JP3285162B2 - オブザーバ制御方式 - Google Patents

オブザーバ制御方式

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JP3285162B2
JP3285162B2 JP08420093A JP8420093A JP3285162B2 JP 3285162 B2 JP3285162 B2 JP 3285162B2 JP 08420093 A JP08420093 A JP 08420093A JP 8420093 A JP8420093 A JP 8420093A JP 3285162 B2 JP3285162 B2 JP 3285162B2
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秀徳 富崎
龍一 小黒
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は機械系を制御するオブザ
ーバ制御方式に関し、特に、減速機等の動力伝達機構を
有するロボットを制御するオブザーバ制御方式に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ロボットの機構部のような剛性の低い機
械系に対して、動力伝達機構(具体的には減速機)の出
力側に位置、速度、加速度等のセンサーを取り付け、検
出した状態量でフィードバック制御すれば、全体系を安
定に制御することができるが、コストや機構上あるいは
メンテナンスの問題から、オブザーバ技術を利用して、
前記状態量を推定値で代用する技術が知られている。推
定値の精度を上げるために、機械系の動特性モデルと外
乱モデルとから構成される拡大システムモデルを用いる
方法(特開昭63−120312号公報)や、機械系の
動特性モデルと外乱モデルを別々に用いて構成する方法
(特開平4−24701号公報)等で機械系駆動部に印
加される外乱の影響を取り除いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来技術で
は、駆動部と同時に動力伝達機構部出力側にも印加され
る減速機のトルクむらなどの動力伝達機構で発生する外
乱については、駆動部は外乱の影響を取り除けても、動
力伝達機構の出力側の外乱のために状態推定値精度が低
いという問題があった。さらに、駆動部と同時に動力伝
達機構の出力側にも印加される前記外乱は、状態方程式
中で動力伝達機構の入出力トルクの項と一次従属となる
ため、不可観測となる問題を有している。また、従来技
術では、動力伝達機構の出力側だけに印加される、例え
ば重力外乱については、駆動部にフィードバックされた
外乱として推定されるため、やはり動力伝達機構の出力
側の状態推定値精度が低いという問題があった。そこで
本発明は、動力伝達機構で発生する外乱と動力伝達機構
の出力側に印加される外乱を推定し、外乱の影響を取り
除くオブザーバ制御方式を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、機械系の動特
性と外乱モデルから構成される制御モデルにおいて、駆
動部から負荷に至る伝達径路の間に動力伝達機構の伝達
率を設定する第1の定数を設け、負荷から駆動部に至る
負帰還伝達径路の間に動力伝達機構の伝達率を設定する
第2の定数を設けたことを特徴とするものである。
【0005】
【作用】このように2つの定数を設けたので、今まで気
づかなかった、あるいは無視してきた減速機の正効率と
逆効率の差異を、明確に区別することができて、機械系
の動力伝達機構で発生する外乱を正確に推定できるので
ある。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明のオブザーバ制御方式で扱かう機械
制御系のモデルのブロック図であり、機械制御系がロボ
ットのアーム駆動機構の場合を想定している。図中で使
用した記号は次の通りである。なお、Sはラプラス演算
子を示す。 T:トルク指令 Jm :モータロータイナーシャ K:バネ定数 C:粘性係数 JL :負荷側イナーシャ η(+):動力伝達機構部正効率(ゲイン) η(-):動力伝達機構部逆効率(ゲイン) D1 :動力伝達機構部で発生するトルクリップル等の外
乱 このモデルの場合、ロボットの動力伝達機構に減速機が
用いられ、そこに発生するトルクリップルD1 を含む負
荷側状態量のフィードバック値X1,X2、X3はオブ
ザーバ2で推定され、トルク指令Tから加算器1で減算
される。図2は機械制御系として想定しているロボット
の動特性モデルの説明図である。以下使用する記号は次
の通りとし、各記号の右上のカッコ内の添字は時間微分
の回数を示すものとする。 θm :モータ角度 θs :ねじり角度 θL :負荷側角度
【0007】まず、モータ側に注目して運動方程式を立
てると、以下の式が得られる。 Jm・θm(2)+C・θs(1)+K・θs =T−η(-)・D1………(1) 次に、負荷側に注目して運動方程式を立てると、以下の
式が得られる。 JL・θL(2)=η(+)・C・θs(1)+η(+)・K・θs +D1……(2) また、減速機で発生する外乱モデルとして、以下の式を
使用する。 D1(1)=0……(3) ここで、状態変数ベクトルを [θm(1) θs θs(1) D1 ] とし、検出可能な状態変数はθm(1)とすると、状態方程
式(4)式と出力方程式(5)式が得られる。
【0008】
【数1】
【0009】(4)式、(5)式より一般的な技法であ
る同一次元オブザーバあるいは最小次元オブザーバ、す
なわちオブザーバ2を作成して、検出しないθs 、θs
(1)、D1 を推定し、それぞれに適当なフィードバック
ゲインK1 、K2 、K3 を掛けたものをオブザーバ2か
らの状態フィードバック値X1,X2,X3とする。 X1=K1・θs X2=K2・θs(1) X3=K3・D1
【0010】状態量X3をフィードバックすることで、
減速機で発生するトルクリップルなどの外乱を除去で
き、さらにそのことにより状態量θs 、θs(1)の推定精
度が上がるため、機械系との共振時においても振動を低
減させるなど、全体の系を安定に制御することができ
る。ここで、(4)式、(5)式を用いてこの制御系の
