JP3290262B2 - 線引き加工方法および装置 - Google Patents

線引き加工方法および装置

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JP3290262B2 JP21429693A JP21429693A JP3290262B2 JP 3290262 B2 JP3290262 B2 JP 3290262B2 JP 21429693 A JP21429693 A JP 21429693A JP 21429693 A JP21429693 A JP 21429693A JP 3290262 B2 JP3290262 B2 JP 3290262B2
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寛治 梅川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Au−Snなどの脆い
合金の線引き加工方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】線材の製造方法としては、従来から線引
き法が広く用いられている。
【0003】線引き法とは、加工前の線材を、該線材の
径よりも小さな孔を通して引くことにより、該線材を当
該孔の径まで細くする方法である。なお、本明細書中、
ダイスによる加工前の線材を”素材線”、加工後の線材
を”加工線”ということがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記線引き法
を適用するためには、素材線自体が線引きを行うに十分
な延性を有すると同時に、加工線が上記線引きに耐えう
るだけの引張り強度を有している必要がある。これは、
上記孔を通して引くには延性に応じた大きさの力で引か
なければならないが、この力の大きさが引っ張り強度を
越えたのでは、加工線が切れてしまうからである。
【0005】また、延性の小さな合金であっても、上記
引っ張り強度の範囲内で引くようにすれば、原理的には
線引きが可能なはずである。しかし、線引き速度を高め
ようとすると引っ張り荷重が大きくなるため、実用上十
分な速度で線引き加工を行うためには、これら(延性、
引っ張り強度)の絶対値についてもある程度の大きさが
必要であった。
【0006】従って、従来は、脆い材料(例えば、Au
−Sn 、Au−Si、 Au−Ge等)の線引き加工を
行うことができなかった。加熱することによって、延性
を高めることも考えられるが、これらの材料は温度上昇
に伴って、引っ張り強度が大幅に低下してしまうため、
結局、線引き加工は困難であった。特に、線材の径が小
さくなるにつれてその困難さは増してゆく。例えば、A
u−Sn線は、現状では、φ0.25mmよりも細い線
材は得られていなかった。
【0007】このような現状がある一方で、鑞材として
広く用いられているAu−Sn等の合金は、鑞付け工程
の自動化を進めるためにも、極細の線材が強く求められ
ていた。
【0008】本発明は、延性と引っ張り強度とのバラン
ス上の問題等から従来線引き加工が困難であった材料
(例えば、Au−Sn 、Au−Si、 Au−Ge等)
に適用可能な線引き加工方法および装置を提供すること
を目的とする。
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたもので、その一態様としては、線材
の径を細くするための線引き加工装置において、材料と
なる線材を送り出す送り出し装置と、線材の径を細くす
る塑性加工を行うための孔を備えたダイスと、上記送り
出し装置から送り出されてきた線材を、上記孔を通し
て、予め定められた速度で引く引っ張り装置と、上記引
っ張り手段によって上記孔を通して引かれてきた線材を
巻き取る巻き取り装置と、上記ダイスを加熱することに
より、該ダイスからの熱で、上記線材の上記孔内に位置
する部分の温度を予め定められた範囲内に加熱する加熱
手段と、上記線材の上記ダイスから引き出された直後の
部分(以下”被冷却部分”という)を予め定められた温
度以下に冷却する冷却手段と、を備えたことを特徴とす
る線引き加工装置が提供される。
【0011】
【0012】上記冷却手段は、上記被冷却部分の引っ張
