JP3289216B2 - ピットを有する作業施設及びその建造方法 - Google Patents

ピットを有する作業施設及びその建造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の点検修理
を行うためのピットを有する作業施設に関する。また、
本発明は、そのような作業施設の建造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車が乗り入れる床板の下側に設けら
れている地下ピットに作業者が入り、その作業者が、床
板に開設されている開口を通して自動車の点検修理を行
うことができるようになっている作業施設は従来より知
られている。
【0003】このような作業施設を建造する場合、従来
は図8に説明的に示した手順を順を追って行っていた。
すなわち、最初の段階では、作業施設の大きさに見合う
凹所を地中に掘り下げる「根切り」のほか、その切羽の
「土留め工事」や「土間コンクリート工事」が行われ
る。次に「遮水工事」が行われ、さらに、床や壁をコン
クリートで施工するための準備工程としての「床・壁配
筋工事」を経て「床コンクリート打設」と壁側の「型枠
工事」とが行われる。その後、天井壁(1階床)を施工
するための準備工程としての「天井スラブ配筋」や「型
枠工事」を経て「天井コンクリート打設」が行われる。
こうして地下部分の工事を終了すると、続いて「地上棟
屋設置」やその後の「屋根工事」が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記手
順に従って建造された従来の作業施設は、建造費用が高
くつき、しかも工期が長くなるという問題点を有してい
た。また、従来の建造方法では、完成までの工期が長
く、また、風雨などの天候の影響で工期が不測に延びた
りして後工程にしわ寄せが生じることが多々あるという
問題点があった。
【0005】本発明は以上の問題点などに鑑みてなされ
たものであり、従来の作業施設に比べて建造費用が格段
に安くなるだけでなく、完成までの工期も短くなるピッ
トを有する作業施設を提供することを目的とする。
【0006】また、本発明は、従来の作業施設に比べて
建造費用が格段に安くなるだけでなく、天候にそれほど
影響されずに工事を進めることができ、大幅な工期短縮
を図ることのできるピットを有する作業施設の建造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るピットを有
する作業施設は、コンクリート製又は鋼板の床板を境と
して、その下側に作業領域としての地下ピットが形成さ
れ、その上側に作業対象としての自動車の乗入れ領域が
形成されていると共に、上記床板に、上記乗入れ領域に
乗り入れた自動車に対する作業を上記地下ピットから行
うための開口が開設されてなる。したがって、この作業
施設によると、冒頭で説明したように地下ピットに作業
者が入り、その作業者が、床板に開設されている開口を
通して自動車の点検修理、たとえば廃油の抜取りを伴う
オイル交換や各種の整備などを行うことができる。
【0008】本発明では、上記地下ピットが、地中に埋
設された箱形の作業領域形成部材の内部空間によって形
成されている。このため、従来の建造方法に見られる
「根切り」から地中の凹所内での「床コンクリート打
設」や壁側の「型枠工事」などを省略することが可能に
なり、そのことが建造費用の低減化と工期短縮とに役立
つ。
【0009】本発明に係る上記作業施設では、上記地下
ピットが、並列された複数の作業領域形成部材でなる作
業領域形成部材群の内部空間によって形成されているも
のであってもよい。このものによると、作業領域形成部
材の並列数を増やすことによって地下ピットの作業スペ
ースを広くできる利点がある。
【0010】本発明に係るピットを有する作業施設の建
造方法は、本発明に係る上記作業施設を建造するのに際
し、地下ピットを形成するための箱形の作業領域形成部
材の内部に必要な装備を設置するピット室製作工程と、
その作業領域形成部材を設置するための凹所を地中に掘
り下げる土木工事工程とを分けて行った後、上記作業領
域形成部材を上記凹所に設置する地下作業領域形成部材
設置工程と、その作業領域形成部材の上に、地上面から
の自動車の乗り入れが可能になるようにコンクリート製
又は鋼板の床板を設置する床板設置工程とを行うという
ものである。この場合、上記ピット室製作工程を工場で
行うことが望ましい。
