビニルモノマーとしては、上記構造を有
するものであれば何ら制限なく用いられる。一般に好適
に使用される酸性基含有ビニルモノマーを具体的に例示
すると
【0041】
【化14】
【0042】等の分子内に1つのカルボキシル基を有す
るビニルモノマー;
【0043】
【化15】
【0044】等の分子内に2つのカルボキシル基を有す
るビニルモノマー;
【0045】
【化16】
【0046】等の分子内に1つのリン酸基を有するビニ
ルモノマー;
【0047】
【化17】
【0048】等の分子内に2つのリン酸基を有するビニ
ルモノマーが挙げられる。
【0049】優れた接着性を発現させるためには、前記
一般式で表わされる酸性基含有ビニルモノマーのR7
炭素数4〜20のアルキレン基が好ましく、更にはYが
カルボキシル基であることが好ましい。
【0050】これら好ましいビニルモノマーを具体的に
例示すると、7−メタクリロキシ−1,1−ヘプタンジ
カルボン酸、11−メタクリロキシ−1,1−ウンデカ
ンジカルボン酸、13−メタクリロキシ−1,1−トリ
デカンジカルボン酸等の分子内にカルボキシル基を2個
有するジカルボン酸類が挙げられる。
【0051】かかる酸性基含有ビニルモノマーは、通常
抗菌性組成物中の全ビニルモノマー100重量部あたり
1〜50重量部含有させる。
【0052】抗菌性組成物の成分の他の一つはラジカル
重合触媒である。
【0053】ラジカル重合触媒としては既知の光重合開
始剤や化学重合開始剤が用いられる。高い接着力を発現
させる為には光重合開始剤が好ましく、ジアセチル、ア
セチルベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタジオン、
2,3−オクタジオン、4,4′−ジメトキシベンジ
ル、α−ナフチルβナフチル、4,4′−オキシベンジ
ル、カンファーキノン、9,10−フェナンスレンキノ
ン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン;ベンゾイン
メチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイ
ンプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル;
2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキ
サントン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘
導体;ベンゾフェノン、P,P′−ジメチルアミノベン
ゾフェノン、P,P′−メトキシベンゾフェノン等のベ
ンゾフェノン誘導体が好適に使用される。
【0054】化学重合開始剤としては、過酸化物、アゾ
化合物等が好適に用いられる。過酸化物としては公知の
ものが何ら制限なく使用される。具体的にはジベンゾイ
ルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオ
キサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジオクタノイ
ルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジア
シルパーオキサイド;クメンハイドロパーオキサイド、
t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオ
キサイド;及びシクロヘキサノンパーオキサイド、メチ
ルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイ
ド等が挙げられる。またアゾ化合物としては2,2′−
アゾビスイソブチロニトリル、4,4′−アゾビス(4
−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)等が採用される。
【0055】上記光重合開始剤と化学重合開始剤はそれ
ぞれ単独で用いられるだけでなく、必要に応じて両者を
組合わせて用いることもできる。
【0056】これらのラジカル重合触媒は抗菌性組成物
中の全ビニルモノマー100重量部に対して、0.05
〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部添加するこ
とが望ましい。
【0057】また、上記のラジカル重合触媒に他の添加
剤を必要に応じて組合わせ、添加してもよい。例えば硬
化促進剤を添加することができる。
【0058】かかる硬化促進剤としては、N,N−ジメ
チル−P−トルイジン、N,N′−ジメチルベンジルア
ミン、N−メチルジブチルアミン、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、N,N−ジメチル−m−アニシジ
ン、P−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミン化合
物;アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素などのチオ尿
素化合物;ジメチルホスファイト、ジオクチルホスファ
イト等のホスファイト化合物;及びナフテン酸コバルト
などのコバルト系化合物;バルビツール酸、5−エチル
バルビツール酸、2−チオバルビツール酸等のバルビツ
