JP3293078B2 - ガスケット - Google Patents

ガスケット

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JP3293078B2
JP3293078B2 JP06517196A JP6517196A JP3293078B2 JP 3293078 B2 JP3293078 B2 JP 3293078B2 JP 06517196 A JP06517196 A JP 06517196A JP 6517196 A JP6517196 A JP 6517196A JP 3293078 B2 JP3293078 B2 JP 3293078B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、密封装置の一種で
あるガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、図4ないし図6に示すよう
に、鋼板製の基板21を備え、この基板21の周縁と、
この基板21の平面内に設けられた複数のボア部22の
周縁とにそれぞれ、ハーフビード(ステップ状ビードと
も称する)23,24を一体形成したガスケットが知ら
れている(特開平4−64778号公報参照)。ハーフ
ビード23,24はそれぞれ、基板21に対して所定の
角度をなす斜面部24aと、基板21と略平行な平面部
24bとを一体に備えており、またこのガスケットにお
いては特に、互いに隣り合った二つのボア部22の周縁
に設けられたハーフビード24が、一方(図5または図
6における左側のハーフビード24)は基板21の厚さ
方向の一方側(図5または図6における下側)に突出形
成されるとともに、他方(図5または図6における右側
のハーフビード24)は基板21の厚さ方向の他方側
(図5または図6における上側)に突出形成されて、す
なわち互いに反対側に設けられている。また基板21に
は、複数のボア部22の他に、締結ボルトを差し通すた
めのボルト挿通孔25が複数設けられている。
【0003】また従来、図7および図8に示すように、
鋼板製の基板41を備え、この基板41の周縁と、この
基板41の平面内に設けられたボア部42の周縁とにそ
れぞれ、ハーフビード43,44を一体形成したガスケ
ットが知られている(実開平5−57514号公報参
照)。ハーフビード43,44はそれぞれ、基板41に
対して所定の角度をなす斜面部43a,44aと、基板
41と略平行な平面部43b,44bとを一体に備えて
いるが、この従来例では、各ハーフビード43,44が
基板41の厚さ方向の同じ側(図8における上側)に設
けられている。また基板41には、複数のボア部42の
他に、締結ボルトを差し通すためのボルト挿通孔45が
複数設けられている。
【0004】上記構成を備えたガスケットは、例えばシ
リンダヘッドガスケットとして、装着部材であるエンジ
ンブロックとシリンダヘッドの間に挟着使用されるが、
当該ガスケットが装着されたときに、ハーフビード2
3,24,43,44は、斜面部24a,43a,44
aの傾斜角度を無くすように強く締め付けられる。この
ため一旦、装着したガスケットを取り外すと、斜面部2
4a,43a,44aの傾斜角度が元には戻らず、小さ
くなって、この分、ハーフビード23,24,43,4
4が塑性変形することになる。したがって当該ガスケッ
トを装着したままであっても、装着部材が変形(熱変形
等)するようなことがあると、ハーフビード23,2
4,43,44がこの装着部材の変形に追随し切れず、
よって必要なシール性を確保することができなくなるこ
とがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の点に鑑
み、装着部材の変形に対するハーフビードの追随性を高
め、もって優れたシール性能を発揮することが可能なガ
スケットを提供することを目的とする。またこれに加え
て、ガスケットを挾んだ状態で複数の装着部材を締結す
るボルトに緩みや折損が発生しにくいガスケットを提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項1によるガスケットは、基板にハー
フビードを一体形成してなり、複数の装着部材の間に挟
着使用されるガスケットにおいて、前記基板の厚さ方向
の一方側に、前記ハーフビードを複数段、連続して設
け、前記ハーフビードがボルト締結部の近くで遠くより
変形し易いように、前記ハーフビードの段数が前記ボル
ト締結部からの遠近に応じて変えられていることにし
