JP4540963B2 - 潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物 - Google Patents

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本発明は、潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物に関し、詳しくは、低温特性に優れるとともに、低温でのハンドリング性に優れた潤滑油組成物が得られるような潤滑油用粘度調整剤およびこの粘度調整剤を含む潤滑油組成物に関する。
石油製品は一般に温度が変化すると粘度が大きく変化するが、例えば自動車用などの潤滑油はこの粘度の温度依存性が小さいことが好ましい。このため潤滑油には温度依存性を小さくする目的で、粘度指数向上効果を有するエチレン系共重合体が配合剤として広く用いられている。
また潤滑油は、低温になると潤滑油中のワックス分が結晶固化し流動性を失う。このような固化温度を下げるために潤滑油には流動点降下剤も含まれており、この流動点降下剤は、潤滑油中のワックス分が結晶化することによる3次元ネットワークの形成を阻害し潤滑油の流動点を低下させる。
ところでエチレン系共重合体と流動点降下剤とを含む潤滑油の低温特性の中で、高せん断速度下における粘度は潤滑油基材とエチレン系共重合体との相溶性で決まるが、低せん断速度下における粘度は、流動点降下剤の影響を強く受ける。また特定の組成のエチレン系共重合体を用いると、流動点降下剤との相互作用により、流動点降下剤の効果が著しく低下することが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
このため潤滑油、特に低温特性に優れることが要求される潤滑油に配合されるエチレン系共重合体には、粘度指数向上効果に優れるとともに、流動点降下剤の働きを阻害しないことが求められる。
このような、流動点降下剤とエチレン系共重合体との相互作用を防止するために、特定の重合装置と重合条件により得られる、不均一な組成分布を有するエチレン系共重合体を粘度指数向上剤として用いることが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、せん断速度にかかわらず、優れた低温特性を有する潤滑油は得られていなかった。
また、潤滑油の低温特性を改良する方法として、エチレン含量の高いエチレン・プロピレン共重合体を粘度指数向上剤として添加する方法もあるが、エチレン含量を高めると、低温特性は向上するものの、粘度指数向上剤中のエチレンシーケンスが低温で結晶化してしまい、潤滑油組成物自体がゼリー状となり、取扱い性が低下することがあった。
また高いエチレン含量の共重合体を潤滑油用粘度調整剤として使用するのが適当である場合にも、該エチレン共重合体にわずかな組成分布などの広がりがあると、低温でのゼリー化などを起こす場合もあったため、使用する共重合体の物性の許容範囲が広いとはいえず、性質を厳密にコントロールしておく必要がある場合があった。
本発明者は、このような状況において鋭意研究した結果、エチレンとα−オレフィンの交互共重合性の高い特定のエチレン系共重合体を用いることにより、上記のような相互作用による流動点降下剤の効果の減少を生じることなく、しかも低温時の潤滑油基材との相溶性が調整され、あらゆるせん断速度領域で低温特性に優れるとともに、低温での取扱い性にも優れた潤滑油組成物が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
米国特許第3,697,429号明細書 米国特許第3,551,336号明細書 特開昭60−228600号公報
本発明の課題は、低温特性および高温での潤滑性に優れるとともに、低温での取扱い性にも優れた潤滑油組成物および該潤滑油組成物に使用される潤滑油用粘度調整剤を提供することにある。
本発明に係る潤滑油用粘度調整剤は、
以下の(1)から(3)までの特徴を有するエチレン系共重合体からなることを特徴としている;
(1)エチレンおよびプロピレン、またはエチレン、プロピレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンを、下記一般式(a)で表されるメタロセン化合物の存在下に共重合して得られ、
MLx …(a)
(式(a)中、Mはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xはその原子価であり、LはMに配位する配位子であり、1個のフルオレニル基と、1個のシクロペンタジエニル基またはインデニル基とを含み、これらの配位子は置換基を有していてもよく、これらの2個の配位子は置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基を介して結合されており、フルオレニル基、シクロペンタジエニル基、インデニル基以外のLは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO 3 a )、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R a はアルキル基、ハロゲン原子で置換
されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)である。)
エチレン由来の構成単位の含有量が40〜88モル%、プロピレン由来の構成単位および炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位の含有量が12〜60モル%である
