JP3294293B2 - 車両発電機の電圧制御装置 - Google Patents

車両発電機の電圧制御装置

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JP3294293B2
JP3294293B2 JP21473391A JP21473391A JP3294293B2 JP 3294293 B2 JP3294293 B2 JP 3294293B2 JP 21473391 A JP21473391 A JP 21473391A JP 21473391 A JP21473391 A JP 21473391A JP 3294293 B2 JP3294293 B2 JP 3294293B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両発電機の電圧制御装
置に関し、特に電気負荷急変時の車両エンジンの回転変
動や発電機の駆動トルクの増加によるベルトスリップを
効果的に防止できる電圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記電圧制御装置は、エンジンに連結さ
れて回転する車両発電機の発電能力の変動や、ヘッドラ
イト等の車載電気負荷の変動に関わらず発電電圧を一定
電圧に維持するもので、発電電圧を基準電圧と比較して
比較結果に基づいて発電機界磁コイルの励磁デューティ
を増減するものである。
【0003】ところで、大きな電気負荷の使用を開始す
ると、発電能力が不足して発電電圧が基準電圧を下回
り、上記電圧制御装置は界磁コイルの励磁デューティを
急激に増大せしめるため、発電機トルクが急増してこれ
を回転駆動するエンジンの回転数が変動するという問題
があった。
【0004】そこで、これを防止するために図9に示す
ような電圧制御装置1が提案されており(例えば特開昭
62−64299号公報)、本装置1においては基準電
圧Vrと発電電圧のフィードバック電圧VB をコンパレ
ータ11で比較し、その比較結果に基づいて後段カウン
タ106のアップ、ダウンカウントを選択する。カウン
タ出力はパルス幅発生回路107に入力し、該回路10
7はカウンタ出力に応じて出力デューティパルスのパル
ス幅を変更して後段のスイッチングトランジスタ12を
作動せしめ、発電機2の界磁コイル21の励磁デューテ
ィを変更する。
【0005】かかる構成によれば、負荷変動により発電
電圧が大きく変化しても、界磁コイル21の励磁デュー
ティは、クロックパルスが入力するカウンタ106のカ
ウント値に応じて時間を有して変化するからエンジン回
転数の変動が回避される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、発電電圧V
B が基準電圧Vrより上へ変化する場合には下へ変化す
る場合に比してより急速な応答が必要な場合が多いが、
上記従来装置では、パルス幅発生回路107の後段にA
NDゲート108を設け、該ゲート108にコンパレー
タ11の出力S1を直接入力して、発電電圧VB が基準
電圧Vrより上回る場合には上記トランジスタ12を即
座に遮断して界磁コイル21の励磁を停止している。
【0007】この場合、コンパレータ11の比較信号S
1により直接トランジスタ12が遮断されて励磁を停止
している間も、上記カウンタ106は作動を続行し緩や
かにカウントダウンを進めるから、発電機2の電気負荷
4が間欠的なものである場合、あるいはノイズの影響を
避けるためにコンパレータ11の比較信号がデューティ
パルスとして出力される場合等には、比較信号S1によ
り即時に非導通とされるトランジスタ12の実際の励磁
電流と、上記カウンタ106のカウント値が示す励磁デ
ューティの励磁電流換算値との間に差が生じる。しかし
て、発電電圧VB が基準電圧Vrを再び下回ってゲート
108が開き、カウント値で指示されたパルス幅のデュ
ーティパルスがトランジスタ12に与えられると、励磁
電流が急変してエンジン回転に変動を生じることがあっ
た。