た。また本発明の請求項2によるガスケットは、基板に
ハーフビードを一体形成してなり、複数の装着部材の間
に挟着使用されるガスケットにおいて、前記基板の厚さ
方向の一方側に、前記ハーフビードを複数段、連続して
設け、前記ハーフビードがボルト締結部の近くで遠くよ
り変形し易いように、前記ハーフビードの断面形状およ
び段数が前記ボルト締結部からの遠近に応じて変えられ
ていることにした。
【0007】
【作用】上記構成を備えた本発明の請求項1または2
よるガスケットにおいては、基板の厚さ方向の一方側に
ハーフビードが複数段、連続して設けられているため
に、複数段のハーフビードの高さ(全高)が従来の一段
のみのハーフビードの高さより高く設定されることにな
る。また複数段のハーフビードの折曲部の数が従来の一
段のみのハーフビードの折曲部の数より多く設定され
て、弾性変形時に発生する内部応力が分散するために、
装着時、ハーフビードに徐々に発生する塑性変形量が少
なく抑えられることになる。したがってこれらのことか
らハーフビードの追随性を従来より高めることが可能で
ある。
【0008】またガスケットを挟着使用する装着部材が
例えば、上記したようにエンジンブロックとシリンダヘ
ッドである場合、このエンジンブロックとシリンダヘッ
ドは両者の間にガスケットを挾んだ状態で互いに強くボ
ルト締めされる。したがってボルト締結部の近くでは締
結力が比較的大きく作用するために、エンジンブロック
とシリンダヘッドとの接触面圧が比較的大きい。これに
対してボルト締結部から遠い所では締結力が比較的小さ
く作用するために、エンジンブロックとシリンダヘッド
との接触面圧が比較的小さく、よってここに大きな隙間
が発生し易い。そしてこのような状況に合わせて、大き
な隙間が発生し易いボルト締結部から遠い所で上記構成
の複数段構造のハーフビードを有効に作用させようとし
てこのハーフビードの断面形状や段数を決定すると、ボ
ルト締結部から遠い所では当初の予定通り、優れた追随
性によって十分なシール性を確保することができるが、
ボルト締結部に近い所では反対に、複数段構造のハーフ
ビードの強度が大き過ぎる結果となって、ハーフビード
が潰れにくく、特にボルトの軸力(締結力)が小さい場
合に、エンジンブックとシリンダヘッドの間に締結隙間
が発生する。そしてこのように締結隙間が発生すると、
これがボルトの緩みや折損に発展することがある。また
ボルト締結部の近くに締結隙間が発生すると、ボルト締
結部から遠い所の隙間が増大して、シール性能が低下す
ることがある。
【0009】これに対して、上記構成を備えた本発明の
請求項1によるガスケットにおいては、更なる構成とし
て、ハーフビードがボルト締結部の近くで遠くより変形
し易いように、ハーフビードの段数がボルト締結部から
の遠近に応じて変えられており、本発明の請求項2によ
るガスケットにおいては、更なる構成として、ハーフビ
ードがボルト締結部の近くで遠くより変形し易いよう
に、ハーフビードの断面形状および段数がボルト締結部
からの遠近に応じて変えられているために、ボルト締結
部の近くでもハーフビードの強度が大き過ぎることがな
い。したがってハーフビードが適度に潰れ、ボルトの軸
力が小さい場合でも、エンジンブックとシリンダヘッド
の間に発生する締結隙間を小さく抑えることが可能とな
る。
【0010】
【発明の実施の形態】ハーフビードがボルト締結部の近
くで遠くより変形し易いように、ハーフビードの断面形
状をボルト締結部からの距離の遠近に応じて変える
は、ハーフビードの斜面部の長さをボルト締結部の近く
で遠くより長く設定し、斜面部の高さをボルト締結部の
近くで遠くより低く設定するのが好適である。またハー
フビードがボルト締結部の近くで遠くより変形し易いよ
うに、ハーフビードの段数をボルト締結部からの距離の
遠近に応じて変えるには、ハーフビードの段数をボルト
締結部の近くで遠くより少なく設定することになる。
【0011】
【実施例】つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説
明する。尚、この実施例は本願の請求項1および請求項
に係る発明についての共通の実施例である。
【0012】図1ないし図3に示すように、当該実施例
に係るガスケットは、先ず、鋼板製の基板1を備えてお
り、この基板1の周縁(図示せず)と、この基板1の平
面内に設けられた複数のボア部2の周縁とにそれぞれ、
ハーフビードが一体形成されており、これらのハーフビ
ードのうち、各ボア部2の周縁に設けられたハーフビー
ド3,4が二段構造となっている。すなわち、図1に示
