JP3292721B2 - Sg粒子を用いたスクリーニング方法 - Google Patents

Sg粒子を用いたスクリーニング方法

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JP3292721B2 JP2000107712A JP2000107712A JP3292721B2 JP 3292721 B2 JP3292721 B2 JP 3292721B2 JP 2000107712 A JP2000107712 A JP 2000107712A JP 2000107712 A JP2000107712 A JP 2000107712A JP 3292721 B2 JP3292721 B2 JP 3292721B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面がグリシジル
メタクリレートで覆われたスチレン−グリシジルメタク
リレート重合体にスペーサーを介して生理活性を有する
化合物を結合させて、当該生理活性を有する化合物に付
着する物質をスクリーニングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体を構成している細胞は、常に外界か
らの多種多様な刺激にさらされている。細胞は、こうし
た刺激に応答すべく一群の遺伝子発現を引き起こす。そ
の結果、細胞増殖・分化が誘導されたり、生体の恒常性
が保たれるなどの種々の生命現象が起こる。細胞外の刺
激は細胞内でシグナルに変換され、そのシグナルは特定
のタンパク性転写因子を活性化する。機能的に活性化さ
れた転写因子は、染色体上の特異塩基配列に結合し、そ
の支配下にある一群の遺伝子発現を誘導する。それら誘
導発現された遺伝子産物が刺激に応答すべく一次的に機
能を発揮する場合があるが、さらに、その遺伝子産物が
異なる転写因子を活性化して、その支配下にある別の遺
伝子群の発現を誘導し、刺激に対して二次的に応答する
場合もある。いずれにせよ、外界の刺激への細胞応答は
転写因子の機能変換ということになる。
【0003】近年、極めて興味深いことが明らかにされ
た。免疫抑制剤であるシクロスポリンA(CysA)や
FK506の作用機構が明らかにされたのである。その
きっかけになったのは、それら薬剤の細胞内受容体が同
定されたことである。それにより、免疫担当T細胞にお
いて、抗原刺激からの一連のシグナル伝達経路が明らか
にされた。 従って、薬剤の細胞内にある受容体を探索
・同定することは、シグナル伝達経路の解明と共に、シ
グナル伝達経路を標的とした新薬の開発や新規薬剤の設
計(drug design)へと発展することが大い
に期待される。
【0004】従来、細胞内にある受容体を分離精製する
には、細胞粗抽出液を多種多様のカラムを用いて分画
し、各々の画分中に標識した薬剤と結合する因子が存在
するか否かを検討していた。従って、カラムによる分離
・精製するステップと薬剤との結合活性を評価する二つ
のステップを行わなければならなかった。そこで、特定
の薬剤に対する細胞内および細胞膜にある受容体の精製
・同定およびその機能解析などを行うために、特定の薬
剤を固定化したミクロスフィアを設計・構築した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の精製法は、細胞
粗抽出液から薬剤結合因子を精製するのに非常に時間が
かかるし、多くのカラムを用いるので回収効率も低く、
アミノ酸配列を決定できるような量を得るには非常に多
量の出発材料が必要であった。結合活性の検討に関して
は、薬剤レセプターが未知な物質であるので、薬剤との
結合活性を検討する方法を確立するのも容易ではない。
従来、薬剤とそのレセプターとの結合を検討する方法と
して、薬剤レセプター(タンパク質)がフィルターに結
合することや、薬剤がその受容体と結合することにより
サイズが大きくなることなどを利用したフィルターバイ
ンディング法やゲル濾過法などが用いられてきた。しか
し、レセプターによってはフィルターに結合しなかった
り、フィルターに結合すると構造変換し薬剤が解離する
場合などがあり、薬剤レセプターの性質を前もって検討
することが必要となる。本発明者は、従来法の有する上
記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の手段によ
り課題を解決できることを見いだし本発明を完成したも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面がグリシ
ジルメタクリレートで覆われたスチレン−グリシジルメ
タクリレート重合体にスペーサーを介して生理活性を有
する化合物を結合させて、当該生理活性を有する化合物
に付着する物質をスクリーニングする方法に関する。よ
り詳細には、本発明は、表面がグリシジルメタクリレー
トで覆われたスチレン−グリシジルメタクリレート重合
体にスペーサーを介して生理活性を有する化合物を結合
させて、当該生理活性を有する化合物に付着する物質を
スクリーニングする方法において、当該生理活性を有す
る化合物、又は当該生理活性を有する化合物に付着する
物質が、受容体であるスクリーニング方法に関するもの
であり、本発明の方法により当該生理活性を有する化合
物が生理活性を発現させるために結合する細胞の受容体
をスクリーニングすることや、特定の受容体を用いて当
該受容体に結合する薬物の候補化合物をスクリーニング
することができる。さらに、本発明は、前記した方法に
おいて、受容体が、受容体の全長のアミノ酸配列のうち
の一部のアミノ酸配列からなるものであるスクリーニン
グ方法に関するものであり、本発明の方法により。受容
体が生理活性物質と結合し得る部位を決定することがで
きる。
【0007】本発明におけるミクロスフィアの粒子を形
成する物質としては、表面がグリシジルメタクリレート
で覆われたスチレン−グリシジルメタクリレート重合体
が使用され、その重合状態や形態は液層から分離可能な
ものであれば特に制限はないが、ソープフリー乳化重合
による猪股らの方法に従って製造されるものが好まし
い。本発明におけるスペーサーとは、上記した粒子と後
述の生理活性を有する化合物の間に存在する化学物質で
ある。スペーサーは、粒子及び生理活性物質と結合する
前は、その両端に例えば、アミノ基、カルボキシル基、
エポキシ基等の官能基を有していることが好ましい。本
発明におけるスペーサーとしては、前記した表面がグリ
シジルメタクリレートで覆われたスチレン−グリシジル
メタクリレート重合体と生理活性を有する物質とを適当
な距離を置いて結合し得るものであれば特に制限はない
が、具体的にはエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル誘導体を使用するのが好ましい。本発明における、生
理活性を有する物質(以下「生理活性物質」ということ
もある。)とは、生体内において活性を示し、生体内又
は生体外の他の物質との間に相互作用、親和性を有する
物質であれば特に制限はないが、細胞内又は細胞膜にあ
る受容体と特異的に結合する化合物が好ましい。これら
の生理活性を有する物質がその分子内に前記スペーサー
に結合し得る官能基、例えば、アミノ基、水酸基などの
官能基を有する場合には、その官能基をスペーサーに結
合する基として使用することができる。また、これらの
生理活性を有する物質がその分子内に前記スペーサーに
結合し得る官能基を有していない場合には、当該生理活
性物質中に新たにスペーサーに結合し得る官能基を導入
することにより、スペーサーと結合させることができ
る。いずれの場合においてもスペーサーに結合させるこ
とにより、当該生理活性物質の生理活性が失活しないよ
うに留意しなけばならない。即ち、当該生理活性物質を
スペーサーに結合させることにより、対象となる生理活
性が失活しないことを確認することは重要である。本発
明における生理活性を有する物質としては、例えば、3
−[(5−(2,3−ジメトキシ−6−メチル−1,4
−ベンゾキノニル)]−2−ノニル−2−プロペン酸
(以下「E3330」と略称することもある。)誘導体
などを使用することができる。