【0008】本発明はかかる課題を解決するもので、間
欠的電気負荷に対して、励磁停止中の励磁デューティ検
出に誤差を生じず、励磁開始時の励磁電流急変を有効に
防止してエンジン回転変動を避けることが可能な車両発
電機の電圧制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の構成を図10で
説明すると、電圧制御装置は、車両発電機の界磁コイル
に加えられる励磁電圧を断続することにより、前記界磁
コイルに流れる励磁電流を変化させ、該発電機の発電状
態を制御する励磁手段と、該励磁手段の一定期間内の励
磁デューティを記憶する記憶手段と、上記発電機の出力
電圧と前記界磁コイルに流れる励磁電流とを検出する発
電状態検出手段と、この検出された出力電圧と励磁電流
のいずれもがそれぞれ所定値以下の場合に、上記記憶手
段に記憶された励磁デューティから所定量大きなデュー
ティ値で上記界磁コイルに励磁電圧を印加するととも
に、前記出力電圧と前記励磁電流の少なくとも一方がそ
れぞれの所定値より大きい場合に、上記記憶手段に記憶
された励磁デューティより小さなデューティ値で上記界
磁コイルに励磁電圧を印加する様に、上記励磁手段を制
御するデューティ制御回路手段とを具備している。また
本発明は、車両エンジンにより駆動され、車載のバッテ
リおよび電気的負荷に給電する車両発電機の界磁コイル
の励磁を発電電圧に応じて制御する車両発電機の電圧制
御装置において、前記車両発電機の発電電圧と界磁コイ
ル電流とを検出し、この発電電圧と界磁電流とをそれぞ
れの基準値と比較して、発電電圧と界磁コイル電流とを
それぞれの基準値に制御するための励磁デューティを設
定する励磁デューティ設定手段と、前記界磁コイルの励
磁デューティを検出し記憶する記憶手段と、前記検出さ
れた発電電圧が所定値以下のときに、前記記憶手段に記
憶された励磁デューティより所定値大きい励磁デューテ
ィを設定するとともに、前記検出された出力電圧が前記
所定値より大きいときに、前記記憶手段に記憶された励
磁デューティより小さい励磁デューティを設定する補正
手段と、前記励磁デューティ設定手段により設定された
励磁デューティを上限として前記補正手段により補正さ
れた励磁デューティで前記界磁コイルを励磁する励磁手
段とを備えることを備えることを特徴とする車両発電機
の電圧制御装置という構成を採用することができる。な
お、前記励磁デューティ設定手段は、前記バッテリの電
圧を前記発電電圧として検出して基準値(Vr)と比較
し、この比較結果に応じた励磁デューティを設定する励
磁デューティ設定回路(11、101)を備えて構成す
ることができる。また、前記補正手段は、カウント動作
を所定期間行なうカウンタ(151)と、当該カウンタ
のカウント期間を前記記憶手段に記憶された励磁デュー
ティに対応する期間より所定値長くする期間補正回路
(152、153)(13)(183)とを備えて構成
することができる。さらに、前記カウンタのカウント周
期を前記励磁デューティの周期よりも短く設定し、前記
記憶手段の記憶の更新周期を前記励磁デューティの周期
よりも長く設定するクロック回路(16)を備えて構成
することが望ましい。また、前記励磁手段は、前記界磁
デューティ設定手段により設定された励磁デューティを
示す信号と、前記補正手段により補正された励磁デュー
ティを示す信号とを入力するゲート回路(102)を備
えて構成することができる。また、前記励磁デューティ
設定手段は、前記界磁コイル電流が基準値(Vr1)を
こえたことを検出し、前記補正手段により補正された励
磁デューティを所定値に制限する制限手段を備えて構成
することができる。なお、前記制限手段は、前記記憶手
段に記憶された励磁デューティを減少させる手段(10
4、17)を備えて構成することができる。また、前記
制限手段は、前記補正手段により補正された励磁デュー
ティを零に設定する手段(104、151)を備えて構
成することができる。また本発明は、車両発電機の界磁
コイルの励磁デューティを変更することにより前記発電
