JP3290765B2 - ヒ−トパイプ式過冷却製氷装置 - Google Patents

ヒ−トパイプ式過冷却製氷装置

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JP3290765B2 JP16625393A JP16625393A JP3290765B2 JP 3290765 B2 JP3290765 B2 JP 3290765B2 JP 16625393 A JP16625393 A JP 16625393A JP 16625393 A JP16625393 A JP 16625393A JP 3290765 B2 JP3290765 B2 JP 3290765B2
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司郎 川上
耕造 前田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒートパイプを用いて過
冷却水を製し、これにより連続的に安定して製氷するよ
うにしたヒ−トパイプ式過冷却製氷装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、氷蓄熱システムにおける製氷技術
としては、水中に設置したコイル状の細管内にブライン
等の冷媒を流通させ、コイル状細管の外表面に固形状の
氷を形成・成長させる固形製氷法(アイスオンコイル
型)と、流動性のある過冷却水を用いて、これに衝撃あ
るいは他の過冷却現象破壊手段を用い、これを連続的
に、しかも温度に応じて水中で晶出してシャーベット状
の氷を製造する過冷却製氷方法とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】固形製氷法はコイル状
細管の周りに氷が成長してくると、この細管に付着した
氷が断熱材の作用を果たし、冷凍機の冷凍能力・効率が
低下する。このためエネルギーロスが生じる。また過冷
却製氷方法は、固形製氷法に比べ、冷凍機の性能・効率
に影響の少ないシステムとして、近年注目されている。
この方法の一例として、シェル状中空体の内部に、螺旋
状の金属パイプを巻き付け、シェル状中空体に冷凍機で
0℃以下に過冷却された冷媒、あるいはブラインを流動
させ、コイルチューブに被冷却水を通水し、シェル状中
空体内部を流動する冷媒、もしくはブラインの冷熱で被
冷却水を過冷却状態にして製氷するものである。従って
構造上、精密加工の必要がなく、コイルチューブは強度
も大で、冷媒の漏洩などの恐れが少ない利点がある。し
かし伝熱効率が低く、外形寸法に比較して大きな伝熱面
積が得られない。このため大量の氷を得るには、多数の
熱交換器を設置する必要がある。さらに過冷却現象はき
わめて不安定な物理現象であり、常に何らかの破壊作用
で安定した氷相へ移行しようとし、このためにこの過冷
却破壊が過冷却水の循環系、特に熱交換器内部で生じ、
氷が発生すると循環系の閉塞が起こり、連続的な製氷が
困難である。
【0004】本発明は過冷却製氷法において、熱交換器
としてヒートパイプ,樹脂チューブを用い、これにより
安定した過冷却水を製し、連続的にしかも熱交換率を高
めて、安定して製氷することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになしたもので、熱交換器としてヒートパイプ
を用い、このヒートパイプの上部に冷凍機からの冷媒を
循環供給するようにしたジャケットを、下部にヒータを
設け、さらにヒートパイプの中央部に所要長の樹脂チュ
ーブを密着してコイル状に巻き付けると共に、このコイ
ル状樹脂チューブと氷蓄熱槽間に被冷却水の循環回路を
形成し、氷蓄熱槽内で、かつ樹脂チューブより吐出され
る過冷却水の落下位置に過冷却水破壊板を設置する。そ
してさらにこの過冷却水破壊板に、冷凍機とヒートパイ
プ上部に配設したジャケット間に冷凍機からの冷媒を循
環供給するように冷媒循環回路より冷媒の一部を供給し
て過冷却水破壊板を冷却し、樹脂チューブより吐出され
る過冷却水を効率良く氷結させるようにしたことを要旨
とする。