【0008】本発明の、表面がグリシジルメタクリレー
トで覆われたスチレン−グリシジルメタクリレート重合
体にスペーサーを介して生理活性を有する化合物が結合
したミクロスフィアの製造方法としては、通常の方法に
より、スチレン−グリシジルメタクリレート重合体から
なる粒子(以下、 「SG粒子」ともいう。)、好まし
くは特にスペーサーとの結合を良くするために粒子の表
面に官能性のグリシジル基が突出したものを製造し、S
G粒子のグリシジル基を必要に応じて水酸化アンモニウ
ムなどの試薬により開環させて、スペーサーとの結合に
好ましい官能基を導入することもできる。次いで、SG
粒子にスペーサーを結合させて、さらに生理活性を有す
る物質又はその誘導体を反応させることにより、本発明
のミクロスフィアを製造することができる。これらの反
応には必要に応じてジオキサン、DMSO、水などの溶
媒を使用することもできる。
【0009】本発明のミクロスフィアの製造法の例を図
1に示す。まず、スチレンとグリシジルメタクリレート
などを重合、例えば乳化重合させて表面にグリシジル基
が突出したSG粒子を製造する。粒子の大きさは適宜選
択することができるが、通常は約0.05〜0.5μ
m、好ましくは約0.1〜0.3μm程度である。得ら
れたSG粒子にスペーサーとなる化合物、例えばエチレ
ングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)などを
反応させてSG粒子にスペーサーを結合させてスペーサ
ーが結合したSG粒子(SG−EGDE粒子)を得る。
これと、好ましくはジオキサンなどの有機溶媒の存在下
に、アミノ基などの反応性の官能基を有する生理活性物
質とを反応させることにより、生理活性物質が固定化さ
れたラテックス粒子である本発明のミクロスフィアを製
造することができる。
【0010】本発明における分離される物質を含有する
混合物としては、ミクロスフィアに使用した生理活性物
質と親和性を有し選択的に付着し得る物質を含有する混
合物であれば特に制限はないが、通常は細胞抽出液、特
に当該生理活性物質が作用する部位の細胞の抽出液が好
ましい。本発明の分離方法は、生理活性物質が結合した
ミクロスフィアを細胞抽出液などのタンパク質を含有す
る混合物に加えて、数分〜数時間、必要により撹拌した
後、タンパク質が付着したミクロスフィアを分離し、必
要によりこれを緩衝液などで洗浄し、次いでKCl溶液
などで付着したタンパク質を溶出して解離させることに
より行うことができる。ミクロスフィアに使用した生理
活性物質と分離される物質との付着は、化学結合(水素
結合など)であってもよいし、化学的又は物理的な吸着
であってもよく、その形態は特に制限されものではな
い。図2に本発明のタンパク質の分離方法の例を示す。
この例は生理活性物質としてE3330を使用したもの
である。
【0011】得られたタンパク質はSDS−PAGEな
どにより検出することができ、さらに必要であればクロ
マトグラフィなどの通常の方法により精製することがで
きる。本発明の方法により分離されるタンパク質は、ミ
クロスフィアの生理活性物質の受容体になるものと考え
られるが、本発明の方法で分離できるタンパク質は使用
する生理活性物質の受容体に制限されるものではなく、
使用する生理活性物質と化学的、物理的又は生物学的な
親和性を有するものであればこの方法で分離することも
できる。得られたタンパク質は必要に応じて精製した
後、バイオテクノジーの通常の手法により当該タンパク
質をコードする遺伝子をクローニングし、そのアミノ酸
配列及び遺伝子の塩基配列を決定することができる。さ
らに、通常の遺伝子操作により当該タンパク質の部分配
列を有するタンパク質又はペプチドを発現させることに
より、受容体タンパク質の活性部位を決定することもで
きる。これらの方法も本明細書において生理活性物質と
してE3330を使用した場合の例を挙げて具体的に開
示する。
【0012】また、得られた受容体又はその中の活性部
位となるドメインの構造をNMR、X線結晶解析あるい
はアミノ酸配列を基にしたコンピューターによるシュミ
レーション解析により明らかにすることも可能である。
例えば、ミクロスフィアに使用する生理活性物質として
E3330を用いて本発明の方法により得られたタンパ
ク質Ref−1の82a.a.から106a.a.の領
域は、このような構造解析によりβ−シート/α−ヘリ
ックス/β−シート構造を持つことが示唆されている。
このような立体構造解析や遺伝学的解析から、本発明の
方法により分離されたタンパク質又はその活性ドメイン
の中のどのアミノ酸残基が、ミクロスフィアに使用され
た生理活性物質と結合するのかを決定することも可能と
なるし、当該生理活性物質と分離されたタンパク質のア
ミノ酸との相互作用を分子・原子レベルで解明すること
や結合の反応速度論的解析も可能となる。それらの研究
結果を基にすれば、ミクロスフィアに使用した生理活性
物質の受容体となるタンパク質が判明するのみでなく、
当該生理活性物質の生体内での作用メカニズムを明らか
にすることも可能となる。さらには、受容体となるタン
パク質との相互作用に関してミクロスフィアに使用した
生理活性物質とは結合様式を異にする新規な薬剤を原子
レベルで的確にコントロールしてドラッグデザインする
ことも可能である。このようにして設計された各種薬剤
は、当然元のミクロスフィアに使用した生理活性物質と
は機能を異にしており、それら薬剤を用途により使い分
けることも可能であり、ドラッグデザインの新たな手法
として極めて重要なものである。
【0013】さらに、本発明はミクロスフィアに結合さ
せる生理活性を有する物質として受容体活性を有するタ
ンパク質を使用することにより、当該受容体に親和性を
有する物質を分離、検出する方法を提供するものであ
る。受容体活性を有する物質としては、受容体の全長を
使用することも可能ではあるが、当該受容体の活性部分
として数十アミノ酸残基程度のドメインにまでトリミン
グし、このドメインを使用するのが好ましい。これによ
り、当該受容体又はドメインに特異的に結合する薬剤を
スクリーニングすることができる。このスクリーニング
により、薬剤としての有用性が期待される化学合成物質
をドラッグライブラリーの中から容易に分離、検出する
ことができる。このようにして分離、検出された物質は
ミクロスフィアに結合させた受容体活性を有するタンパ
ク質と親和性を有し、当該受容体の活性を促進又は阻害
するための医薬の有効成分となることができる。
【0014】本発明によると、表面がグリシジルメタク
リレートで覆われたスチレン−グリシジルメタクリレー
ト重合体によるミクロスフィアを提供することができ、
また、生理活性を有する特定の化合物に対する細胞内及
び細胞膜にある受容体の精製、同定などを容易に行うこ
とができる。本発明にかかる生理活性を有する物質を結
合した粒子は、薬剤レセプターの分離・精製と結合活性
の評価が同時にできることが画期的な効果であり、薬剤
の分離・精製時間を大幅に短縮でき、回収効率も非常に
すぐれており、結合活性方法を検討することも必要ない
というきわめて顕著な効果を有する。さらに、本発明
は、薬剤および化合物を固定化した粒子を用いて、細胞
内に存在する薬剤や化合物の受容体を分離・精製し、か
つその受容体の構造・機能を解明することが可能である
ことを示すもので、さらに、本発明が薬剤受容体の構造
・機能の解明を基盤にして、より機能の優れた新規薬剤
の開発に極めて有用であることを示すものである。
【0015】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0016】実施例1 (表面がグリシジルメタクリレ
ートで覆われたスチレン−グリシジルメタクリレート重
合体の製造) スチレン(St;和光純薬工業、21.5mmHg、4
6℃で減圧蒸留後使用)、グリシジルメタクリレート
(GMA;和光純薬工業、2mmHg、33℃で減圧蒸
留後使用)、ジビニルベンゼン(DVB;東京化成工
業)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパンジハ
イドロクロライド)(V−50;和光純薬工業)、及び