り強度が、少なくとも、上記引っ張り装置と上記ダイス
との間において上記被冷却部分に加わる張力よりも大き
くなる温度まで、上記被冷却部分を冷すものであること
が好ましい。
【0013】上記冷却手段は、冷却流体を上記被冷却部
分に接触させることによって冷却を行うものであっても
よい。
【0014】本発明の第2の態様としては、ダイスの孔
を通して線材を引くことによって当該線材の径を細くす
る線引き方法において、上記ダイスを加熱することによ
り、該ダイスからの熱で、上記孔を通過する際の上記線
材の温度を予め定められた範囲内に加熱するとともに、
上記線材の該ダイスから引き出された直後の上記線材の
温度を、予め定められた値以下に冷却すること、を特徴
とする線引き方法が提供される。
【0015】
【0016】
【作用】線材の温度が予め定められた温度範囲内になる
ように、加熱手段によってダイスを加熱する。これによ
って、ダイスの孔の位置における該線材の延性を、線引
きに適したものとして加工を容易とすることができる。
【0017】また、塑性加工の直後、すなわち、ダイス
から出て来た直後の線材を冷却手段によって冷却すると
よい。この場合の冷却は、被冷却部分の引っ張り強度
が、少なくとも、該被冷却部分に加わる張力よりも大き
くなる温度まで行う。これにより、線材の引っ張り強度
は回復するため、断線することはない。該冷却は、例え
ば、流体を吹き付けることにより可能である。
【0018】
【実施例】本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0019】本発明の線引き装置は、線引き加工を行う
ために必要な条件(注:ここでは材料自体に求められる
特性)は、必ずしも全工程を通じて同一のものではない
点に着目し、各工程ごとに独立して条件制御を行うこと
とした点を特徴とするものである。すなわち、線引きを
行う部分においてはより延性の高い状態を、一方、線引
き直後の部分においては引っ張り強度の高い状態を作る
べく制御を行っている。実際には、線引き加工の前後に
おける温度を独立的に制御することによってこれを実現
している。
【0020】以下、本実施例を具体的に説明する。
【0021】本実施例の線引き装置の概要を図1に示
す。該装置は、ダイス1と、加熱装置2と、冷却装置3
と、送り出し装置6,リ−ル7、キャプスタン8、巻き
取り装置9とから主に構成されている。
【0022】ダイス1は、線材の径を細くする塑性加工
(線引き)を行うためのものである。該ダイス1には、
目的とする線材の径に対応した孔10が設けられてお
り、素材線Lpは該孔10を通されることによって所定
の径の線材にされる。
【0023】加熱装置2は、線引きを容易とするため
に、ダイス1や素材線Lpを加熱するためのものであ
る。該温度制御(この場合、加熱)によって、素材線L
pの孔10内に位置する部分の温度を、線引きに適した
延性をもつ温度とすることができる。なお、該加熱に伴
って、素材線Lpの引っ張り強度が低下するが、ダイス
1よりも前側においては素材線Lpにさほど大きな張力
は加わらないため、断線等が生じることはない。
【0024】本実施例の加熱装置2は、図2に示すとお
り、素材線Lpを通す溝200を備えたベース20と、
該ベース20内に取り付けられたヒータ22とから構成
されている。さらに、該加熱装置2は、温度センサ24
および温度制御回路(図示せず)を備えており、該溝2
00内壁面やダイス1の温度を精密に制御可能な構成と
されている。ヒータ22および温度制御機構自体は、通
常使用されているものをそのまま使用可能である。上記
ダイス1は、該溝200の一端に設置されている。加熱
装置の具体的構成はこれに限定されるものではなく、例
えば、熱風を吹き付けるようにしても構わない。該加熱
装置2が特許請求の範囲において言う”第1の温度制御
装置”に相当するものである。
【0025】また、本実施例ではベース20に複数の溝
200a〜cおよびダイス1a〜cを設けているため、
後述するキャプスタン8とリ−ル7との間で線材を往復
させ、多段の線引き加工を連続して行うことができる。
また、このような装置構成とした結果、実質的には1台
の加熱装置2および冷却装置3で、各段における加熱、