【0006】
【作用】熱交換器にヒートパイプと樹脂チューブを用
い、このヒートパイプの上部に取り付けたジャケット内
に冷媒を−10g程度循環させて冷却し、ヒートパイプ
の中央部に、前記樹脂チューブをヒートパイプに密着す
るよう螺旋状に巻き付け、この樹脂チューブ内に摂氏0
度乃至1度の水を循環させているので、ヒートパイプ上
部を冷却することにより、これに密着巻き付けられた樹
脂チューブ内の水は冷却され、約摂氏−2度の過冷却水
となって氷蓄熱槽へ送水される。この氷蓄熱槽とコイル
状の樹脂チューブとは被冷却水の循環回路が構成されて
おり、しかも過冷却水が樹脂チューブより槽へ戻すと
き、該槽水面で過冷却破壊板を設けているので、この過
冷却破壊板に過冷却水は確実に破壊され摂氏0度の水に
なった後、槽内へ戻る。この時槽内にて過冷度に応じた
氷を晶出させることができる。しかも過冷却破壊板には
冷凍機からコイル状樹脂チューブの上方で、かつヒ−ト
パイプに設けたジャケットへ送る冷媒の一部を循環させ
冷却しその表面に氷あるいは霜を成長しているので、こ
れが氷形成核となり、過冷却水が槽内に戻る直前に過冷
却破壊が生じ、氷が晶出するものとなる。さらにヒート
パイプの下部にはヒータを設けているので、コイル状樹
脂チューブ内で過冷却水による氷を晶出して閉塞が生じ
た時、ヒ−タを作動し、ヒ−トパイプを加熱することに
より、コイル状樹脂チューブ内で晶出した氷を融解し、
閉塞を早期に解除して再び安定した製氷が行えるものと
なる。
【0007】
【実施例】以下本発明ヒ−トパイプ式過冷却製氷装置を
図示の実施例に基づいて説明する。図において1は熱交
換器を構成する主要素の1つであるヒートパイプで、製
氷能力に応じた所要径と長さとを有し、このヒートパイ
プ1の上部にジャケット3を、中央部には樹脂チューブ
2をコイル状に密着して巻き付け、下部にはヒータ4を
取り付けてなる。
【0008】樹脂チューブは所要径を有する合成樹脂製
のパイプをもってヒートパイプ1の中央部に所要径の長
さにわたって螺旋状に巻き付けるが、これは常温でヒー
トパイプ外周に巻き付け、装置の運転によりこの樹脂チ
ューブが熱収縮し、ヒートパイプ外周面に密着するよう
になすか、あるいは最初の巻き付け時からヒートパイプ
に密着するようにし、これによってヒートパイプ面と樹
脂チューブ面との熱伝達を向上させるようになす。
【0009】この樹脂チューブ2のヒートパイプ外周面
への巻き付けは図示のように螺旋チューブ間を密着する
ように一条巻とするか、あるいは二条巻とし、しかも巻
き付ける樹脂チューブの展開長を所要過冷却温度に応じ
て適宜定めることで、製氷能力を自由に設計することが
できる。従ってチューブ長を長くあるいは巻条数を増加
すれば必然的に製氷能力が向上するものとなる。
【0010】そしてこのようにヒートパイプ1,コイル
状の樹脂チューブ2とによりなる熱交換器と近接または
隣接して、所要容積を有する氷蓄熱槽5を設置し、この
槽内部とコイル状樹脂チューブの下部と、さらには槽内
上部とコイル状樹脂チューブの上部とをそれぞれ管2
1,22とにて連結し、これにより氷蓄熱槽5とコイル
状樹脂チューブ2とを被冷却水の循環回路を構成すると
共に、管21または22に循環用のポンプ6及び開閉弁
7を設ける。そして上部の管21の先端には氷蓄熱槽内
の上部で開口させる。
【0011】氷蓄熱槽5内には、望ましくはその水面位
置に過冷却水破壊板8を設置すると共に、ジャケット3
へ供給する冷媒の一部を供給するための冷媒供給管9を
接続し、これにより過冷却水破壊板8を常に所定温度に
冷却させ、管21を経て槽内へ戻される過冷却水を破壊
して氷を晶出させるようになす。
【0012】前記ジャケット3には、冷凍機10と冷媒
を循環させる冷媒循環回路11を接続し、この冷媒循環
回路11を分岐して前記冷媒供給管9を接続するもので
ある。
【0013】ヒートパイプ1の下部に取り付けるヒータ
4は、ヒートパイプ外周に巻き付けたコイル状の樹脂チ
ューブ内で過冷却水が氷の晶出を生じ閉塞させないよう
に、すなわち樹脂チューブ内での凍結解除を図るもの
で、電気ヒータ,蒸気,冷凍機のホットガス等が用いら
