JP3282991B2 - 簡易エスカレータ装置 - Google Patents

簡易エスカレータ装置

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JP3282991B2
JP3282991B2 JP21362597A JP21362597A JP3282991B2 JP 3282991 B2 JP3282991 B2 JP 3282991B2 JP 21362597 A JP21362597 A JP 21362597A JP 21362597 A JP21362597 A JP 21362597A JP 3282991 B2 JP3282991 B2 JP 3282991B2
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tread plate
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Hitachi Building Systems Co Ltd
Nippon Fillestar Co Ltd
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Hitachi Building Systems Co Ltd
Nippon Fillestar Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駅、病院、学校お
よび住宅などに備えられる既設の階段に設置することが
できる簡易エスカレータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、駅および庁舎などの公共施設に
は、エスカレータが備えられているけれども、まだ設置
箇所数が少なく、やむなく既設の階段を利用している場
合が多い。また、高齢者および身体障害者を擁する家庭
にもエスカレータの設置が望まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そのため、既設の階段
にエスカレータを増設すればよいのであるが、新たにエ
スカレータを設けるには、工事が大掛かりになり、改造
コストも高価になってしまうという問題がある。
【0004】また駅などの既設の階段にエスカレータを
設置する場合には、コンクリート製の階段を削った後、
再びコンクリートを打設してエスカレータを一体に既設
の階段に組込むように工事を行うため、設置後にエスカ
レータを簡単に取外すといったことは不可能である。た
とえば駅などで利用する場合に人通りが多く混雑するラ
ッシュ時にはエスカレータを取外して階段として利用す
るといったように必要に応じて簡単にエスカレータの取
付け、および取外しを行うといったことはできない。
【0005】上述のような大掛かりな工事を必要とせず
に既設の階段に設置することができる簡易エスカレータ
装置が、特公昭48−19996号公報に開示されてい
る。
【0006】図22は、この簡易エスカレータ装置1を
示す一部の断面図である。簡易エスカレータ装置1は、
予め定める循環経路に沿って設けられる複数の踏板3を
駆動ギヤ2によって循環駆動する。各踏板3は案内レー
ル4に沿って案内され、使用者が乗る上循環領域ではほ
ぼ水平の状態で案内される。
【0007】この簡易エスカレータ装置1には、ゴムま
たは合成樹脂から成り、無端環状の帯状の蹴込みカバー
部材6が、各踏板3の裏面側で、前記循環経路の全長に
わたって張架して設けられる。各踏板3の裏面側の後端
部3aにはローラ5が設けられ、そのローラ5から下段
の踏板3の前端部3bに張架される蹴込みカバー部材6
の各張架部分が蹴込み板として機能し、踏板3間に足な
どが入って挟まれるといったことが防がれる。
【0008】このような簡易エスカレータ装置1では、
踏板3が上昇し、各踏板3の隙間が減少するときに蹴込
みカバー部材6が矢符7で示すように踏板3の裏面に引
込まれる。しかも蹴込みカバー部材6は可撓性および弾
発性を有するので、足先などで押すことによって容易に
内側にたわみ、蹴込みカバー部材6と踏板3との間に衣
服の端や小物などが挟まる場合がある。このように挟ま
れた状態で踏板3が上昇した場合には、蹴込みカバー部
材6とともに衣服や小物が踏板3の裏面側に引込まれる
恐れがあり、安全性が低いといった問題を有する。
【0009】本発明の目的は、既設の階段に容易に設置
しかつ取外すことができるとともに、安全性が向上した
蹴込み板を有する簡易エスカレータ装置を提供すること
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、予め定められ
る循環経路に沿って循環する複数の踏板と、前記各踏板
を、使用者が乗載する少なくとも上循環領域では、乗載
面をほぼ水平に保った状態で循環駆動する循環駆動手段
と、上循環領域で、各踏板間の上下方向の隙間を塞ぐ蹴
込み板とを含み、上層フロアと下層フロアとにわたって
設けられる既設の階段に、簡易取付手段によって取付け
および取外し可能に設置されることを特徴とする簡易エ
スカレータ装置である。
【0011】本発明に従えば、たとえば上循環領域で下
層フロアから上層フロアに各踏板が移動するように循環
駆動手段によって各踏板を循環駆動することによって、
下層フロアから踏板に乗った使用者は上層フロアに移動
することができる。各踏板間の上下方向の隙間は蹴込み
板によって塞がれるので、上層フロア近傍まで上昇し、
上段の踏板と下段の踏板との隙間が減少したとしても、
踏板上の使用者の足先などが上段の踏板と下段の踏板と
の間に挟まれるといったことが防がれ、安全である。こ
のような簡易エスカレータ装置は、既設の階段に、簡易
取付手段によって設置されるので、大掛かりな工事をす
ることなく、既設の階段に簡単にエスカレータを設置す
ることができる。またこの簡易エスカレータ装置は取外
し可能に設けられるので、たとえば駅などで使用する場
合、ラッシュアワーなど人の出入りが多いときには本簡
易エスカレータ装置を容易に取外すことができる。
【0012】また本発明は、前記踏板の下層フロア寄り
の一側部に水平軸線まわりに回動自在に軸支される回動
軸と、前記回動軸に基端部が固定され、踏板の上層フロ
ア寄りの他側部の水平軸線を中心として円弧状に湾曲
し、遊端部が踏板に近接する退避位置と、下層フロア側
に隣接する踏板との隙間を塞ぐ突出位置とにわたって傾
転自在に設けられる蹴込み板と、蹴込み板が突出位置か
ら退避位置へ傾転する方向に対応する回動方向に前記回
動軸を回動させるカム部材と、蹴込み板が下循環領域で
退避位置に傾転して配置されるように前記カム部材を案
内する案内手段とを含むことを特徴とする請求項1記載
の簡易エスカレータ装置である。
【0013】本発明に従えば、蹴込み板は上循環領域で
各踏板間の上下方向の隙間を塞ぐ。たとえば上循環領域
で各踏板が下層フロアから上層フロアに移行するように
循環するとき、水平となる上層フロア近傍まで踏板が上
昇すると、前方の踏板に対してその直後に後続する踏板
は、前方の踏板に対して相対的に上昇し、上下方向の隙
間が減少することとなる。このとき、蹴込み板は踏板の
他側部の水平軸線を中心として円弧状に湾曲して形成さ
れるので、後続する踏板の他側部は前方の踏板の蹴込み
板に沿って上昇し、蹴込み板と後続する踏板の他側部と
の水平方向の隙間が大きくなることが防がれて常に一定
に保たれる。同様に、水平となる下層フロア近傍の踏板
が上昇しはじめるときにおいても、前方の踏板の蹴込み
板と後続する踏板との水平方向の隙間が常に一定に保た
れる。また従来の簡易エスカレータ装置のように踏板の
裏面に踏込みカバー部材が引込まれる構造ではないの
で、衣服が引込まれるといったことが防がれ、安全性が
さらに向上される。
【0014】また案内手段はカム部材および回動軸を介
して下循環領域で蹴込み板が踏板に近接する退避位置に
傾転して配置されるように案内するので、これによって
下循環領域の踏板と階段との隙間および下循環領域と上
循環領域との間隔を小さくすることができる。したがっ
て、簡易エスカレータ装置を薄形に形成することがで
き、これによって既設の階段に簡易エスカレータ装置を
設置したとしても、天井までの空間を充分に確保するこ
とができる。
【0015】また本発明は、前記各踏板の下層フロア寄
りの一側部に、循環方向に垂直な幅方向に延びる挿入孔
が形成され、前記挿入孔には、前記蹴込み板が上下に変
位自在に挿入され、下循環領域には、この下循環領域に
沿って各蹴込み板を各踏板から上方に押上げた状態で下
循環領域に沿って案内する案内手段が設けられることを
特徴とする。
【0016】本発明に従えば、各踏板の挿入孔には蹴込
み板が挿入されるので、上循環領域では前記蹴込み板に
よって、下層フロア寄りに隣接する下段の踏板との間の