水を以下の処方で、 St/GMA/DVB/V−50/H20=1.2/
1.8+0.3/0.04/0.06/110(g) 窒素置換後に70℃、24時間重合反応を行った。重合
は猪股らの方法によりソープフリー乳化重合を行った。
重合開始2時間後にGMA 0.3gを添加し、得られ
た重合体の表面を完全にGMAにより覆った。得られた
重合体(SG粒子)を遠心分離(15,000rpm、
15min、4℃)により沈澱し、上清をデカンテーシ
ョン後、水200mlに再分散した。上記操作を3回繰
り返しSG粒子を洗浄し、最後に水で分散した。
【0017】この洗浄したSG粒子(0.25g)にア
ミノ基を導入するために、NHOH(55.3mmo
l;GMA unitの50倍量に相当)を加え、1N
のHClでpH 11に調整した。スターラーで撹拌し
ながら70℃、24時間反応させ、GMAのエポキシ基
を開環した。
【0018】実施例2 (スペーサーの結合) 次に、スペーサーとしてエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル(EGDE;和光純薬工業)を用いて、実施
例1で得られたSG粒子に固定化した例を示す。約6
2.5mgのSG粒子表面のアミノ基の100倍量
(mol)となるように過剰のEGDEを仕込み、30
℃、24時間、pH 11(1NのNaOHで調整)で
撹拌することにより、EGDEのエポキシ基とSG粒子
上のアミノ基との間で共有結合させた。EGDE1分子
の両末端にあるエポキシ基が同時にSG粒子に固定化さ
れることを防ぐために過剰量のEGDEを加えた。この
条件下で、粒子1g当たり、約1mmolのEGDEが
固定化された。反応後、SG粒子を遠心操作により水で
3回洗浄した。こうして得られたスペーサー固定化SG
−EGDE粒子を生理活性化合物を固定化するための粒
子として使用した。
【0019】実施例3 (スペーサーとE3330アミ
ノ誘導体との結合) (a) (E3330へのアミノ基の導入) E3330は適当な反応基を有していないので、E33
30をSG−EGDE粒子に固定化することは困難であ
る。そこで、E3330にアミノ基を導入したNH
E3330を合成した。
【0020】(b) (NH−E3330の機能の確
認) NH−E3330の機能を、E3330の機能と、N
F−κBの転写活性化能に関して比較検討した。方法と
して、NF−κBの制御下にあるルシフェラーゼ遺伝子
を持った組換えプラスミドDNAをJurkat細胞に導入する
トランスフェクション実験を行った。その結果、NH
−E3330は、E3330ほど強くはないが確かにN
F−κBの転写活性化能を抑制することを確かめ、導入
したアミノ基がE3330と細胞内レセプターとの結合
を阻害するものではないことを確認した。
【0021】(c) (NH−E3330のSG-EGDE
粒子への結合) 実施例2で得られた10mgのSG−EGDE粒子を、
遠心操作により1mlの1,4−dioxaneで3回
洗浄した。洗浄後、沈澱したSG−EGDEに10μm
olのNH−E3330を含んだ500μlの1,4
−dioxaneを加え、SG−EGDE粒子を分散さ
せて、37℃、24時間反応させて、NH−E333
0を粒子上のEGDEのエポキシ基に固定化した。反応
後、遠心操作により、20μlの1,4−dioxan
eで3回洗浄した。その後、SG−EGDE粒子上の未
反応のエポキシ基を完全にマスクするため、1mlの1
MTris−HCl (pH 7.4)に分散させ、少
なくとも4℃、24時間静置後、使用した。この薬剤固
定化粒子は、暗所、4℃で保存した。洗浄時の遠心操作
は15,000×g、室温、5分間で行った。この操作
により固定化されたNH−E3330は1gのSG−
EGDE粒子に対して、0.15mmolであった。E
3330固定化量は、仕込み量からSG−EGDE粒子
に結合しなかったNH−E3330量を差し引いた量
で求めた。NH−E3330は、254.5nmに吸
収極大をもつため、仕込量や非結合画分や洗浄画分の2
54.5nmにおける吸光度を測定することによりNH
−E3330の定量を行うことができる。吸光度は、
DU−64 Spectrophotometer(B
ECKMAN)で測定した。
【0022】実施例4 (核抽出液及び細胞質画分の調
製) 8リットルのスケールで浮遊培養したJurkat細胞
(2×1010cells)の培養液を500mlの遠
心チューブ(NARGEN)を用いて、500×g、4
℃、10分間の遠心により、細胞を集めた。細胞はPB
S(−)で2回洗浄した。その時の洗浄は、50mlの
遠心チューブで行い、遠心の条件は、700×g、4
℃、5分間とした。最終時の細胞体積(PCV)を測
り、そのPCVの4倍のボリュームのBuffer A
(10mM Hepes pH 7.9, 1.5m
M MgCl, 10mM KCl, 0.5mM
DTT)を加え、懸濁し、氷上に20分静置することで
細胞を膨張させた。膨張した細胞を40mlのB ty
pe Dounce homogenizer (WH
EATON)で20strokesで細胞膜を破砕し
た。これを50mlの遠心チューブ(NARGEN)に
移し、4,200×g、4℃、6分間で遠心することに
より細胞質画分(上清)と核画分(沈澱)とを分離し
た。分離した核を再びPCVの5倍のボリュームのBu
ffer Aに懸濁し、4,200×g、4℃、6分間
遠心することで、混入している細胞質画分を取り除く。
これをPCVと同じボリュームのBuffer C
(20mM Hepes pH 7.9, 25%(V
/V) glycerol, 0.42M NaCl,
1.5mM MgCl, 0.2mM EDTA,
0.5mMPMSF, 1mM DTT)に懸濁し、
B type Dounce homogenizer
で10 strokesすることにより、塊となった核
をほぐした。この懸濁液を4℃で30分間ゆっくり撹拌
することにより、核内成分を抽出した。これを50ml
の遠心管に移した後、16,000×g、4℃、30分
間遠心し、得られた上清を1リットルのBuffer
D (20mM Hepes pH 7.9, 20%
(V/V) glycerol, 0.1M KCl,
0.2mM EDTA, 0.5mM PMSF,
1mM DTT)に対して2回透析した(4℃、2.5
時間)。
【0023】一方、細胞質画分は50mlの別の遠心管
に移した後、再度4,200×g、4℃、6分間遠心
し、その上清を超遠心管(BECKMAN:No. 3
55620)に移した。これを35Krpm、4℃、1
時間で超遠心(BECKMAN:Rotor Type
35)し、得られた上清を核抽出液と同様に透析を行
った。透析終了後、核抽出液及び細胞質画分を共に、1
4,000×g、4℃、30分間遠心し、得られた上清
をそれぞれ核抽出液、細胞質画分として使用した。これ
ら画分は分注して、使用時まで−80℃に保存した。通
常、このスケールでは核抽出液で5mg/ml、細胞質
画分で10mg/mlのタンパク質濃度のものが、20
ml程度得られる。
【0024】実施例5 (核及び細胞質画分のホスホセ
ルロースによる分画) 細胞抽出液の分画には、陽イオン交換性のホスホセルロ
ース(P11:Whatman)を用いた。分画時の操
作は、すべて4℃で行った。ホスホセルロースの乾燥重
量10gに蒸留水を加え500mlとし、よく撹拌して
30分静置した。粘度の小さいホスホセルロースを除く
ために、その上清を捨て再び等量の蒸留水を加える。こ
の操作を数回繰り返しホスホセルロースの粒度を均一に
した。次に、ホスホセルロースを活性化するために、粒
度を揃えたホスホセルロースを、乾燥重量1g当たり5
0mlの0.5N HClに懸濁し、5分間放置後、こ
れを2枚の濾紙(Whatman:3MM Chr)を
敷いたブフュナーロート上に集め、pHが中性付近に戻
るまで大過剰の蒸留水で洗浄した。この時濾液のpHを
BTB pH試験紙を用いて測定することでpHを確認
した。濾紙上のホスホセルロースをビーカーに移し、今
度は、0.5NのNaOHに懸濁し、5分間放置後、同
様にホスホセルロースを洗浄した。最後にもう1度0.
