JP3295798B2 - 点滴・人工透析用椅子 - Google Patents

点滴・人工透析用椅子

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JP3295798B2
JP3295798B2 JP13642896A JP13642896A JP3295798B2 JP 3295798 B2 JP3295798 B2 JP 3295798B2 JP 13642896 A JP13642896 A JP 13642896A JP 13642896 A JP13642896 A JP 13642896A JP 3295798 B2 JP3295798 B2 JP 3295798B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として点滴や人
工透析、その他の治療を行う際に用いて好適な椅子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】点滴や人工透析、その他の治療を行う際
に用いられるこの種の椅子は、通常の状態で腰掛けるこ
とができることは勿論、患者が点滴、人工透析等を行う
場合、種々の医療用具を身体に付けたまま長時間にわた
って略同じ状態を保持しなければならず、しかも頭を低
くして両脚を少し上げた状態に維持することが好ましい
ことから、仰向けに寝ることができるようにしたものが
知られている。たとえば、実公平3−34179号公報
(以下、先行技術1という)に開示されている点滴・人
工透析用椅子は、背もたれを腰掛け体に対して前後方向
に傾動自在に設け、同じくすね当て体を腰掛け体に対し
て上下方向に回動自在に設けている。
【0003】また、略仰向けに寝ることができるように
した治療用の椅子としては、歯科用椅子が知られてい
る。たとえば、特公昭58−34140号公報に開示さ
れた歯科用椅子(以下、先行技術2という)は、背もた
れを前後方向に傾動自在に構成し、座台に固定した固定
フレームと背もたれの一側中間部とを肘掛けによって回
動自在に連結することにより、肘掛けの角度を患者の姿
勢に応じて変更し得るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】椅子に通常の状態で座
っている時、腕を違和感なく自然な状態で肘掛けに載せ
ることができることが望ましい。この条件を満たす腕の
状態としては、略水平かもしくは前下がりに傾斜してい
ることが好ましい。また、点滴や人工透析、その他の治
療を行う場合は、患者の身体上の負担が少なくしかも点
滴や治療に適した姿勢を長時間にわたって保たせること
が望ましい。この条件を満たす姿勢としては仰向けに寝
て、腕を身体に沿って略真っ直ぐに伸ばした姿勢とされ
る。しかしながら、上記した先行技術1,2はいずれも
上記した条件を満足することができないという問題があ
った。すなわち、先行技術1は、肘掛けの角度を可変す
ることができず、常にシートボトムの上面に対して後下
がりに傾斜しているため、腕を肘掛けに載せると腕も肘
掛けに沿って後下がりに傾斜し、手が肘よりも高くな
る。したがって、腕を対象とする点滴や人工透析、その
他の治療が行い難い。先行技術2は、背もたれを倒した
状態において肘掛けが斜め上方を指向する。これは、歯
の治療時に患者が肘掛けを身体の前方で強く握りしめる
ことができるようにするためで、点滴、人工透析等を受
ける場合には適さない。
【0005】したがって、本発明は上記した従来の問題
点に鑑みてされたもので、その目的とするところは、肘
掛けの角度をシートバックの回動に連動させて変更する
ことができ、座った姿勢と横になった姿勢のいずれにお
いても違和感がなく自然な状態で腕を肘掛けに載せるこ
とができ、点滴や人工透析、その他の治療を行うに最も
適した状態を長時間維持することができるようにした点
滴・人工透析用椅子を提供することにある。また、本発
明は、シートバックに連動して肘掛けの角度を変えたと
き、腕が前後方向にずれたりすることがなく、また衣
服、身体、治療器具等が袖と肘掛けとの間に挟まったと
しても容易に外すことができるようにした点滴・人工透
析用椅子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