(2)下記式で示されるre・rcが0.40以下である
Figure 0004540963
(式中、[EEE]、[EEC]、[ECE]、[CCE]および[CCC]は、エチレン系共重合体中のそれぞれのトリアッド連鎖数の、全トリアッド連鎖数に対する割合を示し、Eはエチレン由来の構成単位、Cは炭素原子数3以上のα−オレフィン由来の構成単位を示す。)
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が50,000〜600,000の範囲にある。
前記エチレン系共重合体は、エチレンおよびプロピレン、またはエチレン、プロピレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンを、−80℃〜30℃の温度で共重合して得られたものであることが好ましい。また、前記r e ・r c が0.21以下であることが好ましい。また、前記炭素原子数4〜20のα−オレフィンが1−ヘキセンであることが好ましい。
前記エチレン系共重合体のMw/Mn(Mn:数平均分子量)は、2.4以下であることが好ましい。
本発明に係る潤滑油組成物は、
(A)潤滑油基材と、
(B)前記エチレン系共重合体とを含み、かつ
前記エチレン系共重合体(B)を1〜30重量%の割合で含有することを特徴としている。
また、本発明の他の態様に係る潤滑油組成物は、
(A)潤滑油基材と、
(B)前記エチレン系共重合体と、
(C)流動点降下剤を含み、かつ
前記エチレン系共重合体(B)を0.1〜5重量%、(C)流動点降下剤を0.05〜5重量%の割合で含有することを特徴としている。
本発明に係る潤滑油用粘度調整剤を使用することによって、低温特性、高温での潤滑性
および省燃費性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。
このような潤滑油組成物は低温特性に優れるとともに、低温で潤滑油組成物自体がゼリー状となることもなく取扱い性に優れている。
以下、本発明に係る粘潤滑油用粘度調整剤および潤滑油組成物について具体的に説明する。なお、本明細書においては、特に明示しない限り、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子数などの実施例を除く全ての数値は、技術的に不明確にならない範囲で「約」という語を補って理解されることが好ましい。
(潤滑油用粘度調整剤)
本発明に係る潤滑油用粘度調整剤は、以下の(1)から(3)までの特徴を有するエチレン系共重合体からなる。
(1)エチレン由来の構成単位と、炭素原子数3以上のα−オレフィン由来の構成単位少なくとも1種とを含有し、エチレン由来の構成単位の含有量が40〜88モル%、炭素原子数3以上のα−オレフィン由来の構成単位の含有量が12〜60モル%である。
ここで、炭素原子数3以上のα−オレフィンとしては、具体的に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。これらのうちでも炭素原子数3〜20のものが好ましく、特に炭素原子数3〜8のものが好適である。
またこれらのα−オレフィンを組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせの中では、例えば、プロピレンと1−ブテン、プロピレンと1−ヘキセン、プロピレンと1−オクテン、プロピレンと1−デセン、プロピレンとノルボルネンの組み合わせ等が好ましい。α−オレフィンを例えばプロピレンと、炭素原子数4以上のα−オレフィンの2種を組み合わせて用いる場合、プロピレン由来の構成単位と炭素原子数4以上のαオレフィン由来の構成単位の比率は、特に制限はないが、好ましくは95/5〜50/50(モル比)である。
なお、エチレン系共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、スチレンやシクロヘキセン、シクロペンテン、ノルボルネン等の環状オレフィン等の他のモノマーが共重合されていてもよい。このような他のモノマーが共重合されているエチレン系共重合体としては、例えばエチレン・プロピレン・ノルボルネン共重合体などが挙げられる。このような他のモノマー由来の構成単位は、前記エチレン由来の構成単位と炭素原子数3以上のα−オレフィンの構成単位の合計を100モル%とした場合に、通常は5モル%以下の量で含むことができる。
本発明においては、エチレン系共重合体にはポリエン化合物が共重合成分として含まれないことが好ましい。エチレン系共重合体が共重合成分としてポリエン化合物成分を含まない場合、エチレン系共重合体は、耐熱性に優れており、特に酸化、着色などがなく、さらには潤滑油に配合した場合の潤滑性能の点で特に優れている。
エチレン系共重合体は、エチレン含量(エチレン由来の構成単位の含有割合)が40〜
88モル%、好ましくは50〜85モル%、さらに好ましくは55〜85モル%である。また炭素原子数3以上のα−オレフィン含量(炭素原子数3以上のα−オレフィン由来の構成単位の含有割合)が12〜60モル%、好ましくは15〜50モル%、さらに好ましくは15〜45モル%の範囲にある。ここでエチレン由来の構成単位の含有割合と、炭素数3以上のα−オレフィン由来の構成単位の含有割合の合計は100モル%である。
エチレン系共重合体中の組成は、「高分子分析ハンドブック」(日本分析化学会、高分子分析研究懇談会編、紀伊国屋書店発行)に記載の方法に従って13C−NMRで測定することができる。
