JP3290165B2 - ラダー型弾性表面波フィルタ - Google Patents
ラダー型弾性表面波フィルタInfo
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Description
フィルタに関し、特に通過域近傍の減衰傾度を改善した
ラダー型弾性表面波フィルタに関する。
広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴を
有することから特に携帯電話等に多く用いられている。
弾性表面波フィルタ(以下、SAWフィルタと称す)の
中で、減衰傾度が急峻であると共に挿入損失が小さいと
いう特徴を備えたラダー型SAWフィルタが、セルラー
方式携帯電話のRF段に数多く用いられている。周知の
ように、ラダー型SAWフィルタは同一圧電基板上に一
端子対弾性表面波共振子(以下、SAW共振子と称す)
複数個を並列、直列と交互に配置してラダー型構造に構
成した共振子型SAWフィルタである。
用いられるSAW共振子の構成を示す平面図であって、
圧電基板41の主面上に表面波の伝搬方向に沿ってID
T電極42とその両側にグレーティング反射器(以下、
反射器と称す)43a、43bを配置してSAW共振子
を構成したものである。IDT電極42はそれぞれ互い
に間挿し合う複数本の電極指を有する一対のくし形電極
より構成され、一方のくし形電極をINとして、他方のく
し形電極をOUTとする。
ように、並列腕Ypと直列腕Zsとが共に1個の共振子
からなる基本区間(定K形回路)を、互いにインピーダ
ンスが整合するように、n区間(図の例では4区間)縦
続接続して構成される。影像パラメータ理論によると、
基本区間の並列腕(Yp)の反共振周波数faと、直列腕
(Zs)の共振周波数fsをほぼ一致させるように設定する
ことにより、この一致した周波数を中心周波数とする帯
域フィルタが形成され、並列腕(Yp)の共振周波数及び
直列腕(Zs)の反共振周波数にそれぞれ減衰極が形成さ
れる。
続接続したラダー形回路において、直列腕のインピーダ
ンスZsを有する共振子を2個直列接続した回路は、周知
のようにインピーダンス2Zsの1個の共振子と等価であ
り、また、アドミッタンスYpの共振子が2個並列に接続
されたものは、アドミッタンス2Ypの1個の共振子と等
価となる。従って、図4(b)に示した4区間のラダー
型回路は、同図(c)に示す5素子ラダー型回路に等価
変換される。即ち、直列腕はインピーダンス2Zs、並列
腕はアドミッタンスYp、2Ypを有するSAW共振子で置
換されたラダー型SAWフィルタで構成されることにな
る。このため、並列腕のSAW共振子44、46、48は同一
の共振周波数を有するが、SAW共振子46はSAW共振
子44、48の2倍のアドミッタンスを有することになる。
型SAWフィルタのフィルタ特性をシミュレーションに
よって求めたものであって、中心周波数を1.97GHzと
し、圧電基板に36°YカットLiTaO3を用いて、
SAW共振子44、48の電極対数は64対、交差幅は
20λ(λはIDT電極の電極周期)、反射器本数はそ
れぞれ136本、SAW共振子45、47の電極対数は
67対、交差幅は20λ、反射器本数はそれぞれ133
本、SAW共振子46の電極対数は64対、交差幅は4
0λ、反射器本数はそれぞれ136本としたフィルタの
特性である。図5より3.5dB、15dB帯域幅を求めるとそ
れぞれ86.797MHz、130.638MHzとなり、3.5dBの帯域
幅に対する15dBの帯域幅の比、即ちシェープファクタS
は1.505となる。
フィルタの構成においては、内側の並列腕SAW共振子
46のアドミッタンス2Ypは最外側の並列腕SAW共
振子44、48のアドミッタンスYpの2倍、インピー
ダンスで表すと1/2となる。つまり、SAW共振子4
6のIDT電極対数をSAW共振子44、48の電極対
数より多くするか、あるいはSAW共振子46のIDT
電極の交差幅をSAW共振子44、48の電極の交差幅
より広く設定する必要が生じる。ここで、図6(a)は
36°YカットX伝搬LiTaO3基板を用いたSAW
共振子のIDT電極交差幅W/λと、共振周波数(■と
frで示す)及び反共振周波数(□とfaで示す)との関係
を示す図であり、同図(b)はIDT電極対数と、共振