隙間が塞がれる。このように本発明の簡易エスカレータ
装置では、図22に示される前述の簡易エスカレータ装
置と異なり、可撓性を有する蹴込みカバー部材が踏板の
裏面に引き込まれる構造ではなく、上下に変位自在の蹴
込み板によって足先が踏板間に入ることが防がれるの
で、従来技術の簡易エスカレータ装置のように衣服など
が引き込まれるといったことが防がれ、安全性が向上す
る。また下循環領域では、各蹴込み板を上方に押し上げ
た状態で各蹴込み板を下循環領域に沿って案内する案内
手段が設けられるので、各蹴込み板は下循環領域で踏板
から下方に突出することが防がれる。これによって設置
する階段と下循環領域の踏板との間隔を可及的に小さく
することができ、簡易エスカレータ装置の薄形化を図る
ことができる。このように薄形化することによって、天
井空間の少ない階段であっても本発明の簡易エスカレー
タ装置を好適に実施することができる。
【0017】また本発明は、前記踏板の下層フロア寄り
の一側部または上層フロア寄りの他側部には、循環方向
に垂直な幅方向に延びる挿入孔が形成され、前記挿入孔
には、上下に変位可能に蹴込み板が挿入され、各蹴込み
板には、上下方向に延びるラックが固定され、前記踏板
の乗載面とは反対側の裏面には、前記ラックに噛合し、
上循環領域では、蹴込み板が隣接する踏板との前記隙間
を塞ぐように回転駆動するとともに、下循環領域では、
蹴込み板が踏板から上方に突出するように回転駆動する
ピニオンが設けられることを特徴とする。
【0018】本発明に従えば、各踏板の挿入孔には上下
に変位可能に蹴込み板が挿入され、上循環領域では蹴込
み板に固定されるラックに噛合するピニオンが回転駆動
して、隣接する踏板との隙間を防ぐように蹴込み板を変
位させる。これによって使用者の足先が踏板間に挟まれ
るといったことが防がれ、安全である。また従来の簡易
エスカレータ装置のように踏板の裏面に踏込みカバー部
材が引込まれる構造ではないので、衣服が引込まれると
いったことが防がれ、安全性がさらに向上される。また
下循環領域では、蹴込み板が踏板から上方に突出するよ
うにピニオンが回転駆動するので、下循環領域で蹴込み
板が踏板から下方に突出するといったことが防がれ、こ
れによって簡易エスカレータ装置の薄形化が図られる。
【0019】
【0020】
【0021】また本発明は、前記踏板の下層フロア寄り
の一側部に、基端部が角変位自在に連結され、遊端部が
踏板に近接する退避位置と、隣接する踏板との隙間を塞
ぐ突出位置とにわたって傾転自在に設けられる蹴込み板
と、踏板と蹴込み板との間に介在され、予め定められる
中立位置よりも退避位置側に押圧された場合に蹴込み板
を退避位置に弾発的に傾転させ、前記中立位置よりも突
出位置側に押圧された場合に、蹴込み板を突出位置に弾
発的に傾転させる傾転手段と、前記傾転手段を、上循環
領域では中立位置よりも突出位置側に押圧し、下循環領
域では中立位置よりも退避位置側に押圧する案内手段と
を含むことを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、蹴込み板は踏板の一側部
に角変位自在に連結され、傾転手段は蹴込み板を退避位
置および突出位置のいずれか一方に弾発的に傾転させ
る。案内手段は、前記傾転手段を上循環領域で中立位置
よりも突出位置側に押圧して蹴込み板を突出位置に弾発
的に傾転させて下段の踏板との隙間を防ぎ、また下循環
領域では中立位置よりも退避位置側に傾転手段を押圧
し、これによって下循環領域では蹴込み板は踏板に近接
する退避位置に弾発的に傾転させる。これによって蹴込
み板によって足先が挟まれることが防がれ、安全であ
る。また従来の簡易エスカレータ装置のように踏板の裏
面に踏込みカバー部材が引込まれる構造ではないので、
衣服が引込まれるといったことが防がれ、安全性がさら
に向上される。
【0023】また蹴込み板は下循環領域では踏板側に退
避するので、下循環領域で蹴込み板が踏板から下方に突
出するといったことが防がれ、これによって下循環領域
で踏板と階段との間隔を小さくすることができ、簡易エ
スカレータ装置の薄形化を図ることができる。また下循
環領域で蹴込み板が踏板よりも上方に突出するといった
ことが防がれるので、上循環領域の踏板と下循環領域の
踏板との間隔を小さくすることができ、簡易エスカレー
タ装置をさらに薄形化することができる。
【0024】また本発明の前記簡易取付手段は、既設の
階段に取付けおよび取外し可能に固定されるブラケット
と、循環駆動手段を予め定める角度に傾斜した状態で下
方から変位調節可能に支持し、前記ブラケットに固定さ
れる取付部とを含むことを特徴とする。
【0025】本発明に従えば、簡易エスカレータ装置を
階段に設置する場合にはまず簡易取付手段のブラケット
を階段に固定し、このブラケットに固定される取付部に
よって循環駆動手段を支持して簡易エスカレータ装置を
設置する。取付部は循環駆動手段を予め定める角度に傾
斜した状態で下方から変位調節可能に支持するので、設
置すべき階段に拘わらず、簡易エスカレータ装置を所定
の傾斜角度に設置することができる。このような簡易取
付手段によって簡易エスカレータ装置を既設の階段に取
付けられるので、大掛かりな設置工事を必要としない。
また、簡易取付手段のブラケットは階段に取付けおよび
取外し可能に固定されるので、簡易エスカレータ装置が
不必要なときにはブラケットを階段から取外して簡易エ
スカレータ装置を撤去することによって、簡易エスカレ
ータ装置が設置された前記階段を簡単に通常の階段とし
て使用することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
る簡易エスカレータ装置11の構造を模式的に示す断面
図であり、図2は図1の切断面線II−IIから見た断
面図である。簡易エスカレータ装置11は、上層の床面
近傍である上層フロア15と下層の床面近傍である下層
フロア16とにわたって設けられる既設の階段17に設
置され、予め定められる循環経路に沿って循環する複数
の踏板12と、各踏板12を、使用者を乗載する少なく
とも上循環領域では、乗載面22をほぼ水平に保った状
態で循環駆動する循環駆動手段13とを含んで構成され
る。上循環領域では、各踏板12間の上下方向の隙間が
蹴込み板14によって覆われ、各踏板12間に使用者の
足先などが入って挟まれるといったことが防がれる。こ
のような簡易エスカレータ装置11は、循環駆動手段1
3の支持フレームユニット30に設けられる簡易取付手
段35によって、既設の階段17に取外し可能に固定さ
れる。
【0027】循環駆動手段13は、上層フロア15側に
設けられる上部スプロケット18と、下層フロア16側
に設けられる下部スプロケット19と、各スプロケット
18,19間にわたって張架される無端環状の駆動チェ
ーン20と、上部スプロケット18を回転駆動するモー
タ21と、これらを収納して支持する支持フレームユニ
ット30とを含んで構成される。上部スプロケット18
は、幅方向(図1の紙面に垂直方向)に一対設けられ、
各上部スプロケット18は、それぞれ支持フレームユニ
ット30に同軸に軸支される。下部スプロケット19も
同様に、幅方向に間隔をあけて一対設けられ、上部スプ
ロケット18の回転軸線に平行な回転軸線を有し、それ
ぞれ支持フレームユニット30に回転自在に軸支され
る。駆動チェーン20も同様に一対設けられ、それぞれ
上部スプロケット18から下部スプロケット19にわた
って張架される。
【0028】前記循環駆動手段13のモータ21を駆動
させることによって、上循環領域で各踏板12が図1で
矢符Aで示される循環方向A、すなわち下層フロア16
から上層フロア15に向けて移動するように駆動され
る。またモータ21を逆転させることによって、上循環
領域で各踏板12が矢符A方向とは反対方向に移動する
ように循環駆動することができる。
【0029】支持フレームユニット30は、階段17上
に載置される底壁フレーム32と、底壁フレーム32の
幅方向両側で上方に垂直に立上がる一対の側壁フレーム
31と、上層フロア15上に載置される上層カバー33
と、下層フロア16上に載置される下層カバー34とを
含んで構成される。下層カバー34の天板は段状に形成
され、上段34aの先端部は、下循環領域から上循環領
域に折り返されてほぼ水平となった踏板12に向けて水
平に突出し、使用者はこの上段34aから前記踏板12
に容易に乗り移ることができる。同様に上層カバー33
も天板が段状に形成され、上循環領域の最上部の踏板1
2に向けて上段33aがほぼ水平に突出し、踏板12か
ら上段に使用者は容易に乗り移ることができる。
【0030】各踏板12の下層フロア16寄りの一端部
12aには、幅方向に間隔をあけて一対の水平移行用ロ
ーラ24が、水平な回転軸線まわりに回転自在に設けら