機の発電電圧を一定に維持する車両発電機の電圧制御装
置において、前記界磁コイルの励磁電流を制御する励磁
手段(12)と、前記発電電圧を検出し基準電圧と比較
する発電電圧比較手段(11)と、前記界磁コイルを流
れる励磁電流を検出し基準電流と比較する励磁電流比較
手段(104)と、前記界磁コイルの励磁デューティを
記憶する記憶手段(13、17)、(13、14)と、
前記励磁電流の検出値が前記基準電流を下回るととも
に、前記発電電圧の検出値が前記基準電圧を下回る場合
に、前記記憶手段に記憶された励磁デューティに所定量
を加えた励磁デューティで前記励磁手段を動作させ、
記発電電圧の検出値が前記基準電圧を上回る場合若しく
前記励磁電流の検出値が前記基準電流を上回る場合
に、前記記憶手段に記憶された励磁デューティから所定
量を減じた励磁デューティで前記励磁手段を動作させる
デューティ制御手段(15)(181、182、18
3、15)とを備える構成を採用することができる。な
お、括弧内の符号は、各構成要素と後述の実施例との対
応を示すために付した実施例の参照符号である。
【0010】
【作用】上記構成の電圧制御装置において、間欠的電気
負荷の下で発電電圧が一定に制御されている時の励磁デ
ューティは各周期毎に記憶されている。大きな電気負荷
が投入されると発電電圧は基準電圧を下回り、この時間
が直前の周期で記憶された励磁デューティの励磁時間以
上持続すると上記直前の周期に記憶した励磁デューティ
から所定量増加したデューティで励磁が行なわれる。こ
れにより、記憶手段が一定周期毎に動作するごとに、励
磁デューテイは急変することなく漸次増大せしめられ、
エンジン負荷の急増が防止されて回転数の変動が避けら
れる。この、励磁デューテイを漸次増大する制御を励磁
電流が所定値を上回るときには行わないようにしたの
で、車両エンジンで駆動される発電機の過大出力や出力
急増を防止し、アイドル回転の安定化や発電機を駆動す
るベルトのベルトのスリップの防止を効果的に実現でき
る。請求項2記載の構成によると、発電電圧と界磁コイ
ル電流それぞれの基準に制御するための励磁デュー
ティが励磁デューティ設定手段により設定されるととも
に、補正された励磁デューティが補正手段により設定さ
れる。そして、励磁デューティ設定手段により設定され
た励磁デューティを上限として補正手段により補正され
た励磁デューティで界磁コイルが励磁される。このた
め、励磁デューティ設定手段が設定する励磁デューティ
が大きい場合には、補正された励磁デューティで界磁コ
イルが励磁され、励磁デューティ設定手段が設定する励
磁デューティが小さい場合には、その励磁デューティで
界磁コイルが励磁される。このため、電気負荷が急激に
増加した場合には補正手段で補正された励磁デューティ
によって徐々に励磁デューティが増加され、電気負荷が
急激に減少した場合には、励磁デューティ設定手段が設
定する励磁デューティに応じて急速に励磁デューティが
減少される。しかも、補正手段は記憶手段に記憶された
界磁コイルの励磁デューティに基づいて補正を加えてい
るから、電気負荷の急激な減少により励磁デューティが
減少された場合にも、それに追従することができる。こ
のため、実際の界磁コイルの励磁デューティが、補正手
段により設定される補正された励磁デューティと大きく
異なることが防止される。さらに、励磁デューティは励
磁デュ ーティ設定手段により設定された励磁デューティ
により上限が規定され、励磁デューティ設定手段は励磁
デューティを発電電圧と界磁コイル電流をそれぞれの基
準値に制御するように設定するから、車両エンジンで駆
動される発電機の過大出力や出力急増を防止し、アイド
ル回転の安定化や発電機を駆動するベルトのスリップの
防止を効果的に実現できる。なお、励磁デューティ設定
手段は、励磁デューティ設定回路(11、101)を備
えて構成することができ、例えば発電電圧(V)と基準
電圧(Vr)との比較結果を積分し、さらに所定周期を
もつ三角波と比較することで励磁デューティを設定する
ことができる。また、補正手段は、カウント動作を所定