第1の発明は、基台上に設置された椅子本体を、シー
トボトム、前後方向に回動自在なシートバック、上下方
向に回動自在なレッグレストおよび左右一対の肘掛けと
で構成し、この肘掛けを長手方向に分割して形成された
第1、第2の肘掛けアームで構成し、第1の肘掛けの前
端を袖の前端部寄りにおいて上下方向の回動自在に枢支
し、後端部側を前記第2の肘掛けアーム内にローラを介
して摺動自在に挿入し、前記第2の肘掛けアームの後端
を前記シートバックの側面で当該シートバックの回動支
点より高い位置において回動自在に枢支し、前記第1の
肘掛けアームの回動支点を前記シートバックの回動支点
の高さと略等しくしたことを特徴とする。また、第2の
発明は、基台上に設置された椅子本体を、シートボト
ム、前後方向に回動自在なシートバック、上下方向に回
動自在なレッグレストおよび左右一対の肘掛けとで構成
し、前記シートバックの側面に上下方向に長い長孔を有
するガイド部材を固定し、前記肘掛けの前端側を前記シ
ートボトムのフレームの前端部上面に上下方向に回動自
在に枢着し、前記肘掛けの後端側を前記ガイド部材の前
記長孔に摺動自在に連結し、かつ肘掛けの前端側の回動
支点と、シートバックが起立した状態における前記長孔
の下側終端の高さを前記シートバックの回動支点と略等
しくしたことを特徴とする。
【0007】第1の発明において、第1、第2の肘掛け
アームは伸縮自在で、シートバックが起立した通常の状
態においては短縮しており、シートバックが後方に回動
して倒伏すると伸張する。また、シートバックが最大角
度後方に倒伏して略水平になると、肘掛けも略水平な状
態になる。第2の発明において、ガイド部材の長孔は肘
掛けの後端を摺動自在に案内支持する。肘掛けは、シー
トバックが起立すると後端側がガイド部材の長孔に沿っ
て上昇することで前下がりに傾斜し、シートバックが後
方に傾倒すると後端が前記長孔に沿って下降することで
略水平な状態になる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る点
滴・人工透析用椅子の一実施の形態を示す外観斜視図、
図2はシートボトムの内部を示す概略図、図3は同椅子
のテーブルをセットした状態の平面図、図4は同椅子を
ベッドとして使用する際の状態を示す側面図、図5は肘
掛けの分解斜視図、図6は同肘掛けの取付構造を示す側
面図である。図1〜図3において、点滴・人工透析用の
椅子1の概略を説明すると、この椅子1は、キャスタ2
を備えた基台3、この基台3上に脚台4を介して設置さ
れた椅子本体5およびテーブル6等で概ね構成されてい
る。椅子本体5は、シートボトム7、シートバック8、
シートボトム7の両側面に固定された一対の袖(サイド
パネル)9、レッグレスト10、各袖9の上方に設けら
れた左右一対の肘掛け11等で構成されている。また、
椅子本体5は、上下動自在で点滴や人工透析、その他の
治療を行う時に腕の高さが最も適した高さになるように
脚台4内に組み込まれた図示しないガスロック装置、油
圧シリンダ等によって高さが調整されるように構成され
ている。
【0009】図2および図6において、前記シートボト
ム7の内部には、前記シートバック8とレッグレスト1
0を前後方向に回動させる2つの駆動モータ14,15
が配設されている。駆動モータ14の出力軸14aには
ウォーム16が固定されており、このウォーム16にウ
オームホイール17が噛合している。また、ウォームホ
イール17の軸18には回動アーム19の下端が固定さ
れており、この回動アーム19の上端は前記シートバッ
ク8のフレーム20に上下方向に摺動自在に連結されて
いる。同様に、駆動モータ15の図示しない出力軸にも
ウォームが固定され、このウォームにウオームホイール
21が歯合している。ウォームホイール21の軸22に
は回動アーム23の上端が固定され、この回動アーム2
3の下端は前記レッグレスト10のフレーム24に上下
動自在に連結されている。なお、図6においては、回動
アーム19,23の図示を省略している。
【0010】前記シートバック8は、シートボトム7の
フレーム25に軸支された回動軸26に下端が取り付け
られることによって前後方向に回動自在で、通常は垂直
面に対して後方に適宜な角度(10°前後)傾斜して保
持されている。この状態において、前記駆動モータ14
の回転がウオーム16およびウォームホイール17を経