【0011】この建造方法は、地中に掘り下げた凹所に
作業領域形成部材を設置して地下ピットを形成するもの
であるので、凹所を掘り下げる土木工事工程及び作業領
域形成部材の内部に必要な装備を設置するピット室製作
工程の各工程の実施時期を個別に定めることができる。
たとえば、両工程を同時期に併行させて行うことが可能
である。このように、完成までの工期の中に順を追って
両工程を含ませる必要がないので、それだけ工期が短縮
する。特に、ピット室製作工程を工場で行うようにする
と、その工程を天候の影響を受けずに行うことができる
ようになる。また、ピット室が箱形の作業領域形成部材
によって形成されるので、従来の建造方法に見られる
「根切り」の後の地中の凹所内での「床コンクリート打
設」や壁側の「型枠工事」などを省略することが可能に
なり、そのことが建造費用の低減化と工期短縮とに役立
つ。作業領域形成部材に設置される上記装備には、床、
壁、電気配線並びに流体配管(エアー配管、オイル配
管、水配管など)を含ませることが可能である。
【0012】地下作業領域形成部材設置工程を行った後
で、作業領域形成部材の内部に設置されている電気配線
や流体配管を、作業領域形成部材の外側に設けられてい
る一次側の電気配線や流体配管に、それらが使用可能に
なるように関連付けるための接続工程を行うようにする
ことが望ましい。このようにすると、地下作業領域形成
部材設置工程を行った後で、電気配線や流体配管を作業
領域形成部材の内部に引き廻す必要がないので、電気工
事や配管工事が簡単になり、それだけ費用が安くつき、
工期も短縮される。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るピットを有す
る作業施設の建造方法の手順の一例を示した説明図であ
る。また、図2〜図5は、図1の中の特定の作業工程を
図示した説明図である。
【0014】図1に示したように、この建造方法では、
地下ピットを形成するための箱形の作業領域形成部材の
内部に必要な装備を設置するピット室製作工程Aと、そ
の作業領域形成部材を設置するための凹所を地中に掘り
下げる土木工事工程Bとを分けて行った後、作業領域形
成部材を上記凹所に設置する地下作業領域形成部材設置
工程Cと、その作業領域形成部材の上に、地上面からの
自動車の乗り入れが可能になるようにコンクリート製又
は鋼板の床板を設置する床板設置工程Dとを行ってい
る。また、この建造方法では、床板設置工程Dを行った
後、地上施設を建設するための地上作業領域形成部材設
置工程Eと屋根工事工程Fとを行っている。
【0015】ピット室製作工程Aは、土木工事工程Bが
行われる土木作業現場とは別の場所にある生産工場で行
われる。そのため、この工程Aは、余程のことがない限
り天候などの影響を受けずに予定通りの工期で終えるこ
とができる。作業領域形成部材に設置される必要な装備
品には、床材や壁材といった内装部材、工具・部品置場
としてのパーツ棚、オイルなどの商品を並べておくため
の商品ラックといった壁装部材、蛍光灯などの照明器具
や誘導灯、電気開閉器や電気配線といった室内電気設
備、オイル配管、ガス配管、水配管といった室内配管な
どが含まれる。この工程Aでは、可能な限りの内装工事
や電気工事、配管工事を行っておくことが望ましく、そ
のようにしておくと、地下作業領域形成部材設置工程C
に続く建設現場での後工程が簡略化されるようになる。
作業領域形成部材に設置される装備の中で、電気配線や
オイル・ガス・水用などの室内配管には、建設現場に敷
設される一次側の電気配線や流体配管に簡単な作業で接
続することのできる機能を持った接続部材を設けておく
ことが望ましい。こうしておくと、地下作業領域形成部
材設置工程Cを行った後で、作業領域形成部材の内部に
設置されている電気配線や流体配管を、作業領域形成部
材の外側に設けられている一次側の電気配線や流体配管
に接続するだけで、大掛かりな工事を行うことなくそれ
らが使用可能になる。
【0016】図2は土木工事工程Bの説明図である。同
図のように、土木工事工程Bでは、作業施設の大きさに
見合う凹所1を地中に掘り下げる「根切り」が行われる
ほか、凹所1の内面に沿って砂利層2を形成する「砂利
敷き」、その砂利層2の上にコンクリート3を打設する
「床付け」などが行われて土間4が施工される。なお、
この土木工事工程Bでは、切羽からの漏水を遮断する
「遮水工事」や切羽の崩れを防ぐ「土留め工事」を行う
必要は必ずしもない。また、「床・壁配筋工事」や「床
