JP3286000B2 - 車両の差動制限装置 - Google Patents

車両の差動制限装置

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JP3286000B2 JP6315493A JP6315493A JP3286000B2 JP 3286000 B2 JP3286000 B2 JP 3286000B2 JP 6315493 A JP6315493 A JP 6315493A JP 6315493 A JP6315493 A JP 6315493A JP 3286000 B2 JP3286000 B2 JP 3286000B2
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H48/00Differential gearings
    • F16H48/06Differential gearings with gears having orbital motion
    • F16H48/10Differential gearings with gears having orbital motion with orbital spur gears

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に備えられて、パ
ワーユニットからの入力トルクを左右の駆動輪に伝達す
る差動装置の差動動作を制限する差動制限装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両には、旋回時における左右
の車輪の回転速度差を吸収するために、エンジンと変速
機とでなるパワーユニットからのトルクを差動装置を介
して左右の駆動輪に伝達するように構成されるが、この
場合、一方の駆動輪が例えばぬかるみのように摩擦係数
の極端に低い路面に入り込んだときに、トルクがこの駆
動輪側にばかり伝達されて該駆動輪がスリップすること
により、当該車両が走行不能となったり車体姿勢が悪化
したりすることがある。そこで、このような事態を防止
するため、この種の差動装置には、いずれかの駆動輪の
スリップ率もしくは左右の駆動輪の回転速度差が所定値
を超えたときに差動動作を制限する差動制限装置が設け
られるのが通例である。
【0003】そして、例えば特開昭59−11922号
公報によれば、差動動作を制限する際のスリップ率を任
意に設定可能とし、旋回時には、この差動制限スリップ
率を高く設定して差動動作を十分に許容することによ
り、過度な差動制限による所謂ブレーキング現象を防止
して、良好な旋回走行性を確保し、また、雪道等のスリ
ップし易い路面の走行時には、差動制限スリップ率を低
く設定して差動動作を制限することにより、所要の牽引
力が得られるようにした差動制限装置が開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に、差動制限装置の制御は、通常の旋回時には、内、外
輪の回転速度差を吸収させるために差動制限を阻止する
(差動動作を許容する)と共に、この回転速度差が所定
の限度を超えたときには、差動動作を制限するように行
われるが、これを図8を用いて説明すると、左駆動輪の
回転速度をNL、右駆動輪の回転速度をNRとし、これ
らの差をΔN(=NL−NR)としたときに、ΔNの+
側(右旋回時)及び−側(左旋回時)にΔN=0を基準
として所定幅の不感帯をそれぞれ設け、これらの不感帯
を超えて回転速度差ΔNが大きくなったときに、その差
ΔNに応じて差動制限力を発生させるようにすることに
なるのである。
【0005】しかし、このようにした場合、次のような
不具合の発生が考えられる。
【0006】つまり、今、例えば右旋回中において、内
側の車輪である右側の駆動輪がスリップして、その回転
速度NRが左側の駆動輪の回転速度NLより大きくな
り、その差ΔNが例えば図8に矢印xで示す値となった
とき、この値は−側の不感帯に属するので、右駆動輪の
スリップにも拘わらず差動制限力が発生されないことに
なる。そのため、走行が不能となったり、車体が不安定
に挙動する事態が考えられるのである。
【0007】そこで、本発明は、上記のように左右の駆
動輪の回転速度差が所定値以上となったときに差動制限
力を発生させるようになっている差動制限装置におい
て、特に旋回方向内側の駆動輪がスリップしたときの良
好な旋回走行性を確保することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る車両の差動制限装置は、次のように構
成したことを特徴とする。
