JP3290673B2 - 医療用吸引器具 - Google Patents

医療用吸引器具

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は例えば外科、歯科及び集
中治療において使用される医療用の吸引器具に関する。
【０００２】
【従来の技術】手術の際に出る血液、組織液、組織片、
骨片、骨粉及び膿は手術部位から除去しなければなら
ず、その上、食塩水又はリンゲル液のような洗浄液を絶
えず取替え、古い液体を除去しなければならない。その
ために以前は綿球を使用したが、現在では吸引器具が使
用されている。歯科医療では例えば唾液、血液及びバー
の残滓を吸引しなければならない。集中治療、麻酔法及
び内視鏡検査では種々の粘度と成分の体液を吸収しなけ
ればならない（例えば粘液、血液、尿、便、胆汁、胃液
等や、造影剤液等。）。このような吸引器具は負圧タン
クに接続された固定式又は移動式の真空ポンプから成っ
ており、前記負圧タンクの方は溢れ止めを介していわゆ
る分泌物フラスコと連結され、このフラスコは更に吸引
管を経て吸引尖端と連結している。吸引器具には内径が
太いものと細いものがあり、内径が４．９ｍｍ以上のも
のが太い内径の吸引器具と呼ばれている。この吸引器具
はプラスチック及び金属又は他の材料から構成すること
ができる。
【０００３】吸引の際に組織が吸引器具の尖端の口を完
全に覆うと、０．１バールのポンプ負圧にまで達するこ
とがある負圧が生じる。それによって組織は空気圧によ
って吸引口に吸い込まれるので、組織の損傷が生じるこ
とがある。更に組織が吸引口の内縁で切断されることが
あり、それによっても傷が生じる場合がある。
【０００４】その間、吸引口が組織をあまり強く吸引し
ないように、吸引口の上部に補充空気を吸い込むことが
できる側部開口部を設けたいわゆるスリット付きの吸引
器具が開発された。それによって一方では吸引力が弱ま
るが、他方では吸引口の臨界負圧、ひいては損傷、もし
くは組織の吸引が防止もしくは軽減されるようになっ
た。吸引力の減少をできるだけ少なくするため、吸引時
にはフルートのように指で塞ぎ、指を開口部から離すと
組織に負圧が生じる形式の側部開口部を活用した、いわ
ゆる真空制御機構を備えた吸引器具が開発されている。
この真空制御は勿論手で行なわなければならないので、
この形式の吸引器具の取扱いは注意深くしなければなら
ず、手術の際には不都合であることがある。
【０００５】その他に側部孔からの空気流を空気の主流
と混合するいわゆるスリット付きの吸引器具も提唱され
ているが、これは不都合なノイズを発生する原因にな
る。この吸引器具は閉塞フルートの原理で機能するが、
吸引していない間は側部気流が主流中で渦巻くことによ
りノイズを発する。ノイズの大きさは管中の空気速度及
び吸引器具の共鳴によって定まる。このノイズの周波数
は側孔の形状と位置によって左右される。それによって
生じるパイプ音は手術チームの集中度を損ない、手術が
長引く場合は決定的な障害になる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】従って外傷をつくら
ず、不都合なノイズを発しない前述の形式の吸引器具を
製造する必要がある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、医療用
吸引器具において、周囲部を備えると共に少なくとも１
つの側部開口部が形成された管を有する吸引器であっ
て、管の一端に設けられてそれを通じて物体が浸入する
開口吸引端部と、外部吸引装置に取り付けるためのホー
ス端部とを有する上記吸引器、および側部開口部を覆う
フォイルであって、該フォイルがこれに形成されたスリ
ットを横切る圧力差に応じて開放可能な厚さになされて
いる、フォイルを有し、開口吸引端部には何れの障害物
もなく、少なくとも１つの側部開口部を管に沿って吸引
端部及びホース端部から間隔を隔てて設けたことを特徴
とする医療用吸引器具を提案する。
【０００８】驚嘆すべきことに、側部開口部に負圧によ
り作動する弁を設けると、不都合なノイズの発生を防止
し、同時に吸引力を強めつつ、スリット付き吸引器具の
利点を達成できることが明らかになった。このような弁
は例えばスリット弁、ちょう形弁又は球形弁でよい。吸
引器具にスリットを付けた、又は付けることができる薄
いフォイル（即ち、負圧により作動する弁）で覆った単
数又は複数個の長穴（即ち、側部開口部）を設けると、
最も簡単かつ安価に所望の効果が得られることが判明し
ている。吸引器具を通常どおり真空ポンプに接続して
も、非吸引時には、気圧差は前記のスリット弁を閉鎖状
態に留め、ひいては側部からの空気の流入を防止し、ひ
いてはノイズの発生を防ぐ程に小さい。しかし、組織が
吸引口を塞ぎ、臨界負圧が吸引器具内に生じ始めると、
側部からの空気がスリット弁を通して流入できるので、
負圧は組織を損傷しない程度に低下する。しかし、それ
によって吸引力は僅かしか低下しない。
【０００９】吸引器具をプラスチックで形成すると、公
知の方法による単数又は複数個の長穴の形成は製造段階
でダイカスト又は射出成形によって行うことができる。
射出成形された吸引器具ではその全長にわたって内部
（図３）又は外部（図４）に薄膜状の壁層が残るように
単数又は複数個の溝を形成することができる。この溝が
長穴の役割を果たす。溝には部分的に任意のスリットを
付けることができる。更に、金属製の吸引器具の場合の
ように、長穴に薄いフォイルを貼付し、又は固定された
極めて細いスリット付きの管を押し込んでもよい。更
に、長穴にスリットを付けないでフォイルを貼付し、又
は押し込んで、それに軽く刻み目を入れ、手術中に執刀
医自身がフォイル又は管を簡単に切り離すだけで弁にス
リットを付けることができ、しかも弁のスリットの長さ
を調整して所望の負圧にすることができる。
【００１０】金属器具を使用するとプラスチック製の単
路製品と比較して、構造が簡単なので極めてよく洗浄・
殺菌でき、コストを縮減できるだけではなく、発生する
塵の量も少なくできる。
【００１１】通常は浸漬時に弁の機能を保つことができ
るように、弁を備えた長穴又は側部開口部は吸引器具の
尖端から大きい間隔（第２の間隔）を隔てていることが
好ましい（これより弁を備えた長穴又は側部開口部は吸
引器具の口から僅かな間隔（第１の間隔）を隔てている
ことが理解できる）。これに対して、手術部位が例えば
腹腔のように深部である場合は、吸引器具の全長にわた
って複数個の弁開口部を設けることが好ましい。吸引口
又は個々の弁開口部が例えば軟性組織で詰まった場合
は、体液に浸された別の弁開口部が吸引機能を保持す
る。
【００１２】次に本発明の実施例を添付図面を参照しつ
つ詳細に説明する。吸引器具１には口２及び既にスリッ
トが付けた、又は付けることができるフォイル４で覆わ
れた単数又は複数個の長穴３が設けられている。断面図
から明らかであるように、吸引器具１の壁（即ち、周囲
部）５の長穴３の領域はスリット６を設けたフォイル６
によって覆われ、その場合、覆いのフォイルは例えば製
造時に同時にプラスチック部分と共にダイカスト又は射
出成形により形成し、又は事後的に管として長穴の上に
被せ、又は貼付フォイルとして貼付することができる。
【００１３】吸引器具１がプラスチック製の場合は図４
に示すように壁面にごく僅かな（少数の）溝７を設けて
もよい。この溝には任意の長さのスリットを付けること
ができる。
【００１４】医療用吸引器具において、吸引器が、周囲
部を備えると共に少なくとも１つの側部開口部が形成さ
れた管を有し、該側部開口部をスリットが形成されたフ
ォイルで覆うことによって、外傷をつくらず、不都合な
ノイズを発しない医療用吸引器具を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に基づく吸引器具の側面図である。
【図２】同じ吸引器具の横断面図である。
【図３】射出成形された溝付きの吸引器具である。
【図４】図３の吸引器具の横断面図である。
【符号の説明】
１ 吸引器具 ２ 口 ３ 長穴 ４ フォイル ５ 壁 ６ スリット ７ 溝
フロントページの続き (72)発明者 ハンス−ギュンター アペル ドイツ連邦共和国 アクム，アウエンヴ エク ２ (56)参考文献 特開 昭63−24957（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−210251（ＪＰ，Ａ) 実公 昭62−38665（ＪＰ，Ｙ２) 特表 昭59−500257（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A61M 1/00 510