コンクリート打設」、壁側の「型枠工事」などは行う必
要がない。そのため、それらの工事を行うことが不可欠
であった図8の従来工法に比べて土木工事が大幅に簡略
化され、その工期も大幅に短縮され、工事費用も大幅に
低減される。
【0017】以上説明したピット室製作工程Aと土木工
事工程Bとは、それらを併行させて同時期に同時に進め
ることが可能である。そのようにすると、ピット室製作
工程Aを経て必要な装備が設置された作業領域形成部材
を建設現場に搬入し、その作業領域形成部材を、土木工
事工程Bを終了した時点で直ちに凹所1に設置して地下
作業領域形成部材設置工程Cを行うことが可能になる。
【0018】図3は地下作業領域形成部材設置工程Cの
説明図である。同図で判るように、この実施形態では、
同じサイズの複数(6つ)の作業領域形成部材5a…を
横に並列させた作業領域形成部材群5の内部空間によっ
て広い地下ピットを形成するようにしてある。この場
合、複数の作業領域形成部材5aを連結する作業は、上
記したピット室製作工程Aを行う工場で予め行っておい
ても、あるいは、作業領域形成部材5aを1つずつ凹所
1に並べて設置した後に行ってもよいが、作業領域形成
部材群5が、クレーンなどで取り扱うことのできるサイ
ズや重さであれば、前者のように工場で予め複数の作業
領域形成部材5aを連結しておくことが望ましい。この
ような地下作業領域形成部材設置工程Cを行うことによ
って、図8で説明した「天井スラブ配筋」や「型枠工
事」を経て「天井コンクリート打設」といった工期の長
くかかる各作業が不要になる。
【0019】図4は床板設置工程Dの説明図であり、こ
の床板設置工程Dは地下作業領域形成部材設置工程Cを
終了した後で行われる。同図のように、この工程Dで
は、作業領域形成部材群5の上にコンクリート製又は鋼
板の床板6が必要な枚数だけ設置されて、凹所1がそれ
らの床板6によって塞がれる。この床板6は作業施設の
1階部分の床となり、その床板6の上には、地上面から
点検・修理・整備などの対象である自動車が乗り入れら
れる。
【0020】こうして地下部分の工事を終了すると、続
いて地上施設が建設される。地上施設には、更衣室、倉
庫、機械室といった設備運用に必要なスペースや、洗面
所やギャラリーといった必要とされる接客・応接・休憩
スペースなどが含まれ、これらに対しても上記したピッ
トと同様に、工場で内装や必要な装備を設置した作業領
域形成部材が用いられる。
【0021】図5は地上施設建設工程の説明図である。
この実施形態では、同図のように凹所1の両側に作業領
域形成部材7,8を設置し、これらの作業領域形成部材
7,8によって上記した必要なスペースを形成するよう
にしてある。これらの作業領域形成部材7,8の設置後
に、それらの間に亘る屋根9が施工される。
【0022】こうして建造された作業設備にあっては、
床板9や凹所1に設置された作業領域形成部材群5の天
井部分に、床板9の上に乗り入れた自動車に対する作業
を地下ピットから行うための開口が開設されている必要
がある。この開口のうち、床板9側の開口は、床板9を
作業領域形成部材群5の上に設置する前に予め開設して
おくことが望ましく、また、作業領域形成部材群5の天
井部分の開口は、作業領域形成部材5aに必要な装備を
工場で設置するときに併せて開設しておくことが望まし
く、そのようにする場合には、その作業領域形成部材群
5を建設現場で凹所1に設置するに当たって、その開口
を、容易に取り外すことができるように取り付けた蓋部
材で塞いでおくことが安全対策上望ましい。こうしてお
くと、凹所1に設置した作業領域形成部材群5の上に工
事車などが安全に進入することができるようになる。
【0023】図6は上記方法で建造された作業設備の地
下部分の概略平面図、図7は図6のVII−VII線に
沿う概略断面図である。この作業設備では、床板6の上
に乗り入れた自動車Mに対する作業を地下ピットから行
うための開口10が横方向の3個所に開設されている。
また、床板6の横方向の両端部分には、凹所1の傾斜面
を利用して設置した階段11に通じる開口12が形成さ
れている。
【0024】この作業施設によると、作業領域形成部材
群5によって形成された地下ピットに作業者が入り、そ
の作業者が、床板6に開設されている開口10を通して
自動車Mの点検・修理・整備、たとえば廃油の抜取りを
伴うオイル交換や各種の整備などを行うことができる。
なお、図6及び図7において、図2〜図5で説明した部