【0009】すなわち、本願の請求項1に係る発明(以
下、発明という)は、パワーユニットからの入力トル
クを左右の駆動輪に分割して伝達する差動装置に、その
差動動作を制限する差動制限手段が設けられた車両にお
いて、該車両の旋回方向を検出する旋回方向検出手段
と、旋回時における舵角を検出する舵角検出手段と、
右の駆動輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速検出手
段と、上記旋回方向検出手段によって検出される旋回方
向に対して外側の駆動輪の回転速度が内側の駆動輪の回
転速度よりも大きいときは、その回転速度差が所定値以
下の範囲で上記差動制限手段による差動制限力の発生を
抑制すると共に、旋回方向に対して内側の駆動輪の回転
速度が外側の駆動輪の回転速度よりも大きくなったとき
には、上記差動制限力を抑制することなく発生させ、か
つそのときの差動制限力を舵角が大きいほど大きな値に
設定する制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】
【0011】
【作用】上記の構成によれば、通常の旋回時において、
左右の駆動輪の回転速度差が特に大きくない範囲におい
ては、例えば不感帯の設定により、これらの駆動輪に対
する差動制限力の発生が抑制され(差動動作が許容され
或は差動制限が緩和され)るので、ブレーキング現象を
生じることなく円滑に旋回することが可能となると共
に、回転速度差が上記所定範囲を超えれば、差動動作が
制限されることにより、例えば、高速旋回時や急旋回時
等における良好な走行安定性が確保されることになる。
【0012】一方、旋回中に、回転速度が小さい方の内
側の駆動輪がスリップして外側の駆動輪の回転速度より
も大きくなったとき、すなわち旋回方向に対して逆方向
の回転速度差が生じたときには、上記のような差動制限
力の抑制が阻止されることにより、所要の差動制限力が
直ちに発生されることになる。したがって、当該車両の
走行に必要な牽引力及び良好な車体姿勢が確保されるこ
とになる。
【0013】なお、旋回方向の外側の駆動輪がスリップ
したときには、回転速度差が旋回方向に対応する方向で
増大するだけであるから、本来の特性に従って差動制限
力が発生されることになり、所要の走行性が確保され
る。
【0014】そして、特に発明によれば、スリップに
よって内側の駆動輪の回転速度が外側の駆動輪の回転速
度よりも大きくなって直ちに差動制限力を発生させる場
合に、そのときの舵角が大きいほど、この差動制限力が
大きな値に設定されるので、スリップによって走行性が
悪化したり車体姿勢が悪化したりする程度に応じて差動
制限力が発生することになる。つまり、必要以上に差動
制限することによるブレーキング現象の発生を回避しな
がら、スリップによる走行性や車体姿勢の悪化が効果的
に防止されるのである。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0016】図1に示すように、この実施例に係る車両
はフロントエンジン・リヤドライブ車であって、車体前
部にエンジン1とトランスミッション2とでなるパワー
ユニット3が配置されていると共に、このパワーユニッ
ト3から出力されるトルクがプロペラシャフト4を介し
て車体後部に配置された差動装置5に入力され、さらに
該差動装置5で分割されて、左右のドライブシャフト
6,7を介して左右の後輪8,9に伝達されるようにな
っている。そして、上記差動装置5には、後述するよう
に、その差動動作を制限する差動制限機能が備えられて
いると共に、この差動制限機能を当該車両の運転状態に
応じて制御する差動制御用コントロールユニット10が
備えられている。
【0017】このコントロールユニット10には、上記
左右の後輪8,9の回転速度をそれぞれ検出する車輪速
センサ11,12からの信号A,Bと、ハンドル13の
舵角を検出する舵角センサ14からの信号Cとが入力さ
れるようになっている。ここで、この舵角センサ14
は、ハンドル舵角の大きさだけでなく、その操舵方向、
即ち旋回方向をも検出することができるものとされてい
る。
【0018】そして、差動制御用コントロールユニット
10は、上記各入力信号A,B,Cに基づいて差動装置
5における差動制限力を設定し、その設定した差動制限
力が得られるように該差動装置5に制御信号Dを出力す
るようになっている。
【0019】次に、図2により差動装置5の構成を説明
する。
【0020】この差動装置5は、プロペラシャフト4の
後端部に設けられた小径の第1傘歯車21と、後輪用の
ドライブシャフト6,7の軸線上に配置されて上記第1
傘歯車21に噛合された第2傘歯車22とでなる終減速