5N HClに懸濁し、洗浄することで、活性化ホスホ
セルロースを得た。
【0025】カラム(BIO−RAD:731−155
0)に、カラム体積が10mlとなるように活性化した
ホスホセルロースを充填した。充填したカラムを100
mlの1M KClを含んだBuffer D(20m
M HEPES (pH 7.9), 20%(V/
V) glycerol, 1M KCl, 1.2m
M EDTA, 0.5mM PMSF, 1mM D
TT)で洗浄した後、100mlの0.1M KClを
含んだBuffer Dで平衡化した。Jurkat細
胞の核抽出液及び細胞質画分をそれぞれ5ml、カラム
にチャージした。溶出は段階的に行い、Buffer
Dの塩濃度をそれぞれ0.1M KCl,0.32M
KCl, 035M KCl, 1M KClとして段
階的に溶出した。それぞれの溶出画分は、Buffer
Dに透析後、分注して使用時まで、−80℃で保存し
た。なお、流速は8ml/minとなるように調節し、
各塩濃度でのタンパク質の溶出が終了したかを見るため
に280nmの吸光度をUV検出機(GILSON:M
ODEL 111B)で測定しながら分画を行った。
【0026】まず、細胞質画分(タンパク質濃度12m
g/ml)を上記のカラムに5mlチャージし、30m
lの0.1M画分(P.1;タンパク質濃度1.12m
g/ml)、39mlの0.3M画分(P.3;タンパ
ク質濃度0.23mg/ml)、37mlの0.5M画
分(P.5;タンパク質濃度0.07mg/ml)、5
3mlの1.0M画分(P1.0;タンパク質濃度0.
02mg/ml)が得られた。同様に、核抽出画分をホ
スホセルロースカラムにより分画した。
【0027】実施例6 (ミクロスフィアを用いたタン
パク質の分離) E3330固定化粒子によるE3330結合性タンパク
質の分離・精製法を図2に示す。 (a) ホスホセルロースカラムにより分画した実施例
5で得た画分とミクロスフィアとを混合し、粒子に固定
化したE3330に結合したものを遠心操作により、分
離した。遠心条件は、15,000×g、4℃、5分間
行い、実験の操作はすべて4℃で行った。
【0028】(b) まず、E3330を固定化してい
ないSG−EGDE粒子およびE3330を固定化した
SG−EGDE粒子1mgをBuffer Dのグリセ
ロール濃度を10%に落としたBuffer D’
(20mM HEPES (pH7.9), 10%
(V/V) glycerol, 0.1M KCl,
0.2mM EDTA, 1mM DTT) 400μ
lで3回洗浄した。E3330を固定化していないSG
−EGDE粒子は、EGDEのエポキシ基をマスクする
ために1mlの1M Tris−HCl (pH 7.
4)に分散させ、少なくとも4℃、24時間静置し、こ
れをE3330固定化粒子の比較対象として使用した。
この洗浄後のE3330非固定化および固定化粒子に、
ホスホセルロースで分画した細胞質画分のP.1、P.
3、P.5、P1.0を200μlを加え混合した後、
10分おきにサンプルを撹拌しながら30分間静置し
た。この間にE3330結合性タンパク質を粒子表面の
E3330に結合させ、遠心操作により上澄みを取り除
いた後、非特異的吸着をなるべく除くために、500μ
lのBuffer D’で3回洗浄した。
【0029】その後、50μlの1M KClを含んだ
Buffer D’で3回溶出することにより、E33
30結合性タンパク質をE3330から解離・溶出させ
た。洗浄液及び溶出液は、−80℃で保存した。
【0030】(c) E3330結合性タンパク質の検
出は、E3330固定化粒子およびコントロールとして
用いた非固定化粒子から得られた1〜3回目の溶出液2
5μlを、10%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(SDS−PAGE)することによって行った。結
合性タンパク質は、1回目で70%以上、2回目を併せ
ると90%以上が回収できる。なお、高塩濃度のために
泳動が乱れるのを防ぐため本実験では、4×SDS s
ample dyeの代わりに4×SDS speci
al dye (200mM Tris−HCl (p
H 6.8),500mM β−mercaptoet
hanol (β−ME), 8% SDS, 0.4
% BPB)を用いた。泳動したゲルは銀染色し、対照
群のサンプルと比較することで、E3330に特異的に
結合したタンパク質を同定した。その結果、P.5画分
に、対照群には見られない分子量約38kDaのタンパ
ク質バンドが鮮明に見られ、このタンパク質がE333
0に特異的に結合していることが示唆された。他の画分
では、1M KClで溶出してくるタンパク質の間に対
照群との顕著な差は見られなかった。上記方法を繰り返
すことにより、E3330結合タンパク質を5μg得る
ことができた。
【0031】実施例7 (E3330に対する特異的結
合の評価) Jurkat細胞の細胞質および核抽出液のP.5画分
に存在する約39kDaタンパク質がE3330に特異
的に結合していることを確認するために2種類の実験を
行った。まず、結合の競合阻害実験を行った。細胞質画
分でホスホセルロースP.5画分(200μl)をSG
−EGDE粒子に加える段階で、粒子に固定されている
NH−E3330のモル数と等モルのフリーのE33
30あるいは、、その10倍量のフリーのNH−E3
330を同時に加え、それにより粒子上に固定化された
E3330に特異的吸着するタンパク性因子はフリーの
E3330あるいはNH−E3330に吸着し、粒子
による回収率が下がるはずである。ただし、E3330
は水に不溶のため一度EtOHに溶解し、Buffer
D’で希釈したものを加えた(EtOHの最終濃度は
2%)。その結果、38kDaのタンパク質の回収率が
下がることが確認され、このタンパク質は確かにE33
30に特異的に結合していることが示された。
【0032】実施例8 次に、SG−EGDE粒子に固定化するNH−E33
30の量を変えて実験を行った。固定化量は、SG−E
GDE粒子1mg当たり、最大0.4μmolのE33
30誘導体が固定化される。この条件下では、粒子表面
1mmに約5〜6分子のE3330が固定化されてい
る。本実験においては、固定化量が1mgの粒子当た
り、0.2又は0.4μmolの場合で検討を行った
が、本発明においては、化合物の固定化量は、化合物の
性質、固定化条件等によって異なり特に限定されず、一
般に2〜3分子から約100分子である。その結果、固
定化量が増加するに従って、38kDaのタンパク質の
回収率が増加することが確かめられた。特異的タンパク
質の評価は、SDS−PAGEを用いて行った。
【0033】実施例9 (E3330結合タンパク質の
アミノ酸配列の決定) 得られたE3330結合性タンパク質は、高濃度1.0
M KClで溶出したので、混在するKClを除くため
に1リットルのBuffer Dに対して4℃、2.5
時間の条件下で2回透析を行った。それを濃縮するため
に、透析後、サンプルを超遠心管 (BECKMAN:
NO. 331372)に移し、Trichloroa
cetic acid (TCA:MERCK)とDe