期間行なうカウンタ(151)と、当該カウンタのカウ
ント周期を記憶手段に記憶された励磁デューティに対応
する期間より所定値長くする期間補正回路(152、1
53)(13)(183)とを備えて構成することがで
き、カウンタによって確実な動作を得ることができる。
さらに、カウンタのカウント周期を励磁デューティの周
期よりも短く設定し、記憶手段の記憶の更新周期を励磁
デューティの周期よりも長く設定するクロック回路(1
6)を備えて構成することが望ましく、カウント周期を
十分に短く設定することで高い分解能を得ることがで
き、更新周期を励磁デューティ周期と等しくすることで
高い応答性を得ることができる。なお、それぞれの周期
は、互いに倍数となるように設定し、それぞれの周期が
同期することが望ましい。また、励磁手段は、励磁デュ
ーティ設定手段により設定された励磁デューティを示す
信号と、補正手段により補正された励磁デューティを示
す信号とを入力するゲート回路(102)を備えて構成
することができ、例えばアンドゲートを用いることがで
きる。また、励磁デューティ設定手段は、界磁コイルの
励磁デューティが所定値(Vr1)をこえたことを検出
し、補正手段により補正された励磁デューティを所定値
に制限する制限手段を備えて構成することができる。
かる構成は、記憶手段に記憶された励磁デューティを減
少させる手段(104、17)、あるいは補正手段によ
り補正された励磁デューティを零に設定する手段(10
4、151)により実現することができる。請求項10
記載の構成によると、電気負荷投入時には界磁コイルに
加えられる励磁電流が時間を有してゆるやかに増加する
ように励磁デューティが設定されるとともに、前記励磁
電流が所定値に達すると、それ以上の励磁デューティの
増加を抑えることで車両エンジンで駆動される発電機の
過大出力や出力急増を防止し、アイドル回転の安定化や
ベルトスリップの防止を効果的に実現できる。
【0011】
【参考例】本発明の第1実施例になる電圧制御装置の説
明に先立ち、該説明の便宜のため第1実施例になる電圧
制御装置と共通の構成を有する参考例について説明す
る。図1において、電圧制御装置1のコンパレータ11
の「+」端子には抵抗分圧された発電電圧VB が入力
し、「−」端子には基準電圧Vrが入力している。コン
パレータ11の出力は抵抗とコンデンサより構成される
フィルタ回路を経てコンパレータ101に入力し、ここ
で鋸波と比較されて一定周期の間欠的なデューティパル
スとして比較信号S1が出力される。
【0012】比較信号は後述するパルス幅発生回路15
の出力信号S4とともにANDゲート102に入力し、
ゲート信号S2によりスイッチングトランジスタ12の
導通が制御されて発電機2の界磁コイル21の励磁デュ
ーティが変更される。
【0013】発電機2の電機子コイル22に発生した交
流電圧は整流器23により全波整流されてバッテリ3
と、操作スイッチ41を介してこれに並列に接続された
電気負荷4に供給される。装置1の各回路を作動せしめ
る電源103はキースイッチ31を介してバッテリ3に
接続されている。
【0014】上記ゲート信号S2はアップカウンタ13
へ入力し、該カウンタ13はゲート出力S2が「1」レ
ベルの間、クロック回路16からのクロックパルスCK
2をカウントアップする。カウント値はクロックパルス
CK3のタイミングでラッチ14に記憶され、上記パル
ス幅発生回路15に入力する。このカウント値は一定周
期中に信号S2が「1」レベルとなる時間、すなわち界
磁コイル21の励磁デューティを示している。
【0015】パルス幅発生回路15は図2に示す如く、
ダウンカウンタ151、その後段に設けたフリップフロ
ップ152、およびORゲート153より構成され、上
記ゲート153より上記信号S4が出力される。上記カ
ウンタ151にはクロックパルスCK1のタイミング
で、ラッチ14に記憶されたカウント値がセットされ、
クロックパルスCK2のタイミングで上記カウント値が
カウントダウンされる。
【0016】カウンタ151からはこのカウントダウン