冷却を行うことができ、設備費を低減することができ、
また、温度の管理も一括して行うことができるため、制
御が容易となる。さらに、装置の占有面積も小さくする
ことができる。
【0026】冷却装置3は、ダイス1の孔10を通過し
た直後の加工線Lfを冷却するためのものである。孔1
0を通過してきた加工線Lfは、冷却されることによっ
て、再び(単位断面積当たりの)引っ張り強度が高ま
る。このような温度制御(ここでは冷却)を行っている
のは、ダイス1を通過した後の加工線Lfには、キャプ
スタン8による引っ張り荷重が直接加わるため、これに
耐えうるだけの引っ張り強度がまず第1に要求されるか
らである。該冷却装置3による冷却をダイス1からすで
に遠く離れてしまった線材部分に対して行ったのでは、
該冷却している部分よりもダイス1に近い側で加工線L
fが切断してしまう恐れがある。従って、該冷却はでき
る限り孔10から出てきた直後の線材部分に対して行う
ことが必要である。なお、該冷却による温度低下に伴っ
て、加工線Lfの延性は低下するが、既にダイス1は通
過してしまっているため障害となることはない。
【0027】本実施例においては、冷却装置3を、主と
して、送風器30と、ノズル32とから構成している
(図2参照)。該ノズル32は、孔10の出口部に向け
られており、送風器30の発生した風を該部分に集中し
て送ることによって、該孔10から引き出された直後の
線材部分を即座に冷却する構成となっている。本実施例
では、先端開口部の内径が1.5mmのノズル32を使
用している。冷却装置3の具体的構成はこれに限定され
るものではなく、例えば、ヒートポンプを備えて冷風を
吹き付けるようにすればより効率的な冷却が可能であ
る。さらには、水、オイル、液体窒素等の液体を用いて
冷却するようにしても構わない。該冷却装置3が特許請
求の範囲において言う”第2の温度制御装置”、冷却手
段に相当するものである。また、ここでいう風(空
気)、水、オイル、液体窒素等が特許請求の範囲におい
て言う冷却流体に相当するものである。
【0028】なお、加熱、冷却の条件については、加工
線Lfの引っ張り強度、張力等との関係に基づいて決定
される。この点については、後ほど具体的なデータを用
いて詳細に説明する。
【0029】送り出し装置6は、リール60に巻かれた
素材線Lpにバックテンションを与えつつ順次送り出す
ものである。既に述べたとおり、素材線Lpの引っ張り
強度は、加熱装置2による加熱によって低下している。
従って、該送り出しは、素材線Lpに加わる張力(バッ
クテンション)があまり大きくなり過ぎないように制御
しつつ行うことが好ましい。
【0030】キャプスタン8は、加工線Lfを引くこと
によって、これにつらなった素材線Lpに対しダイス1
による線引き加工を行わせるものである。該キャプスタ
ン8は、モ−タ等の駆動手段を備え、自ら駆動力をもっ
て回転することによって加工線Lfを引くようになって
いる。従って、この回転数やキャプスタン8表面の摩擦
係数を制御(あるいは変更)することによって、線引き
速度を調整することができる。キャプスタン8の回転力
は、引っ張り荷重としてほぼそのまま加工線Lfに加わ
る。該線引き速度が速いと加工線Lfに加わる張力が大
きくなり、加工線Lfを切断してしまう恐れがある。従
って、冷却後の加工線Lfの引っ張り強さを越えないよ
うに制御しつつ加工線Lfを引かなければならない。ま
た、線引き速度が変動すると、加工線Lfの太さの不均
一化等につながる。特に本実施例においては、該線引き
速度の変動は、上述した加熱、冷却の条件を変動させる
ことにもなるため影響が大きい。従って、キャプスタン
8は、予め定められた速度で回転するようにできるだけ
高い精度で制御する必要がある。なお、線引き速度の高
低によって、素材線Lp等の加熱、加工線Lfの冷却の
程度が変化するため、線引き速度は加熱装置2、冷却装
置3の加熱、冷却能力も考慮して決定しなければならな
い。なお、該キャプスタン8が、特許請求の範囲におい
て言う引っ張り装置に相当するものである。
【0031】リ−ル7は、キャプスタン8で折り返され
てきた加工線Lfを再度折り返して、次段のダイス1に
導くためのものである。該リ−ル7自体は加工線Lfの
動きに従って回転するものであり、自ら駆動力を持って