ール酸誘導体;p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、
ベンゼンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩な
どが挙げられる。
【0059】該硬化促進剤の添加量は抗菌性組成物中の
全ビニルモノマー100重量部に対して0.05〜5重
量部、好ましくは0.1〜3重量部が望ましい。
【0060】本発明に用いる抗菌性組成物は、更に必要
に応じてハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ
ーテル、ブチルヒドロキシトルエン等の重合禁止剤を少
量添加するのが好ましい。
【0061】本発明の抗菌性組成物は最終的には全成分
を混合するが、保存中における硬化を防止するため必要
に応じて安定な2包に分けて包装することもできる。例
えば、酸性基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリレー
ト化合物の一部、処理無機フィラーの一部およびラジカ
ル重合開始剤から成る包装(A)と、硬化促進剤、(メ
タ)アクリレート化合物の一部および処理無機フィラー
の一部から成る包装(B)の組み合わせなどが一般的で
ある。
【0062】次に本発明の抗菌性組成物の具体的な用途
とその際の構成について具体的に説明するが、これらだ
けに限定されるものではない。
【0063】1.コンポジットレジン、シーラント 1−1 光硬化タイプ (メタ)アクリレート化合物、本発明のシラン化合物で
表面処理された無機フィラー(以下、特定フィラーとい
う)、光増感剤および硬化促進剤から構成される。
【0064】1−2 化学硬化タイプ 包装A;(メタ)アクリレート化合物、特定フィラーお
よび有機過酸化物を含む 包装B;(メタ)アクリレート化合物、特定フィラーお
よび硬化促進剤を含むから構成される。
【0065】これらコンポジットレジンあるいはシーラ
ントは、歯牙の欠損部あるいは小窩裂溝に充填後、光硬
化タイプの場合には、可視光を照射することで硬化し化
学硬化タイプの場合には練和後5〜10分以内に硬化す
る。
【0066】2.接着材(レジンセメント、ボンディン
グ材) 1−1 光硬化タイプ (メタ)アクリレート化合物、酸性基含有ビニルモノマ
ー、特定フィラー、光増感剤および硬化促進剤から構成
される。
【0067】1−2 化学硬化タイプ 包装A;(メタ)アクリレート化合物、酸性基含有ビニ
ルモノマー、特定フィラーおよび有機過酸化物を含む 包装B;(メタ)アクリレート化合物、特定フィラーお
よび硬化促進剤を含むから構成される。
【0068】これら接着材は、前記コンポジットレジン
や金属インレー、クラウンなどと歯質との接着に供され
る。硬化方法はコンポジットレジンと同様に行う。
【0069】
【発明の効果】本発明の抗菌性組成物は、長期間にわた
り抗菌性を持続することが可能であり、充填材又は接着
材として歯牙に用いることにより、二次う食の発生を抑
えることが可能である。
【0070】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するために
実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0071】実施例に使用するシラン化合物、酸性基含
有ビニルモノマーを以下の如く略記する。
【0072】
【化18】
【0073】
【化19】
【0074】実施例1〜12、比較例1,2 下に示す組成の抗菌性組成物を調製した。無機フィラー
とその表面処理に用いたシラン化合物の種類は表1に示
す。
【0075】 組成 無機フィラー 75重量部 上記フィラーの表面処理に用いたシラン化合物 x重量部 ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート 15重量部 トリエチレングリコールジメタクリレート 10重量部 カンファーキノン 0.4重量部 p−ジメチルアミノ安息香酸エチル 0.6重量部 ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.05重量部 調製は、まず無機フィラーと処理に用いるシラン化合物
をアルコール/水の混合溶媒中で6時間接触させた後、
該溶媒を減圧下で留去させた。次に、(メタ)アクリレ
ート化合物、ラジカル重合開始および重合禁止剤を溶か
した溶液を調製し、該シラン処理無機フィラーと混合し
てペースト化した。
【0076】シラン化合物で処理しない場合を比較例
1,2とした。
【0077】抗菌性の確認は下記の手順で試験片への菌
の発育阻止と菌の発育阻止斑の観察を行った。
【0078】1)試験片の作製方法 エチレンオキサイドガス滅菌した組成物をテフロン製の
型に填入後、市販の可視光照射器「ホワイトライト」
(タカラベルモント社製)を用いて30秒間光照射して
硬化させ直径8mm厚さ2mmの円盤上の試験型を作製
した。
【0079】2)抗菌性の判定 調製したBHI(ブレインハートインヒュージョン)寒
天平板上に、一夜培養したミュータンス菌(Strep
tococcus mutans OMZ 175)培
養菌液を均一に広げ1時間乾燥させた。次にその上に試
験片を置き嫌気性下で37℃24時間培養した後、試験
片への菌の付着状況と試験片周囲の発育状況を観察し
た。判定は以下の基準で行い判定結果を表1に示す。