の間「1」レベルとなる信号S3が出力され、この信号
S3はフリップフロップ152のD端子に入力してい
る。信号S3はラッチ14に記憶されたカウント値に比
例した時間幅のパルス信号であり、これは上記信号S2
が「1」レベルを持続する時間にほぼ対応している。
【0017】フリップフロップ152のCLK端子には
クロックパルスCK2が入力しており、かかるフリップ
フロップ152の出力信号と上記信号S3の論理和たる
信号S4は、信号S3(すなわち信号S2)にクロック
パルスCK2の一周期を付け加えた長さのパルスとな
る。なお、アップカウンタ13はクロックパルスCK1
のタイミングでリセットされる。
【0018】装置作動時の各信号のタイミングを図3に
示す。図より知られる如く、ラッチ14のセットはパル
スCK3の立ち上がり(図中a点)、ダウンカウンタ1
51のセットとアップカウンタ13のリセットはパルス
CK1の立ち上がりになされ(図中b点)、また、カウ
ンタ13におけるアップカウントはパルスCK2の立ち
上がり(図中c点)、カウンタ151におけるダウンカ
ウントはパルスCK2の立ち下がりでなされる(図中d
点)。なお、パルスCK3の時間間隔は例えば160m
sとする。
【0019】電気負荷と発電能力が均衡し、発電電圧が
一定に制御されている状態では、比較信号S1は比較的
短い周期でレベルが反転する(図の左端部)。この状態
ではアップカウンタ13は信号S2(すなわち信号S
1)が「1」レベルを示す間カウント動作をなし、本実
施例ではクロックパルスCK1の周期中にカウント値は
「2」となっている。このカウント値は既述の如くラッ
チ14に記憶され、パルス幅発生回路15からはカウン
ト値「3」に対応する幅のパルス信号S4が出力される
が、ゲート102において上記信号S1によりカットさ
れる。
【0020】大きな電気負荷が投入されて発電能力を越
えると発電電圧VB が基準電圧Vrを大きく下回り比較
信号S1は「1」レベルに反転してこの状態を持続する
(図の中央部)。しかして、ゲート信号S2として、こ
れまでよりもパルスCK2のほぼ1周期分だけ長い幅の
パルスが出力されて、この分励磁デューティが増大せし
められる。
【0021】この状態が次のパルスCK3が入力するま
で持続していると、該パルスCK3のタイミングでラッ
チ14にカウント値「3」が記憶され(図の右端部)、
これ以後パルス幅発生回路15からはカウント値「4」
に対応する長さのパルス信号S4が出力される。比較信
号S1は「1」レベルを維持しているからゲート信号S
2のパルス幅はさらに一周期分増加し、この分励磁デュ
ーティが増加する。
【0022】比較信号S1が「1」レベルを維持してい
る間、ゲート信号S2のパルス幅はパルスCK3が入力
する毎に一周期分づつ増加せしめられ、これに伴って励
磁デューティが漸次増大せしめられる。パルスCK3の
一周期分の増加が励磁デューティの3%の増加に相当す
ると、励磁デューティ50%の状態から100%まで増
加するのに約2.5sを要することになる。かくして、
電気負荷増大時には励磁デューティはその直前の値から
急変することなく時間を有して増加せしめられ、エンジ
ンの回転変動を生じることはない。
【0023】発電量が増大し、発電電圧VB が基準電圧
Vrを越えると比較信号S1は「0」レベルになり、ゲ
ート信号S2は即座に「0」レベルに反転して界磁コイ
ル21の励磁が停止する。アップカウンタ13はパルス
CK1でリセットされた後、ゲート信号S2が「0」レ
ベルの間はカウント作動せず、以後は再び、周期的にレ
ベルが反転する比較信号S1の、「1」レベルを示す時
間(励磁デューティ)がカウントされる。
【0024】
【実施例1】図4には本発明の実施例を示し、上記参考
のラッチ14に代えてダウンカウンタ17を設けると
ともに、スイッチングトランジスタ12に直列に電流検
出抵抗105を設けてその電圧を新たに設けたコンパレ
ータ104の「+」端子に入力し、「−」端子に入力す
る定電圧Vr1と比較している。
【0025】上記ダウンカウンタ17は図5に示す如く