組成が上記の範囲にあるエチレン系共重合体は、重合系に供給するエチレンと、炭素原子数3以上のα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマーとの比率を調整することにより製造することができる。
(2)下記式で示されるre・rcが0.40以下である。re・rcは、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.20以下、特に好ましくは0.10以下である。
Figure 0004540963
式中、[EEE]、[EEC]、[ECE]、[CCE]および[CCC]は、エチレン系共重合体中のそれぞれのトリアッド連鎖数の、全トリアッド連鎖数に対する割合を示し、Eはエチレン由来の構成単位、Cは炭素原子数3以上のα−オレフィン由来の構成単位を示す。なお、ここでEEE、EEC、ECE、CCE、CCCおよびCECはトリアッド連鎖を示し、また全トリアッド連鎖数は、EEE、EEC、ECE、CCE、CCCおよびCECの各トリアッド連鎖数から求めることができる。
これらの求め方は、Polymer Handbook,4th ed(1999)のVol II,329-337やPrinciple of Polymerization(John Wiley & Sons:NewYork 1991)に示されている。
このre・rcは共重合体を構成するモノマーの分散状態を表わす。すなわち、re・rc=1の場合はランダムな分散状態を示し、re・rc<1の場合は交互共重合性の割合が高くなることを示し、re・rc>1の場合はブロック共重合性の割合が高くなることを示す。つまり本願発明に係るエチレン系共重合体は、交互共重合性が高いことを特徴としている。
本発明では、交互共重合性を示す指標である、re・rcが0.40以下である場合に、エチレン系共重合体のエチレン結晶の形成を効果的に抑制することができ、同じエチレン由来の構成単位の含量であっても、結晶化度がより低いことから、潤滑油粘度調整剤として添加した際にエチレン結晶によって、潤滑油の低温流動性が低下することが少ないものと考えられる。
この要件(2)を充たすようなエチレン系共重合体は、後述する特定のメタロセン系触媒を用い、特定の温度条件でエチレンとα−オレフィンとを共重合することにより製造することができる。また、re・rc値は、例えばre・rc値の大きくなる触媒と、後述するre・rc値の小さくなる触媒を併用してエチレン共重合体を製造することで調節すること
ができ、また、re・rc値の大きいエチレン系共重合体と、re・rc値の小さいエチレン系共重合体をブレンドすることによって調節することもできる。
(3)GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が50,000〜600,000の範囲にある。
エチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあると、粘度指数向上性能(増粘性の付与性)に優れており、このため特定の潤滑油粘度を得るためのエチレン系共重合体の必要量が少なくて済み、低温時にゼリー化が起こりにくく、また、潤滑油粘度のせん断安定性にも優れた潤滑油組成物を得ることができる。
このうち、エチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)が200,000〜600,
000、好ましくは240,000〜400,000、より好ましくは260,000〜350,000の範囲にある場合には、特に潤滑油の粘度指数を向上させることができる。また、この重量平均分子量(Mw)が50,000〜200,000、好ましくは80
0,000〜180,000、より好ましくは100,000〜160,000の範囲にある場合には、特に潤滑油粘度のせん断安定性が良好である。
なお、GPCによる分子量の測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行われる。
重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあるエチレン系共重合体は、例えば共重合体を製造する際の水素供給量など制御することで製造することができる。
本発明で用いられるエチレン系重合体は、上記(1)〜(3)の特徴を有しているが、さらに下記(4)〜(7)のうちの少なくとも1つの特徴を有することが好ましい。
(4)エチレン系共重合体の分子量分布を示す指標であるMw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、好ましくは2.4以下、より好ましくは2.2以下である。エチレン系共重合体の分子量分布が2.4以下であると、潤滑油粘度のせん断安定性が良好であるので好ましい。
Mw/Mnが上記範囲内にあるエチレン系共重合体は、後述するようなメタロセン系触媒を用いて共重合を行うことにより製造することができ、その際に選択するメタロセン化合物の種類を変更すると得られるエチレン系共重合体のMw/Mnを調整することができる。
(5)エチレン系共重合体の融点(Tm)が、示差走査型熱量計(DSC)による測定で、60℃以下である。エチレン系共重合体がこのような融点であると、低温での貯蔵安定性が低いため好適である。
融点(Tm)が60℃以下であるエチレン系共重合体は、後述するようなメタロセン系触媒を用いて共重合を行うことにより製造することができる。
(6)エチレン系共重合体は、DSCで測定した融点(Tm)を有する場合、融点(Tm)と、DSCで測定した融解熱量(ΔH)との関係が次式を満たす。
ΔH ≦ 0.7×Tm + 20