回転するものではない。
【0032】上述したとおり本実施例では3段の線引き
加工を連続して行うため、加工線Lfを該キャプスタン
8およびリ−ル7で折り返して、次段のダイス1へ導い
ている。従って、前段の加工線Lfが、次段にとっての
素材線Lpとなる。このように、多段の線引き加工を続
けて行うことによって作業効率が高まるという効果を得
ることができる。なお、加工の段数は、必要に応じて適
宜変更可能である。
【0033】巻き取り装置9は、最終的に完成した加工
線Lfをリール90に巻き取ってゆくためのものであ
る。該巻き取り装置9による巻き取りも、最終段を出た
後の加工線Lfに必要以上の張力が加わらないように制
御しつつ行われることは言うまでもない。
【0034】線引き加工の工程を説明する。
【0035】準備段階として、予め、加熱装置2のヒー
タ22を発熱させて、ベース20の溝200の内壁面お
よびダイス1を所定の温度にまで加熱しておく。また、
冷却装置3の送風器30も作動させ、いつ線材がダイス
1から出てきても冷却できる状態としておく。
【0036】以上の準備が整った後、キャプスタン8に
よって、線材を引き始める。また、これと同時に、リー
ル60に巻かれている素材線Lpを、送り出し装置6に
よって順次送り出してゆく。
【0037】リール60から送り出された素材線Lp
は、加熱装置2の溝200内を通過する際に、その内壁
面から受ける放射熱等によってある程度の温度にまで加
熱される。なお、該加熱装置2は、温度制御回路を備え
ているため、素材線Lpが必要以上に加熱されてしまう
ことはない。
【0038】加熱された素材線Lpは、同様に加熱され
たダイス1を通されて線引きが行われる。素材線Lpは
延性が高くなっているため線引きは容易である。
【0039】ダイス1から引き出された加工線Lfは、
ダイス1を出た直後に、冷却装置3によって所定の温度
以下にまで温度を下げられる。その結果、加工線Lfは
この時受ける張力に耐えうるだけの引っ張り強度を回復
し、断線することなくキャプスタン8によって引かれて
ゆく。この後、該加工線Lfは、キャプスタン8および
リール7において折り返され、同様の手順で次段のダイ
ス1によって線引き加工が行われる。素材線Lpの加
熱、加工線Lfの冷却は、当然ながら、各段毎に改めて
行われることになる。
【0040】最終段の線引き加工が行われた後は、加工
線Lfはキャプスタン8で折り返すことなく、そのまま
巻き取り装置9のリ−ル90に巻き取られてゆく。
【0041】以上説明した線引き加工を可能とするため
の加熱、冷却についての具体的条件について説明する。
【0042】線引き加工を行うためには、加工線Lfの
引っ張り強度が、該加工線Lfに実際に加わる張力より
も大きくなっていなければならない。
【0043】線材のLfの引っ張り強度は、主として、
その径と、温度とに応じて変化する。φ60umのAu
(80wt%)−Sn(20wt%)線の引っ張り強度
と、温度との関係を図3に示した。冷却装置3による冷
却を行っていても、加工線Lfは、該冷却の対象となっ
ている部分(=ダイス1を通過直後の部分)が最も弱い
と考えられる。なお、図に示したデ−タは、引っ張り試
験装置を用いて測定したものであり、測定は、試験片の
一部のみを加熱するのではなく、試験片全体を加熱して
行った。
【0044】一方、加工線Lfに実際に加わる張力の大
きさは、その直径、線引き速度だけではなく、素材線L
pの延性(つまり、温度)に応じて変化する。そこで、
φ62.1umのAu(80wt%)−Sn(20wt
%)線を、1m/分の速度で線引き加工を行って、φ6
0umの線材とした場合に、該加工線Lfに加わってい
る張力と、素材線Lpの温度との関係を測定した結果を
図4に示す。なお、該測定に際しては、加工線Lfが切
断してしまうのを防ぐため加工線Lfの冷却を行ってい
るが、該冷却はあくまでもダイスよりも後側で行うもの
であるため、測定結果に影響を与えることはない。
【0045】これらの図3、図4を比較することによ
り、加熱、冷却の条件を決定することができる。例え
ば、加熱装置2によって素材線Lpを200℃まで加熱
している場合、加工線Lfには約30gfの張力が加わ
ることが分かる(図4参照)。従って、該加工線Lf
