JP3287085B2 - 潤滑油添加剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

潤滑油添加剤組成物およびその製造方法

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JP3287085B2 JP30035093A JP30035093A JP3287085B2 JP 3287085 B2 JP3287085 B2 JP 3287085B2 JP 30035093 A JP30035093 A JP 30035093A JP 30035093 A JP30035093 A JP 30035093A JP 3287085 B2 JP3287085 B2 JP 3287085B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は潤滑油添加剤組成物およ
びその製造方法に関する。さらに詳しくは、エンジン油
およびギヤ油等の潤滑油に配合した場合、その配合油の
粘度指数を高くし(粘度の温度依存性を小さくする)、
剪断安定性に優れた潤滑油組成物を与え、さらに潤滑油
に対する溶解性に優れた潤滑油添加剤組成物およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用エンジン油の粘度指数向
上剤として、エチレン共重合体やアルキル(メタ)アク
リレートポリマーなどが使用されている。しかし、エチ
レン共重合体は、剪断安定性と増粘性は良好であるが、
低温粘度特性(製品潤滑油の高温粘度を同水準にしたと
き、低温粘度が低いほど低温粘度特性が良好)が不十分
である。また、アルキル(メタ)アクリレートポリマー
は、低温粘度特性は優れているが、剪断安定性と増粘性
が不十分である。
【0003】これらの問題点を解決するため、エチレン
共重合体と(メタ)アクリレートポリマーとの混合物か
らなる潤滑油添加剤が開発されている。例えば、特開昭
61−181528号には、脂肪族炭化水素類等の一般
的な溶媒中でオレフィン重合体にメタクリレートモノマ
ーをグラフト重合させた反応物(反応液)を、オレフィ
ンポリマーとポリメタクリレートとの相溶化剤として用
いた潤滑油添加剤が開示されている。
【0004】また特開昭55−112298号には、ポ
リ(メタ)アクリレートを連続相とし、オレフィン共重
合体と、オレフィン共重合体には良溶媒でなくポリ(メ
タ)アクリレートには良溶媒である溶剤とを分散相と
し、連続相と分散相との相溶化剤としてオレフィン共重
合体と(メタ)アクリレートとのグラフトおよび/また
はブロック共重合体を用いた濃縮重合体エマルジョンが
開示され、油添加剤として使用できることが記載されて
いる。
【0005】しかし何れの公報にも、溶媒または溶剤と
してカーボネートを使用することは記載されていない。
また何れの方法によって製造された潤滑油添加剤も、保
存安定性および/または潤滑油に対する溶解性は不十分
であり、近年の多様なニーズに対する厳しい要求を満た
すことができるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決するため、潤滑油に対する溶解性およびそ
れ自身の保存安定性がより一層優れた潤滑油添加剤組成
物であって、潤滑油に配合した場合、この潤滑油組成物
の粘度指数を高くし、さらに剪断安定性に優れた潤滑油
組成物を得ることができる潤滑油添加剤組成物およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は次の、潤滑油添
加剤組成物およびその製造方法である。 (1)下記一般式〔1〕 R1−O−C(=O)−O−R2 …〔1〕 (ここで、R1およびR2は共に直鎖もしくは分枝状アル
キル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル
基、アリール基、アラルキル基、またはエーテル型酸素
を含有するアルキルもしくはアラルキル基を示す) で表されるカーボネート、135℃においてデカリン中
で測定した固有粘度が0.25ないし2.0dl/gの
油溶性エチレン・α−オレフィンランダム共重合体、ポ
リアルキル(メタ)アクリレート、および前記エチレン
・α−オレフィンランダム共重合体とアルキル(メタ)
アクリレートとのグラフト共重合体を含有することを特
徴とする潤滑油添加剤組成物。 (2)下記一般式〔1〕 R1−O−C(=O)−O−R2 …〔1〕 (ここで、R1およびR2は共に直鎖もしくは分枝状アル
キル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル
基、アリール基、アラルキル基、またはエーテル型酸素