融点は、示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度を融点とした。測定は、試料をアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃
で5分間保持した後、20℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の、すなわち2ndランの吸熱曲線より求めた。
融点(Tm)と融解熱量(ΔH)との関係が上記関係を充たすエチレン系共重合体は、後述するようなメタロセン系触媒を用いて共重合を行うことにより製造することができる。
(7)エチレン系共重合体の13C−NMRスペクトルにより求められるSααに対するSαβの強度比D(Sαβ/Sαα)は、0.5以下である。
この強度比D(Sαβ/Sαα)は、0.5以下であるエチレン系共重合体を含んでいると、潤滑油の低温での流動性を向上させることができる上に、高温における潤滑特性を向上させることもでき、さらには両者(低温流動性および高温潤滑特性)のバランスに特に優れている。
13C−NMRスペクトルにより求められるSαβおよびSααは、それぞれエチレンまたは炭素原子数3以上のα−オレフィンから導かれる構成単位中のCH2のピーク強度で
あり、下記に示す位置にある2種のCH2を意味している。
Figure 0004540963
13C−NMRによって測定されたスペクトルは、J.C.Randall(Review Macromolecular
Chemistry Physics,C29, 201(1989))に記載された方法に従って、解析され、Sαβお
よびSααが測定される。
強度比Dは、それぞれのピーク部分の積分値(面積)比で算出される。このようにして求められた強度比Dは、一般にα−オレフィンの1,2付加反応に続いて2,1付加反応が起こる割合、またはα-オレフィンの2,1付加反応に続いて1,2付加反応が起こる割合
を示す尺度と考えられている。したがってこの強度比D値が大きいほど、α−オレフィンの結合方向が不規則であること示している。逆にD値が小さいほど、α−オレフィンの結合方向が規則的であることを示している。
このようなエチレン系共重合体は、潤滑油基材に配合されたときに粘度指数の向上効果が大きく、また流動点降下剤の効果が阻害されることもない。
強度比D(Sαβ/Sαα)が0.5以下であるエチレン系共重合体は、後述するようなメタロセン系触媒を用いて共重合を行うことにより製造することができる。
上記のようなエチレン系共重合体からなる本発明に係る潤滑油用粘度調整剤を配合すると、低温特性、高温での潤滑性および省燃費性に優れるとともに、低温での取扱い性にも優れた潤滑油組成物が得られる。また、このような組成物は、酸化安定性、省燃費性にも優れる。
(エチレン系共重合体の製造方法)
このような本発明に係る潤滑油用粘度調整剤として使用されるエチレン系共重合体は、エチレンと、炭素原子数3以上のα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマーをオレフィン重合用触媒の存在下に共重合させることにより得ることができる。
このようなオレフィン重合用触媒としては、例えば以下に示すような周期表第4族などから選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物と、からなるメタロセン系触媒が特に好ましく用いられる。
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成する周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物は、具体的には、下記一般式(a)で表される。
MLx …(a)
式(a)中、Mはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xはその原子価である。
LはMに配位する配位子であり、1個のフルオレニル基と、1個のシクロペンタジエニル基またはインデニル基とを含む。これらの配位子は置換基を有していてもよく、互いに隣接する置換基が結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい。
これらの2個の配位子はイソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
フルオレニル基、シクロペンタジエニル基、インデニル基以外のLとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3
a)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、Raはアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
本発明では、前記一般式(a)で表されるメタロセン化合物のうち、中心の金属原子がジルコニウムであるような化合物として具体的には、[ジメチルシリル(4,7−ジメチ
ルインデニル)(フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルシリル(3-
メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルシリル(3−イソプロピルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[イソプロピリデニル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[イソプロピリデニル(3−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[イソプロピリデニル(3−イソプロピルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)]ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
(有機アルミニウムオキシ化合物)
メタロセン系触媒を形成する有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノオキサンは、具体的には、下記一般式で表される。
Figure 0004540963
上記一般式(b)および(c)において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。
ここで、このアルミノオキサンは式(OAl(R1))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R2))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R1およびR2はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R1およびR2は相異なる基を表す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
(イオン化イオン性化合物)
メタロセン系触媒を形成するイオン化イオン性化合物としては、ルイス酸、イオン性化合物などを例示することができる。
ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置
換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえば
トリフルオロボロン、
トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフ
ルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニ
リニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。特に、イオン化イオン性化合物が好適に用いられる。
(有機アルミニウム化合物)
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とともに、有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
有機アルミニウム化合物としては、下記一般式(d)で表される化合物が挙げられる。
1 nAlX3-n …(d)
式中、R1は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロ
ゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。
上記のようなメタロセン系触媒の存在下にエチレンと、炭素原子数3以上のα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマーを、通常液相で共重合させる。
具体的な触媒系については、Choo,T.N.,Waymouth,R.M.J.Am.Chem.Soc.35,4188(2002)やHuang,J.,Cole,A.C.,Waymouth,R.M.,Macromolecules,36,2454(2003)等に記載されている
この際、重合溶媒として一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレン等のα−オレフィンを用いてもよい。
重合の際に用いられる炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導体;シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素およびそのハロゲン誘導体;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびクロロベンゼンなどのハロゲン誘導体などが用いられる。これら溶媒は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
エチレンと、炭素原子数3以上のα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマーは、バッチ法、連続法のいずれの方法でも共重合することができるが、連続法で共重合することが好ましく、特に攪拌層型反応器を用い連続法で共重合することが好ましい。
共重合反応は、例えば、温度が−80℃〜30℃、好ましくは−30℃〜20℃、さらに好ましくは−10℃〜10℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kg/cm2
以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kg/cm2)以下の条件下に行われる
。上記重合条件は、連続重合法では一定であることが好ましい。
反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常、2分〜5時間、好ましくは3分〜3時間である。
