JP3290001B2 - 光波伝送システムおよびソリトン伝送方法 - Google Patents

光波伝送システムおよびソリトン伝送方法

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JP3290001B2 JP17766693A JP17766693A JP3290001B2 JP 3290001 B2 JP3290001 B2 JP 3290001B2 JP 17766693 A JP17766693 A JP 17766693A JP 17766693 A JP17766693 A JP 17766693A JP 3290001 B2 JP3290001 B2 JP 3290001B2
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    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B10/00Transmission systems employing electromagnetic waves other than radio-waves, e.g. infrared, visible or ultraviolet light, or employing corpuscular radiation, e.g. quantum communication
    • H04B10/25Arrangements specific to fibre transmission
    • H04B10/2507Arrangements specific to fibre transmission for the reduction or elimination of distortion or dispersion
    • H04B10/25077Arrangements specific to fibre transmission for the reduction or elimination of distortion or dispersion using soliton propagation

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光波伝送システムに関
し、さらに詳細には、光ファイバが光波システムの伝送
媒体に沿って特定の位置に配置されるような光波伝送シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】ソリトン伝送システムは、長距離にわた
り極端に高度な情報伝送容量を与える可能性がある。大
陸または大洋にまたがるシステムのような超長距離シス
テムにおいては、ファイバ伝送媒体において予測される
損失を補償するために、伝播中の情報を伝えるソリトン
・パルスのエネルギーを光増幅器によって周期的に十分
高く引き上げる。しかし不幸なことに、超長距離システ
ムの場合、単一チャネルに対する最高の情報ビット速度
は、2つの異なる影響によって発生されるパルス到達時
刻のジッタ量によって決定される。1つはゴードン=ハ
ウス(Gordon-Haus)効果であり、もう1つは音響相互
作用の影響である。
【0003】ゴードン=ハウス効果は、伝送媒体に沿っ
て存在する増幅器の自然放射雑音とソリトン・パルスと
の相互作用によって引き起こされる。この効果は、J.
P.ゴードンほかにより、1986年の工学便り(Opti
c Letters)第11巻、第10号p.665-p.557において説
明されている。増幅器の自然放射雑音のために、ソリト
ン・パルスの振幅、およびキャリア周波数すなわちチャ
ネル周波数が不規則に変化する結果、パルス到達時刻に
ジッタが発生する。パルス・ジッタのために、ソリトン
・パルスが逸れて隣接するソリトン・パルスのために予
定された期間に現れる可能性がある。この結果(記号間
干渉として知られる)、受信情報におけるエラーとな
る。
【0004】最近、「電子工学便り(Electronics Lett
ers)」第27巻p.1270(1991年)において、M.
ナカザワ(Nakazawa)他により、ソリトン・パルスの到
達時間のジッタを除去するために時間領域の濾過を与え
る変調器のような能動電子素子を用いることが提案され
た。この方法は、費用が掛かり、複雑で実施するには困
難であるだけでなく、光信号の電子的再生によって受け
る波長分割多重化に伴い同様の非両立性を受ける。
【0005】ゴードン=ハウス効果からジッタを軽減す
る比較的簡単な代案が、共同係争中の承認済み米国特許
第07/744,615号(長谷川ほかのケース8−3−19)に
説明があり、「光学便り(Optics Letters)」第17
巻、第1号p.31-p.33(1992年)のY.コダマ(Kod
ama)の論文、および「光学便り」第16巻、第23号
p.1841-p.1843(1991年)のA.マコゥジ(Mecozz
i)ほかによる論文におて開示された。これらの参考文
献では、伝送ファイバに沿って所定の間隔で配置された
線形の狭帯域フィルタ(「周波数誘導フィルタ」)の使
用が提案されている。各フィルタにより、対応する増幅
器の周波数に依存する利得特性を本質的に整形する。こ
れらの線形フィルタは、各フィルタがソリトンの中心周
波数にほぼ等しい中心周波数を示すという点において製
造の許容範囲において等しく効率的である。しかしなが
ら、フィルタの導入によりソリトン・パルスのエネルギ
ー損失が増加するので、これを光増幅器によるさらに高
い利得によって補償しなければならない。しかし、この
増加した分の利得によって、フィルタ応答の最大値点お
よびその付近の雑音スペクトル成分の間隔に関して指数
的増加が起こる。結果として、利用可能な最大のフィル
タ効力が制限され、実現可能なジッタの削減も制限され