パルスCK3の立ち上がりでアップカウンタ13のカウ
ント値を記憶するとともに、コンパレータ104の出力
信号が「1」レベルの時に、上記パルスCK3の立ち下
がりでダウンカウントする(図中e点)。他の構成は
考例と同様である。
【0026】かかる構成によれば、界磁コイル21の励
磁電流が所定値を越えるとコンパレータ104の出力信
号が「1」レベルとなり、この場合には図の右端部に示
すように、比較信号S1が「1」レベルを示す間に増加
せしめられて記憶されたカウント値を、パルスCK3の
立ち下がりでダウンカウントして、励磁デューティの増
加を抑える。
【0027】かかる構成によれば、電気負荷増大時には
励磁デューティがその直前の値から急変することなく時
間を有して増加せしめられ、エンジンの回転変動を生じ
ることはなく、しかも、冷間時の界磁コイルの過電流を
効果的に防止することができる為、余分な発電機の駆動
トルクを低減することができ、冷間時のエンジンアイド
ル回転の安定化やベルトスリップの防止、更に発電機の
過大出力の防止に効果がある。
【0028】
【実施例2】上記実施例2のコンパレータ104の出力
信号で図6に示す如くダウンカウンタ151をリセット
するようになせば、励磁電流が所定値を越えた場合には
励磁デューティを零近くへ戻すことができる。本実施例
では実施例のダウンカウンタ17を使用する必要はな
い。
【0029】
【実施例3】一周期分長いパルス幅のパルス信号S4を
作るのに上記実施例1ではダウンカウンタ151の後段
にフリップフロップ152を設けたが、これに代えて図
7に示す如く、パルスCK1によってアップカウンタ1
3を「1」にセットするようになしても同様の効果があ
る。
【0030】
【実施例4】図8には本発明のさらに他の実施例を示
し、セレクタ182を設けてそのD入力端子に比較信号
S1を入力し、C入力端子にはコンパレータ104の出
力信号をホールド回路181でホールドした信号を入力
する。上記ホールド回路181はパルスCK1(実施例
1参照)のタイミングでリセットされる。
【0031】セレクタ182は例えば、比較信号S1が
「0」レベルでホールド出力が「0」レベルの時には加
算器に+α1を与えて、これをカウンタ13のカウント
値に加えることによりパルス幅の増加した励磁パルス信
号をパルス幅発生回路15を経てスイッチングトランジ
スタ12に出力し、励磁デューティを漸次増加せしめ
る。
【0032】また、比較信号S1が「0」レベルでホー
ルド出力が「1」レベルの時には加算器に−α3を与え
て、これをカウンタ13のカウント値に加えることによ
りパルス幅の減少した励磁パルス信号をスイッチングト
ランジスタ12に出力し、励磁デューティを漸次減少せ
しめて、界磁コイルの過電流を抑える。
【0033】なお本発明は、比較信号を鋸波と比較した
デューティパルスとして得ず、単にコンパレータで発電
電圧と基準電圧を比較するだけの構成においても、電気
負荷自体が間欠的なものである場合には同様の効果があ
る。
【0034】
【発明の効果】以上の如く、請求項1記載の本発明の電
圧制御装置によれば、間欠的な比較信号に基づいて発電
機界磁コイルを所定デューティで励磁制御する場合に、
電気負荷の急増に対して励磁デューティを急変せしめる
ことなく時間を有して緩やかに増大せしめることによ
り、エンジン回転数の変動を効果的に防止することがで
きる。さらに、励磁デューテイを漸次増大する制御を励
磁電流が所定値を上回るときには行わないようにしたの
で、車両エンジンで駆動される発電機の過大出力や出力
急増を防止し、アウドル回転の安定化やベルトスリップ
の防止を効果的に実現できる。請求項2記載の構成によ
ると、電気負荷が急激に増加した場合には補正指弾で補
正された励磁デューティによって徐々に励磁デューティ
が増加され、電気負荷が急激に減少した場合には、励磁
デューティ設定手段が設定する励磁デューティに応じて
急速に励磁デューティが減少される。しかも、実際の界
磁コイルの励磁デューティが、補正手段により設定され