エチレンと、炭素原子数3以上のα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマーは、上述のような特定組成のエチレン系共重合体が得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
上記のようにしてエチレンと、炭素原子数3以上のα−オレフィンと、必要に応じて他のモノマーを共重合させると、エチレン系共重合体は、通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、本発明で用いられるエチレン系共重合体が得られる。
(潤滑油組成物)
本発明に係る潤滑油組成物は、潤滑油基材(A)と上述したエチレン系共重合体(B)とを含有する潤滑油組成物、または潤滑油基材(A)と上述したエチレン系共重合体(B)と流動点降下剤(C)とを含有する潤滑油組成物である。
まず本発明に係る潤滑油組成物を形成する各成分について説明する。
((A)潤滑油基材)
本発明で用いられる潤滑油基材としては、鉱物油、およびポリα−オレフィン、ポリオールエステル、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート等のジエステル類、ポリア
ルキレングリコール等の合成油が挙げられ、鉱物油または鉱物油と合成油とのブレンドが好ましく用いられる。鉱物油は一般に脱ワックス等の精製工程を経て用いられ、精製の仕方により幾つかの等級があるが、一般に0.5〜10%のワックス分を含む鉱物油が使用される。たとえば、水素分解精製法で製造された流動点の低い、粘度指数の高い、イソパラフィンを主体とした組成の高度精製油を用いることもできる。また40℃における動粘度が10〜200cStのものが一般的に使用される。
((C)流動点降下剤)
本発明で用いられる流動点降下剤としては、アルキル化ナフタレン、メタクリ ル酸ア
ルキルの(共)重合体、アクリル酸アルキルの(共)重合体、フマル酸アルキルと酢酸ビニルの共重合体、α−オレフィン重合体、α−オレフィンとスチレンの共重合体等が挙げられるが、中でも、メタクリル酸アルキルの(共)重合体、アクリル酸アルキルの(共)重合体が好適に用いられる。
(組成物)
本発明に係る第1の態様の潤滑油組成物は、上述したような潤滑油基材(A)とエチレン系共重合体(B)とを含有し、該潤滑油組成物中にエチレン系共重合体が1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、より5〜10重量%の量で含有されている(残分は潤滑油基材(A)および後述の配合剤)。
このような潤滑油組成物は、温度依存性が小さく低温特性に優れる。この潤滑油組成物は、場合によってはそのまま潤滑油用途に使用することができ、またこの潤滑油組成物にさらに潤滑油基材、流動点降下剤などを配合して潤滑油用途に使用することもできる。
また、本発明に係る第2の態様の潤滑油組成物は、上述したような潤滑油基材(A)とエチレン系共重合体(B)とともに、流動点降下剤(C)とを含有している。このような潤滑油組成物中に、エチレン系共重合体(B)が0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%、さらに好ましくは0.25〜1.5重量%、特に好ましくは0.30〜1.5重量%の量で含有され、流動点降下剤(C)が0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%、最も好ましくは0.2〜1.5重量%の量で含有されている(残分は潤滑油基材(A)および後述の配合剤)。このような本発明第2の潤滑油組成物において、エチレン系共重合体(B)の量が0.1重量%以上であると、粘度向上の効果が得られ、また、共重合体(B)は組成分布を有するため、流動性降下剤(C)の効果を阻害する成分を含むことがあるが、共重合体(B)の配合量が5重量%以下であると、流動点性降下剤(C)の効果を阻害することがないため好ましく、エチレン系共重合体(B)の量が上述の範囲にある場合には、粘度向上効果に優れ、かつ低温での流動性が良好な潤滑油組成物を得ることができる。
このような潤滑油組成物は、粘度の温度依存性が小さく、かつエチレン系共重合体と流動点降下剤との相互作用による流動点の上昇が少なく、あらゆるせん断速度領域で低温特性に優れており、省燃費性にも優れている。またこのような潤滑油組成物は高温特性に優れており、良好な潤滑性能を示す。
また本発明に係る潤滑油組成物は、潤滑油基材(A)、エチレン系共重合体(B)および流動点降下剤(C)以外に、メタクリル酸アルキルの(共)重合体、水添SBR、SEBSなどの粘度指数向上効果を有する配合剤、清浄剤、錆止め添加剤、分散剤、極圧剤、消泡剤、酸化防止剤、金属不活性化剤などの配合剤を配合してもよい。
本発明に係る潤滑油組成物は、従来公知の方法で、潤滑油基材(A)にエチレン系共重合体(B)および必要に応じて配合剤を混合または溶解するか、または潤滑油基材(A)
にエチレン系共重合体(B)および流動点降下剤(C)、さらに必要に応じてその他の配合剤を混合または溶解することにより調製することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお本実施例において各種物性は以下のようにして測定した。
(エチレン系共重合体の組成とre・rc
日本電子(株)製のLA500型核磁気共鳴装置を用い、オルトジクロルベンゼンとベンゼン−d6との混合溶媒(オルトジクロルベンゼン/ベンゼン−d6=3/1〜4/1(体積比))中、120℃、パルス幅45°パルス、パルス繰返し時間5.5秒で測定した。
(100℃での粘度(K.V.))