る。「電子工学便り」第28巻p.792(1992年)に
おいてL.モレノール(Mollenauer)ほかにより、1
0,000kmのソリトン伝送システムに対して周波数
誘導フィルタを用いた最近の実験が、報じられた。この
システムでは、最低ビット誤り率を達成するフィルタで
タイミング・ジッタの標準偏差が50%削減されたとの
ことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】発明が解決しようとす
る課題は、ソリトン伝送システムにおけるタイミング・
ジッタの問題を大幅に軽減することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の原理にしたがい
中心周波数を所定の基準周波数から変化量を変化させな
がら故意に変化させた光学フィルタを配置することによ
って実現されるソリトン伝送システムにおいて、タイミ
ング・ジッタの問題を大幅に軽減することができる。例
えば、何れのフィルタの中心周波数も隣接する光学フィ
ルタの中心周波数とは異なる。これらの一連の光学フィ
ルタ(「滑走周波数誘導フィルタ(sliding-frequency
guiding filter)」という新たな用語を作るに至った)
の中心周波数は、ソリトンに対しては完全な透過性を維
持しながら雑音に対してはほぼ不透明であるような伝送
環境を作り出すために、システムの所望の長さに沿って
周波数増大、周波数減少および両者の組み合わせのよう
な所定の方法で所望の周波数へと変換される。結果とし
て、さらに強いフィルタ応答特性を用いることができ、
このことによって、さらに加わるファイバ損失を補うた
めに必要となる過剰な増幅器の利得により通常であれば
指数的に増加する雑音を代償とすることなく、従来技術
のシステムより大幅なジッタの軽減を達成することがで
きる。
【0008】この新奇な伝送システムにおいて、ソリト
ンは、特定の周波数Ωで放出され、一連の滑走周波数誘
導フィルタの連続的に変化するそれぞれの中心周波数ω
f,n(n=1,2...N)に向けて加速され、これに
より、各ソリトンは放射周波数とは相当異なる周波数で
現れることになる。
【0009】
【実施例】以下の説明のため、フィルタに適用する公称
中心周波数という用語を明確にする。まず第1に、エタ
ロンおよびその他のフィルタ・タイプでは、応答曲線上
に3dBの点がないので、応答曲線が中心周波数を明確
に示すようにはなっていない場合がある。この問題を克
服し、すべてのフィルタ・タイプをある適切な用語で潜
在的可能性を持って扱うために、フィルタの公称中心周
波数は、3dB点が現れるように1より大きい任意の数
で累乗した周波数応答曲線における3dB点の間にある
周波数であると理解される。
【0010】図1に示した光ファイバ伝送システムに
は、送信器、受信機、およびこれらを相互接続する伝送
媒体が含まれる。送信器10により、光放射のソリトン
・パルスを公称ソリトン中心周波数Ωで発生する。そし
て、パルスは、幾つもの光ファイバ11および光増幅器
/フィルタ12が所定の間隔で配置された伝送媒体にお
いて結合される。伝送媒体を通った後、パルスは、受信
機13で検出される。本発明の原理の説明を簡単にする
ために、単一方向の伝送を、本発明の範囲を制限するこ
となく示した。本発明は、双方向の伝送システムにも適
用可能である。さらに、本発明の根本原理は、単一チャ
ネル、すなわち単一周波数ソリトン・システムによって
説明する。また、本文において、本発明の原理が複数の
異なるソリトン周波数チャネルを利用する周波数分割多
重システムへと拡張できることを簡単に説明する。
【0011】ソリトン・パルスの生成は、適切な放出、
ならびにパルス・エネルギー、パルス幅、中心周波数、
およびファイバの分散などの伝送特性に依存する。これ
らの特性は、当業者には周知であるから、本文ではさら
に説明は行わない。ソリトンの発生および伝送に関する
その他の背景情報は、S.E.ミラー(Miller)編集の
「光ファイバ通信II(Optical Fiber Telecommunicatio
ns II)」(1988年アカデミック・プレス(Academic
Press)刊行)、および米国特許第4,406,516号が参考に
なる。
【0012】伝送媒体は、送信器と受信器との間のシス
テム経路長Lに及ぶ。大洋または大陸にまたがるシステ
ムのような問題となるシステムの場合、システム経路長
は、少なくとも数千キロメートルである。このような長
距離のソリトン伝送媒体は、一般に、複数の光ファイバ
11によって実現され、これらの光ファイバは、後述の
ように滑走周波数誘導フィルタの作用によって設定され
る周波数Ωでのソリトンの伝播を支援するために適切な
群速度分散を有する単一モード光ファイバである。この
用途には、シリカ(二酸化ケイ素)を基本とする光ファ
イバが適している。異なる材質のみならず偏波維持のよ
うな異なる性質も利用したファイバを使用することも考
察する。
【0013】光増幅器/フィルタ12は、光増幅を与え
る部分および光学的フィルタ処理を与える部分を有する
単一の要素として示してあるが、実際には、要素12を
実現するには、別個の増幅器およびフィルタなどの幾つ
かの要素が望まれる。各増幅器部分は、ソリトン中心周
波数で伝播するパルスに利得を与える希土類ドープ光フ
ァイバの光ポンプ部(光学的にポンピングされる部分)
からなる。各フィルタ部分は、公称フィルタ中心周波数
ωfを中心に定義される周波数依存性の応答特性を有
し、列を構成する線形フィルタからなる。フィルタの応
答特性は、適切な量の帯域幅制限を与えるように選定さ
れる。それぞれの光増幅器/フィルタ12との間の光パ
ルスの受け渡しに、光結合要素も必要となる場合もあ
る。これらの要素は、関連分野において周知であり、添
付図面には示していない。
【0014】光フィルタは、ファブリ=ペローのエタロ