を含有するアルキルもしくはアラルキル基を示す) で表されるカーボネート、および135℃においてデカ
リン中で測定した固有粘度が0.25ないし2.0dl
/gの油溶性エチレン・α−オレフィンランダム共重合
体の存在下で、アルキル(メタ)アクリレートをラジカ
ル重合することを特徴とする潤滑油添加剤組成物の製造
方法。
【0008】本発明で使用するカーボネートは、前記一
般式〔1〕で表されるものである。このカーボネート
は、本発明においては反応溶媒として用いられ、反応後
は分離することなく、そのまま潤滑油添加剤組成物の希
釈剤として用いられる。式中のR1およびR2は直鎖もし
くは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、シクロアル
キル−アルキル基、アリール基、アラルキル基、または
エーテル型酸素を含有するアルキルもしくはアラルキ
基の炭化水素基であり、例えば炭素数4ないし60、好
ましくは10ないし20の直鎖もしくは分枝状アルキル
基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、
アリール基およびアラルキル基;または炭素数が10な
いし60で、エーテル型酸素を1ないし20含有するア
ルキルまたはアラルキル基などがあげられる。R1およ
びR2は、同じ基であってもよいし、異なる基であって
もよい。これらの中では、R1およびR2がいずれもアル
キル基であるジアルキルカーボネートが好ましい。
【0009】このようなR1およびR2の具体的なものと
しては、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブ
チル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル
基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル
基、i−ヘキシル基、1、3−ジメチルブチル基、2、
3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、i−ヘプチル
基、3−メチルヘキシル基、n−オクチル基、i−オク
チル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、i−ノ
ニル基、n−デシルル基、i−デシル基、n−ウンデシ
ル基、i−ウンデシル基、n−ドデシル基、i−ドデシ
ル基、n−トリデシル基、i−トリデシル基、n−テト
ラデシル基、i−テトラデシル基、n−ペンタデシル
基、i−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、i−ヘ
キサデシル基、n−ヘプタデシル基、i−ヘプタデシル
基、n−オクタデシル基、i−オクタデシル基、n−ノ
ナデシル基、i−ノナデシル基、n−エイコシル基また
はi−エイコシル基等のアルキル基;1−シクロヘキシ
ル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシ
ル基、デカヒドロナフチル基またはトリシクロデカニル
基等のシクロアルキル基;o−トリル基、m−トリル
基、p−トリル基、2,4−キシリル基、メシチル基ま
たは1−ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、メチ
ルベンジル基、β−フェニルエチル基、1−フェニルエ
チル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチ
ルベンジル基、スチリル基またはシンナミル基等のアラ
ルキル基;デカプロピレングリコールモノメチル基、エ
チレングリコールモノデシルフェニル基またはエチレン
グリコールモノデシルシクロヘキシル基等のエーテル型
酸素を含有するアルキルまたはアラルキル基などがあげ
られる。
【0010】これらのカーボネートは、USP No. 2,758,
975、EP 0,393,749 A2、特開平2−296898号など
に記載の方法で製造することができる。
【0011】本発明で使用する油溶性エチレン・α−オ
レフィンランダム共重合体(以下、エチレン・α−オレ
フィンランダム共重合体という)は、135℃において
デカリン中で測定した固有粘度が0.25ないし2.0
dl/g、好ましくは0.30ないし1.8dl/gの
範囲にある液状のものである。固有粘度がこの範囲にあ
る場合、潤滑油、特にエンジン油やギヤ油などの潤滑油
に配合した場合、粘度指数を向上させ、剪断安定性に優
れた潤滑油組成物が得られる。
【0012】また本発明で使用するエチレン・α−オレ
フィンランダム共重合体は、分子量分布(重量平均分子