は、最も弱い部分、すなわち、冷却を行っている部分に
おいてでも30gf以上の引っ張り強度を有していなけ
ればならないことになる。そして、そのためには、少な
くとも約140℃にまで加工線Lfを冷却しなければな
らないことが、図3から分かる。
【0046】また、例えば、加熱装置2によって素材線
Lpを70℃まで加熱している場合には、加工線Lfに
は約63gfの張力が加わることが分かる(図4参
照)。図3から分かるとおり、加工線Lfは、70℃に
おける引っ張り強度が160gfとなっている。従っ
て、この場合には、冷却の必要はないことになる。
【0047】但し、実際の製造工程においては、引っ張
り力以外にも捻じり力、装置の起動、停止に伴うショッ
ク等様々な力が加わるため、これに備えて図3,図4か
ら求めた温度よりも低い温度にまで冷却を行う必要があ
る。なお、加熱温度については、必要とする線引き速
度、冷却装置3の冷却能力等を考慮して適当な値に設定
することができる。加熱温度が融点に近づきすぎてはな
らないことは言うまでもない。 ここでは、線引き速度
1m/sの場合のデータのみを示した。しかし、既に述
べたとおり、他の条件が同一であるならば、線引き速度
を高めると、加工線Lfに加わる張力も大きくなる
(注:これは図4の曲線が上側にシフトしてゆくことに
相当する)。従って、線引き速度を上げるには、冷却を
強める必要がある。
【0048】素材線Lpの加熱、加工線Lfの冷却の程
度は、送り出し速度、巻き取り速度(線引き速度)の高
低に応じて変化する。例えば、線引き速度が速くなれ
ば、加熱・冷却を受ける時間が短くなるため、その分だ
けは加熱、冷却が行われにくくなる。また、線引きの際
に生じている摩擦熱の量も、線引き速度等によって変化
する。従って、実際の線引き速度、温度制御(加熱、冷
却)は各種条件を総合的に判断した上で、設定しなけれ
ばならない。
【0049】本願発明者は本発明を適用した線引き装置
を用いて実際に線引き加工を行った結果、φ1.0mm
のAu(80wt%)−Sn(20wt%)線を、最終
的にφ18um、長さ200mの極細線とすることがで
き、途中、断線を生じることはなかった。なお、該20
0mという長さは、この時に使用した素材線の長さが限
られていたためであって、断線によるものではない。こ
の時の具体的な線引き加工の条件は以下のとおりであ
る。
【0050】ダイスの段数:50段 加熱温度:70〜200℃ 冷却方法:送風冷却(20〜30℃の空気、4〜7リッ
トル/分、ノズル先端内径1.5mm) 線引き速度:1〜20m/分 以上説明した実施例においては、線材を加熱することに
よって線引きを容易にしている。また、ダイス通過直後
に線材を冷却することによってその引っ張り強度を高め
断線を防止している。従って、実用的な線引き速度を確
保しつつ、断線を生じることなく、連続的に線引き加工
を行うことができる。
【0051】ここまでの説明は、Au(80wt%)−
Sn(20wt%)を例に取って説明してきた。しか
し、これ以外にも、室温で脆く、温度上昇にともなって
延性が高まる一方で、引っ張り強度が大きく低下してし
まうような材料(例えば、Au−Si、Au−Ge等)
の線引き加工にも同様に適用可能である。
【0052】上記実施例の線引き装置は、従来からある
線引き装置に冷却装置、加熱装置を追加するだけでよい
ため、新たに必要となる設備費が少なくて済む。従っ
て、製造コストを抑えることができる。なお、上記加熱
装置2、ダイス1、冷却装置3の具体的構成およびその
配置は、単なる一例であって、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0053】このようにして得られたAu(80wt
%)−Sn(20wt%)等の低融点合金の極細線は鑞
付け用の鑞として使用することができる。該低融点合金
の極細線を用いれば、鑞材の連続供給が可能となるため
鑞付け工程の自動化、高速化を図ることができる。
【0054】なお、上記実施例においては、温度を高め
ることによって初めて十分な延性を得られる一方で、引
っ張り強度が大きく低下してしまうような材料を対象と
した線引きについて述べてきた。しかし、はんだのよう
に、常温でも線引きに十分な延性を備えていながら、単