ン、ファブリ=ペローのファイバ・エタロンなどから実
現される。ファブリ=ペローのファイバ・エタロンのフ
ィルタは、参照によりここに明確に包含される米国特許
の第4,861,136号、第4,830,451号、および第5,037,180
号に開示されている。波長選択性のためにファブリ=ペ
ローのエタロンを利用した多ポート光フィルタが、米国
特許第5,050,954号に開示されている。他の典型的な波
長調節可能な光フィルタが、「IEEE通信マガジン
(IEEE Communications Magazine)」p.53-p.63(19
89年10月)においてH.コブリンスキほかによって
説明されており、これも参照によりここに明確に包含さ
れる。エタロンは、調節可能性、応答ピーク付近の適切
な整形、および後者の場合において波長分割多重化の応
用に対して魅力を与える周期的な櫛状特性などの多数の
望ましい特性を示す。
【0015】エルビウム・ドープ光ファイバ増幅器また
はラマン増幅器のような光増幅器をシステム内で使用す
るのは、処理中に光電変換も電光変換も必要とすること
なく光信号を光学領域で増幅できるからである。一般
に、このような増幅器は、光ポンプ・ビームを発生する
ポンプ源、およびポンプ・ビームを光増幅媒体に結合さ
せる手段を必要とする。これらの要素は添付図面には示
していない。各増幅器は、それに関係つけられたフィル
タと共に動作する場合、そのフィルタの挿入に関する損
失を補償することが望ましい。
【0016】本発明の原理によれば、光増幅器/フィル
タ12−1〜12−Nにおける各光増幅器は、公称フィ
ルタ中心周波数ωf,1〜ωf,Nにそれぞれ設定される。こ
のとき、公称フィルタ中心周波数は、基準周波数から規
定の変化量だけ故意に逸らして調節される。例えば、光
フィルタの中心周波数は、互いに異なり、ソリトンがそ
の伝送システムの適切な部分に放出されたときのソリト
ンの公称中心周波数Ωとも異なる。これにより、さらに
強力なフィルタを使用することができ、ソリトン伝送シ
ステムにおけるタイミング・ジッタの問題が大幅に軽減
される。連続する各光フィルタの中心周波数は、周波数
増大、周波数減少、およびこれらの組み合わせなどの所
定のパタンで上下に変化させられる。特定のチャネルに
対するシステムの観点から、関係する全フィルタの周波
数は、ソリトンの放出周波数Ωのような任意の基準周波
数に関して徐々に変化するように見える。したがって、
本発明により実現されるフィルタは、ここに「滑走周波
数誘導フィルタ」と称する。
【0017】光増幅器/フィルタ12において滑走周波
数誘導フィルタを用いることにより、ソリトンに対して
は完全な透過性を維持しながら、雑音に対してはほぼ不
透明な伝送環境が作られる。雑音に対する不透明性は、
全システム長のわずかな部分を除くすべてに対して存在
する。これについては、図8に関して後述する。本発明
を用いることによって作られる伝送環境を別の方法で表
現すると、この環境のために、ソリトンが増幅過程から
出る雑音をある一定の距離に異なる周波数帯域に残して
いくことが可能となると言うことである。実際には、周
波数領域において、ソリトンに関係付けられ増幅された
雑音からソリトンが断熱的かつ意図的に引き離されるの
である。この新たな伝送システムにおいて、ソリトン
は、特定の周波数Ωで放出され、伝送媒体を伝播するに
したがって、一連の滑走周波数誘導フィルタに対する各
光ファイバの中心周波数ωf,n(n=1,2,...
N)によって決定され連続的に変化する周波数に向かっ
て加速され、これにより、各ソリトンは放出周波数とは
かなり異なる周波数で現れるようになる。
【0018】なお、非線形な(ソリトン)パルスのみが
滑走周波数誘導フィルタに沿って周波数をシフトできる
点に留意する必要がある。この理由は、伝播方程式の非
線形項のために、ソリトン・パルスが(フィルタに沿っ
た)滑走に必要な新たな周波数成分を生成できるからで
ある。これに対して、雑音を含む線形パルスは、必要と
なる新たな周波数を生成できないので、結果的に、フィ
ルタを滑走する動作から破局的なエネルギー損失を被る
ことになる。このように、ここで述べる本発明は、ソリ
トン・パルスが非線形であるという事実を新奇かつ極め
て効率的な方法で利用するものである。
【0019】ここでの説明のために、伝送媒体全体にわ
たるすべのフィルタが滑走周波数の誘導性を示すものと
する。しかしながら、本発明の原理は、伝送媒体の少な
くとも適切な部分には滑走周波数誘導性を示す光フィル
タが2つ以上含まれるようなシステムにまで及ぶと考え
られる。例えば、分散性の光波の放射をシステム伝送媒
体の最初の部分において滑走周波数誘導フィルタを介し
て伝える一方で、伝送媒体の残りの部分においては標準
的なフィルタ処理をする方が望ましいこともある。これ
とは別に、フィルタの中心周波数が距離とともに減少す
る負の滑走の伝送媒体部分を有する図3のような正の滑
走の伝送媒体部分を通る方が望ましい場合もある。
【0020】本発明の滑走周波数誘導フィルタの意図的
な公称中心周波数の変化は、ほぼ同一の公称中心周波数
で設計されながらも意図的でない製造上の欠陥または製
造上の許容範囲から発生する従来技術のフィルタの小さ
な周波数偏差とは区別することが重要である。図3〜5
に示した滑走周波数誘導フィルタの場合、システムの関
係する部分のソリトン・パルスの周波数変化量は、ソリ
トンの帯域幅のかなりの割合になる。つまり、|ωf,N
−ωf,1|は、少なくとも0.5・Bsol(Bsolはソリ
トンの帯域幅)程度である。ソリトンの帯域幅と比較し
た場合、図2に示したソリトン伝送システムにおける従
来技術のフィルタに対する周波数の差は、ソリトンが放
出されたときとほぼ同じ周波数でシステムから出る程度
である。つまり、|ωf,N−ωf,1|は、近似的にゼロで
ある。後者の場合、従来の技術のシステムでは、伝送媒