量/数平均分子量)が3以下、好ましくは2以下である
ものが望ましい。分子量分布がこの範囲にある場合、潤
滑油に対する良好な溶解性を有し、また潤滑油組成物に
対して優れた剪断安定性を付与することができる。
【0013】さらに本発明で使用するエチレン・α−オ
レフィンランダム共重合体は、結晶化度が1%以下であ
るものが好ましい。結晶化度がこの範囲にある場合、潤
滑油に対する良好な溶解性を有し、また潤滑油組成物に
対して優れた剪断安定性を付与することができる。
【0014】エチレン・α−オレフィンランダム共重合
体を構成するα−オレフィンとしては、プロピレン、ブ
テン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−
1、オクテン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデ
セン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタ
デセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オ
クタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1等の
炭素数3ないし20のα−オレフィンなどを例示するこ
とができる。エチレン・α−オレフィンランダム共重合
体中には、これらのα−オレフィンは1種または2種以
上含まれていてもよい。これらのα−オレフィンの内で
は、潤滑油組成物に対して良好な低温粘度特性、熱安定
性および高い粘度指数を与える点で、プロピレンが好ま
しい。
【0015】本発明で使用するエチレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体は、エチレン含有量が30ないし7
0モル%、好ましくは40ないし65モル%の範囲にあ
るものが望ましい。エチレン含有量がこの範囲にある場
合、優れた低温粘度特性や潤滑油への良好な溶解性を有
する。
【0016】また、本発明で使用するエチレン・α−オ
レフィンランダム共重合体は、エチレン・α−オレフィ
ン・非共役ジエン三元共重合体を包含する。非共役ジエ
ンとしては、EPDMの1成分として用いられているジ
エン、例えば1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボ
ルネン、ジシクロペンタジエンなどを例示することがで
きる。これらのジエンの含有量は、ヨウ素価を指標とし
て5以下、好ましくは3以下、特に好ましくは1以下で
あるのが望ましい。ヨウ素価がこの範囲にある場合、剪
断安定性と酸化安定性の良好な潤滑油組成物を得ること
ができる。
【0017】このようなエチレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体は、可溶性バナジウム化合物または可溶性
チタニウム化合物と有機アルミニウム化合物から成る触
媒を用いて、例えば特公平2−1163号に記載の方
法、またはジルコニウム化合物とアルモキサンとから成
る触媒を用いて、例えば特開昭62−121710号に
記載の方法により製造することができる。
【0018】本発明で使用するポリアルキル(メタ)ア
クリレートは、アルキル(メタ)アクリレートの重合体
または共重合体である。モノマーのアルキル(メタ)ア
クリレートは、アルキル基の炭素数が1ないし22、好
ましくは1ないし20である。なお本発明において、
「(メタ)アクリ」は「アクリおよび/またはメタク
リ」を意味する。
【0019】ポリアルキル(メタ)アクリレートは、上
記のようなアルキル(メタ)アクリレートをラジカル重
合法などの公知の重合法により重合することにより製造
することができる。ラジカル重合反応はラジカル開始剤
の存在下で、反応温度70ないし95℃、好ましくは8
0ないし90℃で、1ないし50時間、好ましくは3な
いし30時間行うのが望ましい。
【0020】ラジカル重合に使用するラジカル開始剤と
しては、アルキルペルオキシエステル類、アルキルペル
オキシド類、アルキルヒドロキシペルオキシド類、ジア
ルキルペルオキシド類などをあげることができる。これ
らの中ではt−ブチルペルオクトエート、t−ブチルペ
ルオキシイソプロピルカーボネートなどが好ましい。
【0021】本発明で使用するエチレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体とアルキル(メタ)アクリレートと
のグラフト共重合体は、前記エチレン・α−オレフィン
ランダム共重合体にアルキル(メタ)アクリレートがグ
ラフト重合したグラフト共重合体である。グラフト重合
するアルキル(メタ)アクリレートとしは、前記ポリア