ASTM D 445に基づいて測定を行った。なお本実施例ではK.V.が10mm2
/秒程度となるように調整した。
(Cold Cranking Simulator(CCS))
ASTM D 2602に基づいて測定を行った。CCSはクランク軸における低温での摺動性(始動性)の評価に用いられ、値が小さい程、潤滑油の低温特性がよいことを示す。
(Mini-Rotary Viscometer(MRV))
ASTM D 3829、D4684に基づいて測定を行った。MRVはオイルポンプが低温でポンピングを行うための評価に用いられ、値が小さい程、潤滑油の低温特性がよいことを示す。
(Shear Stability Index(SSI))
ASTM D 3945に基づいて測定を行った。SSIは潤滑油中の共重合体成分が摺動下でせん弾力を受け分子鎖が切断することによる動粘度の損失の尺度であり、SSIが大きい値である程、動粘度の損失が大きいことを示す。
(High Temperature High Shear Viscosity(HTHS))
ASTM D 4624に基づいて、150℃/106-1測定を行った。HTHSは
高温、高せん断下での、潤滑油性能の評価に用いられ、HTHS値が大きい程、高温での潤滑油性能がよいことを示す。
(低温流動性)
低温での流動性を以下のように評価した。潤滑油基材として、粘度調整剤に対して溶解性が低い合成油を用いた。潤滑油組成物に0℃と−18℃の温度サイクル(各1週間づつ
、合計4週間)をかけ、ゼリー化を促進させた後、流動性(外観)を観察し、以下のよう
に評点を付けた。
1:ゼリー化がなく、なめらかに流動する。
2:ゼリー化がなく、ゆるやかに流動する。
3:ゆるくゼリー化するが、なめらかに流動する。
4:ゆるくゼリー化するが、ゆっくりと流動する。
5:全体がゼリー化するが、せん断によりゼリーが崩れて流動する。
6:全体がゼリー化し、せん断によってもゼリーが崩れず、流動しない。
7:完全に固化する。
低温で使用するときには、潤滑油組成物のエンジン内部への吸い込み性の点から、ゼリーかしないことが、特に好ましい。
[重合例1]
〈オレフィン系共重合体の合成〉
充分に、窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付オートクレーブ(SUS製)に、0℃でヘプタン900mlを装入した。このオートクレーブに、攪拌翼を回し、かつ冷却しながらプロピレン7Nl、水素500Nmlを導入した。次に全圧が0.6MPa(6kg/cm2)となるようにエチレンで加圧した。オートクレーブの内圧が0.6MPa(6
kg/cm2)になった所で、トリイソブチルアルミニウムの1.0ミリモル/mlヘキ
サン溶液1.0mlを窒素で圧入した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で0.5ミリモル、ジメチルシリル(3−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.002ミリモルの量で含むトルエン溶液3mlを、窒素でオートクレーブに圧入し重合を開始した。その後、15分間、オートクレーブを内温0℃になるように温度調製し、かつ圧力が0.6MPa(6kg/cm2
となるように直接的にエチレンの供給を行った。重合開始15分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、80kPa(600torr)で乾燥して12gのエチレン・プロピレン共重合体を得た。得られたポリマーの性状を表1に示す。
[重合例2]
充分に、窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付オートクレーブ(SUS製)に、0℃でヘプタン 894ml、1−ヘキセン 6mlを装入した。このオートクレーブに、攪拌翼を回し、かつ冷却しながらプロピレン7Nl、水素 500Nmlを導入した。次に全
圧が0.6MPa(6kg/cm2)となるようにエチレンで加圧した。オートクレーブ
の内圧が0.6MPa(6kg/cm2)になった所で、トリイソブチルアルミニウムの
1.0ミリモル/mlヘキサン溶液1.0mlを窒素で圧入した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で0.5ミリモル、ジメチルシリル(4,7−
ジメチルインデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.002ミリモルの量で含むトルエン溶液3mlを、窒素でオートクレーブに圧入し重合を開始した。その後、15分間、オートクレーブを内温0℃になるように温度調製し、かつ圧力が0.6MPa(6kg/cm2)となるように直接的にエチレンの供給を行った。重合開始15分後
、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを装入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、80kPa(600torr)で乾燥して10gのエチレン・プロピレン・ヘキセン共重合体を得た。得られたポリマーの性状を表1に示す。
[重合例3]
充分に、窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付オートクレーブ(SUS製)に、23℃でヘプタン900mlを装入した。このオートクレーブに、攪拌翼を回し、かつ氷冷し
ながらプロピレン4.5Nl、水素200Nmlを導入した。次にオートクレーブを70℃まで加熱し、更に、全圧が0.6MPa(6kg/cm2)となるようにエチレンで加
圧した。オートクレーブの内圧が0.6MPa(6kg/cm2)になった所で、トリイ