て回動アーム19に伝達されると、シートバック8は回
動アーム19によって後方に90°近く倒伏され、図4
に実線で示すように水平な状態より小角度θ(θ:3°
程度)下方に傾斜されるように構成されている。
【0011】前記レッグレスト10は、前記フレーム2
5に軸支された回動軸28に上端が取り付けられること
によって上下方向に回動自在で、通常は図1および図2
に示すように下方に略垂直に垂れ下がっている。この状
態において、前記駆動モータ15の回転がウォームホイ
ール21を経て回動アーム23に伝達されると、レッグ
レスト10は回動アーム23によって図2において時計
方向に略90°回動され、図4に実線で示すように水平
状態より少し上方に傾斜した状態に保持される。これに
よって患者を無理なく仰向けの姿勢に移行させることが
でき、患者に身体上の負担が少なく点滴や人工透析等の
治療を行うことができる。また、反対にシートバック8
を起立させ、レッグレスト10を倒すと、仰向けの姿勢
から腰掛けた姿勢に速やかに移行させることができる。
【0012】この場合、本実施の形態においては、シー
トバック8とレッグレスト10を回動させる手段として
駆動モータ14,15を用いた例を示したが、これに限
らず、手動式の角度調整機構を用いてもよい。その場合
は、ウォームホイール17,21をハンドルの操作によ
って回動させればよい。また、シートボトム7、シート
バック8、レッグレスト10および肘掛け11は、患者
が寝た状態で身体を左右に容易に動かし得るように、ま
た点滴などの治療が行い易いように通常の椅子よりも幅
広に形成されている。
【0013】図1、図2および図6において、前記袖9
はシートボトム7の側面に固定されており、その上面が
シートボトム7の上面と略同一の高さに設定されてい
る。袖9の上面前端部には図示しない孔が形成されてお
り、またこの孔には後述する脚柱31を出没自在に格納
する筒状体32が装着されている。また、袖9の外側面
には、テーブル6の不使用時にそのピン33が挿入され
る一対の支持用孔34が設けられており、これによって
袖9の外側面がテーブル6の収納面を形成している。
【0014】前記袖9内に装着された前記筒状体32は
上面が開放し、上端部外周面には受座36が溶接等によ
って一体に設けられている。受座36は、ブラケット3
7の上面に図示しない複数個の止めねじによって固定さ
れている。前記ブラケット37は、袖9内にあって前記
フレーム25に複数個のボルトおよびナットによって固
定されている。さらに、筒状体32の外周面には、前記
脚柱31の外周面下部に突設されたガイドピン38を摺
動自在に案内し脚柱31の突出量を規定するガイド孔3
9が筒状体32の軸線方向に長く延在するように形成さ
れるとともに、圧縮コイルばね40が装着されている。
ガイド孔39は逆J字状に形成されることにより、その
上側終端部が下方に折り返されてガイドピン38の係止
部39aを形成している。脚柱31を筒状体32の上方
に引き出してガイドピン38を係止部39aに挿入する
と、脚柱31は突出位置にセットされ、図2に示すよう
に前記テーブル6のピン33を支持する。前記圧縮コイ
ルばね40は、上端が前記ブラケット37の下面に溶接
等によって固定されており、下端が自然状態において図
6に示すように前記ガイド孔39の係止部39aよりや
や下方に延在している。そして、この圧縮コイルばね4
0は、脚柱31が上昇するとガイドピン38によって圧
縮され、テーブル6をセットした状態においてその弾撥
力によりガイドピン38を前記係止部39aの下端壁に
押し付ける。
【0015】前記脚柱31は、上面が開放する筒体に形
成されて前記筒状体32内に摺動自在に嵌挿されてお
り、下端部外周面に前記ガイド孔39内を摺動するガイ
ドピン38を有している。このため、脚柱31は筒状体
32から抜け出すことはない。また、脚柱31の上端に
は脚受部材42が溶接等によって固定されている。脚受
部材42の外周面の一部には図7に示すように凹部43
が形成されており、これと前記テーブル6の下面に突設
したストッパピン44とでテーブル6の回動角度を規制
する角度規制手段45を形成している。凹部44は、脚
受部材42の周方向に90°程度の角度範囲にわたって
形成されている。したがって、テーブル6は水平面内に