ルキル(メタ)アクリレートのモノマーと同様のアルキ
ル(メタ)アクリレートがあげられる。
【0022】グラフト共重合体は、エチレン・α−オレ
フィンランダム共重合体にアルキル(メタ)アクリレー
トをラジカル重合させることにより製造することができ
る。ラジカル重合反応は、ポリアルキル(メタ)アクリ
レートの製造と同様にして行うのが好ましい。
【0023】本発明の潤滑油添加剤組成物における各成
分の配合割合は、カーボネートが10ないし90重量
%、好ましくは20ないし80重量%、油溶性エチレン
・α−オレフィンランダム共重合体が1ないし50重量
%、好ましくは2ないし40重量%、ポリアルキル(メ
タ)アクリレートが1ないし50重量%、好ましくは2
ないし40重量%、エチレン・α−オレフィンランダム
共重合体とアルキル(メタ)アクリレートとのグラフト
共重合体が5ないし80重量%、好ましくは10ないし
70重量%とするのが望ましい。
【0024】本発明の潤滑油添加剤組成物には、上記の
ような必須成分のほかに、アルキル(メタ)アクリレー
トまたは鉱物油などの他の成分を含有していてもよい。
他の成分の含有量は潤滑油添加剤組成物中に占める割合
として50重量%以下になるように配合するのが好まし
い。
【0025】本発明の潤滑油添加剤組成物は、前記のよ
うなカーボネートおよびエチレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体の存在下で、前記アルキル(メタ)アクリ
レートをラジカル重合させた反応物をそのまま用いるこ
とができる。
【0026】ラジカル重合反応は、カーボネート、油溶
性エチレン・α−オレフィンランダム共重合体およびア
ルキル(メタ)アクリレートの仕込合計量に対して、カ
ーボネートの仕込量が10ないし90重量%、好ましく
は20ないし80重量%、油溶性エチレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体の仕込量が5ないし85重量%、
好ましくは10ないし80重量%、アルキル(メタ)ア
クリレートの仕込量が5ないし85重量%、好ましくは
10ないし80重量%で行うのが望ましい。
【0027】またラジカル重合反応は、ラジカル開始剤
の存在下で、反応温度70ないし95℃、好ましくは8
0ないし90℃で、1ないし50時間、好ましくは3な
いし30時間行うのが望ましい。重合反応を上記温度で
行った場合、潤滑油添加剤組成物を潤滑油に配合したと
き、低温粘度および剪断安定性の好ましい性能を得るこ
とができる。ラジカル重合に使用するラジカル開始剤と
しては、前記のラジカル開始剤と同様のものが使用でき
る。
【0028】上記の反応では、アルキル(メタ)アクリ
レートがエチレン・α−オレフィンランダム共重合体に
グラフト重合する反応が主になるが、アルキル(メタ)
アクリレート同士のラジカル重合その他の付随的な反応
も起こり、溶媒としてのカーボネート、未反応のエチレ
ン・α−オレフィンランダム共重合体、エチレン・α−
オレフィンランダム共重合体とアルキル(メタ)アクリ
レートとのグラフト共重合体、およびポリアルキル(メ
タ)アクリレートが含有されている反応物が得られる。
【0029】上記反応に際して、アルキル(メタ)アク
リレートのほかに、N−ビニルピロリドン等の極性基を
有する他のモノマーを添加してラジカル重合を行うこと
ができる。また上記アルキル(メタ)アクリレートのラ
ジカル重合を行った後、さらにエチレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体およびN−ビニルピロリドン等の極
性基を有する他のモノマーを添加して、さらにラジカル
重合を行ってもよい。このようにしてN−ビニルピロリ
ドン等の極性基を有する他のモノマーを反応させた場
合、得られた潤滑油添加剤組成物をエンジン油に添加し
た際、エンジン中にできるカーボンなどのスラッジの分
散性を向上させることができる。
【0030】反応終了後は、反応物(反応液)をそのま
ま潤滑油添加剤組成物として用いることができる。この
場合、反応溶媒として用いた一般式〔1〕のカーボネー
トはそのまま各成分の溶媒または希釈剤として用いられ
る。また潤滑油添加剤組成物には、前記反応物の他に、
鉱物油などの他の成分を配合することができる。他の成
分の含有量は潤滑油添加剤組成物中に占める割合として
50重量%以下になるように配合するのが好ましい。
【0031】本発明の潤滑油添加剤組成物は、潤滑油に
対する溶解性および保存安定性に優れている。このよう
な潤滑油添加剤組成物を鉱物油および/または合成油か
ら成る基油に配合することにより、粘度指数が高く、し
かも剪断安定性に優れた潤滑油組成物が得られる。基油