体に沿ってほぼ同じフィルタを使用する。しかし、それ
らのフィルタの実質的な同一性は、製造上の範囲内にお
いてのみ観察可能である。
【0021】本発明にしたがって滑走周波数誘導フィル
タを利用すると、さらに強力なフィルタ応答特性を用い
ることができ、これによって、さらに加わるフィルタ損
失を克服するために必要となる過剰な増幅器の利得から
指数的に増加する雑音という通常の不利益を被ることな
く、従来の技術のシステムより大いにジッタを軽減する
ことができる。フィルタ応答の強度は、フィルタ応答の
ピークの曲率の関数である。強いフィルタ処理には、一
般に、鋭い遮断周波数および高い質(Q)係数が関係付
けられる。
【0022】滑走周波数誘導フィルタの発明の原理を示
す典型的な伝送媒体を図3〜5に示す。図3において、
伝送媒体に沿った連続する各フィルタの公称中心周波数
は、距離と共に単調に増加する。連続するフィルタの公
称中心周波数が距離と共に単調に減少する可能性も考え
られる。
【0023】図4において、連続するフィルタの公称中
心周波数は、直線を境に交互になるパタンでジグザグに
変動する。このようなジグザグの調節により、ωf,1
よびωf,2のような連続するフィルタによって得られる
累積的なフィルタ伝送形状(例えば、ピーク付近が比較
的平らで、両側が比較的急峻な形状)が許される。さら
に、この変更されたフィルタ伝送形状のために、ソリト
ン・パルスの一層強力な誘導、および所与のソリトン・
エネルギー損失に対する大幅なジッタ削減が可能とな
る。同様に、これにより、損失の低下が可能になるの
で、所与の程度の誘導に対する雑音の増加を抑制でき
る。
【0024】図5に示した各フィルタは、同じ公称中心
周波数の2つのフィルタからなり過結合を作り出すこと
によって、図7の曲線25によって示されるような一層
強いフィルタ応答をもたらす。
【0025】図3〜5において、連続的なフィルタ(図
3および5)または交互のフィルタ(図4)の中心周波
数どうしの間で、ほぼ等しい調節偏差量が示されている
が、伝送媒体に沿ったフィルタに対して異なる、すなわ
ち等しくない調節偏差量を用いることができると考えら
れる。換言すれば、隣接するフィルタの中心周波数の周
波数の差は、伝送媒体全体にわたって等しい必要はな
い。さらに、フィルタの配置は、規則的で周期的な間隔
で行う必要も、すべての各増幅器と連結して行う必要も
ない。不規則なフィルタの配置も本発明の原理の範囲内
で考えられる。
【0026】図3〜5に示した伝送媒体の場合、距離の
関数としての公称中心周波数の調節偏差の変化率は、規
定された最大値より小さい。変化率が最大値を超えた場
合、振幅および周波数の変動のために不安定な状態が生
じて、結果的に、ソリトン・パルスの消去に至る。フィ
ルタの放物線的形状のピーク応答に対しては、典型的な
最大変化率を約(2/27)ηと決めた。ただし、ηは
公称中心周波数のピーク付近の放物線的形状のフィルタ
応答の単位ソリトン長あたりの曲率を表す。一般に、そ
のような不安定性の結果が、ソリトンの単位距離zc
度の距離にわたってみられる。
【0027】以下の説明において、本発明の根底を成す
現在理解されている理論的基礎を与える。また、滑走周
波数誘導フィルタを備えたソリトン伝送システムの性能
を示すために、実験的シミュレーションからの例も含め
た。
【0028】フィルタの損失および増幅要素からの補償
利得を含むソリトンの伝播方程式を示す。
【数1】 ただし、αおよびηは、単位長さあたりのそれぞれ過剰
利得およびフィルタのピーク曲率である。また、ω
fは、単位長さあたりの光フィルタの公称ピーク周波
数、すなわち公称中心周波数である。量αおよびηは連
続的に分布する量として特徴付けられるが、これらの量
は一塊の周期的な増幅/濾過要素12の使用と一致する
一塊の周期的な等価量へと容易に変換されることを直後
に示す。
【0029】ファイバにおけるソリトンの伝播は、微分
方程式、すなわち非線形なシュレーディンガー方程式に
よって最も都合よく記述される。この方程式の量は、す
べて連続的に分布しているものとして扱われ、多くのパ
ラメータも、一般に、一定であると考えられる。しか
し、実現可能なシステムがソリトン・パルスのエネルギ
ーのようなかなり周期的な変化を有する量を伴う傾向が
あるが、増幅器およびフィルタなどの他の多くは、その
ような変化の極端にある、すなわち、それらは「一塊」
になっている。問題の周期がソリトンの単位距離zc
対して十分短い場合、一塊の量は、それらが連続的に分
布した等価量、およびそれらの経路平均等価量によって
置き換えられる他のすべての周期的変化量へと変換する
ことができる。このようにすることで、実際のシステム
は、それが連続的に分布した等価なものと著しく類似し
た振る舞いをする。
【0030】特に、1組の誘導フィルタを通したソリト
ン伝播の理論的扱いにおいて、フィルタの影響は、連続
的に分布していると見なされる。量ηは、伝送媒体に沿
った単位長さあたりのフィルタ応答のそのピークにおけ
る曲率である。さらに正確に言えば、十分小さな距離d
zに対し、ωfに共振のピークを有するフィルタに対す
る周波数ωにおける透過係数Tは、次のとおりである。
【数2】 有限な距離zにわたる透過係数は、式(2)によって与
えられる係数の積であるから、この係数の対数は、式
(2)の対数の和である。|ε|《1なるεに対しln
(1−ε)=−εとなる事実を利用すると、次式を得
る。
【数3】 一定の間隔Lがzcと比較して短いとき、曲率ηfおよび
一定の間隔Lで一塊のフィルタを実現することにより、
理論的所産の連続的に分布したηと実際のフィルタのη
fとの間の対応は、単に次のようになる。 ηf=ηL (5)
【0031】以上の説明にしたがえば、個々の一塊のフ
ィルタの透過係数は、 T(ω)=exp[−ηf(ω−ωf2] (6) のように書ける。例えば、エタロンのような極めて現実