れる。そしてこのヒ−タはコイル状の樹脂チューブ内で
過冷却水が氷結を生じるようになったときに加熱するよ
うになす。
【0014】従って上述の如く構成する過冷却製氷装置
の作動について以下説明する。被冷却水の循環回路に設
けたポンプ6を運転して氷蓄熱槽内底部から被冷却水を
取り出し、ヒートパイプ外周に巻き付けたコイル状樹脂
チューブ内へ送水し、管21の先端より槽内へ吐出さ
せ、氷蓄熱槽内の水をコイル状樹脂チューブとの間で循
環させる。そしてポンプの運転により、循環回路の流量
が定常状態になったとき、冷凍機10よりの冷媒を冷媒
回路11を介してヒートパイプ上部のジャケット3内へ
循環するようにして供給すると、ヒートパイプ1の上部
はジャケット3を介して冷却される。
【0015】上部が冷却されたヒートパイプ1はその中
央部に巻き付けた樹脂チューブを介してチューブ内を流
れる被冷却水から熱を奪い、ヒートパイプ内の作動液を
蒸発させる。この作動液の気体はヒートパイプ上部のジ
ャケットの冷熱を介して凝縮され、管壁を伝って流下す
る。このようにしてヒートパイプ内の作動液はヒートパ
イプ内上下部を循環すると共に、ヒートパイプにて冷却
される樹脂チューブ内の被冷却水は徐々に温度を下げ、
その温度が0℃以下になったところで管21より常に冷
媒の一部を循環して冷却され氷或いは霜が形成されてい
る過冷却水破壊板上に落下し、ここで過冷却水に氷が晶
出する。このように被冷却水を循環させることにより安
定した過冷却水が得られ、連続的にシャーベット状の製
氷を安定して行われるものである。
【0016】本発明の用途としては、まず第1にビル等
の空調を目的とした氷蓄熱システムが挙げられる。氷蓄
熱システムでは、本発明の氷蓄熱槽5にビルの二次側空
調設備に接続した循環パイプと冷水ポンプを設け、夜
間、安価な深夜電力を用いて、前記実施例の方法で氷を
製造する。夜間貯える氷の量は、氷蓄熱槽5の水を10
0%氷にすることなく、IPF(製氷率)を60%前後
にして、若干の未凍結水が含まれた状態とする。昼間、
前記の冷水ポンプを運転して、氷蓄熱槽5の底部に設け
た循環パイプから、未凍結水ほぼ0℃を取り出し、二次
側空調設備の空調機へ送水する。空調機での未凍結水
は、冷水コイルで室内空気と熱交換し、ビル内へ冷風と
して吹き込み、室内を冷房する。
【0017】一方、未凍結水は、室内空気によって12
℃まで昇温され、氷蓄熱槽5の上部に設けられた循環パ
イプで槽内に戻り、氷を融解して再び0℃冷水となっ
て、空調機に送られる。このようにして本発明を氷蓄熱
システムに用いた場合、 1)過冷却水で効率よく氷が製造できるため、省エネル
ギー,低ランニングコストの性能を得ることができる。 2)0℃から12℃の冷水が利用できるため、二次側空
調設備を省エネ性の高い、低風量,大温度差空調システ
ムとすることができ、しかも、ビル利用者に高品質な空
調環境を提供することができる。 3)国家的には、電力の平準化に寄与することができ、
ビル所有者にとっては、上記利点に加えて安価な深夜電
力の利用で大幅なランニングコストの低減を図ることが
できるなどの利点がある。
【0018】またその他の用途としては、次の方法が考
えられる。 ●コンクリートの温度応力によるひび割れ防止,制御 マスコンクリート構造物にあっては、セメントの水和反
応による水和熱により、温度ひび割れが発生しやすい。
温度ひび割れ防止、あるいは制御には、コンクリートの
打設温度を低くする方法が最も効率的である。よって練
り混ぜ水として、本発明で製造した氷を用いることが合
理的である。また、氷蓄熱システムのように循環回路を
用いて0℃の冷水を骨材槽、あるいはセメントサイロに
導き、これにコンクリート材料を冷却することも、練り
上がり温度を低下させるため、温度ひび割れの防止、あ
るいは制御に効果的である。
【0019】●乳製品の製造 乳製品の製造工場では、多量の冷水が消費される。その
ため、冷熱設備建設には、巨額の費用を必要とし、ラン
ニングコストも高価なものとなる。本発明品を製造設備
に循環パイプを用いて接続すれば、常に安定した0℃の