ソブチルアルミニウムの1.0ミリモル/mlヘキサン溶液0.3mlを窒素で圧入した。続いて、予め調製しておいた、トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートをB換算で0.016ミリモル、[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリドを0.0004
ミリモルの量で含むトルエン溶液3mlを、窒素でオートクレーブに圧入し重合を開始した。その後、5分間、オートクレーブを内温70℃になるように温度調製し、かつ圧力が0.6MPa(6kg/cm2)となるように直接的にエチレンの供給を行った。重合開
始5分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを装入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、80kPa(600torr)で乾燥して32gのエチレン・プロピレン共重合体を得た。得られたポリマーの性状を表1に示す。
Figure 0004540963
[実施例および比較例]
潤滑油基材として、鉱油100ニュートラル/鉱油600ニュートラル(EXXON社製)=90/10の混合油を88.1〜88.8重量%、粘度指数向上剤(粘度調整剤)として重合例2〜5で得られたポリマーを0.7〜1.4重量%、流動点降下剤としてアクルーブ133(三洋化成社製)を0.5重量%、清浄分散剤(ルブリゾール社製)を10重量部用いて、潤滑油を調製し、得られた潤滑油の性能評価と行った。また、低温時の流動性に関しては、潤滑油基材として、粘度調整剤に対して溶解性の低い合成油を用いた。以上の結果を表2に示す。
Figure 0004540963

Claims (7)

  1. 以下の(1)から(3)までの特徴を有するエチレン系共重合体からなることを特徴とする潤滑油用粘度調整剤;
    (1)エチレンおよびプロピレン、またはエチレン、プロピレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンを、下記一般式(a)で表されるメタロセン化合物の存在下に共重合して得られ、
    MLx …(a)
    (式(a)中、Mはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xはその原子価であり、LはMに配位する配位子であり、1個のフルオレニル基と、1個のシクロペンタジエニル基またはインデニル基とを含み、これらの配位子は置換基を有していてもよく、これらの2個の配位子は置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基を介して結合されており、フルオレニル基、シクロペンタジエニル基、インデニル基以外のLは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO 3 a )、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R a はアルキル基、ハロゲン原子で置換
    されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)である。)
    エチレン由来の構成単位の含有量が40〜88モル%、プロピレン由来の構成単位および炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位の含有量が12〜60モル%である(2)下記式で示されるre・rcが0.40以下である
    Figure 0004540963
    (式中、[EEE]、[EEC]、[ECE]、[CCE]および[CCC]は、エチレン系共重合体中のそれぞれのトリアッド連鎖数の、全トリアッド連鎖数に対する割合を示し、Eはエチレン由来の構成単位、Cは炭素原子数3以上のα−オレフィン由来の構成単位を示す。)
    (3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が50,000〜600,000の範囲にある。
  2. 前記エチレン系共重合体は、エチレンおよびプロピレン、またはエチレン、プロピレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンを、−80℃〜30℃の温度で共重合して得られたものである請求項1に記載の潤滑油用粘度調整剤。
  3. 前記r e ・r c が0.21以下である請求項1または2に記載の潤滑油用粘度調整剤。
  4. 前記炭素原子数4〜20のα−オレフィンが1−ヘキセンである請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤。
  5. 前記エチレン系共重合体のMw/Mn(Mn:数平均分子量)が2.4以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油用粘度調整剤。
  6. (A)潤滑油基材と、
    (B)請求項1〜5のいずれかに記載のエチレン系共重合体とを含み、かつ
    前記エチレン系共重合体(B)を1〜30重量%の割合で含有することを特徴とする潤滑油組成物。
  7. (A)潤滑油基材と、
    (B)請求項1〜5のいずれかに記載のエチレン系共重合体と、
    (C)流動点降下剤を含み、かつ
    前記エチレン系共重合体(B)を0.1〜5重量%、(C)流動点降下剤を0.05〜5重量%の割合で含有することを特徴とする潤滑油組成物。
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