可観測性について述べる。可観測行列をN1 とすると、
(6−a)式が得られる。
【0011】
【数2】
【0012】駆動部と負荷の間に設けられる動力伝達機
構に設定する第1の定数、すなわち減速機の正効率と、
負荷から駆動部まで負帰還する間の動力伝達機構に設定
する第2の定数、すなわち逆効率は、いずれも1.0未
満であるため、N1 の階数は、(6−b)式
【0013】
【数3】
【0014】に示すように4となる。従って、可観測性
の定理より、この制御系はすべての状態変数について可
観測であることが証明できる。
【0015】次に動力伝達機構部の正逆効率η(+)、η
(-)の扱いについて述べる。動力伝達効率は図3のよう
に、速度、トルクに関して非線形な特性を有するため、
一定値とすると、モデルと系の不一致による悪影響が出
る。そこで、本発明においては、この正逆効率η(+)
η(-)をモータ速度、トルク指令値によって変化させる
ことができるようにしている。ここでは、達正逆効率η
(+)、η(-)を例えば次のロジスティック関数で近似す
る。次式中、η’は漸近させる効率値、α、βは実験的
に求められる正の定数である。 η(+)、η(-)=η’(2/(1+exp(−α・|T|・(1+β・|θm(1)|)))−1)…(7 ) (7)式を変形して、対数をとると、 ln((η’−η)/(η+η’))=−α・|T|・(1+β・|θm(1)|)……………(8 ) となる。いくつかのモータ速度θm(1)について、それぞ
れ数点のトルク指令値における正逆効率η(+)、η(-)
求めて得られるサンプル点を、トルク指令値Tに関する
1次式である(8)式に最小2乗法でカーブフィットさ
せることによってα、βを求めることができる。このよ
うにして求められた(7)式を使ってオンライン的に正
逆効率を変化させることにより、モデルと系の不一致を
避けることができ、さらに精度の高い推定値を得ること
ができるのである。
【0016】次に第2発明の実施例を説明する。重力な
ど負荷側に印加される外乱モデルを使用する場合につい
て図3を例に説明する。図中、D2 は負荷側に印加され
る外乱トルクを示す。この実施例においては、ロボット
の負荷側に印加されるトルク外乱D2 を含む負荷側状態
量のフィードバック値X4、X5、X6をオブザーバ2
2で推定し、トルク指令Tから加算器21で減算する。
(1)式、(2)式と同様に、モータ側、負荷側それぞ
れの運動方程式は、以下の通りである。 Jm *θm (2) +C*θs (1) +K*θs =T …(9) JL *θL (2) =η(+) *C*θs (1) +η(+) *K*θs +D2 …(10) また、負荷側に印加される外乱のモデルとして、以下の
式を使用する。 D2 (1) =0 …(11)
【0017】先程と同様な状態変数ベクトルを使用する
と状態方程式
【0018】
【数4】
【0019】と、同じ出力方程式(5)式が得られる。
(12)式、(5)式より一般的な技法である同一次元
オブザーバあるいは最小次元オブザーバ、すなわちオブ
ザーバ22を作成して、検出しないθs 、θs (1) 、D
2 を推定し、それぞれに適当なフィードバックゲインK
4 、K5 、K6 を掛けたものをオブザーバ22からの状
態フィードバック値X4、X5、X6とする。 X4=K4 *θs X5=K5 *θs (1) X6=K6 *D2 状態量X6をフィードバックすることで、ロボットの負
荷側で発生する外乱トルクを除去でき、推定される状態
量θs 、θs (1) には、外乱D2 の影響が除去されてい
るため、推定精度が高く、振動をより低減できるなど、
全体の系をさらに安定に制御できるようになる。可観測
性については、次の(13−a)式、(13−b)式
【0020】
【数5】
【0021】に示す通り、D2 についても可観測であ
る。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、動
力伝達機構部で発生する外乱および動力伝達機構部出力
側に印加される外乱を推定できることにより、これら外
乱と外乱の影響を取り除いた精度の良い状態量推定値を
フィードバックすることで、機械系との共振時において
も振動を低減させるなど、全体の系を安定に制御するこ
とができる。したがって、遊星歯車による減速機構を有
する産業用ロボット等に適用すると、その制振効果は極
めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオブザーバ制御方式の一実施例のブロ
ック図
【図2】本発明を実施するためのロボットの動特性モデ
ル説明図。
【図3】動力伝達効率の非線形性を示す図。
【符号の説明】
1 加算器 2 オブザーバ 11 サーボモータ 12 バネ 13 ダンパ 14 動力伝達機構 15 ロボットアーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 11/32 - 11/36 G05B 13/02 - 13/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動部と負荷が動力伝達機構を介して結合
    されている機械系の前記負荷の状態を推定するに際し、
    前記機械系の動特性および外乱モデルから構成される制
    御モデルとオブサーバとを用いて推定して前記機械系を
    制御するオブザーバ制御方式において、前記制御モデル
    には前記駆動部から前記負荷に至る伝達径路の間に前記
    動力伝達機構の伝達率を設定する第1の定数を設け、前
    記負荷から前記駆動部に至る負帰還伝達径路の間に前記
    動力伝達機構の伝達率を設定する第2の定数を設けたこ
    とを特徴とするオブザーバ制御方式。
  2. 【請求項2】前記動力伝達機構の第1および第2の定数
    は所定のロジスティック関数からオンラインで変化させ
    ることを特徴とする請求項1に記載のオブザーバ制御方
    式。
  3. 【請求項3】前記外乱モデルは、少なくとも前記動力伝
    達機構で発生するトルクむらによる非線形項を含むこと
    を特徴とする請求項1または2記載のオブザーバ制御方
    式。
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