れる。また各踏板12の他端部12bには、幅方向両側
で前記一対の駆動チェーン20がそれぞれ角変位自在に
連結される。前記各水平移行用ローラ24は、各側壁フ
レーム31に循環経路に沿って設けられる一対の水平移
行用レール25上に載置され、踏板12の他端部12b
が駆動チェーン20によって上循環領域で循環方向Aに
駆動されるときに、踏板12の一端部12a側の設けら
れる水平移行用ローラ24が水平移行用レール26に沿
って案内され、踏板12は上循環領域で乗載面22がほ
ぼ水平となった状態で移行する。また下循環領域では、
各側壁フレーム31に固定され、循環経路に沿って延び
る一対の下案内レール26に水平移行用ローラ24は案
内される。
【0031】各踏板12の一側部12aおよび他側部1
2bにはそれぞれ幅方向に延びる挿入孔38,39がそ
れぞれ形成され、各挿入孔38,39にはそれぞれ上蹴
込み板36および下蹴込み板37が上下方向に変位自在
に挿入される。上および下蹴込み板36,37はそれぞ
れ上端部が拡開する係止部40,41が設けられ、自然
状態では上および下蹴込み板36,37は、各係止部4
0,41が踏板12の乗載面22上に係止されて垂下さ
れる。
【0032】上循環領域と下循環領域との間には、循環
経路に沿って延びる板状の蹴込み板案内手段42が、各
側壁フレーム31に両側部を固定して、駆動チェーン2
0の上張架部分にほぼ平行に設けられる。上循環領域で
は、踏板12の他端部12bに設けられる下蹴込み板3
7が、下端部を前記蹴込み板案内手段42によって上方
に押し上げられた状態で、上循環領域に沿って案内され
る。このとき上蹴込み板36は、係止部40によって上
端部が係止されて垂下された状態にある。したがって、
上循環領域では常に互いに隣接する各踏板12の間の隙
間は、上層フロア15寄りの踏板12の上蹴込み板36
と下層フロア16側の踏板12の下蹴込み板37とによ
って塞がれる。また蹴込み板案内手段42の下端部43
は、図1に示されるように下層フロア16に近接するに
つれて駆動チェーン20から下方に離反して設けられ
る。したがって、踏板12が下循環領域から上循環領域
に折り返されたとき、踏板12の他端部12bから垂下
する下蹴込み板37の下端部が、蹴込み案内手段42の
下端部43に沿って案内される。これによって踏板12
が下層フロア16から上昇し始め、互いに上下に隣接す
る踏板12の間の隙間が大きくなるにつれて、下蹴込み
板37が蹴込み板案内手段42の下端部43に案内され
て上方に突出し、踏板12間の隙間を確実に塞ぐことが
できる。これと同様に、蹴込み板案内手段42の上端部
44も、上層フロア15に近接するにつれて駆動チェー
ン20から下方に離反するように設けられる。したがっ
て、踏板12が上循環領域で上層フロア15に近接し、
互いに上下に隣接する踏板12間の隙間が小さくなるに
つれて、下蹴込み板37の下端部が蹴込み板案内手段4
2の上端部44に沿って下方に案内され、これによって
徐々に小さくなる各踏板間の隙間に応じて下蹴込み板3
7が下方に変位することとなる。
【0033】このような下蹴込み板37は、蹴込み板案
内手段42によって案内される構成に限らず、下蹴込み
板37の係止部41が、上蹴込み板36の下端部に係合
するように構成し、これによって各踏板12間の隙間が
大きくなるにつれて上蹴込み板36によって下蹴込み板
37を引き上げて各踏板12間の隙間を塞ぐように構成
してもよい。
【0034】上循環領域から下循環領域へ折り返された
とき、踏板12の各上および下蹴込み板36,37はそ
れぞれ案内手段として機能する底壁フレーム32によっ
て上方に押し上げられ、踏板12から各上および下蹴込
み板36,37が上方に突出した状態で下層フロア16
まで案内される。このように下循環領域では、各蹴込み
板36,37は、それぞれ踏板12から上方に突出して
案内されるので、下循環領域の踏板12と底壁フレーム
32との間隔を小さくでき、簡易エスカレータ11の薄
形化が図られる。また蹴込み板14は、上蹴込み板36
と下蹴込み板37とによって構成されるので、下循環領
域で踏板12から上方に突出する各蹴込み板36,37
の突出量が小さくなり、これによって蹴込み板14が1
枚である場合に比べて上循環領域の踏板12と下循環領
域の踏板12との間隔を小さくすることができ、これに
よってさらに簡易エスカレータ装置11の薄形化が図ら
れる。また蹴込み板14が蹴込み板案内手段42および
底壁フレーム31にスムーズに案内されるように、蹴込
み板14の下端部にローラを設けるように構成してもよ
い。
【0035】簡易エスカレータ装置11の支持フレーム
ユニット30は、複数、本実施形態では3個の簡易取付
手段35によって階段17に取外しおよび取付け可能に
固定される。簡易取付手段35は、階段17にたとえば
アンカーボルト47によって取外し可能に固定される基
部45と、基部45の幅方向両側部に設けられる三角板
状の一対の階段係止用脚部46とを有し、この階段係止
用脚部46はそれぞれたとえばボルト48によって支持
フレームユニット30の底壁フレーム32に固定され
る。このような簡易取付手段35によって、簡易エスカ
レータ装置11が階段17に確実に固定される。簡易エ
スカレータ装置11を階段17から取外す場合には、前
記アンカーボルト47の植込みアンカーからボルトを取
外すことによって容易に取外すことができる。
【0036】このような簡易取付手段35は、上述のよ
うな構成に限らず、アンカーボルトに代えてコンクリー
トボルトであってもよく、また基部45に固定的に設け
られる三角板状の階段係止用脚部46に代えて、角変位
可能に階段係止用脚部46を基部45に設け、設置する
階段の傾斜角度に応じて角変位させて取付けるように構
成してもよい。
【0037】また、簡易取付手段35の基部45が階段
17に固定的に取付けられるのでなく、階段に載置する
たけの構成であってもよい。これによって取付け、取外
しがさらに容易になるので、特に一時的に使用する場合
に好適に実施することができる。この場合、基部45は
板状に限らず、脚部46に連結される棒状体としてもよ
い。また簡易取付手段35が支持フレームユニット30
に折畳み可能または着脱可能に設けられるように構成し
てもよい。これによって収納時に出っ張ることがなくな
り、収納しやすくなる。
【0038】図3は、簡易エスカレータ装置11の下端
部近傍を示す断面図である。踏板12に設けられる水平
移行用ローラ24は大径の大ローラ28と小径の小ロー
ラ27とを有し、それぞれ係止片29に回転自在に軸支
され、この係止片29は踏板12の一側部12aの幅方
向両端部に支持軸49を介して角変位自在に踏板12に
連結される。このように踏板12は2つのローラ27,
28によって支持されるので、ぐらつくことなく安定し
て水平移行用レール25に沿って案内される。また、踏
板12は前記係止片29を介して水平移行用レール25
よりも下方に配置されるので、さらに安定性が向上され
る。
【0039】下部スプロケット19近傍には、水平移行
用レール25の後端部(図3における右方)25aから
下案内レール26の後端部26aにわたって、下部案内
レール50が設けられる。下部案内レール50は一対の
側壁フレーム31にそれぞれ上端部が、水平軸線まわり
に角変位自在にヒンジ51によって連結され、下方にな
るにつれて後方となるように傾斜して設けられる。各下
部案内レール50は、後端部52が後方に湾曲し、自然
状態では後端部52が下案内レール26上に載置されて
下案内レール26に滑らかに連なる。図3(a)に示さ
れるように、踏板12が後方に移行すると、水平移行用
ローラ24の後方に設けられる大径の大ローラ27が下
部案内レール50の後端部52を上方に押し上げる。さ
らに後方に移行して水平移行用ローラ24が下部案内レ
ール50の後端部52を通過すると、後端部52は下案
内レール26上に落ちて載置されることとなる。踏板1
2の他端部12bが下部スプロケット19に巻回される
駆動チェーン20によって前方に移行すると、図3
(b)に示されるように水平移行用ローラ24が下部案
内レール50の下端部52上に乗載されて下部案内レー
ル50に沿って上方に案内される。さらに踏板12が前
方に移行すると、水平移行用ローラ24は下部案内レー
ル50の上端部から水平移行用レール25の後端部25
aに乗り移り、水平移行用レール25に沿って案内され
ることとなる。このように下循環領域から上循環領域に
折り返される際、踏板12が回転して裏返えされること
なく、常に乗載面22を上方に臨んだ状態で折り返され
るので、折返し地点で構成が上下方向に大きくなってし
まうといったことが防がれ、簡易エスカレータ装置11
の薄形化が図られる。
【0040】図4は、簡易エスカレータ装置11の上端