分と同一または相応する部分に同一符号を付して詳細な
説明を省略した。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、従来の
作業施設に比べて建造費用が格段に安くなり、しかも、
完成までの工期を短くできるピットを有する作業施設を
提供することが可能になる。
【0026】また、本発明によれば、従来の作業施設に
比べて建造費用が格段に安くなるだけでなく、天候にそ
れほど影響されずに工事を進めて大幅な工期短縮を図る
ことのできるピットを有する作業施設の建造方法を提供
することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るピットを有する作業施設の建造
方法の手順の一例を示した説明図である。
【図2】 土木工事工程の説明図である。
【図3】 地下作業領域形成部材設置工程の説明図であ
る。
【図4】 床板設置工程の説明図である。
【図5】 地上施設建設工程の説明図である。
【図6】 作業設備の地下部分の概略平面図である。
【図7】 図6のVII−VII線に沿う概略断面図で
ある。
【図8】 従来の作業施設の建造手順を示した説明図で
ある。
【符号の説明】
1 凹所 5 作業領域形成部材群 5a 作業領域形成部材 6 床板 10 開口 A ピット室製作工程 B 土木工事工程 C 地下作業領域形成部材設置工程 D 床板設置工程 M 自動車
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 1/00 - 6/00 E02D 29/00 E04B 1/348

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート製又は鋼板の床板を境とし
    て、その下側に作業領域としての地下ピットが形成さ
    れ、その上側に作業対象としての自動車の乗入れ領域が
    形成されていると共に、上記床板に、上記乗入れ領域に
    乗り入れた自動車に対する作業を上記地下ピットから行
    うための開口が開設されてなる、ピットを有する作業施
    設であって、上記地下ピットが地中に埋設された箱形の
    作業領域形成部材の内部空間によって形成されているこ
    とを特徴とするピットを有する作業施設。
  2. 【請求項2】 上記地下ピットが、並列された複数の作
    業領域形成部材でなる作業領域形成部材群の内部空間に
    よって形成されている請求項1に記載したピットを有す
    る作業施設。
  3. 【請求項3】 コンクリート製又は鋼板の床板を境とし
    て、その下側に作業領域としての地下ピットが形成さ
    れ、その上側に作業対象としての自動車の乗入れ領域が
    形成されていると共に、上記床板に、上記乗入れ領域に
    乗り入れた自動車に対する作業を上記地下ピットから行
    うための開口が開設されてなる、ピットを有する作業施
    設の建造方法であって、上記地下ピットを形成するため
    の箱形の作業領域形成部材の内部に必要な装備を設置す
    るピット室製作工程と、その作業領域形成部材を設置す
    るための凹所を地中に掘り下げる土木工事工程とを分け
    て行った後、上記作業領域形成部材を上記凹所に設置す
    る地下作業領域形成部材設置工程と、その作業領域形成
    部材の上に、地上面からの自動車の乗り入れが可能にな
    るようにコンクリート製又は鋼板の床板を設置する床板
    設置工程とを行うことを特徴とするピットを有する作業
    施設の建造方法。
  4. 【請求項4】 上記ピット室製作工程を工場で行う請求
    項3に記載したピットを有する作業施設の建造方法。
  5. 【請求項5】 上記装備に、床、壁、電気配線並びに流
    体配管が含まれる請求項3又は請求項4に記載したピッ
    トを有する作業施設の建造方法。
  6. 【請求項6】 上記地下作業領域形成部材設置工程を行
    った後で、上記作業領域形成部材の内部に設置されてい
    る電気配線や流体配管を、作業領域形成部材の外側に設
    けられている一次側の電気配線や流体配管に、それらが
    使用可能になるように関連付けるための接続工程を行う
    請求項3ないし請求項5のいずれかに記載したピットを
    有する作業施設の建造方法。
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