に、引っ張り強度が不足しているために線引きができな
かった材料にも本発明を応用することができる。例え
ば、はんだについては、ダイスによる線引きを行った直
後に冷却を行うだけで良い。はんだは、常温でも十分な
延性を備えているため、ダイス等を加熱する必要はな
い。
【0055】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
温度上昇にともなって延性が増大する以上に引っ張り強
度が低下してしまような材料(例えば、Au−Sn、A
u−Si、Au−Ge等の低融点合金)についても線引
き加工が可能となる。また、該装置は、従来からある線
引き装置に冷却装置を追加するだけでよいため、設備コ
スト、製造コストも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である線引き装置の概要を示
す図である。
【図2】加熱装置2、ダイス1、冷却装置3の詳細を示
す斜視図である。
【図3】Au−Sn線の引っ張り強さと温度との関係を
示すグラフである
【図4】Au−Sn線の線引きを行う際に加工線Lfに
加わる張力と、素材線Lpの加熱温度との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】 1:ダイス、 2:加熱装置、 3:冷却装置、 6:
送り出し装置、 7:リ−ル、8:キャプスタン 9:
巻き取り装置、 10:孔、 20:ベース、22:ヒ
ータ、 24:温度センサ、 30:送風器、 32:
ノズル、 60:リール、 90:リール、 200:
溝、 Lp:素材線、 Lf:線材
フロントページの続き (72)発明者 河野 志郎 神奈川県横浜市金沢区福浦2丁目10番地 1 株式会社 野毛電気工業内 (56)参考文献 特開 昭57−115916(JP,A) 特開 昭57−39025(JP,A) 特開 昭58−138511(JP,A) 特開 昭51−97567(JP,A) 実開 昭56−18112(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21C 1/00 - 19/00 B23K 35/30 310

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】線材の径を細くするための線引き加工装置
    において、 材料となる線材を送り出す送り出し装置と、 線材の径を細くする塑性加工を行うための孔を備えたダ
    イスと、 上記送り出し装置から送り出されてきた線材を、上記孔
    を通して、予め定められた速度で引く引っ張り装置と、 上記引っ張り手段によって上記孔を通して引かれてきた
    線材を巻き取る巻き取り装置と、 上記ダイスを加熱することにより、該ダイスからの熱
    で、上記線材の上記孔内に位置する部分の温度を予め定
    められた範囲内に加熱する加熱手段と、上記線材の上記ダイスから引き出された直後の部分(以
    下”被冷却部分”という)を予め定められた温度以下に
    冷却する冷却手段と、 を備えていることを特徴とする線引き加工装置。
  2. 【請求項2】上記冷却手段は、 上記被冷却部分の引っ張り強度が、少なくとも、上記引
    っ張り装置と上記ダイスとの間において上記被冷却部分
    に加わる張力よりも大きくなる温度まで、上記被冷却部
    分を冷すものであること、 を特徴とする請求項1記載の線引き加工装置。
  3. 【請求項3】上記冷却手段は、冷却流体を上記被冷却部
    分に接触させることによって冷却を行うものであるこ
    と、 を特徴とする請求項1記載の線引き加工装置。
  4. 【請求項4】ダイスの孔を通して線材を引くことによっ
    て当該線材の径を細くする線引き方法において、 上記ダイスを加熱することにより、該ダイスからの熱
    で、上記孔を通過する際の上記線材の温度を予め定めら
    れた範囲内に加熱するとともに、 上記線材の該ダイスから引き出された直後の上記線材の
    温度を、予め定められた値以下に冷却すること、 を特徴とする線引き加工方法。
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