oxycholic acid (DOC:Sigm
a)をそれぞれ最終濃度が10%、0.8mg/mlと
なるように加えてよく撹拌し、氷上で30分静置した。
これを28Krpm.、4℃、15分間で超遠心 (B
ECKMAN:RoterSW41 Ti)し、その沈
殿物を10mlのアセトンに溶解させた。室温で10分
間静置後、再度超遠心し、得られた沈殿物を氷上に10
分間静置することで乾燥させ、濃縮した。
【0034】最終的に、これを50μlの1×SDS
sample dyeに溶解し、サンプルチューブ(e
ppendorf:No. 0030 102.00
2)に移した。この時、超遠心管に残っているサンプル
を回収するために、更に10μlの1×SDS sam
ple dyeで洗浄し、プールした。TCAとDOC
がサンプルに残存しているため、中和する目的で1Mの
Tris−HCl (pH 7.9)を3μl加えた
後、−80℃で保存した。
【0035】E3330結合性タンパク質のアミノ酸配
列分析を行うにあたってタンパク質をペプチドフラグメ
ント化した。まず、サンプルをprestained
SDS−PAGE standard (BIO−RA
D)と共に10%のSDS−ポリアクリルアミドゲルで
電気泳動した後、Mini trans blottm
odule kit (BIO−RAD)を用いて、タ
ンパク質をポリアクリルアミドゲルからPVDF膜
(MILLIPORE:immobilontrans
fer membrane)にブロッティングした。あ
らかじめPVDF膜は、15秒間メタノールに、続いて
5分間以上blotting buffer (10m
M CAPS−NaOH (pH 11)、10%メタ
ノール)に浸しておいた。ブロッティング装置の陽極側
を下にして順に、ファイバーパット2枚、3MMペーパ
ー2枚、PVDF膜、ゲル、3MMペーパー2枚、ファ
イバーパット2枚を泡が入らないように重ねた後、bl
otting bufferを満たした泳動槽に入れ
た。これを氷で冷却しながら30分間0.3Aの電流を
流し、タンパク質をPVDF膜にブロッティングした。
【0036】膜上のタンパク質を酵素消化するときは、
Lysil Endopeptidase(和光純薬工
業)を消化酵素として用いた。消化用緩衝液には20m
MTris−HCl (pH 8.8)、8%アセトニ
トリルを用い、酵素量は消化するタンパク質の1/10
量(g/g)とした。まず1/20量の酵素を加えて数
秒間撹拌振とうした後、さらに1/20量の酵素を加え
て遮光して37℃で一昼夜撹拌振とうした。反応終了
後、PVDF膜を吸い取らないように注意深く消化液を
採取し、残ったPVDF膜を100μlの8%アセトニ
トリルで洗浄した。その洗浄液も同様に採取し、それら
をプールして、これを15,000×g,室温、2分間
で遠心し、混在しているPVDF膜を完全に沈澱させ取
り除いた。遠心上清をそのままHigh perfor
mance liquid chromatograp
hy (HPLC)に投与すると親水性の高いペプチド
は、素通り画分に溶出してしまうため、遠心上清を減圧
下で濃縮しアセトニトリル濃度を下げた。これに0.1
% Trifluoroacetic acid(TF
A)を加え、体積を205μlとして逆相HPLC
(ABI:model 130A)にかけた。カラム
は、C8カラム (PERKIN ERMER:071
1−0056)を用い、流速50μl/min.、カラ
ム温度35℃で展開した。溶出は、移動相0.1%TF
A中でアセトニトリルの勾配を最初の5分間は0%、次
の30分間は0〜35%、最後の20分間は35〜70
%にして行った。ペプチドのモニターは215nmの紫
外吸収により行い、溶出されるペプチドはそのつど分取
し−80℃で保存した。
【0037】ペプチドのアミノ酸配列分析には、気相プ
ロテインシークエンサー(ABI:model 477
A protein sequencer)を用いた。
Carrierには、Polybrene (ABI)
を使用した。結果的に、3つのペプチド鎖のアミノ酸配
列が決定でき、それらは、GLDWVK/AAGEGP
ALYEDPPD/GAVAEDGDELという配列が
得られた。コンピューターによる解析により、それら配
列は、酸化還元に関与するレドックスタンパク質Ref
−1のN末端側にあるアミノ酸配列と全く一致した。ま
た、Ref−1は318個のアミノ残基を有し、分子量
が38kDaと報告されており、ここで分離・精製され
たタンパク質も同じ分子量を持っている。従って、E3
330結合性タンパク質はRef−1である可能性が高
い。
【0038】実施例10 (E3330結合タンパク質
の遺伝子組換えによる製造) (a) E3330結合性タンパク質のcDNAクロー
ン化とその大腸菌組換えタンパク質のE3330への結
合能の解析は以下のように行った。決定したアミノ酸配
列から、E3330結合性因子がRef−1である可能
性が極めて高いので、Ref−1のcDNAを作製し、
その組換えタンパク質を大腸菌で合成して、そのE33
30結合活性を検討した。
【0039】(b) まず、RNAの調製をした。調製
にあたり、予め前日に、超遠心管 (BECKMAN:
331372)、バケット (BECKMAN:for
SW41Ti)、バケットキャップ (BECKMA
N:for SW 41Ti)を、2% absolv
e (DUPONT;20mlを蒸留水で1リットルに
したもの)につけておき、混在するRNase活性を出
来るだけ取り除く。これらは使用直前に蒸留水でよくす
すいでから使用した。4.2リットルまで培養したJu
rkat細胞(7.6×10cells)培養液を5
00ml遠心チューブに移し、500×g、4℃、5分
間遠心することによって、細胞を集めた。細胞は、PB
S(−)で2回洗浄した。洗浄時の遠心は50mlの遠
心チューブで行い、遠心の条件は、700×g、4℃、
5分間とした。この時、併せて細胞の体積(PCV)を
計測した。
【0040】この細胞をPCVの10倍量のグアニジウ
ム溶液(4M Guanidiumthiocyana
te, 0.1M Tris−HCl pH 7.5,
1%(V/V)β−ME)によく懸濁し、この懸濁液を
注射器(テルモ:SS−20ES)を用いて18G
(1.2mm)の注射針(テルモ:NN−1838R)
に20回、25G(0.5mm)の注射針(テルモ:N
N−2525R)に40回通すことによりDNAを切断
した。これに最終濃度0.5%となるように10% N
−lauroylsarcosineを加えてよく撹拌
した後、あらかじめ9mlのCsCl/EDTA溶液
(5.7M CsCL, 0.01M EDTA pH
7.5)を入れておいた超遠心管に3mlずつ静かに
上層した。超遠心管をバケットに入れ、バケットキャッ
プを取り付けてからローター(SW41Ti)に固定し
超遠心(32Krpm、20℃、24時間)を行った。
【0041】上清を丁寧に取り除き、超遠心管の上部を
カッターで切断後、得られた沈殿物を70%エタノール
で洗浄した。そして遠心管の底を150μlのTE/S
DS溶液(10mM Tris−HCl pH 7.