部近傍を示す断面図である。上部スプロケット18と循
環駆動手段13のモータ21との間には、上部スプロケ
ット18の回転軸線に平行な回転軸線を有し、モータの
駆動力を分配する中間軸55が設けられ、モータ21は
この中間軸55を回転駆動する。この中間軸55の幅方
向両端部には、それぞれプーリ56が設けられ、各プー
リ56は一対の上部スプロケット18にそれぞれ同軸に
設けられる一対のプーリ57をベルト58を介して回転
駆動し、このプーリ57によって上部スプロケット18
は回転駆動される。
【0041】図4に示されるように、各水平移行用レー
ル25に沿って案内される各水平移行用ローラ24はそ
れぞれ一対の駆動チェーン20よりも内側に配置され、
上部スプロケット18の手前で途切れており、この水平
移行レール25の下方には、水平移行用レール25の前
端部25bよりも前方(図4における上方)に延びる下
案内レール26が設けられる。したがって、上循環領域
で前方に案内された踏板12の水平移行用ローラ24
が、水平移行用レール25の前端部25bまで達する
と、水平移行用ローラ24が水平移行用レール25から
下案内レール26の上端部26aに落ちる。この下案内
レール26の上端部26aは、図1に示されるように水
平移行用レール25の前端部25b近傍から底壁フレー
ム32にわたって傾斜して設けられ、踏板12の一端部
12bをスムーズに案内することができる。このように
して、踏板12は上部スプロケット18で裏返して折り
返されることなく、乗載面22を上方に臨んだ状態で折
り返される。これによって簡易エスカレータ装置11の
薄形化が図られる。
【0042】また本実施形態では、無端環状の駆動チェ
ーンとして上側と下側に駆動チェーンが存在するように
構成したが、簡易エスカレータ装置11の上端部または
下端部にチェーン巻取装置を設け、駆動チェーンを支持
フレームユニット30の上側のみとする構成であっても
よい。これによってさらに薄形化することができる。
【0043】図5は、本発明の実施の他の形態である簡
易エスカレータ装置61の構造を模式的に示す断面図で
ある。なお図1〜図4に示される簡易エスカレータ装置
11に対応する構成には、同一の参照符号を付す。踏板
12の下層フロア16寄りの一側部12aに、循環方向
Aに垂直な幅方向に延びる挿入孔38が形成され、この
挿入孔38には、上下に変位可能に蹴込み板67が挿入
される。この蹴込み板67は、上循環領域で下層フロア
16側に隣接する踏板12との上下方向の隙間を塞ぐだ
けの高さを有する。各蹴込み板67の内面には、上下方
向に延びるラック62が幅方向両側にそれぞれ固定さ
れ、踏板12の裏面23には、前記各ラック62に噛合
する一対のピニオン63が設けられる。したがって各ピ
ニオン63を回転駆動することによって、前記ラック6
2を介して蹴込み板67を上方および下方に変位駆動す
ることができる。このようなピニオン63の駆動手段と
しては、たとえば各ピニオン63に電気モータを備え、
上循環領域では下段の踏板12との上下方向の隙間を防
ぎ、下循環領域では上方に変位させるように制御しても
よいが、図5に示されるように、下部案内レール50お
よび下案内レール26の上端部26a近傍に、下部案内
レール50および下案内レール26の上端部26aに沿
って踏込み板駆動ラック65,66を下方に臨んで設け
るように構成してもよい。駆動ラック66を設けること
によって、下案内レール26の上端部26aに沿って踏
板12が上循環領域から下循環領域に案内される際、踏
板12に設けられるピニオン63に前記駆動ラック66
が上方から噛合し、踏板12の一側部12aが水平移行
用ローラ24によって下案内レール26の上端部26a
に沿って後方(図5において右方)に移動するととも
に、駆動ラック66に噛合するピニオン62が図5にお
いて反時計まわりに回転駆動し、このピニオン62に噛
合するラック62を介してこれによって蹴込み板67は
上方に変位駆動することとなる。このようにして下循環
領域では蹴込み板67は上方に変位した状態で底壁フレ
ーム32に沿って案内されるので、簡易エスカレータ装
置61の薄形化が図られる。
【0044】上述と同様に、下循環領域から上循環領域
に踏板12が折り返される際にも、踏板12の一側部1
2aに設けられる水平移行用ローラ24が下部案内レー
ル50に沿って前方(図5において左方)に案内される
とともに、ピニオン63に駆動ラック66が上方から噛
合することによって、ピニオン63は図5において時計
まわりに回転駆動し、このピニオン63に噛合するラッ
ク62を介して蹴込み板67は下方に変位することとな
る。したがって、上循環領域では蹴込み板67は下方に
変位した状態となり、隣接する下段の踏板12との隙間
を完全に塞ぐことができる。また図5に示されるように
ラック66は、上端部が上方に僅かに湾曲し、下案内レ
ール26の上端部26aに沿って移動する踏板12のピ
ニオン63にスムーズに噛合するように構成されてい
る。ラック65においても同様に下端部が上方に湾曲
し、これによってピニオン63がスムーズに噛合するよ
うに構成されている。
【0045】このように構成することによって、各踏板
12にそれぞれ設けられるモータなどの駆動手段および
これらを制御する制御手段を設けることなく、蹴込み板
67の変位駆動を容易に行うことができる。
【0046】図6は、本発明の実施のさらに他の形態で
ある簡易エスカレータ装置71の構造を模式的に示す断
面図である。なお図1〜図4に示される簡易エスカレー
タ装置11に対応する構成には、同一の参照符号を付
す。簡易エスカレータ装置71では、踏板12の上層フ
ロア15寄りの他側部12bに、ヒンジ73によって角
変位自在に蹴込み板72が連結される。この蹴込み板7
2には、蹴込み板72に対してほぼ垂直に内方に突出す
る錘74が固定され、これによって自然状態では蹴込み
板72はほぼ水平となるように設けられる。また蹴込み
板72の先端部には、案内ローラ75が設けられ、上循
環領域では前記案内ローラ75に当接し、蹴込み板72
が上段の踏板12との隙間を防ぐように案内する案内手
段76が、上循環領域に沿って設けられる。
【0047】図7は、蹴込み板72が前記蹴込み板案内
手段76に当接するときの状態を示す側面図である。下
循環領域から上循環領域に折り返されたときの踏板12
の蹴込み板72は、前述のように錘74の作用によって
ほぼ水平となる。このような状態で踏板12が前方(図
7において左方)に移行すると、蹴込み板72の内面7
2aと蹴込み板案内手段76の上面76aとの成す角θ
がθ<90゜となるので、蹴込み板72は蹴込み板案内
手段76に沿って上方にスムーズに立上がることとな
る。蹴込み板案内手段76の下端部76aは、図6に示
されるように下層フロア16から上昇し踏板12の隙間
が大きくなるにつれて、蹴込み板72が立上がり、前記
隙間を常に覆うように傾斜が大きくなっている。また蹴
込み板案内手段76の中間部76bは、水平移行用レー
ル25とほぼ平行になり、蹴込み板72が踏板12間の
隙間を塞ぐように蹴込み板72を案内する。また蹴込み
板案内手段76の上端部は、水平となって移行する踏板
に応じてほぼ水平となり、これによって蹴込み板72が
角変位して前記隙間を塞ぐ。
【0048】また上循環領域から下循環領域へ踏板12
が折り返される際には、上層フロア15寄りの前方の踏
板12の一側部12aが後方の踏板12の蹴込み板72
の先端部を押し下げて、下循環領域に折り返される。
【0049】上循環領域から下循環領域に折り返された
踏板12は、下循環領域で下層フロア16寄りに隣接す
る踏板12の蹴込み板72の上に踏板12が乗った状態
となり、蹴込み板72は下循環領域では底壁フレーム3
2にほぼ平行となる。このように蹴込み板72は上循環
領域では上方に立上がり、各踏板12間の隙間を塞ぎ、
下循環領域では底壁フレーム32にほぼ平行となるよう
に寝た状態となるので、上循環領域での踏板12と下循
環領域での踏板12との間隔を小さくすることができ、
簡易エスカレータ装置71の薄形化を図ることができ
る。
【0050】またこのように自然状態でほぼ水平となる
蹴込み板72の構成は、錘74によって実現されるだけ
でなく、蹴込み板72と踏板12との間に捩りばねを介
在させ、これによって自然状態で蹴込み板72がほぼ水
平となるように角変位自在に支持してもよい。
【0051】また蹴込み板72の高さを半分とし、各踏
板12の一側部に挿入孔38を形成し、この挿入孔38
に図1〜図4に示される簡易エスカレータ装置11に設
けられる上蹴込み板36を挿入し、これらの上蹴込み板
36および蹴込み板72によって上循環領域で踏板12
間の隙間を塞ぐようにしてもよい。このように構成する
ことによって上循環領域の上端部近傍および下端部近傍