おいて略90°の範囲にわたって回動し得る。さらに、
脚受部材42の外周面には、脚柱31を手で回動させる
際の手の滑りを防止するセレーションが形成されてい
る。
【0016】前記テーブル6は、木材、金属板もしくは
合成樹脂によって製作された矩形の板状体からなる本体
6Aと、本体6Aの下面に垂設された一対からなる前記
ピン33と、ピン33の近傍に突設された前記ストッパ
ピン44とで構成されている。本体6Aの幅は、椅子1
の幅より大きく設定されている。ピン33は中空で先端
部が前記脚柱31への挿入を容易にするためにテーパ状
に形成されており、本体6Aの下面後端側、すなわちシ
ートバック8側の各角部付近にそれぞれ設けられてい
る。食事等において、テーブル6を袖9の上方にセット
して使用する場合は、脚柱31を袖9の上方に突出させ
てガイドピン38をガイド孔39の係止部39aに係止
する。しかる後、テーブル6のピン33を脚柱31に嵌
挿し、ストッパピン44を軸柱31の凹部43に挿入す
ればよい。図1〜図3はこの状態を示す。
【0017】図7は左側のピン33のストッパピン44
を左側の脚柱31の凹部43に挿入した状態を示す図で
ある。テーブル6をセットした状態において、ストッパ
ピン44は、凹部43の左側壁43aに近接もしくは接
触している。
【0018】ここで、左右一対の脚柱31は個々独立に
引き出されてピン33を支持しているため、いずれか一
方の脚柱31のみを用いてテーブル6を支持することも
可能である。その場合、たとえば左側の脚柱31のみに
よってテーブル6の左側のピン33を支持すると、テー
ブル6は、前記ピン33を中心として図7において反時
計方向に回動することができ、最大角度回動すると、ス
トッパピン44が凹部43の右側壁43bに当接して停
止される。この最大回動角度は略90°で、これによっ
てテーブル6を図3に二点鎖線で示すように椅子1の左
方に退避させることができる。こうすることにより、シ
ートボトム7の前方が開放されるため、テーブル6が邪
魔にならず、容易に着座したり離席することができる。
なお、図示を省略したが右側の脚柱31の凹部43は、
左側の脚柱31の凹部43とは左右対称的に形成されて
おり、これによって右側の脚柱31のみでテーブル6を
支持すると、テーブル6を右側のピン33を中心として
図3において時計方向に略90°まで回動させることが
でき、椅子1の右方に退避させることができる。
【0019】テーブル6を使用しない時は、一対のピン
33を袖9の外側面に設けた前記支持用孔34に差し込
むことで当該袖9の外側面に沿った状態で係止されてい
る。図4はこの状態を示す。
【0020】図1、図2、図4〜図6において、前記肘
掛け11は、長手方向に2つに分けて形成されることに
より第1、第2の肘掛けアーム11A,11Bとで構成
されている。第1の肘掛けアーム11Aの前端部と第2
の肘掛けアーム11Bの幅は略等しく、かつ点滴中等に
腕がずり落ちないように一般の椅子の肘掛けより大きな
幅を有している。第1の肘掛けアーム11Aの前端は前
記袖9の前端部寄りに回動軸としてのボルト50によっ
て上下方向に回動自在に枢支されており、後端部が細く
形成されてその先端部に回転自在な複数個のローラ53
が取り付けられるとともに前記第2の肘掛けアーム11
B内に摺動自在に挿入されている。前記ボルト50は、
前記シートボトム7のフレーム25に設けたブラケット
54(図6)に固定されており、前記シートバック8の
回動軸26の高さと略等しい。第2の肘掛けアーム11
Bは、断面形状がC字状(もしくはロ字状)の筒状体に
形成されて、後端が前記シートバック8の側面下部寄り
に同じく回動軸としてのボルト52によって上下方向に
回動自在に枢支されている。このボルト52は、前記シ
ートバック8の回動軸26よりも上方においてシートバ
ック8のフレーム20に固定されることにより、第1の
肘掛けアーム11Aの前端を回動自在に枢支する前記ボ
ルト50よりも通常上方に位置している。このような肘
掛け11は、図2および図6に示すようにシートバック
8が起立した通常の状態において、前下がりに所定角度
傾斜しており、この状態よりシートバック8を後方に倒
していくと、これに連動して回動すると同時に第2の肘
掛けアーム11Bの後退移動により伸張し、シートバッ
ク8が最大角度後方倒伏して略水平になると、肘掛け1