的なフィルタは、フィルタのピーク付近の領域を除い
て、式(6)とは一般にかなり異なる透過係数を持つ。
しかし、幸運にも、実際の一塊のフィルタが、ピークの
近くで式(2)および(3)の連続的なフィルタと本質
的に同じ振る舞いをする限り、つまり実際のフィルタの
伝送がそのピーク付近で本質的に放物線的であり、かつ
式(5)が満たされる限り、実際の一塊のフィルタは、
式(2)および(3)の連続的なフィルタとほとんど同
様にソリトンを誘導する(ソリトンの振幅およびタイミ
ング・ジッタを抑制する)。エタロンの透過関数は、次
のとおりである。
【数4】 ただし、Rは、エタロンの反射鏡の共通の反射率であ
り、δfは、ω−ωfに相当する(実際の単位で表し
た)周波数の差であり、このエタロンの自由スペクトル
範囲Δfは、 Δf=c/2d (8) によって与えられる。ただし、dは、反射鏡の間の(空
気の)間隙である。δf=0について式(7)を展開す
ることにより、エタロンのピークの曲率(実際の周波数
差(δf)と称する)が次の式であることを容易に示す
ことができる。
【数5】
【0032】理論的所産において、格別の指定がない場
合、メートル、秒、ギガヘルツなどの代わりに、特別な
ソリトンの単位zc、tc、およびωcをそれぞれ用いる
ことも可能である。ソリトンの単位長さzcは、分散の
影響に対する特性的長さであり、次の式によって与えら
れる。
【数6】 cは光の真空中の速さ、λは波長、τはソリトンの半波
高全幅値(FWHM)、Dは光ファイバの群遅延パラメ
ータを時間/単位波長シフト/単位長さの単位で表した
ものである。超長距離ソリトン伝送という背景において
は、zcは、一般に、少なくとも何千キロメートルの長
さである。ソリトンの単位時間tcは、次のとおりであ
る。
【数7】 ただし、τはソリトン・パルスの半波高全幅値である。
最後に、ソリトンの単位周波数ωcは、tcあたり1ラジ
アンである。したがって、ソリトン単位の周波数ωは、
次の式のとおりに実際の周波数に変換される。
【数8】
【0033】さらに詳細に後述する滑走周波数誘導フィ
ルタの例では、τ=20psec、D=0.4psec/nm
/kmと仮定しているので、(式(10)により)zc
=250km、さらに(式(12)により)ωcは1
4.0GHzに相当する。また、η=0.6(ωc 2あた
り、かつzcあたり)と仮定する。したがって、実際の
単位では、ηは次のようになる。 η(GHzー2kmー1)=0.6/(142x250) =1.2245x10ー5 (13) 30km毎に1つずつフィルタがある場合、式(5)よ
り次のようになる。 ηf(GHzー2)=30x1.2245x10ー5 =3.6735x10ー4 (14) 自由スペクトラム領域(WDMチャネル間隔)がΔf=
100GHz(λ=1550nmにおいてΔλ=0.8)
であるようなエタロンからこのフィルタ強度を得るため
には、式(10)から、エタロンがd=1.5mmの間
隔を持つ必要があることがわかる。計算したばかりのη
fおよびΔfを式(9)に代入して、R=0.0930
(1−R)2となり、これを解いてR=0.0789を
得る。図6は、このようなエタロンに対する透過曲線
(曲線22)を、対応するガウス周波数応答スペクトル
の曲線(曲線23)および幅20psecのソリトンの周
波数スペクトル(曲線21)と比較して示す。フィルタ
処理の強さは、1ソリトン単位距離(zc)にわたる累
積効果によって判断するのが最良である。
【0034】さらなる比較により、図5の各フィルタ対
によって示されるようなジグザグに変動しないエタロン
の対(曲線26)、図4において隣接するフィルタの対
によって示されるようなジグザグに変化するエタロンの
対(曲線25)の透過曲線、および超ガウス周波数応答
スペクトル(曲線24)を幅20psecのソリトン(曲
線21)と対比して図7に示す。
【0035】滑走周波数誘導フィルタがないことを特徴
とする従来の技術のシステムは、dωf/dz≡ωf’=
0なるωfを持つと記述される。ただし、zは、システ
ム長による距離である。便宜上、ωfをゼロに設定する
ことにより、式(1)に対する完全な定常解を次の式の
ように求めることができる。
【数9】 ただし、φ=Kz−υ ln cosh(t)であり、パラメー
タα、η、Pおよびυは次の関係を満たす。
【数10】 パラメータPは、ソリトンの振幅(エネルギー)を示
し、パラメータυは、周波数のテャープ(chirp)を伴
う。式(15)より、ソリトン・パルスの周波数がチャ
ープされることにより、φのtに関する偏導関数が−υ
tanh(t)に等しくなる。このチャープのために、ソリ
トン・パルスの帯域幅および時間−帯域幅の積は、共に
(1+υ2)倍に増大する。
【0036】数値シミュレーションにより、以下に述べ
るある制限の範囲内で本発明滑走周波数誘導フィルタを
使用しても、この解はそれほど変わらないことを示すこ
とができた。しかしながら、滑走周波数誘導フィルタの
使用により、ソリトン・パルスに対する振幅の減衰およ
び周波数の変動は確かに変化する。滑走に伴う減衰を調
べるために、ソリトンに対する一般形を式(1)にu=
A sech(At−q)exp(−iΩt+iφ)として導入
する。結合した一次摂動方程式の対を次のように得る。
【数11】 ただし、ωf(z)は伝送媒体に沿った距離zにおける
フィルタのピークの周波数である。A=1かつ一定のω
fにおいて平衡するためには、ソリトン周波数Ωが次の
量だけフィルタの周波数より遅れる必要がある。 (Ω−ωf)=−3ωf'/2η
(21)この周波数オフセットのために、ソ
リトン・パルスがフィルタ応答特性の正または負の傾斜
部分に位置することになるので、フィルタからの損失が
さらに増加する。結果的に、過剰な利得αが次のように
増大しなければならない。
【数12】 次に、αのこの値を式(19)および(20)に挿入す