で踏板12間の隙間が小さくなるのに応じて蹴込み板7
2が傾いた場合であっても、上蹴込み板36が前記隙間
を垂直に塞ぐことができる。
【0052】図8は本発明の実施のさらに他の形態であ
る簡易エスカレータ装置81の構造を模式的に示す断面
図であり、図9は簡易エスカレータ装置81の踏板88
近傍を拡大して示す側面図である。踏板88は、下層フ
ロア16寄りの一側部88aで、下方に立下がり幅方向
に延びる後部立下がり部95と、踏板88の幅方向両側
部から立下がり、幅方向に垂直な縦方向に延びる一対の
側部立下がり部96とを有し、前記後部立下がり部95
の下端部に蹴込み板82が、ヒンジ97を介して角変位
自在に連結される。
【0053】踏板88の後部立下がり部95に、蹴込み
板82の基端部82aが角変位自在に連結される。蹴込
み板82は蹴込み板82の両側部で立下がり、幅方向に
垂直な縦方向に延びる側部立下がり部98がそれぞれ形
成される。蹴込み板82は、蹴込み板82の遊端部82
bが踏板88の裏面に近接し、蹴込み板82が踏板88
の前記各側部立下がり部96間に収納される退避位置
と、蹴込み板82の他側部82bが踏板88から離反
し、下段の踏板88との隙間を塞ぐ突出位置とにわたっ
て角変位自在に設けられる。
【0054】図10は蹴込み板82が突出位置にある状
態を示す断面図であり、図11は蹴込み板82が退避位
置にある状態を示す断面図である。踏板88と蹴込み板
82との間には、蹴込み板82を退避位置および突出位
置のいずれか一方に弾発的に傾転させる傾転手段86が
設けられる。傾転手段86は、カム部材89とアーム9
0と引張りコイルばね91とを有し、アーム90は踏板
88の幅方向両側部にそれぞれ設けられ、基端部90a
に固定される支持軸49が踏板88の側部立下がり部9
6に、踏板88の一側部88a近傍で角変位自在に連結
される。
【0055】蹴込み板82の他側部82b付近には、各
側部立下がり部98にそれぞれ縦方向に延びる長孔92
がそれぞれ形成され、これらの長孔92に、前記アーム
90の先端部90bに設けられるピン99が嵌まり込
む。
【0056】引張コイルばね91は、踏板88の幅方向
両側部にそれぞれ設けられ、基端部91aが踏板88の
一側部88aで、側部立下がり部96に角変位自在に連
結され、先端部91bが前記アーム90の先端部90b
に設けられるピン99に角変位自在に連結される。アー
ム90の基端部90aは、引張コイルばね91の基端部
91aよりも踏板88の他側部88b寄りに設けられ、
アーム90の基端部90aに設けられる支持軸4aの角
変位軸線101と、引張コイルばね91の基端部91a
の角変位軸線102とを結ぶ直線が踏板88と成す角α
は約45°に選ばれ、この位置が中立位置87となる。
【0057】図10に示される突出位置では、引張コイ
ルばね91は蹴込み板82が図10において反時計まわ
りに角変位するように作用し、アーム90のピン99
が、蹴込み板82の長孔92の踏板88の一側部88a
寄りの一端部92aに係止され、蹴込み板82が踏板8
8に対して90°以上角変位することを妨げている。こ
れによって、蹴込み板82は下段の踏板88との隙間を
塞ぐ突出位置に係止される。このような状態からアーム
90が図10において時計まわりに角変位し、前記中立
位置87に達すると、アーム90と引張コイルばね91
とが同一直線状となり、引張コイルばね91は蹴込み板
82を退避位置または突出位置のいずれにも蹴込み板8
2を傾転させるように作用せず、この中立位置87から
さらに時計まわりにアーム90が角変位すると、引張コ
イルばね91が蹴込み板82を退避位置側に傾転するよ
うに作用し、図11に示されるように蹴込み板は退避位
置に弾発的に傾転して係止される。このとき、アーム9
0の先端部90bに設けられるピン99は、蹴込み板8
2の長孔92の他端部92bに当接し、これによって蹴
込み板82は退避位置に係止される。
【0058】前記アーム90の基端部90aに設けられ
る支持軸49は、踏板88の両側部に設けられる側部立
下がり部96から外方にそれぞれ突出し、水平移行用ロ
ーラ24を係止する係止片29を角変位自在に軸支する
とともに先端部にカム部材89がそれぞれ固定される。
したがってカム部材89を角変位することによってアー
ム90が角変位し、これによって蹴込み板82を退避位
置および突出位置のいずれか一方に弾発的に傾転させる
ことができる。
【0059】図12は、カム部材89の動作状態を示す
側面図である。図12(a)に示されるように、カム部
材89は大略的に直角三角形状の板状に形成され、蹴込
み板82が突出位置にある場合に支持軸49に関して一
方側の一端部106が上方となり、この一端部106の
一側面106aが前方(図12において左方)に臨んだ
状態となっている。図8に示されるように水平となる上
循環領域の上端部には、前記カム部材89に当接して案
内する退避案内手段108が、踏板88の幅方向両側に
一対設けられる。この退避案内手段108は、図12
(a)に示されるように、ほぼ水平に設けられ、上循環
領域の上端部で水平に移行する踏板88のカム部材89
の一端部106に退避案内手段108の一端部108a
が押圧し、前方への踏板88の移行に伴ってカム部材8
9を図12において時計まわりに角変位させる。このよ
うにカム部材89が角変位し、アーム90が中立位置8
7を超えると、引張コイルばね91のばね力によって蹴
込み板82は退避位置に弾発的に傾転する。このような
退避案内手段108の高さ位置は、少なくともアーム9
0が中立位置87を超えて退避位置側まで角変位できる
位置に選ばれる。蹴込み板82が退避位置に位置したと
き、カム部材49は図12(b)に示されるように支持
軸49に関して前記一端部106とは反対側の他端部1
07が下方となり、前記一端部106の一側面106a
にほぼ垂直な他端部107の一側面107aが前方に臨
んだ状態となる。
【0060】図8に示されるように水平となる上循環領
域の下端部には、カム部材89を押圧する閉塞案内手段
109が踏板88の幅方向両側にそれぞれ設けられる。
閉塞案内手段109は、踏板88が水平移行するに従っ
て一端部109aがカム部材89の他端部107の一側
面107aを押圧し、カム部材89は図12(b)にお
いて反時計まわりに角変位する。これによってアーム9
0が中立位置87よりも突出位置側に角変位すると、蹴
込み板82は突出位置まで弾発的に傾転する。カム部材
89に当接する閉塞案内手段109の高さ位置は、少な
くともアーム90が中立位置87を超えて突出位置側ま
で角変位できる位置に選ばれる。
【0061】また退避案内手段108が設けられる位置
は、後続する踏板88との隙間がなくなった直後に蹴込
み板82を退避位置に傾転させる位置に選ばれる。また
閉塞案内手段109が設けられる位置は、上循環領域で
前方に隣接する踏板88が上昇する直前で蹴込み板82
が突出位置に傾転する位置に選ばれる。このように退避
案内手段108および閉塞案内手段109を設けること
によって、上循環領域で確実に各踏板88間の隙間を蹴
込み板82によって塞ぐことができる。また蹴込み板8
2は、上循環領域から下循環領域に折り返される直前で
退避位置側に退避し、踏板88内に収納されるので、下
循環領域での踏板88と上循環領域での踏板88との間
隔、および下循環領域での踏板88と底壁フレーム32
との間隔を可及的に小さくすることができ、これによっ
て簡易エスカレータ装置81の薄形化を図ることができ
る。
【0062】図13は本発明の実施のさらに他の形態で
ある簡易エスカレータ装置121の構造を模式的に示す
断面図であり、図14は図13の切断面線C−Cから見
た状態を簡略化して示す断面図であり、図15は図14
の切断面線D−Dから見た状態を簡略化して示す断面図
である。簡易エスカレータ装置121は、図1〜図4に
示される簡易エスカレータ装置11に類似し、対応する
構成には同一の参照符号を付す。踏板122の幅方向両
側部には、両側端から下方に立下がる外立下がり部12
5がそれぞれ設けられ、この外立下がり部125よりも
内側に、前記外立下がり部125に平行に内立下がり部
126がそれぞれ設けられる。踏板122の下層フロア
寄りの一側部122aには、前記内立下がり部126間
にわたって水平方向に延びる回動軸124が設けられ
る。回動軸124は水平な回動軸線L1まわりに回動自
在に前記内立下がり部126に支持され、長手方向両端
部が内立下がり部126から外方に突出して設けられ
る。この回動軸124の両端部にはそれぞれアーム13
2の基端部が固定され、このアーム132間にわたって
蹴込み板123が設けられる。
【0063】踏板122の上層フロア15寄りの他側部
122bには、水平方向に延びる駆動軸127が、前記
各外立下がり部125および内立下がり部126間にわ