に対する潤滑油添加剤組成物の配合量は1ないし30重
量%、好ましくは2ないし20重量%とするのが望まし
い。
【0032】上記基油としては、通常使用される潤滑油
の基油であれば特に制限されない。このような基油とし
ては、例えばニュートラルオイル、ブライトストック、
水素接触精製油および接触脱ろう精製油等の鉱物油;液
状ポリブテン、液状デセンオリゴマー等のα−オレフィ
ンオリゴマーおよび液状エチレン・α−オレフィンコオ
リゴマー等の炭化水素系合成油;アジピン酸ジイソオク
チル、セバチン酸ジイソオクチルおよびセバチン酸ジラ
ウリル等の2塩基酸エステル;トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトー
ル等のポリオールを脂肪酸でエステル化したポリオール
エステル系合成油などをあげることができる。これらは
1種単独で、または2種以上を組み合せて用いることが
できる。
【0033】このようにして得られた潤滑油組成物は、
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載している
乗用車、トラック、ヘビィデューティ車、トラクター、
2輪車等の車両用エンジン油、ギヤ油または自動変速機
油;耕運機、コンバイン等の農耕機用エンジン油;その
他船舶用エンジン油、ショックアブソーバー油、工業用
作動油、工業用ギヤ油、真空ポンプ油、軸受け油等の工
業用潤滑油などとして利用することができる。これら中
では特に、近年要求が増大した省燃費型自動車用エンジ
ン油に添加した場合、優れた性能を発揮する。
【0034】
【発明の効果】本発明の潤滑油添加剤組成物は、特定の
カーボネート、特定のエチレン・α−オレフィンランダ
ム共重合体、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およ
びエチレン・α−オレフィンランダム共重合体とアルキ
ル(メタ)アクリレートとのグラフト共重合体を含有し
ているので、潤滑油に対する溶解性およびそれ自身の保
存安定性がより一層優れており、潤滑油に配合すること
により、潤滑油組成物の粘度指数を高くし、さらに剪断
安定性の優れた潤滑油組成物を得ることができる。
【0035】また本発明の潤滑油添加剤組成物の製造方
法によれば、特定のカーボネートおよび特定のエチレン
・α−オレフィンランダム共重合体の存在下で、アルキ
ル(メタ)アクリレートをラジカル重合するようにした
ので、潤滑油に対する溶解性およびそれ自身の保存安定
性がより一層優れており、潤滑油に配合した場合、潤滑
油組成物の粘度指数を高くし、さらに剪断安定性の優れ
た潤滑油組成物を得ることができる潤滑油添加剤組成物
を容易に製造することができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例によって
本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実
施例に限定されるものではない。なお、実施例および比
較例における分析および評価は下記の方法に従って行っ
た。
【0037】〔エチレン・α−オレフィンランダム共重
合体の組成〕13C−NMRにより、エチレンおよび他の
α−オレフィンに由来する特性スペクトルを検出し、各
スペクトルの面積比から共重合体の構成成分比を求め
た。 〔固有粘度[η]〕135℃において、デカリンを溶媒と
し、藤井光雄著、高分子化学通論に記載の方法によって
測定した。
【0038】〔分子量分布(重量平均分子量/数平均分
子量)〕武内著、丸善発行の「ゲルパーミエーション・
クロマトグラフィー」に準じて次の条件で測定した。 装 置:島津社製 LC−6A カラム:東ソー株式会社製ポリスチレンゲル G6000HX、G4000HX、G3000HX、G
2000HX 温 度:40 ℃、流 速:0.7ml/min、溶
媒:テトラヒドロフラン、 標準サンプル:東ソー株式会社製単分散ポリスチレン
【0039】〔ヨウ素価〕JIS K 0070に準拠
して測定した。 〔動粘度〕JIS K 2283に準拠して測定した。 〔低温粘度〕試料を100N鉱油(富士興産社品)に溶
解し、100℃動粘度を11cStにしたときの、−2
0℃における見かけ粘度を、ASTM D2983に準
拠して測定した。
【0040】〔剪断安定性〕試料を100N鉱油(富士
興産社品)に溶解し、100℃動粘度を11cStにし
たときの40℃における動粘度に対する、同溶液をAS
TM D2603に準拠して、振幅:28ミクロンで2
時間超音波剪断試験を行った後の40℃粘度の変化率を
指標にした。
【0041】〔分散性試験〕1重量部のSRF・カーボ
ンブラックと、2重量部の流動パラフィンの混合物1.