る。滑走周波数誘導フィルタによって変動が如何に減衰
されるかをさらに明らかに理解するために、AおよびΩ
に対する関係に小さい変動パラメータaおよびΔを、A
=1+aおよびΩ=ωf−(3ωf'/2η)+Δのよう
に導入する。小さな変動に関する式を線形化することに
よって、次の結合方程式を得る。
【数13】 式(23)および(24)における導関数に共通の値−
γを持たせることによって、これらの方程式を分離し、
次の通常の形態を得る。 x1=Δ−(2/3)1/2α,x2=Δ+(2/3)1/2α (25) ただし、対応する減衰定数γ1およびγ2は、次のように
与えられる。 γ1=2η/3−61/2ωf' γ2=2η/3+61/2ωf' (26) 安定のためには、γ1およびγ2が、共に正のままでなけ
ればならない。これによって、放物線的形状のフィルタ
応答のピークに対し、最大許容滑走率が次のように設定
される。 |ωf'|max=(2/27)1/2η (27)
【0037】簡単のために、ソリトンのエネルギーおよ
び到達時間の分散の計算結果のみを記す。信号エネルギ
ーの分散の正規化したものが、次のとおりである。
【数14】 ただし、Nは、伝送媒体の単位長さあたりに生成される
自然放射雑音スペクトル密度である。γz》1の場合、
分散は次の平衡値となる。
【数15】 ただし、γeffは、 1/γeff=3/8γ1+3/8γ2+1/2(γ1
γ2) (30)によって与えられる。滑走フィ
ルタがない従来の技術の場合、減衰定数は、要求どうり
に等しく、γ1=γ2=γeffである。
【0038】伝送媒体に沿って滑走周波数誘導フィルタ
を使用することにより受けるタイミング・ジッタの分散
に対する低減率は、次の式によって与えられる。
【数16】 ただし、fij(z)は、次の式によって与えられる。
【数17】 ここで、γz》1の場合、
【数18】 ここで、γeffは、次の式によって与えられる。 1/(γeff2=3/4γ1 2+3/4γ2 2−1/2γ1γ2 (34) 最後に、式(31)および(32)は、コダマ(Kodan
a)による「光学便り(Optics Letters)」の論文の式
(28)のf(x)を与える。この論文は、滑走周波数
誘導フィルタを持たない、つまりγ1=γ2であるような
従来の技術の伝送システムを説明したものである。
【0039】滑走周波数誘導フィルタの使用から生じる
雑音の低下およびその他の実益を以下の具体例に関連し
て説明する。共通に偏光されたソリトン・パルスに関す
る10Gbpsの単一チャネル速度、または隣接するパル
スが直角に偏光された場合の20Gbpsの単一チャネル
速度と両立するように、ソリトン・パルス幅(FWH
M)τを約20psecと仮定する。光ファイバ11に対
する群速度の分散と組み合わせた場合の仮定されたパル
ス幅D=0.4ps/nm/kmは、「電子工学便り
(Electronics Letters)」第28巻p.792(1992
年)の我々の最近の論文において報告したソリトン・パ
ルス・エネルギーと同じソリトン・パルス・エネルギー
を与える。結果的に、ソリトンの単位距離zcは、約1
556nmの伝送波長λにおいて約250kmである。
1次摂動論の限度を過度に押し通さない程度にかろうじ
て小さく達成しようとするジッタの低減にあわせて、フ
ィルタの曲率パラメータη=0.6を選定するが、これ
が、従来の技術の実験において報告された値の約7.5
倍大きいフィルタ強度値である。標準偏差で表したジッ
タの低減率(式(32)の平方根)が滑走フィルタ無し
のその値の僅か約1.5倍にしかならないことを防ぐた
めに、ωf'=η/6=0.1(これは、約0.6max
(ωf')である)とする。ソリトンの周波数単位が14
GHzに等しいので、実際の単位で表される滑走率は、
5.6GHz/Mmである。したがって、10Mmの伝送
路全体にわたる総周波数変化は、僅か56GHzである、
すなわちソリトンの帯域幅Bsolの3倍より辛うじて僅
かに大きい。最後に、過剰な利得αを正確に計算するた
めに、式(22)を変更して、式(17)の場合のよう
に帯域幅の因数1+ν2の影響を含むようにする。
【数19】 尚、αはシステムにおいて雑音が増大する割合に比例す
ることを理解しなければならない。1+ν2=1.13
2であること、ならびに既に与えられたηおよびωの値
から、式(35)は、単位距離あたりの過剰な利得α=
0.244を与える。
【0040】図8に示した雑音スペクトルを計算するた
めには、伝送媒体の各区分において発生される雑音成分
を適切な過剰利得因数および滑走周波数誘導フィルタの
累積損失によって修正したものの総和をとる必要があ
る。例えば、フィルタの透過関数が、exp(−η(ω−
ωf2)によって表される場合、距離zにおける雑音ス
ペクトル密度(単位帯域幅あたりの雑音エネルギー)
は、フィルタ無しの総システム長Lの場合であれば通用
するような雑音スペクトル密度へと正規化すると、次の
ようになる。
【数20】 図8は、実際のローレンツ・フィルタ関数が用いられる
点を除いて式(36)に本質的にしたがう例の特定のパ
ラメータに対して数値的に計算した場合のN(ω、z)
を示す。図8における各曲線には、伝送媒体に沿うMm
で表した特定距離zにおける雑音スペクトル密度の曲線
を示すようにラベルを付けた。さらに、これらの曲線
は、滑走フィルタのない---つまり、通常の理想的なフ
ィルタを備えた---伝送システムに対し10Mmにおい
て達成される密度に正規化してある。約5Mmの後、ピ
ークのスペクトル密度が2.0より僅かに大きく非常に
適切なレベルで飽和する。滑走周波数誘導フィルタのな
い従来の技術のシステムでは、ピークの雑音スペクトル
密度は、およそe10〜20,000倍という指数的割合
で上昇する。
【0041】図9において、ソリトン・エネルギー
(「1」を表す)の正規化した標準偏差およびビットが