たって設けられる。この駆動軸127は外立下がり部1
25から両側方に突出し、両端部に前案内ローラ130
が回転自在に設けられ、さらに両端部に連結部材138
を介して駆動チェーン20が連結される。これらの前案
内ローラ130および駆動チェーン20は、それぞれ支
持フレームユニット30の側壁フレーム31に固定され
る上案内レール128上に支持される。上案内レール1
28は、上循環領域に沿って延び、チェーンガイドレー
ル129が設けられ、駆動チェーン20はこのチェーン
ガイドレール129に沿って案内される。また各上案内
レール128の幅方向内方にはそれぞれ下支持ローラ1
31が設けられる。下支持ローラ131は、回転自在に
設けられ、踏板122の外立下がり部125の下方から
支持する。またこの下支持ローラ131に、後方(図1
4において下方)に隣接して案内手段143が設けられ
る。案内手段143は、回転自在に設けられ、後述する
カム歯車141を押圧するカム押圧ローラ142を備え
る。
【0064】アーム132には、遊端部に幅方向両側に
突出する支持軸133が設けられ、この支持軸133の
先端部には水平軸線まわりに回転自在に水平移行用ロー
ラ135が設けられる。水平移行用ローラ135は、上
循環領域で水平移行用レール137に乗載されて案内さ
れる。この水平移行用レール137は支持フレームユニ
ット30に固定される。
【0065】図16は蹴込み板123が突出位置にある
状態を示す側面図であり、図17は蹴込み板123が退
避位置にある状態を示す側面図である。踏板122の乗
載面には、前後方向に沿って複数の突条144が一様に
設けられ、同様に蹴込み板123の外面にも、突出位置
において上下方向(図16における上下方向)に延びる
複数の突条145が一様に設けられる。踏板122の他
側部122bでは、突条144が前方に僅かに突出して
設けられるので、図16に示されるように、後続する踏
板122の各突条144の前端部が、前方の踏板122
の蹴込み板123の各突条145の間にそれぞれ嵌まり
込んで設けられる。
【0066】また、蹴込み板123は踏板122の他側
部122b側の他側端13aで幅方向に延びる水平軸線
中心として円弧状に湾曲して設けられる。したがって、
後続する踏板122の他側部122bが、前方の踏板1
22の蹴込み板123に隣接して配置された状態で、蹴
込み板122が上層フロア15まで上層し、前方の踏板
122と後続する踏板122との上下方向の隙間が減少
するときに後続する踏板の他側部122bは前方の踏板
122の蹴込み板123に沿って上昇し、後続する踏板
122と前方の蹴込み板123との間隔を常に一定に保
つことができる。さらに前方の蹴込み板123と後続す
る踏板122とは前述のように突条144および145
が交互に噛み合って設けられるので、後続する踏板12
2と前方の蹴込み板123との間に隙間が生じるといっ
たことが確実に防がれる。
【0067】アーム132は基端部でL字状に屈曲し、
屈曲した屈曲部の先端部に回動軸124が固定される。
またアーム132の遊端部132bには水平移行用ロー
ラ135が回転自在に設けられる。この水平移行用ロー
ラ135に隣接して補助ローラ136が設けられる。こ
の水平移行用ローラ135が、水平移行用レール137
に乗載した状態で、踏板122はほぼ水平となる。この
とき蹴込み板123の基端部123aは、踏板122の
一側部122aから立下がる後部立下り部146の下端
部に当接して蹴込み板123は自然状態で突出位置に係
止される。また、踏板122上に使用者が乗ったときに
水平移行用ローラ135とともに補助ローラ136が水
平移行用レール137に当接して踏板122が支持され
るように構成してもよい。このように構成することによ
って、踏板122が安定して支持されることとなる。
【0068】回動軸124の両端部には、歯車140が
固定され、この歯車140にはカム部材である略扇形の
カム歯車141が噛合する。カム歯車141は、内立下
がり部126に水平軸線まわりに揺動自在に軸支され、
図16に示されるように蹴込み板123が下方に突出
し、隣接する踏板122との隙間を塞ぐ突出位置に配置
される状態では、カム歯車141の一端部140aが外
立下り部125よりも下方に突出し、一側面146が前
方(図16における左方)に臨んだ位置に配置される。
【0069】図13に示されるように上層フロア15近
傍の支持フレームユニット30には前述の案内手段14
3が設けられる。この案内手段143は、図16に示さ
れるように上層フロア15で水平移行する踏板122に
対して、そのカム歯車141の前記一側面146に臨ん
で配置される。したがって、踏板122が駆動チェーン
20によって上層フロア15で前方(図16において左
方)に移行すると、案内手段143のカム押圧ローラ1
42がカム歯車141の一側面146を押圧し、カム歯
車141を図16において反時計まわりに揺動させるこ
ととなる。このようにカム歯車141が揺動すると、こ
のカム歯車141に噛合する歯車140が、回動軸12
4とともに時計まわりに回動する。すると図17に示さ
れるように、回動軸124に固定されるアーム132を
介して蹴込み板123が、蹴込み板123の遊端部12
3bが踏板122に近接する退避位置に傾転する。この
後、蹴込み板123は、図13に示されるように退避位
置に傾転した状態で上部スプロケット18で折返されて
下循環領域に移行する。下循環領域では蹴込み板123
は水平移行用ローラ135が支持フレームユニット30
の底壁フレーム32に当接し、蹴込み板123が退避位
置に傾転した状態で案内される。このように下循環領域
では蹴込み板123は突出位置ではなく退避位置に配置
された状態で案内されるので、簡易エスカレータ装置1
21の薄形化が図られる。また踏板122が下層フロア
16まで移行し、下部スプロケット19によって循環領
域に折返される際、蹴込み板123は下部案内レール1
50に沿って退避位置に傾転した状態で折返され、上循
環領域に達すると、自重によって蹴込み板123が突出
位置に傾転する。このように蹴込み板123は、自然状
態では突出位置に傾転するように構成されているが、た
とえば捩りばねなどによって自然状態で強制的に突出位
置に傾転するように構成してもよい。
【0070】また蹴込み板123はアーム132の長手
方向に沿って設けられ、アーム132は基端部でほぼ垂
直に屈曲してその先端部に回動軸124が設けられるの
で、図17に示されるように案内手段143に案内され
て蹴込み板123が退避位置に傾転したとき、蹴込み板
123と踏板122とがほぼ平行となり、踏板122と
蹴込み板123との間には隙間が設けられることとな
る。したがって、蹴込み板123が退避位置に傾転した
状態で踏板122が前方に移行したとき、案内手段14
3は前記蹴込み板123との間の隙間を通過し、案内手
段143が蹴込み板123に衝突するといったことがな
く、スムーズに踏板122は移行することができる。
【0071】図18(a)は、簡易エスカレータ装置1
21を取付ける簡易取付手段151を示す断面図であ
る。簡易取付手段151は図18(b)に示されるよう
に、下端部がほぼ垂直に屈曲し、基部147が形成され
るブラケット152を有し、このブラケット152の上
部は基部147に対して予め定める角度βに傾斜し、ブ
ラケット152からほぼ垂直に屈曲する取付部153が
設けられる。基部147には2つのボルト挿通孔149
が形成され、このボルト挿通孔149にはそれぞれコン
クリートボルト148が挿通されて図18(a)に示さ
れるようにブラケット152は既設の階段17に固定さ
れる。設置される簡易エスカレータ121の傾斜角度に
応じた予め定める角度βに傾斜して前記取付部153は
設けられるので、この取付部153に循環駆動手段13
の底壁フレーム32を面接触させて取付けることによっ
て安定して下方から簡易エスカレータ装置を支持するこ
とができる。また、この取付部153には2つの長孔1
54が簡易エスカレータ装置121の長手方向に延びて
形成される。この長孔154を介して循環駆動手段13
の底壁フレーム32に、取付部153がボルトおよびナ
ットによって固定される。このように取付部153には
長孔154が形成されるので、簡易エスカレータ装置1
21の循環駆動手段13の底壁フレーム32をその長手
方向に調節可能に支持して固定することができ、階段1
7の傾斜角度にかかわらず、予め定める角度βに簡易エ
スカレータ装置121を簡単に設置することができる。
このような簡易取付手段151は、既設の階段17の上
端部、下端部および中央部付近に設けられ、これによっ
て安定して簡易エスカレータ装置121は階段に設置さ
れる。図18(a)に示されるように、底壁フレーム3
2は既設の階段17の角部に接触しないように簡易取付