5gと、試料10gおよび灯油88.5gを混合して1
00ml共栓付きガラスシリンダーに入れ、SRF・カ
ーボンブラック沈降状況を比較して、以下のように5点
法で分散性を判定した。 1 :2時間内で沈降開始 2 :1日以内で沈降開始 3 :2日以内で沈降開始 4 :4日以内で沈降開始 5 :1週間以上沈降なし
【0042】〔保存安定性試験〕サンプル20gをφ2
5mm×50mmのガラス製試験管に採り、100℃の
エアー・オーブン中で6週間(42日)静置したのち、
状態(均一または分離)を観察した。
【0043】〔溶解性試験〕試料10gと基準油(SG
級DIパッケージ/150ニュートラル鉱油(重量比)
=12.5/87.5)40gとを混合し、その内の3
0mlをφ25mm×50mmのガラス製試験管に採り、
室温で2週間(14日)静置したのち、状態(均一また
は分離)を観察した。
【0044】実施例1 窒素吹き込み管、水冷コンデンサー、温度計および滴下
ロートを装着した攪拌機付きガラス製1 liter反応器
に、溶媒としてジアルキルカーボネート(LIALCA
RB・SR−1000/R;MITECS社製、商品
名、アルキル基の炭素数:14〜15)76.5gと、
エチレン・プロピレンランダム共重合体(エチレン含有
量:60モル%、プロピレン含有量:40モル%、
[η]:0.42dl/g、分子量分布:1.95、ヨウ
素価:0.6、結晶化度:1%以下)8.5gとを入
れ、窒素雰囲気下に攪拌しながら100℃に昇温して溶
液を調製した。
【0045】そののち室温まで冷却し、混合アルキルメ
タクリレートモノマー(アルキル基の炭素数;C10/C
16-20=69/31:重量比)9.5gと、ラジカル開
始剤としてt−ブチルペルオクトエート(パーブチル
O;日本油脂(株)製、商品名)0.15gとを添加
し、85℃まで昇温した。反応溶液温度を85℃に保ち
ながら、滴下ロートに予め調製しておいた、38.0g
の混合アルキルメタクリレートモノマーと0.66gの
t−ブチルペルオクトエートとの混合溶液を3.5時間
かけて滴下した。滴下完了後さらに2時間攪拌した後、
さらにt−ブチルペルオクトエート0.12gを加え、
2時間攪拌を続けた。
【0046】その後上記エチレン・プロピレンランダム
共重合体13.3gを添加し、3.5時間攪拌した後、
N−ビニルピロリドン2.9gを添加して130℃に昇
温した。反応溶液を130℃に保ちながら、t−ブチル
ペルオクトエート0.45gを加え5時間攪拌した後、
室温まで冷却して潤滑油添加剤組成物の溶液を得た。こ
の潤滑油添加剤組成物の性状および性能の評価結果を表
1に示した。
【0047】実施例2 実施例1において、エチレン・プロピレンランダム共重
合体としてエチレン含有量:60モル%、プロピレン含
有量:40モル%、[η]:1.0dl/g、分子量分
布:1.6、ヨウ素価:0.8、結晶化度:1%以下の
ものを用いた以外は実施例1と同様にして行った。評価
結果は表1に示した。
【0048】実施例3 実施例1において、エチレン・プロピレンランダム共重
合体としてエチレン含有量:60モル%、プロピレン含
有量:40モル%、[η]:1.2dl/g、分子量分
布:1.7、ヨウ素価:0.8、結晶化度:1%以下の
ものを用いた以外は実施例1と同様にして行った。評価
結果は表1に示した。
【0049】実施例4 実施例1において、エチレン・プロピレンランダム共重
合体としてエチレン含有量:60モル%、プロピレン含
有量:40モル%、[η]:1.7dl/g、分子量分
布:1.7、ヨウ素価:0.8、結晶化度:1%以下の
ものを用いた以外は実施例1と同様にして行った。評価
結果は表1に示した。
【0050】実施例5 実施例3において、ジアルキルカーボネートとしてアル
キル基の炭素数が12〜15(MITECS社製;LI
ALCARB・SR−1000、商品名)のものを用い
た以外は実施例3と同様にして行った。評価結果は表1
に示した。
【0051】比較例1 実施例1において、ジアルキルカーボネートの代わりに
精製鉱油(100N;富士興産(株)製、商品名)を用
いた以外は実施例1と同様にして行った。結果は表1に
示した。
【0052】比較例2 実施例1において、ジアルキルカーボネートの代わりに
ジカーボネート([1、5−ビス(n−ヘプチルオキシ
カルボキシ)−3−メチルペンタン])を用いた以外は
実施例1と同様にして行った。結果は表1に示した。
【0053】比較例3 市販のポリメタクリレート系粘度指数向上剤(プレキソ
ール954;日本アクリル社製、商品名)100gと市
販のOCP系粘度指数向上剤(オルフュースM−121
0;三井石油化学工業(株)製、商品名)100gとを
混合して試料を調製した。結果は表1に示した。