冷水が利用でき、製品の品質向上と、夜間電力利用によ
るランニングコストの低減を得ることができる。
【0020】●食品輸送 氷蓄熱槽5に貯えた氷を直接用いて、鮮魚輸送時の冷却
材に使用するのも、輸送費低減に効果的である。
【0021】●氷菓の製造 本発明で製造される氷は、シャーベット状であり、かき
氷機等で氷を削ることなく、皿に盛り、糖みつで味を付
け、食用することもできる。
【0022】
【発明の効果】本発明ヒ−トパイプ式過冷却製氷装置
は、熱交換器としてヒートパイプを用い、このヒートパ
イプの上部に冷凍機からの冷媒を循環供給するようにし
たジャケットを、下部にヒータを設け、さらにヒートパ
イプの中央部に所要長の樹脂チューブを密着してコイル
状に巻き付けると共に、このコイル状樹脂チューブと氷
蓄熱槽間に被冷却水の循環回路を形成し、氷蓄熱槽内
で、かつ樹脂チューブより吐出される過冷却水の落下位
置に過冷却水破壊板を設置しているため、安定した過冷
却水が製造でき、しかもこの過冷却水が槽水面で確実に
破壊され、安定して連続的に製氷できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ヒ−トパイプ式過冷却製氷装置の一実施
例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ヒートパイプ 2 コイル状樹脂チュ−ブ 3 ジャケット 4 ヒータ 5 氷蓄熱槽 6 ポンプ 8 過冷却水破壊板 10 冷凍機
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−159874(JP,A) 特開 昭58−208525(JP,A) 特開 平4−48174(JP,A) 特開 平3−99173(JP,A) 実開 平1−120023(JP,U) 実開 平4−25976(JP,U) 実開 昭62−24279(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25C 1/00 - 1/12 F25C 1/16 - 5/18 F28D 15/02 F28D 1/00 - 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱交換器としてヒートパイプを用い、こ
    のヒートパイプの上部に冷凍機からの冷媒を循環供給す
    るようにしたジャケットを、下部にヒータを設け、さら
    にヒートパイプの中央部に所要長の樹脂チューブを密着
    してコイル状に巻き付けると共に、このコイル状樹脂チ
    ューブと氷蓄熱槽間に被冷却水の循環回路を形成し、氷
    蓄熱槽内で、かつ樹脂チューブより吐出される過冷却水
    の落下位置に過冷却水破壊板を設置してなるヒ−トパイ
    プ式過冷却製氷装置。
  2. 【請求項2】 ヒートパイプの上部に冷凍機からの冷媒
    を循環供給するようにしたジャケットを、下部にヒータ
    を設け、さらにヒートパイプの中央部に所要長の樹脂チ
    ューブを密着してコイル状に巻き付けて熱交換器を構成
    し、ヒ−トパイプにてコイル状樹脂チューブ内を流通す
    る流体を熱交換する熱交換器を用いたことを特徴とする
    ヒ−トパイプ式過冷却製氷装置
  3. 【請求項3】 ヒートパイプの上部に冷凍機からの冷媒
    を循環供給するようにしたジャケットを、下部にヒータ
    を設け、さらにヒートパイプの中央部に熱交換する流体
    を流通させる所要長の樹脂チューブを密着してコイル状
    に巻き付けて熱交換器を構成し、氷蓄熱槽内で、かつ樹
    脂チューブより吐出される過冷却水の落下位置に過冷却
    水破壊板を設置すると共にこの過冷却水破壊板に、冷凍
    機とジャケット間に冷凍機からの冷媒を循環供給するよ
    うに冷媒循環回路より冷媒の一部を供給して常に冷却し
    過冷却水の氷晶出を確実にするようになしたことを特徴
    とするヒ−トパイプ式過冷却製氷装置
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