空の期間の雑音エネルギー(「ゼロ」を表す)の正規化
した標準偏差を距離に対してプロットしてある。数
「1」のラベルを付けた曲線は、ソリトン・エネルギー
に関係するもので、数「0」のラベルを付けた曲線は、
雑音エネルギーに関係するものである。これらの曲線
は、式(28)、図8のデータ、および「光波技術ジャ
ーナル」第9号p.170(1991年)における説明によ
る分析によって得られる。実線の曲線は、滑走周波数誘
導フィルタのないシステムを表し、波線の曲線は、滑走
周波数誘導フィルタを備えた同じシステムを表す。ファ
イバの損失は、0.21dB/kmであると仮定し、光
ファイバの有効コア面積は、50m2であると仮定す
る。増幅器の間隔および過剰な自然放射率は、それぞれ
28kmおよび1.4である。滑走フィルタがある場
合、(「0」および「1」の)両方の標準偏差は、まも
なく測定できないほど小さなビット誤り率に対応する小
さな一定の値に固定される。
【0042】図10において、タイミング・ジッタの標
準偏差を経路長に対してプロットした。音響相互作用の
類似の影響が、「ソビエト光波通信」第1号p.235(1
991年)の説明どおりにではあるが、前述の「電子工
学便り」の論文における我々自身の実験的測定により修
正して含まれている。この影響は、幾つかの異なるビッ
ト速度、0、10、および20Gbpsに対して、プロッ
トされている。ただし、0Gbpsは、既に述べた純粋な
ゴードン・ハウス効果を表す。実線の曲線は、滑走フィ
ルタのないシステムの性能を表し、波線の曲線は、滑走
フィルタを備えたシステムの性能を表す。例えば、10
Mmの距離において、滑走フィルタのシステムに対する
タイミング・ジッタの標準偏差は、約2psecであり、
これは、滑走フィルタのないシステムに対する15pse
cという標準偏差と比較すれば、チャネルあたり20Gb
ps乃至それ以上のエラー・フリー伝送(誤りのない伝
送)に適している。勿論、滑走周波数誘導フィルタの使
用により、ビット速度のさらに高いソリトン・チャネル
のエラー・フリー伝送を達成することができる。
【0043】最後に、滑走周波数誘導フィルタは、その
他にも重要な利益を光ソリトン伝送システムにもたら
す。まず、これらのフィルタにより、システムの作用
が、入力パルスの欠陥に対して敏感でなくなる。滑走フ
ィルタのないシステムの場合、不完全なパルスによって
与えられる分散性の波の放射は、ソリトンと共に同じ周
波数帯域に常に留まるので、雑音にかなり加わる可能性
がある。しかしながら、強い滑走周波数誘導フィルタが
あれば、そのような雑音は、メガメータ(Mm)の伝送
媒体の最初の部分で完全に発生される傾向があるので、
雑音が受信機に達するかなり前に、滑走フィルタによっ
て雑音を完全に除去することができる。第2に、これと
同様の「掃除」効果が、別の潜在的に重要な雑音源---
つまり、ソリトンが偏光の分散に対して反応するように
ソリトンによって与えられる分散性の光波の放射---に
適用される。第3に、滑走フィルタの使用により、レイ
リーの二重後方散乱による雑音の増強の抑制に必要なア
イソレータの数の大幅な削減が可能となるはずである。
仮に必要であっても、せいぜいシステムの出力端の近く
に少数のアイソレータを配置するだけで済むものと思わ
れる。第4に、滑走フィルタにより許される強い減衰定
数により、例えば、システムの入力におけるソリトン間
の重複を原因とするものなど、波長分割多重化(WD
M)の種々の代償が大幅に軽減される。最後に、強力な
フィルタは、チャネル間の等化信号強度の問題について
実質的な助けとなる。
【0044】以上、広義のWDMと完全に両立する単純
かつ受動的な偏光独立性素子を用いて、ソリトン滑走フ
ィルタを説明してきた。対比すると、時間領域でのフィ
ルタ処理は、能動素子を必要とし、複雑さ、低下した信
頼性、高い費用、および電子的な再生に伴うWDMとの
非両立性という全く同様の短所がある。
【0045】以上の説明は、本発明の原理の説明を簡単
にするために放物線形のフィルタ応答特性を基に行っ
た。放物線形の応答により、損失に対する(振幅および
位相の変化の)減衰の有用な比が与えられる。実際に
は、実現可能なフィルタ応答特性の形は、何れも使用で
きると考えられる。例えば、強い方形応答特性は、優れ
た結果を与えると予測される。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ソ
リトン伝送システムにおいてタイミング・ジッタの問題
を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】典型的なソリトン伝送システムを示すブロック
図である。
【図2】伝送システムの長さに対するフィルタの公称中
心周波数の関係を示す図表である。
【図3】伝送システムの長さに対するフィルタの公称中
心周波数の関係を示す図表である。
【図4】伝送システムの長さに対するフィルタの公称中
心周波数の関係を示す図表である。
【図5】伝送システムの長さに対するフィルタの公称中
心周波数の関係を示す図表である。
【図6】典型的なエタロン・フィルタおよびガウス・フ
ィルタの伝送曲線をソリトンに対するスペクトルと比較
する図表である。
【図7】典型的なエタロン・フィルタ対および超ガウス
・フィルタの伝送曲線をソリトンに対するスペクトルと
比較する図表である。
【図8】フィルタ処理なしで10Mmの距離で獲得する
その密度に正規化された、滑走周波数誘導フィルタを備
えた伝送媒体に沿った種々の位置における、周波数に対
する雑音スペクトル密度を示す図表である。
【図9】伝送媒体に沿った距離に対する、ビットがない
(ゼロの)期間のソリトン・エネルギーおよび雑音の正
規化した標準偏差を示す図表である。
【図10】図1の滑走周波数誘導フィルタ構造(波線)
の場合およびフィルタ処理を全く行わない場合(実線)