6, 1mM EDTA, 0.1% SDS)で3回
洗浄することにより、沈殿物をTE/SDS溶液に溶解
した。これを2回、フェノール/クロロフォルム抽出し
てから、エタノール900μl、3M sodium
acetate (pH 5.2) 30μlを加え使
用時まで−80℃で保存した。濃度の測定時には、上記
の保存溶液の一部を分取して遠心(15,000×g、
4℃、5分間)し、70%エタノールで洗浄(15,0
00×g、4℃、5分間)後、diethyl pyr
ocarbonate (DEPC)で処理した水(蒸
留水に最終濃度が0.1%になるようにDEPCを加え
撹拌後、一昼夜静置し、これを高圧滅菌し、室温保存し
た)に溶解したものをDU−64 Spectroph
otometerを用いて260nmの吸光度を測定
し、RNA量を算出した。
【0042】(c) 次に、逆転写により鋳型1本鎖c
DNAを調製した。上記の方法で得られたRNA(10μ
g)を分取して遠心(15,000×g、4℃、5分
間)し、得られた沈澱を70%エタノールで洗浄(1
5,000×g、4℃、5分間)した。これを9.8μ
lのDEPC処理した水に溶解し、0.5μg/μlの
Oligo(dT)15primer (Promeg
a:5’−TTTTTTTTTTTTTTT−3’)1
60ngを加えて70℃で5分間加温する。5分後、す
ばやく氷上にサンプルを移し、それぞれ氷冷しておいた
Reaction buffer (Reverse
transcriptase添付5×RT Buffe
rを8μl、同じく添付の0.1M DTTを4μl、
10mM dNTPsを2μl、蒸留水13μlをそれ
ぞれ混合したもの)28μl、Ribonucleas
e inhibitor (TaKaRa:Ribon
uclease inhibitor)1μl、Rev
erse transcriptase (GIBCO
BRL:Super ScriptTM RNase
H− Reverse Trancriptase)2
μlをそれぞれこの順番で加えた。このサンプルをただ
ちに37℃で1時間反応させて逆転写による鋳型1本鎖
cDNAの伸長反応を行い、最後にheat bloc
kにより95℃で5分間加熱して反応を停止させた。な
お鋳型1本鎖cDNAは使用時まで−30℃で保存し
た。
【0043】(d) さらに、Ref−1翻訳領域をL
ong−PCR法により増殖するためオリゴヌクレオチ
ドを合成した。合成したオリゴヌクレオチドの各塩基配
列は、以下の通りである。なお、各オリゴヌクレオチド
は名前に冠した制限酵素消化部位を持っている。 5’Ref−1 XhoI primer:5’−GT
CTCTCGAGATGCCGAAGCGTGGGAA
AAAG−3’ 3’Ref−1 BamHI primer:5’−A
TGCGGATCCTTACAGTGCTAGGTAT
AGGGT−3’
【0044】合成したオリゴヌクレオチドを55℃で8
時間加温し脱保護を行った。これを分注して真空乾燥
し、TE (10mM Tris−HCl pH 7.
9,1mM EDTE)を10倍希釈したBuffer
に溶解した。作製した1本鎖cDNAを鋳型として、上
記2種のオリゴヌクレオチドによりPCRを行った。な
お、このPCRにはキット(XL PCR kit:P
ERKIN ELMER)を用いた。反応溶液は2種
(Lower Layer, Upper Laye
r)に分かれており、Lower Layerは5’末
端側および3’末端側プライマー各40pmolずつ、
dNTPsを最終濃度0.8mM、Mg(OAc)2を
最終濃度1.4mMとして3.3×XL Buffer
II 12μlを加えて全体積を40μlとした。一
方、Upper Layerは鋳型1本鎖cDNA 1
μl、rTth DNA Polymerase, X
L 4U、3.3×XL BufferII 18μl
を加えて、全体積を60μlとした。
【0045】まず、サンプル管のLower Laye
rにGEM 100 WAX(PERKIN ELME
R)をのせ、遺伝子増幅装置で80℃で5分間加熱後、
25℃で1分間冷却してWAXをLower Laye
r上に固化させた。これにUpper Layerを加
え、遺伝子増幅装置を用いて94℃で1分間、(94℃
で15秒間、60℃で10分間)を16サイクル、(9
4℃で15秒間、60℃で10分間(1サイクル毎に1
5秒間伸びる))を12サイクル、72℃で10分とい
うスキームで反応を行った。反応終了後、上層で固化し
たWAXに穴を開けて反応溶液を抽出し、クロロホルム
抽出、エタノール沈澱を行った。この増幅したDNA断
片をXhoI、BamHI(TOYOBO)で消化し
て、そのままアガロ−スゲル電気泳動した後、ゲルから
の切り出し、フェノール/クロロホルム抽出、エタノー
ル沈澱することによりDNA断片を純化した。
【0046】(e) 大腸菌発現ベクターには、pET
14b(Novagen)を使用し、上記のDNA断片
を、切り出して純化したpET14b XhoI/Ba
mHI消化断片と連結することによって、Ref−1野
生型組換えタンパク質を発現する大腸菌発現プラスミド
(pET/Ref)を構築した。このpET14b由来
の大腸菌発現プラスミドを保持する大腸菌は、6個のH
istidineからなるペプチドがそのN末端側に存
在するHis−Tag融合組換えタンパク質を発現す
る。
【0047】実施例11 (Ref-1とE3330との結
合能の確認) (a) この組換えタンパク質を用いて、E3330に
対する結合能をE3330固定化粒子を用いて検討する
と、確かにRef−1組換えタンパク質はE3330と
特異的に結合することが確認された。また、14Cで標
識したE3330を用いたFar western法で
も、E3330がRef-1に結合することが確認されたこ
とから、Ref−1はE3330の細胞内レセプターで
あると言えよう。 (b) Ref−1は、そのN末端側にレドックス活性
を有するドメインを持ち、そのC末端側には脱プリン/
脱ピリミジン化(Apurinic/Apyrimid
inic)したDNAの1本鎖を切断して、ニックを入
れる活性(APnuclease活性)を有するドメイ
ンを持つ。そこで、E3330がそれらの活性を阻害す
るか否かを次に検討した。
【0048】まず、AP nuclease活性に関し
ては、プラスミドpBluescript SKDN
A(50μg)を50mMのクエン酸ナトリウム(pH
3.5)で、60℃で15分間処理後に、50mM
Tris−HCl(pH 7.4)にて透析(4℃、一
昼夜)を行った。このAPプラスミドDNAは超ラセン
構造(supercoiled cirular DN
A)を呈している。このDNAをヌクレアーゼバッファ
ー(10mM Tris−HCl (pH 8.0),
5mM MgCl, 1mM EDTA, 0.0
1% NP−40)に懸濁して、これに組換えRef−
1を加えると、確かにニックが入り、弛緩した環状DN
A(open circular DNA)となる。し
かし、図3に示すように、このRef−1のAP nu
clease活性は、E3330により阻害されない。
【0049】(c) 次に、Ref−1のレドックス活
性に及ぼす影響を検討した。その結果を図4に示す。こ
れを行うにあたって、転写因子NF−κBはそのアミノ
酸配列の中で複数個のシステイン(Cys)残基を有し
ており、それらがS−S結合した酸化状態の場合とそれ
ぞれがSH基になった還元状態の二つの場合がある。そ
こで、還元剤として知られているジチオスレイトール
(dithiothreitol, DTT)でNF−
κBを処理すると、NF−κBは還元状態になりDNA
への結合能が増加することをゲルシフト法により示し
た。そこで、レドックス活性を有するRef−1をJu
rkat細胞から部分精製したNF−kBに加えるとゲ
ルシフト法で確かにDNAに対する結合能が増加する。
さらに、このRef−1によるNF−κBのDNA結合
活性の促進は、E3330を反応液に添加することによ