機23を介して、図1に示すパワーユニット3の出力ト
ルクにより駆動されるデフケース24を有し、このデフ
ケース24内に、ダブルピニオン型遊星歯車機構25
と、該遊星歯車機構25を挟んでその両側に配置された
パイロットクラッチ26及びメインクラッチ27と、カ
ム機構28とが配設されている。
【0021】上記遊星歯車機構25は、上記ドライブシ
ャフト6,7の軸線上に配置されたサンギヤ25aと、
ピニオンキャリヤ25bに回転自在に支持されて上記サ
ンギヤ25aに噛合された第1ピニオンギヤ25cと、
同じくピニオンキャリヤ25bに回転自在に支持されて
上記第1ピニオンギヤ25cに噛合された第2ピニオン
ギヤ25dと、上記デフケース24の内周面に固設され
て上記第2ピニオンギヤ25dに噛合されたリングギヤ
25eとで構成されている。
【0022】そして、上記サンギヤ25aが左後輪用の
ドライブシャフト6に連結され、また、上記ピニオンキ
ャリヤ25bが右後輪用のドライブシャフト7に連結さ
れている。これにより、図1に示す左右の後輪8,9に
作用している負荷が等しいときは、デフケース24から
リングギヤ25eに入力される回転が上記両ドライブシ
ャフト6,7を介して左右の後輪8,9に均等に伝達さ
れ、また、旋回中において左右の後輪8,9に作用して
いる負荷が等しくないときには、負荷の小さい外側の後
輪が負荷の大きい内側の後輪よりも高速で回転するよう
になっている。
【0023】ここで、上記ピニオンキャリヤ25bは軸
方向に一定範囲で移動可能に支持されている。
【0024】また、上記パイロットクラッチ26は、上
記デフケース24に係合された駆動側のクラッチプレー
ト26aと、右後輪用ドライブシャフト7上に回転自在
に支持されたクラッチハブ26bに係合された従動側の
クラッチプレート26cとで構成され、これらのクラッ
チプレート26a,26cを挟んで、ソレノイド29と
アマチュア30とが互いに対向状に配置されている。そ
して、このソレノイド29に対する通電電流の大きさに
応じた力でアマチュア30が引き寄せられることによ
り、その電流の大きさに応じた力で上記駆動側及び従動
側のクラッチプレート26a,26cが締結されるよう
になっている。
【0025】ここで、上記クラッチハブ26bは軸方向
に移動しないように支持されている。
【0026】さらに、上記メインクラッチ27は、遊星
歯車機構25のピニオンキャリヤ25bに係合された駆
動側のクラッチプレート27aと、左後輪用のドライブ
シャフト6に係合された従動側のクラッチプレート27
bと、これらを締結させるプレッシャプレート27cと
で構成されている。そして、このプレッシャプレート2
7cは上記ピニオンキャリヤ25bに一体的に形成され
ており、該ピニオンキャリヤ25bないしプレッシャプ
レート27cの図面上、左側への移動により、上記駆動
側及び従動側のクラッチプレート27a,27bが締結
されるようになっている。
【0027】また、以上の構成に加えて、上記パイロッ
トクラッチ26を構成するクラッチハブ26bの端面
と、上記遊星歯車機構25におけるピニオンキャリヤ2
5bの端面との間にはカム機構28が設けられており、
次にこのカム機構28の構成を説明する。
【0028】図3、図4に概略の構成を示すように、こ
のカム機構28は、上記クラッチハブ26bとピニオン
キャリヤ25bの対向端面にそれぞれ固設された一対の
リング部材28a,28bと、これらのリング部材28
a,28b間の周方向等間隔位置に配置された複数のボ
ール部材28c…28cとで構成され、各ボール部材2
8cは、上記リング部材28a,28bの周方向等間隔
位置に互いに対向させて設けられた2つの傾斜面でなる
凹部28a’,28b’間に保持されている。
【0029】そして、上記パイロットクラッチ26が解
放されている状態では、ピニオンキャリヤ25bの回転
により、該キャリヤ25b側のリング部材28b、各ボ
ール部材28c及びクラッチハブ26b側のリング部材
28aを介して該クラッチハブ26b及びパイロットク
ラッチ26の従動側のクラッチプレート26cが連れ回
りし、また、パイロットクラッチ26が締結されて、ク
ラッチハブ26bがデフケース24と一体回転する場合
においても、該デフケース24とピニオンキャリヤ25
bとが同一速度で回転しているときは、クラッチハブ2
6b側及びピニオンキャリヤ25b側のリング部材28
a,28bも同一速度で回転するので、カム機構28は
図4に示す状態を維持することになる。
【0030】これに対して、上記パイロットクラッチ2
6が締結されている状態で、遊星歯車機構25が差動動
作することによりデフケース24(リングギヤ25e)