【0080】イ)組成物表面での菌の発育阻止状況 試験片直下の寒天平板上に菌の発育阻害が − ;全く認められない。
【0081】± ;少し認められる。
【0082】+ ;ある程度認められる
【0083】++;かなり認められる
【0084】ロ)発育阻止斑の発現状況 試験片周囲に菌の発育阻止斑が − ;全く認められない。
【0085】± ;幅約1mm未満のリング状で認めら
れる。
【0086】+ ;幅約1〜2mmのリング状で認めら
れる。
【0087】++;幅約2mmを越えるリング状で認め
られる。
【0088】
【表1】
【0089】実施例13〜20、比較例3〜4 実施例2および6〜12の抗菌性組成物を各々実施例1
〜12と同様な方法で硬化体を作製し、37℃水中で6
ケ月保存した後充分水洗を行った。次に実施例1〜12
と同様な方法で抗菌性の確認を行い、結果を表2に示し
た。
【0090】又、硬化体の保存および水洗に用いた水を
回収し高速液体クロマトグラフィーで水に対する抗菌剤
の溶出量を測定した。結果については表2に示す。
【0091】尚、比較としてクロルヘキシジン、5−ク
ロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール
を抗菌剤に用いた場合についても同様な試験を行った。
【0092】
【表2】
【0093】実施例21〜27 実施例2のビスフェノールAジグリシジルメタクリレー
ト(BDGMとも略す)、トリエチレングリコールジメ
タクリレート(TEGDとも略す)の代わりに表3に示
した(メタ)アクリレート化合物、カンファーキノン
(CQとも略す)、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル
(DMBEとも略す)の代わりに表3に示したラジカル
開始剤を用い、実施例1〜12と同様な方法で抗菌性を
確認した。結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】実施例28〜30 実施例1〜12と同様にして以下に示す組成の抗菌性組
成物を調製した。
【0096】 表4に記載の無機フィラー x重量部 シラン化合物(化合物A) 4重量部 ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート 〔50− (1/2)x〕重量部 トリエチレングリコールジメタクリレート 〔50− (1/2)x〕重量部 カンファーキノン 0.4重量部 p−ジメチルアミノ安息香酸エチル 0.6重量部 ハイドロキノンジメチルエーテル 0.05重量部 抗菌性の判定は実施例1〜12と同様な方法を用いた。
結果を表4に示す。
【0097】
【表4】
【0098】実施例31〜32 表5に示す2包装の抗菌性組成物を実施例1〜12に準
じて調製した。2ペーストを等重量採取した後、20秒
間練和したものを実施例1〜12と同様なテフロン製の
型に填入し10分間放置する事によって硬化体が得られ
た。
【0099】抗菌性の判定は実施例1〜12と同様な方
法を用いて行った。結果は表5に示す。
【0100】
【表5】
【0101】実施例33〜36 実施例2,3および11,12に示した抗菌性組成物を
直径6mm、深さ3mmの孔を有するステンレス製割型
に填入しポリプロピレンフィルムで圧接した。次に圧接
面にホワイトライトを用いて光照射を行った。照射後硬
化体を割型から取り外し、更に硬化体の底面に30秒間
光照射した。次いで硬化体を37℃の蒸留水中に24時
間浸漬保存した後、東洋ボードウイン製テンシロンUT
M−5Tを用いて引張り強度を測定した。なお、クロス
ヘッドスピードは、10mm/minとした。
【0102】その結果、実施例2,3の抗菌組成物につ
いてはそれぞれ402kg/cm2、396kg/cm
2 であるのに対し、実施例11,12の抗菌性組成物に
ついてはそれぞれ506kg/cm2 、510kg/c
2 の値を示し、強度が向上することが判明した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一般式 【化1】 〔式中、Rは低級アルキル基またはアリール基を、R
    は低級アルキル基を、Xは次式で示される抗菌性を発現
    する基を、 【化2】 hは2または3の整数を、gは3−hの整数を示す〕で
    表されるシラン化合物で表面処理された無機フィラー、
    (B)(メタ)アクリレート化合物、および(C)ラジ
    カル重合開始剤からなることを特徴とする抗菌性組成
    物。
  2. 【請求項2】(A)一般式 【化3】 〔式中、Rは低級アルキル基またはアリール基を、R
    は低級アルキル基を、Xは次式で示される抗菌性を発現
    する基を、 【化4】 hは2または3の整数を、gは3−hの整数を示す〕お
    よび一般式 【化5】 〔式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を、l,m
    は0又は1であり、Rは炭素数3〜10のアルキレン
    基を、Rは低級アルキル基を示す〕で表される両シラ
    ン化合物で表面処理された無機フィラー、(B)(メ
    タ)アクリレート化合物、および(C)ラジカル重合開
    始剤からなることを特徴とする抗菌性組成物。
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