したように、基板1の図上右側に先ず、斜面部3aと平
面部3bとを備えた第一段目のハーフビード3が基板1
の厚さ方向の一方側(図上上側)に突出形成され、この
第一段目のハーフビード3に連続して更にその右側に、
斜面部4aと平面部4bとを備えた第二段目のハーフビ
ード4が同じ側(図上上側)に突出形成されている。各
ハーフビード3,4は、基板1の周縁に設けられた一段
構造のハーフビード(図示せず)を含めて、皆、基板1
の厚さ方向の同じ側(図1における上側)に設けられて
いる。
【0013】また上記した複数段構造のハーフビード
3,4が、ボルト締結部(図示せず)からの距離の遠近
に応じて、以下の断面形状および段数を備えている。ボ
ルト締結部は、上記したようにエンジンブロットとシリ
ンダヘッドのように複数の装着部材の間に当該ガスケッ
トを挾み込んでボルト締めする際の締結部であって、ガ
スケット単品で言えば、上記従来技術の項で説明したよ
うな基板1の平面に設けられたボルト挿通孔(図4にお
ける符号25、図7における符号45参照)である。
【0014】すなわち、先ず、ボルト締結部から比較的
遠い所においては、図1に示したように、ハーフビード
3,4が二段構造であり、第一段目のハーフビード3の
斜面部3aが所定の長さwおよび高さhを備え、第
二段目のハーフビード4の斜面部4aが所定の長さw
および高さhを備えている。wとw、hとh
はそれぞれ互いに同じであっても良く、互いに異なって
いても良い。
【0015】またボルト締結部に比較的近い所において
は、図2に示したように、ハーフビード3,4が同じく
二段構造であり、第一段目のハーフビード3の斜面部3
aが所定の長さwおよび高さhを備え、第二段目の
ハーフビード4の斜面部4aが所定の長さwおよび高
さhを備えている。wはwより長く、hはh
より低く、wはwより長く、hはhより低く設
定されている。wとw、hとhはそれぞれ互い
に同じであっても良く、互いに異なっていても良い。
【0016】またボルト締結部に更に近い所(直下部を
含む)においては、図3に示したように、ハーフビード
3が一段構造に変わっており、この一段構造のハーフビ
ード3が所定の長さwおよび高さhを備えている。
はwおよびwの和またはwおよびwの和よ
り長く、w、wおよびwの和(但し、wは図1
における第一段目のハーフビード3の平面部3bの長
さ)またはw、wおよびwの和(但し、wは図
2における第一段目のハーフビード3の平面部3bの長
さ)に略匹敵している。hはhおよびhの和より
低いが、この和と同じであっても良い。
【0017】図1の断面形状から図2の断面形状へかけ
て、また図2の断面形状から図3の断面形状へかけて
は、各寸法が徐々に変化しており、総じて、ハーフビー
ド3,4がボルト締結部の近くで遠くより変形し易いよ
うに、ハーフビード3,4の断面形状および段数がボル
ト締結部からの距離の遠近に応じて変えられており、ま
た装着部材に対するハーフビード3,4の接触面圧が全
線に亙って略一定となるように、各寸法が設定されてい
る。
【0018】上記構成を備えたガスケットにおいては、
先ず、図1に示した基本的な断面形状において、基板1
の厚さ方向の一方の側(図上上側)にハーフビード3,
4が二段、連続して設けられているために、この二段の
ハーフビード3,4の高さ(全高、h+h)が従来
の一段のみのハーフビードの高さより高く設定されるこ
とになる。したがってハーフビード3,4の高さが従来
より高くなった分だけ、その追随性を高めることが可能
である。また装着時に発生する応力が二段に亙って分散
されて、この分、塑性変形しにくくなっているために、
これによっても追随性を高めることが可能である。した
がってこれらにより装着部材の変形に対するハーフビー
ド3,4の追随性を高め、当該ガスケットのシール性能
を向上させることができる。
【0019】また更なる構成として、ハーフビード3,
4がボルト締結部の近くで遠くより変形し易いように、
ハーフビード3,4の断面形状および段数がボルト締結
部からの遠近に応じて変えられているために、以下の効
果が奏される。すなわち、先ず第一に、ボルト締結部の
近くにおいてハーフビード3,4が変形し易くなってい
るために、締結隙間が減少し、ボルトの緩みが減る。ま
たボルト締結部の近くにおける隙間が大きい状態で加振
されると上記したようにボルトが折損する虞があるが、
隙間が減少するために、これを防止することができる。
第二に、ボルト締結部の近くにおける締結隙間が減少す
ると、これに伴ってボルト締結部から遠い所の隙間が減
少する。したがってこのようにボルト締結部から遠い所