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 医療用吸引器具において、 周囲部を備えると共に少なくとも１つの側部開口部が形
    成された管を有する吸引器であって、前記管の一端に設
    けられてそれを通じて物体が浸入する開口吸引端部と、
    外部吸引装置に取り付けるためのホース端部とを有する
    前記吸引器、および前記側部開口部を覆うフォイルであ
    って、該フォイルがこれに形成されたスリットを横切る
    圧力差に応じて開放可能な厚さになされている、前記フ
    ォイルを有し、前記吸引端部には何れの障害物もなく、
    前記少なくとも１つの側部開口部を前記管に沿って前記
    吸引端部および前記ホース端部から間隔を隔てて設けた
    ことを特徴とする医療用吸引器具。
  2. 【請求項２】 前記少なくとも１つの側部開口部を前記
    吸引端部から僅かな間隔を隔てて設けたことを特徴とす
    る請求項１に記載された医療用吸引器具。
  3. 【請求項３】 前記少なくとも１つの側部開口部を前記
    ホース端部から僅かな間隔を隔てて設けたことを特徴と
    する請求項１に記載された医療用吸引器具。
  4. 【請求項４】 前記吸引器がプラスチック又は金属から
    成ることを特徴とする請求項１に記載された医療用吸引
    器具。
  5. 【請求項５】 前記吸引器の開口吸引端部から第２の間
    隔を隔てて前記側部開口部を設けたことを特徴とする請
    求項１に記載された医療用吸引器具。
  6. 【請求項６】 前記吸引器具の全長にわたって前記側部
    開口部を設けたことを特徴とする請求項１に記載された
    医療吸引器具。
  7. 【請求項７】 前記フォイルを前記吸引端部の領域に設
    けたことを特徴とする請求項１に記載された医療用吸引
    器具。
  8. 【請求項８】 前記吸引器具がプラスチック材料で形成
    されると共に薄膜状の壁の層が残るように溝が形成され
    ることを特徴とする請求項１に記載された医療用吸引器
    具。
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