とピニオンキャリヤ25bとの間に相対回転が生じる
と、上記クラッチハブ26b側のリング部材28aとピ
ニオンキャリヤ25b側のリング部材28bとの間にも
相対回転が生じ、互いに対向する凹部28a’,28
b’の位置がずれることになる。そのため、各対向する
凹部28a’,28b’の間に保持されていたボール部
材28cが斜面に沿ってこれらの凹部28a’,28
b’から押し出されるように移動することになり、その
とき、軸方向の移動が可能とされているピニオンキャリ
ヤ25bが、軸方向の移動が阻止されたクラッチハブ2
6bから離反する方向(図2の左側)に移動することに
なる。そして、このピニオンキャリヤ25bの移動によ
り、上記メインクラッチ27が締結されるのである。
【0031】その場合に、このメインクラッチ27の締
結力は上記カム機構28がピニオンキャリヤ25bを軸
方向に押圧する力に対応し、また、この押圧力はパイロ
ットクラッチ26の締結力に対応することになるが、こ
のパイロットクラッチ26の締結力は、前述のように、
ソレノイド29に通電される電流の大きさに対応するか
ら、結局、この通電電流を制御することによってメイン
クラッチ27の締結力が制御されることになる。そし
て、このメインクラッチ27の締結力が、遊星歯車機構
25のサンギヤ25aとピニオンキャリヤ25bとの差
動動作を制限する力、すなわちドライブシャフト6,7
ないし左右の後輪8,9の差動動作を制限する差動制限
力となるのである。
【0032】次に、上記ソレノイド9の通電電流を制御
する差動制御用コントロールユニット10の動作を図5
のフローチャートに従って説明する。
【0033】まず、コントロールユニット10は、ステ
ップS1で、図1に示す各センサ11,12,14から
の信号A,B,Cにより、左後輪回転速度NRL、右後
輪回転速度NRR及びハンドル舵角θを入力し、次い
で、ステップS2で上記信号Cが示すハンドル舵角の方
向、即ち旋回方向を判定する。
【0034】そして、右側への旋回時には、ステップS
3で図6に示す右旋回時用の差動制限マップを呼び出
し、また、左側への旋回時には、ステップS4で図7に
示す左旋回時用の差動制限マップを呼び出すと共に、ス
テップS5で、呼び出したマップに基づいて左右の後輪
8,9の回転速度差ΔNに応じた差動制限力を設定す
る。
【0035】その後、コントロールユニット10は、ス
テップS6で上記のようにして設定した差動制限力に対
応する電流値を制御信号Dとして差動装置5のソレノイ
ド29に出力する。これにより、パイロットクラッチ2
6ないしメインクラッチ27の締結力が制御されて、上
記のようにして設定された差動制限力が発生することに
なるのである。
【0036】その場合に、上記右旋回時及び左旋回時の
マップは、それぞれ図6、図7に示すように設定されて
いるので、次のような作用が得られる。
【0037】つまり、右旋回時に呼び出される図6のマ
ップでは、左後輪8の回転速度NRLから右後輪9の回
転速度NRRを差し引いた値を回転速度差ΔNとしたと
きに、この差ΔNが0から正方向の所定値ΔN0までの
範囲に不感帯が設けられており、また、左旋回時に呼び
出される図7のマップでは、上記差ΔNが0から負方向
の所定値−ΔN0までの範囲に不感帯が設けられてい
る。したがって、いずれの場合にも、旋回方向に対応し
て、外側の車輪の回転速度が内側の車輪の回転速度より
も大きくなる方向、すなわち旋回方向に対応する方向に
差ΔNが生じているときには、その差ΔNの大きさが所
定値|ΔN0|に達するまでは差動制限力が発生しない
ことになる。
【0038】これにより、比較的緩やかな旋回時に、不
必要に差動制限力が作用して、ブレーキング現象が発生
する、という事態が回避されることになる。そして、上
記差ΔNの大きさが所定値|ΔN0|を超えれば、その
大きさに応じて差動制限力が発生されることになるの
で、高速旋回時や急旋回時等に所要の旋回性が得られる
ことになる。
【0039】一方、右旋回時において、上記回転速度の
差ΔNが負の値となったとき、及び左旋回時において、
この差ΔNが正の値となったとき、換言すれば、旋回方
向に対して内側となる車輪がスリップして、その回転速
度が外側の車輪の回転速度よりも大きくなったときに
は、図6、図7に符号a,bで示すように、不感帯を介
することなく、直ちにその差ΔNの大きさに応じた差動
制限力が発生することになる。そのため、左右の後輪
8,9の差動動作が抑制されて所要の牽引力が得られる
ことにより、上記のような車輪のスリップにも拘らず、
走行性が確保されると共に、車体の不安定な挙動が回避
されることになる。
【0040】そして、このスリップ発生時の差動制限力