において、当該ガスケットのシール性能を向上させるこ
とができる。
【0020】尚、上記実施例においては、ボア部2の周
縁に設けられたハーフビード3,4のみを複数段構造と
しているが、併せて、またはこれに代えて、基板1の周
縁に設けられたハーフビードを複数段構造としても良
い。すなわち一般論として、どのハーフビードを複数段
構造とするかは、シール性が要求される度合いによって
定められる(高シール性が要求される部分に複数段構造
が用いられる)。ハーフビード3,4の段数は限定され
ず、また、もとよりハーフビードの平面的なレイアウト
形状は限定されない。
【0021】
【発明の効果】本発明は、以下の効果を奏する。
【0022】すなわち、上記構成を備えた本発明の請求
項1または2によるガスケットにおいては、基板の厚さ
方向の一方の側にハーフビードが複数段、連続して設け
られているために、この複数段のハーフビードの高さが
従来の一段のみのハーフビードの高さより高く設定され
ることになる。したがってハーフビードの高さが従来よ
り高くなった分だけ、その追随性を高めることが可能で
ある。また装着時に発生する応力が複数段に亙って分散
されて、この分、塑性変形しにくくなっているために、
これによっても追随性を高めることが可能である。した
がってこれらにより装着部材の変形に対するハーフビー
ドの追随性を高め、当該ガスケットのシール性能を向上
させることができる。
【0023】またこれに加えて、本発明の請求項1によ
るガスケットにおいては、ハーフビードがボルト締結部
の近くで遠くより変形し易いように、ハーフビードの段
数がボルト締結部からの遠近に応じて変えられており、
本発明の請求項2によるガスケットにおいては、ハーフ
ビードがボルト締結部の近くで遠くより変形し易いよう
に、ハーフビードの断面形状および段数がボルト締結部
からの遠近に応じて変えられているために、以下の効果
を奏する。すなわち、先ず第一に、ボルト締結部の近く
においてハーフビードが変形し易くなっているために、
締結隙間が減少し、ボルトの緩みが減る。またボルト締
結部の近くにおける隙間が大きい状態で加振されるとボ
ルトが折損する虞があるが、隙間が減少するため、これ
を防止することができる。第二に、ボルト締結部の近く
における締結隙間が減少すると、これに伴ってボルト締
結部から遠い所の隙間が減少する。したがってこのよう
にボルト締結部から遠い所において、当該ガスケットの
シール性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るガスケットの、ボルト締
結部から遠い所の要部断面図
【図2】同ガスケットの、ボルト締結部に近い所の要部
断面図
【図3】同ガスケットの、ボルト締結部に更に近い所の
要部断面図
【図4】従来例に係るガスケットの一部平面図
【図5】図4におけるA−A線拡大断面図
【図6】図4におけるB−B線拡大断面図
【図7】他の従来例に係るガスケットの平面図
【図8】図7におけるC−C線拡大断面図
【符号の説明】
1 基板 2 ボア部 3,4 ハーフビード 3a,4a 斜面部 3b,4b 平面部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 15/08 F02F 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板にハーフビードを一体形成してな
    り、複数の装着部材の間に挟着使用されるガスケットに
    おいて、 前記基板(1)の厚さ方向の一方側に、前記ハーフビー
    ド(3)(4)を複数段、連続して設け、 前記ハーフビード(3)(4)がボルト締結部の近くで
    遠くより変形し易いように、前記ハーフビード(3)
    (4)の段数が前記ボルト締結部からの遠近に応じて変
    えられていることを特徴とするガスケット。
  2. 【請求項2】 基板にハーフビードを一体形成してな
    り、複数の装着部材の間に挟着使用されるガスケットに
    おいて、 前記基板(1)の厚さ方向の一方側に、前記ハーフビー
    ド(3)(4)を複数段、連続して設け、 前記ハーフビード(3)(4)がボルト締結部の近くで
    遠くより変形し易いように、前記ハーフビード(3)
    (4)の断面形状および段数が前記ボルト締結部からの
    遠近に応じて変えられている ことを特徴とするガスケッ
    ト。
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