1も略水平となりシートボトム7の上面と略同一の高さ
に設定される。
【0021】このような構造からなる椅子1は、休息し
たり、食事、読書、書きもの等をする際にはシートバッ
ク8を起立させることにより通常の椅子として使用され
る。この状態において、肘掛け11は前下がりに所定角
度傾斜しているので、腕を幾分曲がったごく自然な状態
で肘掛け11の上に載せることができる。したがって、
この状態を長時間保っていても格別違和感がなく、また
疲労も少ない。一方、ベッドとして使用するときは、シ
ートバック8を後方に倒伏させると、これに連動して肘
掛け11の角度が変り、略水平な状態にセットすること
ができ、この状態において、肘掛け11は略水平でしか
もシートボトム7の上面と略同一の高さに設定されるの
で、腕を身体に沿って伸ばした状態で肘掛け11の上に
載せることができる。したがって、点滴や人工透析、そ
の他の治療を行うに適した姿勢を長時間にわたって保持
することができ、疲労を少なくすることができる。
【0022】図8は本発明の他の実施の形態を示す肘掛
けの側面図である。この実施の形態においては、前後方
向に長い長孔60を有する板状のガイド部材61をシー
トボトム7のフレーム25に複数個のボルト62および
ナットによって固定し、肘掛け11を1つの部材で構成
し、その前端部に前記長孔60に摺動自在に挿通される
摺動ピン63を設け、後端をボルト52によって上記し
た実施の形態と同様にシートバック8のフレーム20に
回動自在に連結している。その他の構造は上記した実施
の形態と同様であり、同一構成部材等については同一符
号を付している。
【0023】このような構造において、肘掛け11は、
シートバック8が起立した通常の状態において前下がり
に最大角度傾斜している。この状態よりシートバック8
を後方へ倒すと、これに連動して肘掛け11も回動して
略水平な状態となり、上面がシートボトム7の上面と略
同一の高さに設定される。この時、摺動ピン63は長孔
60に沿って後方に移動する。このような構造において
は、肘掛け11を一つの部材で構成しているので、部品
点数を少なくすることができる。
【0024】図9は本発明のさらに他の実施の形態を示
す椅子の外観斜視図、図10は肘掛けの取付構造を示す
分解斜視図である。この実施の形態においては、上下方
向に長い長孔70を有する板状のガイド部材71をシー
トバック8の各側面に複数個のボルト72によって固定
し、肘掛け11を1つの部材で構成し、その前端部をシ
ートボトム7のフレーム25の前端部上面に突設した肘
連結部74に連結ピンを構成するボルト75とナット7
6によって上下方向に回動自在に枢着し、後端部を前記
ガイド部材71の長孔70に同じく連結ピンを構成する
ボルト77およびナット78によって長孔70の長手方
向に摺動自在に連結している。肘掛け11の前端側の回
動支点であるボルト75は、シートバック8の回動支点
と略同一の高さに設定される。また、シートバック8が
起立した状態において、長孔70の下側終端の高さは、
前記シートバック8の回動支点の高さと略等しい。その
他の構造は上記した実施の形態と同様であり、同一構成
部材等については同一符号を付している。
【0025】このような構造において、肘掛け11は、
シートバック8が起立した通常の状態において前下がり
に最大角度傾斜している。この状態において、ボルト7
7は長孔70の上側終端に位置している。この状態より
シートバック8を後方に倒すと、これに連動して肘掛け
11も前端側を回動支点として回動することにより略水
平な状態となり、上面がシートボトム7の上面と略同一
の高さに設定される。この時、ボルト77は長孔70に
沿って前方へ移動する。このような構造においては肘連
結部74を覆っている肘掛け11の前端側が前後に移動
しないため、肘連結部74が患者によって視認されず、
椅子の外観が良好である。また、前端側が移動しなけれ
ば、袖9と肘掛け11との間に指が挟まることも少な
く、安全である。
【0026】図11は本発明のさらに他の実施の形態を
示す斜視図、図12は肘掛けの一部を破断して示す斜視
図である。この実施の形態においては、図8に示した実
施の形態と同様に肘掛け11を1つの部材で構成し、そ
の後端をシートバック8の側面でその回動支点(26)
より高い位置にて枢着するとともにばね80によって回