る補正された励磁デューティと大きく異なることが防止
されるため、再び励磁デューティを増加させる場合にも
励磁デューティが不連続に変化することがなく、実際に
界磁コイルに与えられている励磁デューティから滑らか
に変化させることができる。さらに、励磁デューティの
上限が発電電圧と励磁電流がそれぞれの所定値になるよ
うに制御されるから車両エンジンで駆動される発電機の
過大出力や出力急増を防止し、アイドル回転の安定化や
ベルトスリップの防止を効果的に実現できる。請求項1
0記載の発明によると、励磁デューティをゆるやかに増
加させることができるとともに、励磁デューティを抑え
ることで車両エンジンで駆動される発電機の過大出力や
出力急増を防止し、アイドル回転の安定化やベルトスリ
ップの防止を効果的に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例における装置の全体回路図である。
【図2】参考例における装置の要部回路図である。
【図3】信号タイムチャートである。
【図4】実施例における装置の要部回路図である。
【図5】信号タイムチャートである。
【図6】実施例における装置の要部回路図である。
【図7】実施例における装置の要部回路図である。
【図8】実施例における装置の要部回路図である。
【図9】従来装置の全体回路図である。
【図10】クレーム対応図である。
【符号の説明】
1 電圧制御装置 11 コンパレータ 12 スイッチングトランジスタ 13 アップカウンタ 14 ラッチ(記憶手段) 15 パルス幅発生回路(デューティ制御回路手段) 16 カウンタ回路 2 発電機 21 界磁コイル 3 バッテリ 4 電気負荷
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−308135(JP,A) 特開 昭59−149799(JP,A) 特開 昭62−64299(JP,A) 特開 平3−118800(JP,A) 特開 平2−184300(JP,A) 特開 平2−307400(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両発電機の界磁コイルに加えられる励
    磁電圧を断続することにより、前記界磁コイルに流れる
    励磁電流を変化させ、該発電機の発電状態を制御する励
    磁手段と、 該励磁手段の一定期間内の励磁デューティを記憶する記
    憶手段と、 上記発電機の出力電圧と前記界磁コイルに流れる励磁電
    流とを検出する発電状態検出手段と、 この検出された出力電圧と励磁電流のいずれもがそれぞ
    れ所定値以下の場合に、上記記憶手段に記憶された励磁
    デューティから所定量大きなデューティ値で上記界磁コ
    イルに励磁電圧を印加するとともに、前記出力電圧と前
    記励磁電流の少なくとも一方がそれぞれの所定値より大
    きい場合に、上記記憶手段に記憶された励磁デューティ
    より小さいデューティ値で上記界磁コイルに励磁電圧を
    印加する様に、上記励磁手段を制御するデューティ制御
    回路手段とを具備する車両発電機の電圧制御装置。
  2. 【請求項2】 車両エンジンにより駆動され、車載のバ
    ッテリおよび電気的負荷に給電する車両発電機の界磁コ
    イルの励磁を発電電圧に応じて制御する車両発電機の電
    圧制御装置において、 前記車両発電機の発電電圧と界磁コイル電流とを検出
    し、この発電電圧と界磁電流とをそれぞれの基準値と比
    較して、発電電圧と界磁コイル電流とをそれぞれの基準
    値に制御するための励磁デューティを設定する励磁デュ
    ーティ設定手段と、 前記界磁コイルの励磁デューティを検出し記憶する記憶
    手段と、 前記検出された発電電圧が所定値以下のときに、前記記
    憶手段に記憶された励磁デューティより所定値大きい励
    磁デューティを設定するとともに、前記検出された出力
    電圧が前記所定値より大きいときに、前記記憶手段に記