周波数及び反共振周波数との関係を示す図である。ま
た、図7(a)は42°YカットX伝搬LiTaO3基
板を用いたSAW共振子のIDT電極交差幅W/λと、
共振周波数及び反共振周波数との関係を示す図であり、
同図(b)はIDT電極対数と、共振周波数及び反共振
周波数との関係を示す図である。
°Yカットのいずれの切断角度を用いても、共振周波数
はIDT電極の対数あるいは交差幅に関わらずほぼ一定
となることが分かる。しかしながら、反共振周波数はI
DT電極の対数あるいは交差幅の増加と共に上昇する傾
向がある。そのため、SAW共振子46の共振周波数を
SAW共振子44、48の共振周波数に合わせようとす
ると、反共振周波数がずれることになり、図5に示すよ
うにラダー型SAWフィルタの通過域近傍の急峻度(シ
ェープファクタ)が、最適設計に基づく周波数配置とし
てシミュレーションにより求めた理想的なフィルタ特性
に比べて劣化するという問題があった。本発明は上記問
題を解決するためになされたものであって、通過域近傍
の急峻度を改善したラダー型SAWフィルタを提供する
ことを目的とする。
に本発明に係るラダー型弾性表面波フィルタの請求項1
記載の発明は、IDT電極とその両側に配置したグレー
ティング反射器とを備えた弾性表面波共振子を圧電基板
の主面上に並列腕、直列腕、並列腕と順次配置したラダ
ー型弾性表面波フィルタにおいて、前記フィルタの最外
側に配置した並列腕の弾性表面波共振子の個数を内側の
並列腕に配設した弾性表面波共振子の個数の2倍とする
と共に、それぞれの並列腕の弾性表面波共振子のアドミ
ッタンスをほぼ等しくしたことを特徴とするラダー型弾
性表面波フィルタである。請求項2記載の発明は、最外
側の並列腕に弾性表面波共振子を2つ、内側の並列腕に
1つ配置したことを特徴とする請求項1記載のラダー型
弾性表面波フィルタである。請求項3記載の発明は、最
外側の並列腕に弾性表面波共振子を4つ、内側の並列腕
に2つ配置したことを特徴とする請求項1記載のラダー
型弾性表面波フィルタである。
形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るラ
ダー型SAWフィルタの構成を示す回路図で、入力側か
ら順に、アドミッタンスYを有する2つのSAW共振子
1、2を直列接続した並列腕P1と、インピーダンスZ
を有するSAW共振子3の直列腕と、アドミッタンスY
のSAW共振子4の並列腕P2と、インピーダンスZの
SAW共振子5の直列腕と、アドミッタンスYの2つの
SAW共振子6、7を直列接続した並列腕P3とから構
成されている。本発明の特徴は並列腕P1、P2、P3
を構成するSAW共振子1、2、4、6、7のアドミッ
タンスを全てほぼ同一の値Yとなるように設定したこと
である。
共振子を同一アドミッタンスを有するように設定したの
で、並列腕の全てのSAW共振子の共振周波数、反共振
周波数を等しくすることが可能となり、従来のラダー型
SAWフィルタおける通過域近傍の急峻度劣化の原因と
なっていた並列腕SAW共振子同志の反共振周波数のズ
レを解消することができるようになった。一方、アドミ
ッタンスYの2つのSAW共振子1、2及び6、7の直
列接続回路からなる並列腕P1及びP3のアドミッタン
スは合成すると0.5Yとなり、並列腕P2のアドミッタ
ンスとの比が1:2となり、ラダー型フィルタの設計理
論に合致していることは云うまでもない。
SAWフィルタのフィルタ特性をシミュレーションによ
り求めたものの一例で、中心周波数を1.97GHzとし、圧
電基板に36°YカットLiTaO3を用いて、SAW
共振子1、2、4、6及び7の電極対数は64対、交差
幅は40λ、反射器本数はそれぞれ136本、SAW共
振子3、5の電極対数は67対、交差幅は20λ、反射
器本数はそれぞれ133本としたもののフィルタ特性で
ある。図2より3.5dB、15dB帯域幅を求めるとそれぞれ8
9.342MHz、129.534MHzとなり、3.5dBの帯域幅に対す
る15dBの帯域幅の比、即ちシェープファクタSは1.449
と改善されることが確認できた。
SAWフィルタの回路であって、入力側から順に、アド
ミッタンスYを有する4つのSAW共振子11、12、
13、14を直列接続した並列腕P1と、インピーダン
スZを有するSAW共振子15の直列腕と、アドミッタ