【0054】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 33/06 C08L 33/06 51/06 51/06 (C10M 161/00 (C10M 161/00 129:84 129:84 129:95 129:95 143:00 143:00 145:14) 145:14) C10N 20:02 C10N 20:02 30:02 30:02 30:04 30:04 40:04 40:04 40:25 40:25 70:00 70:00 (56)参考文献 特開 平1−118599(JP,A) 特開 昭55−112298(JP,A) 特開 昭61−181528(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 161/00 C10M 129/84 C10M 129/95 C10M 143/00 - 143/18 C10M 145/14 C10M 177/00 C10N 20:02 C10N 30:02 C10N 30:04 C10N 40:04 C10N 40:25 - 40:28 C10N 70:00 C08F 255/00 - 255/10 C08K 5/109 C08L 23/00 - 23/24 C08L 33/04 - 33/12 C08L 51/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔1〕 R1−O−C(=O)−O−R2 …〔1〕 (ここで、R1およびR2は共に直鎖もしくは分枝状アル
    キル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル
    基、アリール基、アラルキル基、またはエーテル型酸素
    を含有するアルキルもしくはアラルキル基を示す) で表されるカーボネート、135℃においてデカリン中で測定した 固有粘度が0.
    25ないし2.0dl/gの油溶性エチレン・α−オレ
    フィンランダム共重合体、 ポリアルキル(メタ)アクリレート、および前記エチレ
    ン・α−オレフィンランダム共重合体とアルキル(メ
    タ)アクリレートとのグラフト共重合体を含有すること
    を特徴とする潤滑油添加剤組成物。
  2. 【請求項2】 一般式〔1〕において、R1またはR2
    炭素数4ないし60のアルキル基であることを特徴とす
    る請求項1記載の潤滑油添加剤組成物。
  3. 【請求項3】 油溶性エチレン・α−オレフィンランダ
    ム共重合体のエチレン含有量が30ないし70モル%、
    分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が3以
    下、ヨウ素価が5以下であることを特徴とする請求項1
    または2記載の潤滑油添加剤組成物。
  4. 【請求項4】 油溶性エチレン・α−オレフィンランダ
    ム共重合体がエチレン・プロピレンランダム共重合体で
    あることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
    載の潤滑油添加剤組成物。
  5. 【請求項5】 アルキル(メタ)アクリレートのアルキ
    ル基の炭素数が1ないし22であることを特徴とする請
    求項1ないし4のいずれかに記載の潤滑油添加剤組成
    物。
  6. 【請求項6】 下記一般式〔1〕 R1−O−C(=O)−O−R2 …〔1〕 (ここで、R1およびR2は共に直鎖もしくは分枝状アル
    キル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル
    基、アリール基、アラルキル基、またはエーテル型酸素
    を含有するアルキルもしくはアラルキル基を示す) で表されるカーボネート、および135℃においてデカ
    リン中で測定した固有粘度が0.25ないし2.0dl
    /gの油溶性エチレン・α−オレフィンランダム共重合
    体の存在下で、 アルキル(メタ)アクリレートをラジカル重合すること
    を特徴とする潤滑油添加剤組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 カーボネート、油溶性エチレン・α−オ
    レフィンランダム共重合体およびアルキル(メタ)アク
    リレートの仕込合計量に対して、カーボネートの仕込量
    が10ないし90重量%、油溶性エチレン・α−オレフ
    ィンランダム共重合体の仕込量が5ないし85重量%、
    アルキル(メタ)アクリレートの仕込量が5ないし85
    重量%であることを特徴とする請求項6記載の潤滑油添
    加剤組成物の製造方法。
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