手段151によって取付けられるので、底壁フレーム3
2が損傷するといったことが防がれる。また、簡易エス
カレータ装置121を階段17から取外す場合には、コ
ンクリートボルト148を階段17から取外すことによ
って容易に取外すことができる。またコンクリートボル
ト148に代えてアンカーボルトであってもよい。
【0072】図19(a)は、簡易取付手段151の他
の形態である簡易取付手段155を示す断面図である。
簡易取付手段155は、簡易取付手段151に類似し、
注目すべきは基部147を有するブラケット152と、
取付部153を有する取付ブラケット157とに分割さ
れることである。ブラケット156には高さ方向に延び
る長孔159が一対形成され、取付ブラケット157に
は前記各長孔159に対応して高さ方向に延びる一対の
長孔158が形成される。したがって、ブラケット15
6および取付ブラケット157の長手方向に延びる各長
孔158,159にボルトを螺合させて締付けることに
よって、所望の高さ位置に簡易エスカレータ装置121
を取付けることができる。また取付部153には同様に
簡易エスカレータ装置121の長手方向に延びる長孔1
54が形成されるので、簡易エスカレータ装置121を
長手方向に変位調節して取付けることができる。
【0073】図20は本発明の実施のさらに他の形態で
ある簡易エスカレータ装置111の構造を模式的に示す
断面図であり、図21は図20の切断面線E−Eから見
た状態を簡略化して示す断面図である。簡易エスカレー
タ装置111は、図1〜図4に示される簡易エスカレー
タ装置11に類似し、対応する構成には同一の参照符号
を付す。簡易エスカレータ装置111は、支持フレーム
ユニット30がフレームユニット本体112、上層カバ
ー33および下層カバー34とに分割可能に設けられ、
フレームユニット本体112には上部スプロケット1
8、下部スプロケット19およびこれらにわたって巻掛
けられる駆動チェーン20および駆動チェーン20に連
結される各踏板12、および各蹴込み板14が設けられ
る。上部スプロケット18および下部スプロケット19
はそれぞれフレームユニット本体112の上端部および
下端部に設けられ、フレームユニット本体112は階段
17上に載置される直線状に形成される。
【0074】本実施形態の各踏板12は、図1〜図4に
示される簡易エスカレータ装置11と異なり、上部スプ
ロケット18で上循環領域から下循環領域に折返される
ときに裏返され、下循環領域では乗載面22が下方に臨
んだ状態で移行し、下部スプロケット19で再び裏返さ
れ、上循環領域で乗載面22が上方に臨んだ状態で移行
する。このように構成することによって、上部および下
部スプロケット18,19から前後にフレームユニット
本体112を突出させることなく、フレームユニット本
体112をほぼ直線状に形成することができる。
【0075】また上層カバー33内には、モータ21、
中間軸55、プーリ56およびプーリ56に巻掛けられ
るベルト58が設けられ、このベルト58がプーリ56
から上部スプロケット81に設けられるプーリ57にわ
たって張架される。
【0076】フレームユニット本体112は、取付手段
113によって階段17に取付けられる。取付手段11
3は階段に複数、本実施形態では3カ所設けられ、各取
付手段113は階段17が設けられる建物の壁部114
側に設けられる内取付部材116と、外側に設けられる
外取付部材115とを有する。内取付部材116は、フ
レームユニット本体112の鉛直方向に沿う高さHと同
じ距離Lだけ壁部114から離反した位置で階段17に
固定され、フレームユニット本体112の幅方向一側部
に角変位自在にヒンジ117によって連結される。また
外取付部材115は、フレームユニット本体112の幅
方向他側部に固定され、階段17に対して取外し可能に
設けられる。これらの取付部材115,116によって
フレームユニット本体112は各踏板12が上循環領域
でほぼ水平となるように階段17に設置される。
【0077】このような簡易エスカレータ装置111を
使用しない場合には、フレームユニット本体112から
前記下層カバー34を離脱し、ベルト58を上部スプロ
ケット18に設けられるプーリ57から取外した状態で
上層カバー33をフレームユニット本体112から離脱
させ、その後フレームユニット本体112を図21に仮
想線で示されるように壁部114側に立て掛ける。この
際、壁部114に、壁部114とフレームユニット本体
112とを着脱可能に取付ける取付装置を設けてもよ
い。また外取付部材115がフレームユニット本体11
2内に収納されるように構成し、これによってフレーム
ユニット本体112を立て掛けたときに収納時のフレー
ムユニット本体112からでっぱりなどをなくすことが
できる。また簡易エスカレータ装置111の設置時に、
外取付部材115を階段17に固定的に連結できるよう
に構成してもよい。
【0078】このように簡易エスカレータ装置111
は、フレームユニット本体112と上層カバー33と下
層カバー34とに分割されるので、最も構成が大きいフ
レームユニット本体112を壁部114に立て掛け、上
層カバー33および下層カバー34を別途に収納するこ
とができ、簡易エスカレータ装置111を使用しない場
合に容易に収納することができる。また、上層カバー3
3および下層カバー34もそれぞれ壁部114側に立て
掛ける構成としてもよい。
【0079】また簡易エスカレータ装置111に設けら
れる蹴込み板は、図1〜図4に示される蹴込み板14に
限らず、図5に示される蹴込み板67、図6,図7に示
される蹴込み板76、図8〜図12に示される蹴込み板
82、または図13〜図18に示される蹴込み板123
であってもよい。
【0080】以上の各簡易エスカレータ装置11,6
1,71、81および121は各踏板が上循環領域から
下循環領域での折り返し点で乗載面を上方に向けたまま
で折り返される構成であるけれども、このような構成に
限らず図20に示されるように上循環領域から下循環領
域へ折り返される際、または下循環領域から上循環領域
に折り返される際に踏板12が反転し、下循環領域では
踏板12が裏返しとなった状態で案内されるように構成
されてもよい。
【0081】また本発明の各簡易エスカレータ装置1
1,61,71,81、111および121では各踏板
が上下に反転し、上循環領域で人を乗載し、下循環領域
では上循環領域の裏側で移行し、人を乗載できない構成
であるが、各踏板が左右に反転し、一方の循環領域を上
昇用エスカレータとし、他方の循環領域を下降用エスカ
レータとする構成の簡易エスカレータ装置であってもよ
く、このような構成の簡易エスカレータ装置に対しても
以上の各蹴込み板14,67,72,82および123
を好適に実施することができる。
【0082】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、簡易エス
カレータ装置は階段に簡易取付手段によって取付けおよ
び取外し可能に設置されるので、既設の階段に大掛かり
な工事をすることなく容易に取付けることができる。ま
た、使用しない場合には簡易取付手段によって取外すこ
とによって容易に簡易エスカレータ装置を階段から取外
すことができる。また各踏板間の上下方向の隙間を蹴込
み板によって覆われるので、各踏板間に足先などが挟ま
れるといったことが防がれる。
【0083】また本発明によれば、蹴込み板は踏板の他
側部の水平軸線を中心として円弧状に湾曲するので、上
下方向に隣接する各踏板の間隔が減少するときに、蹴込
み板と踏板との水平方向の隙間が大きくなることが防が
れ、常に一定に保つことができる。また、蹴込み板は下
循環領域では退避位置に傾転するので、簡易エスカレー
タ装置の薄形化が図られる。また従来技術のように衣服
が引込まれたりすることが防がれ、安全性が向上する。
【0084】また本発明によれば、各踏板には挿入孔に
上下に変位自在に蹴込み板が挿入され、上循環領域では
各踏板間の隙間がこの蹴込み板によって塞がれるので、
上循環領域で各踏板間の隙間が減少する際に足先が踏板
間の隙間に挟まれたり、従来技術のように衣服が引込ま
れたりするといったことが防がれ、安全性が向上する。
また下循環領域では各蹴込み板を上部に押し上げた状態
で各蹴込み板を下循環領域に沿って案内する案内手段が
設けられるので、下循環領域で各踏板から下方に蹴込み
板が突出するといったことが防がれ、これによって簡易
エスカレータ装置の薄形化が図られる。
【0085】また本発明によれば、各踏板にはラックを
有する蹴込み板が上下に変位可能に設けられ、この蹴込
み板は上循環領域では蹴込み板が隣接する踏板との間を
塞ぐ。これによって互いに隣接する踏板間が減少する際
に足先などが挟まれたり、衣服の先が引込まれたりする