における距離に対するソリトン到達時間の標準偏差を示
す図表である。
【符号の説明】
10 送信器(信号源) 12−1〜12−N 増幅器およびフィルタ 13 受信器(検出器)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リン エフ.モルヌール アメリカ合衆国 07722 ニュージャー ジー コルツネック、キャリッジヒル ドライヴ 11 (56)参考文献 特開 平3−214123(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 10/02 - 10/18 G02F 1/35 501

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定の周波数帯域におけるソリトンの伝
    播を支援する光波伝送システムであって、該伝送システ
    ムは光ファイバ伝送媒体からなり、該光ファイバ伝送媒
    体は、該光ファイバ伝送媒体に沿って間隔をあけて配置
    された複数の光増幅器と該光ファイバ伝送媒体に沿って
    間隔をあけて配置された複数の光フィルタとを含み、 該光フィルタの各々は互いに異なる公称中心周波数を有
    しており、該光フィルタを伝送したソリトンは、該光フ
    ィルタの公称中央周波数を有するソリトンを発生するも
    のであり、該公称中心周波数の各々は特定の周波数帯域
    に存在することを特徴とする光波伝送システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のシステムにおいて、該
    複数の光フィルタの公称中心周波数は、該伝送媒体の距
    離の関数として、ほぼ単調に増加することを特徴とする
    システム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のシステムにおいて、該
    複数の光フィルタの公称中心周波数は、該伝送媒体の距
    離の関数として、ほぼ単調に減少することを特徴とする
    システム。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のシステムにおいて、該
    複数の光フィルタの公称中心周波数は、該伝送媒体の距
    離の関数として、平均を中心に交互に増減しながらほぼ
    ジグザグのパターンで配置されることを特徴とするシス
    テム。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のシステムにおいて、公
    称中心周波数を中心とする放物線形のフィルタ応答の単
    位長さあたりの曲率をηとした場合、該伝送システムの
    少なくとも一部にわたり、該複数の光フィルタの中心周
    波数が、第1の周波数から第2の周波数へと約(2/2
    7)η以下の割合で変化することを特徴とするシステ
    ム。
  6. 【請求項6】 特定の周波数帯域におけるソリトンの伝
    播を支援する光波伝送システムであって、該伝送システ
    ムは光ファイバ伝送媒体からなり、該光ファイバ伝送媒
    体は、該光ファイバ伝送媒体に沿って伝搬する特定の帯
    域のソリトンを増幅する光増幅手段と、該光ファイバ伝
    送媒体に沿って伝播する特定の帯域のソリトンをろ波す
    る光フィルタ手段とを含み、該光フィルタ手段を伝送したソリトンは、最初の周波数
    とは異なる第2の周波数を有するソリトンを発生し、
    増幅手段によって発生する雑音から周波数的に分離する
    ことを特徴とするシステム。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のシステムにおいて、該
    最初の周波数と第2の周波数との差の大きさが、ソリト
    ンの帯域幅の半分以上であることを特徴とするシステ
    ム。
  8. 【請求項8】 特定の周波数帯域におけるソリトンの伝
    播を支援する光波伝送システムであって、該伝送システ
    ムは光ファイバ伝送媒体からなり、該光ファイバ伝送媒
    体は、該光ファイバ伝送媒体に沿って間隔をあけて配置
    された複数の光増幅器と該光ファイバ伝送媒体に沿って
    間隔をあけて配置された少なくとも第1および第2の光
    フィルタとを含み、 該光フィルタの各々は互いに異なる公称中心周波数を有
    し、該光フィルタを伝送したソリトンは、該光フィルタ
    の公称中心周波数を有するソリトンを発生するものであ
    り、該公称中心周波数の各々は、特定の周波数帯域に存
    在することを特徴とするシステム。
  9. 【請求項9】 光波伝送システムにおけるソリトン伝搬
    のための方法において、 該システムに沿った複数の位置でソリトンを増幅する段
    階と、該ソリトンの放出周波数とは異なる第2の周波数を有す
    るソリトンを発生させるために、 該システムに沿った複
    数の位置で該ソリトンをろ波する段階とからなり、該ソ
    リトンが該増幅段階によって発生する雑音から周波数的
    に分離されることを特徴とするソリトン伝搬のための方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の方法において、公称
    中心周波数を中心とする放物線形のフィルタ応答の単位
    長さあたりの曲率をηとした場合、システム長に対する
    周波数の変化率が約(2/27)η以下となるように、
    システムの全長の少なくとも一部に沿って異なる公称中
    心周波数で該ろ波段階が発生することを特徴とする方
    法。
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