り抑制される。しかし、DTTによるNF−κBのDN
A結合活性の増加はE3330は阻害しない。従って、
E3330がNF−κBのDNAへの結合能を特異的に
抑制することを示した。
【0050】(d) NF−κBは、2つのサブユニッ
ト(p65とp50)からなるへテロ2量体である。そ
れぞれの分子量は、65kDaおよび50kDaであ
る。バキュロウイルスの発現系を用いて、それらのHi
s−tag組換えタンパク質を調製し、p65とp50
のいずれにE3330が作用するかをゲルシフト法で検
討した。その結果を図5に示す。p65/p65ホモ2
量体は、DTT添加による還元状態ではDNAへの結合
能が著しく亢進するが、その効果はRef−1添加では
見られない。しかし、p50/p50ホモ2量体および
p65/p50ヘテロ2量体のDNAへの結合能は、D
TT添加でも組換えRef−1でも亢進する。従って、
Ref−1はNF−κBサブユニットの中のp50に作
用することがわかった。このp50/p50あるいはp
65/p50の2量体のRef−1によるDNAへの結
合能の亢進は、E3330により抑制される。NF−κ
Bは特異塩基配列を認識してそれに結合する転写因子
で、DNAへの結合は転写因子として機能するための必
要条件である。その段階がRef−1により調節されて
いるので、Ref−1は少なくともDNA結合に関して
転写因子NF−κBを活性化する細胞内因子であり、し
かも、E3330がその活性化を阻害することを明らか
にした。
【0051】(e) また、Ref−1がNF−κBの
p50に特異的に結合することを確証するために、GS
T pull downアッセイを行った。その結果か
ら、図6のようにRef−1がGST−tagのp50
(GST−p50)に確かに結合することが示され
る。
【0052】実施例12 (Ref−1変異型組換えタ
ンパク質の作製) (a) Ref−1のE3330への結合を確証するた
めに、pET/Refを用いて、一連のRef−1のN
末端およびC末端からの欠失変異株を下記のとおり作製
した。そして、それらの組換えタンパク質を大腸菌で発
現させ、ニッケルカラム及びグルタチオンカラムで精製
し、E3330固定化粒子に結合するか否かを検討し
た。野生型を含むRef−1の変異型組換え体の模式図
を図7に示した。
【0053】(b)pET/RefdC76、pET/
RefdC91、pET/RefdC163、pET/
RefdC182の作製 作製したpET/Refの10μgをBamHIとAa
tII(TOYOBO)で消化し、フェノール/クロロ
ホルム抽出、エタノール沈殿を行った。このpET/R
ef BamHI/AatII消化断片をExonuc
lease III(ExoIII: TaKaRa)
に添付の10×ExoIII Buffer(500m
M Tris−HCl (pH 8), 50mM M
gCl, 100mM β−ME)を10倍希釈した
Buffer 100μlに溶解した。そしてExoI
II 180Uを加えて、25℃でそれぞれ5分間、1
0分間、15分間、20分間、25分間、30分間、4
0分間、50分間、60分間反応させ、pET/Ref
BamHI/AatII消化断片を、3’→5’方向
に分解した。ExoIIIはZn+により阻害されるこ
とから、反応の停止は、Mung Been Nucl
ease (TaKaRa)に添付の10×Mung
been Buffer (300mM CHCOO
Na (pH4.6), 1M NaCl, 10mM
(CHCOO)Zn, 50% Glycero
l)を10倍希釈したBufferを100μlずつサ
ンプリングすることで行った。サンプリングした反応液
は65℃で5分加温して、完全に酵素を失活させた。次
にこの反応液にMung Been Nuclease
50Uを加え、37℃で30分間反応させることによ
り、ExoIIIにより1本鎖化した部分のDNAを分
解した。そしてフェノール/クロロホルム抽出、エタノ
ール沈殿を行い、Klenow Fragmentによ
り末端を修復(DNAの平滑末端化)して完全な平滑末
端にした。これをフェノール/クロロホルム抽出、エタ
ノール沈殿後、XhoIで消化を行った。この操作によ
り、N末端側はXhoIの消化末端、C末端側は平滑末
端であり、C末端側が様々の長さに削られたRef−1
の翻訳領域を得た。この様々なDNA断片と、切り出し
て純化したpET14b XhoI/BamHI消化断
片と、BamHI Linkerの3断片を連結するこ
とによって、Ref−1変異型組換え体の大腸菌発現プ
ラスミドを構築した。BamHILinkerの塩基配
列は以下の通りであり、このLinkerにはどのフレ
ームでも終止コドンがくるように設計した。また、作製
の方法は、上記で作製した各転写因子の結合配列をもつ
2本鎖DNAと同様である。 BamHI Linker:5’−TAACTAACTAG−3’ :3’−ATTGATTGATCCTAG−5’ Ref−1変異型組換え体大腸菌発現プラスミドの名前
は、翻訳後のC末端側からの欠失アミノ酸の長さが短い
ものから順にpET/RefdC76(C末端側から7
6アミノ酸を欠失)、pET/RefdC91(C末端
側から91アミノ酸を欠失)、pET/RefdC16
3(C末端側から163アミノ酸を欠失)、pET/R
efdC182(C末端側から182アミノ酸を欠失)
とした。
【0054】(c)pET/RefdC230、pET
/RefdC247、pET/RefdC278の作製 上記と同様の方法により、pET/RefdC230
(C末端側から230アミノ酸を欠失)、pET/Re
fdC247(C末端側から247アミノ酸を欠失)、
pET/RefdC278(C末端側から278アミノ
酸を欠失)を構築した。
【0055】(d)pET/RefdN41、pET/
RefdN81、pET/RefdN121、pET/
RefdN161の作製 N末端側が欠損しているこの一連のRef−1変異型大
腸菌発現組換え体はオリゴヌクレオチドを合成しLon
g−PCR法により増幅した。合成したオリゴヌクレオ
チドの各塩基配列は、以下の通りである。なお、各オリ
ゴヌクレオチドは名前に冠した制限酵素消化部位をもっ
ている。 5’RefdN41 XhoI primer:5’−
ATGCCTCGAGATGCCAGCCCTGTAT
GAGGACC−3’ 5’RefdN81 XhoI primer:5’−
ATGCCTCGAGATGGATTGGGTAAAG
GAAGAAGCC−3’ 5’RefdN121 XhoI primer:5’
−ATGCCTCGAGATGCCTTCGGACAA
GGAAGGGT−3’ 5’RefdN161 XhoI primer:5’
−ATGCCTCGAGATGTTTGACTCGTT
TGTGCTGGTA−3’ 合成したオリゴヌクレオチドを55℃で8時間加温し脱
保護を行った。これを分注して真空乾燥し、TE (1
0mM Tris−HCl (pH 7.9), 1m
M EDTA)を10倍希釈したBufferに溶解し
た。以下、上記の4種類のオリゴヌクレオチドと3’R
ef−1 BamHI primerの組合せにより先
に述べた方法と全く同様にしてPCRを行った。増幅し
たDNA断片をそれぞれXhoI、BamHI (TO
YOBO)で消化して、そのままアガロースゲル電気泳
動した後、ゲルからの切り出し、フェノール/クロロホ
ルム抽出、エタノール沈殿することにより純化した。こ
れらのDNA断片を、切り出して純化したpET14b
XhoI/BamHI消化断片及び、BamHI L
inkerと連結することによって、それぞれpET/
RefdN41(N末端側から41アミノ酸を欠失)、
pET/RefdN81(N末端側から81アミノ酸を
欠失)、pET/RefdN121(N末端側から12
1アミノ酸を欠失)、pET/RefdN161(N末
端側から161アミノ酸を欠失)を構築した。
【0056】(e)pET/RefdN41dC16
3、pET/RefdN41dC182、pET/Re