といったことが防がれ安全性が向上する。また下循環領
域では蹴込み板はピニオンを介して踏板から上方に突出
するように駆動されるので、下循環領域で蹴込み板が踏
板より下方に垂下するといったことが防がれ、これによ
って簡易エスカレータ装置の薄形化が図られる。
【0086】
【0087】また本発明によれば、踏板の一側部に蹴込
み板が角変位自在に連結され、この蹴込み板は傾転手段
および案内手段によって上循環領域では突出位置側に傾
転し、下循環領域では退避位置側に傾転されるので、上
循環領域で踏板間の隙間に足先などが挟まれたり、衣服
の端が引込まれたりするといったことが防がれ、安全性
が向上する。また下循環領域では退避位置に蹴込み板は
傾転するので、下循環領域では蹴込み板は踏板よりも下
方および上方のいずれにも突出して設けられないので、
上循環領域の踏板と下循環領域の踏板との間隔、および
下循環領域の踏板と階段との間隔を小さくすることがで
き、これによって簡易エスカレータ装置の薄形化を図る
ことができる。
【0088】また本発明によれば、簡易取付手段のブラ
ケットは階段に取付けおよび取外し可能に固定されるの
で、容易に既設の階段に簡易エスカレータ装置を設置す
ることができ、また不必要なときには容易に簡易エスカ
レータ装置を階段から取外すことができる。また、取付
部は予め定める角度に傾斜して設けられるので、簡易エ
スカレータ装置を容易に正確に所定の角度に設置するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である簡易エスカレータ
装置11の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た断面図であ
る。
【図3】簡易エスカレータ装置11の下端部近傍を示す
断面図である。
【図4】簡易エスカレータ装置11の上端部近傍を示す
断面図である。
【図5】本発明の実施の他の形態である簡易エスカレー
タ装置61の構造を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態である簡易エス
カレータ装置71の構造を模式的に示す断面図である。
【図7】簡易エスカレータ装置71の蹴込み板72が蹴
込み板案内手段76に当接するときの状態を示す側面図
である。
【図8】本発明の実施のさらに他の形態である簡易エス
カレータ装置81の構造を模式的に示す断面図である。
【図9】簡易エスカレータ装置81の踏板88を拡大し
て示す側面図である。
【図10】突出位置にある蹴込み板82を示す断面図で
ある。
【図11】退避位置にある蹴込み板82を示す断面図で
ある。
【図12】(a)退避案内手段108とカム部材89と
の関係を示す側面図である。 (b)閉塞案内手段109とカム部材89との関係を示
す側面図である。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態である簡易エ
スカレータ装置121の構造を模式的に示す断面図であ
る。
【図14】図13の切断面線C−Cから見た状態を簡略
化して示す断面図である。
【図15】図14の切断面線D−Dから見た状態を簡略
化して示す断面図である。
【図16】蹴込み板123が突出位置にある状態を示す
側面図である。
【図17】蹴込み板123が退避位置にある状態を示す
側面図である。
【図18】(a)簡易取付手段151の取付け状態を示
す断面図である。 (b)簡易取付手段151の斜視図である。
【図19】(a)簡易取付手段155の取付け状態を示
す断面図である。 (b)簡易取付手段155の斜視図である。
【図20】本発明の実施のさらに他の形態である簡易エ
スカレータ装置111の構造を模式的に示す断面図であ
る。
【図21】図20の切断面線E−Eから見た状態を簡略
化して示す断面図である。
【図22】従来の簡易エスカレータ装置1を示す断面図
である。
【符号の説明】
11,61,71,81,111,121 簡易エスカ
レータ装置 12,88,122 踏板 13 循環駆動手段 14,67,72,82,123 蹴込み板 15 上層フロア 16 下層フロア 17 階段 22 乗載面 23 裏面 32 底壁フレーム 35,151,155 簡易取付手段 62 ラック 63 ピニオン 86 傾転手段 87 中立位置 108 退避案内手段 109 閉塞案内手段 141 カム歯車 143 案内手段 152 ブラケット 153 取付部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−242389(JP,A) 特開 平6−32577(JP,A) 特開 昭63−235288(JP,A) 特開 平6−24678(JP,A) 特開 平5−294590(JP,A) 実開 昭61−145772(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66B 21/00 - 31/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め定められる循環経路に沿って循環す
    る複数の踏板と、 前記各踏板を、使用者が乗載する少なくとも上循環領域
    では、乗載面をほぼ水平に保ち、下循環領域では前記各
    踏板の乗載面を上方に臨んだ状態で循環駆動する循環駆
    動手段と、前記各踏板の下層フロア寄りの一側部に形成された循環
    方向に垂直な幅方向に延びる挿入孔と、 前記挿入孔に上下変移自在に挿入され、 前記上循環領域
    で各踏板間の上下方向の隙間を塞ぐ蹴込み板と 前記下循環領域に設けられ、この下循環領域に沿って各
    蹴込み板を各踏板から上方に押上げた状態で下循環領域
    に沿って案内する案内手段とを含み、 上層フロアと下層フロアとにわたって設けられる既設の
    階段に、簡易取付手段によって取付けおよび取外し可能
    に設置されることを特徴とする簡易エスカレータ装置。
  2. 【請求項2】 予め定められる循環経路に沿って循環す
    る複数の踏板と、 前記各踏板を、使用者が乗載する少なくとも上循環領域
    では、乗載面をほぼ水平に保った状態で循環駆動する循
    環駆動手段と、 前記踏板の下層フロア寄りの一側部または上層フロア寄
    りの他側部に形成された循環方向に垂直な幅方向に延び
    る挿入孔と、 前記挿入孔に上下に変位可能に挿入され、上循環領域で
    各踏板間の上下方向の隙間を塞ぐ蹴込み板と、 各蹴込み板に固定された上下方向に延びるラックと、 前記踏板の乗載面とは反対側の裏面に設けられ、前記ラ
    ックに噛合し、上循環領域では、蹴込み板が隣接する踏
    板との前記隙間を塞ぐように回転駆動するとともに、下
    循環領域では、蹴込み板が踏板から上方に突出するよう
    に回転駆動するピニオンとを含み、 上層フロアと下層フロアとにわたって設けられる既設の
    階段に、簡易取付手段によって取付けおよび取外し可能
    に設置されることを特徴とする 簡易エスカレータ装置。
  3. 【請求項3】 予め定められる循環経路に沿って循環す
    る複数の踏板と、 前記各踏板を、使用者が乗載する少なくとも上循環領域
    では、乗載面をほぼ水平に保った状態で循環駆動する循
    環駆動手段と、 前記踏板の下層フロア寄りの一側部に、基端部が角変位
    自在に連結され、遊端部が踏板に近接する退避位置と、
    隣接する踏板との隙間を塞ぐ突出位置とにわたって傾転
    自在に設けられる蹴込み板と、 踏板と蹴込み板との間に介在され、予め定められる中立
    位置よりも退避位置側に押圧された場合に蹴込み板を退
    避位置に弾発的に傾転させ、前記中立位置よりも突出位
    置側に押圧された場合に、蹴込み板を突出位置に弾発的
    に傾転させる傾転手段と、 前記傾転手段を、上循環領域では中立位置よりも突出位
    置側に押圧して各踏板間の上下方向の隙間を塞ぎ、下循
    環領域では中立位置よりも退避位置側に押圧して前記蹴
    込み板を退避位置側に傾転させる案内手段とを含み、 上層フロアと下層フロアとにわたって設けられる既設の
    階段に、簡易取付手段によって取付けおよび取外し可能
    に設置されることを特徴とする 簡易エスカレータ装置。
  4. 【請求項4】 前記簡易取付手段は、既設の階段に取付
    けおよび取外し可能に固定されるブラケットと、 循環駆動手段を予め定める角度に傾斜した状態で下方か
    ら変位調節可能に支持し、前記ブラケットに固定される
    取付部とを含むことを特徴とする請求項1〜のうちの
    いずれかに記載の簡易エスカレータ装置。
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