動端が下方に向くように付勢され、肘掛け11の前端部
下面に設けたローラ81を前記ばね80によって袖9の
上面に押し付けている。
【0027】前記シートバック8のフレーム20には、
「く」の字状に折り曲げ形成された支持軸82の基端部
が図示しない複数個のボルトとナットによって固定され
ている。支持軸82の自由端部は、前記フレーム20よ
り前方に位置して前記肘掛け11に後方から挿入され、
肘掛け11の後端側を上下方向に回動自在に軸支してい
る。
【0028】前記肘掛け11は、シートバック8を起立
させた通常状態において、所定角度をもって前下がりに
傾斜し前端側が前記ローラ81を介して袖9の上面にば
ね80のばね力によって圧接されているが、この状態に
おいてばね80に抗して持ち上げると上方に適宜な角度
α(例:30°)だけ回動し得るようになっている。こ
のように上方に回動すると、肘掛け11の前端側が袖9
の上面から浮き上がるため、シートバック8を起立させ
たり倒伏させたときに袖9の上面と肘掛け11との間に
身体、衣服、治療器具等が挟まったとしても上記した実
施の形態に比べて容易に外すことができる。肘掛け11
の上方への最大回動角度(α)は、適宜なストッパを肘
掛け11内に設けておき、回動時に支持軸82に当接さ
せることで容易に設定することができる。前記ばね80
は引張りコイルばねからなり、一端が前記支持軸82に
設けた係止部84に係止され、他端が前記肘掛け11の
内面に設けた係止部85に係止されている。
【0029】前記ローラ81は、袖9の上面に沿って転
動することにより袖9との間の摩擦を小さくし肘掛け1
1が前後方向に円滑に移動するようにしている。この場
合、本実施の形態においては、転動体としてローラ81
を用いたが、図13に示すようにボール86を用いても
よい。このボール86は、肘掛け11の下面に設けた球
状の保持部87によってあらゆる方向に回転自在にかつ
抜けを防止されて保持され、下面側が保持部87の下方
に突出して袖9の上面に当接する。
【0030】このような構造からなる点滴・人工透析用
椅子にあっては、肘掛け11の前端部をばね80によっ
て下方へ付勢し、肘掛け11の前端側を袖9の上面によ
り支承しているだけであるため、上記した通りシートバ
ック8を起立させたり倒したりしたときに、仮に袖9の
上面と肘掛け11との間に身体、衣服、治療器具等が挟
まったとしても肘掛け11をばね80に抗して持ち上げ
るだけで容易に外すことができる。また、肘掛け11は
ばね80によって下方に付勢されているので、浮き上が
ったりせず、安定した状態を保持できる。また、図9に
示した実施の形態においては、シートバック8を回動さ
せたとき、ボルト77が長孔70に沿って移動すること
により肘掛け11の後端側が上下に移動するので、肘掛
け11上の腕の位置がずれるが、本実施の形態において
は肘掛け11の後端をシートバック8に枢着しているの
で、シートバック8を回動させても肘掛け11上の腕の
位置はずれることがなく、治療器具等のずれを防止する
ことができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る点滴・
人工透析用椅子は、肘掛けを長手方向に分割して形成さ
れた第1、第2の肘掛けアームで構成し、第1の肘掛け
の前端を袖の前端部寄りにおいて上下方向の回動自在に
枢支し、後端部側を前記第2の肘掛けアーム内にローラ
を介して摺動自在に挿入し、前記第2の肘掛けアームの
後端を前記シートバックの側面で当該シートバックの回
動支点より高い位置において回動自在に枢支し前記第
1の肘掛けアームの回動支点を前記シートバックの回動
支点の高さと略等しくしたので、シートバックが起立し
た通常の状態においては肘掛けを前下がりに傾斜させ、
シートバックを後方に倒伏させた状態においては略水平
な状態にすることができる。したがって、通常の状態で
腰掛けて腕を肘掛けに載せると、腕が前下がりに傾斜
し、食事、読書、書きもの等を行うに適した姿勢を保持
することができる。また、シートバックを後方に倒伏さ
せて仰向けに寝た状態で腕を肘掛けに載せると、腕は身
体に沿って略真っ直ぐ伸びた状態を保持するので、点滴
や人工透析、その他の治療を行うに最も適した状態を長
時間保持することができる。また、本発明は、基台上に