    憶された励磁デューティより小さい励磁デューティを設
    定する補正手段と、 前記励磁デューティ設定手段により設定された励磁デュ
    ーティを上限として前記補正手段により補正された励磁
    デューティで前記界磁コイルを励磁する励磁手段とを備
    えることを特徴とする車両発電機の電圧制御装置。
  3. 【請求項3】 前記励磁デューティ設定手段は、前記バ
    ッテリの電圧を前記発電電圧として検出して基準値(V
    r)と比較し、この比較結果に応じた励磁デューティを
    設定する励磁デューティ設定回路(11、101)を備
    えることを特徴とする請求項2記載の車両発電機の電圧
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記補正手段は、カウント動作を所定期
    間行なうカウンタ(151)と、当該カウンタのカウン
    ト期間を前記記憶手段に記憶された励磁デューティに対
    応する期間より所定値長くする期間補正回路(152、
    153)(13)(183)とを備えることを特徴とす
    る請求項2記載の車両発電機の電圧制御装置。
  5. 【請求項5】 さらに、前記カウンタのカウント周期を
    前記励磁デューティの周期よりも短く設定し、前記記憶
    手段の記憶の更新周期を前記励磁デューティの周期より
    も長く設定するクロック回路(16)を備えることを特
    徴とする請求項4記載の車両発電機の電圧制御装置。
  6. 【請求項6】 前記励磁手段は、前記界磁デューティ設
    定手段により設定された励磁デューティを示す信号と、
    前記補正手段により補正された励磁デューティを示す信
    号とを入力するゲート回路(102)を備えることを特
    徴とする請求項2記載の車両発電機の電圧制御装置。
  7. 【請求項7】 前記励磁デューティ設定手段は、前記界
    磁コイル電流が基準値(Vr1)をこえたことを検出
    し、前記補正手段により補正された励磁デューティを所
    定値に制限する制限手段を備えることを特徴とする請求
    項2記載の車両発電機の電圧制御装置。
  8. 【請求項8】 前記制限手段は、前記記憶手段に記憶さ
    れた励磁デューティを減少させる手段(104、17)
    を備えることを特徴とする請求項7記載の車両発電機の
    電圧制御装置。
  9. 【請求項9】 前記制限手段は、前記補正手段により補
    正された励磁デューティを零に設定する手段(104、
    151)を備えることを特徴とする請求項7記載の車両
    発電機の電圧制御装置。
  10. 【請求項10】 車両発電機の界磁コイルの励磁デュー
    ティを変更することにより前記発電機の発電電圧を一定
    に維持する車両発電機の電圧制御装置において、 前記界磁コイルの励磁電流を制御する励磁手段(12)
    と、 前記発電電圧を検出し基準電圧と比較する発電電圧比較
    手段(11)と、 前記界磁コイルを流れる励磁電流を検出し基準電流と比
    較する励磁電流比較手段(104)と、 前記界磁コイルの励磁デューティを記憶する記憶手段
    (13、17)、(13、14)と、 前記励磁電流の検出値が前記基準電流を下回るととも
    に、前記発電電圧の検出値が前記基準電圧を下回る場合
    に、前記記憶手段に記憶された励磁デューティに所定量
    を加えた励磁デューティで前記励磁手段を動作させ、
    記発電電圧の検出値が前記基準電圧を上回る場合若しく
    前記励磁電流の検出値が前記基準電流を上回る場合
    に、前記記憶手段に記憶された励磁デューティから所定
    量を減じた励磁デューティで前記励磁手段を動作させる
    デューティ制御手段(15)(181、182、18
    3、15)とを備えることを特徴とする車両発電機の電
    圧制御装置。
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