ンスYの2つのSAW共振子16、17の並列腕P2
と、インピーダンスZのSAW共振子18の直列腕と、
アドミッタンスYの4つのSAW共振子18、19、2
0、21を直列接続した並列腕P3とから構成されてい
る。この実施例の特徴は並列腕P1、P2、P3を構成
する全てのSAW共振子11〜14、16〜17及び1
8〜21のアドミッタンスをほぼ等しく設定したことで
ある。このように並列腕を構成する全てのSAW共振子
をほぼ同一のアドミッタンスを有するように構成したの
で、それらの共振周波数、反共振周波数をほぼ等しくす
ることが可能となり、通過域近傍の急峻度劣化の原因と
なっていたアドミッタンスの違いによる並列腕SAW共
振子同志の反共振周波数のズレを解消することができる
ようになった。
腕からなるラダー型SAWフィルタを用いて説明した
が、本発明は他の構成のラダー型SAWフィルタに適用
できることは云うまでもない。また、圧電基板に36
゜、42゜のタンタル酸リチウムの例を説明したが、本
発明が他の切断角度にも適用できる。さらに、本発明が
ランガサイト、ニオブ酸リチウム、四硼酸リチウム等の
圧電基板にも適用できることは云うまでもない。
ので、ラダー型SAWフィルタの並列腕を構成するSA
W共振子のアドミッタンスをほぼ等しくすることによ
り、それらの共振周波数及び反共振周波数をそれぞれ所
定の周波数に設定することができるようになり、通過域
近傍の急峻度を改善でしたフィルタが可能となった。本
発明になるラダー型SAWフィルタを携帯電話のRF段
に用いれば通話品質を高めることができるというの優れ
た効果を表す。
示す回路図である。
いたときの通過域近傍のフィルタ特性の一例である。
の構成を示す回路図である。
(b)はラダー型回路の基本区間を4区間縦続接続した
回路、(c)は各腕のインピーダンス、アドミッタンス
をそれぞれ合成した回路構成である。
フィルタ特性を示す図である。
圧電基板を用いたSAW共振子のIDT電極の交差幅及
びIDT電極対数と共振周波数及び反共振周波数との関
係を示す図である。
圧電基板を用いたSAW共振子のIDT電極の交差幅及
びIDT電極対数と共振周波数及び反共振周波数との関
係を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 IDT電極とその両側に配置したグレー
ティング反射器とを備えた弾性表面波共振子を圧電基板
の主面上に並列腕、直列腕、並列腕と順次配置したラダ
ー型弾性表面波フィルタにおいて、前記フィルタの最外
側に配置した並列腕の弾性表面波共振子の個数を内側の
並列腕に配設した弾性表面波共振子の個数の2倍とする
と共に、並列腕を構成する弾性表面波共振子のアドミッ
タンスをほぼ等しくしたことを特徴とするラダー型弾性
表面波フィルタ。 - 【請求項2】 最外側の並列腕に弾性表面波共振子を2
つ、内側の並列腕に1つ配置したことを特徴とする請求
項1記載のラダー型弾性表面波フィルタ。 - 【請求項3】 最外側の並列腕に弾性表面波共振子を4
つ、内側の並列腕に2つ配置したことを特徴とする請求
項1記載のラダー型弾性表面波フィルタ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP32704499A JP3290165B2 (ja) | 1999-11-17 | 1999-11-17 | ラダー型弾性表面波フィルタ |
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JP32704499A JP3290165B2 (ja) | 1999-11-17 | 1999-11-17 | ラダー型弾性表面波フィルタ |
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JP3290165B2 true JP3290165B2 (ja) | 2002-06-10 |
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Family Applications (1)
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1999
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