は、その時のハンドル舵角θの大きさに応じて設定され
るようになっており、したがって、スリップによる車体
姿勢の不安定化等の影響が大きい急旋回時ほど大きな差
動制限力が得られる。これにより、緩やかな旋回時にお
けるスリップ発生時にいたずらに大きな差動制限力を発
生させることによる旋回性の悪化を回避しながら、急旋
回時における車体姿勢の悪化や不安定な挙動等が効果的
に防止されることになる。
【0041】なお、以上の実施例では、舵角センサ14
を、操舵方向と舵角の大きさの両者を検出することがで
きるものとしたが、フロントエンジン・リヤドライブ車
の場合には、舵角センサとして舵角の大きさのみを検出
するものを用いると共に、左右の前輪の回転速度差によ
り旋回方向を判定するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、パワーユ
ニットからの入力トルクを左右の駆動輪に分割して伝達
する差動装置に、その差動動作を制限する差動制限手段
が設けられた車両において、旋回方向に対して外側の駆
動輪の回転速度が内側の駆動輪の回転速度よりも大きい
ときは、その回転速度差が所定値以下の範囲で差動制限
力を抑制すると共に、旋回方向に対して内側の駆動輪の
回転速度が外側の駆動輪の回転速度よりも大きくなった
ときには、上記差動制限力の抑制を阻止して該差動制限
力を直ちに発生させるようにしたから、スリップが発生
していない場合には、緩やかな旋回時には差動動作が許
容され或は制限が緩和されることにより、ブレーキング
現象を生じることなく円滑に旋回することが可能とな
り、また、高速旋回時や急旋回時等には、所要の差動制
限力が発生されて、良好な走行安定性が確保されること
になる。そして、特に、回転速度が小さい方の内側の駆
動輪がスリップして、その回転速度が外側の駆動輪の回
転速度よりも大きくなったときには、上記のように、差
動制限力の抑制が阻止されて差動制限力が直ちに発生さ
れることにより、所要の牽引力が得られて当該車両の良
好な走行性が確保されることになる。
【0043】そして、特に発明によれば、スリップ発
生時の差動制限力をそのときの舵角が大きいほど大きな
値に設定するようにしたから、必要以上に差動動作を制
限することによるブレーキング現象の発生を回避しなが
ら、スリップによる走行性の悪化や車体の不安定な挙動
等を効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る車両の制御システム図
である。
【図2】 同実施例における差動装置の構成を示す骨子
図である。
【図3】 図2におけるカム機構の縦断拡大右側面図で
ある。
【図4】 図3のX方向から見たカム機構の平面図であ
る。
【図5】 差動制限制御の動作を示すフローチャート図
である。
【図6】 同制御で用いられる右旋回時の差動制限特性
マップである。
【図7】 同じく左旋回時の差動制限特性マップであ
る。
【図8】 従来の差動制限力の特性を示す図である。
【符号の説明】
3 パワーユニット 5 差動装置 8,9 駆動輪(後輪) 10 制御手段(コントロールユニット) 11,12 車輪速検出手段(車輪速センサ) 14 旋回方向検出手段、舵角検出手段(舵角セ
ンサ) 27 差動制限手段(メインクラッチ)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パワーユニットからの入力トルクを左右
    の駆動輪に分割して伝達する差動装置に、その差動動作
    を制限する差動制限手段が設けられた車両における差動
    制限装置であって、車両の旋回方向を検出する旋回方向
    検出手段と、旋回時における舵角を検出する舵角検出手
    段と、左右の駆動輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪
    速検出手段と、上記旋回方向検出手段によって検出され
    る旋回方向に対して外側の駆動輪の回転速度が内側の駆
    動輪の回転速度よりも大きいときは、その回転速度差が
    所定値以下の範囲で上記差動制限手段による差動制限力
    の発生を抑制すると共に、旋回方向に対して内側の駆動
    輪の回転速度が外側の駆動輪の回転速度よりも大きくな
    ったときには、上記差動制限力を抑制することなく発生
    させ、かつそのときの差動制限力を舵角が大きいほど大
    きな値に設定する制御手段とが備えられていることを特
    徴とする車両の差動制限装置。
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