設置された椅子本体を、シートボトム、前後方向に回動
自在なシートバック、上下方向に回動自在なレッグレス
トおよび左右一対の肘掛けとで構成し、前記シートバッ
クの側面に上下方向に長い長孔を有するガイド部材を固
定し、前記肘掛けの前端側を前記シートボトムのフレー
ムの前端部上面に上下方向に回動自在に枢着し、前記肘
掛けの後端側を前記ガイド部材の前記長孔に摺動自在に
連結し、かつ肘掛けの前端側の回動支点と、シートバッ
クが起立した状態における前記長孔の下側終端の高さを
前記シートバックの回動支点と略等しくしたので、シー
トバックが起立した通常の状態においては肘掛けを前下
がりに傾斜させ、シートバックを後方に倒伏させた状態
においては略水平な状態にすることができる。したがっ
て、通常の状態で腰掛けて腕を肘掛けに載せると、腕が
前下がりに傾斜し、食事、読書、書きもの等を行うに適
した姿勢を保持することができる。さらに、シートバッ
クを倒した際には肘掛けの前端側は摺動しないので、外
観が良好であるとともに、指を肘掛けと袖との間で挾め
ることが少なく、安全である。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る点滴・人工透析用椅子の一実施
の形態を示す外観斜視図である。
【図2】 シートボトムの内部を示す概略図である。
【図3】 同椅子のテーブルをセットした状態の平面図
である。
【図4】 同椅子をベッドとして使用する際の状態を示
す側面図である。
【図5】 肘掛けの分解斜視図である。
【図6】 同肘掛けの取付構造を示す側面図である。
【図7】 角度規制手段の平面図である。
【図8】 本発明の他の実施の形態を示す肘掛けの取付
構造を示す側面図である。
【図9】 本発明のさらに他の実施の形態を示す椅子の
外観斜視図である。
【図10】 肘掛けの取付構造を示す分解斜視図であ
る。
【図11】 本発明のさらに他の実施の形態を示す斜視
図である。
【図12】 肘掛けの一部を破断して示す斜視図であ
る。
【図13】 転動体としてボールを用いた実施の形態を
示す断面図である。
【符号の説明】
2…キャスタ、3…基台、4…脚台、5…椅子本体、6
…テーブル、7…シートボトム、8…シートバック、9
…袖、10…レッグレスト、11…肘掛け、26…回動
軸、50,52…ボルト、80…ばね、81…ローラ、
86…ボール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61G 15/00 A47C 7/54

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基台上に設置された椅子本体を、シート
    ボトム、前後方向に回動自在なシートバック、上下方向
    に回動自在なレッグレストおよび左右一対の肘掛けとで
    構成し、この肘掛けを長手方向に分割して形成された第
    1、第2の肘掛けアームで構成し、第1の肘掛けの前端
    を袖の前端部寄りにおいて上下方向の回動自在に枢支
    し、後端部側を前記第2の肘掛けアーム内にローラを介
    して摺動自在に挿入し、前記第2の肘掛けアームの後端
    を前記シートバックの側面で当該シートバックの回動支
    点より高い位置において回動自在に枢支し、前記第1の
    肘掛けアームの回動支点を前記シートバックの回動支点
    の高さと略等しくしたことを特徴とする点滴・人工透析
    用椅子。
  2. 【請求項2】 基台上に設置された椅子本体を、シート
    ボトム、前後方向に回動自在なシートバック、上下方向
    に回動自在なレッグレストおよび左右一対の肘掛けとで
    構成し、前記シートバックの側面に上下方向に長い長孔
    を有するガイド部材を固定し、前記肘掛けの前端側を前
    記シートボトムのフレームの前端部上面に上下方向に回
    動自在に枢着し、前記肘掛けの後端側を前記ガイド部材
    の前記長孔に摺動自在に連結し、かつ肘掛けの前端側の
    回動支点と、シートバックが起立した状態における前記
    長孔の下側終端の高さを前記シートバックの回動支点と
    略等しくしたことを特徴とする点滴・人工透析用椅子。
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