fdN41dC213の作製 pET/RefdN41をPvuIIとXhoIで消化
した。これをアガロースゲル電気泳動して翻訳領域だけ
を含むものを切り出した。またpET/RefdC16
3、pET/RefdC182、pET/RefdC2
13を、PvuIIとBamHIで消化して翻訳領域だ
けを含むものをアガロースゲルから切り出し、それぞれ
調製した。さらに上記と同様の方法により、これらをそ
れぞれ、連結し、pET/RefdN41dC163
(N末端側から41アミノ酸を欠失、C末端側から16
3アミノ酸を欠失)、pET/RefdN41dC18
2(N末端側から41アミノ酸を欠失、C末端側から1
82アミノ酸を欠失)、pET/RefdN41dC2
13(N末端側から41アミノ酸を欠失、C末端側から
213アミノ酸を欠失)を構築した。
【0057】(f)pET/RefdN51dC18
2、pET/RefdN61dC182、pET/Re
fdN71dC182、pET/RefdN81dC1
63、pET/RefdN81dC182の作製 上記と同様の方法により、それぞれの欠失変異株を構築
した。
【0058】実施例13 (E3330に対するRef
−1変異型大腸菌組換え体の結合評価) まず、それぞれ大腸菌で発現させたRef−1野生型組
換え体及び変異型組換え体をHis・Bind Res
inまたはGlutathione Sepharos
e 4Bを用いて精製した。そして精製したそれぞれの
タンパク質をSDS−PAGEにかけてラッピドステイ
ン CBBを用いてクマシー染色を行った。そのときの
結果を図8及び図9に示した。図8では一連のC末端か
らの欠失変異体を示し、図9では一連のN末端からの欠
失変異体と、C末端とN末端の両側から欠失させた変異
体を示す。図8ではレーン1から順番に野生型(W
T)、dc50、dC76、dC91、dc157、d
C163、dC182、dC213、GST−dC21
3を泳動しており、それぞれのおおよその分子量は、4
0KDa、37KDa、36KDa、35KDa、28
KDa、26KDa、23KDa、19KDa、42K
Daであった。また図9ではレーン1から順番に野生型
(WT)、dN41、dN81、dN121、dN16
1、GST−dN81dC182、GST−dN41d
C213、GST−dN81dC213、GSTを泳動
しており、それぞれのおおよその分子量は、40KD
a、36KDa、32KDa、28KDa、22KD
a、36KDa(レーン7のすぐ左側のバンド)、37
KDa、33KDa、28KDaであった。
【0059】実施例14 (Ref−1変異型組換え体
を用いたE3330結合領域の同定) どのRef−1変異型組換え体がE3330に結合する
かを検討し、その結果からE3330の結合領域を同定
するために、E3330固定化SG粒子を用いた結合実
験を行った。実験のスキームは図2で示したものと同様
に行った。なお、本実験では2通りの溶出を行った。1
つは、精製した各Ref−1欠失変異体の2μgをE3
330固定化SG粒子と混合し、氷中で30分間静置
し、粒子に結合してくるタンパク質を1M KClを含
んだ溶出液で溶出した。最後に、それぞれの溶出液を1
2.5% SDS−PAGEにかけて、銀染色により検
出を行った。もう1つは、精製した各Ref−1欠失変
異体の2μgをE3330固定化SG粒子と混合し、氷
中で30分間静置し、それぞれタンパク質を結合させた
粒子に1×SDS sample dyeを加え、その
まま直接煮沸することにより、粒子と結合するタンパク
質を溶出した。その後、12.5% SDS−PAG
E、クマシー染色を行った。その結果、以下に示す変異
型組換え体がE3330固定化SG粒子に結合している
ことが示唆された。まず、1M KCl溶出液を用いた
方法では、野生型(約40KDa)、dC76(約36
KDa)、dC91(約35KDa)、dC163(約
26KDa)、dC182(約23KDa)、dC21
3(約19KDa)、GST−dC213(約42KD
a)であった。また、直接煮沸した方法では、野生型
(約40KDa)、dN41(約36KDa)、dN8
1(約32KDa)、GST−dN81dC182(約
36KDa)、GST−dN81dC213(約33K
Da)であった。これらの結果を図10及び図11に示
した。
【0060】上記の結果から、Ref−1は全長318
個のアミノ酸残基からなるタンパク質であるが、C末端
から231個目(N末端から88番目)以降のアミノ酸
残基を欠損するとE3330に結合しなくなり、N末端
から72個目までのアミノ酸残基を欠損するとE333
0に結合しなくなることから、図12に示すように少な
くとも72〜88番目のアミノ酸配列がE3330の結
合に関与していることが明らかになった。実際に、この
領域(72a.a.−88a.a.)のみを有する組換
えタンパク質を合成して、E3330固定化粒子を用い
て検討すると、E3330と結合することが確認でき
た。これらは、E3330固定化粒子を用いて細胞内に
存在するE3330レセプターを分離・精製できたこと
を示すものであり、本発明がタンパク質の分離精製にき
わめて有用であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、表面がグリシジルメタクリレートで覆
われた(表面にグリシジル基が突出した)スチレン−グ
リシジルメタクリレート重合体及びスペーサーが結合し
た、表面がグリシジルメタクリレートで覆われたスチレ
ン−グリシジルメタクリレート重合体の製造方法を示す
略図である。
【図2】図2は、本発明にかかるミクロスフィアによる
タンパク質の分離方法を示す略図である。
【図3】図3は、(a)がE3330によるRef−1
のAPエンドヌクレアーゼ活性への影響を示すものであ
り、(b)がNH−E3330によるRef−1のA
Pエンドヌクレアーゼ活性への影響を示すものである。
【図4】図4は、rRef−1によるNF−κBのDN
A結合活性の促進及びE3330によるrRef−1活
性の抑制を示す。
【図5】図5は、r−p65及び/又はr−p50のD
NAへの結合能におけるrRef−1の影響を示す。
【図6】図6は、GST pull down アッセ
イの手順と結果を示す。
【図7】図7は、Ref−1の各欠失変異株の模式図で
ある。
【図8】図8は、E3330に対するRef−1大腸菌
組換え体の結合評価の結果である。
【図9】図9は、E3330に対するRef−1大腸菌
組換え体の結合評価の結果である。
【図10】図10は、各Ref−1変異型欠失株を用い
たE3330への結合領域の同定の結果を示す。
【図11】図11は、各Ref−1変異型欠失株を用い
たE3330への結合領域の同定の結果を示す。
【図12】図12は、各変異型欠失株により同定された
Ref−1のE3330への結合領域を示す模式図であ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−218772(JP,A) Eur.J.Pharmacol., Vol.291,No.2,pp.121− 127(1995) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 1/14 C07K 14/00 C07K 14/705 C12N 11/08 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面がグリシジルメタクリレートで覆われ
    たスチレン−グリシジルメタクリレート重合体にスペー
    サーを介して生理活性を有する化合物を結合させて、当
    該生理活性を有する化合物に付着する物質をスクリーニ
    ングする方法。
  2. 【請求項2】生理活性を有する化合物、又は生理活性を
    有する化合物に付着する物質が、受容体である請求項1
    に記載の方法。
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